バナージ・リンクス

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バナージ・リンクス(Banagher Links)

概要と経緯

機動戦士ガンダムUC』の主人公大企業アナハイム・エレクトロニクスが所有する工業用コロニー「インダストリアル7」にあるアナハイム工業専門学校に通う学生。母親は既に他界しており、顔も知らない父親の援助で学校に通っている。学業の傍らプチモビルスーツに乗ってスペースデブリを回収するアルバイトをしながら暮らしていたが、どこか「ずれている」感覚を覚えていた。

そんなある日、一本角を持つ白いMSを目撃し、さらにその後謎の少女オードリー・バーンを助けたことから運命が急変。さらにビスト財団当主カーディアス・ビストと出会った事により自分の出生の秘密を思い出し、戦火に包まれるコロニーからカーディアスにより「ユニコーンガンダム」を託され、争いを終わらせるべく身を投じていくこととなる。

バナージのニュータイプとしての能力は未知数だが、その能力はユニコーンに搭乗している時に発揮されることが多い。優れた感受性という面ではカミーユ・ビダンが挙げられるが、抱え込みすぎた故に精神崩壊したアニメ版や、受け流すことを覚えた劇場版の彼とも異なり、アムロ・レイと同様に「分かち合う」ことを試みている点が大きな違いである。

また、バナージは劇中において強化人間であるマリーダや(格闘術を身に着けている)ジオンの軍人であるジンネマンとほぼ互角に渡り合う等、ジュドー・アーシタの如く喧嘩に強い一面も見せている。

インダストリアル7でフル・フロンタルと決着を付けた後、(極秘裏に改修されたグリプス2から発射された)コロニーレーザーからメガラニカを守るためにサイコ・フィールドを全力で展開、防衛に成功する。この時、バナージの意識がサイコフレームを通じて「可能性」と「世界」を垣間見たことにより、彼の生来のニュータイプ能力による感応が最大限に発揮される。その結果、バナージの個我が消失し、「ユニコーンガンダム」という別の存在に変化してしまった

これはいわば、イデのような「一つになった意志」が、バナージの肉体を通じてユニコーンのサイコフレームに同化した、進化の一つの形であり、言い換えればカーディアスやバナージが度々口にしていた「可能性という名の神」がユニコーンという器によって世界に出現した姿とも言える。[1]

引き止めるバンシィ・ノルンを振り切って宇宙へ飛び立とうとしたが、リディやオードリーをはじめとする多くの人々の呼びかけによって「」が去ったことにより自我を取り戻し、バナージはネェル・アーガマへと帰還した。

登場作品と役柄

Zシリーズ

第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
初登場作品。担当声優の内山昂輝氏は本作でシリーズ初出演。初参戦の第11話宇宙ルート「ユニコーンの日」のみ原作再現で血塗れの姿で登場する。
元が民間人である為か、他の宇宙世紀ガンダムシリーズの主人公であるアムロカミーユと比べると(ニュータイプLVも含めて)能力は控えめ。搭乗機がユニコーンガンダム固定となる為、しっかりとフォローしていきたいところ。
話の都合上強敵によく狙われるため、底力を強化しておきたい。1発喰らえば適度に補正が係って安定するだろう。
なお、顔グラフィックは今作トップクラスの42枚。しかもキリコなどと異なり没が1枚も無く、全て1回以上使用される場面があるという優遇っぷりである。
第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
プロローグから使用可能。今回はラプラスの箱がストーリーの中心に位置することもあってかなり目立つ。
新規に追加された顔グラフィックは『時獄篇』からのものと比べるとやや顔つきが違う(特に目の違いが顕著)ためやや違和感がある。
さすがに『時獄篇』では低すぎたためかニュータイプレベルが最初から5になり、素のユニコーンにも武装が追加されたので多少はマシになった。エースボーナスは前作と変わらないのでシルバーエンブレムが手に入ったらすぐに装備させよう。ボーナスとエンブレムを駆使して敵を落としてPPをガンガン稼いで強化、ユニコーンにも改造を施していけば後半での恩恵は大きいのでしっかり鍛えていきたい所。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦BX
序盤は数度顔出しするものの、自軍への参加は第19話ELS移送ルート「歴史の裏に消えた者達」と中盤に差し掛かった辺りとなる。
本作ではニュータイプ技能の伸びは良いものの、代わりに底力を失ってしまいスキル欄が非常に寂しくなっている。
また能力値自体も他のガンダム主人公と比べるとあまり高くないところで纏まっている。
ユニコーンガンダムの性能は非常に高く、加えてNT-Dに気力以外の制限が無い為最初から飛ばしていけるが、できればスキルアイテムで補強していきたい。

単独作品

スーパーロボット大戦V
PVで登場。

パイロットステータス設定の傾向

能力値

全体的にカミーユを一回り弱くした感じ。強制出撃も多いのできっちり育てておこう。やや射撃が得意だが、必殺武器は格闘なので注意。

精神コマンド

第3次Z
集中必中閃き+、覚醒
リアル系に必要なコマンドは一通り揃う。ダメージアップ系が愛なので爆発力では他のリアル系エース格に劣るが、その分成長はさせやすい。ただ、「ニュータイプ」の伸びが悪すぎるので、使い倒すには不安が残る。エースボーナスでPPが取得しやすくなるので、能力を養成して補うべし。『天獄篇』では愛が魂に変更され、最大火力は向上したものの、LV上げや資金稼ぎの上では若干惜しくもある。
「加速」が使えるリディが相方の有力候補だが、天獄篇では終盤まで復帰しないのでアシスト武器が強力なアルトロン五飛あたりと組んでおきたい。
BX
直感集中てかげん覚醒
典型的なガンダム主人公の精神。本作では覚醒はいつも以上に貴重な精神なので、相方は良く吟味して考えたい。

特殊技能(特殊スキル)

第3次Z
ニュータイプL9、底力L4、戦意高揚
時獄篇ではEP4までの再現に留まるせいか、特殊技能であるニュータイプのレベルの伸びは非常に悪い。そのかわり底力を持つので、そちらを補強すると安定するか。
一応「ニュータイプ」の最大レベルは9だが、到達するのはレベル99。普通に進めればレベル5が精々。特殊強化パーツを装備して修理or補給で稼げば達成不可能ではないが、その頃には素の能力で無双できるので意味がない。
天獄篇でも同様の構成だが、最初からNT-Dが使える都合上「ニュータイプ」が最初からレベル5であり、レベル72という現実的な数値でL9に到達する。
BX
ニュータイプL9、援護攻撃援護防御全体攻撃

固有エースボーナス

ユニコーンガンダム(デストロイモード)搭乗時、入手PP1.2倍
第3次Zで採用。戦闘能力への貢献が一切無く、その上デストロイモードを発動させるまで時間がかかる(発動させてもこのボーナスの効果も5ターンしか持たない)ため微妙なボーナス。というか機体にシルバーエンブレムを付けてしまえば事足りてしまう。……というのはバナージ単独で見た場合の話である。
デストロイモードが正式に追加される25話をクリアして程なくバサラが加入するので、実は気力の問題はそこまで大きくない。ターン制限についても、5ターンもあれば大抵のマップは1周目でもクリアできる。
最も大きいのはこの効果が、強化パーツ(シルバーエンブレムorプラーナコンバーター)やタッグコマンドによるPP増加効果と重複するという一点にある。つまり1.2×2×2で、入手PPが最大で4.8倍になる。手を掛けた分だけ見返りが大きくなるという意味では、まさに可能性の獣の乗り手に相応しいエースボーナスだろう。同じくエースボーナスによって入手PP1.2倍を得る対抗馬もいるが、自分自身にのみ効果を表すボーナスであるため比較は意味が無い。エースになったリディと組めば経験値も増える。
『天獄篇』でも同様だが、中盤でデストロイモードの制限がなくなる。今回はPPがいくらあっても足りないので、可及的速やかに習得させ、積極的に前線に放り込んでPPを稼ごう。

パイロットBGM

「UNICORN」
ユニコーンモードではこちら。本来はもっと長いのだが、スパロボでは後半部分が採用されている。曲のループ時に数秒空白があるので、他の作品で聞き慣れていると違和感を覚えるかも。
「RX-0」
デストロイモードではこちらに切り替わる。
「UNICORN GUNDAM」
覚醒イベント後はこちらになる。

人間関係

オードリー・バーン
「インダストリアル7」において運命の出会いを果たす。彼女の正体を知ってもなお、バナージは「オードリー」と呼び続けている。しかし、『第3次Z天獄篇』では…(後述)。
タクヤ・イレイ
アナハイム工専の同級生。重度のMSオタクで、バナージとは悪友の関係である。
ミコット・バーチ
アナハイム工専の同級生。バナージに想いを寄せているが、当の本人は気付いていない。
カーディアス・ビスト
実父。ビスト財団当主であり、アナハイム工専の理事長。彼の最期を見届けた際、出生の秘密を思い出し、ユニコーンガンダムを託される。
アンナ・リンクス
母親。本編開始時点では既に他界している。彼女はバナージをビスト一族の呪われた因縁に巻き込まれないようにするためカーディアスと別れたのだが結局その望みは叶わなかった。
また、原作小説版の記述から推測するとバナージがカーディアスの記憶を忘れていたのもアンナのそうした信念が要因である模様。
リディ・マーセナス
ロンド・ベルに所属するパイロット。バナージからオードリーの事を託されるが…。
ダグザ・マックール
連邦軍特殊部隊「エコーズ」920隊司令。バナージに大きな影響を与える。
フル・フロンタル
袖付き」首魁。バナージとは幾度となく交戦や問答を交わす。
マリーダ・クルス
「袖付き」のパイロット。バナージの初出撃で交戦。その後も彼女から大いに影響を受けることになる。
アンジェロ・ザウパー
フロンタル親衛隊隊長。彼の一方的な嫉妬心により粘着される。
スベロア・ジンネマン
「袖付き」の輸送船ガランシェール艦長。地上に降下した際に行動を共にする。
ロニ・ガーベイ
一時は心を通じ合わせる[2]が、原作小説版・OVA版で形は違えど死別という形で終わってしまう。
第3次Z時獄篇』では「撃って止めれば」生存する。
アルベルト・ビスト
異母兄。機密の塊であるユニコーンのパイロットに自分がなったため、アナハイム・エレクトロニクスの幹部である彼からいろいろ絡まれる。当初は双方とも互いの関係に気づいていなかったのだが…。
サイアム・ビスト
曾祖父。彼がラプラス事件に関わったことから現代の事態にまで繋がっている。

他作品との人間関係

ガンダムシリーズ

宇宙世紀ガンダムシリーズ

アムロ・レイ
最年長のガンダムパイロットの大先輩。彼からは様々な忠告を受ける。
カミーユ・ビダン
ガンダムパイロットの先輩。後輩であるバナージを気にかけている。
ハマーン・カーン
ある人物の元部下。本編では故人だが、スパロボを始め他のゲーム作品で共演する場合もある。主君に近い人物であるためか、彼を敵視する作品が意外と少ない、『第3次Zシリーズ』もその一つ。
エルピー・プルプルツー
マリーダの「姉妹」にあたる人物達。
本編では故人だが、ガンダム無双シリーズでは共演を果たし、バナージがプルツーがマリーダだと誤認するような台詞がある。
『真・ガンダム無双』におけるとあるオリジナルシナリオではヘンケン艦長らと共に三姉妹の争いに介入する戦闘がある。
ドズル・ザビ
オードリー(ミネバ)の実父。本編では故人だが、『ガンダム無双』シリーズではまさかの共演。『無双3』のドズル関連シナリオの最終ボスはバナージで、『真』のとあるミッションでは娘とバナージと再会した後でキレたドズル(とリディ)を撃退するなど……親馬鹿である彼との絡みはハマーンやプル姉妹よりもコミカルなものである。

ガンダムSEEDシリーズ

シン・アスカ
第3次Z時獄篇』にて初出撃したバナージをフォローする。『第3次Z天獄篇』では揃ってヴァスティの歳の差に絶句していた。

西暦作品

刹那・F・セイエイ
近い時期にアニメが放送されたせいか、ゲーム作品では絡む機会が多い。特に、『ガンダムExtremeVSシリーズ』では刹那の台詞をバナージがモノマネする一幕もある
沙慈・クロスロード
『第3次Z時獄篇』では同じ学校に通っていて顔見知りの仲。
アーミア・リー
BX』ではアナハイム工専に留学して来たクラスメイトの間柄。

A.G作品

キオ・アスノ
『BX』では、刹那と共に同じガンダム乗りとして交流を深めていく。

SDガンダムシリーズ

騎士ガンダム
『BX』では刹那やキオと同様、彼もまた「ガンダム」として力を合わせて難局を乗り越えていく。
剣士ゼータ
『BX』では彼の手引きでパラオから脱出した。その後も一本角繋がりか、彼に関わっていく。

リアル系

C.C.
第3次Z時獄篇』にて素直な自分を気に入った様子。
何気に彼女の契約者ルルーシュとは彼がかつてしていた様にバナージも周囲に素性を隠しているという共通点がある。

スーパー系

カグラ・デムリ
中の人が同じ。『第3次Z時獄篇』で共演。ユニコーンが暴走する第25話調査ルート「NT-D」でもユニコーンを襲撃する為に登場(本人は相変らずアクエリオンEVOL狙いだが)、最終勝利条件は彼とバナージを撃墜することだが、救出されたバナージでカグラに挑むことも可能。
特殊台詞ではカグラにとってバナージはアマタとは違った意味で同一人物なためか「変わった匂い」だの「無臭に近い」だの言われる。ここでの「無臭に近い」の意味は自分と「同じ」臭いをしているため相手からの臭いを感じ取れず無臭と思ってしまっているか、カグラのエレメント能力を考えると「(バナージの匂いはカグラにとって)とてもおかしい匂い」という意味のどちらかだろう。
アマタ・ソラ
バナージとある意味同一人物なカグラと本当に同一人物な人。浮いた彼を地上に戻したこともある。

名台詞

「それでも!」
バナージ・リンクスという人物を象徴する一言。理想を夢物語と断じられ、辛い現実と直面する度にバナージはこの言葉を叫ぶ。人の持つ可能性、希望を信じて。
不殺系主人公にありがちな美辞麗句と捉えられがちだが、彼はこの言葉と己の身を以って人の内なる可能性を示していく。
「気取った名前……」
原作小説版にて、ガランシェールが入港するためアルバイトが中止になったため船体に書かれた船名に対して腹癒せ混じりに吐き捨てた言葉。まさかこの船(並びに船員)と関わり合うことになるとはこの時は分かる術もないが…。
「君が誰だって構わない! 俺の事、必要だって言ってくれ! そうしたら、俺は……!」
オードリーに対して発言した、彼の戦う動機と言っていい台詞。この後、一度は拒絶されるが、この思いを胸に彼はユニコーンガンダムに乗り、戦いに身を投じる。
「なんとかする!」
エネルギーの尽きたプチモビでの不時着を試みる際に。終盤でもう一度同じことを言った際も絶体絶命の状況だったが、両方とも本当に「なんとかしている」のが凄い。
「みんな、明日の予定だって、来週の予定だってあったんだ! あんなの…人の死に方じゃありませんよ!」
カーディアスがMSで単身逃亡を図ろうとしていると勘違いし、事態を止められなかった事への苦言から続く発言。戦闘に巻き込まれたからではない、静かな死を母親で経験しているからこその台詞である。
「私のたった一つの望み…可能性の獣…希望の象徴…。父さん…」
「………」
「母さん、ごめん…。俺は…行くよ!」
ユニコーンガンダムを初めて起動させる際の独白。全てを思い出した彼の脳裏に浮かんだのは、幼い頃に父と見た「貴婦人と一角獣」のタペストリー。
そして、自分にこのような道を歩ませまいとした母親へ詫びつつ、自分が護りたい人の為に「可能性の獣」を目覚めさせた…。『第3次Z時獄篇』ではDVEになっている。
「ここから…! ここから、出ていけぇーッ!!」
ユニコーンで組み付いたマリーダクシャトリヤを、この気迫の篭った言葉と共にインダストリアル7から押し出す。宇宙に出た所で、クシャトリヤのファンネルによる猛攻を受けそうになるも、直後NT-Dが発動する。
「オードリーだよ! 嘘でも本当でも、俺にはオードリー・バーンだ!」
ダグザに人質に取られた際、「ミネバ・ザビ」として振る舞うオードリーに対して。バナージのこの態度は常に一貫しており、彼女をザビ家の末裔という政治的存在として扱うことなく、あくまで一人の人間として向き合い続けた。
「リディ少尉。男と見込んだ。オードリーを頼みます」
オードリーと共に地球に降下するリディに向けて送った信頼の言葉。こんな事を言われてやる気にならない男はいない。リディはこれを「殺し文句」と評し、無事オードリーを送り届けることに成功した。しかし…。
「遊びなもんか! 自分が死ぬのも、人が死ぬのも冗談じゃないって思うから、やれることをやってるんでしょう!」
あえてビーム・マグナムを使わず致命傷を避け無力化を選択するバナージに「遊んでいるつもりか」と怒るダグザに言った一言。
この言葉は伊達ではなく、実際にバナージはこの後の戦いでもビーム・マグナムを使っていない。その唯一の例外がフル・フロンタルである。
「あんただけは……墜とす! 今度は外さない……!」
フロンタルにダグザを殺されNT-Dを発動、死闘を演じる。しかし、この後にギルボアがフロンタルをかばい……
「やりました…。やったんですよ! 必死に! その結果がこれなんですよ!!モビルスーツに乗って、殺し合いをして、今はこうして砂漠を歩いている! これ以上何をどうしろって言うんです!? 何と戦えって言うんですか!?」
袖付きの捕虜となった後、地球へと降下。ジンネマンと共にあてもなく砂漠を移動中にこう叫んだ。第3次Z時獄篇ではDVEになっており、これを基にした中断メッセージも存在する、のだが……。
「こんなの戦争ですらない! ただの怨念返しですよ!」
「そんなの、ジオンの町を焼いた連邦軍と同じ理屈じゃないですか!」
「あんただってわかってるんだ! こんなことしたって、何も報われないってことを!」
「自分が地獄を見たからって、他人にそれを押し付けていいってことはないんだ!」
シャンブロの蹂躙を止めたいバナージと、それを許さないジンネマンの口論。殴られながらも飛び出した反論の数々がこちら。途中からバナージも反撃を始め、最終的には逆にボコボコにする
「わからないからって……悲しいことが多すぎるからって……感じる心を止めてしまっては駄目なんだ! だから……人の悲しさを……悲しいと感じる心があるんだってことを、忘れたくない! それを受け止められる人間になりたいんです! キャプテンと同じように!!」
沈黙したジンネマンに胸を押さえながら訴えるバナージ。一年戦争を知らないバナージには、その戦争と敗戦で様々なものを奪われたジンネマンたちの苦悩や痛みを本当の意味で理解することはできない。
しかし、ジンネマンが心から虐殺に加担するほど冷酷な人間ではないことを知っているバナージは、必死に彼の心に訴えかける。『BX』ではDVE。
「俺は箱の鍵じゃない……人間だ。そしてお前は、人の力を増幅するマシーンなんだ。お前はそのために作られた。人の心を、悲しさを感じる心を知る人間のために……だから、怒りに呑まれるな……!」
ロニの暴走を止めるためにガランシェールから出撃したバナージ。
関係のない人々を虐殺したシャンブロは許せない。しかし、そうする理由も知ったからには怒りのままに刃を向けるわけにはいかない。バナージはユニコーンを“ガンダム”に変身させることなくシャンブロの前に降り立ち、制止しようと試みる。
リディ「このまま撃て! 可能性に殺されるぞ!! そんな物、捨てちまえ!!」
バナージ「撃てません!!」
OVA版第4巻「重力の井戸の底で」より。自身の説得で収まったものの、カークスの死を感じ取り再び暴走を始めたロニの乗るシャンブロ。それを止めるため、リディデルタプラスと共に急行するバナージ。
シャンブロにビームマグナムを向けるが、サイコミュの呪縛から解き放たれ正気に戻ったロニと「分かり合ってしまった」バナージは撃つことが出来なかった。
結局、バナージを見かねたリディの手により奪われたビームマグナムでロニは撃たれ、彼女は散っていった…。
『第3次Z時獄篇』ではDVEで再現された。この台詞の後、ニュータイプの大先輩たるアムロが「甘ったれるな!」とバナージを叱咤している。
「誰の指示でもない。これ以上の戦闘は無意味だと言った。退かねば、この《ガンダム》の力をもって侵攻を阻止する!」
小説版のシャンブロ戦では、シャンブロで虐殺を行うマハディ・ガーベイに対し、ビームガトリングガンを突き付けながらロニ曰く「別人のような声色」で撤退するように勧告する。
白人への憎しみに取り憑かれ、私怨をもって虐殺を行う彼とシャンブロの行為に怒りを覚えるバナージは、ロニがたじろぐほどの強い意思をもってその前に立ち塞がった。
「見える。ロニさん……!」
小説版のシャンブロ戦終盤。ロニを失った事でビットの動きが弱まったシャンブロに、リディのデルタプラスと連携し正面から突入。ロニの思念に導かれるまま、人を間違わせる魔性の源であるシャンブロを撃ち抜く。
「ユニコーンガンダムは、伊達じゃない……!」
小説版第7巻より。
大気圏離脱を行なったガランシェールから伸びたグラップル・アームとバリュートを使用し大気圏ギリギリを維持しているネェル・アーガマから伸びたテザー・ケーブルを両腕で捕まえたためにフレームが過負荷で引き千切られることを承知で機体のスロットルを最大限に開いた時に言い放った台詞。
過去に別の人物が同様のことを言ったが、こちらは場所が場所だけに記録は残ってないものと思われる。
「ユニコォ――――ン!」
原作小説版第10巻「虹の彼方に」にて。ガエルシナンジュ(OVA版第7巻ではネオ・ジオング)に撃たれた直後、ユニコーンの名を叫ぶ。そして、ユニコーンはこの声に応えて起動し、バナージの下へと降りてくる。『BX』ではDVE。
宇宙世紀作品でもサイコミュ搭載MSの遠隔操作自体はフォウプルツーが行っていたとはいえ、叫び声に応えて起動した事や、その後のユニコーンの格闘戦から「作品が変わった」などと言われる事も。
フロンタル「ニュータイプは若さが生む一過性の力だ。永続はせず、大局を覆すことも出来ない。即ち…若気の至り!」
バナージ「中年の絶望を押し付けてもらっては、困る!」
インダストリアル7宙域でのフロンタルとの激突にて。『Ζ』以後のガンダム世界にはままある「子供VS大人」の構図である。
「人が器になれるものかよ! 何があなたをそうさせた!? その絶望の根源はなんだ!? その仮面を脱げ、フル・フロンタル!!」
あくまでも現状の維持とわかりやすい結論に終始するフロンタルに対して叫ぶ。瞬間、バナージが垣間見たフロンタルの心象世界は、完全なる虚無の暗闇。全ては無駄なのだ、という絶望だった……。
「…あんたはニュータイプなんかじゃない。自分は何もしない、できないくせに、人を嗤うことしかしない。ただの下衆だ」
フロンタルとの最終戦にて。仮面を被り、他人に本心を見せないままに思わせぶりに立ち回り、利用するフロンタルを痛烈に批判した。
「亡霊は、暗黒に帰れぇっ!」
リディの駆るバンシィと共闘し、ついにシナンジュをビームトンファーで捉えたバナージ。しかし、フロンタルは生命の危機に頓着することなく、NTとなってしまったバナージはOTである「みんな」の下には帰れないという不吉な予言を告げる。
バナージは上記の台詞と共にビームトンファーにありったけの思念を注いでハイパービームトンファーとし、シナンジュを大破させて吹き飛ばすが、その予言は彼の心に突き刺さった。
「きっと、帰る……!」
グリプス2から発射されるコロニーレーザーからメガラニカを守るためにサイコフィールドを発動する際に。そして…。
「俺は箱の鍵じゃない……人間だ! そして、お前は人の意志を形にするマシーンなんだ!」
「自信とか、覚悟なんてない……だけど!」
「ガンダム! 俺に力を貸せ!」
「弱くて、不完全で……だから託すんだ! 託されて歩き続けるんだ! どんなに辛い道であっても!」
「そのために戦う! このユニコーンで!」
『SDガンダム GGENERATION OVER WORLD』にて、ユニコーンモードのビームサーベルで敵を撃破する際に出る特殊戦闘台詞。小説版の名台詞のアレンジとなっている…が、喋り過ぎてうるさいと専らの評判。
というか、このビームサーベルのトドメ演出デストロイモードのNT-Dの使い回しなのだが、NT-Dだと上記の特殊台詞は無い

迷台詞

「こんなの戦争ですらない…ただのシャイニングフィンガーですよ!」
「轟き叫ぶのも冗談じゃないって思うから、ゴッドフィンガーをやってるんでしょ!」
『SDガンダム GGENERATION OVER WORLD』にて、前者はシャイニングフィンガー使用時の、後者は爆熱ゴッドフィンガー使用時のセリフ。「各々の名台詞を変にアレンジした前口上」はGジェネにおけるフィンガー系兵装のお約束だが、これはもはや意味不明。
「う、うわっ! なんでここに! あ、あれ? すみません……仮面違いでした……」
『真・ガンダム無双』にて、一年戦争時代のシャアNPCのバナージと合流時の台詞。所謂誤認ネタだが、こちらは「仮面違い」と少々新鮮な言葉を言ってしまっている(しかも誤字ではない)。
なお、同作『UC』キャラのオリジナルイベントはギャグにしか見えない内容が多い。(アンジェロのフロンタル捜し、好物の為に脱走するマリーダ、ある人物のに加勢するリディなど…)
「オ、オードリーのお父さん!? は、はじめまして……」
同じく『真・ガンダム無双』にて、オードリーと一緒にユニコーンガンダムに乗っている状態でドズルと遭遇した時の台詞。直後に『悪い虫』として攻撃されることになる。更に『別の悪い虫』も出てくる混沌に突入する。

スパロボシリーズの名台詞

Zシリーズ

タクヤから借りた赤い彗星の伝記を読んでみると、シャア・アズナブルという人は冷酷で計算高く、常に余裕のある有能な軍人と書かれている」
カミーユさん達から聞いたクワトロ大尉と、俺が出会ったフル・フロンタルを比べると、あの人の方がシャア・アズナブルのイメージに近いんだ」
第3次Z時獄篇』第37話宇宙ルート「フィフスルナ攻防戦」のトレーダーにて、「シャアよりフロンタルが危険な気がする」理由。
バナージの読んだ伝記の中のシャアは、本人の持つ人間的な弱さや迷いの部分が描写されておらず、フロンタルはその「冷酷で計算高く、常に余裕のある有能な軍人のシャア」をそのまま模倣したような人物になっている。
「でも、生きています」
『第3次Z時獄篇』第48話メリダ島ルート「重力の井戸の底で」より。シャンブロをバナージで撃破した際の台詞。
ロニの「悲しいね…バナージ…」への返しであり、原作とは異なる展開を示す台詞となっている。
正太郎「後悔してるんですか?」
「それが、この人の心を哀しみで満たしている…」
第3次Z天獄篇』第58話「哀しき墓守」より、勝平からの指摘を「尤もな事」として受け止めたサクリファイを見て。最も彼女の哀しみは自分1人だけのモノであるのに気づくのに、そう時間はかからなかったようだが。
「もう何も偽る必要はないんだ。だから全てを受け入れて、俺達の関係を、また一から始めよう」
「待っているよ、ミネバ
『第3次Z天獄篇』エンディングより。原作では無かった、オードリーを本名の「ミネバ」で呼んだ場面である。

携帯機シリーズ

「あれは、小型のガンダムなのか…? けど、強化スーツサイズの物を開発しているなんて話は…」
BX』第9話ナデシコと共に月へ向かうルート「激突するユニコーン」より。
剣士ゼータに助けられたバナージだったが、事情を知らないバナージは等身大かつ喋るガンダムに困惑。「強化スーツサイズのガンダム?」と考える。
ちなみに、ガンダムシリーズモビルスーツの名称は強化服案の名残だったので、「強化スーツによるガンダム」という考えは企画段階を知る者ならば、興味深い台詞であろう。
バナージ「そうだ…。お前が可能性の獣だっていうのなら…」
キオ「この機体がみんなを救う救世主なら…」
刹那「全てを照らす光になれるはずだッ!」
バナージ「俺達の道を拓け、ガンダムゥゥゥゥ!」
『BX』第25話「虹を見た日」より。ジンネマン達を救うため、自分とキオ刹那ガンダム3で共振を起こした。
「それでも、あなたはガンダムなんでしょう!」
『BX』第26話「三つの星が集う時」にて、危機に陥った状況でも三種の神器を呼び出せない事から自分は『ガンダム』の名を持つ資格がないと悩む騎士ガンダムに対し、バナージはこう返す。『ガンダム』の名に込められた祈りを絶やさないようにするために。
「行ってください、刹那さん!新しい可能性がそこにあるなら!!」
『BX』第43話「Trailblazer」より。ELSとの対話に臨む刹那を激励して。「可能性の獣」を駆る少年は、ELSとの対話と言う新たな可能性を掴まんとする革新者を信じて送り出す。

スパロボシリーズの迷台詞

戦闘セリフ

「示すんだ…! 俺の可能性を…!」
汎用の開始台詞の一つなのだが、PV第2弾ではこの後ビームマグナム使用時の「ビーム・マグナムで…!」に続く事からビーム・マグナムで可能性を示すのかとネタにされる事に。
「マリーダさんに俺の声を届けるためにも、今は…!」
第3次Z天獄篇』におけるマリーダとの特殊戦闘台詞。なのだが、PV第弾ではこの後ビームマグナム連続射撃使用時の「全弾撃ち尽くすつもりで…!」に続く。
さらにPV2ではフルアーマーに搭乗し「みんなを守るためにも、今は……!」→「出し惜しみしている場合じゃない!」と続く。『第3次Z時獄篇』のPVからしても、明らかに意識していると思われる。
アークダーマだって、みんなのため使えればいいのに…!」
BX』における対邪悪獣台詞の一つ。確かに原作では人々を助けて回るお節介な邪悪獣もいたが
「そんな昔の機体で! 死ぬつもりですか!」
『BX』における対ギラ・ズールの台詞。ギラ・ズールギラ・ドーガの改修機のようなものとはいえ、ギラ・ドーガが(『UC』から3年前の)CCA時のものなので、「昔の機体」であるとは言えないと思うのだが…。

シナリオ

「うおおおおおおおっ!!」
第3次Z時獄篇』第30話「揺れるイントゥ・ザ・ブルー」のビンゴ大会で1等賞の景品がテッサからのキスだと知った時の反応。
しかもこの数分前にはオードリーが4等賞の景品の「チーズたん人形」を欲しがっているのを見て、もし自分がビンゴになったら、彼女にプレゼントすると言っておきながらコレである。
…もし仮に1番にビンゴになったとしたら、どっちを選んだのであろうか?
クェス「じゃあ今度、ハマーンと戦った時はもっと怒らせちゃおうかな?」
AG「でしたら、とっておきのトラッシュトークをお教えしますよ」
バナージ「そんな事してたら、命がいくつあっても足りないだろう!?」
第3次Z天獄篇』第11話蒼の地球ルート「プラント動乱」でZチップボーナスを獲得した時の会話。
ネオ・ジオンでのハマーンに馴染みのないバナージだと、彼女の認識はこんな感じらしい。
バナージ「25歳差!?」
「こんなのが許されるなんて……」
シン「な、バナージ! お前もそう思うだろ!?」
『第3次Z天獄篇』第21話離脱ルート「ジュピター・クライシス」より。イアンリンダの年の差について驚愕する。二人とも落ち着け。

中断メッセージ

「やりました…。やったんですよ! 必死に! その結果がこれなんですよ!!レベルを上げて、撃墜数を増やして、資金も、Zチップも稼いで!!これ以上何をどうしろって言うんです!? 何と戦えって言うんですか!?」
『第3次Z時獄篇』の中断メッセージより。上記の名台詞のパロディでまさに台無しである。
だが、稼いだだけで強化に回していなかった可能性も…? 戦うというなら、とりあえず確率の壁と戦ってみてはどうだろうか。
余談だが、『SDガンダム GGENERATION OVER WORLD』の隠しスタッフロールでも類似の台詞を使用する。
バナージ「…精神コマンドの『必中』や『直感』を使えばフロンタルにだって当てる事はできるけど…」
アンジェロ「…!貴様ぁぁぁっ!」(銃口を向ける)
『第3次Z天獄篇』の中断メッセージで言い放った、身も蓋もない発言。だが、それに激昂して銃を向けるアンジェロもアンジェロである。
このアンジェロのマジギレでメッセージは終わるため、この後バナージがどうなったかは不明。
ちなみに難易度がハードの場合、フロンタルは決戦時に「直感」を使ってくるので一発はどうやっても当たらない。
「マリーダさん…最後まで俺に手伝わせる気ですね?」
『BX』中断メッセージより。マリーダに『BX』のプレイを頼まれ、「このゲームのおかげでお前やプレイヤーと話ができる」と語りかける彼女に呆れたような言葉を返す。

搭乗機体

ユニコーンガンダム
カーディアスから託された「の鍵」とされているMS。起動時に生体認証がされたため、バナージ以外には乗りこなせなくなっている。
フルアーマー・ユニコーンガンダム
最終決戦用に強化武装されたユニコーンガンダム。ニュータイプとして成長を遂げたバナージによって驚異的な性能を発揮する。
トロハチ
アルバイト先で使っていたプチモビルスーツ。これに乗りオードリーを助けた。

余談

脚注

  1. OVA版第7巻においては原作小説では文章によって子細に説明できた「ユニコーンガンダム」になったという表現をほぼ映像のみで表現しなければならない都合上、ユニコーンガンダムサイコフレームを本体からはみ出るような形で「結晶化」(ファフナー同化時に出現する結晶に似ている)させる事で視聴者側にバナージに何かしらの「決定的な変化」が起こった事を上手く伝えていた。
  2. 特に、OVA版第4巻「重力の井戸の底で」では、「バナージとロニの両者は、それぞれの父親から望みとを託された者同士である」という関係性がクローズアップされている。

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