アナハイム・エレクトロニクス
アナハイム・エレクトロニクス(Anaheim Electronics[1])とは、『宇宙世紀ガンダムシリーズ』に登場する企業。
概要
月を主な拠点とする巨大コングロマリッド(複合企業)。宇宙世紀ガンダムシリーズ(TV版および劇場版『機動戦士ガンダム』を除く)において主にモビルスーツ(以下、「MS」と表記)を開発している企業。
「スプーンから宇宙戦艦まで」というキャッチフレーズが示す通り、本来はMS開発だけを行う企業ではなく、電子機器や宇宙艦艇、果てはスペースコロニーの製造にも関わる総合商社である。
来歴
一年戦争終結後、旧ジオン公国系の企業等を吸収合併・買収を繰り返してシェアを上げ、地球連邦軍の兵器受注でトップを占めるまでに至っている。
『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』では、地球連邦軍によるガンダム開発計画に共同参加した。
グリプス戦役および第1次ネオ・ジオン抗争(ハマーン戦争)では反地球連邦政府組織エゥーゴの最大のスポンサーとなるが、予断を許さない情勢ではエゥーゴの敵対組織であるティターンズやネオ・ジオン(アクシズから改称)にMSを横流ししている。
また、第2次ネオ・ジオン抗争(シャアの反乱)およびラプラス戦争(第3次ネオ・ジオン抗争)の折には、地球連邦軍およびそれに対して反旗を翻すシャア・アズナブル率いる新生ネオ・ジオンと残党組織である袖付きの最新型MSを開発している。
『機動戦士ガンダムF91』の時代には、地球連邦軍所属の研究所であるサナリィに最先端MS開発競争の先頭の座を明け渡している。しかしながら、量産型MSでは依然トップシェアを占めている。
その後シルエットフォーミュラプロジェクトを経る事で、サナリィの小型MS開発技術に追い付くものの、市場の「独占」ではなく「共存共栄」を目指すようになった。
『機動戦士Vガンダム』の時代には、ラビアンローズにおいてリガ・ミリティアの母艦リーンホースJr.を開発。地球連邦軍の主力MSであるジェムズガンやジャベリンはアナハイム社製である。
総評
宇宙企業であるため、前述した通りエゥーゴやネオ・ジオンを援助しているが、予断を許さない情勢では地球至上主義を掲げるティターンズにMSを供与するという一面も見られた。
小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、アムロ・レイから「死の商人」呼ばわりされている。
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では両陣営に使用されたMSを大量生産したアナハイム・エレクトロニクスという企業は、良くも悪くも戦争の早期終結の立役者と言える。
主な人物
- メラニー・ヒュー・カーバイン
- 会長。今で言うCEO。
- SRWでは『SC2』で名前のみ登場しており、軍産複合体ロゴスの一員として逮捕されたことが語られている。
- 小説版Ζガンダムによるとユダヤ系の出身であり、ジャミトフとは若い頃からのライバル関係にあったことが語られている。アニメでは表現されていないが、エゥーゴとティターンズの背景には彼等の思想の影響があると明かされている。
- マーサ・ビスト・カーバイン
- 社長夫人。カーバイン家に嫁いだビスト財団の当主カーディアス・ビストの妹。『機動戦士ガンダムUC』の主人公バナージ・リンクスの叔母にあたる。
- なお、社長であるマーサの夫(本名不明)はメラニーであると解釈されることもあるが、メラニーは「会長」であって社長ではない。
- アルベルト・ビスト
- 幹部。カーディアス・ビストの息子で、『機動戦士ガンダムUC』の主人公バナージ・リンクスの異母兄にあたる。
- ウォン・リー
- 幹部。エゥーゴとの連絡役。
- オサリバン
- フォン・ブラウン支社常務。ガンダム開発計画責任者。
- ニナ・パープルトン
- フォン・ブラウン支社の社員。試作ガンダム1号機・2号機担当システムエンジニア。
- ルセット・オデビー
- フォン・ブラウン支社の社員。試作ガンダム3号機担当システムエンジニア。
- ミリィ・チルダー
- ラビアンローズ所属の社員。
- オクトバー・サラン
- フォン・ブラウン支社の社員。νガンダムの開発主任。
関連地名
- フォン・ブラウン市
- 月の表側唯一の月面都市。本社が置かれており、郊外に自社ビル「アナハイム・ビル」を持つ。最重要拠点。
- グラナダ市
- 月の裏側にある月面都市で、かつてのジオン公国の拠点。本社に匹敵する規模の支社があるが、本社の意向を無視する事が多く、「別会社」と揶揄されている。ネオ・ジオンや袖付きにモビルスーツを提供してきたのはこの支社になる。
- インダストリアル7
- サイド4(旧サイド5)に位置するアナハイム・エレクトロニクス社が所有する工業コロニー。コロニー内にはアナハイム工業専門学校がある。
アナハイム・エレクトロニクス社製のモビルスーツ
ガンダム開発計画
Ζプロジェクト
UC計画関連
- シナンジュ・スタイン(2機製作されたが、後にネオ・ジオンに強奪され、片方はフル・フロンタルの専用機として利用される。)
- ユニコーンガンダム
- ユニコーンガンダム2号機・バンシィ
- ジェスタ
- ジェスタ・キャノン
その他
委託製作
- νガンダム
- Hi-νガンダム
- ギラ・ドーガ
- ヤクト・ドーガ
- サザビー
- ナイチンゲール
- Ξガンダム
- ペーネロペー(オデュッセウスガンダム)
- Gキャノン(連邦軍の要請でサナリィからアナハイム社へと委託生産。後に火力強化型のGキャノンマグナも開発される)
開発艦船
- アーガマ
- ホワイトベースを参考にして建造した宇宙巡洋艦。エゥーゴの旗艦となる。
- ラーディッシュ(アイリッシュ級)
- アーガマの発展型である宇宙戦艦。アーガマと共にエゥーゴの戦力となった。
- ネェル・アーガマ
- アーガマの後継となる母艦。エゥーゴだけでなく、ロンド・ベル隊でも使用された。
- ラビアンローズ
- アナハイム・エレクトロニクスが所有するドッグ艦。大型の艦船の修理や補給を行う。
- リーンホースJr.
- 大破したリーンホースとガウンランドをザンスカール帝国から鹵獲したスクイード1を使用し、ドッグ艦ラビアンローズにて改修した宇宙戦艦。
登場作品
旧シリーズ
- 第4次スーパーロボット大戦(S)
- ニナの台詞の中などに登場。
- エゥーゴのスポンサーだが、DCにもMSを提供している。
- スーパーロボット大戦F完結編
- フルアーマー百式改などロンド・ベル(クワトロ)に譲渡し、イデオンを解析するなどイベントにも絡んでいる。
αシリーズ
- 第2次スーパーロボット大戦α
- 今作ではオサリバン常務が登場。ティターンズ残党のヤザンと裏取引をしている。また、サナリィで開発された量産型ガンダムF91やクロスボーン・ガンダムを委託生産している(元々サナリィには生産施設はないため)。どちらも優秀な性能を発揮していた辺り、原作のGキャノンの件とは違い技術提供が問題なく行われたか、アナハイム社の技術力がサナリィと同等だったとも解釈できる。しかし、原作でF91のデータを盗用したアナハイム社が量産型F91を作るのは皮肉と言えなくもない。
- 第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ
- ブルーコスモス(ロゴス)の影響力があり、アナハイム側も今までのガンダムタイプのデータの引き渡しを迫られるなど危機的状況が伝えられている。
Zシリーズ
- スーパーロボット大戦Z
- 本作では黒歴史由来の機体の残骸を解析・研究することで、本来の歴史よりも早くサイコフレームの開発に成功しており、これによりνガンダムも早く登場した。
- 第3次スーパーロボット大戦Z(時獄篇/天獄篇)
- サイコフレームが開発されているため『機動戦士ガンダムUC』も本来の歴史よりも早い時間軸で参戦を果たしている。
- また、『時獄篇』では、カミーユ、フォウ、カツがテストパイロットとして、ファもカミーユのアシスタントとして入社している他、Ζガンダムやνガンダムのサイコミュ搭載機をオーバーホールと偽って(実際カミーユらも急な事に不信感を抱いていた)封印している。これは、ユニコーンガンダムのNT-Dに反応・暴走しないようにするための措置であったが、アドヴェントらの手引きで解放され、Z-BLUEの手に届けられている。
COMPACTシリーズ
- スーパーロボット大戦IMPACT
- ネルガル重工とはライバル関係であることがプロスペクターから明かされた。
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦A
- 本作でもネルガル重工とライバル関係にあり、互いの企業の人物がバチバチに火花を散らしている。
- ストーリー根幹に『0083』が関わっており、エンディングでオサリバン常務が死亡する。
- スーパーロボット大戦BX
- 地球連邦保守派の代表格としてほぼ敵対組織として登場。本来ライバル企業のGAILとも保守派として利害が一致し手を組む。なお、設定上は連邦軍の兵器シェアの大部分を占めているはずなのだが、ゲーム中にはジェガンがアイコンだけ時折出てくるくらいで、そのうえブレイヴとの競合に敗れてリゼルやアンクシャが不採用となっている。
VXT三部作
- スーパーロボット大戦V
- アマルガムの傘下にあり、他作品と同様に連邦とジオンの両方を渡り合っていたのだが、アマルガムの実権を牛耳ったレナード・テスタロッサによって一方的に切り捨てられ、彼らがフル・フロンタル率いるネオ・ジオンと同盟を結んだ結果、激怒した上層部は完全に連邦側へとつき、ジオン殲滅の方針へと転換する。
- スーパーロボット大戦X
- 『UC』は未参戦だが、ボーナスシナリオ「アムロ・レイの夢」においてアナハイム高専の存在に触れられている。
- スーパーロボット大戦T
- 小型MSの開発に難航していることが語られており、解析目的で量産型F91を1機入手していたという、漫画『シルエットフォーミュラ』(SRW未参戦)を意識した場面も見られる。
- この他、カミーユから「ガンダムとサイコミュの融合を極めるのもあり」だと言われたり、メリルから「血族経営っぽい所がある」と指摘されたり、『UC』が参戦していないながら同作を意識したネタもある。
単独作品
- 新スーパーロボット大戦
- νガンダムの開発元として、宇宙編で名前のみ登場。
- スーパーロボット大戦64
- オクトバー・サランが初登場。OZと協力関係を結んでいるのか、OZルートへ進むとフルアーマー百式改や量産型νガンダムを納品してくる。
- スーパーロボット大戦GC(XO)
- 名前のみ登場。おそらくは連邦軍用の機動兵器を生産・納入していたと思われるが、その裏でジオン軍にサザビーを提供するなど死の商人っぷりを見せている。
- また、本作はνガンダムも登場するが、こちらは連邦軍が総力を挙げて開発したという設定でAEがどの程度関与しているかは不明。
- スーパーロボット大戦DD
- 名前のみ登場。ヤシマ作戦に使用する陽電子砲の開発元になっている。
- スーパーロボット大戦30
- 名前のみの登場。ラプラスの箱の開示により、影響力が大きく衰えたことが語られている。
関連作品
- ヒーロー戦記 プロジェクトオリュンポス
- エゥーゴ連邦に存在する企業として登場。MSを召喚するパーソナル転送システムをエゥーゴに供給しているが、同システムはテロリスト達も所有している為「横流しをする死の商人」と罵られている。
- νガンダムも開発するが、納入相手のアムロの名を騙った黒い三連星に渡してしまうなど、無責任な企業として描かれている。
- リアルロボットレジメント
- ドゥバン・オーグの手によってフォン・ブラウンにデビルガンダムを配置され最終決戦の地となる。デビルガンダムにMS生産プラントを使われ大量の無人MSがザコ敵として登場する。
関連組織
ガンダムシリーズ
- 地球連邦軍
- 派生した軍事組織も含めて、アナハイム・エレクトロニクスの最大の取引相手と言える。
- エゥーゴ
- アナハイム・エレクトロニクスが支援する反地球連邦組織。
- スポンサーであるアナハイム・エレクトロニクスの意向に振り回される面があり、「アナハイム社の私兵」と揶揄されることもある。
- ロンド・ベル
- アムロ・レイ専用モビルスーツであるνガンダムを開発している。
- ティターンズ
- 支援するエゥーゴの敵対組織ではあるが、量産型モビルスーツ・マラサイを開発してティターンズに引き渡している。
- ネオ・ジオン(袖付きを含む)
- 地球連邦軍と並ぶ取引相手。サザビーやシナンジュ(ネオ・ジオング)といった専用機や、シュツルム・ディアス、ギラ・ドーガ、ギラ・ズールといった量産機を開発・譲渡している。
- ビスト財団
- 宇宙世紀の政財界に巨大な影響力を有する組織。
- 財団の創始者サイアム・ビストが草創期のアナハイム・エレクトロニクスに役員として迎えられて以来、一心同体ともいうべき関係にある。社長夫人となったマーサもビスト家出身。
- マフティー
- 反地球連邦を掲げるレジスタンス組織。指導者マフティー(ハサウェイ・ノア)の専用モビルスーツであるΞガンダムを開発している。
- サナリィ
- 地球連邦軍の海軍戦略研究所で、アナハイム・エレクトロニクスにとっては商売仇にあたる。
- ブッホ・コンツェルン
- シルエットフォーミュラプロジェクトを介して開発初期のF91のデータを提供しており、見返りにネオ・サイコミュやビームシールドの技術を受け取っている。
- リガ・ミリティア
- アナハイム・エレクトロニクスが協力する民間軍事組織。大破したリーンホースをリーンホースJr.として改修している。
ガンダムシリーズ以外
- GAIL
- BXではライバル企業の一つであるが、利害の一致から結託している。
- ネルガル重工
- ライバル企業として扱われる。
- アマルガム
- 裏で繋がりを持っている。
- Vではアナハイム自体がアマルガムの傘下にあったが、組織を牛耳ったレナードが一方的にアナハイムを切り捨ててフロンタル率いるネオ・ジオンと同盟を結んだ為に、激怒した上層部の意向で、アナハイムは完全に連邦側について、ジオン殲滅の方針に転換している。
脚注
資料リンク
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