ジャブロー
ジャブロー(Jaburo)とは、『機動戦士ガンダム』に登場する施設。
概要
『機動戦士ガンダム』に登場する地球連邦軍の本部。南米アマゾン河に存在する天然の地下空洞を利用して設けられている。
ジャブローは核攻撃にも耐えうる岩盤で覆われており、その地上部分はジャングルや熱帯雨林に覆われているので、出入り口や迎撃設備の全容を掴むのは難しい。更に地上部は大量の対空兵器で防備されており、正に難攻不落の鉄壁の防衛網が敷かれている。
42万平方kmに及ぶ総敷地面積には宇宙戦艦のドック、モビルスーツの生産工場、参謀本部、簡易マスドライバーによる多数の航空機発射口、宇宙港設備などが存在し、45万人が居住する軍事都市である。
地球連邦軍内の一部の高官(特に、守旧派・官僚主義者)は前線で指揮をせず安全な当基地に籠っている為に、敵軍であるジオン公国軍からはもちろんのこと、地球連邦軍の最高司令官であるレビル将軍からも「(ジャブローの)モグラ共」と揶揄されている。また、イーサン・ライヤー(SRW未登場)等の出世を望む者は、ジャブロー勤務が憧れになっている。
経緯
地球連邦軍の本拠地であるジャブローは、一年戦争時におけるジオン公国軍が挙行した「ブリティッシュ作戦」(コロニー落とし)の目標だったが、失敗に終わっている。続くジオン側の第二次降下作戦でジャブロー防衛の最大要衝であったキャリフォルニアベースが占領されると、首根っこを抑えられる形となり、ここから出撃するガウ部隊による高高度絨毯爆撃に晒され続けた。しかし、それでもその堅牢さによって確たる損害を負うこともなく、ジオン側を悩ませている。
その後、ホワイトベース隊を追跡してきたシャア・アズナブル率いるジオン公国軍の特殊部隊「マッドアングラー隊」によってジャブローの出入り口を把握され、ジャブロー内部に攻め込まれてしまう。その際にはガウが大挙して押し寄せ、ザクやグフが大地に降り立ち、ズゴックやアッガイといった水陸両用モビルスーツが内部に潜入した。しかし、ジャブローの対空防衛網で半数近いモビルスーツが撃ち落とされてしまい、内部侵入を果たした機体もホワイトベース隊等の奮戦等によって、撃退された。ジオン公国軍はジャブロー攻略の糸口を掴めないまま攻め倦んでしまい、対した戦果を挙げることなく戦力が低下したため撤退。ジャブロー侵入作戦は失敗に終わった。 オデッサ敗北後の劣勢となったミリタリーバランスを崩す目的だったが、結果的にジオン側の戦力が一方的に消耗する戦闘となったため、ジオン地球侵攻軍は更に追いつめられることになる。
グリプス戦役時には、ティターンズの本部になっていたが、既に空き家状態で引き払っていた。エゥーゴに痛手を負わせるため、自爆用の核を発動させ、ジャブローは基地施設の心臓部が破壊され、壊滅的ダメージを受けた。その後、宇宙世紀0092年に地球連邦軍はチベットのラサに本部を移動することになった。ただし、壊滅的ダメージを受けたのは司令部のみに留まっており、その他の施設は無傷のままである。なお、両軍のジャブロー攻防戦の場面にはMSV出典の機体が多く確認でき、ちょっとしたファンサービスとなっているが、それはつまり地球連邦軍・ティターンズの司令部とされていたにも関わらず二線級の兵器しか配置されていない事になるため、暗に「捨石」である事を示している。
ザンスカール戦争期においても施設の整備はろくに為されず、大量の廃棄兵器が放置された有様となっている(『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』)。ザンスカール帝国が挙行した「地球クリーン作戦」と同時期に、木星軍とザンスカール帝国による宇宙細菌「エンジェルコール」争奪戦が行われ、最終的にはザンスカールの水爆攻撃でまたも核に晒される事となった。
宇宙世紀の遥か後の時代「リギルド・センチュリー」を描いた『ガンダム Gのレコンギスタ』では地下遺跡となっており、G-セルフとカバカーリーの決戦の舞台の一つとなった。中には朽ち果てたズゴック2機の姿が確認されている。
登場作品
SRWではプレイヤー部隊不在の最中に敵部隊の攻撃を受け、占拠され敵勢力の拠点として運用されるのがお約束の基地である。奪還するシナリオがある場合、大抵一面が森で中央に川が流れるという陸戦ユニットにとっては移動するのに一苦労なマップとなっている。
旧シリーズ
『第2次』『第3次』『F』『F完結編』と、合計4回侵攻することになる。
- 第2次スーパーロボット大戦
- DCの本拠地で、最終決戦の舞台となる。
- 第3次スーパーロボット大戦
- インスペクターに占拠される。ロンド・ベル隊の降下地点で、シナリオ名は「ジャブローの嵐」。また、胡蝶鬼の説得イベントも用意されている。ここからヤクト・ドーガが量産されて自軍を苦しめる。
- 第4次スーパーロボット大戦(S)
- 台詞の中にのみ登場。ノイエDCがコロニー落としを企むが阻止される。ティターンズの本拠地だったようだが、原作同様実は移転されていたのかどうかは不明。
- スーパーロボット大戦F
- ゲストに占拠される。前後編のシナリオで、前半ではポセイダル軍の増援、後半はライグ=ゲイオスを相手にするので難易度は高い。
- スーパーロボット大戦F完結編
- 『F』でゲストのものになっていたのをロンド・ベルが取り返したが、後々ティターンズの軍事基地となり、再度攻め込むことになる。
- シナリオ「タイムリミット」前半ではジ・OとサイコガンダムMk-IIの両機と戦い、後半では『機動戦士Ζガンダム』を再現した核爆弾を解除するのが目的となる。
αシリーズ
- スーパーロボット大戦α
- 名称のみ登場。地球連邦軍の重要拠点であるが、αシリーズでは舞台になる事がなかった。今までにおいて唯一、占領されたり襲撃されなかった作品。
COMPACTシリーズ
- スーパーロボット大戦COMPACT
- 復活したムゲ帝王によって占拠される。
- スーパーロボット大戦IMPACT
- 地球連邦軍の本部だが、アインストに占拠される。第1部中盤で調査に向かうが、部隊の半数がアルフィミィによってバイストン・ウェルに飛ばされてしまい撤退を余儀なくされる。再突入は第1部終盤。
- スーパーロボット大戦COMPACT3
- 第1話「舞い堕ちる火種」で修羅の攻撃を受け、壊滅する。
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦A
- マリーメイア軍とシャドウミラーにより占拠。次のマップで滞在中のロンド・ベル隊をギニアス他ジオン残党とグレミー他ネオジオン一味、ダンゲル将軍が襲撃する。主人公の復帰やノリス、プル、プルツーの加入などイベントが多い。
単独作品
- スーパーロボット大戦64
- ムゲ・ゾルバドス帝国軍の基地。地球解放戦線機構が攻撃を仕掛ける。ミケーネ帝国、百鬼帝国、さらにバイストン・ウェルの軍隊など多数の勢力が入り乱れる激戦となるが、最終的にはオペレーション・デイブレイクを発動しムゲ帝国に反旗を翻したOZにより制圧される。
- 独立軍ルートでは再度攻撃を仕掛けてOZから奪うも、直後にキラル・メキレルに爆弾を仕掛けられ、早々に撤退することになる。
- スーパーロボット大戦GC(XO)
- 序盤が一年戦争に沿った展開のためジャブロー防衛戦が再現され、「哀 戦士」がBGMとして流れる。ギガノス帝国も参加しており、マイヨが不時着して難民キャンプにいたリンダと再会する。中盤以降は星間連合に攻め落とされ、ザール星間帝国のネシア将軍が常駐している。
- スーパーロボット大戦Operation Extend
- 第1章で一年戦争を元にしたシナリオがあり、ホワイトベース隊と第08MS小隊でジャブローを防衛し、ジオン公国軍と戦うことになる。本作でも「哀 戦士」が採用されている。
関連用語
- 地球連邦軍
- 地球連邦政府の軍事部門。ひたすら本部であるジャブローの地下に籠り続ける地球連邦軍の上層部は、地球連邦軍の腐敗の象徴と言える。
- ビグ・ザム、アプサラス計画
- ジオン公国軍がジャブロー攻略のために開発を進めていたモビルアーマー。
- アッグガイ、アッグ、ジュアッグ、ゾゴック
- ジオン公国軍がジャブロー攻略のためにアッガイをベースにして開発した水陸両用モビルスーツ。
- アラスカ基地
- 『機動戦士ガンダムSEED』に登場する地球連合軍の本部。通称「JOSH-A(ジョシュア)」。南米に所在するジャブローと異なり、こちらは北米アラスカのユーコン・デルタ地下に所在している。
- なお、「主人公が所属する部隊が目指す自軍の本拠地である」点および「侵入してきた敵軍に対して大打撃を与える目的で、基地内部に仕掛けてあった大量破壊兵器を(味方の巻き添えを省みずに)発動させた」点が、オマージュされている。
- ロストロウラン
- 『機動戦士ガンダムAGE』に登場する地球連邦軍の一大拠点。第三部「キオ編」で連邦軍最高司令部ビッグリングがヴェイガンに破壊された為、臨時の最高司令部が設置された。
- 「南米の森林地帯に存在する地下基地」等、ジャブローをオマージュしている点が多数見られる。なお後述の『THE ORIGIN』の設定も踏まえているのか、ギアナ高地の付近に位置しているとされており、SRWでも『BX』のシナリオ前後デモでのマップ表示ではそこを示している。
余談
- ジャブローの当初の名称は「シャングリラ」と決まっていたが、諸事情で変更された。
- 書籍などでは「地球連邦軍本部」とするものもあれば、「地球連邦本部」とするものもあるなど、軍本部なのか、連邦政府本部なのかがあまりはっきりしていない。ただし、戦時中という状況であるため、地球連邦軍本部に連邦政府が疎開していると解釈すれば一応の矛盾は存在しない。漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』ではア・バオア・クー攻防戦の最中に行われた会議ではゴップ元帥(SRW未参戦)や軍高官の他にも連邦政府の閣僚と思われる者達が参加しており、連邦政府がジャブローに疎開している事が窺える。
- 安彦良和氏の漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(SRW未参戦)では「アマゾン河流域では、地盤が軟弱なために大規模な地下施設を建設するのは難しい」という理由で、ジャブローの所在地が「ギアナ高地の地下」に変更されている。
- 前田建設ファンタジー営業部が「もし、現段階の技術をもってジャブローを建造したら、工期と予算はどれくらい必要なのか?」を大真面目に考察した。ちなみに、この企画は連載コラムとしてガンダム総合情報サイト『GUNDAM.INFO』にて掲載され、後に書籍化された。
商品情報
資料リンク
- GUNDAM:ジャブロー
- 前田建設ファンタジー営業部 バックナンバー 現在は書籍化に伴いホームページ公開終了。
- ガンダムインフォ 「機動戦士ガンダム、地球連邦軍ジャブローを創ろう」編 第1回 現在はこのページのみ閲覧可能。
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