マーサ・ビスト・カーバイン
マーサ・ビスト・カーバイン | |
---|---|
外国語表記 | Martha Vist Carbine[1] |
登場作品 | |
声優 | 塩田朋子 |
デザイン |
安彦良和(原案) 高橋久美子(UC) 金世俊(NT) |
初登場SRW | 第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇 |
プロフィール | |
---|---|
種族 | 地球人 |
性別 | 女 |
年齢 | 55歳 |
役職 | ビスト財団当主代行 |
マーサ・ビスト・カーバインは『機動戦士ガンダムUC』『機動戦士ガンダムNT』の登場人物。
概要
アナハイム・エレクトロニクスの現・社長夫人で、「月の女帝」という異名で恐れられている女傑。
ロンド・ベルに所属するネェル・アーガマをインダストリアル7に向かわせた張本人であり、モナハン・バハロと共に実質的な『機動戦士ガンダムUC』の黒幕の一人となっている。
人物
ビスト家の出身で、サイアム・ビストの孫の一人で、カーディアス・ビストの妹。アルベルト・ビストとバナージ・リンクスの叔母にもあたる。カーディアスの死後は、ビスト家の当主代行も務めている
妖艶な美貌と政治的な才覚を持ち合わせた野心家で、アナハイム・エレクトロニクスの創業者一族であるカーバイン家に嫁いだ後は、カーディアスを凌ぐ程の政治的手腕を発揮。社内でも絶大的な権勢を振るうが、自らの美貌さえも武器にする等、目的の為に利用出来る物は何でも利用し、そして手段も選ばない非道さも持ち合わせており、時には破滅的な行動や言動も見せる事さえある等、かなりの危険人物。過去に、サイアムによって実の子であった父を謀殺された事に大きなショックを受け、それ以降はサイアムや彼の言いなりになっているカーディアス、そして男社会そのものに対して激しい憎悪を持つ様になり、その事が現在のエキセントリックな内面を持つに至っている模様。
なお、ドイツの哲学者ニーチェの格言に「怪物と闘う者は自らも怪物にならないように気を付けなければならない」というものが有るが、男社会を憎むあまりに気質までもが(憎むべき)男そのものになってしまったマーサに対しても充分当てはまるものだと言えよう。ちなみに、この点に関してはサイアムにも当てはまってしまうのは、何処までも皮肉であると言えよう(サイアムは、「地球連邦」という怪物からラプラスの箱を守る為に、唆されたとはいえ反逆を目論んだマーサとカーディアスの父親(次男)を抹殺する「子殺し」の怪物になり果てた)。
劇中の様相
機動戦士ガンダムUC
物語において、サイアムがカーディアスにラプラスの箱の解放を命じる事になるが、ビスト財団とアナハイム・エレクトロニクス、地球連邦との関係維持を望んでいたマーサはそれに反発・ラプラスの箱の解放を阻止すべく暗躍を行い、カーディアスの息子であるアルベルトを差し向けて、彼を死に追いやる。
その後、ビスト家の当主代行の地位を手に入れたマーサは、捕虜として囚われていたプルクローンの一人であるプルトゥエルヴに、かつて搭乗していた量産型キュベレイの残骸を見せつける事で、過去のトラウマを励起させた上で再調整を施す。そしてガンダムを「『光』を奪った男達の世界への憎しみの象徴」であるというイメージを植え付けられた彼女をユニコーンガンダム2号機 バンシィのパイロットにしてユニコーンガンダム1号機を捕獲させようとするも、失敗に終わり、マリーダも奪還される。オードリー・バーンに対しては、「自分達『女』が主導する世界に社会を変革しよう」と語るも、オードリーからは「あなたの気質は男そのもの」と拒絶されている。
ラプラスの箱の奪取に失敗した後、ローナン・マーセナスと共に連邦軍のシャイアン基地へと向かい、宇宙の航宙艦メガラニカ周辺でネェル・アーガマと袖付きの最終決戦が展開される中、メガラニカ諸共サイアムやラプラスの箱を完全に抹殺すべく、コロニーレーザーである「グリプス2」を始動。「箱を滅する為にコロニーを犠牲とした」という事実を利用して連邦政府とビスト財団の共犯関係存続を狙ったが、甥のバナージ・リンクスとリディ・マーセナスの搭乗する2機のユニコーンガンダムが発生させたサイコフィールドによって砲撃が交わされてしまう形で失敗。その直後に、居合わせていたブライト・ノアによって拘束された。
拘束された直後、様々な経験を乗り越えて成長したアルベルトから諭されたマーサは、満足そうな笑みを見せていた。
機動戦士ガンダムNT
法の裁きを受ける事になり、『ラプラス事変』を拡大化させた責任を問われて幽閉状態となっており、ビスト財団、アナハイム・エレクトロニクス、地球連邦のいずれからも距離を取られている。しかし、護送中の中でルオ商会によって拘束される事になる。
『報告書-U.C.0097-』の内容にて、バンシィとユニコーンガンダム3号機 フェネクスの起動テストに立ち会った事実から、『不死鳥狩り』作戦において、マーサの協力と情報提供が必要不可欠とされている。
登場作品と役柄
Zシリーズ
- 第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
- 初登場作品。クロノ保守派の一員として「箱」の開放阻止に動いている。
- 第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
- 引き続き登場。『時獄篇』と同様にクロノ保守派として暗躍しているが、原作の様な政治手腕の発揮されるシーンがほぼ無く、ほとんど「新地球皇国およびサイデリアルに対して真っ先に地球を売った裏切り者」と言うべき小物臭い部分が目立つ。
- その末路もクロノの教義が明らかになったことの重要さを理解できずに己の保身に執着したことでアルベルトに見捨てられ、クロノのキングことアクシオンに「クロノがもう長くない。その先の時代を作るのは老人ではない」と言うことを聞かされて崩れ落ちるという無様なものであった。
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦BX
- 今作では「箱」の開示を阻止すべく、連邦軍はおろかGAILなどにも干渉しており、原作よりも暗躍の度合いが増加している。オウストラル島への核攻撃を指示し、更にアローン・シモンズの様な裏切り者と結託する等、クロスオーバーにより他作品で発生した事件の犯人の協力者或いは黒幕の立場を担う事も多く、『第3次Z』よりも存在感が大きくなっている上、政治的取引や自らが干渉しておいて結局は対岸の火事として処理する様はOVA版よりも原作小説版に近い悪どさをみせる。
- その暗躍ぶりは『UX』のハザード・パシャ率いる人類軍を想起させるが、彼らと違いマーサは政治的手腕も巧みなためなかなか尻尾を掴ませず、連邦軍の改革派にとっては「獅子身中の虫」であり、敵対するフリット・アスノを始め様々な他作品のキャラ達から「女狐」と呼ばれて嫌悪されており、敵対怪物・異星人以上に憎い地球人である。
- 最後はアルベルトがこれまでの悪行をビシディアンにリークし、その情報を手にしたアルグレアスに追い落とされるが、OVA版の様に不遜な態度を取ることも、『第3次Z天獄篇』の様に惨めに崩れ落ちることもなく、潔くブライトに連行されていった。
VXT三部作
- スーパーロボット大戦V
- 本作では元はアマルガムの幹部の一人でもあったという設定になっており、レナードによって組織が掌握されたことを機に組織を離脱し、ネオ・ジオン、およびアマルガムと完全に敵対する路線をとっている。アマルガムをもいずれは手に入れてみせるとも豪語し、原作通り連邦側の黒幕の一人として立ち回るが、最終的にはロンド・ベルにコロニーレーザーを破壊され潔く敗北を認める態度を見せるなど、第3次ZやBXと比べると悪辣な印象はだいぶ薄まっている。なお、選んだルートによっては殆ど姿を見せない。
単独作品
- スーパーロボット大戦DD
- 序章ワールド2から登場。途中まではほぼ原作通りに振る舞っていたが、徐々にその枠を超えた質の悪い行動を見せ始める。そして、「箱」の開示イベントは『勇者王ガオガイガー』の東京決戦シナリオとクロスした事で大掛かりな戦いとなり、「グリプス2」に至ってはプレイヤー部隊を葬ろうとするインベーダーに乗っ取られてしまうが、それをいい事に「箱」を消すために火事場泥棒の手口で東京やサイド4諸共にコロニーレーザーで攻撃する暴挙に出る。
人間関係
- カーディアス・ビスト
- 兄。OVA版第1巻において「箱」を解放すべく袖付きに箱を渡そうとしていた彼を謀殺。カーディアスの死後、マーサは当主代行としてビスト財団を指揮する。
- サイアム・ビスト
- 祖父でビスト財団創設者。マーサの男社会嫌いの性格を形成した原因でもある。OVA版第7巻終盤では、彼をコロニーレーザー「グリプス2」によって抹殺しようと企むが、結局失敗に終わった。
- アルベルト・ビスト
- 甥。マーサの命を受け行動しており、彼女からは表裏両方の仕事を任されている事からそれなりに信頼されている(原作小説ではマーサとアルベルトは肉体関係がある設定で、それが両者の繋がりの根本となっていた)。
- 『第3次Z天獄篇』では自己保身のためにしか動かないマーサに見切りをつけてZ-BLUEの支援に回り、『BX』ではマーサの悪事を告発した。一方、『V』ではマーサの方から彼の(彼曰く「ビスト家の呪縛から解放された」)変化を認めていた。
- バナージ・リンクス
- もう一人の甥。「箱」解放を防ぐため、バナージと彼の乗るユニコーンガンダムを確保しようと暗躍する。
- オードリー・バーン(ミネバ・ラオ・ザビ)
- 彼女に共闘を持ちかけるも拒絶された。
- ローナン・マーセナス
- 自身と同様、『UC』のラプラス事変における黒幕の一人。自身と同様、ラプラスの箱の解放に反対している。ダカールの惨劇の黒幕に仕立てるというマーサの恫喝に屈し、オードリーの引き渡しに応じてしまう。
- モナハン・バハロ
- 自身と同様、『UC』のラプラス事変における黒幕の一人。アニメ版ではなく原作小説版に登場。袖付きを纏め上げる強化人間であるフル・フロンタルを用意した張本人であり、マーサ自身もその事実についても知っていた模様。同じ黒幕であるマーサやローナンが少なからず後ろめたさがあったのに対し、モナハンは自らの行動を武勇伝の様に語る等、罪悪感を欠片も持っておらず、それに不快感を抱いたマーサから、ズム・シティに向けてコロニーレーザーを撃つと恫喝されている。
- ブライト・ノア
- 彼に数々の不正の証拠を掴まれ逮捕された。
- ミシェル・ルオ
- 護送中に彼女の私兵部隊に襲撃され、フェネクスに纏わる事実を彼女に教えることになる。
他作品との人間関係
- カガリ・ユラ・アスハ
- 『第3次Z天獄篇』にて、オーブに潜伏していたミネバを引き渡すように要求する。また、自分と同じ「男達の論理の支配する世界の犠牲者」とみなしている。
- フリット・アスノ
- 『BX』では政敵。己の私利私欲の為に連邦軍を私物化し利用するマーサを「女狐」と呼んで忌み嫌っている。さらにマーサは戦力増強の為、AGEシステムとガンダムAGE-3の奪取も企てていた。
- フレデリック・アルグレアス
- 『BX』ではフリットと立場を同じくする彼とも政治的に対立。彼女が裏で手を回していた事もあって一時は連邦軍総司令の座を奪うが、終盤でアルベルトの告発もあって逆に追い落とされる。
- アローン・シモンズ
- 『BX』では彼と結託する。
- ジラード・スプリガン
- 『BX』ではマーサの乗るガルダの救援に向かうが、他者の命を私利私欲の為に利用するマーサに対し内心、生理的嫌悪にも似た感情を抱いており、逆にマーサの救援要請を逆手にとってブライティクスに加勢しマリーダの救出に協力する。
- ミスマル・コウイチロウ、カティ・マネキン
- 『BX』ではフリットと同じ改革派であるため対立。
- 船長
- 『BX』では彼をスパイとして送り込む。
- レナード・テスタロッサ
- 『V』ではアマルガムにおいては同格の幹部であり、彼が組織を掌握したことを機に組織を離脱。彼を「若造」と吐き捨てるなど、強い敵愾心を向けている。また、「ここではないどこかを見ている」という、彼の深層を少なからず見抜いていた。
- カルロス・アクシオン
- 『第3次Z天獄篇』にてクロノの教義が明らかになった際に、「クロノはもう長くない。その先の時代を作るのは老人ではない」ということを聞かされる。
名台詞
- 「あなたの再調整は難しいということがわかったわ。あまりにも完成されすぎている。でも、それでいい。簡単に記憶を入れ替えられる人間に興味は無いから。私が欲しいのは…」
マリーダ「ああ!」
「量産型キュベレイ。あなたたちの乗っていたマシーンね」
「人工的に作られたニュータイプ。マスターの言いなりに動く人形…あなたの魂はまだ、あのマシーンの中に囚われている…」
「血を流すことしか知らない男が、戦う道具としてあなたを造った。命は女の胎(はら)から生み落とされるものなのに、不自然だと思わない? 私があのマシーンから、あなたを連れ出してあげる」 - episode4にて、マリーダの再調整に立ち会って。
- 「マリーダ中尉…プルトゥエルブが私たちの下で働いているのは、彼女自身の意思です」
オードリー「無理やり再調整しておいて…!」
「えぇ、させていただきました。かつてネオ・ジオンがそうしたように」
「あの憐れな生き物を造ったのは私達ではありません。私は彼女の内にあるものを解き放って、復讐の機会を与えてあげただけです。自分のような者を造った世界、男達の論理が支配する世界への復讐…」 - episode5にて、マリーダの再調整についてオードリーに詰問された際に。
スパロボシリーズの迷台詞
- 「ゼントラーディとの間に起こった星間戦争の事を忘れたわけではないでしょ?」
「あの島は異星人の巣窟だった。それらが人類に対して牙を剥いたのなら、火種が炎となる前に消すのは当たり前よ」 - 『BX』第36話「光る島」より。オウストラル島への核攻撃を指示した後の台詞。
- そもそも先に火種を作ったのは人類側であり、説得力が皆無である。
余談
- マーサ・ビスト・カーバインは「アナハイム・エレクトロニクス社長夫人」という設定故に、「(『機動戦士Ζガンダム』に登場する)メラニー・ヒュー・カーバインの妻」であると解釈される事もあるが、これは誤りである。
- そもそも、メラニーはアナハイム・エレクトロニクスの「会長」であって、社長ではない。したがって、マーサの配偶者は「カーバイン姓の男性(ただし、名は不明)」という事になる。
- そのため、漫画「機動戦士ガンダム ANAHEIM RECORD」ではコウエルという人物を謀略によって解任させる事で社長の座を奪う展開になっている。
脚注
資料リンク
|