ジェネシス
ジェネシス(GENESIS)とは、『機動戦士ガンダムSEED』に登場する兵器。
概要[編集 | ソースを編集]
ザフトが開発した大量破壊兵器。
「核エネルギーを使用したガンマ線レーザー砲」の英語読み(Gamma Emission by Nuclear Explosion Stimulate Inducing System)の略称「ジェネシス」。 なお、ジェネシスとは『旧約聖書』の「創世記」の事を指す。これに由来して、プラント議長パトリック・ザラはジェネシスの一撃を「コーディネイターの創世の光」と称した。
本来は他惑星間用の超大型レーザー加速器を、一種の要塞砲に改良したもの。原子爆弾の爆裂時に発生するガンマ線を別個に用意した使い捨ての反射ミラーを用いて集束させる事により、高威力のガンマ線レーザーとして使用している。ガンマ線とは極超短波の電磁波の事であり、物質に対する透過率が高い特徴を持つこの点はレントゲンの時に使用されるX線に近いかもしれない。 ジェネシスによって発射されるガンマ線は光子一個当たりのエネルギー量が膨大となり、射線上の物質を膨大な電磁波とエネルギーで破壊し突き進んでいく。電磁波によってもたらされる分子の運動は構成物の水分を沸騰させるため、たとえ直撃を受けなかったとしても照射された生物に命はない。すなわち、「地球に向けて照射すれば、地球上に存在する全ての生命体や自然を破壊し尽くす事が可能である」と言われている。
ジェネシスは透過迷彩「ミラージュコロイド」を有しており、完全に姿を隠す事が可能である。『SEED』劇中では地球連合軍がプラント本国に迫った際に、この偽装を解除する事で意表を突く等の運用がなされた。しかも、本体の装甲は強力なフェイズシフト装甲で覆われており、陽電子砲ですら破壊する事ができないという鉄壁の防御力を誇っている。
第1射目は最大出力の60%で照射し、プラント本国宙域に展開していた地球連合軍の第6、第7月艦隊の4割を消滅させた。第2射目では地球連合軍の増援艦隊の半数と月面のプトレマイオス基地を破壊。そして第3射目は地球連合主要国の大西洋連邦首都のワシントンに狙いを定めたものの、ザフト軍指揮官レイ・ユウキが再発射に反対してパトリック・ザラに銃撃され、重傷を負いながらも最後の力を振り絞ってパトリックを射殺したことで即座の発射はされなかった。それでもヤキン・ドゥーエの自爆システムとジェネシスの発射が連動されていたため、このままでは第3射が放たれてしまうことを知ったアスラン・ザラが内部でジャスティスガンダムを自爆させた事により、破壊された。
ジェネシスは第1次連合・プラント大戦終結後の「ユニウス条約」で使用禁止とされたが、ザフトはこの兵器のテクノロジーを破棄しなかったため、第2次連合・プラント大戦時に(宇宙要塞「メサイア」に配備された)ジェネシスの発展型となる大量破壊兵器「ネオ・ジェネシス」が製造されている(『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』)。ネオ・ジェネシスは小型化の上でメサイア本体に埋め込む形で運用されているが、パワーチャージに関するオペレーターの発言もあるため、核爆弾を使用せずに運用されている可能性があるが仔細は不明。メサイア攻防戦の終盤でストライクフリーダムの攻撃によりネオ・ジェネシス本体が被弾、爆発している姿が確認できる。
その他、ジャンク屋組合がザフトからジェネシスのプロトタイプである「ジェネシスα」を接収していた(『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』)が、この兵器を巡ってザフトおよび地球連合軍から襲撃を受けたことで、解体(全パーツパージ)される。後に、PS装甲が使用されている部分は自動車に流用されて売り出される事になった。
ジェネシス本来の用途 [編集 | ソースを編集]
もとはエヴィデンス01を探査するためのソーラーセイル加速器として開発された。ソーラーセイルは太陽光を受けて作用反作用を得るモデルが有名だが、外部からの人工光を反射することで進むタイプも存在する。これはレーザー推進の一種で、ジェネシスを推進に用いる場合はエネルギーと透過率が高いγ線よりもX線の光が活用される。ただし本編・外伝ともにソーラーセイルを活用した例は見られず、推進用途としては船体側の推進器を外部加熱する目的のライトクラフトが描写されている。
登場作品[編集 | ソースを編集]
αシリーズ[編集 | ソースを編集]
- 第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ
- 原作初参戦と共に登場。第1射でブルーコスモス所属の地球連邦軍艦隊が消滅し、同時に三輪防人が死亡した。第2射目ではジェネシス内部による破壊となるが、ここに登場するラウ・ル・クルーゼのプロヴィデンスガンダムの撃破が熟練度の条件となる。
- なお、パトリック・ザラは「ジェネシスで宇宙怪獣を殲滅出来る」と思っていたらしいが、どう考えても宇宙怪獣を過小評価しすぎである。実際、αナンバーズの方がジェネシスよりも遥かに強力な兵器(ガンバスター、イデオン等)を多数所持していたが、それらを以ってしても宇宙怪獣の殲滅は困難を極めた。実際に使用されたとしても、一発目の発射後、次の発射に備えて一次反射ミラーを換装している隙に集中攻撃されて破壊されるのがオチであっただろう…[1]。
Zシリーズ[編集 | ソースを編集]
- スーパーロボット大戦Z
- 本作では「ネオ・ジェネシス」が登場する。ifルートを通った場合、最後の発射先はフロスト兄弟に向けられることとなる。
携帯機シリーズ[編集 | ソースを編集]
- スーパーロボット大戦J
- 本作では破壊条件無し。イベントで推移する。第3射目でオルファンをも破壊しようとした。
- 当初はミスリルとシャッフル同盟による白兵戦での制圧を目論む。最後はゼオライマー(グレートゼオライマー)にCCを散布して次元連結システムの力で転送先を安定させた疑似生体ボソンジャンプを行い、ジェネシス内部のアスランとカガリを救出、帰りには主人公機のサイトロン反応を目印に帰還、という手段を取った。
- スーパーロボット大戦W
- アズラエルがレナードの助力を得た事で地球連合軍が「フェルミオンミサイル」を手に入れ、ザフトがジェネシスで対抗する…という大量破壊兵器同士の睨み合いからスタート。
- パトリックの死後は、ルリの要請を受けたアスランの手により、ラダム母艦を破壊するために使用されている。これは、原作において憎悪する敵種族を殲滅する為に製造された大量破壊兵器ジェネシスが、地球人類全体を救う為に使われた「人の英知が生み出したものなら、人を救ってみせろ」を体現した場面と言える。
- なお、このジェネシスにキラ、クルーゼ、Dボゥイ、テッカマンオメガが巻き込まれたが、キラはカナードに、クルーゼはザ・データベースに、Dボゥイは(条件を満たしていると)ミユキにそれぞれ助けられており、アスランが発射したジェネシスによる死者はテッカマンオメガだけであった。
- また、これ以外にもリジェネレイトガンダムがライトクロフト・プロパルジョンでかなり景気よくぶっ放させている…が、これは流石に原作通り「ジェネシスα」の方なのかもしれない。
単独作品[編集 | ソースを編集]
- スーパーロボット大戦Card Chronicle
- 第1射で月面の連合軍基地を壊滅させ、第2射で地球を狙い撃つもゼオライマーが次元連結システムを行使した事で完全に防がれ、第3射を放つ前に自軍部隊によって動力部を破壊された。
- スーパーロボット大戦X-Ω
- 第3章において原作同様にヤキン・ドゥーエにて投入されるも、戦場に現れたZマスターに機械昇華されてしまう。
- 特別クエスト「大決戦!地球を守る戦士たち」では、宇宙怪獣の群れへ向けて照射され、宙域を一掃している。『第3次α』でパトリック・ザラにより語られていた宇宙怪獣への対抗策としての使用法が本当に実現した例となるが、同イベントにて当のパトリックはジェネシスを使用した謀略が息子によって明かされてしまい失脚していた。別作品で言及された机上の空論が、当人の失脚により実現したのは何たる皮肉であろうか。
- スーパーロボット大戦DD
- 2章Part1において、原作同様の立ち位置で登場。今作ではパトリック・ザラのバイタルサインの停止と連動してヤキン・ドゥーエの自爆とジェネシスの発射を行うプログラムが構成されていたが、キラとクルーゼの死闘の裏で阻止されている。
名場面[編集 | ソースを編集]
- 終末の光
- 第47話「悪夢は再び」より。地球連合軍の核ミサイル攻撃に対抗すべく、プラント最終兵器「ジェネシス」が姿を現す。
- パトリック・ザラの「この一撃が、我らコーディネイターの創世の光とならんことを!」という台詞と共に、戦場に圧倒的威力のガンマ線レーザーが迸る。
- 第48話「怒りの日」アバンにて、ジェネシスのガンマ線レーザーをまともに食らった地球連合軍が次々に破壊され爆発する様子が描写されたが、第49話「終末の光」の第二射では連合軍増援艦隊の艦内や月面プトレマイオス基地の地球軍兵士達が、第35話「舞い降りる剣」においてサイクロプスの被害にあったザフト兵達のように惨たらしく破裂・蒸発していく様子が描かれた。大量破壊兵器の恐ろしさを如実に表すシーンである。
スパロボシリーズの名場面[編集 | ソースを編集]
- 人の英知が生み出したものなら
- 『W』第51話月ルート「燃え尽きる生命」およびプラントルート「進んだ道の先」より。死闘の末、テッカマンオメガを降したノイ・ヴェルターだったが、オメガは最後の力を振り絞り月面のラダム母艦を浮上させ、地球へ向かわせようと足掻く。ノイ・ヴェルターの機動部隊は全火力をもってラダム母艦の撃沈を試みるが、圧倒的なサイズ差の前に完全に破壊する事はできなかった。
- このままではラダム母艦が地球へ降下してしまう…。その時、ナデシコCに通信が入る。それはプラントに向かった別働隊からの「ジェネシスの制圧に成功した」という一報だった。しかし、そのジェネシスは既に発射待機中でキャンセルも不可能、最早発射を待つばかりの状態であった。これを受けたルリはジェネシスでのラダム母艦の狙撃を決断する。
- トリガーはアスランに預けられ、仲間たちの協力の下射線の変更に踏み切る。クルーゼ最後の妨害に遭い、それを抑えようとしたキラをも巻き添えにしながら、辛くもジェネシスは月のラダム母艦へと発射された。
- かくして、人の手によって生み出され、「ナチュラルの殲滅」という歪んだ目的で運用されていたジェネシスは、テッカマンオメガごとラダム母艦を破壊する事で、「人を救ってみせた」のだった。
- 同場面は月ルートとプラントルートのどちらを選んでも発生し、ルートごとに異なる視点で同一の出来事が描かれる。双方のルートがクライマックスの時点で絡み合って描かれる、ルートを超えた大胆なクロスオーバーの妙である。
関連用語[編集 | ソースを編集]
- ジェネシスα
- ジェネシスのプロトタイプ。ミラージュコロイドで隠蔽されており、アッシュ・グレイが基地及びリジェネレイトの加速器として使用していた。外側だけでなく内部もPS装甲化されている他、ブロック構造になっているため非常時に分解することが出来る。
- アッシュがロウによって叩き飛ばされた後はジャンク屋同盟の本部として使われていたが、ブレイク・ザ・ワールドの際に落下するユニウスセブンを破壊する目的で使用したことで(妨害にあい失敗)連合並びにザフトに狙われたため、ジャンク屋同盟は両陣営が利用できないよう自主的に構造を分解させた上で放棄した。なお一部のパーツはジャンクを加えて修復され、ジャンクαとして新しい拠点になった。
- メサイア
- プラントの宇宙要塞。先の大戦で使用された大量破壊兵器ジェネシスの発展型「ネオ・ジェネシス」および陽電子リフレクターを搭載する。
- ソーラ・レイ
- ジェネシスの元ネタ。追い詰められたジオン公国軍が使用して、「地球連邦軍艦隊の過半数を殲滅する」という戦果を挙げた。使用する直前まで存在が知られなかった点も同じ。
余談[編集 | ソースを編集]
- パトリック・ザラはナチュラルへの憎悪の余りに、大量破壊兵器「ジェネシス」を地球に照射しようとした。だが、その地球上にはナチュラルだけでなく、コーディネイターを受け入れている国家(オーブ連合首長国等)に居住するコーディネイターも存在している。さらに、ジェネシスの攻撃目標である地球には、親プラントを表明・支援をしているオセアニアの友好国「大洋州連合」や同国内のカーペンタリア基地において地球連合軍のエアーズロック降下戦により抗戦中のザフトの残存部隊が駐留していた。
- これらの事をパトリック本人が認識していたか否かはさておき、彼の「勝つ為に戦っているのだ。皆、覚悟は有ろうッ!」という同胞たる(プラントの)コーディネイターの犠牲をも気に留めない発言を鑑みると「ナチュラルの殲滅>同胞および友好国の生命」と考えていたものと思われる。これでは、部下であるレイ・ユウキから諫言(および返り討ちに)されたのも当然であろう。
- あまり想像したくない事であるが、もし、地球へのジェネシスの照射が行われたならば、「ナチュラルだけでなく、地球にいる同胞をも巻き添えにして、地球上の全生命は全滅」という大惨事が起きていたであろう。更に言えば、この時点で既にプラントの食糧事情等も地球に依存していたので、確実にプラントもその影響を受けて、下手をすればプラントに居住するコーディネイターは飢餓による全滅も免れなかった可能性も有る[2]。これらの事実を考えると、大量破壊兵器「ジェネシス」を破壊して地球を救ったアスランの功績は、けっして小さいものではないと言える。
- 超新星爆発のガンマ線バーストが古生代の大絶滅に関わっている説も有力視されているので、エネルギー量と照射面積さえ大きければガンマ線による生態系破壊は起こり得ると考えられている。ただ、ジェネシスの原理としては「原子爆弾のエネルギーを収束しているだけ」なので、有効射程の伸長やエネルギーの集中の効果は有るが、エネルギー総量は核爆弾数発レベルに過ぎない。しかも、地球の大気は赤外線や可視光線を通すが、より周波数の高い光子を遮断する性質が有るので、着弾地点への大被害は有り得るが巨大火山の大噴火を誘発させでもしない限り、地球の生態系を完全破壊する程の被害が生じるとは考え難い。そもそも地球自体が175PWもの光子エネルギーを太陽から照射されている(広島型原爆の炸裂力=TNT換算15kt=63TJ=0.063PJ)。
- また、PS2用ソフト『機動戦士ガンダムSEED DESTINY GENERATION of C.E.』のエンディングの中には「ギルバート・デュランダルの判断で、ジェネシスの発展型となる大量破壊兵器「ネオ・ジェネシス」が地球に向けて掃射される(エンディングNO.3)」というものが有る[3]。同作ではメサイアは登場せず、ネオ・ジェネシスもおそらく本編に登場したものとは異なると推測される。
- このエンディングでは「ネオ・ジェネシスが掃射された結果、地球は壊滅して太陽の光が当たらない世界となり、以後は何百年という混迷の時代が続く」という大破局を以って『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の物語が締めくくられる。クルーゼが望んだ「人類および世界の破滅」が叶った瞬間であると言えようか…。
- また別のエンディングでは、月に放たれその威力を証明したネオ・ジェネシスがいつでも地球に撃てる状態、即ちプラント側が一方的に恫喝できる状態で戦争が終結するという状態で物語が終結する。これもこれで、地球に発射されないだけまだ先述のエンディングよりマシとしか言えない程度の状況ではあるが…。
脚注[編集 | ソースを編集]
- ↑ 宇宙怪獣の脅威を描いたイベントとして、後に『T』にてグリプス2が光子力技術によって改造された上で宇宙怪獣戦に投入されている。しかし圧倒的な物量の前に1発でも2%しか撃破できず、5発目を発射した直後、連射の限界に達し自壊してしまっている。
- ↑ 小説版での描写によると、幾つかのプラント所属のコロニーを農業用に改装済であり、プラント単独での食糧の自給自足は何とか可能な状態だった模様。その為、クルーゼは地球連合軍のピースメーカー隊の核攻撃失敗とアズラエルの死を見て、プロヴィデンスでプラント所属の農業用コロニーの数基のミラーを破壊する事でコーディネイターを飢餓で全滅に追い込む算段を考えている。
- ↑ このルートでは元を辿ればロゴス側が地球を盾に核ミサイルを放ったのが原因であり、デュランダルも核からプラントを守るために撃つ判断をせざるを得なかった。別パターンでは逆に核攻撃がプラントに直撃し、大破局を迎えるエンディングも存在する。
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