「スーパーロボット大戦MX」の版間の差分
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2012年7月4日 (水) 19:57時点における版
スーパーロボット大戦MX
- 発売日:2004年5月27日
- 機種:プレイステーション2
- 開発:トーセ
- 発売:バンプレスト
- 定価:7,980円
- 前:スーパーロボット大戦Scramble Commander(PS2)
- 次:スーパーロボット大戦GC(GC)
独自設定のスーパーロボット大戦シリーズのひとつで、携帯機作品のエッセンスを据え置き機へ多分に取り入れた作品。全体的にスパロボ初心者を意識した作りが目立ち、難易度は低めに設定されている。スパロボの売りとなった2D戦闘アニメーションも、より完成度を高めた。
このスパロボの略語である『MX』は様々な意味合いをもつ。これらはMXというタイトルありきの用語で、タイトル自体は商標の都合で没案になった「スーパーロボット大戦MAX」から真ん中の文字を抜いてMXと命名された。
主人公はヒューゴ・メディオ、パートナーはアクア・ケントルムで固定。機体はスーパー系のガルムレイド、リアル系のサーベラスを選択できる。オリジナルストーリーの軸になるのはツェントル・プロジェクト。
オリジナルキャラの設定・システム・一部参戦作品など、全体的な雰囲気はPS2の前々作『スーパーロボット大戦IMPACT』に近い。
新システムや、近作のシステムを積極的に取り入れており、システム面の充実度は高い。また、3Dマップの概念を活かした仕様変更も多い。一方で第2次スーパーロボット大戦αにあった小隊システムは採用されず、従来通りの単機出撃制となっている。
後に、プレイステーション・ポータブル(PSP)へ『スーパーロボット大戦MX PORTABLE』として移植された。
新システム
- お気に入り
- ゲーム開始時に好みの1作品を選ぶ事が出来、その作品のユニット全機が改造上限を2段階引き上げられ、全パイロットの獲得経験値と資金が1.5倍になる。パイロットと機体の登場作品が一致しなかったり、パイロットや機体の数が少なかったり、登場時期が遅い、もしくは離脱する時期があって安定して使えない作品では恩恵を受けづらい。スーパーロボット大戦J以後の採用作品では、この不公平さを一部緩和するよう変更が加えられており、『機体・パイロットの数と補正率が反比例する』という仕様になっている。
- 支援攻撃
- 隣接した他のユニットから、支援属性の武器による攻撃を受ける事が出来る。技能自体は第2次αで既に登場しているものの、MX用にシステムが新しく作り直され、全く別物の技能となった。
- ダブルアタック
- W属性の武器により、射程内の2機の敵機を同時に攻撃できる。該当するのは、弾数制の射撃武器が多い。後にスーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATIONSやスーパーロボット大戦 OG外伝でも採用された。
既存システムと主な変更点
- ユニット編成
- 先述の通り、単機出撃制に戻された。これにより、インターミッションで小隊編成を考える手間は省けている。
- 改造
- 武器は一括改造制。本作では、武器の命中率やクリティカル率も改造可能になっている。また、GBA版のAやIMPACT同様にシールド防御も改造可能。シールドはIMPACT同様の回数制。
- 同時援護攻撃
- IMPACTから引き続き採用。必須技能の統率は、技能レベルが廃止された。
- 戦艦援護
- IMPACT同様、未出撃のユニットに戦艦の援護をさせる。今回は戦艦援護攻撃のみ。援護側のユニットはステージ中では気力が上らないので、気力制限のある武装を使うには強化パーツを付けたりパイロットをエースにしてフォローする必要がある。また、援護で参加したパイロットにも(さらに実際に援護が行われなくても)敵を撃破したPPが入るので、通常よりも得なのも特徴。パイロットの設定上、ネェル・アーガマ(メイン1人+サブ2人)をゲッタードラゴン(メイン3人)で戦艦援護した場合が最も総入手量が多い。
- 合体攻撃
- シリーズで初めて、合体攻撃を援護攻撃として使えるようになった。条件さえ揃えば同時合体攻撃ができる(例を挙げるとシャッフル同盟拳とファイナルダイナミックスペシャルが同時に放てる)。今の所、この仕様はMXとOGS以後のOGシリーズでのみ採用。また、反撃時にも使用可能。
- パイロット養成
- OGシリーズや第2次αのPP制が受け継がれた。アタッカーやSP回復など強力な養成技能が多い上、能力値アップに必要なPPも少なく、難易度低下に一役買っている。
- 精神コマンド
- 消費SPは、パイロット毎の個別制を採用。
- 偵察
- 個別コマンド版が登場。無制限に使用でき、スキャンした敵の命中率を下げ、被クリティカル率を上昇させられる。ただし使用後は行動終了。精神コマンド版も同時登場し、こちらは従来通りの仕様。
- 武器属性
- 分身系能力を無効化する『拡散』や、命中時にシールド耐久力を強制的に削る『シールド貫通』が登場。
- マップ
- マップだけでなく、ユニットも完全3Dポリゴン化された。建物や敵戦艦などのマップの一部が、複数のフロアで構成されるようになった。階層移動は、マップ上の特定のポイントから行える。ただし、戦艦系ユニットは階層移動できない。
- 屋内マップの仕様変更
- 壁越しの攻撃が不可能になった。また、本作のエステバリス系、エヴァンゲリオン系機体は屋内マップで重力波ビームやアンビリカルケーブルの影響を受けなくなり、毎ターン自軍フェイズ開始時にENが全回復するようになった。
- コンテナ
- 機体が入ったコンテナは登場しなくなった。
- 部隊名
- 命名時に変更可能。デフォルト名はマグネイト・テン。
- 周回特典
- OGや第2次αと同じく、周回数が増えるほど資金やPPの引き継ぎ率が増える。PPは全パイロットの平均値を分配する方式の為、ある程度周回を重ねないと引き継ぎの恩恵を感じられなくなってしまったが、普段使わないパイロットに引き継がれる利点も生まれた。なお本作では、強化パーツを消費系は99個まで、その他は9個まで持ち越し可能(10個以上の所持は可能だが、次周回で切り捨てられる)。
- 熟練度、ショップ
- 本作では不採用。
難易度
前々作のIMPACTが難易度や読み込み時間の遅さなど、様々な調整の不備でプレイヤーにストレスを与える作品になってしまった反省から、難易度は大幅に下げられた。熟練度が存在しないので、プレイヤー自身のペースでプレイ可能。
全体的に味方機の攻撃力が向上し、パイロット養成での底上げ手段も豊富になり、爽快感を重視したゲームバランスになっている。マップの視認しやすさやゲームスピードもある程度改善されており、本当の意味でスパロボ入門用に最適な作品の一つとなった。
だが、それゆえに熟練者には物足りないという声もある。ボスのほとんどがイベントバトルで撃沈して経験値・資金・PP・強化パーツが手に入るなどしたため、ゲームとしての面白さはいまいちだったという人もいるようだ。特にゼオライマー系の八卦ロボが顕著。また、隠し要素も他の作品と比べて非常に少ない。
『電撃ホビーマガジン』の連載企画によると、以上の理由から本作の攻略本は他作品に比べて売り上げが低迷してしまったとのこと。
珍しく、リアル系機体の回避能力が軒並み低めに設定されている。代わりにスーパー系が堅牢である。反面、スーパー系とリアル系を比べると、リアル系のユニットが持つ合体攻撃が燃費・攻撃力共に優れており、スーパー系よりも高い火力を発揮する事も多いという点も珍しい。
リアル系を主戦力に使う場合、ドラグナー3型などが持つEWACを活かしたフォーメーションを組むと、修理要らずの部隊が完成する。ラスボスが装甲をフル改造したスーパー系に大ダメージを与えられる攻撃力を持つ事を考えると、身を守るのに精神コマンドを使う機会が少ない分だけ、リアル系の方が楽に立ち回れるかもしれない。
EWACを自在に使いこなすプレイヤーは『被弾しないからリアル系の方が強い』という結論に、EWACに頼らないプレイヤーは『堅いからスーパー系の方が強い』という結論に辿り着くだろう。そして、どちらのプレイヤーも納得できる共通の結論として、EWACを活かしたフォーメーションを意識せず、運動性の改造段階も自軍に劣るリアル系の敵ユニットが弱いと言える。
終盤の強敵対策
難易度が低いゲームとして知られているが、終盤戦では難易度の高い敵が用意されている。一つがボスユニットとして登場した螺旋城が複数登場、その次の次シナリオが複数のEVA量産機である。攻撃力・HPの高さからまともに戦うと味方は危険に追い込まれる。幸いこれらの敵は複数で固まって進行するため、エネミーフェイズで精神コマンド鉄壁をかけ、プレイヤーフェイズで天のゼオライマーのマップ兵器「メイオウ攻撃」が切り札となる。更に期待と補給の支援が完璧ならメイオウ攻撃連発でこれらの敵を掃討すること可能。
演出面
戦闘アニメーションはほとんど一新された。特に、戦闘時にHP・EN表示部分や台詞窓を非表示とし、更に敵味方の攻撃切り替え効果を円滑に行う事で、より臨場感溢れる戦闘シーンの演出がなされている。
パイロットのカットイン演出が全体的に強化され、アニメーションの比率が増した。ロボット側は従来の作品と比べて、画面奥や手前など3D的な奥行きを意識した戦闘アニメ演出が増加した。また、合体攻撃や格闘属性の攻撃の演出に力が入っている。例を挙げるとモビルスーツ系のユニットのビームサーベルによる攻撃は「頭部バルカンを連射して牽制しつつ接敵し、敵に本命であるビームサーベルの斬撃を叩きこむ」とか「ビームサーベルで斬りつけた後、おまけとばかりに頭部バルカンやグレネードなどを撃ち込む」などといった、手数を駆使した説得力のある演出が多く見られる。ただしその反面、一つの武器で複数の武器や技によるコンビネーション攻撃が行われる演出が多くなった分、ユニットが選択可能な武器数は少なくなっている傾向にある。
ハイパーデンドーデンチ射出、アンビリカルケーブル切断、個別コマンドによる偵察などマップ上の特定行動や、イベントで随所にアニメーションムービーが使用されている。同じ行動でも、機体ごとに個別のアニメが描かれているという凝りよう。
BGMのうち、マップ・イベント曲の多くはIMPACTからのアレンジになっており、音質は大幅に向上している。曲自体の質も近年のスパロボの中ではトップクラスで、再現度の非常に高い『機動戦士Ζガンダム』の「艦隊戦」や『機動武闘伝Gガンダム』の「最強の証~キング・オブ・ハート」、『ラーゼフォン』の透明感のある「ヘミソフィア」など枚挙に暇がない。PS2の音源でも担当者の力量次第で良質なBGMが作れるのだという証左となっている。
話題
- CMについては、発表時Ver.はロム・ストール役の井上和彦のナレーションによるオーソドックスなスタイルのもの。
- 発売後Ver.は「スヴァロボ・ドヴァイスキー(スパロボ大好きのもじり)」なる架空の体操選手が「MX」を象った体操演技を披露するという内容の実写CMであり、歴代でも異彩を放つものとなっている。実況は杉本清で、解説役として寺田プロデューサーも出演している。PSP版のCMでは「帰ってきたスヴァロボ・ドヴァイスキー!」として再登場した。
- 予約購入特典として、各参戦作品の原作アニメの名場面を収録したスペシャルDVD『Super Robot Wars MX Ultimate Giga Disc(アルティメットギガディスク)』が配布された。
- 本作で『第4次スーパーロボット大戦S』からスーパーファミコン版『魔装機神』を除いて音声付きのスパロボシリーズ(ゲーム版OGシリーズはMX当時はゲームボーイアドバンスで発売をしていた。)にレギュラー出演をしていた神谷明氏が次作の『スーパーロボット大戦GC』で出演をしなかった為、本作まで音声付きのスパロボシリーズにレギュラー出演をしていた。
- 『新世紀エヴァンゲリオン』、『機動戦艦ナデシコ』、『GEAR戦士電童(TV)』のテレビ東京系列の平成ロボットアニメの3系統が初めて初共演となり、特に新世代の人にとってはかなりの話題を呼んだ。
- 第3次スーパーロボット大戦αにおいて、渚カヲルの口からMXの世界のその後と思しき話が語られるのだが、その結末は結局、MXの世界が消滅したという衝撃的なものだった。ただし、MXに似た世界という可能性もある。
- 本作のPVのうち後期に発表されたものは、各機体の必殺技がふんだんに盛り込まれており、ネタバレPVとして有名。これは発売日が2カ月延期されたため、やむなく公開したとのこと。
- 若年層ユーザーに配慮したのか、一部のテキストで「き弁(詭弁)」「どう喝(恫喝)」など、さほど難解でもない語句が平仮名を交えて表記されている。
- 双葉社の攻略本では、無育成・無改造・味方を撃墜されずにクリア、というやりこみが完遂された。
スーパーロボット大戦MX PORTABLE
- 発売日:2005年12月29日
- 機種:プレイステーション・ポータブル
MXの移植作で、PSP初のスパロボでもある。シナリオが追加(一部変更)され、お気に入りを3作品まで選択可能になった。ロード時間が長く、反応が遅いなど、ファンからの評判は悪い。雑誌『ゲーム批評』でも評価は芳しくなかった。
登場作品
新規参戦は★の2作品。☆は据え置き初参戦作品。
- 機動戦士Ζガンダム
- 機動戦士ガンダムΖΖ
- 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
- 機動武闘伝Gガンダム
- ☆機甲戦記ドラグナー
- 機動戦艦ナデシコ
- ☆劇場版 機動戦艦ナデシコ-The prince of darkness-
- マジンガーZ
- グレートマジンガー
- UFOロボ グレンダイザー
- ゲッターロボG
- 勇者ライディーン
- マシンロボ クロノスの大逆襲
- 闘将ダイモス
- ★冥王計画ゼオライマー
- ☆GEAR戦士電童
- 新世紀エヴァンゲリオン
- ★ラーゼフォン
今作で初参戦となるのは『冥王計画ゼオライマー』、『ラーゼフォン』の2作品。また『機甲戦記ドラグナー』、『GEAR戦士電童』、『劇場版 機動戦艦ナデシコ』は初の声付きとなる。
上記の通りに『新世紀エヴァンゲリオン』、『機動戦艦ナデシコ』、『GEAR戦士電童』のテレビ東京系列の平成ロボットアニメが初共演で、新世代ファンは話題を呼んだ。
『劇場版マジンガーシリーズ』及び『新世紀エヴァンゲリオン 劇場版』については、かなり忠実に原作シナリオの再現が行われている。特にエヴァは『ラーゼフォン』と『勇者ライディーン』とのクロスオーバーを交えて、物語の根幹を成す扱いを受けている。
逆に『機動戦士Ζガンダム』をはじめとする宇宙世紀ガンダムシリーズのシナリオはほぼストーリーに関わらず、敵側にもモビルスーツは登場しない(モビルファイターは登場する)。全体的に原作のシナリオが終了したいるだけ参戦の作品が多い。
他、『ゲッターロボ』と『機動戦艦ナデシコ』については、一部機体が登場するに留まっている。
世界観
スーパーロボット大戦MXの世界観を参照。
バンプレストオリジナル
OGシリーズでは『スーパーロボット大戦OG外伝』にて無事初出演を果たした。
登場メカ(オリジナル)
主人公機
リアル系のサーベラスと、スーパー系のガルムレイドのどちらかを選択する。どちらを選択するかによってヒューゴの精神コマンドや、ヒューゴとアクアの初期ステータス、特殊技能が若干変化する。
前期機体はヒューゴがメインパイロットを務め、アクアはサブパイロットとして同乗する。サーベラスは射撃メインの機体だが、後継機でのヒューゴは格闘形態のメインパイロットを務める為、それを見越した養成が必要。ガルムレイドの場合、ヒューゴは格闘一筋の養成で問題無いのだが、代わりにアクアのデフォルトの特殊技能が機体にミスマッチなものになる。
後継機ではアクアがメインパイロットとして使用可能になる。ガルムレイド・ブレイズ、サーベラス・イグナイトのどちらも変形可能。ヒューゴはG、アクアはSでメインを務める。
機体名 | 初登場 | 備考 |
---|---|---|
ガルムレイド | 本作 | スーパー系初期機 |
サーベラス | 本作 | リアル系初期機 |
ガルムレイド・ブレイズ(G) ガルムレイド・ブレイズ(S) |
本作 | スーパー系後継機 |
サーベラス・イグナイト(G) サーベラス・イグナイト(S) |
本作 | リアル系後継機 |
その他
ユニットアイコンのみだが、回想シーンにおいて量産型ゲシュペンストMk-II(またはOG外伝で初登場した量産型ゲシュペンストMk-II改の可能性もある)と思しき機体が登場する。
敵勢力機
アルベロ及びエルデが運用するメディウス・ロクスとその関連機。量産機はツェントル・プロジェクトの先行試作機であるらしい。
機体名 | 初登場 |
---|---|
フロンス | 本作 |
テルグム | 本作 |
シニストラ | 本作 |
デクステラ | 本作 |
メディウス・ロクス | 本作 |
メディウス・ロクス (第1形態) | 本作 |
メディウス・ロクス (第2形態) | 本作 |
メディウス・ロクス (最終形態) | 本作 |
AI1 | 本作 |
登場人物(オリジナル)
主人公及び関連人物
上述の通り、主人公はヒューゴ、パートナーはアクアで固定。ミタールは便宜上こちらに分類するが、実はアルベロ、エルデをけしかけた黒幕である。
人物名 | 初登場 |
---|---|
ヒューゴ・メディオ | 本作 |
アクア・ケントルム | 本作 |
ミタール・ザパト | 本作 |
敵勢力
アルベロはヒューゴのかつての上官、エルデはアクアの学生時代の恩師。2人はそれぞれの目的の為、共同でメディウス・ロクスを強奪。ヒューゴ、アクアと対峙する事になる。AI1はメディウス・ロクスに搭載された人工知能で、戦いを通じて兵器の宿命を学習していく。
人物名 | 初登場 |
---|---|
アルベロ・エスト | 本作 |
エルデ・ミッテ | 本作 |
AI1 | 本作 |
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分類 | 記事 |
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