トランザム
トランザム(TRANS-AM)とは、『機動戦士ガンダム00』に登場する技術。「TRANS Active Max System」の略称である。
概要
トランザムとは、GNドライヴ内部の高濃度圧縮粒子を全面開放し、出力を3倍以上に引き上げ機能を大幅に向上させる、一種のオーバーブースト(オーバーシュートとも)機構である。
発動中は装甲表面を高速で駆け巡るGN粒子により機体が赤く輝く。[1]出力が爆発的に上がるが、機体各所の圧縮粒子は機体の円滑な運用には不可欠な物であり、それを使い切ってしまうトランザム発動後は必然的に機体性能が極端に低下してしまう。まさに「諸刃の剣」と言うべき切り札である。
ただし、GNドライヴ自体が半永久的に稼働する為に稼働時間その物が削られる訳では無く、暫く経てば圧縮粒子が再充填され性能も元に戻るので、そう言う意味では発動後も「後がある」システムである。[2]
経緯
トランザムはイオリア・シュヘンベルグの手によってソレスタルビーイング(プトレマイオスチーム)のガンダム各機のGNドライヴのブラックボックスに仕掛けられていた技術である。1stシーズン第22話「トランザム」において、ヴェーダで冷凍冬眠していたイオリアの死に同調して、ガンダム各機のGNドライヴに齎された。
トランザムはガンダムエクシアをはじめとする第三世代ガンダムにとってイレギュラーなシステムであったため反動が大きかったが、ダブルオーガンダムなど第四世代ガンダムはトランザムの存在を前提に組まれているためある程度使いやすくなっている。[3]
上記の通り、トランザムは基本的にソレスタルビーイングのガンダムのみに搭載された機能であるが、後にビリー・カタギリによってトランザムが独自に解析され、マスラオおよびスサノオに実装される。[4]
また、イノベイド側のトランザムの技術はアニュー・リターナーがCB側から持ち出した技術を使用しており、その一方でリボンズ・アルマークはビリーをトランザムを実装できる技術者として召集している。
劇場版の時点では、ソレスタルビーイング号を連邦軍が接収しイノベイドやソレスタルビーイングの技術を吸収したことで、量産機のGN-X IVやブレイヴへ標準搭載され一般的に普及する技術となった。また、木星圏等への長距離航行を短縮化する[5]描写が見られた。するための手段としても使用されている。
搭載機体
- ガンダムエクシア
ガンダムデュナメス
ガンダムキュリオス
ガンダムヴァーチェ(ガンダムナドレ) - 1stシーズンにおけるソレスタルビーイング(プトレマイオスチーム)に所属のガンダム各機。
- なお、デュナメスはTV版ではトランザムを使用しなかったが、「スペシャルエディションI ソレスタルビーイング」においてトランザムを使用する場面が追加されている。
- ダブルオーガンダム(オーライザー) 粒子貯蔵タンク装備型
- オリジナルの太陽炉を二つ搭載した「ツインドライヴシステム」実装機。刹那の手によって、最悪の場合自爆が危ぶまれたトランザム発動という荒業で起動した。
- ダブルオークアンタ
- ダブルオーライザーの後継機。トランザムシステム(トランザムバースト)の発展型であり、対話によって戦いを止めさせることを目的とした「クアンタムシステム(クアンタムバースト)」を搭載している。
- ケルディムガンダム
アリオスガンダム
セラヴィーガンダム(セラフィムガンダム) - トランザム運用を前提に開発され、使用後の機体性能低下はある程度解消されている。
- プトレマイオス2(改)
- 艦内のガンダムに同調してトランザムを発動可能。メメントモリ攻略戦ではアリオスのトランザムによって加速し、一気に肉薄するという捨て身の戦法が採られた。
- マスラオ スサノオ
- ミスター・ブシドーのカスタム機。ビリー・カタギリによって独自のトランザムが組み込まれている。
- ガデッサ
ガラッゾ - アニュー・リターナーによってデータが持ち出され、終盤に搭載された。
- ガガ
- 特攻兵器。擬似トランザムの速度で敵機に向かって特攻してくる。
- リボーンズガンダム
- 擬似太陽炉搭載機では唯一ツインドライヴシステムを実装。
- GN-X IV
- 地球連邦軍の量産機としては初のトランザム搭載機。トランザムで戦うのみならず、トランザムシステムを暴走させて自爆するといった戦法もとられた。
- しかし、人類を守る為とはいえ、この戦いであまりに自爆を決行するパイロットが多かった為、以降開発されたMSにはトランザムの搭載が禁止された。
- ブレイヴ
- マスラオおよびスサノオの後継機である地球連邦軍の機体。GN-IVと同じく改良されたトランザムの技術が使用されている。
- こちらも人類の未来を切り拓く為とはいえ、グラハム・エーカーが超大型のELSの外壁に向かって特攻およびトランザムによる自爆を決行している。
関連用語
- GNドライヴ
- ソレスタルビーイングのガンダムの動力機関。イオリア・シュヘンベルグによってGNドライヴのブラックボックス内部にトランザムシステムが仕掛けられていた。
- GNドライヴ[Τ]
- 当初はオリジナルのGNドライヴと異なりトランザムが不可能であったが、技術者達の執念やソレスタルビーイング側の技術が盗まれたことによって、トランザムが可能になった。
- GN粒子
- GNドライヴから生成・放出される光の粒子。トランザム時には放出量が増大する。また、人類を変革に誘う効果もある。
- ツインドライヴシステム
- ダブルオーガンダムの動力機関。刹那はトランザムを利用してこれを安定させるという荒業でダブルオーを起動した。
- トランザムバースト
- ダブルオーライザーに搭載されたシステムで、クアンタムシステムの試金石とも言える存在。GN粒子を超広範囲に拡散させることで量子を通じて人の意思を同調させ、「対話」を可能とする。
- クアンタムシステム
- 劇場版に登場。ダブルオークアンタに搭載されたトランザムバーストの対話特化型というべきシステム。
特殊能力
- 『第2次Z』ではトランザムがプトレマイオス2の特殊能力として実装されたが、それ以外の00系の機体におけるトランザムは武器による表現のみであり、『新』のマジンパワーのような武器全体の威力向上や、V-MAXのような運動性向上は表現してない。ちなみに、原作のマジンパワーやV-MAXもトランザムのような機構である。
- 『UX』では00系の機体全てに特殊能力として実装された。効果は気力130以上で移動力が+1されるというもの。
余談
- 当初、トランザム状態の機体は「トランザムした機体の一部分のみが赤くなる」という設定であった。しかし、それでは視覚的なインパクトに欠けると判断した水島精二監督が現行の形に変更したという経緯がある。
- その事実の裏付けとして、ガンプラ「HG 1/144 GNアームズTYPE-E + ガンダムエクシア (トランザムモード)」に付属するトランザム状態のガンダムエクシアは、露出しているGN粒子供給コードの部分のみが赤くなっている。
- なお、水島監督による設定変更後は、劇中の描写と同じく全身が赤く光るトランザム状態の機体のガンプラが発売されている。
- その事実の裏付けとして、ガンプラ「HG 1/144 GNアームズTYPE-E + ガンダムエクシア (トランザムモード)」に付属するトランザム状態のガンダムエクシアは、露出しているGN粒子供給コードの部分のみが赤くなっている。
- スーパーロボット大戦では未だにまともに強化システムとして採用された事は無いが、色々推測される理由として「スタッフの労力」「バランス取り」等がある。前者はアニメーションの労力が、後者は調整がと大変そうではあるが特殊システムとしてトランザムを使いたいというユーザーも当然多く、今後に(望み薄とはいえ)期待がかかる。
- 『GGENERATION』シリーズにおいては、ガンダム00が初参戦した「ウォーズ」では強化システムとしての採用だったが、次作の「ワールド」以降は武装としての再現に留まっている。これは、据え置き機で発売していたウォーズに対して、ワールドが携帯機となったため容量的な都合もあると考えられる。
- 一般的に「トランザム」とは「Trans AMerican」の略称で、日本語訳すると「アメリカ大陸横断」の意である。中でもその名前を冠した、アメリカ合衆国の自動車メーカー「ゼネラルモータース」が製造するスポーツカーが有名である。
- 余談ながら、『フルメタル・パニック! (原作小説版)』の最終巻ではアルが自分の新たな身体としてこの車種を希望している。おそらくは海外TVドラマ『ナイトライダー』に登場するナイト2000を意識したものだろうが、『機動戦士ガンダム00』も意識していたのかは不明。
脚注
- ↑ たまに誤解されるが、GN粒子の色その物は変わらない。
- ↑ もっとも、GN粒子を再充填する前に撃墜されてしまえば何の意味も無いので、トランザム使用後に敵機が残っているという事が致命的な状況である事には変わりない。
- ↑ 具体的に言うと、パイロットによるトランザムの任意解除が可能になり、トランザム使用後の戦闘力低下もある程度抑えられている。2nd最終話「再生」でケルディムガンダムが使用した「1秒トランザム」がその極致。
- ↑ なお、ビリーがトランザムを独自に解析出来たのは「エイフマン教授が遺した手書きのメモ(理論)があってのものを自ら証明したものである」と語られているが、エイフマン教授が死んだ時点(1st第17話「スローネ強襲」)ではトランザムは登場していない。改めて、エイフマン教授およびビリーの天才ぶりがうかがえよう。
- ↑ これはあくまでも参考だが、西暦2015年現在の科学技術水準だと、地球と火星との間を往復するには、一番近くて約3年かかる。
資料リンク
|