世界征服

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世界征服は、文字通り世界の全権を掌握することであり、様々なフィクションにおいて戦略的目標に掲げられる行為を指す。

概要[編集 | ソースを編集]

世界の全てを自身の政権が統治する行為の事。具体的にどうすれば「世界征服」が完了するかは、現実世界における成功例がないため明確な定義は存在しないが、「他の独立勢力の反抗を許さず、全ての経済システムを掌握し、自身の制定した法律が世界全土の統一法となる」くらいになれば、世界征服は完了したと言える。そういう意味では地球連邦政府は世界征服を達成した組織といえるのかもしれない。

多くの作品で敵キャラクター、そして一部の作品では主人公たちがこれを成し遂げようとし、そこで戦いが巻き起こるというのが常である。

「世界征服」は基本的に地球人が使用する事が多く(なお地球を舞台としない作品においても、その作品の世界に対する侵略行為の意味で用いられる)、異星人や異次元人などルーツが地球に無い勢力が行う場合には「地球征服」「地球侵略」と称される。後者の場合、自分たちの母星で言えば(後述の通りレジスタンスなどもいるケースがあるが)世界征服は完了しており[1]、更なる拡大を求め他の星々を征服しようというコーポレートガバナンスが更に大きく「全宇宙支配」などになっているケースもある。

何れにせよ、方法の如何を問わず地球の全国家の政権を打倒したとして、次に問題となるのはその後の統治方法である。統治者は世界征服を成し遂げた以上、「人類全滅」などを考えていない限りはその国体を護持せねばならず、その為にはインフラを整え国民が納税し経済を回し安定した社会基盤を築く必要がある訳だが、そこまで描いている作品はほとんど無く基本的に征服地に対する一方的な搾取が大半を占めている。特に「地球侵略」が成功した場合を描いている作品では、征服者側のそもそもの価値観が全く地球人とは異なるため、人類が奴隷化され、地球が半ば侵略者の私物と化すケースが多い。

世界征服 / 侵略の目的[編集 | ソースを編集]

目的が明かされない作品も多いが、中には武力介入に至った経緯や理由を明確に描いている作品も見受けられる。

国力の増強
領地や権威を拡大し国力を増強することを目的とした、最もオーソドックスな侵略理由。異世界やほかの星などが舞台で、リアルな戦術・戦略が描かれる作品はこの系統の敵が多い。
待遇改善・報復目的
国家レベルの話では、スペースノイドなど、地球の統治機構の植民地状態だった場合に最も多い理由。いわゆる革命や反乱である。この場合、体制側の腐敗も顕著になっているケースが多い。
救済目的
体制側の戦争や格差社会・環境問題等を憂い、その救済を目的としたタイプ。ただし、その多くは独善的な思想に基づいたものである。
危険視
対象がいずれ自分たちや世界全体の脅威になると判断し、その芽を摘もうと考えるタイプ。支配でなく対象の滅亡を最終目的とするものも少なくない。未来予知タイムトラベルと組み合わされることも多い。
地球だけではなく「全宇宙存続のため」「並行世界を守護するため」など、非常に規模が巨大なラストボスとして描かれることもある。
ビジネス
売買・商取引による外貨獲得の為の手段として侵略を行う。「死の商人」「シンジケート」タイプの悪役はこれが多い。
略奪
自らが求めるもののために一方的に強奪する、即物的なタイプの侵略。「宇宙海賊」はこのケースが多く、わかりやすい勧善懲悪になるためか子供向けの作品ではこのタイプの侵略者が多い。
移住
故郷となる惑星等が滅失、あるいは存亡の危機に直面したことに伴い、居住地を求めて行う侵攻。この場合、いきなり攻めてくるケースもあれば、当初は講和を望みながらもやがて侵略戦争に変わるケースもある。中にはそれに事欠いて領土を拡張しようと目論む例もある。
この手のタイプのキャラは居住地が他にあればそこで暮らすという選択肢もあるため、物語終盤や続編で主人公たちと和解したり、一時的に同盟を組んだりすることもある。
侵略意欲
統治や略奪といった目的すらもなく「侵略」あるいは「闘争」という手段そのものが目的化しているタイプ。「銀河統一」「全宇宙征服」など戦略的目標が非常に大きいケースも。あまりに長く独裁が進みすぎて、当初の戦争目的を忘れてしまった場合なども含む。
生命維持目的
自分達が個体を維持し繁栄する手段として、他の惑星あるいはそこに居住する生物を利用するというケース。
価値観の相違
価値観が地球人とは全く異なり、コミュニケーション手段など彼らの行動自体が人類にとって障害となるため、敵意の有無にかかわらず実質的に侵略になってしまうケース。基本的に人型を取らないものが多い。種としての存立意義が関わっていることもあり、その場合は「生命維持目的」とも重なる。
個人的感情
大義や将来的な目標などを有さず、一個人の「愛」や「執念」を貫き通す手段が侵略しかなかったというケース。マッドサイエンティストタイプの敵に多く、これまで列挙してきた敵組織の首領なども侵略を始めたきっかけがこれに当たる、あるいは戦い続けるうちに大切な者を失いそちらにシフトするというものはあるが、このタイプはそれが徹頭徹尾侵略目的の「全て」であり、部下たちはそのことを知らされていないのがセオリー。いわゆる「哀しき悪役」がこのパターンに該当するが、それが当てはまらない歪んだケースもある。
ゲーム感覚・快楽目的
快楽を求めゲーム感覚で侵略行為を行う愉快犯タイプ。このタイプの敵は原則「同情の余地全くなし」というスタンスで描かれるため、単なる蛮族の集団などでない場合にはSRWにおいても黒幕ポジションになることが多い。
絶対悪
そもそもが「怨念の集合体」「全宇宙の悪意の化身」などといった、「侵略」以外を構成する要素が一つもないタイプ。手段の目的化どころか、手段と目的が完全に同一であり、それ以外の行為に及ぶ可能性が全くないパターンである。ただし、首領が絶対悪であってもその真意を隠していたため、幹部や末端はそのことを知らないというパターンが多い(その場合は裏切りイベントが発生することも)。
その設定ゆえ、SRWではラストボスもしくはその前座となるパターンが多い。
システムの暴走
システムのバグやエラーにより本来の目的を見失い、破壊や侵略行為を行うようになったタイプ。その性質上、ロボットや人工知能系の勢力が多い。
強硬措置
外敵などの別の脅威が存在するため、それに対しバラバラとなった戦力を結集させるためにやむを得ず武力による統一を選ぶケース。
創作でもまれな侵略目標であり、SRWにおいては実質的な第1作である『第2次スーパーロボット大戦』の敵がこれに相当するので、以降もたまにこのタイプの侵略者が登場することがある。

世界征服 / 地球侵略に成功した組織[編集 | ソースを編集]

本節では『新機動戦記ガンダムW』『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』『オーバーマン キングゲイナー』『天元突破グレンラガン』等のように「主人公たちが反体制側で、悪政を敷く統治機構に反逆するタイプの作品」における「最初から物語に存在する統治機構・公権力」の類は割愛する。ただし、その敵勢力を打倒・掌握し、その旧勢力の保有する権力の座に付いた場合は例外的に記載する。

デーモンデビルマン (原作漫画版)
デビルマン軍団との戦いのさなかに実質的に人類の文明は完全に滅亡してしまったため、世界征服に成功したといえる。ただし、戦いの果てに地球はもはや更地同然になり、さらに勝利した直後にさらなる敵が現れたので、その天下もそう長く続くものではないことが示唆されて終わる。(『バイオレンスジャック』の設定や『激マン!』で永井豪の明かした没設定を考えると、人類とデビルマン軍団に勝利してほどなくして「さらなる敵」により地球そのものが滅亡したと思われる)
Dr.ヘル真マジンガーZERO
TVアニメ・OVA・映画の全てで夢半ばにして散って行ったが、本作では全人類の過半数を虐殺し、光子力研究所以外の全てを掌握した。
コンギスター軍団合身戦隊メカンダーロボ
ストーリー開始時点で地球の95%を制圧済み状態。
ザール星間帝国未来ロボ ダルタニアス
日本をはじめとする地球のほぼ全土を支配した状態から話が始まり、第1話時点でサツマイモが1個7千円になるほどのインフレを来していた。
グラドス軍蒼き流星SPTレイズナー
元々は冷戦を過熱させて地球を自滅させようとするも失敗、直接武力制圧を行い世界中の都市を7割焼き払い、全人口の1/3を殺害して地球侵略を果たす。「グラドスの優れた文化を継承させる」と称し、圧政を敷き地上のあらゆるメディアを焼き払っていたが、グラドスの刻印の発動により地球と断絶する事となる。
ルルーシュ・ランペルージコードギアス 反逆のルルーシュR2
本来は「ゼロ」を名乗り、黒の騎士団を率いて敵組織である神聖ブリタニア帝国と戦っていたブリタニアの皇子なのだが、終盤でブリタニアを掌握するに至り、物語の主人公でありながら実質的な全世界征服に成功した[2]
ムゲ・ゾルバドス帝国スーパーロボット大戦64
冒頭で上記のグラドス軍を用いて地球を完全に征服した。
マリーメイア軍スーパーロボット大戦R
原作『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』におけるクーデターが成功し、連邦政府を降伏させ新地球連邦を掌握する。
主人公たちが過去世界に飛んだ影響で、ヒイロらにより原作通りクーデターが失敗する事となった。
サイデリアル第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
ストーリー序盤時点で蒼の地球の74.9%を支配下に置いており、最終的にほぼ全域を制圧するに至る。

余談[編集 | ソースを編集]

  • 世界征服という行為はメタフィクション的に言うと、自身の破滅に至る最大にして最悪のフラグである。
    • 往々にして世界征服を企む者の前には必ず、地球を守る抵抗勢力…即ち物語の主人公が立ちはだかり、目的を果たせぬまま打倒されるのがほとんど。いわば地球を狙ったのが運の尽きであり、悪の栄えた例は無いのである。
    • 逆に上記の中でもルルーシュ・ランペルージデスドライヴズなど、世界征服は手段であり、倒されること自体を真の目的とするケースも存在する。

脚注[編集 | ソースを編集]

  1. そのためSRWでは、ガンダムシリーズを筆頭にリアル系作品に多いがそれらの設定・ストーリーが描かれるため、外敵の侵略にさらされていながら地球人同士で戦争をして互いに滅ぼしあおうとしているという、統一できていない地球の状況を冷笑したり「だからこの星は我々が管理してやる」として侵略の大義名分にされたりすることが多い。
  2. しかし、ルルーシュの真の目的は世界征服後、悪の独裁者という建前で打倒されることである。