「ザク」の版間の差分

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一方、ザクの汎用性の高さこそ優秀であったのは確かなのだが、ガンダムや[[ジム]]には無い大きな欠点もあった。それは「モビルスーツとしての完成度」にあり、ガンダムやジムがモビルスーツとの戦闘をあらかじめ想定した上で完成したのに対し、ザクはあくまでも「戦闘機や戦車、[[戦艦]]との戦闘」や「[[核ミサイル|核兵器]]の運用」を想定した機体に過ぎず、正式採用されて大量生産をされても、モビルスーツ同士の戦闘を想定していなかったザクは、モビルスーツとしてはあくまでも「旧式機」や「実験機」の範囲を超えておらず、本当の意味での「完成機」までには至らなかった機体だったのである。
 
一方、ザクの汎用性の高さこそ優秀であったのは確かなのだが、ガンダムや[[ジム]]には無い大きな欠点もあった。それは「モビルスーツとしての完成度」にあり、ガンダムやジムがモビルスーツとの戦闘をあらかじめ想定した上で完成したのに対し、ザクはあくまでも「戦闘機や戦車、[[戦艦]]との戦闘」や「[[核ミサイル|核兵器]]の運用」を想定した機体に過ぎず、正式採用されて大量生産をされても、モビルスーツ同士の戦闘を想定していなかったザクは、モビルスーツとしてはあくまでも「旧式機」や「実験機」の範囲を超えておらず、本当の意味での「完成機」までには至らなかった機体だったのである。
  
しかし、一週間戦争やルウム戦域によって表向きは圧倒的有利な形で輝かしき勝利を掴んだ体験<ref>あくまでも「表向き」であり、実際は一週間戦争のブリティッシュ作戦中にて、[[コロニー落とし]]の作業に忙殺された事で戦闘機に撃墜された機体が後を絶たず、機体の容量不足解消の為に'''脱出装置も設計から削られた'''結果、「'''最も用意に時間とコストが掛かる熟練のパイロット達を一年戦争開戦の早期より大量に損失する'''」という悲惨な事態を招いている。</ref>を忘れられなかったジオン公国軍上層部は、[[南極条約]]の締結によって核兵器が使用出来なくなり、更には[[ドム]]を始めとする次世代機のロールアウトが完了して以降もザクの生産を停止させようとはせず、それどころか生産ラインや残された資源の限界さえも無視する形で[[高機動試験型ザク]]や[[高機動型ザク]]といった「ザク系統のモビルスーツの新規開発」という不必要なまでにザク系モビルスーツへ過度なまでの固執をしてしまう事になっており、'''そのバリエーション機の総数は実に50も軽く超えてしまっている'''。だが、結局それらも戦局を大きく覆すにまでは至っておらず、ただでさえジオン側は連邦に比べて国力が大きく不足していた事も重なった結果、「ザクの後継機でガンダムに匹敵する高性能機」と銘打たれた新世代機である[[ゲルググ]]の生産・実戦配備の大きな遅延だけでなく、その搭乗員に学徒兵を動員しなければならない程の兵力不足にも繋がり、最終的に「ジオン側の敗戦」で戦争は終結してしまった。まさにザクとは、'''良くも悪くも一年戦争時におけるジオン公国軍の現状を象徴する機体'''だったのである。
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しかし、一週間戦争やルウム戦役によって表向きは圧倒的有利な形で輝かしき勝利を掴んだ体験<ref>あくまでも「表向き」であり、実際は一週間戦争のブリティッシュ作戦中にて、[[コロニー落とし]]の作業に忙殺された事で戦闘機に撃墜された機体が後を絶たず、機体の容量不足解消の為に'''脱出装置も設計から削られた'''結果、「'''最も用意に時間とコストが掛かる熟練のパイロット達を一年戦争開戦の早期より大量に損失する'''」という悲惨な事態を招いている。</ref>を忘れられなかったジオン公国軍上層部は、[[南極条約]]の締結によって核兵器が使用出来なくなり、更には[[ドム]]を始めとする次世代機のロールアウトが完了して以降もザクの生産を停止させようとはせず、それどころか生産ラインや残された資源の限界さえも無視する形で[[高機動試験型ザク]]や[[高機動型ザク]]といった「ザク系統のモビルスーツの新規開発」という不必要なまでにザク系モビルスーツへ過度なまでの固執をしてしまう事になっており、'''そのバリエーション機の総数は実に50も軽く超えてしまっている'''。だが、結局それらも戦局を大きく覆すにまでは至っておらず、ただでさえジオン側は連邦に比べて国力が大きく不足していた事も重なった結果、「ザクの後継機でガンダムに匹敵する高性能機」と銘打たれた新世代機である[[ゲルググ]]の生産・実戦配備の大きな遅延だけでなく、その搭乗員に学徒兵を動員しなければならない程の兵力不足にも繋がり、最終的に「ジオン側の敗戦」で戦争は終結してしまった。まさにザクとは、'''良くも悪くも一年戦争時におけるジオン公国軍の現状を象徴する機体'''だったのである。
  
 
「ザク」という機体は、一年戦争後も後のジオン系組織にとっての象徴(連邦に「ガンダム神話」があるように、ジオンにも「'''ザク[[神話]]'''」があると言える。メタフィクションな意味では尚更のこと)となり、実際にザクが連邦に鹵獲された場合、『機動戦士ガンダム MS IGLOO 1年戦争秘録』(SRW未参戦)や『[[機動戦士ガンダム0083]]』にみられる通り、[[ジオン兵]]は躍起になってそれらを破壊しようと試み、[[ティターンズ]]に至ってはそれを嘲笑うかの如く「[[偽物|偽ザク]]」とも呼べる[[ハイザック]]を作り出してジオン残党狩りを行う始末であった<ref>ただティターンズ兵の一部でもザクを模したハイザックのデザインは不評を買っており、ティターンズ壊滅後に至っては罪人扱いされたティターンズ残党が持ち込んだ機体がネオ・ジオンに接収され運用されたという皮肉な結果となった。</ref>。
 
「ザク」という機体は、一年戦争後も後のジオン系組織にとっての象徴(連邦に「ガンダム神話」があるように、ジオンにも「'''ザク[[神話]]'''」があると言える。メタフィクションな意味では尚更のこと)となり、実際にザクが連邦に鹵獲された場合、『機動戦士ガンダム MS IGLOO 1年戦争秘録』(SRW未参戦)や『[[機動戦士ガンダム0083]]』にみられる通り、[[ジオン兵]]は躍起になってそれらを破壊しようと試み、[[ティターンズ]]に至ってはそれを嘲笑うかの如く「[[偽物|偽ザク]]」とも呼べる[[ハイザック]]を作り出してジオン残党狩りを行う始末であった<ref>ただティターンズ兵の一部でもザクを模したハイザックのデザインは不評を買っており、ティターンズ壊滅後に至っては罪人扱いされたティターンズ残党が持ち込んだ機体がネオ・ジオンに接収され運用されたという皮肉な結果となった。</ref>。
  
その後も「ザク」はジオン残党組織の傾向として見られる「過去の栄光」としてしがみつく対象であったり、[[ネオ・ジオン]]の[[ザクIII]]や[[ギラ・ドーガ]]あるいは[[ギラ・ズール]]のコンセプトである「汎用的な高性能兵器」という意味合いであったりと、組織の懐具合や勢いに応じて様々な思いの込められている機体として語り継がれている。
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その後も「ザク」はジオン残党組織の傾向として見られる「過去の栄光」としてしがみつく対象であったり、[[ネオ・ジオン]]の[[ザクIII]]や[[ギラ・ドーガ]]あるいは[[ギラ・ズール]]のコンセプトである「汎用的な高性能兵器」という意味合いであったりと、組織の懐具合や勢いに応じて様々な思いの込められている機体として語り継がれている。第1次ネオ・ジオン抗争の時期には、わざわざザクIIに外見を似せたザクIIIが主力機として運用され、ジオン共和国の消滅した宇宙世紀0120年の時代(『[[機動戦士ガンダムF90]]』)においても、[[火星]]に潜伏する[[キシリア・ザビ]]派のジオン残党軍組織「オールズモビル(ジオンマーズ)」がRFザクを開発、新たな象徴として扱っている程である。
 
 
そしてジオン共和国の消滅した宇宙世紀0120年の時代(『[[機動戦士ガンダムF90]]』)においても、[[火星]]に潜伏する[[キシリア・ザビ]]派のジオン残党軍組織である「オールズモビル(ジオンマーズ)」ではザクが象徴的な機体として扱われており、第1次ネオ・ジオン抗争の時期には、わざわざザクIIに外見を似せたザクIIIを主力機として運用し、後にその発展型と言えるRFザクを開発し、新たな象徴として扱っている程である。
 
  
 
== 登場作品と操縦者 ==
 
== 登場作品と操縦者 ==

2022年6月23日 (木) 02:15時点における版

ザク
外国語表記 Zaku II[1]
登場作品

ガンダムシリーズ

初登場SRW スーパーロボット大戦
SRWでの分類 機体
テンプレートを表示
スペック
正式名称 ザクII
分類 汎用モビルスーツ
生産形態 量産機
型式番号 MS-06F
全高 17.5 m
本体重量 58.1 t
全備重量 73.3 t
動力 核融合炉
ジェネレーター出力 951 kW
スラスター推力

20,500 kg×2
1,000 kg×2

総推力
43,000 kg
装甲材質 超硬張力鋼(超硬スチール合金)
センサー有効半径 3,200 m
開発 ジオニック社
所属 ジオン公国軍
主なパイロット
テンプレートを表示

ザクは「ガンダムシリーズ」の登場メカ

概要

ジオニック社が開発したジオン公国軍量産型モビルスーツ。正式名称は「ザクII(ツー)」であり、主に「ザク」と呼ばれる機体は本機の事を指す。

ジオン公国は地球連邦軍との開戦に備え、MS-05B「ザクI(いわゆる旧ザク)」を開発したが、運動性や排熱効率、耐久性等に問題を残し、また局地戦を想定してオプション装備を施すことで様々な戦局に対応するためのベース機にするには拡張性に乏しいという欠点があった。また諜報機関より連邦側もMSの研究に着手している可能性があるという情報を得ており、連邦がMSあるいはそれに類する兵器を投入した際に起こりうる近接戦闘用の武器が乏しいという指摘もなされていた。そのためまず動力パイプを機体外へ露出させて廃熱効率を強化し、その事により運動性の向上・稼働時間の延長なども実現した。動力パイプを露出させたことで機体内部に余裕ができたため装甲も強化され、それに伴いモノアイカバーの前面にあった支柱を取り除くことができ、結果的に視野の拡大にもつながった。また近接戦用装備としてヒートホークの他、ショルダースパイクやシールドも装備され、接近戦にも対応できるようになった。

こうして開発されたのがザク(II)の初期型であるC型である。C型は1年戦争初期の1週間戦争~ルウム戦役において旧態依然とした大鑑巨砲主義に陥っていた連邦に対し圧倒的な戦果を挙げるものの、直後に締結された南極条約にて核兵器の使用が禁止された事により、新たに耐核用の装備を外したF型が開発されることとなった。この改良により機動性が大幅に向上するとともにある程度の地上戦闘も行えるようになり、更にさまざまなバリエーション機のベースとなった。その後戦場の中心が地球上に移ると共に、現場から更なる地上用に特化した機体が要求されるようになり、宙間戦闘用の装備を完全に取り外して地上専用にしたJ型が開発された。

ザクの装甲はガンダムの60mmバルカン砲で貫通させられる描写があるため「バルカンのような弱い武器でも余裕で貫通できてしまうほど貧弱」と勘違いされることが多いが、これは正確には「ガンダムのバルカンが弱い武器である」ということの方が間違い。ゲーム作品ではゲームバランスの都合上バルカンが弱武器扱いされることが多いことから広がった思い込みである。実際「ザクの装甲は連邦軍の装甲車両のバルカン砲程度なら弾き返せる」とする資料もあり、ガンダムのバルカンがそれより強かったというだけなのだ。

劇中での様相

機動戦士ガンダム 

第1話より、「代表的な敵モビルスーツ」としてホワイトベース隊に所属するガンダムRX-78-2を始めとするモビルスーツと戦いを繰り広げる。

一年戦争の継続中となる宇宙世紀0078年の9月18日。ジオン公国軍に所属するデニムジーンの二人が搭乗する2機のザクが、連邦軍の「V作戦」によって開発されたモビルスーツの存在するサイド7のコロニーに潜入し破壊活動を行うが、生き延びる為にガンダムに搭乗したテム・レイ博士の息子であるアムロ・レイによって、功を焦って攻撃を仕掛けたジーンのザクがガンダムのビームサーベルによって真っ二つにされる形で撃破。それに激怒したデニムのザクも、ガンダムのビームサーベルによってコックピットを貫かれる形で撃破される。これが「宇宙世紀史上初のモビルスーツ同士の戦い」となった。

その後も、劇中の序盤こそアムロ達がモビルスーツでの戦闘に不慣れであった事もあって苦戦させる展開もあったのだが、新型モビルスーツであるグフドムが配備された事もあってか、オデッサ作戦の時期になると次第に劣勢を見せる展開が多くなり、所謂「やられメカ」としての存在感が定着していく事になる。ガンダムの量産型となるジムが本格的に連邦軍で配備され、戦いが宇宙を中心となって以降は、その傾向が更に強まっていく事になり、主力機は宇宙用のドムであるリック・ドムゲルググに置き換えられるかと思われたのだが、外伝作等においては古参のモビルスーツパイロット達からはそれらの新型機よりも旧型のザクの方が扱いやすいという理由から、変わらず乗り続けられたとされており、逆に新型機の方は、名の通ったエースパイロットやモビルスーツでの戦闘経験が殆ど無い学徒動員兵達が中心に運用されたとされている。

その後

一年戦争中にザクIを含めて約8000機も量産されており、これを超える形で量産されたモビルスーツは現在の所確認されていない。それ故に、戦争終結後では連邦軍でモビルスーツの操縦訓練用として運用されている機体や作業用モビルスーツとしてコロニーの民間公社に払い下げとなった機体もある。一方、地球や宇宙に残留するジオン残党軍でも多数の機体が運用されており、また地球に野晒しで残された機体の何機かが、ジオンとは全く関係の無い反地球連邦を掲げるテロリスト海賊にまで渡っており、様々な混乱を招いている。

しかし、『機動戦士ガンダムΖΖ』の劇中となる第1次ネオ・ジオン抗争の時期になると、現存する機体の数はかなり減ったらしく、特に初期型に関してはスペースノイドのジャンク屋やモビルスーツコレクター達の間ではプレミア価格の付くモビルスーツとして扱われており(プロトタイプに当たるザクIはそれを更に上回る)、高値で取引されている模様。その一方、モビルスーツの絶対数が少ない為なのか、アクシズでは全天周囲モニターやリニアシートの搭載による近代化改修の行われた機体が、哨戒任務用としてだが「現役」として利用されてもいる。

リギルド・センチュリー(『Gのレコンギスタ』)の時代においても、「クラシックコレクション」として博物館にレプリカが保管されている。

バリエーション

『機動戦士ガンダム』の劇中においては宇宙・地上を問わず活躍を見せているが、前述のとおり(後付けではあるが)「C型」「F型」と「J型」の3種類がある設定になっている。

C型は南極条約締結以前の、核装備を前提とした耐放射線装備がなされた初期生産型、F型は核使用に必要な装備を外して軽量化を図った、最も生産されたタイプ、J型は主戦場が地上に移ったことによりF型より地上戦向きに調整が施されたタイプとなっている。一応、F型でもコロニー内の戦闘も考慮されているため重力下の運用は可能ではあるが、性能が環境によって左右されやすくなってしまっている。 この為、ザクは汎用性が高いものの万能MSとは言い難く、その点に関してはガンダムやジムに一歩劣る機体であり[2]、ザクが万能モビルスーツまでに至るのは、一年戦争後期においてマ・クベの提唱した「統合整備計画」に基づいて開発されたザクIIFZ型ザクIIF2型の開発まで待つ事になっている。

その他にもザクは様々な環境に適応するために多数のバリエーション機体が開発されており、特にF型は全てのバリエーションの基となっている。

ジオンにとってのザク

そもそもにしてモビルスーツとは、ジオン公国が正面からの近代的物量戦争では地球連邦軍に勝てない事を悟り、造り出した兵器である。その思想の根幹は「優良種たる我々ならば、技術で持ってこれを克服できる」であり、この「物量で負けている分は技量で補えば良い」的思想は後の時代のジオン系MSにも連綿と受け継がれていく事になるのである。

一方、ザクの汎用性の高さこそ優秀であったのは確かなのだが、ガンダムやジムには無い大きな欠点もあった。それは「モビルスーツとしての完成度」にあり、ガンダムやジムがモビルスーツとの戦闘をあらかじめ想定した上で完成したのに対し、ザクはあくまでも「戦闘機や戦車、戦艦との戦闘」や「核兵器の運用」を想定した機体に過ぎず、正式採用されて大量生産をされても、モビルスーツ同士の戦闘を想定していなかったザクは、モビルスーツとしてはあくまでも「旧式機」や「実験機」の範囲を超えておらず、本当の意味での「完成機」までには至らなかった機体だったのである。

しかし、一週間戦争やルウム戦役によって表向きは圧倒的有利な形で輝かしき勝利を掴んだ体験[3]を忘れられなかったジオン公国軍上層部は、南極条約の締結によって核兵器が使用出来なくなり、更にはドムを始めとする次世代機のロールアウトが完了して以降もザクの生産を停止させようとはせず、それどころか生産ラインや残された資源の限界さえも無視する形で高機動試験型ザク高機動型ザクといった「ザク系統のモビルスーツの新規開発」という不必要なまでにザク系モビルスーツへ過度なまでの固執をしてしまう事になっており、そのバリエーション機の総数は実に50も軽く超えてしまっている。だが、結局それらも戦局を大きく覆すにまでは至っておらず、ただでさえジオン側は連邦に比べて国力が大きく不足していた事も重なった結果、「ザクの後継機でガンダムに匹敵する高性能機」と銘打たれた新世代機であるゲルググの生産・実戦配備の大きな遅延だけでなく、その搭乗員に学徒兵を動員しなければならない程の兵力不足にも繋がり、最終的に「ジオン側の敗戦」で戦争は終結してしまった。まさにザクとは、良くも悪くも一年戦争時におけるジオン公国軍の現状を象徴する機体だったのである。

「ザク」という機体は、一年戦争後も後のジオン系組織にとっての象徴(連邦に「ガンダム神話」があるように、ジオンにも「ザク神話」があると言える。メタフィクションな意味では尚更のこと)となり、実際にザクが連邦に鹵獲された場合、『機動戦士ガンダム MS IGLOO 1年戦争秘録』(SRW未参戦)や『機動戦士ガンダム0083』にみられる通り、ジオン兵は躍起になってそれらを破壊しようと試み、ティターンズに至ってはそれを嘲笑うかの如く「偽ザク」とも呼べるハイザックを作り出してジオン残党狩りを行う始末であった[4]

その後も「ザク」はジオン残党組織の傾向として見られる「過去の栄光」としてしがみつく対象であったり、ネオ・ジオンザクIIIギラ・ドーガあるいはギラ・ズールのコンセプトである「汎用的な高性能兵器」という意味合いであったりと、組織の懐具合や勢いに応じて様々な思いの込められている機体として語り継がれている。第1次ネオ・ジオン抗争の時期には、わざわざザクIIに外見を似せたザクIIIが主力機として運用され、ジオン共和国の消滅した宇宙世紀0120年の時代(『機動戦士ガンダムF90』)においても、火星に潜伏するキシリア・ザビ派のジオン残党軍組織「オールズモビル(ジオンマーズ)」がRFザクを開発、新たな象徴として扱っている程である。

登場作品と操縦者

ザク改が登場することが多いので、一般兵仕様のザクIIの参戦機会はそこまで多くない。

旧シリーズ

第2次スーパーロボット大戦
DC所属の兵器として登場する。
第2次スーパーロボット大戦G
序盤ザコの役目をゾロに取られており、出番が減った。珍しくクラッカーを標準装備。
第3次スーパーロボット大戦
DCの戦力として登場する。隠し要素バーニィ説得することで入手もできるが、中盤での加入になるのに第1話からいるジムより弱いので戦力にはならない(原作通りではある)。
なおこの時の敵部隊はガブスレイやらギャプランやらの高性能機がわんさかいるのに、何故かバーニィのみザクに乗っているためやたらと浮いている。
スーパーロボット大戦EX
バーニィが乗る。『第4次』以降はザク改に出番を奪われるため、しばらく登場しなくなる。
後述のリメイク版では何故か『EX』のみザク改に差し替えられており、ラ・ギアスに召喚されていないことになった。
第4次スーパーロボット大戦S)、スーパーロボット大戦F完結編
上記の通り、登場していない……が、ザク改のマップ上のアイコン及び戦闘アニメはどう見てもザクIIである。
『第4次S』では本編未参戦にも拘わらずオープニングデモに3Dモデルが登場しているが、もしかしたらこちらもザク改(のつもり)なのかも知れない。
スーパーロボット大戦コンプリートボックス
本作ではオリジナル版と異なり「ザクII」名義。
DISK2のバーチャルスタジアム用のデフォルトチームの一つに、ガンダムシリーズの敵側パイロットたちが何故か全員ザクに乗っているという、その名もズバリ「ZAKU」というチームが存在する。パイロットの平均レベルは全チーム中最高なのだが、所詮はザクなので総合的な強さはいまいち。
なおシャアガルマ専用(どちらも名義は一般機と同じ「ザクII」)に乗っており、ラカンザクIIIに、マシュマーザクIII改に乗る。出撃選択画面ではうんざりするほど「ザクII」が並ぶ中にしれっと紛れ込んでいるので、改の方はともかくザクIII及び専用機は見落としやすい。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦APORTABLE
毎度のやられ役かと思いきや、今作独自のシールドシステム(HP方式)のおかげでかなり耐える。『A PORTABLE』へのリメイク時にスタッフから「肩にもう一機ザクが付いてる」と評される程。
システムが現行のものになったPORTABLEでは並みの耐久度になっており、やられ役に逆戻りしてしまった。

Scramble Commanderシリーズ

スーパーロボット大戦Scramble Commander
マシンガン携行タイプとバズーカ携行タイプの2種類が登場。

単独作品

スーパーロボット大戦
初登場作品。第1話などに登場。これといって特徴のない、ただのザコキャラ。HDリメイク版ではジーンを元にしたキャラ付けになっているが、ジオングで説得すると原作の上下関係からか露骨に下手に出る
スーパーロボット大戦64
スペシャルズやゲリラ兵が搭乗。ザクII表記だが、『F』『F完結編』のデータを流用しているのか、武装がザク改のようにハンドグレネードとシュツルムファウストを装備している。
スーパーロボット大戦GCXO
「ザクII」表記。一年戦争(含『08小隊』『0080』)メインのシナリオのおかげでザクII改との競演が実現。また捕獲システムの説明イベントでアムロに達磨にされる悲惨な出番も。非常食に変換できるのが何気においしい。
ソロモン戦前後からザクII改に取って代わられる。終盤も登場するが、捨て石同然の扱いを受けているマスドライバー基地の防衛戦力、ランバ・ラル隊残党が宇宙に上がる際余剰戦力の整理として使い潰すことを前提としてドムと共に出撃する、とかなり散々な扱い。
スーパーロボット大戦Operation Extend
ザク・マシンガン装備タイプ、ザク・バズーカ装備タイプが登場する。能力が貧弱なうえ、ザク・マシンガンは非常に攻撃力が低いので脅威とはならない。
ただ戦闘デモでは第1話の再現なのか、やたらと至近距離で撃ってくる(その時のパイロットはいないのだが…)。シャアも一緒になって撃つので妙に印象に残る。
ザクII改登場以降は徐々にフェードアウトしていくが、細々ながら出番は多い。中盤以降はスタック数の多さもあり、HP10000以上とザクらしからぬしぶとさを見せる

関連作品

ヒーロー戦記 プロジェクトオリュンポス
ザコ敵。ザク、ザクII、ザクカスタム、ザク改の4タイプが存在するが、いずれも容姿は原作のザクIIのものである。
リアルロボット戦線
序盤から敵として登場。名称表記は「ザクII 緑」。ハマーン・ロシュルートでは後半に1機のみ入手できるが、使い道は無い。
また「ザクの頭」なる隠しアイテムも存在し、入手すると資金が500増える。
リアルロボットレジメント
序盤から雑魚敵として多数登場。ティターンズに接収された機体も登場する。

装備・機能

以下の様に、固定装備は殆どなく、多種多様な装備を適宜用いることになる。この汎用性の高さこそが本機の最大の特徴であり、ガンダムシリーズ内部のみならず、外部のフォロワーにさえ影響を与えた。

武装・必殺武器

基本装備

シールド
右肩の固定装備である実体盾。耐久性は高くなく、流れ弾対策程度のもの。
後の時代にはゲルググMなどこの盾を手持ち式シールドに改造して流用している機体もおり、その際はシールド前面にスパイクを取り付けて打突武器としても使用される。
ヒート・ホーク
接近戦用の手斧(トマホーク)。刃の部分から高温を発し、敵機の装甲を焼き切る。非使用時は横腰部にマウント可能。対モビルスーツ戦を意識して、キシリア・ザビが提案した事がきっかけで装備される事となった。
MSの装備としては最も原始的な物だが、ビーム兵器の普及後もコストや燃費面での優位は揺るがなかったため、後世の機体にも採用された例がある。
原理は原始的ながらもその威力は高く、劇中ではルナ・チタニウム合金製のガンダムのシールドを、正面から一撃で真っ二つに両断してみせた。しかしスパロボではビームサーベルよりも弱い最弱武器に設定されていることもしばしば。
120mmマシンガン
通称「ザク・マシンガン」。『THE ORIGIN』では「ハイパー・ライフル」とも呼称される。上部にドラムマガジンを装備し、そこから給弾する。本機の主兵装。
実は「口径だけならガンタンクの主砲と同スケール」という、機関砲系武装としては破格の大口径砲である。TV版ではガンダムの装甲にかすり傷一つ負わす事ができなかった(同じ部位に何度も直撃を受ければさすがに危ないらしい)が、後発の作品では口径に見あった威力となっており、特に『THE ORIGIN』では、ガンダムと言えども直撃すれば只では済まない威力となっている。
また、この武器自体の汎用性も高く、グフドムなども装備している。
OE』では原作の発射音を再現している。
280mmバズーカ
通称「ザク・バズーカ」。元々は核弾頭発射用に開発されていた。南極条約締結後は通常の弾頭が使用されている。後腰部にマウント可能。

オプション装備

クラッカー
複数の突起が特徴的な球形手榴弾。この突起は本体が爆発した際に分離・射出されて着弾地点に更なる連鎖爆発を引き起こす子爆弾(クラスター方式)となっており、見た目よりもかなり広い効果範囲を持つほか、目眩まし武器にもなる。
腰部にマウントしており、マニピュレーターで標的に投擲する。主に陸戦で使用される。
3連装ミサイルポッド
両脚に装着して使用する。こちらも主に陸戦に使用されるが、宇宙でも使用可能。
また、装着方式がベルト型なので、構造が類似するグフなどに装備される事もあった。
マゼラトップ
マゼラトップの主砲を取り外し、モビルスーツ用の携行兵装に改良したもの。劇中ではタチが使用した。
シュツルム・ファウスト
旧時代に歩兵が使用していた「パンツァー・ファウスト」をMSサイズに拡大した無誘導ロケットランチャー。命中精度は低いが無反動で撃てて、かつ広範囲に爆風を起こす牽制用の武装。
初めてこの武装を映像作品で装備したのは後の時代ギラ・ドーガだが、「一年戦争時代からジオン軍のMSが使用していた」として、後付けながら設定された経緯を持つ。

合体攻撃

ランバ・ラル隊
ランバ・ラルグフアコースのザク、コズン・グラハムのザクでの合体攻撃。『XO』で実装。

特殊能力

剣装備、盾装備
切り払いシールド防御を発動。
『A』では肩のシールドを左手で持って防御を行う珍しいものとなっている。

移動タイプ

サイズ

M

機体BGM

「颯爽たるシャア」
第3次』にて。

対決・名場面

ガンダム
公式記録上での初のモビルスーツ同士の戦闘になった[5]
ザク対ザク
無人島で孤児達と暮らすジオン脱走兵ククルス・ドアンは追撃してきたザクに自らのザクで挑む。
ドアンはヒート・ホークすら装備していない中で果敢に立ち向かい、相手のザク・マシンガンで小破するものの最後は正拳突きで見事に勝利を収める。
なお、ドアンはSRW未登場だが、『リアルロボット戦線』に登場している。
このエピソードを基に、2022年6月に完全新規製作の劇場版アニメ『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』が製作され、ドアンの乗るザクもTV版放映当時の所謂「作画崩壊」をアレンジしたデザインでリファインされている。

主な関連機体

ザクをベースとして様々な機体が制作されている。詳細は「ザクシリーズ」を参照。

強化型・バリエーション機

指揮官用ザクII
通称S型。指揮官用のザク。
高機動型ザク
エースパイロット用に開発した機体。
宇宙用高機動試験型ザク
リック・ドムの試験機で、同機の脚部を取り付けた機体。
ザクIIF2型
大戦後期型。胸部装甲と推力を強化しつつ、軽量化を図った機体。一年戦争後のジオン残党はこの機体の使用率が高かった模様。
ザク改
最終生産型。統合整備計画で全体的に改修を行った機体。推力が初期型より70%も向上したが、反面プロペラントタンクの増設は行われなかったため、稼働時間が半減してしまっている。

その他ザク

ザクI
旧型のザク。宇宙世紀史上初のMS。
ハイザック
地球連邦軍ティターンズ)が開発したザク系列。ジェネレーター等は連邦系、駆動系はジオン系の技術が使われているハイブリット機。
ティターンズ所属機は威圧目的で敢えてジオンカラーと同一になっており、残党勢力からは憎悪を買っている。
ザクIII
連邦のザクであるハイザックに憤ったネオ・ジオンアクシズ)によって開発された後継機。
ボルジャーノン
レプリカだと考えられる。
ザクウォーリア/ザクファントム
宇宙世紀以外のガンダムシリーズで唯一「ザク」の名を冠したMS。

関連機

グフ
ザクをベースに開発された、対モビルスーツ戦を意識した陸戦用。登場当初は「新型ザク」とも呼称された。
アッガイ
ザクのジェネレーターを流用している。

余談

  • 直線的なデザインのガンダムに対し、ザクは曲面を多用したデザインが特徴である。
    • 双方のメカニックデザインを担当した大河原邦男氏は2015年のインタビューで「曲面が多いと、おもちゃは作りづらい。アニメーターも直線的な方が形を理解しやすい。実際アニメ本編はザクにいろんな解釈がされていた」「ただ当時は敵(のデザイン)に関してかなり自由度があって、その中でザクを作りました」と、敵メカならではの制約の無さを活かしてザクのアイデアが生まれた事を回想している[6]
    • 高橋良輔監督はNHK総合の番組『ニッポンアニメ100 ロボットアニメ大集合』(2017年4月7日放送)において「ザク等、モノアイになっている機体(のデザイン)を初めて見た時には、とても衝撃を受けた」と述懐している。
  • ザクは『コンパチヒーローシリーズ』においてショッカー戦闘員と並び序盤から最弱クラスのザコとして登場する。
    • 主役機であるガンダムが登場しない作品にも多数出演しており、毎回のようにヒーロー達に蹴散らされている。
  • GEAR戦士電童』に登場する「フルアーマー電童」が装備する「脚部3連ミサイル」はザクの武装のパロディである。

脚注

  1. MS、機動戦士ガンダム公式web、サンライズ、2022年1月8日閲覧。
  2. 地球方面軍総司令として北米戦線で戦っていたガルマ・ザビはザクの地上運用に関しても「所詮は陸戦兵器の一つ」と慎重な姿勢であり、ガウやドップの航空戦力やマゼラアタック等の射程と安定性を重視した兵器構成を行っている。
  3. あくまでも「表向き」であり、実際は一週間戦争のブリティッシュ作戦中にて、コロニー落としの作業に忙殺された事で戦闘機に撃墜された機体が後を絶たず、機体の容量不足解消の為に脱出装置も設計から削られた結果、「最も用意に時間とコストが掛かる熟練のパイロット達を一年戦争開戦の早期より大量に損失する」という悲惨な事態を招いている。
  4. ただティターンズ兵の一部でもザクを模したハイザックのデザインは不評を買っており、ティターンズ壊滅後に至っては罪人扱いされたティターンズ残党が持ち込んだ機体がネオ・ジオンに接収され運用されたという皮肉な結果となった。
  5. これ以前に連邦軍が鹵獲したザクで友軍を装ってジオン軍を騙し討ちしていた(『機動戦士ガンダム MS IGLOO(SRW未登場)』などで描かれている)が、その性質上公式記録に残っていない。
  6. 大河原邦男氏インタビュー いま振り返る「機動戦士ガンダム」の仕事

商品情報

※ここでは見た目に大差ないJ型とJC型、どのタイプか説明されていない「HGUC 量産型ザク」のような商品も扱う。

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