阿頼耶識
阿頼耶識(あらやしき)とは、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の用語の一つ。
概要[編集 | ソースを編集]
厄祭戦時に用いられていた、機動兵器の操縦に使われる有機デバイス技術。正式名称は「阿頼耶識システム」で、「人間の認識(五感を含めた「八識」と呼ばれるもの)の中で”無意識”を司るもの」という意味の、同名の仏教用語を由来とする。
パイロットの脊髄にナノマシンを注入し、「ピアス」と呼ばれるインプラント機器を外科手術によって埋め込み、操縦席側の端子と接続する事で機体とパイロットの神経を直結させる、いわゆるブレイン・マシン・インタフェースの一種である。これによりパイロットの脳に空間認識を司る器官が疑似的に形成され、機体を自身の身体の一部のように操る事を可能とした、文字通りの「人機一体」を実現するための技術である。
このため、操縦技術の修得・訓練の必要が無いばかりか、最低限の識字しか出来ない未教育の孤児でもモビルスーツの操縦が可能になる。また、通常の操縦とは異なる有機的な挙動となるため、熟練パイロットは動きを見ただけで阿頼耶識システムの有無が判別できるという。なお基本的にMSやMWで用いられる物は従来既存のスティック・ペダルやコクピットモニターなども併用し、思考コントロールはあくまでそれ等のみでは間に合わない内容の補佐を行う物である。
一方で「身体に手術でインプラントを埋め込む」という性質上、背中に突起が出来るため仰向けになって寝る事が出来ない等、生活面に支障が生じる。また運用における脳に対する負荷も大きく、モビルスーツや母艦の操作においては扱う情報量の多さから脳への負荷で鼻血が出る描写も散見されていた[1]。さらに脊髄にナノマシンを定着させる必要があるため、「手術を受けられるのは成長期である10代の途中まで」とされている。埋め込んだピアスの数によって交信する情報量が増えるため、施術を重ねる事でより高い効果を得る事も可能[2]だが、基本的には鉄華団の団員でも1本しか付けておらず、3本付けているのは三日月、2本付けているのは昭弘だけである。
劇中時系列となるP.D.323年時点では、非人道的なシステムとしてギャラルホルンによって使用が禁止されており既にレガシーデバイスとして扱われているが、火星など地球圏外では、ヒューマン・デブリや少年兵などに対して不正流出した技術を用いた不完全な施術が横行している。不十分な設備や劣悪な施術環境も相まって手術の失敗により命を落としたり、一命をとりとめても半身不随などの重篤な後遺症を追うケースも少なくなく、そのような「欠陥品」の子供達はそのまま捨て置かれ死亡するケースがほとんどである。また、阿頼耶識に対する世間的な嫌悪感から処置を受けた者はピアスをヒゲに見立て「ヒゲ付きの宇宙ネズミ[3]」と呼ばれている。また、後に使用を禁じたギャラルホルン自体も水面下で阿頼耶識の研究が進められていたことが判明している。
機体の側も基本的には厄祭戦時開発フレーム機のほとんどが対応しているが、大半は一般パイロットが扱う為に阿頼耶識システム用コネクタの有るシート部のみを汎用品に交換し通常型のスティック・ペダルのみのコクピットにされている場合が多い。戦後開発の「グレイズ・フレーム」や「テイワズ・フレーム」などではフレーム自体が対応していない為、無理矢理組み込む事は可能ではあるが、対応フレーム機種に比べ情報交換や操縦精度には劣る。
SRWでの扱い[編集 | ソースを編集]
- スーパーロボット大戦DD
- 初登場作品。システム上、パイロット・ユニットによって効果が異なる。
- スーパーロボット大戦30
- 名義は「阿頼耶識システム」。パイロットの格闘・射撃・技量・防御・命中・回避が増加する。
- パイロットの特殊技能と機体の特殊能力の双方に存在しており対応機体に搭乗していないと効果を発揮しないが、乗り換えには非対応なので実質的には常時発動。
- 補正量はパイロットによって異なり、三日月とマクギリスは+20、昭弘は+10、シノは+5。
- 効果の差は手術回数と比例しており、三度の手術を受けた三日月はオリジナルの阿頼耶識を再現したマクギリスとほぼ対等の条件になっている。
関連人物[編集 | ソースを編集]
鉄華団では大半のメンバーが阿頼耶識の手術を受けている。
- 三日月・オーガス
- 阿頼耶識の手術を3回も受けており、背中のピアスも3本分突き出ている。
- 昭弘・アルトランド
- 阿頼耶識の手術を2回受けている。
- ノルバ・シノ
- 阿頼耶識の手術を1回受けている。
- 昌弘・アルトランド、ブルワーズ兵
- 宇宙海賊「ブルワーズ」では阿頼耶識持ちのヒューマンデブリが戦力の主体。
- アイン・ダルトン
- 阿頼耶識の使用を禁じたギャラルホルン所属だが、システムを組み込む手術を受けることになってしまう。しかし、成人の上に瀕死の重傷を負っていた彼に通常の方式での施術は不可能だったため、その肉体をグレイズ・アインの阿頼耶識システムを起動・運用するための生体部品にするという、余りにも非人道的なものであった。
- ガエリオ・ボードウィン
- 上述のアインを生体部品としたグレイズ・アインの阿頼耶識システムを改良した「TYPE-E」を使用。これは脳だけとなったアインを介することでシステムとの接続・運用を可能とする擬似的な機構だが、システムからの負担が大幅に軽減・回避され、常にリミッター解除状態に匹敵するほどの性能を発揮し続けることが可能となっているが、肩代わりしているアインの脳が焼き切れる可能性が高い。
- マクギリス・ファリド
- ガンダム・バエルに搭乗するため、後に手術を受ける。
- 彼に施されたものは、ギャラルホルンの技師によって復活した厄祭戦当時のオリジナル仕様。流出技術によって中途半端に再現された三日月たちの劣化版とは異なり、成人にも問題なく施術が可能で成功もほぼ確実、施術やその後の危険性も遥かに少ないと、欠点はほぼ完全に解消されている。阿頼耶識システムの本来の性能をローリスクで完全に発揮出来るため、三日月以上の能力を獲得している。
- ビルス
- ハッシュ・ミディの兄貴分だった人物。阿頼耶識の手術に失敗して半身不随となり、後に自殺した。
関連機体[編集 | ソースを編集]
- ガンダム・バルバトス
- 「ガンダム・フレーム」機の為、阿頼耶識システムを搭載している。物語開始時点でシート部は取り外されてしまっており、三日月のモビルワーカーからシステム対応シート部を移植することで起動した。
- ガンダム・バルバトスルプス / ガンダム・バルバトスルプスレクス
- バルバトスの改修機。継続して搭載される。
- ガンダム・グシオンリベイク
- ガンダム・グシオンを改修し、マン・ロディから阿頼耶識システムが移植された。
- ガンダム・グシオンリベイクフルシティ
- リベイクの再改修機。継続して搭載される。
- ガンダム・フラウロス
- 2期にて新たに発掘されたガンダム・フレーム。
- マン・ロディ
- 戦中開発の「ロディ・フレーム」機をそのまま使用しており阿頼耶識の施術を施されたブルワーズの少年兵達が操縦する。
- イサリビ
- 阿頼耶識システムを利用した操艦が可能。
- グレイズ改弐
- グレイズ改にマン・ロディの阿頼耶識を強引に搭載した機体。「グレイズ・フレーム」は阿頼耶識に対応していないので、マン・ロディより反応速度が劣る。
- グレイズ・アイン
- 「グレイズ・フレーム」に阿頼耶識システムを搭載した実験機。第一期終盤にアイン・ダルトンが搭載され完成した。
- CGSモビルワーカー / 鉄華団モビルワーカー
- CGS社が使用するモビルワーカー。既に旧式だが、阿頼耶識に対応した改造が行われており、新型機並の機動力持つ。鉄華団へ移行後も第1期ではそのまま使われ続けた。
- ガンダム・ヴィダール、ガンダム・キマリスヴィダール
- グレイズ・アインの阿頼耶識システムを移植・改良した「TYPE-E」を組み込んでいる。
- ガンダム・バエル
- ギャラルホルンが保有するアグニカ・カイエルのガンダム・フレーム機。阿頼耶識が搭載された当時の状態のまま動態保存されていた。
- ただし、鉄華団のガンダムのようなシステム対応シートの交換は行われていないため、搭乗するマクギリスに埋め込まれたインプラントの位置も異なっている。
関連項目[編集 | ソースを編集]
余談[編集 | ソースを編集]
- パイロットスーツ越しでも運用は可能だが、大気圏内で出撃する時は皆上半身裸の格好で搭乗している。
- そのためか現状描写されている阿頼耶識持ちは全て男性(少年)であり、女性の阿頼耶識持ちは外伝作品であっても登場していない。
- パイロットの身体を改造して強化するという点では強化人間やサイボーグの一種と言える。
資料リンク[編集 | ソースを編集]
脚注[編集 | ソースを編集]
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