「デスティニープラン」の版間の差分

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「個人から選択する権利を国家が取り上げ、遺伝子的に優れた者達(=コーディネイター)によって国家を管理する」という、一種の選民思想・管理社会にも似たシステムであるように演出されているが、実際は全ての人に強制しようとしたわけではなく職業選択の権利は個人にある(適性検査までを強制しようとした)。遺伝子的に才能が無くても[[努力]]で補える事は公式外伝等で多く描写されており演出と実態が合わなくなっている。
 
「個人から選択する権利を国家が取り上げ、遺伝子的に優れた者達(=コーディネイター)によって国家を管理する」という、一種の選民思想・管理社会にも似たシステムであるように演出されているが、実際は全ての人に強制しようとしたわけではなく職業選択の権利は個人にある(適性検査までを強制しようとした)。遺伝子的に才能が無くても[[努力]]で補える事は公式外伝等で多く描写されており演出と実態が合わなくなっている。
  
また「遺伝子で全てを決める」という概要から一見[[コーディネイター]]が重要ポストを占めるように考えられがちだが、「特定の才能を発現しやすく調整する=訓練すれば特定分野が確実に伸びると生まれる前から決まっている」というコーディネイターの設定が示すとおり、全人類の適正が正確に判明してしまうと'''[[ナチュラル]]に対する優位性が殆ど消滅してしまう'''。「埋もれていた才能」はナチュラルの方が圧倒的に多い上に、誰もが自分の有利な分野で活躍できるようになるからである。コーディネイターはナチュラルより圧倒的に数が少なく出生率の問題も抱えている為「コーディネイターが地球圏を支配する」には圧倒的に不向き、というか完全に逆の計画なのである。
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ただ、この計画を考案したのはプラント側で、ナチュラルよりもコーディネイターの方が能力的には優れている者が多い為、計画が実行に移されると、事実上世界はプラントやコーディネイターが主導となるのはほぼ必然で、つまりこのデスティニープランは、「'''ナチュラルよりもコーディネイターの方に都合の良い計画'''」であったともとれる。故に、プラント側で計画に反対するものが少なかったのも、当然と言えば当然なのである。<ref>電撃データコレクションによると遺伝子調整によって誕生したコーディネイターにとってデスティニープランは有利に働くと書かれている</ref>。
 
 
以上の点からデスティニープランのデメリットは「一般市民には関わりが薄く、むしろ現在特権的地位にいる人間達がその立場を否定され、社会的地位と権力を失った場合に起こり得る社会的混乱にこそある」と言える。ただし、上記でも書かれている通り、多く語られていない為、まったく違うという可能性もある。実際、才能その物にも個人差がある事を考えると'''遺伝子的な才能の優劣による格差'''が新たに生まれる可能性は否定できない。また、上記のコーディネイター側に不利な要素もあくまで長期的な視点で考えた場合の物であり、「遺伝子的な才能に優れた」側にコーディネイターの大半が含まれる可能性は高い。
 
  
 
劇中では、拒否したのが親オーブ国家および[[クライン派]]、地球連合宇宙軍の残存勢力だけだったが、これは殆どの国がデスティニープランの複雑な全容を把握しきれず、実際は賛成・否かではなく、どうすれば良いか分からなかったというのが妥当である<ref>[[小説|小説版]]では[[ロゴス]]壊滅と[[ギルバート・デュランダル|デュランダル]]によるロゴス打倒の扇動も有り、各地球国家は指導者や有力政治家の[[暗殺]]・リコール・追放等が立て続けに発生しており、安定している政権が全く無いという事情もある。本編でもセイラン家消滅により一新されたオーブの閣僚が「ロゴスという魔女狩りでどこも政府がガタガタ」と発言している。</ref>。むしろ即座に反対を表明したオーブの行動が早すぎるが、そもそも、オーブの代表である[[カガリ・ユラ・アスハ|カガリ]]の発表を電波ジャックで妨害して[[ミーア・キャンベル|ミーア]]を使ってオーブを陥れようとし、さらに停戦もしていない状態での発表なのだから、拒否するのも当然とも言える。
 
劇中では、拒否したのが親オーブ国家および[[クライン派]]、地球連合宇宙軍の残存勢力だけだったが、これは殆どの国がデスティニープランの複雑な全容を把握しきれず、実際は賛成・否かではなく、どうすれば良いか分からなかったというのが妥当である<ref>[[小説|小説版]]では[[ロゴス]]壊滅と[[ギルバート・デュランダル|デュランダル]]によるロゴス打倒の扇動も有り、各地球国家は指導者や有力政治家の[[暗殺]]・リコール・追放等が立て続けに発生しており、安定している政権が全く無いという事情もある。本編でもセイラン家消滅により一新されたオーブの閣僚が「ロゴスという魔女狩りでどこも政府がガタガタ」と発言している。</ref>。むしろ即座に反対を表明したオーブの行動が早すぎるが、そもそも、オーブの代表である[[カガリ・ユラ・アスハ|カガリ]]の発表を電波ジャックで妨害して[[ミーア・キャンベル|ミーア]]を使ってオーブを陥れようとし、さらに停戦もしていない状態での発表なのだから、拒否するのも当然とも言える。

2019年5月19日 (日) 21:39時点における版

デスティニープラン(Destiny Plan)とは、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』にて登場した計画。

概要

劇中終盤、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルにより提唱され、人間の遺伝子を解析し、その人が持つ適性を調査し、その解析結果を基にその人を適した職業に斡旋するシステムとされ、またそれにより国家間の争いを解消とする目的を持つ。

だが、この発表は世界中に混乱を与え、オーブ連合首長国とスカンジナビア王国、一部の地球連合軍は反対を表明。これらの勢力に対しデュランダルが実力行使に出たため、メサイア攻防戦が勃発。その最中にデュランダルが死亡したことで施行は阻止された。

その名の通り『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』という作品の中核ともいえる存在だが、劇中において多く語られなかった故にその解釈はファンや制作側、各『SEED』関連のメディアにて様々である。

演出との乖離

「個人から選択する権利を国家が取り上げ、遺伝子的に優れた者達(=コーディネイター)によって国家を管理する」という、一種の選民思想・管理社会にも似たシステムであるように演出されているが、実際は全ての人に強制しようとしたわけではなく職業選択の権利は個人にある(適性検査までを強制しようとした)。遺伝子的に才能が無くても努力で補える事は公式外伝等で多く描写されており演出と実態が合わなくなっている。

ただ、この計画を考案したのはプラント側で、ナチュラルよりもコーディネイターの方が能力的には優れている者が多い為、計画が実行に移されると、事実上世界はプラントやコーディネイターが主導となるのはほぼ必然で、つまりこのデスティニープランは、「ナチュラルよりもコーディネイターの方に都合の良い計画」であったともとれる。故に、プラント側で計画に反対するものが少なかったのも、当然と言えば当然なのである。[1]

劇中では、拒否したのが親オーブ国家およびクライン派、地球連合宇宙軍の残存勢力だけだったが、これは殆どの国がデスティニープランの複雑な全容を把握しきれず、実際は賛成・否かではなく、どうすれば良いか分からなかったというのが妥当である[2]。むしろ即座に反対を表明したオーブの行動が早すぎるが、そもそも、オーブの代表であるカガリの発表を電波ジャックで妨害してミーアを使ってオーブを陥れようとし、さらに停戦もしていない状態での発表なのだから、拒否するのも当然とも言える。

これだけでも一つの作品の主題になり得るテーマであり、描写不足が度々指摘される『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』において、物語終盤で登場させるにはあまりにボリュームがありすぎた主題だったとも指摘されている。

問題点

もちろんデスティニープランには以下の問題点がある。

  • 解析は正しいのか、遺伝子のみを判断材料にしてよいのか?
  • 個人の性格や文化的な問題にどう対処するのか?
  • システムが不正に使用されたり歪められたりしないのか?
  • 誰もやりたがらないが絶対必要な仕事(いわゆる「3K」等)や誰がやっても同じような単純な仕事には誰を充てるのか?
  • 適正を持つ人の数とその職業に必要な数の差(就労の需給ギャップ)はどのように解消するのか?
  • およそ何にも向いていない人はどうするのか、モチベーションの維持は可能か?
  • プランによって遺伝子の適正について教えられても、それを受け入れて、プランに従い続ける事が出来るのか?
  • プランを拒否した者達は、その後どのような社会的処置を受けてしまうのか?

また実際、デスティニープランを施行しようとする場合、多くの問題がでてくる。

  • 内政干渉である。
  • 戦後という状況でプランに必要な資材や資金などどれくらい必要になるのか? そして、用意できるのか?
  • プランを施行するにしても、すぐ施行できる訳ではなく、施行するにはどれくらいの時間が必要なのか?
  • ユニウスセブン、戦争、ロゴス狩りで荒廃した場所で適正に合った仕事があるかどうか?
  • デュランダルのロゴス発表によって起きたロゴス狩りによる荒廃、オーブとの関係、終戦の条件等々、プランよりも前にしなければいけない事が山程ある。

等が挙げられ、細かい部分を指摘すればキリがない。しかし、それが「世界から一旦戦争をなくす」という大義名分を否定しきれるほど明確なものかは判断が分かれる点である。 逆にこれらの問題を考慮すれば、デスティニープランで「本当に世界から戦争がなくなるのか?」という疑問が付きまとうのも事実。後述の通り「本当に戦争はなくなる」と公式から回答されているものの、そもそもこのプランで直接的に解消されるのは「先天的な資質による格差」「能力と立場が釣り合わない人間の存在」といった限られた問題のみであり、それ以外の原因による戦争をどうやってなくすのかは明かされていない。

なお、本計画はデュランダルがコロニーメンデルの遺伝子研究所に在籍していた頃には具体案を考えていた様で、当時の同僚にも内容を話していたようである。ただし、その人物は私用のノートに「デスティニープランは今の世界に有益に思える」と前振りをした上で「人は世界の為に生きるのではない。人が生きる場所、それが世界」と殴り書きをしており、暗にデスティニープランを批判している。

制作側の見解

『SEED』シリーズの監督である福田己津央氏は、「わざと間違っていると解るように描写した」「これを使えば確かに戦争はなくなる」「世界中の人に知られてしまったので、デュランダルが死亡しても引き継ぐものが現れるかもしれない点が厄介である」といった趣旨の発言をしている。

登場作品

前述の詳細不明な計画ではシナリオ上で明確に反対を打ち出す事にも難が有るのか、SRWでは大小様々なアレンジを加えられた上で語られている。

Zシリーズ

スーパーロボット大戦Z
機動新世紀ガンダムX』のフロスト兄弟はデスティニープランの副産物、弊害であり、犠牲者というクロスオーバー設定になっている。
ニュータイプに覚醒する可能性を持った人物を探し当てる」という目的でこのプランが流用され、遺伝子的に不適応というだけでフロスト兄弟は否定され、復讐を誓った。
第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
プラント国防委員長に就任したレイの口からこのデスティニープランの真の目的が、絶望の未来に立ち向かう為にSEEDの素養を持つ人物を探しだし、同時にクロノ保守派から守る為だった」事が明らかになる。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦K
原作同様ギルバート・デュランダルがプランの実行を推進しようとするが、主人公勢に阻止される。
デスティニープランへの参加を拒否したオーブ連合首長国に対し、武装解除を要求する形で即座に軍を差し向けたり、対話を望むカガリに殆ど取り合わなかったりと、原作以上に性急にことを進めようとしていた感が強い。デスティニープランの内容よりも、むしろデュランダルの強硬的な姿勢に反発が強まったという体裁である。
スーパーロボット大戦L
本作では「デスティニープランの中身」について独自の解釈が盛り込まれており、軍事面では「地球人のゼントラ化」や「『SEEDを持つ人間』の発見」の為にプランを用いて、そうした者達を集めた部隊を結成して地球を守る為の戦力増強に充てる…という「目的」が描写されている等、デスティニープランが対異星人戦略の延長線上として提唱される。(つまりLOTUSと同じような部隊を幾つも作り出す、という意味)。
その為、「遺伝子だけで人の適性が決まるのか」と言う矛盾点にある程度の答えが出ている(ゼントラ化可能かどうかは完全に遺伝子の問題である)。デスティニープランの最終的な目的はあくまでも自軍と同じ「地球の防衛」であり、原作同様些か極端なやり方ではあるものの、それほどネガティブなイメージは無い。
スーパーロボット大戦UX
竜宮島において、生まれながらにファフナーのパイロットとなる事が運命づけられている少年少女達を見て、「かつてデュランダルがデスティニープランを実行しようとしたが、その思想は人々に受け入れられなかった」「デスティニープランが受け入れられなかったのは、人の運命を生まれで決めようとしたからだ」とシンが語っている。この台詞からは「『UX』におけるシンは、デュランダルに反逆したのではないのか?」という推測も成り立つ。

Scramble Commanderシリーズ

スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd
機動戦士Ζガンダム』のパプテマス・シロッコもデスティニープランの賛同者となっている。
また、本作におけるデスティニープランの正体はマクロスとシロッコのクローン軍団による地球圏の防衛」である。

単独作品

スーパーロボット大戦V
ネバンリンナから超文明ガーディムの文明体制を語られた際、キラ達はガーディムの管理社会がデスティニープランそのものである事に気づく。

脚注

  1. 電撃データコレクションによると遺伝子調整によって誕生したコーディネイターにとってデスティニープランは有利に働くと書かれている
  2. 小説版ではロゴス壊滅とデュランダルによるロゴス打倒の扇動も有り、各地球国家は指導者や有力政治家の暗殺・リコール・追放等が立て続けに発生しており、安定している政権が全く無いという事情もある。本編でもセイラン家消滅により一新されたオーブの閣僚が「ロゴスという魔女狩りでどこも政府がガタガタ」と発言している。

資料リンク