ビームライフル
ビームライフル(Beam Rifle)とは、ガンダムシリーズに登場する兵器。
概要
小型のビームライフルをビームガン、ビームピストル、ビームスプレーガン等と呼び、大型のビームライフルをメガビームライフル、ビームバズーカ、ハイパーメガランチャー、メガバズーカランチャー等と呼ぶ。 「ライフル」と呼ばれるのは、外観が歩兵用の小銃(ライフル)に似ているからであり、ライフル本来の意味である「旋条」は関係無い。これは現実の歩兵用突撃小銃(アサルトライフル)などの総称としての用例と同じである。 この様に武器形状から名付けられている物もあるが、命名規則というものは無く語感の良さから名付けられている物がほとんどである。
各作品によってその設定が異なるため、以下に作品ごとの設定と特徴的なビームライフルを上げていく。
宇宙世紀において
戦艦に装備されていたメガ粒子砲をエネルギーCAPを用い、MSが手持ち携行装備出来るサイズに小型・省力化したいわば「携行式メガ粒子砲」といった趣の物。宇宙世紀のビーム兵器は厳密にはMAWS(Minovsky-theory Aapplied Weapon System=ミノフスキー理論応用兵装体系)、あるいはMBW(Minovsky Bame Weapon=ミノフスキービームウェポン=ミノフスキー粒子兵器)という分類呼称がされている。
本兵装を初めて装備したのは地球連邦軍のRX-78-2ガンダム及びRX-77-2ガンキャノンである。その後のMSの武装を大きく変容させMS標準装備となる。よくシャアの台詞から「当時の戦艦のメガ粒子砲と同じ威力が有る」と勘違いされているが、あの台詞は「あのモビルスーツは戦艦並みの(規模の出力の設備が無いと運用出来ない筈の)ビーム兵器を持っているというのか」というのが正しい解釈だったりする。またエネルギーCAP機構(及びそれを取り外し可能にしたEパック)自体はあくまで「射出弾体となる縮退寸前のミノフスキー粒子を保持する物」であって、「ビームライフル自体の稼動エネルギーを内包する物」ではない。ビームライフル自体の稼動にはMS本体からの供給が欠かせず、これはその点について特筆言及された例外の機体[1]以外の全てのMS共通の設定である。
なお、一般的に、ビームライフルとメガ粒子砲の違いはエネルギーの供給方法と装備方式から区別される。前者はMSの手持ちのライフル銃器型の兵器で取り回しが自由、エネルギー(正確には射出弾体となる「メガ粒子」)は専用カートリッジである「Eパック」から供給される。後者は機体本体に固定された武装で機体本体のジェネレーターから直接エネルギー供給されるのでビームライフルより威力が高い。ただし、固定武装のため射角が狭く、取り回しが不便。しかし、下記のように手持ちと固定式を選択できるメガビームライフルやダブルビームライフル、ジェネレーター直結式だが威力の低いナックルバスターなどの例外もある。またキュベレイ等のように、ビームガンと表現されるが固定武装にあたる場合もある。Vガンダムのビームライフルは本体供給とEパックの共用式へと進歩している。
Iフィールドやビームシールドと言ったビーム兵器に対する防御手段も開発されたが、U.C.0150年代(『機動戦士Vガンダム』の時代)においてもMSの主兵装であり続けた。
- ビームスプレーガン
- 連邦軍初の量産型MSであるジムが装備。銃身が短く、威力はガンダムのビームライフルを大きく下回る。後代にも同名のビーム兵器は少数見られるが、ジムの直接の後継機群はほぼ全てビームライフル(ただしその時代のガンダム等高級機の使うライフルより短銃身の物を使っている点はスプレーガン時代と似通っている)を装備している。
- ダブルビームライフル
- 正式名称:2連装メガビームライフル。ΖΖガンダムの兵装で、大出力(10.6MW×2)ビームライフル。デバイス内に複数のジェネレーターを持ち、更にMS本体からのエネルギー供給を受ける(構造的に腕部エンジンと直結する)ことで、MS用手持ち携行火器のサイズに収まりつつ、百式のメガバズーカランチャーに匹敵する威力を有する。更に連射を可能とする非常に強力な兵装となっている。
- 腕に固定装着した場合は、ビームライフルというよりはジェネレーター直結式の連装メガ粒子砲と呼ぶべき兵装である。そのくせ、Gフォートレス及びコア・トップの機首になるため、ビームライフルなのにコックピットが取り付けられているという前代未聞の武器。砲身は200射程度の使用が可能であるとされている。ただし、SRW内ではゲームバランスを考慮してか、通常のビームライフルと比較して若干攻撃力が上回る程度に抑えられている。
- メガビームライフル
- ΖIIの武装。MS形態では手持ちの大型ビームライフルであるが、WR形態では機体ジェネレーターに直結しエネルギーが供給され、Ζガンダムのハイパーメガランチャーに匹敵する威力を持つ。
- ナックルバスター
- ガザC、ガザDの兵装で、機体ジェネレーター直結方式のビームライフル。これは性能の低さの補助と、当時のアクシズにまだ居た旧ジオン軍艦艇にエネルギーCAPの充填施設を持たない艦艇が多かったためとされる。
- ガ・ゾウムのハイパーナックルバスターはジェネレーター直結方式からE-CAP式に変わった為、ナックルバスターより威力は低くなっている。
- ビームマグナム
- ユニコーンガンダム、バンシィ(小説版では標準装備だが、OVAではバンシィ・ノルンに装備)の兵装。一射で通常のビームライフル4発分相当の火力を誇るビーム(通称“マグナム弾”)を撃ち放つ。まともに直撃すれば大型MA級の機体をも沈める事が可能なばかりか、弾道に沿ってビームサーベルの様な閃光が走ることで、掠めた敵でも巻き込んで撃破することが可能。
- なお、弾薬型にしたEパック5つを連結した独自規格の弾倉を使用しており、一射毎に1つ排莢する。弾数は機体腰部に装着する予備弾倉2個と合わせても計15発しか所持できず、やや取り回しが悪いのが難点。
- V.S.B.R(ヴェスバー)
- F91、F90V-TYPE、V2アサルト/V2アサルトバスターの兵装。名称は「V.S.B.R.:Variable Speed Beam Rifle = 可変速ビームライフル」から来ている。
- 最大の特徴はそれまで単純に出力を上げたり機器を大規模化する事で威力を向上させるしかなかったメガ粒子ビームの「収束率と射出速度を無段階調節する事で、高速・高収束で貫通性の高いビームから、低速低収束のメガ粒子の反応による爆発威力の高いビームまで破壊対象に適切なビームを撃ち出せる」事である[2]。ジェネレーターに直結しているので出力そのものは高いのだが。
- UC0120~0130年代、最強クラスの威力を誇り、貫通力を重視すれば通常のビームライフルを無力化したビームシールドですら貫通する。ただし、ジェネレーターに直結させる関係上機体と繋がっている必要が有るので本体固定武装に近く、ビームライフルというよりメガ粒子砲に近い。F91のヴェスバーは大容量メガコンデンサが内蔵されており、本体との接続を解除しても数発程度なら発射可能であった。U.C.0150年代に於いても使用されており、V2アサルトガンダムに装備されている。形状はフォーミュラシリーズなどが装備していた物とは異なり、ハードポイント接続専用のビーム砲化したためか手持ちグリップ及びグリップホルダーがオミットされ、また開放バレル方式となっている。威力は高い防御力を誇ったアインラッドを搭乗してるMSごと撃破できるレベル。
未来世紀において
詳細な原理は不明。ジョンブルガンダム、デスアーミー等が装備している。
アフターコロニーにおいて
この世界においてはトールギスのドーバーガンが初のMSビーム射撃兵器である。
- ドーバーガン
- この世界の最初のビーム兵器に当たるカートリッジ式の銃器。主にトールギスが装備する。射撃時の反動が大きいためマズルブレーキ式を採用し、更に右肩に固定、右手で保持して使用する。旧式ではあるがガンダニュウム装甲を破壊可能な威力を持つ。
- ビームと実体弾を使い分けることが可能であり、『OE』でその設定が再現された。同じ装備を一部のリーオーが使用している。こちらは両手で保持している。
- バスターライフル
- ウイングガンダムの武装。圧縮されたエネルギーをビームとして撃ち出す。発射されるビームは射軸を中心とした周辺の大気を一瞬にして電離(イオン化)させ、半径150mに渡る範囲に激烈なプラズマ過流と数十kmに渡る超高熱を引き起こすほどの威力を持つ。
- バスターライフルはカートリッジ式、低出力でも発射が可能で、最大出力では1発ずつ発射可能な弾倉を3つ備える(EW版はそれに加えて予備弾倉を最大6発持つ)。最大出力時は中規模都市一日の消費電力に相当する。
- 強力過ぎたウイングガンダムゼロのツインバスターライフルの反省から威力はこれの50%以下に抑えられ、3発という弾数制限を設けたが、それでも桁外れの威力がありウイングガンダムの機動力を合わせることで戦略兵器としても扱える程。エネルギー経路がライフル内で閉鎖されたカートリッジ式のため手で携行し発射時の衝撃に耐える事さえ出来ればウイングガンダム以外でも発射可能[3]である。
- ツインバスターライフル
- ウイングガンダムゼロ、ウイングガンダムゼロ(EW)の武装。2挺のバスターライフルを平行連結した大型ビームライフル。威力は、ウイングガンダムのバスターライフルの倍以上で、最大出力では18km程のスペースコロニーやそれよりも巨大な衛星を破壊可能な威力がある。また、ウイングガンダムゼロはカートリッジ式でなく、機体ジェネレーターからの直接供給式のため、機体のエネルギーが続く限り安定した連続発射が可能。当然ながら低出力での発射も可能。漫画版ではこの性質を利用し、6機のガンダムからエネルギーを供給してリーブラを一撃の下に沈めている。
アフターウォーにおいて
詳細な原理は不明。連邦・革命軍MSの双方に標準装備として普通のビームライフルが存在する。 基礎技術力は宇宙革命軍の方が高く、宇宙革命軍の量産型MSが強力なビームライフルで次々と新連邦のMSを破壊するのを見たフリーデンチームやフロスト兄弟がその威力に驚き感心する場面が存在する等、両者の技術水準(ビームライフルの威力)は全く同じではない事が伺える。
また、バスターライフルと呼ばれる通常より強力なガンダムタイプ専用のビームライフルをガンダムエックス、ガンダムダブルエックス、ガンダムエアマスターが装備している。 上記(アフターコロニーの項)の同名の装備とは違い、アフターウォーにおけるバスターライフルとはガンダムタイプの使用する高出力型ビームライフルといった意味合いであり、量産機よりも出力・威力が高く、機体毎に専用のカスタマイズが施されているので名前は同じでも性能や特性はそれぞれ全く異なる別物である。
- シールドバスターライフル
- ガンダムエックスが装備。シールドと一体化式で通常の3倍の装甲を有する。サテライトシステムからのエネルギーを流用しており高出力。高威力な分エネルギー消費も大きいがサテライトシステムによる無尽蔵のエネルギー供給によりスーパーマイクロウェーブを受信可能な環境であれば無限に使用可能。
- バスターライフル×2
- ガンダムエアマスターが装備。2丁1セットで両手に装備し2丁拳銃スタイルを取る。通常ビームライフル以上の高出力を持ちながら高機動戦闘用に半分以下の重量という軽量化がされている他、連射性能も非常に高い。
- DX専用バスターライフル
- ガンダムダブルエックスが装備。他のバスターライフルに比べ大型だが徹底的に軽量化され構造もシンプルで信頼性も高い。長銃身により集束率が高く、火力も通常ビームライフルの数倍の威力を発揮する。
以上の設定を反映してか、一部のSRW作品ではビームライフルよりも高威力・高射程だが移動後使用不可で弾数が少ない武装となっている。
正歴において
∀ガンダムのビームライフルは、粒子を固有振動により収束させ発射する共振粒子砲(リフェーザー砲)。ただし、スモーのビームガン等はメガ粒子砲。
コズミック・イラにおいて
高エネルギーにより励起された荷電粒子やプラズマ等を臨界まで圧縮し光速で射出する指向性エネルギー投射兵器。専用弾薬が必要となるが、ビーム発振器内には半永久的に撃ち続けられる程の弾薬が貯蔵されている。しかし、ビームライフル稼働に膨大な電力が必要であるため、使用可能な時間はMS本体のバッテリーに依存している。PS装甲による消費と合わせて、電力消費と稼働時間はこの時代のモビルスーツに特有の問題点である。
西暦において
GNドライヴ本体あるいはGNコンデンサーからGN粒子を供給・圧縮し、破壊力を持つビームにして撃ち出すもの。ビームライフルやビームサーベル等のビーム兵器の技術は元々ソレスタルビーイングのみが保有していたが、組織を裏切ったアレハンドロ・コーナーによってビーム兵器の技術が国連軍の側へともたらされることとなる。
なお、オリジナルのGNドライヴと擬似GNドライヴとではビームの色も異なっていて、オリジナルのGNドライヴのものはピンクなのに対して、擬似GNドライヴのそれは真紅である。また、擬似GNドライヴのビームは人体には有害[4]であり、擬似GNドライヴを提供された国連軍(後の地球連邦軍)もその有毒性を考慮して改良。その結果、2ndシーズンの時点ではほとんどの擬似GNドライヴ搭載機のビームの色がオレンジになっている。
アドバンスド・ジェネレーションにおいて
ヴェイガンのガフランやバクト、ドラドといった前期~中期量産型モビルスーツの標準装備。本体と一体型の装備となっており、ドラゴンの尻尾をイメージしている。ドラゴン形態時はフレキシブルに可動し、人型形態のときは担いだり腰だめにして使用する。中距離戦用のビームバルカンに対してこちらは遠距離戦や支援砲撃で使用する。コロニー国家戦争時代の遺産、ヴェイガンギアの「デルタゲイザー」が大元となっている。
- ビームスプレーガン
- UEの脅威に伴い再編された地球連邦軍初期のMS、ジェノアスが装備していたビーム兵器。『銀の杯条約』によるスペック制限と技術廃棄による技術後退の影響で威力は低く、戦車を制圧できる程度の威力しか持たない。条約を無視しているヴェイガンのMSにはまるで通用しなかった。
- ドッズライフル
- ビームスプレーガンが通用しないガフランの装甲に対してAGEシステムが作り出した兵器。ビームをドリル状に回転させながら射出することで貫通力を飛躍的に高め、UEの装甲をも貫く高い破壊力を持つにいたった。バクト以降のMSが所持している電磁シールドとはやや相性が悪いのが難点。UEを撃破出来るその威力は当時としては画期的で、アンバット攻略作戦前に簡易量産型のドッズガンが急遽量産され、全MSに支給され戦果を挙げた。その後ドッズガンは連邦軍MSの標準装備となり、アセム編以降も様々なタイプのドッズライフルが終戦までの戦線を支えることとなる。
スパロボシリーズにおいて
SRWにおいても、殆どのMSが装備している。
攻撃力はMSの持つ武装内においては中程度、作品によって特殊スキル撃ち落としで使用される武器でもある。基本的に弾数制で弾数も10発程度と比較的多い。主に雑魚敵・反撃に使用する。設定の違いにかかわらず、基本的にビーム兵器としてひとくくりにされる。
旧シリーズにおいては中距離まで届く射程を持ち、足を止めて使用するものだった。『α』や『COMPACT2』からP属性のビームライフルを持つ機体が登場し始め、その後のシリーズでは、ほぼ全てのMSのビームライフルはP属性となった。作品によってコンボ属性を持つ。ただし、大型であったり高出力なビームライフルにおいては、高威力・長射程・移動後使用不可といった性能になっている。
戦闘アニメも変化しており、旧シリーズではビームを1発だけ発射するものだったが、『α外伝』のHi-νガンダムのビームライフルのアニメを皮切りに、ビームを連射したり、1~2発目は牽制で撃ち3発目を命中させるなど様々なパターンが存在する。
他作品のビームライフル
『銀河疾風サスライガー』の主役ロボット・サスライガーが使用する銃は、名称もズバリ「ビームライフル」である(ただし、「ブラスターシュート」という別名で記載している資料も)。
『勇者特急マイトガイン』に登場するメガソニック8823も「ビームライフル」を装備し(ウォルフガング曰く「最強のビームライフル」)、試作機にあたるソニック改め飛龍もジョーが「ヒリュウブレイザー」と改名して装備させている。
『エウレカセブンAO』の最終主役機にあたるニルヴァーシュ トゥルースも「ビームライフル」を装備する。なお、それ以前の機体であるRA272 ニルヴァーシュでも実弾・ビームの双方を発射する描写があるが、設定として「ビームライフル」と称するのはトゥルースとなった時のみの模様。
『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』の機動兵器ラグナメイルも「ビームライフル」を基本装備にしている。
また、ガンダムシリーズのパロディないしオマージュとしても、フルアーマー電童やケロロロボMk-II等が使用している。
ビームライフルと名のつかない他作品のビームライフル様兵器(携行型の非実体弾式火器)としては、『重戦機エルガイム』のパワー・ランチャー、『蒼き流星SPTレイズナー』のレーザード・ライフル、『マクロスシリーズ』のビームガンポッド、『コードギアスシリーズ』のVALIS等がある。
バンプレストオリジナルにも「ハイパー・ビームキャノン」や「メガ・ビームライフル」、「マグナ・ビームライフル」、「ハイパー・ビームライフル」などが登場しており、OGシリーズでは主に換装武器として扱われる。
余談
- Vガンダムのビームライフルが過去になりきり玩具で発売された。
脚注
- ↑ その典型がガンダムMk-IIやΖガンダムである。
- ↑ よく「出力や威力の高低を変化させる物」と勘違いされるが出力の高低変化機能はグリプス戦争期のガンダムMk-IIのビームライフルで既に登場済みであり、また第一・第二次ネオジオン紛争期の機体のビームライフル・メガ粒子砲にも出力の高低変化機能と考えられる記述が散見される為、それ等に準じた「出力・威力の高低の可変」を目的に開発されていない事が解る
- ↑ 極端な形ではドクターJがコロニーに据え付ける形で「単装砲」として使用した例がある
- ↑ 実は本編開始前の時点において、オリジナルのGNドライヴのビームもまた有毒性が指摘されていたのだが、イアン・ヴァスティがオリジナルのGNドライヴを改良したため、ビームの有毒性が除去されている。
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