オーブ連合首長国

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オーブ連合首長国(United Emirates of Orb)とは、『機動戦士ガンダムSEED』および『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する国家。

概要[編集 | ソースを編集]

南太平洋ソロモン諸島に存在する複数の島々からなる国家。太陽を国家のシンボルとしている。

詳細な建国日は不明であるが、かつての西暦時代に行われた「再構築戦争/第三次世界大戦」が終戦したC.E.9年に世界中で行われた国家再編成の時期に建国された。

元々はハワイ文化を持った現地民がソロモン諸島に作った国々だったのだが、再構築戦争の折に多くの日本人入植者が移住した事から技術開発をベースとした中立国へと変貌する。アニメ一作目『SEED』の大戦期にはC.E.70年2月8日に代表首長ウズミ・ナラ・アスハが行った中立宣言により徹底した中立主義を表明し(ただし民間レベルではプラント・連合双方と交流は継続していたのだが)、オーブの理念に従う限りナチュラル・コーディネイター双方を受け入れる姿勢から、開戦後は特に戦火を逃れた多くの人々が移住している。

しかし、『機動戦士ガンダムSEED』では、地球連合軍の協力要請を拒否した故に侵攻に遭い(オーブ解放作戦)、激しく抵抗したが遂には抗い切れなくなり、最終的にウズミ・ナラ・アスハとオーブの閣僚たちが主要施設と共に自爆して、連合軍の占領下に置かれてしまうが、戦後に締結されたユニウス条約に明記された「戦前の国境線を差し戻す」との規定により、地球連合軍の占領から主権を回復している。

『SEED』と『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の間で「空白の二年」と呼ばれる時期となる外伝コミック『機動戦士ガンダムSEED ECLIPSE』では、国際貢献と国際協力の目的で、五大士族の一つであるキオウ家が中心になる形で「ODR(Orb Disaster Relief Team=オーブ国際救助隊)」が組織され、表向きは医療や教育、技術交流、国際親善等、多岐に渡る活動を行っている。また同作で明言されたことだが、オーブにて元民間人キラ・ヤマトらの協力によって完成したナチュラル用のモビルスーツOSが使用料を発生させたことにより、ナチュラルがモビルスーツを運用する限り金が舞い込むという状況が発生。先のオーブ解放作戦時に自爆して失われたマスドライバーをこの資金だけで再建したと言われており、技術力で支えられた経済大国として国を買い戻すというような形で急速な復興を遂げたといえる。

『DESTINY』ではウズミの娘であるカガリ・ユラ・アスハが代表首長に就任したが、プラントとの国交と交流を巡っては地球連合軍から圧力を掛けられている立場にあり、一度占領された事実もあり、以前ほど不可侵の立場にはないという微妙な立場となっている[1]地球連合プラントとの開戦後のアークエンジェルによるカガリ拉致によって、ザフト侵攻によるセイラン家崩壊までセイラン首長家主導により地球連合軍へ協力する形となる。

カガリの復帰後はギルバート・デュランダルによるデスティニー・プラン宣言を友好国であるスカンジナビア王国と共に拒否し、クライン派や地球連合軍の残存勢力と協力してデュランダル打倒に成功した。

政治体制[編集 | ソースを編集]

国家元首及び国政の最高責任者は代表首長。日本移民流入前から存在した現地人の有力者が「氏族」として君臨しており、彼らの支配する枢密院と一般国民が参画する議会の合議制となっている。そして氏族のうち、とりわけ地位の高いものがオーブ五大氏族と呼ばれ、代表首長はそこから一般選挙で選ばれる仕組み。『SEED』の時代ではアスハ家とサハク家、他3つがその地位にあった。

しかし、「武装中立」を唱える一方、政治体制は一枚岩では無く、『SEED』の時期には五大士族の一つであるサハク家が、中立の理念を無視して独断で連合と協力関係を結んでおり、ストライクガンダムなど5機のG兵器など数々の兵器を極秘裏に開発。更にはサハク家の保有戦力として5機のG兵器のデータを利用する形でアストレイシリーズの開発も並行で行っている。また、「オーブ解放作戦」で一度国家の崩壊を迎えた事により「理念だけでは国を守れない」と言う現実も認識する事になった為か、サハク家とは異なる五大士族であるキオウ家によって、修復・秘匿しているフリーダムガンダムザフト製)のフレームを解析した新型のガンダムタイプのモビルスーツであるエクリプスガンダムを開発する等、再度オーブが侵攻される可能性を想定した対策活動も秘密裏に行われる事になっている。

「五大氏族」は断絶や離脱が発生した場合には繰り上がりが発生する。『SEED DESTINY』の時代ではセイラン家・トキノ家・マシマ家・キオウ家・アスハ家の族長が着任しているが、本編中でアスハ家以外の族長は戦死し、カガリの復権後にメンバーが更新されている。またオーブ国軍の統帥権を代表首長が持つ。

軍事体制[編集 | ソースを編集]

オーブ軍を参照。

主な施設[編集 | ソースを編集]

モルゲンレーテ社
国有企業。G兵器をはじめとした様々なモビルスーツの開発や、連合の企業が開発に頓挫したI.W.S.P.(統合兵装ストライカーパック)等の重装備を稼働させるためのパワー・エクステンダー等を完成させた世界中でもトップクラスの技術を誇る企業
ヘリオポリス
オーブ所有の資源衛星に連結したスペースコロニー。密かにG兵器の開発を行っていたため、ザフトに狙われる。
アメノミハシラ
オーブが建造に着手していた軌道エレベーター施設。第1次連合・プラント大戦が始まったため、建造は中止に追い込まれており、先行して完成していたステーション部分は軍事工廠として利用されている。
本編では一切言及されず、外伝作品『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』シリーズでの出番が多い。ロンド・ミナ・サハクの居城となっている。
第1次連合・プラント大戦直後には地球連合軍の襲撃を受けた[2]事もあり、各勢力も重要な施設として認識している事が窺える。

登場作品[編集 | ソースを編集]

いずれの登場作品もオーブ侵攻が再現される際には、介入を受け、3つ巴や4つ巴の大乱戦を展開する事態になっている。

αシリーズ[編集 | ソースを編集]

第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ
初登場作品。『SEED』設定。原作と違う点としては、世界観宇宙世紀地球連邦であるため正式な独立国ではなく、あくまでも「地球連邦からの独立を求めている」という設定。あとは原作とほぼ同じ。

Zシリーズ[編集 | ソースを編集]

スーパーロボット大戦Z
基本的な立場は原作通り。
第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
ジェミニスに襲撃され、軍の大半が壊滅する被害を受ける。
また、その混乱に乗じてサイガスが送り込んだテロリストに偽装された連邦軍にも襲われるが、先行したシン・アスカキラ・ヤマトの奮戦と、Z-BLUEソレスタルビーイングアドヴェントの奮闘により守られた。
なお、ユウナの時とは違い、成長したカガリが指導者である為か、突然の敵襲に遭いながらも市民の避難には成功している。
第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
カガリの他、ナナリーリリーナマリナといった要人達を保護していたが、新地球皇国に下った連邦軍の部隊やダバラーンの攻撃により投降を強いられ、要人達は纏めてラース・バビロンに送られた。

携帯機シリーズ[編集 | ソースを編集]

スーパーロボット大戦J
『SEED』設定。
スーパーロボット大戦W
『ASTRAY』シリーズ初参戦により、SRWで初めてサハク家が登場。
スーパーロボット大戦K
『DESTINY』設定。ダンナーベースなどの世界各国のベースを支援している。なお、自軍がもうひとつの地球ダリウス界に行っている時は、頼りない連合軍に代わり地球防衛の中心となっていた。最終的に地球連合、プラントと共に地球防衛隊を共同編成する。
スーパーロボット大戦L
『DESTINY』設定。
スーパーロボット大戦UX
『DESTINY』本編終了後ゆえカガリは連邦議会の対応がメインで、主要人物達も本編開始直後に竜宮島に出向する為、オーブ本国は登場しない。竜宮島に本拠地を持つ対フェストゥム組織アルヴィス」を極秘裏に支援している[3]
また、アスラン・ザラが裏方として世界を駆け回っているためか、あるいはプラント議長ラクス・クラインの計らいなのかは不明だが、シン・アスカルナマリア・ホークの両名がザフトからオーブ国防軍に出向している。

Scramble Commanderシリーズ[編集 | ソースを編集]

スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd
『DESTINY』設定で初参戦。
ユウナの振る舞いが原作以上にいい加減な物になっているが、自己保身に走る彼の命令でクレタ沖海戦でのオーブ軍は早々に撤退し、ロゴス狩りが始まった際にはジブリ―ルが来る前に同盟を簡単に破棄する等、皮肉な事に彼の命惜しさの行動のお陰で被害が原作より遙かに軽減される結果となった。

VXT三部作[編集 | ソースを編集]

スーパーロボット大戦V
本作では地理的にアルゼナルと近い為か、秘密裏に支援を行っていた。西暦世界ルート第31話「永遠の自由」では戦闘マップとなる。

単独作品[編集 | ソースを編集]

スーパーロボット大戦X-Ω
本編では『SEED』設定のみ登場。『光速電神アルベガス』の青葉学園は日本ではなくここにあり、アルベガスの主要人物達の故郷となっている。イベントクエストでは、『W』以来となるサハク家のキャラクターが登場している。
スーパーロボット大戦DD
最初は『SEED』設定で登場し、3章part7にて『DESTINY』準拠となる。
異世界の存在である「ディバイン・ドゥアーズ」に与するアークエンジェル隊との関係から連携を疑われ、世間からの風当たりが微妙な状態にあり、3章part8にて原作通りセイラン家が実権を握り、地球連合と同盟を結ぶのだが、カガリを拉致されただけでなく、ディバイン・ドゥアーズとも敵対してしまう事態となる。ただ、カガリの意思が汲み取られ、ナデシコCの能力によって本当に戦わずして戦場から撤退させられる等、セイラン家が恥をかくだけで甚大な被害が出る事は避けられている。

関連人物[編集 | ソースを編集]

アスハ家[編集 | ソースを編集]

ウズミ・ナラ・アスハ
SEED』時代におけるオーブの最高指導者で、通称「オーブの獅子」。
一応、作中においては連合との新型機動兵器の共同開発の発覚を受けて既に代表の座を弟のホムラに譲っているのだが、実質的にはウズミがトップ。
カガリ・ユラ・アスハ
SEED DESTINY』時代のオーブにおける最高指導者。
だが、10代後半という若年で、感情的になりがちなカガリにそれが務まるはずもなく、作中では年寄り達に押し込まれ孤立気味になったところをユウナ・ロマ・セイランに付け込まれた結果、致命的な判断ミスを犯してしまい、そのツケで更なる苦難が襲いかかる羽目になる。
ホムラ
ウズミの弟で、『SEED』時代におけるオーブの代表であるが、実質的なトップはウズミ。『SEED』終了時でも存命はしているが『DESTINY』での動向は不明。

セイラン家[編集 | ソースを編集]

ウナト・エマ・セイラン
『SEED DESTINY』時代におけるオーブの宰相。親連合派。カガリが行方不明となった後、オーブの実権を掌握した。
ユウナ・ロマ・セイラン
ウナトの息子で、カガリの婚約者。しかしカガリをはじめ、アスハ家の信奉者からも快く思われていない。

サハク家[編集 | ソースを編集]

コトー・サハク
サハク家当主で、サハク姉弟の養父。
ロンド・ギナ・サハク
サハク姉弟の弟。
ロンド・ミナ・サハク
サハク姉弟の姉。

マシマ家[編集 | ソースを編集]

タツキ・マシマ
マシマ家当主。

オーブ軍[編集 | ソースを編集]

オーブ軍を参照。

国民[編集 | ソースを編集]

エリカ・シモンズ
オーブ国営の兵器製造会社「モルゲンレーテ」のモビルスーツ開発設計主任。オーブ軍の兵器開発に多く携わっている他、ジャンク屋のプロフェッサー等とも親交がある。
シン・アスカ
元国民。オーブ解放作戦における戦闘で両親と妹を失った。そのため、オーブに対して強い憎しみを抱いてしまう。
マユ・アスカ
シンの妹。オーブ解放作戦における戦闘に巻き込まれて、両親と共に死亡した。
トーヤ・マシマ
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』に登場する少年。『SEED DESTINY』に登場したタツキ・マシマとの関係性は不明。

関連用語[編集 | ソースを編集]

ヤラファス島
オーブの本島で、首都のオロファトが存在している。「オーブの政治の中心」と言える島。
オノゴロ島
オーブの国防本部および国営の兵器製造会社モルゲンレーテ」の本社が存在する、軍事色が強い島。
アカツキ島
SEED DESTINY』でキラ達が暮らしていた島。
カグヤ島
C.E.世界において)地球全体でも数少ないマスドライバー施設が存在する。
サデヨリ島
外伝『機動戦士ガンダムSEED ECLIPSE』の主人公であるタツミ・ホーリの出身地。
ODR
『ECLIPSE』にて結成された国際災害救助隊。

余談[編集 | ソースを編集]

  • 機動戦士ガンダムSEED』と『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の監督である福田己津央氏は、オーブという国家について「(福田監督)自身が考えた『日本の理想の姿』といったイメージを投影して創り上げた」と語っている。
  • 現実に存在する「アラブ首長国連邦」と混同するのか、「オーブ首長国連邦」等と書く人がたまにいるが、間違いである(ただし、設定面ではモデルとなった国家の一つであるために強ち間違いでもないかもしれない)。
  • 公用語は日本語で、『DESTINY』劇中ではカガリの手紙が日本語で書かれていた。なおこの手紙の文字はカガリ役の進藤尚美氏の直筆である。

脚注[編集 | ソースを編集]

  1. 大西洋連邦大統領ジョゼフ・コープランドロード・ジブリールの「怖いのはオーブですか?」の問いに言葉を濁しながらも肯定しており、オーブを軽視していないが、ジブリールは「あんなちっぽけな国」と侮っている。そのやり取りからも地球連合内部でのオーブは意見が割れている事を窺わせる。
  2. プラントの独立や月面プトレマイオス基地を失った地球連合軍にとって宇宙での生産設備確保は急務だったため。
  3. カガリ曰く「永世中立とは、人類の敵に対してもそうであるわけではない」との事。

資料リンク[編集 | ソースを編集]