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2022年12月26日 (月) 22:02時点における版
世界征服は、文字通り世界の全権を掌握することであり、様々なフィクションにおいて戦略的目標に掲げられる行為を指す。
概要
世界の全てを自身の政権が統治する行為の事。具体的にどうすれば「世界征服」が完了するかは、現実世界における成功例がないため明確な定義は存在しないが、「他の独立勢力の反抗を許さず、全ての経済システムを掌握し、自身の制定した法律が世界全土の統一法となる」くらいになれば、世界征服は完了したと言える。そういう意味では地球連邦政府は世界征服を達成した組織といえるのかもしれない。
多くの作品で敵キャラクター、そして一部の作品では主人公たちがこれを成し遂げようとし、そこで戦いが巻き起こるというのが常である。
「世界征服」は基本的に地球人が使用する事が多く(なお地球を舞台としない作品においても、その作品の世界に対する侵略行為の意味で用いられる)、異星人や異次元人などルーツが地球に無い勢力が行う場合には「地球征服」「地球侵略」と称される。後者の場合、自分たちの母星で言えば世界征服は完了しており(後述の通りレジスタンスなどもいるケースがあるが)、更なる拡大を求め他の星々を征服しようというコーポレートガバナンスが更に大きく「全宇宙支配」などになっているケースもある。
何れにせよ、方法の如何を問わず地球の全国家の政権を打倒したとして、次に問題となるのはその後の統治方法である。統治者は世界征服を成し遂げた以上、「人類全滅」などを考えていない限りはその国体を護持せねばならず、その為にはインフラを整え国民が納税し経済を回し安定した社会基盤を築く必要がある訳だが、そこまで描いている作品はほとんど無く基本的に征服地に対する一方的な搾取が大半を占めている。特に「地球侵略」が成功した場合を描いている作品では、征服者側のそもそもの価値観が全く地球人とは異なるため、人類が奴隷化され、地球が半ば侵略者の私物と化すケースが多い。
世界征服/侵略の目的
目的が明かされない作品も多いが、中には武力介入に至った経緯や理由を明確に描いている作品も見受けられる。
- 国力の増強
- 領地や権威を拡大し国力を増強する事を目的とした、最もオーソドックスな侵略理由。異世界やほかの星などが舞台で、リアルな戦術・戦略が描かれる作品はこの系統の敵が多い。
- 妖魔帝国(勇者ライディーン)
- 百鬼帝国(ゲッターロボG)
- ボアザン星人(超電磁マシーン ボルテスV)
- ザール星間帝国(未来ロボ ダルタニアス)
- ドレイク軍(聖戦士ダンバイン)
- 邪竜族(覇王大系リューナイト)
- ディガルド武国(機獣創世記ゾイドジェネシス)
- 大ゾギリア共和国(バディ・コンプレックス)
- ジャロウデク王国(ナイツ&マジック)
- ゲスト/ゾガル(バンプレストオリジナル)
- バルマー帝国/ゼ・バルマリィ帝国(バンプレストオリジナル)
- シュテドニアス連合国(バンプレストオリジナル)
- 待遇改善・報復目的
- 国家レベルの話では、スペースノイドなど、地球の統治機構の植民地状態だった場合に最も多い理由。いわゆる革命や反乱である。この場合、体制側の腐敗も顕著になっているケースが多い。
- メガノイド(無敵鋼人ダイターン3)
- ジオン公国他ガンダムシリーズの敵勢力全般
- ギガノス帝国(機甲戦記ドラグナー) - ギルトール政権における本来の目的。
- 木連(機動戦艦ナデシコ)
- ヴァース帝国(アルドノア・ゼロ)
- アルバート・W・ワイリー(ロックマン) - 個人規模。自身を認めなかった社会への報復行為。
- フォルツォイク母子(勇者警察ジェイデッカー) - 個人規模。自分たちを否定した世界への復讐。
- ラルヴァ(バンプレストオリジナル)
- 神文明エーオス(バンプレストオリジナル)
- 救済目的
- 体制側の戦争や格差社会・環境問題等を憂い、その救済を目的としたタイプ。ただし、その多くは独善的な思想に基づいたものである。
- ザンスカール帝国(機動戦士Vガンダム)
- ゾンダー(勇者王ガオガイガー)
- 機械帝国ガルファ(GEAR戦士電童) - 本来の目的は「全機械の解放」である。
- カギ爪の男(ガン×ソード)
- フェザール・イゼルカント(機動戦士ガンダムAGE)
- ガンエデン(バンプレストオリジナル)
- ザ・データベース(バンプレストオリジナル) - 誕生当初は純粋な救済目的(文明の記録)であったがインファレンス誕生後は侵略行為を伴うようになる。
- ジスペル(バンプレストオリジナル)
- クエスターズ(バンプレストオリジナル)
- 危険視
- 対象を環境破壊や戦争などで危険視し、「先手を打って潰してしまおう」あるいは「自身と同一の信条で統一してしまおう」と考えるタイプ。支配でなく対象の滅亡を最終目的とするものも少なくない。
- 近年の作品では地球だけではなく「全宇宙存続の為」「並行世界を守護する為」等、非常に規模が巨大なラストボスとして描かれることもある。
- ガイゾック(無敵超人ザンボット3)
- エルダー軍(宇宙大帝ゴッドシグマ)
- グラドス軍(蒼き流星SPTレイズナー)
- クロスボーン・バンガード(機動戦士ガンダムF91)
- 東方不敗マスター・アジア(機動武闘伝Gガンダム)
- ムーンWILL(獣装機攻ダンクーガノヴァ)
- アンチスパイラル(天元突破グレンラガン)
- 鬼(新ゲッターロボ)
- アンドロメダ流国(ゲッターロボ アーク)
- アル=イー=クイス(バンプレストオリジナル)
- アインスト(バンプレストオリジナル)
- カリ・ユガ(バンプレストオリジナル)
- ビジネス
- 売買・商取引による外貨獲得の為の手段として侵略を行う。「死の商人」「シンジゲート」タイプの悪役はこれが多い。
- ドクーガ(戦国魔神ゴーショーグン)
- アマンダラ・カマンダラ(重戦機エルガイム)
- アマルガム(フルメタル・パニック!)
- ロゴス(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
- ネオ・アトランティス(ふしぎの海のナディア)
- UND(バンプレストオリジナル)
- ゴライクンル(バンプレストオリジナル)
- 略奪
- 自らが求めるもののために一方的に強奪する、即物的なタイプの侵略。「宇宙海賊」はこのケースが多く、わかりやすい勧善懲悪になるためか子供向けの作品ではこのタイプの侵略者が多い。
- ガルラ大帝国(百獣王ゴライオン)
- ギャンドラー(マシンロボ クロノスの大逆襲)
- 宇宙海賊バンカー(破邪大星ダンガイオー)
- 宇宙海賊ガイスター(勇者エクスカイザー)
- スクラッグ(HEROMAN)
- マクー(宇宙刑事ギャバン)
- 移住
- 故郷となる惑星等が滅失、あるいは存亡の危機に直面したことに伴い、居住地を求めて行う侵攻。この場合、いきなり攻めてくるケースもあれば、当初は講和を望みながらもやがて侵略戦争に変わるケースもある。中にはそれに事欠いて領土を拡張しようと目論む例もある。
- この手のタイプのキャラは居住地が他にあればそこで暮らすという選択肢もあるため、物語終盤や続編で主人公たちと和解したり、一時的に同盟を組んだりすることもある。
- 恐竜帝国(ゲッターロボ) - そもそもが地球の先住民族であった。
- ミケーネ帝国(グレートマジンガー) - 桜多吾作版では地上での生息権を懸けた「殺るか殺られるかの闘い」であるという辛辣な世界観が、より強調されている。
- 暗黒ホラー軍団(大空魔竜ガイキング)
- ダリウス軍(ガイキング LEGEND OF DAIKU-MARYU)
- バーム星人(闘将ダイモス)
- アルデバロン軍(宇宙戦士バルディオス)
- ELS(劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-) - 最初に人類が凶悪な異星人と勘違いして武力で撃退しようとし、それをコミュニケーション手段と誤解し襲い掛かってきたため、後述の「価値観の相違」にも該当する。
- ヴェイガン(機動戦士ガンダムAGE)
- ガミラス帝国(宇宙戦艦ヤマト2199)
- フューリー(バンプレストオリジナル)
- 聖インサラウム王国(バンプレストオリジナル)
- 侵略意欲
- 統治や略奪といった目的すらも無く「侵略」あるいは「闘争」という手段そのものが目的化しているタイプ。「銀河統一」「全宇宙征服」など戦略的目標が非常に大きいケースも。あまりに長く独裁が進みすぎて、当初の戦争目的を忘れてしまった場合なども含む。
- Dr.ヘル一派(マジンガーZシリーズ)
- バッフ・クラン(伝説巨神イデオン)
- 宇宙魔王軍(太陽の使者 鉄人28号)
- ゼントラーディ(超時空要塞マクロス)
- マーダル軍(機甲界ガリアン) - マーダルの宿願のため、惑星アーストに戦乱を広げることそのものを目的とする。
- ドルチェノフ(機甲戦記ドラグナー)
- 鉄甲龍(冥王計画ゼオライマー)
- ドラゴ帝国(獣神ライガー)
- ジャーク帝国(絶対無敵ライジンオー)
- 機械化帝国(熱血最強ゴウザウラー)
- ウルベ・イシカワ(機動武闘伝Gガンダム)
- BF団(ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日) - 一応「GR計画の完遂」という最終目的を持つが、計画そのものの詳細は原作でも明かされていない。
- アウグストゥス(機神咆吼デモンベイン)
- 宇宙帝国ザンギャック(海賊戦隊ゴーカイジャー)
- シャドウミラー(バンプレストオリジナル)
- デストルーク(バンプレストオリジナル)
- 銀河統一計画(バンプレストオリジナル)
- 生命維持目的
- 自分達が個体を維持し繁栄する手段として、他の惑星あるいはそこに居住する生物を利用するというケース。
- ザ・ブーム軍(忍者戦士飛影)
- ラダム獣(宇宙の騎士テッカマンブレード)
- バロータ軍(マクロス7)
- インベーダー(真ゲッターロボ 世界最後の日)
- 堕天翅族(創聖のアクエリオン)
- アルテア界(アクエリオンEVOL)
- ウルガル(銀河機攻隊 マジェスティックプリンス)
- キルトガング(キャプテン・アース)
- BETA(マブラヴ オルタネイティヴ) - BETA側の悪意に満ちた解釈により、地球人類を生命体とすら認識していないため、下記「価値観の相違」にも該当する。
- 価値観の相違
- 価値観が地球人とは全く異なり、コミュニケーション手段等彼らの行動自体が人類にとって障害となるため、敵意の有無にかかわらず実質的に侵略になってしまうケース。基本的に人型を取らない物が多い。
- 個人的感情
- 大義や将来的な目標などを有さず、一個人の「愛」や「執念」を貫き通す手段が侵略しか無かったというケース。マッドサイエンティストタイプの敵に多く、これまで列挙してきた敵組織の首領等も侵略を始めたきっかけがこれに当たる、あるいは戦い続けるうちに大切な者を失いそちらにシフトするという物はあるが、このタイプはそれが徹頭徹尾侵略目的の「全て」であり、部下たちはその事を知らされていないのがセオリー。いわゆる「哀しき悪役」に当たるが、中にはそれにすら当たらないほど歪んだケースもある。
- ザガート(魔法騎士レイアース) - 許されざる恋
- 早乙女博士(真ゲッターロボ 世界最後の日) - 亡き娘への愛
- 碇ゲンドウ(ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q) - 亡き妻への愛
- デュミナス(バンプレストオリジナル) - 自分の生まれてきた意味を問う為
- オウラ(バンプレストオリジナル) - 自分と同じ存在を創造するため。全ての平行世界を「進化のための実験場」としてしか見做していないため後述の「ゲーム感覚・快楽目的」も併せ持つ。
- ゲーム感覚・快楽目的
- 快楽を求めゲーム感覚で侵略行為を行う愉快犯タイプ。このタイプの敵は原則「同情の余地全く無し」というスタンスで描かれるため、単なる蛮族の集団等でない場合にはSRWにおいても黒幕ポジションになる事が多い。
- ブラックノワール一味(勇者特急マイトガイン)
- ダイモン(電脳戦機バーチャロン マーズ) - 先住知性体の残留思念の集合体であり、後述の「絶対悪」にも該当する。
- ジ・エーデル・ベルナル(バンプレストオリジナル) - 『第3次Z』では真の目的が語られる。
- 魔獣エンデ(バンプレストオリジナル)
- 絶対悪
- そもそもが「全宇宙の悪意の結集体」などといった、「侵略」以外を構成する要素が一つもない、というタイプ。手段の目的化どころか、手段と目的が完全に同一であり、それ以外の行為に及ぶ可能性が全く無いパターンである。ただし、首領が絶対悪であってもその真意を隠していた為、幹部や末端はその事を知らないというパターンが多い(その場合は裏切りイベントが発生することも)。
- その設定故、SRWではラストボスもしくはその前座となるパターンが多い。
- 強硬措置
- 外敵などの別の脅威が存在する為、それに対しバラバラとなった戦力を結集させるためにやむを得ず武力による統一を選ぶケース。
- 創作でもまれな侵略目標であり、SRWにおいては実質的な第1作である『第2次スーパーロボット大戦』の敵がこれに相当するので、以降もたまにこのタイプの侵略者が登場する事がある。
- 加藤機関(鉄のラインバレル) - 原作漫画版・アニメ版で真相は異なるが、双方共に強硬措置。
- ディバイン・クルセイダーズ(バンプレストオリジナル)
- ギルバート・デュランダル(スーパーロボット大戦L) - 原作のデスティニープランを拡大解釈したもの。
世界征服/地球侵略に成功した組織
本節では『新機動戦記ガンダムW』『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』『オーバーマン キングゲイナー』『天元突破グレンラガン』等のように「主人公たちが反体制側で、悪政を敷く統治機構に反逆するタイプの作品」における「最初から物語に存在する統治機構・公権力」の類は割愛する。ただし、その敵勢力を打倒・掌握し、その旧勢力の保有する権力の座に付いた場合は例外的に記載する。
- Dr.ヘル(真マジンガーZERO)
- TVアニメ・OVA・映画の全てで夢半ばにして散って行ったが、本作では全人類の過半数を虐殺し、光子力研究所以外の全てを掌握した。
- コンギスター軍団(合身戦隊メカンダーロボ)
- ストーリー開始時点で地球の95%を制圧済み状態。
- グラドス軍(蒼き流星SPTレイズナー)
- 元々は冷戦を過熱させて地球を自滅させようとするも失敗し、直接武力制圧を行い地球侵略を果たす。「グラドスの優れた文化を継承させる」と称し、圧政を敷き地上のあらゆるメディアを焼き払っていたが、グラドスの刻印の発動により地球と断絶する事となる。
- ルルーシュ・ランペルージ(コードギアス 反逆のルルーシュR2)
- 本来は「ゼロ」を名乗り、黒の騎士団を率いて敵組織である神聖ブリタニア帝国と戦っていたブリタニアの皇子なのだが、終盤でブリタニアを掌握するに至り、物語の主人公でありながら実質的な全世界征服に成功した[1]。
- ムゲ・ゾルバドス帝国(スーパーロボット大戦64)
- 冒頭で上記のグラドス軍を用いて地球を完全に征服した。
- マリーメイア軍(スーパーロボット大戦R)
- 原作『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』におけるクーデターが成功し、連邦政府を降伏させ新地球連邦を掌握する。
- 主人公たちが過去世界に飛んだ影響で、ヒイロらにより原作通りクーデターが失敗する事となった。
- サイデリアル(第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇)
- ストーリー序盤時点で蒼の地球の74.9%を支配下に置いており、最終的にほぼ全域を制圧するに至る。
余談
- 世界征服という行為はメタフィクション的に言うと、自身の破滅に至る最大にして最悪のフラグである。
脚注
- ↑ しかし、ルルーシュの真の目的は世界征服後、悪の独裁者という建前で打倒されることである。