ジラード・スプリガン

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ジラード・スプリガン
登場作品

ガンダムシリーズ

声優 柚木涼香
デザイン 長野拓造(原案)
千葉道徳(アニメ版)
初登場SRW スーパーロボット大戦BX
SRWでの分類 パイロット
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プロフィール
本名 レイナ・スプリガン
種族 地球人Xラウンダー
性別
年齢 29歳
身長 182 cm
所属 地球連邦軍ヴェイガン
軍階級 少佐 ⇒ 大佐
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ジラード・スプリガンは『機動戦士ガンダムAGE』の登場人物。

概要

人物

地球連邦軍の元エースパイロットで、階級は大佐。初登場は三世代編(ただし、キオ編で名前のみ登場)Gバウンサーのカスタマイズ機であるティエルヴァに搭乗する。現在の名前はかつての恋人の名前「ジラード・フォーネル」を借用したもので、本名は「レイナ・スプリガン」。小説版によると名家出身の令嬢であるとのこと。

元々は誠実な性格だったが、事故と連邦の腐敗体質に触れたことで人格が豹変。好戦的かつひねくれた性格となっており、言動もどこか退廃的で物事を悲観的に見る傾向があった。強力なXラウンダーでもありモビルスーツの操縦技術も高いのだが、Xラウンダーの力を「戦うための力」と断じて過剰なまでに使用する傾向があったことから、過去に受けた後遺症も重なってその力を暴走させる危険性を孕んでいた[1]

連邦からヴェイガン寝返った経緯から、キオと同様連邦とヴェイガン双方の内情を知る人物であるが、キオがヴェイガン側の事情を知っているのに対し、自らの個人的復讐しか頭にないジラードの方は、「連邦側の腐敗体質は痛感しても、ヴェイガン側の事情は表面しか知らず、理解もしていない」という違いがある。

劇中の様相

元々は地球側の希少なXラウンダーとして、恋人のジラードと共に新型モビルスーツのテストに参加していたが、増幅装置の試験中に重傷を負ったうえ、ジラードは死亡という悲劇に見舞われる。その後この事故が連邦軍上層部によって意図的に起こされたものだったと知り、当時の上司へとこの事実を報告するも、上層部は「死人に口なし」とばかりにジラードに全ての責任を被せ、さらにレイナも口止めとして二階級特進を打診される。これらの経緯から連邦軍を見限ったレイナは、以後恋人の名である「ジラード」を名乗り、ルナベースに駐屯しロストロウラン攻略に同期して起きたルナベース占拠作戦の際、基地司令のアローン・シモンズと共にヴェイガン側へ寝返ることとなった(小説版ではその際、事故に関わったとされる将校だけでなく、それとは無関係な兵士たちも私刑で殺害している)。

ルナベース攻防戦において、膠着した戦線を見かねてティエルヴァで出撃。かつての仲間であった連邦の兵士達を自らのXラウンダーの力を行使して平然と手に掛けていき、説得を試みるキオを跳ねつけ戦い続けたが、その最中、かつての事故の際に負った傷が原因でXラウンダー能力が暴走。居合わせた機体の持つビット兵器とAGE-FXのCファンネル全ての制御を乗っ取り無差別に暴れ始める。

暴走する中で、偽り無き本心を吐露し一度は矛を収めようとしたが、暴走した能力に引きずられたティエルヴァは止まらず、最後はキオを守ろうとしたフリット・アスノの搭乗するガンダムAGE-1グランサによって、コックピットを撃ち抜かれる形で撃墜され、戦死した。

小説版では死を迎える間際、自らがXラウンダーの力の使い方を間違えてしまった事を悟り、その場に居合わせた自分と同じXラウンダーであるキオに、その力を見誤らないよう告げている。

キャラクターの総評

ジラードは「敵側にフリットと同じような境遇(思い人を奪われ復讐心に憑りつかれる、両軍の事情を知っているなど)の人間がいた場合、キオの停戦の訴えがどう響くかを表したキャラクター」となっており、恋人を陰謀で奪われたも同然な上に連邦に裏切られた悲しみや怒りに囚われ続けた境遇やその末路から、悲劇的な女性として同情を寄せる視聴者(特に女性の視聴者)も少なくない。

ただし、単純に復讐だけでなく「どんな犠牲を払ってでもヴェイガンから地球を守らなければならない」という、歪んだ部分はあっても強固な信念や使命感を持って戦っていたフリットと異なり、ジラードの場合は完全に自らの個人的私怨であるうえに、ヴェイガンに寝返るだけでなく復讐に全く関係ないかつての連邦軍時代の仲間達を平然と殺していくなど、ある意味ではフリット以上に自己中心的で身勝手な人物であったという見方もできるため、同類扱いしたり感情移入したりはできないという評価も多い。またそもそもの問題として、ぽっと出のキャラクターであること、第4部のただでさえ厳しい尺を圧迫していることから、キャラへの好悪とは別に必要性を問う声もある。

また、その最後も自らと似た境遇であるフリットに否定されるも同然の形で撃墜されて死亡するという皮肉な展開となっている。

登場作品と役柄

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦BX
初登場作品。担当声優の柚木涼香氏は『第3次スーパーロボット大戦Z』の西条涼音役を経て、版権作品のキャラクター役として初参加。
初登場は第7話終了後の分岐選択シナリオデモと早く、序盤のルート第8話、共通ルート第25話でのスポット参戦を経て、第39話で敵として立ちふさがり、発狂する彼女と対峙することに。
普通に進めるとそこで原作通り戦死するが、隠し要素のフラグが成立すればXラウンダー能力の暴走で力を使い果たして気絶して回収され、宇宙海賊ビシディアンのパイロットという扱いで自軍に参加する。ちなみに今回は第39話のクリア時にガンダムAGE-1グランサが参戦するため、原作と異なりフリットと戦うことはない。仲間になってもひねくれた物言いと好戦的な性格は変わらないが、幾分か前向きな戦闘台詞も見られる。
キオがガンダムに搭乗する頃に初登場するため、原作よりも出番が大幅に増えており、原作における「ぽっと出で突如裏切る描写不足のキャラクター」という欠点が解消されている。自軍部隊に協力的な立場の人物として描かれており、敵対時には部隊の面々は大きなショックを受けることとなり、出番が増えた上に交流がきちんと描かれた関係でプレイヤー側もしっかり感情移入できる
ちなみに乗機のグラフィックが「右手に盾、左手に武器」という典型的な「裏切り持ち」なのだが、近年では(特にMSは)逆手で武器を扱う機体も少なからずおり、中には本気で裏切りに驚いた原作未視聴者もいたとか。
ナデシコ』勢、特にアキトとの絡みが目立つ。ちなみに、生存フラグを満たした際彼女を回収したのはナデシコ
また、ジラードの生存にはキオとアキトの説得および戦闘前会話回収に加え、リオンとの戦闘前会話も必須。本作において版権3作品がフラグに絡むのは彼女の生存フラグだけであり、何気に豪華待遇である(2作品+オリジナルならマノンがいるが、ジョジョヨウタの説得はどちらか一方で構わない)。

パイロットステータス

能力値

元連邦のエースだけあって全体的に高く、特に格闘・射撃・技量に優れる。ティエルヴァの性能が若干ついて来ていないのが残念だが、サブ火力としてはかなり優秀。

精神コマンド

BX
集中直感突撃熱血かく乱
何はなくとも「突撃」が大きい。『AGE』系だとキオやフリットとの相性がいいが、問題はそっちの面だと機体が飛行可能+上位コマンドの「強襲」が使えるゼハートという対抗馬がいることか。

特殊スキル

BX
XラウンダーL8、援護攻撃L3、援護防御L3、全体攻撃L3
味方時は援護攻撃、援護防御、全体攻撃のレベルが2になる。

人間関係

ジラード・フォーネル
かつての恋人。彼もXラウンダーとして新機体のテストに参加したが、そこでの彼の死とその引き金となった連邦の腐敗が寝返りのきっかけとなった。
キオ・アスノ
同じく連邦とヴェイガンの両方を知る者として対話を呼びかけられるが、拒絶しぶつかり合う。
キャプテン・アッシュ(アセム・アスノ)
原作では無関係だが、漫画『クライマックスヒーロー』ではジラードのことを知っており、キオにジラードのことを教えている。が、掲載雑誌の影響か、「悪のXラウンダー」とあんまりな呼び方をしている。
BX』では生存後、ブライティクスに参加するため「レイナ・スプリガン」として名目上彼の率いるビシディアンに加入している。
ヴェイガンとの決戦でアセムが「キャプテン・アッシュ」として戦うことを改めて誓った際には、自分が「ジラード・スプリガン」と名乗っているのと似た信念を感じ取る。
フリット・アスノ
最終的には彼に引導を渡された。小説版では彼女を高く買っていた。
フラム・ナラ
ルナベースで出会う。小説版では彼女に対してベルギーのチョコレートに関する逸話を語り、口移しで食べさせるという場面も。
ゼハート・ガレット
死の間際、彼と感応現象を起こし、彼から信念に殉じた一人の戦士として認められた。
漫画『クライマックスヒーロー』では、彼に助けられて物語から姿を消す。
シャナルア・マレン
原作では関わりはないが、『BX』では共に生存させると、「キオたちを監視につける(実態は付き添い)」という名目で共にビシディアンのパイロットとしての同僚となる。
また、ルナベースでの戦いでは同じ連邦軍の裏切り者であることから特殊戦闘台詞がある。
アローン・シモンズ
ルナベース司令。寝返り後は実質彼の部下だったが、実はかつてジラードとレイナを巻き込んだ事故を隠蔽した一人。
小説版では、彼ではなく自身がヴェイガンに通じていたジラードがルナベースを掌握した後に、「他の基地上層部共々基地のエアロックから生身で放り出す」という形で復讐を遂げた。
連邦の整備士
地球連邦軍のテストパイロット時代に、自身とジラードの機体の調整をしていた男性。
自分達が巻き込んだモビルスーツのテストの事故の後、意識を取り戻した際に、彼から事故の真実を知ることになった。

他作品との人間関係

リアル系

テンカワ・アキト
BX』ではカワサキでのボソンジャンプで月に飛んで来た彼を保護監督しており、その際、彼に料理をご馳走になった。ガルダ防衛戦で再会した時も、ちょくちょく彼と絡み、ユリカにヤキモチを焼かれることも。
Xラウンダー能力暴走の際に生存した場合は、彼の説得を受け入れる形で自軍に加入し、その後は彼とユリカの仲を見守る場面も。
アキトから好意を寄せられる点では『ナデシコ』のアクアの立ち位置に近いが、ジラードは現実的な思考であり、己の境遇と似た彼の境遇に同情している側面が強い点でアクアとは異なる。そしてアキト自身とも(本作では彼がそうなることはないが)「恋人との仲を引き裂かれ、復讐者となった」という共通点を持つ。
リオン・榊
『BX』ではルナベースでの対峙時、過去の哀しみを露に狂乱するジラードに対し、同様に哀しい過去を持つ彼から「過去を取り戻す事はできない」と説かれ反撃されることに。

ガンダムシリーズ

マーサ・ビスト・カーバイン
『BX』では、シモンズと結託している彼女の要請に応えて彼女の乗るガルダの救援に向かうが、他者の命を自身の私欲のために弄ぶ彼女に対し嫌悪感を抱いており、逆に彼女の救援要請を逆手にとってブライティクスに加勢しマリーダの救出に協力する。
マリーダ・クルス

名台詞

「ジラード・スプリガン、参る!」
出撃時。SRWでも戦闘台詞として収録されている。
「腕が鈍ったかしら?」
連邦軍のMSをあっさりと撃破して。ジラードの好戦的な性格がうかがえる。SRWでもTビットのトドメ演出の〆にこの台詞を発する。
「坊や、何を甘いこと言ってるの? この力は戦う為の物! 復讐を遂げる為の物!」
キオとの激突において、Xラウンダーの力を戦いを終わらせるために使う彼に対しての反論。
「夢は見ない方が良いわよ」
ゼハートと共に楽園(エデン)にたどり着く事を夢見るフラムに対しての台詞。
かつて、恋人との幸せな夢を奪われたジラードだからこその台詞。
「そろそろ気づきなさい! 分かり合いたくない人間もいるって!」
どれだけ攻撃されてもジラードと対話し、分かり合おうとしたキオをこの言葉で拒絶する。
「分かり合う」ことで知られたくないこともある、ということだろう。
「やめてあげても良いわよ……その代わり、あの人を……私に返して……」
Xラウンダー能力を暴走させ、戦場を混乱に陥れている最中にジラードを止めようとしたキオに対して。決して心を開かなかったジラードは涙ながらに本音を吐露する。
暴走は続き、涙を流しながら狂ったように笑い、Xラウンダー能力の過剰干渉を受けて疲弊しているキオにとどめを刺そうとする。
BX』ではアレンジされてDVEになっている。
「気に入らないねぇ」
漫画『機動戦士ガンダムAGE クライマックスヒーロー』における口癖。
「復讐心だけで戦っていたわたしに――、Xラウンダー能力は扱いきれなかった」
「すべての人のために戦う……キオこそがXラウンダーにふさわしい」
同漫画より。キオとの戦闘で機体が大破し、クランシェ部隊に追撃されそうになったところを他ならぬキオ自身に庇われたことで、自身の敗北を自覚。直後ゼハートに救出され、戦場から離れていく際にこう呟いた。
ゼハートも「もう戦う必要はない」と諭し、それ受け入れたジラードは戦士としてではなく人間として生きる道を選ぶのだった。SRW以外では珍しい生存するパターンである。

スパロボシリーズの名台詞

戦闘台詞

「私には分かる…あなたは遅かれ早かれ、きっと復讐に取り憑かれるわ」
BX』における、アキトとの特殊戦闘台詞。彼の未来を暗示しているものの、『BX』の世界でそれに繋がる可能性は否定されているはずだが…?
「この力は戦いを終わらせるためのもの…生き残るためのもの!」
『BX』より。フラグを満たし、生存した場合の汎用戦闘台詞。上記の台詞とは真逆になっている。
アキトをはじめ、様々な人間との出会いにより、希望を取り戻したジラードは、Xラウンダーの力をそれまでとは別の道で使う事を決める。
「ヴェイガンと連邦の両方の気持ちが分かる、か…あの坊やの言う通りね!」
『BX』より。生存した場合のヴェイガンとの特殊戦闘台詞。かつてヴェイガンに与したジラードは、連邦の暗部及び表面的とはいえヴェイガンの事情にも通じている。両方の事情に精通する者が多くない『BX』の世界では、彼女の存在はそれだけで大きい意味を持つ。
「私は…あの人の分まで生きる!」
『BX』より。Tビット使用時の台詞。亡くなったかけがえのない恋人は帰ってくることはない。だからこそ、恋人の分まで生きるために、戦いで死ぬわけにはいかない。

シナリオデモ

(あなたはどう生きていくのかしら? ねえ、テンカワ・アキト…)
『BX』第8話宇宙ルート「月面の邂逅」より。アキトを自軍に引き渡した後、シモンズとの会話中における内心。
シモンズは恋人の仇だが、自らの生きる目的である復讐の為あえて利用している。同じ境遇の彼は何のために生きるのか、彼女は静観することにする。その出会いが、自分の生きる目的どころか運命を変えるとは知らずに…。
「人の頭を弄り回すのは、今も昔も変わらないわね…」
『BX』第25話「虹を見た日」より。ガルダ防衛戦でマリーダの暴走を止めるべく、ブライティクスに加勢する際に通信を入れて。
かつて、実験の「事故」により亡くなった恋人と傷を負った自分。連邦の暗部を知る彼女は、強化人間の負の側面も深く知っているようだ。
「真っ直ぐ気持ちをぶつけて…! 本当に分かりやすいわね、あなたはッ…!」
『BX』第39話「どこにでもある『正義』」より。アキトの説得を受けて。
恋人を失った事でどうしようもない現実を目の当たりにしたジラード。そんな彼女はアキトの現実を見てもなお「真っ直ぐ」な説得を聞き、何を思ったのだろうか。
「まったく…思い出しちゃったじゃない…。あなた達の青臭い綺麗事のせいで…」
「でも、今なら…会いに行ける…」
過去じゃなく現在(いま)を生きる、レイナとして、あなたに…
同じく第39話より。フラグが立っていなかった場合の最期の台詞。救うことは出来なかったが、キオアキトの想いは確かに届いていた。
その証拠に最後の台詞の部分ではキャラクター表記が本名の「レイナ」になっている。
「フ、フフ…それじゃあ美味しい物を食べられそうにないじゃない…」
こちらはフラグが成立した場合の台詞。アキトに「美味い物を作るから、どうするかはその時考えよう」と言われて。
まあ確かに、ジラードが食した時は「食べられない事もない」レベルで、上達も遅いので現状のアキトの腕では美味い物が食べられるのは当分先だろう。
「でも、生きたくなってしまった。もう少し現在(いま)を生きたくなったのよ…」
『BX』第39話エンドデモより。ビシディアンのパイロットとして参加する事になった際。共に未来を歩むはずだった恋人を失い、その復讐以外は「生」に対し空虚になってしまった彼女。しかしアキトの説得を受け、生きることを決断した。
「世の中は現実で溢れている。けれど、それは悲劇だけとは限らないらしいわよ」
『BX』真最終話「受け継がれた未来」より。今際の際のジスペルに対して。
その人生の中で「現実」を多く知った彼女だが、「現実」は悲しみばかりではなく、喜びももたらす事実を彼女は知ったのだ。
「そうね、そうさせてもらうわ。けどその時は…」
ジラード・スプリガンじゃなくて、レイナ・スプリガンとして食べに行くかもしれないけどね
『BX』エンディングより。アキトに「自分の店を持てたら料理を食べに来てほしい」と誘われて。いつかは彼女も「レイナ」として現在(いま)を生きる時が来るのかもしれない。

搭乗機体

ティエルヴァ
マッドーナ工房が開発したXラウンダー専用機。
テスト用MS(SRW未登場)
GバウンサーをXラウンダー対応仕様に改修した機体。テストパイロット時に搭乗。

脚注

  1. Xラウンダーの力は「人から理性を持たぬ獣への退化」とされており、ジラードは劇中でまさにそのような事態へと陥るに至っている。

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