特攻
特攻とは、「特別攻撃」の略称。本項目では「自らの生命の危険を顧みずに実行する攻撃」を指すものとする。
概要
太平洋戦争において戦力的に劣勢に立たされた旧日本軍が組織した「神風特別攻撃隊(しんぷうとくべつこうげきたい)」、または彼らが実行した捨て身の突撃戦法が名称の由来。本来は「しんぷう」と呼ぶのが正しいのだが、一般には「カミカゼ」の名前で知られている。
実行すれば成否に関わりなく命を落とす攻撃を正規の作戦として採用したのは旧日本軍のみとされているが、パイロットが各自の判断で行った体当たり攻撃は世界各国で報告されており、ロボットアニメにおいても後者の特攻が描かれる例が多い。歴史の浅い航空機に限らなければ同種の戦法自体の歴史は広く古く、生身で爆薬を抱えたり、艦船に火薬を満載したりして不帰の突貫を行うような例は、世界中の多くの記録に残されている。
フィクションにおいて
ロボットアニメでも自勢力が窮地に陥った場合、状況を打開するために、特攻を仕掛ける人物が出る場合がある。ロボットものに限らずフィクションの作品を語る上では、上層部の命令でなくとも、上述したような死を賭した捨身の突撃全般を「特攻」と表現する場合が多い。
ロボットアニメでの用いられ方は、大きく分けて「主要な味方キャラが特攻」「敗北間近の敵将が最後の手段として特攻」「名無しかそれに近い一兵士が特攻」の3通り。いずれの場合も作品の山場で使われることが多い。
スパロボでは
スパロボでも、重要イベントとして特攻は度々描写される。昔のスパロボではイベントで特攻した味方はそのまま登録が抹消されたが、最近の作品ではクリア後に無条件、あるいは特定条件を満たすと生存が確認され、継続使用が可能な場合も多い。
なお精神コマンドの「自爆」は、機体を爆発させて相手にダメージを与える手段だが、パイロットが死ぬわけでは無い。精神コマンド的には、特攻はむしろ捨て身が近いと言える(武蔵やスレッガーなど、原作において特攻と呼べる行動を取った人物が修得することが多い)。
特攻を敢行した人物
スーパー系
- あしゅら男爵
- ブードでマジンガーZに特攻して死亡する。
- 機械獣あしゅら男爵となった『真マジンガーZERO』でも劣勢になりマジンガーZに特攻しようとしたが、甲児の咄嗟のフラッシュバックビジョンで奥の手を読まれて敗死した。
- 巴武蔵
- 最終回で単身コマンドマシンに乗り、無敵戦艦ダイに特攻。ただ、彼自身は生きて帰る事を望んでおり、攻撃でコントロールを失ったコマンドマシンがたまたまダイへの内部に突入に成功した形なので、特攻といえるかは実は微妙。
- 漫画版と『真対ネオ』では、ゲッターロボのエネルギー炉を引き抜き暴発させて、恐竜帝国の軍勢を巻き込んだ。
- SRWでは『第3次』でゲッター3でダイに特攻している。
- 夕月京四郎
- 第9話でガルバーFXIIで特攻。しかし無事に生還し、同型機で最後まで戦い抜くという、戦闘機乗りのお約束である「特攻して死亡」というパターンを見事に回避している。
- 神宮寺力
- 妖魔巨烈獣バラゴーンにブルーガーで特攻。コープランダー隊唯一の戦死者となった。
- 剛光代
- ボルテスチームを救うため戦闘機でバイザンガに特攻。SRWでも『新』や『J』のイベントで再現されている。
- 神ファミリー
- ガイゾックとの最終決戦は特攻のオンパレードであり、恵子、宇宙太、勝平の祖母と父、恵子の祖父と、多くの命が散ってしまった。
- マーグ
- OVA版ではマーズを救うためゼーロンに特攻。
- 火麻激
- 鼻原種と原種融合した腸原種に対し百式司令部多次元艦「スサノオ」で特攻をしかけるが、マイクロブラックホールで艦ごと飲み込まれてしまい不発。キングジェイダーが腸原種を倒したことで無事生還した。
- 勇者ロボ軍団
- ピサ・ソールの無限再生を止めるためにソール11遊星主のラウドGストーンを捨て身で爆破した。
- 加藤久嵩
- アニメ版ではテルミノ・クレメンティアの作戦時、シャングリラでグラン・ネイドルへと特攻をかけて撃沈、両者とも死亡。
- 石神邦生
- アニメ版では加藤ともに特攻(石神はこの時点では既にプログラム上の存在であったが)。原作漫画版では、ヒトマキナの転送フィールドをジュダの転送フィールドをぶつけることで相殺を図った。
- 旋風寺舞人、グレートマイトガイン(ガイン)
- 洗礼ロボとの戦いでガードダイバー、バトルボンバーが破壊され、魔のオーラへの対抗手段もない状態で怒りに任せて空中戦艦ブランカに特攻。そのまま無駄死にするところだったが、サリーのイノセントウェーブが発動した事で勝利した上で生存した。
- 雷張ジョー
- インペリアルに轟龍で特攻し、撃破と同時に爆発に飲み込まれるが、エピローグで顔の傷以外は無傷で生還している。「不死身の男」の称号は伊達ではないという事か。
- 宇宙怪獣
- 最終話でバスターマシン3号に数百万隻単位で特攻し、ノリコとカズミが1万2千年も漂流する要因を作る。
ガンダムシリーズ
- ガルマ・ザビ
- ガウでホワイトベースに特攻を図るが、ホワイトベースに撃破される。
- リュウ・ホセイ
- クラウレ・ハモンの乗るマゼラトップに隙を狙われたガンダムを救うためにコアファイターで特攻。
- ドズル・ザビ
- ソロモン戦終盤、敗北濃厚となり要塞放棄を決意、その際退却する味方を援護すべく地球連邦軍主力艦隊に特攻した。結果、地球連邦軍ティアンム艦隊の多数の艦艇を撃沈、司令官のティアンムを自身の道連れにしている。
- スレッガー・ロウ
- ビグ・ザムに特攻し、結果的にビグ・ザムのIフィールドを破った。TV版ではGファイター、劇場版ではコアブースターで特攻。
- シロー・アマダ、アイナ・サハリン
- 満身創痍のEz-8を駆り、ギニアス・サハリンのアプサラスIIIへ特攻。アイナは特攻を敢行した人物としては珍しい、大きな負傷もなく生存した人物である。
- アナベル・ガトー
- 星の屑作戦成功後、損傷したノイエ・ジールで地球連邦軍艦隊に特攻。
- ベン・ウッダー
- ホンコン・シティでの戦いで、スードリ(劇場版にてガルダ級)でアウドムラに特攻をかける。部下には退艦命令を出したが、残る者も多かった。
- カミーユ・ビダン
- Ζガンダムのウェイブライダー形態でパプテマス・シロッコのジ・Oに突撃し撃破するが、精神崩壊した(TV版)。
- スパロボではΖガンダムの武器に「ウェイブライダー突撃」として実装されている。
- オリファー・イノエ
- V2のコアファイターでバイク戦艦に特攻した。
- ロベルト・ゴメス
- 若者たちを退艦させた後、残った老人たちと共にリーンホースJr.で特攻をかけモトラッド艦隊を全滅させた。
- ギリ・ガデューカ・アスピス(「鋼鉄の7人」メンバー全員)
- 「鋼鉄の7人」作戦の最中、カリスト兄弟の猛攻により乗機が大破寸前となり、一矢報いる事のみを念じてコロニーレーザー「シンヴァツ」へ特攻。その衝撃によりほんの僅か傾いたシンヴァツの砲口は標的の地球を大きく外した。
- 彼に限らず「鋼鉄の7人」作戦は、元より目標宙域における生存自体が微々たる木星レジスタンスの働き頼み(もちろん作戦成功が前提)であり、いわば計画全ての特攻性が高い作戦であった。
- サリィ・ポォ
- リーブラの主砲を潰すためにピースミリオンを特攻させる。事前に非戦闘員を脱出させており、また特攻後も船体は多少損傷した程度でリーブラに串刺し状態になっただけのため、乗員は全員生存している。
- ジャミル・ニート
- ガロードを宇宙に上げるため、ガロードおよびガンダムダブルエックスが乗っているシャトルの狙撃をしようとしていた敵艦・バンダールII世にフリーデンで特攻した。
- 厳密には、特攻を仕掛けると言い出したのはクルーのサラ・タイレルであり、ジャミル自身はガンダムエックス・ディバイダーに乗って艦外で戦闘中であった(しかし、フリーデン所属の全MSをフリーデン上に召集し防衛する命令を出しており、実質的に一緒に突っ込んでいる)。
- なお、特攻直前に総員退艦命令が出されており、全員が生存する(しかし、ほぼ着の身着のままの脱出に近かったため、後に新連邦軍に拘束されている。)
- 量産イノベイド
- CB・カタロン・連邦勢に大量のガガで特攻。ちなみに、特攻を仕掛ける直前のトランザム発動シーンはネタ要素も高い。
- アンドレイ・スミルノフ
- 地球に迫る大型ELSを喰いとめるためにGN-X IVでトランザムを発動させ、機体を侵食されながらも特攻を敢行する。
- グラハム・エーカー
- ELSとの対話に臨む刹那の道を切り開くために、侵食を受けながらも自爆による特攻でELS中枢部への道を切り開いた。
- GN-X IVのパイロット達
- 最新の量産型MSを以てしても太刀打ちし難いELSに対し、多くのパイロットがアンドレイらと同様の戦法を採らざるを得なかった。あまりに多用されたが故にトランザム搭載MSが禁忌となってしまった事こそが、『00』世界のMS史への最大の影響とも言える。
リアル系
- ガルド・ゴア・ボーマン
- ゴーストX-9を撃墜する為に搭乗機のYF-21のリミッターを解除して特攻。機体は大破はしていない(OVA版ではそのまま爆散した)が、パイロットのガルドはGに耐え切れず死亡。
- 金竜
- 惑星ラクスでの大気圏内戦闘にてVF-11CFA サンダーボルトに無断で搭乗、出撃を行い敵艦に「突撃ラブハート」を歌いながら突撃、そのまま破壊すると同時に自身も巻き込まれて死亡した。
- スレイ
- チラムの追手からファクトリーを逃がすため囮となって特攻死する。
- ブレラ・スターン
- 自力でインプラントを引きちぎってクイーン・フロンティアに特攻し、電脳貴族を道連れに死亡した。
- エイブ・タマリ
- 主君エレ・ハンムの死後、ゴラオンでゲア・ガリングに特攻。また、『ダンバイン』劇中ではオーラバリア対策として地上軍の戦闘機が特攻をかけている(ただし、パイロット達は突入前に脱出し、最後の突入は無線操縦で機体をコントロールしている)。
- シンジロウ・サコミズ
- 劇中で行ったわけではないが、地上にいた時に太平洋戦争に従軍しており、特攻隊に所属していた。
- 実際に特攻をかけた際にリーンの翼の導きで異世界バイストン・ウェルに飛ばされ……というのが、原作小説版。OVA版は、そのIFの後日談という位置づけ。
- エルク・ドメル
- 七色星団の戦いでヤマトに敗北すると、乗艦のドメラーズIII世のブリッジ部分を切り離してヤマトの第三艦橋に取り付いて自爆する。旧作では第三艦橋が完全に消し飛ぶ程の損害を与えたが、『2199』では波動防壁に防がれて無傷だった。
スパロボで特攻を敢行した人物
スーパー系
- ブロッケン伯爵
- 『スーパーロボット大戦F完結編』で、飛行要塞グールで新早乙女研究所へ特攻を敢行するが、真・ゲッター1のストナーサンシャインの一撃で失敗に終わる。
- ヒドラー元帥
- 『スーパーロボット大戦Z』でグラー博士をアクエリオンの攻撃から庇って彼を逃がし、百鬼帝国の将来を案じながらメカ要塞鬼で月光号に特攻、死亡する。
- ガンダル司令
- 『スーパーロボット大戦D』では、シナリオ「死闘!ギシン星最終決戦!(前半)」で、裏切りを起こした自らの半身レディガンダルを殺害した事で自分の命も残りわずかとなったため、マザーバーンでブルー・スウェアに特攻する。
- ここでは1EPから自軍めがけて移動し、味方ユニットに隣接すると自爆するため、近寄られる前にマザーバーンを撃墜しなければならない。
- グラサン・グリン
- 『スーパーロボット大戦UX』第30話「大いなる胎動」にて、零影と飛影の戦闘を見て忍者伝説の真相(=今起こっている戦いが、未来においてその伝説となる)に気付き、それを覆そうとエルシャンクに特攻をかけた。結局直前で回避されて失敗、艦の落下地点にいたエンネアを巻き込むことに。
- キバの輩、ガラン軍兵士
- 『スーパーロボット大戦UX』第47話「HEAVEN AND EARTH」にて、第42話ユニオンルート「リザレクション」においてキメラを洗脳した際のデータを利用して、バジュラを操るためのインプラント弾のデータ収集兼試金石として人類軍の手で脳波制御されてしまい、無理矢理エルシャンクに特攻させられる。
- かつての敵ではあったが、悲鳴を上げながら爆死していく彼らの姿にショックを受ける者や「作られた人間」の末路に絶叫する者、平然と他人を特攻させる事に怒号を上げる者もいた。
- 『無敵超人ザンボット3』においてガイゾックの手によって行われた人間爆弾を連想させられるが、これはよりにもよって人の手で行われている。スパロボ史上屈指の陰鬱な特攻シーンと言える。
- 紫東遙
- 『スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd』の最終話で、ユキムラにトドメを刺されそうになった綾人を救う為にバレンティナと共にミデアでユキムラの駆るアゾエーブに特攻し、綾人を救うが、ユキムラの攻撃によってバレンティナと共に死亡する。
リアル系
- マーダル
- 『BX』45話「伝説の光芒」にて、自身が起こした惑星ランプレートでの戦乱でランプレート人に感情が起こったためにその感情を糧にしてZマスターが誕生、惑星ランプレートが機界昇華されるのを防ぎ、かつ自身の行いの後始末をつけるべく、残されたザ・パワーを抱えてジェイアークに乗り込み共に内部の心臓原種に特攻、相打ちとなった(フラグが成立していなければハイも特攻)。
ガンダムシリーズ系
- エギーユ・デラーズ
- 『第4次スーパーロボット大戦』で、ノイエDCをガトーに託し、ゲスト軍に戦艦ごと特攻した。
- ジェリド・メサ
- 『スーパーロボット大戦F完結編』のポセイダルルートで条件を満たすとシャピロの「マウアーもクローンとして復活させてやる」との台詞により激昂し、シャピロに特攻、戦死する。
- 余談だが、原作である『機動戦士Ζガンダム』第30話のサブタイトルは「ジェリド特攻」である。
- バスク・オム
- 『スーパーロボット大戦F完結編』の「野望の果てに」で敵が13機以下になると増援が登場するが、この時まで彼が生き残っていると、DCルートシナリオ「ファイナル・オペレーション」にてシロッコにドゴス・ギアで特攻して死亡するイベントが発生する。
- トレーズ・クシュリナーダ
- 『スーパーロボット大戦F完結編』では最終シナリオでトールギスIIに搭乗し、ヴァルシオンに特攻して死亡する。
- 『スーパーロボット大戦D』では、最終決戦でトールギスIIに搭乗し、何度も復活を繰り返すペルフェクティオの乗るファートゥムに特攻して死亡する。
- ギルバート・デュランダル
- 『スーパーロボット大戦L』では、メサイア陷落後の次の話で、ネオスゴールドのバリアに捕まったLOTUSを助ける為、メサイアでクトゥルフ要塞に特攻して死亡する(フラグが立っていなければレイもそれに付き合う)。
バンプレストオリジナル
- バン・バ・チュン
- 『スーパーロボット大戦OG2』より登場。
- オペレーション・プランタジネットの最終局面で、部下のユウキやカーラ達に未来を託し、ビアンの遺児であるリューネの身を案じながら、インスペクターに対してライノセラスで特攻して散った。
- その死に様は、メキボスによって、「…今時流行らねえんだよな、ああいうの」と一蹴されているが…。
- オウカ・ナギサ
- 『スーパーロボット大戦OG2』より登場。アースクレイドルでの決戦で自分を取り戻したが、最期はラピエサージュで、マシンセルの暴走により復活したアギラを道連れに自爆。
- ちなみに、彼女の名は太平洋戦争で使われた特攻機「桜花」と同じで、寺田プロデューサーからもそのことが明言されている。
- リー・リンジュン
- ユーゼスの企みを挫くべくエア・クリスマスで突撃をかける。その一撃で座標を確定した後、アダマトロン内部へ転移・自爆するという壮絶な最期を遂げる。
- バレンティナ・レアニカ
- 『スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd』の最終話で、ユキムラにトドメを刺されそうになった綾人を救う為に遙と共にミデアでユキムラの駆るアゾエーブに特攻し、綾人を救ったが、ユキムラの攻撃によって遙と共に死亡する。
- ケイジ・タチバナ
- 『スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd』の最終話で、最終決戦の末、Aフォースのほぼ全員が満身創痍の中、ユキムラが再び「破滅の波導」を放たんとした時、天羽々斬で彼の駆るアゾエーブに特攻し、相討ちとなって死亡した。
- 2019年現在、バンプレストオリジナルの主人公中唯一の死者。
- ランド・トラビス、セツコ・オハラ
- 『スーパーロボット大戦Z』最終話で、時空修復を行おうとしているZEUTHを妨害にきたジ・エーデル・ベルナルを止めるため、彼の乗機カオス・レムレースに組み付き、自機のスフィアをわざと暴走させて自分もろとも次元の狭間へと放逐した。
- その後の主人公の運命はエンディングの種類によって変化する。
- カルロス・アクシオン・Jr.
- 『第2次スーパーロボット大戦Z再世篇』にて、ZONEブレイカーを積んだ輸送機に乗り込み、ZONEの暴走を止めようとするクロウに変わって特攻して死亡した。
- エルリック・シャルティール
- 『スーパーロボット大戦K』で、ル=コボルの駆るアルケウスを撃退すべく突撃をかけた。パワー不足で企図を果たせず、そのままイディクスに拘束。ガズムもしくはル=コボルの器として使われることに。
余談
- 「トッコウ」「カミカゼ」は日本以外での国(主にかつて「特別攻撃」を受けたアメリカ)でも通用する言葉であり、2001年のいわゆる「9.11」同時多発テロ攻撃を「カミカゼの再来」と評する向きもあった。
- 統帥の外道と称された通り、悲劇的な作戦であった特攻作戦だったが、一方でアメリカ軍が受けた損害も大きかった事が近年になって判明している。
- 人的損害に限っても、特攻を行った日本軍の戦死者は5300人余りに対し、アメリカ軍の戦死者は3倍近い15000人以上にも達しており、戦後、アメリカ海軍上層部は口を揃えて「カミカゼこそ、我が軍に最大級の損害を与えた作戦(正攻法の作戦では殆ど歯が立たなかったということでもあるが)であった」と語っている。(とはいえ、日本軍の戦死者はほぼ全員航空機パイロットであるのに対し、アメリカ軍の戦死者はほとんどが艦船の乗務員である)また、最終的な戦果は護衛空母3隻、駆逐艦31隻、輸送艦50隻ほどで、スパロボで言えばνガンダムに乗ったアムロが機体ごと永遠に失われるのと引き換えに宇宙怪獣上陸挺を倒す(シンジロウ・サコミズの乗った桜花に至っては戦果0である)なものだった。パイロットと機体が確実に失われる以上、戦争が長引いていれば人的資源も物資も払底して実行できなくなったであろう。
- 航空機や人間魚雷による体当たり攻撃の他、軍艦が帰還を前提にせず出撃する『艦隊特攻』も行われた。大戦末期、戦艦大和が僅かに残存した艦艇と共に沖縄救援のために出撃したが、圧倒的な米軍の航空攻撃に成すすべもなく、坊ノ岬沖で轟沈している。
- 航空機に爆弾を積んでの体当たりというのは他国でも研究されており、アメリカ軍は対ドイツ用に無線操縦で体当たりさせる無人爆撃機を開発していた。
- また、ドイツ軍でも連合国の爆撃機に対し体当たり攻撃を行う部隊が結成されたことがある。ただし攻撃後に脱出できる可能性も十分にあり、危険が極めて高い作戦ではあったものの、日本軍の特攻のように確実に死亡する作戦ではなかった。
- 第一次大戦では、ロシア帝国の空軍パイロットが「タラン」と呼ばれる航空機による体当たりを敢行する事があった。
関連項目
- 自爆
- 特攻とほぼ同じ目的、或いは手段である事が多い。一方で「自爆装置はロマン」などとギャグテイストで扱われたり、特攻とは一線を引いたイメージも古くから定着している。