ザビーネ・シャル

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ザビーネ・シャル
外国語表記 Zabine Chareux[1]
登場作品

ガンダムシリーズ

声優 梁田清之
デザイン 安彦良和(F91)
長谷川裕一(クロスボーン)
初登場SRW 第3次スーパーロボット大戦
SRWでの分類 パイロット
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プロフィール
種族 地球人
性別
年齢 24歳(F91)[1]
35歳(クロスボーン)
所属 クロスボーン・バンガード(F91)
宇宙海賊クロスボーン・バンガード → 木星帝国(クロスボーン)
軍階級 中尉
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ザビーネ・シャルは『機動戦士ガンダムF91』および『機動戦士クロスボーン・ガンダム』の登場人物。

概要

機動戦士ガンダムF91

没落貴族のシャル家出身。コスモ貴族主義を掲げるロナ家に協力してクロスボーン・バンガードの一員となった。

エリート選抜モビルスーツ部隊「黒の戦隊(ブラック・バンガード)」を率いるまでに成り上がった彼を偏見の目で見るものも少なくないが、パイロットとしての実力でのし上がったことも描写されている。

彼の掲げる貴族主義は「強き者が支配する」と考えており、マイッツアー・ロナの掲げる「優れた人種によって支配する」とは異なっており、ザビーネはロナ家の姫ベラ・ロナ(セシリー)が相応しいと考えていたようだ。また、戦闘に対しては正々堂々とした戦いをするが、相手の命を奪う手段は問わず、彼を慕ったアンナマリー・ブルージュの心の弱みをさらけ出して殺している(彼曰く「感情を制御できない人類はゴミと教えたはずだがな」)。

その後、ベラ・ロナが離反し、さらにカロッゾ・ロナバグによる無作為な殺戮を許せなかった彼は、本作ラストシーンから暫くした後にクロスボーン・バンガードを離反した(それまでの間に何度もシーブックと戦闘していた模様)。

なお、意外な事に映画本編では一度もシーブックと戦闘していない(漫画版では黒の部隊共々シーブックと交戦している)。

機動戦士クロスボーン・ガンダム

10年後の『機動戦士クロスボーン・ガンダム』ではベラ・ロナ率いる新生クロスボーン・バンガードに参加していた。しかし、相手を殺さないやり方に不満を持っており、ベラが貴族主義を復活させるつもりがないことを知りつつも木星帝国打倒のために従っていた。

だが、衛星イオでの戦闘において木星帝国の規律が貴族主義に似通っていることに気づき、それこそが貴族主義に相応しいと考えて木星帝国に寝返る。細かい点は自らが修正していけばいいと高を括っていたザビーネだが、当然木星帝国も裏切り者である彼を簡単に信用するはずがなく、極度の拷問を受け続けた結果、その精神は破綻し、ベラを奪ったキンケドゥ・ナウへの憎しみを爆発させた狂人になり果ててしまった。

以後の彼に貴族主義を掲げる颯爽とした面影はなく、皮肉にもザビーネ自身が言うところのゴミ……感情を制御出来ない人類に成り下がってしまった。ライバルたるキンケドゥとの対決では、ベラの心変わりの原因はキンケドゥにあると言い、恨みの心でキンケドゥに勝つ。しかし、キンケドゥは奇跡的に復活し、再び合間見えることに。結局、ザビーネはキンケドゥに敗れ、貴族主義に対する未練を残して戦場に散った。

登場作品と役柄

作品によってはニュータイプ扱い。『F91』ではセシリーの操縦技術を見てNTの存在を信じるようになるなど、彼自身がNTという描写はないが、『クロスボーン・ガンダム』ではトビアの考えていることを唐突にズバリ言い当てるシーンがある。

『クロスボーン・ガンダム』設定で参戦した場合は最後は原作同様破滅の末路を迎え、『F91』設定のみの参戦の場合は続編に繋がらない結末を迎えることもある。

前述のように、無作為な殺戮には嫌悪感を示したりと決して人間的に悪い部分だけを持つ人物ではない。現時点では『クロスボーン・ガンダム』設定での参戦作品では破滅が確定していることから、スパロボ補正による救済を望むファンも決して少なくない。

旧シリーズ

全て『F91』設定。

第3次スーパーロボット大戦
初登場作品。DCに所属。30年前の機体であるα・アジールに乗ることもある。
第4次スーパーロボット大戦
DCに所属しているが、ビアン博士の理想から大きくかけ離れていくDCを憂うシーンがある。
第4次スーパーロボット大戦S
追加マップ「救出」にも登場するが、プレシアを人質に取ったカロッゾを見限って、戦わずに姿を消す。
スーパーロボット大戦コンプリートボックス
『第3次』シナリオに登場。音声が収録されたが、梁田氏の声質が映画公開時と大きく変わっている。

αシリーズ

スーパーロボット大戦α
『F91』設定。戦闘可能なステージが2話しかなく、しかもルート分岐によっては一度も出てこない。黒いベルガ・ギロスに搭乗。
ニュータイプ技能を所持しているが、成長が非常に遅く、最後の出番の際もレベル2止まりなので実質無いも同然。
スーパーロボット大戦α for Dreamcast
基本ステータスがアムロに匹敵するほど高くなっている。搭乗機のHPは低いのでさっさと落としておきたい相手。
第2次スーパーロボット大戦α
機動戦士クロスボーン・ガンダム』設定で初登場。『α』に比べてかなり出番が増えた。
最初は味方だが原作通り裏切るゆえに、積極的に育てるプレイヤーは少ないと思われる。それと同時にX2も彼に持ち去られてしまうのだが、クスハルート以外では条件次第(アラドルートでは無条件)で再び手に入れる事が出来る。
中盤辺りに再登場するも、あれだけ嫌悪感を示していたラフレシアバグを使ってコロニー住民を虐殺しようとする等、原作以上に狂った様子を見せつけ、徐々に別人と言える程までに狂った彼は、原作でゴミと言われたアンナマリーにも、見事にそのまま言い返された。狂った後でも最終決戦直前までは味方時と同じデータとボイスが使われているが、最終決戦では完全に別データに差し替えられ、特に戦闘ボイスの狂った演技は必見。
ハマーン休戦ルートにおける木星帝国との最終決戦では、彼を残したままクリアするとマザー・バンガードとのイベント戦闘で撃墜される。
キャラクター図鑑では彼の人格の豹変について「ある種の洗脳を受けたのでは」という解釈が記述されている。

COMPACTシリーズ

すべて『F91』設定。

スーパーロボット大戦COMPACT
本来の乗機であるベルガ・ギロスが登場しないため、デナン・ゾンに乗っている。
スーパーロボット大戦COMPACT2 第1部:地上激動篇
シーン6に登場。なんと乗機はビギナ・ギナ。フラグを立てるとギニアスを救出する役割を果たす。
スーパーロボット大戦COMPACT2 第2部:宇宙激震篇
シーン3から登場。今回はちゃんとベルガ・ギロスに乗っているが、シーン5Bルートのシナリオ「宇宙に咲く花」のみビギナ・ギナに乗って(本人はすぐに撤退する)増援を引き連れてくる。初登場時にアプサラスIIを引き連れてくるが、醜悪だと吐き捨てる。
スーパーロボット大戦COMPACT2 第3部:銀河決戦篇
第1部で助けているとギニアスを連れて出てくる。能力は高いものの、第3部では乗機のベルガ・ギロスが大して強くない。
スーパーロボット大戦IMPACT
今回も同じ様にギニアスを助けるが、今作ではシナリオ改変の影響で、この後ギニアスが出てくることはない。能力は一級。HPのやたら多いベルガ・ギロス(黒の部隊仕様)に搭乗。

VXT三部作

スーパーロボット大戦V
『クロスボーン』設定。音声が新規収録された。
クロスボーン本編後の時系列で原作同様トドメをさしたらしいのだが、生存している[2]
大ガミラス帝星に己の信じる貴族主義との共通性を見出して協力、ゲールと共にネオ・ジオン側に付き、幾度か自軍部隊と刃を交えた末にヤマトルート第45話で決着を付けることになる。
本作の序盤では比較的冷静さを保っていたが、最終決戦時にはかつての狂気が再燃、精神を破綻させた狂人と成り果ててしまい、最後まで貴族主義の呪縛に囚われたまま散っていった。
『α』シリーズとは違ってニュータイプ技能は持っていないが、狂気版は今作の敵パイロットとしては(弱化イベントが起きる前のネバンリンナ以外で)唯一の底力L9持ち。更にこのルートはヤマト以外はガンダム系しかいない。半端に削ると手を付けられなくなるので、ある程度のところからヤマトを利用してでも一気に沈めてしまいたい。

単独作品

スーパーロボット大戦Card Chronicle
『F91』設定。クロスボーン・バンガードの一員として登場するが、カロッゾの死後、地上人やELSの抹殺を目論むコドールショットのやり方に嫌気がさしドレルアンナマリーと共にカイルス側につく。
スーパーロボット大戦X-Ω
『クロスボーン』設定。2018年9月のイベント「ぶっちぎり魂が繋いだ宇宙の絆」に合わせたガチャで実装。

パイロットステータス

能力値

第2次α
格闘以外はキンケドゥを上回り、特に防御は30以上差がある。
リアル系主人公に限り、序盤のみ自軍に参加。本人の高い能力とニュータイプ技能と合わせて中々頼もしいが直ぐに裏切ってしまうので、てかげんで削り役をやらせるのが良いか。敵対しても最終決戦直前までは自軍パイロットと同じデータが使われ続ける珍しいキャラ。なお、この仕様のため、味方時に能力値を強化してしまうと敵として出てくるときもその強化が適用されてしまう
最終決戦時では顔グラこそ同じものだが、中身は完全に別データ扱いで戦闘ボイスも狂人染みたものに変更。成長タイプも標準型に変更され最終的な能力は低下。もはやパイロットとしてもゴミ以下に成り下がってしまったのか。
V
『第2次α』とは違い、今度は防御以外はキンケドゥに負ける。成長タイプも格闘の伸びが悪い「射撃系・回避」なので、この差が埋まることは無い。

精神コマンド

第3次(PS版)
加速ひらめき集中根性熱血激励
α
ひらめき気合てかげん熱血友情
第4次S
熱血集中加速ひらめき激励根性
第2次α
集中狙撃てかげん熱血かく乱
どれも戦闘向けで有用なものばかりだが、直ぐに裏切るのでプレイヤー側は大抵てかげんまでしか使えない。かく乱は原作後半における彼の狂いぶりを再現したのだろう。何故か、熱血の消費が異常に高い。魂で十分。
V
不屈先見必中気合覚醒
最後まで貴族主義を諦めない不屈と、説明不要の覚醒はいいのだが、原作のザビーネは(『クロスボーン』では)先見に失敗しまくっているのだが…。
X-Ω
覚醒直感熱血
パイロットパーツ装備時
狙撃奇襲激怒

特殊技能(特殊スキル)

第3次(PS版)
ニュータイプL1、シールド防御L5、切り払いL5
α・アジールに乗る事を想定したのだろうが、ニュータイプL1止まりなのが悲しい。
第4次S
シールド防御L7、切り払いL7
α
ニュータイプL5、シールド防御L3、切り払いL4
第2次α
ニュータイプL8、切り払いL5、シールド防御L4、援護攻撃L2、気力+ (ダメージ)ガード
どの技能も優秀。敵対時でも高Lvのニュータイプ技能、切り払い、シールド防御、ガードが脅威。スポット参戦のハマーンのキュベレイに唯一対抗できそうな感じだが、HPや底力の関係で結局負けてしまう。裏切りキャラにしては珍しく味方時でも敵対時でも常時同じ技能。原作の知識がない人でも、この技能の多さを見たら離脱しそうなキャラだと想像できるだろう。しかも、技能は一切上書きできない。仮に上書きできたら、彼が出てくるほとんどのシナリオの難易度が低下してしまう。
IMPACT
闘争心防御L7
V
指揮官L3、見切りL2、EセーブL2、援護攻撃L2、気力+(DEF)、サイズ差補正無視L2
V(狂気時)
底力L9、闘争心L3、見切りL3、EセーブL2、気力+ボーナスサイズ差補正無視L3、気力限界突破L3

小隊長能力

クリティカル率+10%、回避率+10%
第2次α』で採用。
地味なように見えて意外と脅威。X2改の能力の高さもあり、普通にプレイしては並みのパイロットでは対抗できない。こちらに攻撃をガンガン当ててきて、クリティカルも与えてくる。

エースボーナス

敵対する軍勢のフェイズ時に与ダメージ1.2倍、最終回避率+20%
V』で採用。

パイロットBGM

「クロスボーン・ガンダム」
第2次α』で使用。

人間関係

ベラ・ロナ(セシリー・フェアチャイルド
トップに立つべきだと考えている女性。
ただし、その本心は依存対象としてベラに共感した点にあり、彼なりの貴族主義は建前でしかない。ゆえにシーブックを「恋敵」として付け狙うが、これは10年前に自ら手にかけたアンナマリーに向けた言葉「感情を処理できん…」の下りの答え合わせにもなっている。
キンケドゥ・ナウ(シーブック・アノー
鉄仮面を討ったことから『F91』ではあえて見逃したが、『クロスボーン』では公私に渡るライバルにして障害となる。
アンナマリー・ブルージュ
使い捨て程度の部下。αシリーズでは原作とは違い落命しなかったため、『第2次α』にて意外な形で相まみえることになる。
カロッゾ・ロナ
上官ではあるが、その思想とやり方には否定的。
ジレ・クリューガー
そんなカロッゾに従い、バグによる虐殺を実行しながらシラを切ろうとした彼を射殺する。『第2次α』のハマーン共闘ルートではあろうことか彼と結託してドレルを追い落としている。

他作品との人間関係

ガンダムシリーズ

ギニアス・サハリン
COMPACT2』『IMPACT』で彼の「アプサラス・プロジェクト」に力添えしアプサラスIIIを完成に導くが、ザビーネ本人は不本意だった様子。また、ガンドール隊に敗れた瀕死の彼を収容している。
パプテマス・シロッコ
直接の関係はないが、『第2次α』では女性が世界を支配すべきだというシロッコの思想に影響を受けていた。
イリア・パゾム
α』中盤の宇宙ルートでは、彼女がクロスボーン・バンガードの監視目的でフロンティアIVへと現れた事に加え、部隊が鉄仮面からの特命で行動している事も看破されてしまい、内心でイリアを煩わしく感じていた。
アンジェロ・ザウパー
V』では、敬愛するフロンタルがバナージ達と和解し、地球連邦政府と講和した事で生じた彼の心の弱さに付け込む形で引き込む。
リディ・マーセナス
『V』ボーナスシナリオ「死闘のGハウンド」では黒いガンダム同士で対決する。その際、感情を処理できない人間と見下していた。

リアル系

コドール・サコミズショット・ウェポン
CC』ではバグを用いて地上人とELSを抹殺しようとする彼らを見限りカイルス側につく。
メルダ・ディッツ
『V』では「裏切り者を見てきたせいか勘が働く」と、彼女を警戒していた。
アベルト・デスラー
『V』では、彼の率いる大ガミラス帝星に己の理想とする貴族主義と重ね合わせた結果、ガミラス側につく。
グレムト・ゲール
『V』では、デスラーに接見するべく彼に取り入ろうとし、協力関係となる。

名台詞

機動戦士ガンダムF91

「すぐに編隊を組めるとは・・・。あるがままを見ただけで、そのものの本質を洞察できるのがニュータイプと言うが…信じたくなった!」
初陣にも関わらず、出撃後すぐに編隊を組んだセシリーのビギナ・ギナを見て。『F91』の時代ではニュータイプを単にパイロット適性の高い人間と捉えるほどニュータイプの概念が希薄化しているが、彼のように本来の意味に近い形でニュータイプを捉えている人間も少なからずいるようである。
「感情を処理できん人類は、ゴミだと教えたはずだがな」
造反したアンナマリーを葬った時の台詞。
アンナは「恋敵」を優先してザビーネと対峙したわけであるが、微妙な部分(貴族主義などのモラル)では食い違いがある。『クロスボーン・ガンダム』での彼の末路を考えると、実に皮肉な台詞とも取れる。
「老人がベラ・ロナなどにこだわるから、これだ…!」
相当腹立たしかったのだろうが、そういう自分も後にはベラに拘るようになってしまう。
「しかし、鉄仮面の直属でなければ思うように働けないというのでは話が違う!」
「ラフレシアの件…私も知らなければマイッツァーも知らないことだった…!」
ザムス・ガルのブリッジの外へと呼び出したジレを射殺して。
「『セシリー』…ベラ・ロナを探している?それでラフレシアを倒せたのか…。ご苦労だったな…」
ラフレシア撃墜後、セシリーを探すシーブックを見て。やはりザビーネにとってはシーブックよりも鉄仮面の方が敵であったのだろう。
「我々もバグやラフレシアになるつもりか!」
クライマックスにてスペースアークが難民船である前に軍艦であることに異を唱えた部下に対して。敵対関係のキャラクターではあるものの、鉄仮面の非道な作戦に嫌悪感を示し、ジレを撃ったことと合わせて、この時点ではまだモラルもきちんと持ち合わせていることが伺える。
「なら難民船1隻くらい見逃せよ。彼奴の母艦かもしれんしな・・・」
「いや、いい。ドレル大隊と合流して凱旋するぞ」
上記に続く最後の台詞。不要な殺生はしないという騎士道精神だけではなく、おそらく鉄仮面を討ってくれたシーブックへの礼や配慮もあったのだろう。なおこの際一瞬だが穏やかな頬笑みを見せているが、この笑みはセシリーの身を案じてのことか、あるいはシーブックへの感謝か。少なくともこの時点では10年後の末路は想像しづらい。
「ベラ=ロナさま、いまです! そやつをぶっとばしてくださいッ!!!」
「フハハハ…そうとも。そのおかたこそ コスモ=バビロニアの女王ベラ=ロナさまだーーーッ!!!」
漫画版にて、F91と交戦した際にベルガ・ギロスの左腕を失うなど、圧倒されるがシーブックに気づいたセシリーを見て、トドメを指すように進言。動揺するシーブックに対して高らかに叫ぶが直後にセシリーから威嚇射撃を受け撤退する。

機動戦士クロスボーン・ガンダム

「――きみの疑問ももっともだ」
「木星帝国討つべしというベラ様の考えには賛同するし 命もかけるつもりだ――だが あまりよい戦法をとっているとは思っていないのだよ」
「相手の命に気をくばって味方が命を落とす危険もある 帰したパイロットが再び敵対することもあろう」
「もし本当に早く戦いを終わらせる気なら より速く確実に敵は撃つべきなのだ! ためらわずにね!」
第4話より、自軍に不殺を心がけるベラのやり方に疑問を抱いてたトビアに対して。この時、トビアはそれを口に出していなかったため、その考えを読み取ったザビーネに困惑していた。なぜザビーネがトビアの考えを読めたのかは謎である。あるいは彼にもニュータイプの片鱗があったのだろうか…?
「フフフフフ…いいぞ…いいっ!」
「ベラ様にその気があろうがなかろうが! これで“クロスボーン”を! 貴族主義を名のる者が! 木星帝国を倒した事実に違いはない!」
「それは必ずや今一度貴族主義者の人心を集めるかっこうのきっかけになる!」
第8話より、イオでの決戦中における心中の台詞。この時点でザビーネにとっては木星帝国打倒は貴族主義を復活させるための踏み石に過ぎず、木星帝国に寝返る素振りは一切見せていない。
「それにね…フフフ 見たでしょう? 木星兵は目的のためには命をなげ出す 上からの命令には絶対に逆らわない! きびしい上下関係 彼らの社会の方がはるかに貴族主義の目指したそれに近いのです」
「小さな違いは…フフフ 入り込んでから少しずつ 内側から変えていってやればよいのですよ!」
「今まで彼らの目の上のタンコブだった戦力がそっくり味方になり しかも行方不明だった総統の娘まで帰ってくるのだ! ことわる理由は何もないでしょう!?」
第10話より、叛乱を起こした際の台詞。ベラも指摘しているのだが[3]「内側から変えて行ってやればいい」だの「断る理由は何もない」だの、明らかに自分の都合のいいように考えすぎである(今まで敵だった戦力がそっくり味方になるなど、普通は怪しくて仕方ないと思うが…)。上記のイオ戦での台詞といい、どうもザビーネは皮算用が過ぎる一面があるようである。そして木星帝国への投降後にはギリに真っ当な嫌味を言われてしまう事に。
なお、この後の精神が破綻した姿のインパクトが凄いが、上記の心中を語るモノローグやこの木星帝国と貴族主義の類似性を述べる場面でもそれまでは見られなかったような歪んだ笑みを浮かべている。狂気へと至る兆候は既にあったのかもしれない。
「あなたは御自分で気づいておられないようだが 多くの人々の為に自分の身を盾にして戦うその行為こそまさに貴族的なのですよ!」
第11話より、貴族主義を捨てたと主張するベラへ向けた一言。一応貴族のあるべき姿の認識こそブレていない。
F91及びクロスボーンにおいて語られた貴族主義だが、貴族主義信奉者の中でベラが貴族主義の指導者に向いている存在である事を的確に指摘出来たのはザビーネだけであった事を示す台詞であり、一応ザビーネも人を見る目はあった事を示している。ただし同時に「最も貴族主義の指導者に向いていた人間が貴族主義に否定的だった」という事実が発覚したシーンでもあるのだが、ザビーネはその事を最後まで肯定出来なかった。
「だが…負けてはならんぞ! キンケドゥ!」
「きさまとの決着はいずれ 私の手でかならずつけるっ!」
第12話より、叛乱直後の戦闘で死の旋風隊と戦うキンケドゥに対して。この時点ではキンケドゥに対しても「決着を付けなければならない好敵手」としての態度を貫いており、これがザビーネがまともな言動を見せた最後の姿だった。
「ク ククク そういう約束なのだよ」
「きさまだけは私の獲物だとね!」
「そうだ…私だっ! 逃がしはしないよ……キンケドゥ」
「ゆくぞ! ククククク クックッ」
第18話より、地球近辺の戦いで再びキンケドゥの前に姿を現した際の台詞。過度な拷問で精神が破綻しかけているとはいえ、キンケドゥへの憎しみがにじみ出ており、「感情を処理できないゴミ」となりつつあるのが伺える。
この時にすでに損失していたX1の両腕のビームシールドを自らのX2も外し、対等の状態で自分が勝つことを望む。彼なりのパイロットとしての良心は残っていたが…。
「どうした? キンケドゥ? 押されているぞ」
「シミュレーションは7対3で私の方が勝っていたぞ」
第19話より。実際のパイロットとしての経験はザビーネが上であり、キンケドゥは苦戦を強いられている。また、対峙時のキンケドゥはハリソンや死の旋風隊との連戦であり、X1もF91部隊との戦闘でカメラアイが損傷するなどザビーネが有利な状況であったとも言える。ザビーネの方はこの時点で高笑いしながら戦うようになっており、既に精神が崩壊しつつあるのが伺える。
「キンケドゥ! きさまさえ! きさまさえいなければ!」
「ベラ様が! きさまなどに心ひかれたりしなければ こんなことにはならなかったのだ!」
「ただの平民である者にひかれたりせねば 貴族主義を捨てたりもされなかったのだ!」
「きさまが…私の夢を…貴族社会をつぶしたのだ…」
「罪をつぐなえ! キンケドゥ!」
第19話より。ザビーネの逆恨みというべきシーンだが、半ば事実でもあり、その事実がザビーネを狂わせたといえる。そして……。
「アハハハ アハハハハ さようなら! キンケドゥ!」
上記のシーンの後にX1のコクピットにビームサーベルを突き刺した際の台詞。これまでの時点で既に言動がおかしかったザビーネだが、ここから一気に精神の崩壊が加速する。
第2次α』ではDVE
「ひゃーっはっはっは キンケドゥ? どうしてここにいる? キンケドゥゥ!」
「お前は死んだんだぞ? だめじゃないか! 死んだ奴が出てきちゃ!!」
「死んでなきゃあああ」
第26話より、自分が倒したはずのキンケドゥが生きているのを見て完全に精神が崩壊してしまった彼の台詞。最早、クールだった物語前半の彼の姿は全く存在しない。『第2次α』ではこれもDVE。
「く くく…ドゥガチ様が…私に世界をくれてもよいと…おっしゃったのだよ!」
「わ 私の手ですばらしい未来を!」
「正しき貴族の支配する美しい世界を…」
第26話より、最期の台詞。今際の際まで貴族主義に拘るが、支配者に相応しいと信奉する者は前述のようにとうに貴族による支配を否定しており、最期の時に相対したキンケドゥからも「(ザビーネが信奉する)貴族主義は初めから間違っていた」と断じられている。
一応自身が真っ当な貴族であろうとする姿勢自体は間違ってはおらず、支配する側に立つべき人間がどうあるべきかも正しく認識出来ていたものの「そもそも貴族主義においては支配する側に向く人間が少なく、仮に向いている人がいてもそれほどのカリスマや人格を持つ人物はそんな支配を快く思わない」という事実に最後まで気がつかなかった上に、没落貴族から1代で成り上がっていった事から来る「人を導く高貴な者」という意識に固執し過ぎて最後は皮算用から来る浅はかな行動に移り、最後はかつて忌み嫌った感情を処理できないゴミと化して散っていった生涯は、ある種の哀れみも感じられなくもない。

迷台詞

「馬鹿を言うな!お前が私の未来の姿だと…!?」
アーケードゲーム『機動戦士ガンダム EXTREME VS』シリーズにて、ベルガ・ギロス使用時にクロスボーン・ガンダムX2改を僚機にしてプレイすると聞ける掛け合い。
まさか自分自身が海賊に、ひいては精神が破綻している、まさに自分が言うところの「感情を処理できないゴミ」になっている未来が待っている事を信じたくないのも無理はないが…
「いくぜ!お前ら!」
「もう一発お見舞いしてやるよ!」
ソーシャルゲーム『ガンダムロワイヤル』でのクロスボーン時代のザビーネの戦闘台詞。
両時代のザビーネが見たら呆れそうなキャラ崩壊を起こしている。恐らくは台詞の担当者が見た目で判断した事と「宇宙海賊」の情報しか与えられていなかった等、公式の監修が不十分さが理由と思われる。

スパロボシリーズの名(迷)台詞

機動戦士ガンダムF91

旧シリーズ

「ロンド=ベルか…第3次大戦以来だな…まだ3~4ヶ月しかたっていないというのに、遠い昔の事のようだ」
「あれ以来、DCもすっかり様変わりしてしまった…当初の理想はどこへいってしまったのか…異星人と手を組むなど…」
第4次S)』「ポセイダルの野心」より。本来地球を侵略して来るであろう異星人と戦うための組織であったDCだが、いつの間にか本来倒すべきはずである異星人と組んで、地球連邦を倒さんとする本末転倒な組織になってしまった姿勢を嘆く。敵でありながらDCの姿勢に苦言を漏らすなど、原作同様に彼なりの信念やモラルは持っていることを示している台詞。少なくともノイエDCの方が彼の思想に合っていた事は明白であり、第3次大戦後に与する組織を間違えてしまったとも言えるだろう。
(カロッゾ…鉄仮面め…どうも、こいつは信用できぬ)
第4次S』「ポセイダルの野心」に於ける追加台詞。やはりカロッゾは信用できない模様。
「強化しても、感情をおさえきれんとはな・・・。この男も、それだけの男か」
「貴様には、もうつきあいきれん。DCも、もう終わりだ。私は降ろさせてもらう」
『第4次S』にて追加されたステージ「救出」より。人質を取る卑劣な作戦を展開した挙句、人質を解放されてしまい激昂する醜態に嫌気が指し、ザビーネはこのセリフの後カロッゾを見限りDCから離脱した。先述の台詞も合わせて、同作のザビーネは原作(特にクロスボーンガンダム時代)を知らないと潔さとモラルを持った良い人のように見えてしまう。

αシリーズ

「フッ…そのバイタリティは認めてやろう」
α』第25話宇宙へ向かうルート「クロスボーン・バンガード」に於けるジュドーとの戦闘前会話より。さしものザビーネも、ベルガ・ギロスを目の当たりにして「いい値で売れそう」と色めき立つジュドーの緊張感の無さには、苦笑を隠し切れなかった模様。
「ベラ=ロナを惑わす存在…私にとって後々の災いとなるのは確実だな。悪いが死んでもらおう!」
『α』第43話「宇宙に咲く妖花」に於けるシーブックとの戦闘前会話。ザビーネのこの言葉は『第2次α』にて現実のものとなる。
「所詮、あなたも感情を処理できない人種だったか」
『α』第43話「宇宙に咲く妖花」に於けるセシリーとの戦闘前会話。トップに立つべき人であっても離反という行為に対しては苦言を呈した。しかしながらこの発言の後にセシリーからの「人を導く存在が狂気に走れば数多くの犠牲が出ることを知った」「そんなクロスボーンバンガードには加担できない」という反論に対しては意味深な沈黙をしている為、ザビーネ自身も思うところがあった模様。

COMPACTシリーズ

「醜悪さではラフレシアも変わらんか」
COMPACT2』『IMPACT』でアプサラス隊を従えてロンド・ベルの迎撃に就くも、その威容をラフレシアと重ねて嫌悪感を口にする。
(どうする?この戦い…我がクロスボーン・バンガードに正義は有るのか?ええい!)
『IMPACT』でデビルガンダムすら利用しようとするカロッゾの狂気を目の当たりにして、明らかな迷いを見せるものの、貴族主義成立のため、ロンド・ベル隊に襲い掛かる。

機動戦士クロスボーン・ガンダム

「感情に溺れる貴様のような人間はクズだ。そのような人間に乗られてはせっかくの機体も無駄になる」
第2次α』アイビス編第8話「ザビーネ反乱」に於けるアイビスとの戦闘前会話。原作よりも更に酷い言い回しになっているがそのザビーネ自身が人のことを言える立場では無くなるのは皮肉だろう。
「かつてのパプテマス・シロッコの言葉通り…新しい世界の支配者はあなたのような女性が相応しいのです」
『第2次α』アラド編第9話「反乱と死の旋風」より。反乱を起こした際、原作でベラを誘拐する件の締めの台詞。どうやらαシリーズのザビーネは貴族主義に加えシロッコの思想にも共感していたようである。
「アンナマリー、 このまま木星帝国軍に合流する。 二人の『姫様』に失礼のないようにな」
『第2次α』アラド編第9話「反乱と死の旋風」orクスハ編第17話「二人の姫君」より。マザーバンガードを脱出してアンナマリーに告げる。しかしアンナマリーは・・・。
キンケドゥ「ザビーネめ…! 奴は鉄仮面のやり方を否定していたはずだ!」
ザビーネ「今でもその気持ちに変わりはない…」
ベラ「では、何故!?」
ザビーネ「ベラ様…全てはあなたのためなのです」
キンケドゥ「何だと…!?」
ザビーネ「増え過ぎた人類に裁きを下すのも貴族の尊い義務…しかし、このような残虐非道の振る舞いをあなたにさせるわけにはいきません」
ベラ「ザビーネ…!」
ザビーネ「だから、私が代わりにやってさしあげるのですよ!」
『第2次α』32話「妄執の妖花」より。木星帝国と共にバグとラフレシアによるロンデニオン襲撃を行なった際に、鉄仮面のラフレシアプロジェクトを嫌っていた事を指摘された際の反論。見ての通り既に言動に一貫性がなくなっており、この地点で精神が崩壊しかけているが、見方を変えれば『α』においてセシリーが人を導く存在が狂気に走る事を嫌悪した事への彼なりの回答と言えなくもない。尤も、その行動によって辿り着く先はかつてセシリーが危惧していた「数多くの犠牲」なのだが…
「ハハハ! ハハハハ!!」
狂気時の戦闘台詞。字面だけだと普通に笑っているように思えるが、音声を実際に聞くと狂った笑い方であり、聞いた者に強いインパクトを残す。
「ハハハハハ誰だ、お前はぁ!?私とキンケドゥの戦いを邪魔する気かぁ!?」
『第2次α』の「決着は人間の手で」及び「BEYOND THE TIME」より。かつての部下であるアンナマリーとの戦闘前台詞であるが、完全に精神は崩壊したために彼女のことすら頭から消え去っていた模様。アンナマリーには先述の原作の台詞をそのまま返されてしまう。
「ひゃーっはっはっは!プレイヤー、どうしてここにいる!?プレイヤァァァ!お前はゲームを終了したんだぞ?ダメじゃないか!ゲームをやめなきゃ!電源を落とさなきゃぁぁぁ!」
V中断メッセージ「キンケドゥとザビーネ」より。冒頭からいきなりこれ。梁田氏の怪演もあって凄まじいインパクトを誇る。
そして驚くべきはこれに対するキンケドゥの反応が「相変わらずだな」とさらっと流している事である。
「一度殺したはずのお前も生きていたのだ。そう驚く事もあるまい」
『V』第22話「赤い地球」より。生きていたことに驚くキンケドゥに対して。
当のキンケドゥがコックピットを貫かれた上で大気圏外から地球に蹴り落とされたのに生きていたのだから、大層説得力がある言葉である。
「愚問だな」
ガミラス木星帝国も目的は地球を滅ぼす事だ。手を組む事に何の不思議もあるまい」
同上。「何故木星帝国がガミラスに手を貸すのか」という問いへの答え。尤も、ガミラスにとっては地球などどうでもよく、ザビーネの真意もそれだけではないのだが。

搭乗機体

ジェガン
『F91プリクエル』。地球連邦軍入隊時の機体。
ベルガ・ギロス
『F91』での愛機。
デナン・ゲー
ベルガ・ギロスが被弾してしまった後は黒の部隊仕様のこちらに搭乗していた。
クロスボーン・ガンダムX2
『クロスボーン・ガンダム』での彼の愛機。ショットランサーを装備していた。また木星に降り立ったときにキンケドゥが仲間の無事を確かめていたときはポーズをキメていた。
クロスボーン・ガンダムX2改
X2のコア・ファイターがトビアに奪還されたので、残った本体を木星帝国の技術で復元した機体。しかし、当時の木星帝国の技術ではX2を完全に復元する事はできず、基本性能は低下しているが、狂ったザビーネの暴れっぷりからむしろこの状態の方が強く見えてしまう。ゲーム中でも明らかにX2より高い性能を誇っている。

スパロボでの搭乗機体

デナン・ゾン
COMPACT』。
ビギナ・ギナ
COMPACT2』。
α・アジール
第3次』。

余談

  • 劇場版前売り券に付属した『機動戦士ガンダム0083』第1話ビデオのリーフレットには、ザビーネ役としてジュドー・アーシタ役で知られる矢尾一樹氏の名が記載されている。矢尾氏はラジオ番組「青春ラジメニア」にて「僕が演じる予定だったのに、知らないうちに収録が終わっていた(笑)」と語っており、梁田清之氏に交代した理由は明らかになっていない。
  • 梁田氏は映画公開時の1990年は高音域を生かした二枚目キャラクターを演じることが多かったものの、スパロボなどゲーム作品で収録するようになった2000年代では低音を生かした演技にシフトしている。スパロボのザビーネも声質に大きな変化があるため、ゲームをプレイした後で原作アニメをご覧になる際は注意されたし。ただし、同じように後年収録したリュウ・ドルクは当時に近い高い声域で演じている。この差異については梁田氏のコメントがないため推論になってしまうが、スパロボに登場するザビーネが『F91』からおよそ10年経過した『機動戦士クロスボーン・ガンダム』であることが多いことを考慮し、役作りの一環としてあえて原典の演技を踏襲していない可能性もある。

脚注

  1. 1.0 1.1 ザビーネ・シャル|キャラクター|『機動戦士ガンダムF91』公式サイト 2020年3月21日閲覧。
  2. なおこのことに関してザビーネは「殺したはずのキンケドゥが生きてたのと同じ」とのこと。
  3. ベラはこの発言を受けた際に「そんな…あなたの都合のいいようにばかり…」と呆れ気味の反応をしていた。

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