オーブ解放作戦

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オーブ解放作戦とは、『機動戦士ガンダムSEED』で行われた作戦。

概要

第1次連合・プラント大戦の最中に行われた地球連合軍オーブ連合首長国への侵攻作戦。

パナマ攻防戦から約20日後、コーディネイターの排斥を掲げた思想団体ブルーコスモスに半ば牛耳られた状態となった地球連合軍は、オーブに対し「アスハ代表の解任、議会の即時解散、武力放棄し、マスドライバーの貸与を目的とした自軍への協力を要求。それを拒否すればオーブをザフト支援国と見なす」と言う、半ば脅迫に近い形で余りにも一方的で無茶苦茶な要求をして来た事に始まる。

この当時、世界情勢は政治的に複雑な状況となっていた。パナマ攻防戦にて、ザフト軍は敵の機動兵器を無力化させる為に電子兵器のグングニールを使用したにも拘らず、「オペレーション・スピッドブレイクで敗戦した腹癒せ」というあまりにも稚拙な動機から、既に抵抗力の無い連合兵士達をモビルスーツでの機銃や集団リンチによって虐殺すると言う常軌を逸した蛮行に及んでおり、当然それによって連合軍側のコーディネイターそのものへの憎悪も未だかつて無いまでに高まっていた。そんな連合軍に対し、無条件降伏に等しい要求を受け入れる事は、生殺与奪を握られてしまったオーブ国民…特にコーディネイター達の命が危険に晒す事になるのは火を見るよりも明らかで、またザフトからも連合支援国と見なされて攻撃を受け、パナマの件と同様にナチュラルの国民達に危険が及ぶ可能性もあった(ウズミ曰く「パナマの二の舞」)。かと言ってザフトの支援提案を受けてしまう事も、結局似た様な事態になり得る可能性も十分にあった為、最終的にウズミは全てのオーブ国民を確実に守るたった一つの手段として、自国の理念である「中立」の方針にも基づく形で、戦う事になっても連合の要請を拒否する道を選択。オーブ内で国民達の避難勧告が行われる中、連合軍は「オーブの解放」を大義名分とした軍事侵攻を開始する。

実は連合軍側は、最初からオーブが要求を飲むとは考えておらず、マスドライバーやモルゲンレーテの技術を取り込む以外に、国を包囲していた連合軍を裏から操っていたブルーコスモスの盟主であるムルタ・アズラエルが、傘下の企業で開発させた新型の後期型GAT-Xシリーズの実戦テストを行いたいが為に、わざと無茶苦茶な要求を行い、拒否させて侵攻の名目を作るという思惑があった[1]。また、アズラエルはオーブの裏方的存在であった五大氏族の一つでアスハ家と対立してもいたサハク家と裏で繋がりを持っており、次期当主であるロンド姉弟は、オーブの技術提供とマスドライバーの存在するビクトリア基地奪還に直接協力するのを条件に、「オーブへの不介入」の協定も行っている。その為、本来ならば連合軍がオーブに侵攻するのは、戦力を無駄に浪費するだけで意味の無い行動に等しかったのだが、ロンド姉弟に提供された技術により、オーブの技術やマスドライバーの独占を目論むようになったアズラエルは、ロンド姉弟が連合側として参戦している第三次ビクトリア攻防戦に平行する形で、協定を反故。今回の軍事侵攻に乗り出すに至ったのである。つまり、本編でこの戦いが巻き起こる直接的な原因を招いたのは、アズラエルに協力してしまったロンド姉弟達にあったのである。

連合軍の3機の後期型GATシリーズとストライクダガーの編成部隊による侵攻に対し、オーブ軍も極秘裏に開発を進めていた量産MS「M1アストレイ」を投入するなどして抵抗。またオペレーション・スピットブレイクの後連合を脱走してオーブに身を寄せていたアークエンジェルも防衛に加わり、さらに捕虜にされた際に起こしたミリアリア・ハウとの騒ぎの一件の後、心境に変化が生じたディアッカ・エルスマンが鹵獲されていたバスターガンダムを持ち出しアークエンジェルを援護した。そしてキラ・ヤマトを追ってきていたアスラン・ザラジャスティスガンダムも独自の判断でアークエンジェルに加勢し、長引く戦闘で後期型GATシリーズのエネルギー切れ、パイロット達の薬切れもあり、何とか一度は連合軍を退ける事に成功した。

一度目の戦闘後、オーブは再三に渡って会談を要請するも、連合側はこれに回答をする事は無く(これもアズラエルの思惑により最初からオーブの要請を拒否している)、パイロットらへの再度の薬物投与を含めた補給後、戦闘が再開する事になる。そして、最終的にはオーブ軍のモビルスーツパイロット達の実戦経験の少なさと連合軍の圧倒的な物量差に押されていき、オーブ首脳陣はもはや勝ち目がないと判断。望みを託したアークエンジェルやクサナギをマスドライバーで宇宙に上げた後、前代表であるウズミ・ナラ・アスハを初めとしたオーブの首脳陣はマスドライバーやモルゲンレーテ社と諸共に自爆。地球連合軍のオーブ占領に終わったが、アズラエルの目論みは完全に失敗する末路となった。

この戦いはフリーダムとジャスティスの並外れた性能から、アズラエルがニュートロンジャマーの影響下でも核エンジンが使用出来る可能性を疑い始める等、色々な面でその後のストーリーに禍根を残すこととなった。続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』においては、当時オーブの民間人であったシン・アスカの視点でこの戦闘が描かれ、戦闘に巻き込まれたシンは流れ弾で家族を失い天涯孤独となっている[2]

登場作品

スパロボでは、原作イベント以外に他作品の重要なイベントも併発する。 『DESTINY』が単独参戦している作品では過去の出来事として扱われ、会話イベントでほぼ原作通りの展開だった事が示唆されているが、同時参戦している『CC』や『DD』ではその詳細が原作と大きく異なった影響で、シンがキラ達アークエンジェル隊や彼らを擁するプレイヤー部隊を家族の死の元凶の1つと見なし、物語開始以前から仇敵として憎む事態になってしまっている。

αシリーズ

第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ
連合軍以外にムゲ・ゾルバドス帝国も攻撃、ウズミに加えてイゴールも死亡し、ファイナルダンクーガ合体、カミーユの復活などが発生。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦J
連合軍以外にフューリーも攻撃してくる。連合軍にはバーサーカーとなったアレンビーが加わっている。ブラスターテッカマンブレードの初陣、ファイナルダンクーガの合体、条件を満たすとゲイル(ジュリア)の参戦がある。アル=ヴァン・ランクスとの一騎打ちや後継機の登場など主人公関連のイベントも多い。
スーパーロボット大戦W
連合軍以外に、ジャスティスガンダムが第三軍として登場。また、連合軍には一部『ASTRAY』キャラも編入されている。条件を満たすと『SEED』勢が一斉に加入、『ASTRAY』系MSの強化とイベント盛り沢山。
途中ラダムイバリューダーの乱入により連合軍は一時撤退、以後オーガンブラスターテッカマンブレードを巡る戦いが始まる。しかし、イバリューダーが撃破された後、再び連合軍が攻撃を開始し漁夫の利を得ようとする。以降、自軍は宇宙に撤退し原作通りの自爆となるが、その最中でも避難民の支援に徹していた張五飛セイナと死別してしまうといったように、最後までイベント密度が高い。

単独作品

スーパーロボット大戦Card Chronicle
連合軍に『機動戦士ガンダム00』の三大国家軍やコードギアスシリーズのブリタニア軍が編入されているほか、チームトリニティイザーク率いるザフト軍までもが第三勢力として登場する等、厄介な事態になっている。
スーパーロボット大戦DD
インベーダー及びテロリスト(プラン1501 ベヘモス)が出現し、それらから防衛するという口実で連合軍が侵攻する。インベーダーを率いる早乙女博士の動向は不明瞭だが、テロリストに関しては明らかに連合軍侵攻のための仕込みであった。ただし後期型GATシリーズ(あるいはそのパイロット)が間に合わなかったアズラエルが自軍の消耗を嫌ったので、攻撃はインベーダーに任せた。そのため自軍が連合軍と直接戦うことはなく、後の話でもインベーダーが主要因であるかのように語られている[3]

脚注

  1. 地球連合の首脳陣はウズミが協力要請を受託しない事を苦々しく思ってはいるものの、代表者の一人がアズラエルに対して「オーブもれっきとした主権国家の一つなのだ。仕方あるまい」と発言しているため、地球連合はオーブの主権を尊重する姿勢を取っている。上記の要求はアズラエルの独断だと思われる。地球連合軍太平洋艦隊司令官もオーブの会談要請を無視するアズラエルに対して嫌悪感を示している場面もある
  2. 『SEED』のHDリマスター版では流用により、当時の避難しようとするアスカ家の存在が確認できる。
  3. なお、同作でのシンは「オーブがアークエンジェルを受け入れたことでオーブに戦禍が訪れた」と認識しており、原作同様のアスハ家への不信感だけでなくアークエンジェル隊への憎悪を募らせている。

資料リンク