ゼロシステム
ゼロシステム(Zoning and Emotional Range Omited System)
出典は『新機動戦記ガンダムW』。ウイングガンダムゼロに初めて搭載された、戦闘サポートシステム。英語の直訳は「領域化及び情動域欠落化装置」。
一時的に全神経と五感をシステムが支配。周囲の戦闘状況を分析し、パイロットの脳にデータの解析から導き出された戦術的勝利への最短のイメージを直接伝えること。機体ダメージによるパイロットへの痛覚などを、脳内物質を操作して錯覚させる事によりある程度遮断するというものである。
パイロットの身体能力を極限まで強化することも可能。OZの技術士官トラント・クラークがこのシステムを研究・実体験することで、通常のパイロットでは扱えないウイングガンダムゼロを操縦し、デュオ・マックスウェルのガンダムデスサイズヘルを圧倒している。トラントは「人間の意識を改変」という独自の理論を立てており、実際ヒイロ・ユイとゼクス・マーキスはシステムを経験・克服することで、鋭敏な感覚を掴んでいる。
ガンダムエピオンには同様のシステム「システムエピオン」が搭載されている。基本理論は同じだが、プロセスが微妙に違う。ヒイロがゼクスと機体を交換したのはこれが理由の一つ。
更にシステム搭載機同士が戦闘に陥った場合、相手を上回ろうと勝利への試行を際限なく繰り返し、最終的にはパイロットごとオーバーフローを起こしてしまう。最終戦でこれが起きなかったのは、ゼロにヒイロが、エピオンにゼクス(ミリアルド)が搭乗していたからこそである(ただし、ときた洸一による漫画版ではオーバーフローこそ起きなかったが、「この戦いは無意味」と判断してゼロシステムが停止してしまった)。
しかし戦術的勝利のために、民間人の虐殺や友軍機の巻き添え、果ては搭乗者自身の死といった未来を見せるといった人道的な条件を全く考慮しないため、大抵は負担に耐えれずに精神崩壊するか、暴走して破壊衝動に飲み込まれてしまう。これを使いこなすにはシステムからの指示を取捨選択するための強靭な精神力と体力が求められる。
原作では5人のガンダムパイロットとゼクス、カトル・ラバーバ・ウィナーは暴走してコロニーと資源衛星を破壊し(後にこのシステムに耐えられるようになっている)、トラントは発狂して死亡した。ただし、ドロシー・カタロニアだけは本システムを初回使用時から使いこなしている。
スパロボでは、ゼロシステムの能力を上手く再現しており、パイロットの各能力(格闘・射撃・技量・防御・命中・回避。一部作品では防御の代わりに反応)を上昇させる特殊能力になっている。
ただし、原作の再現としてイベントで暴走する時のカトル以外は、スパロボではそもそも暴走が起こらないため、乗り換え可能な作品ならヒイロとゼクス以外でもゼロシステムを使いこなすことができ、暴走するなどと言ったデメリットも特にない。中でも「第2次Z 再世篇」ではシステムを使いこなしたヒイロにデュオが「ヒイロが使いこなせたのだから俺たちにも出来るはず」といった旨の発言をしており、他のパイロット達も乗り換え出来るように訓練を積んでいることが示唆されている。
作品 | 効果 | 気力条件 |
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α・α外伝・COMPACT3 | 全能力値+10 | 140以上 |
A・R・D | 130以上 | |
第2次α・第3次α | 命中・回避+20 他能力+10 | 140以上 |
W | 130以上 | |
第2次Z 再世篇 | 全能力値 気力によって変動 | 130以上(ヒイロのみABで110以上) |
ゼロシステム搭載機
- ウイングガンダムゼロ / ウイングガンダムゼロ(EW版)
- 「ゼロシステム」を搭載した『新機動戦記ガンダムW』世界における最初の「ガンダム」。紆余曲折を経てヒイロ・ユイが搭乗することとなる。
- ガンダムエピオン
- トレーズ・クシュリナーダが自ら開発した機体で、「システムエピオン」を搭載している。最終的にゼクス・マーキス(ミリアルド・ピースクラフト)が搭乗する。
ゼロシステムに関連する機体
- トールギスIII
- 「システムエピオン」の試作型OSを搭載。SRWでは未実装。ちなみに「G GENERATION CROSS DRIVE」ではルート次第で本機のコピー機がゼロシステムを搭載。
- ガンダムサンドロック改
- ゼロシステムによる連携攻撃をしてくるMDに対して、ガンダムチームの指揮を執るため一時的に本システムのコピーをヒイロによって搭載された。コピーであるためか、機体が対応していないせいかは不明だが、一部機能がオミットされているようである。その後はガンダムチームの連携がうまくいくようになり、カトルによって不必要とされ取り外されている。SRWでは未実装。
- ビルゴII
- 直接搭載しているわけではないが、本システムを応用し従来のモビルドールより柔軟な操作ができるようになった。操作したのはドロシー。
スパロボシリーズでの関連
- ソレスタルビーイング
- 第2次Z 再世篇においては「ゼロシステムがイオリア計画の一環としてソレスタルビーイングによって製造され、ツインドライヴと共に同じ機体に積み込まれる予定だった」という驚愕のクロスオーバーがある。
元々はゼロシステムとヴェーダをリンクさせ、その予測能力を極限まで引き出すことで搭乗するイノベイター候補者への試練とすることを目的としていたが、候補者がゼロシステムに飲まれてしまった場合ゼロシステムの見せる悪夢がGN粒子によって周囲に無差別に伝播してしまうこととなり、またゼロシステムそのものが悪用された場合の危険度も高かったため、完成後にソレスタルビーイングから離脱したコロニーの五博士によって計画から引き離されたという設定である。
結果としてこの世界のウイングガンダムゼロとダブルオーライザーは兄弟機のような関係となり、作中ではヒイロ、刹那の二人がそれぞれのガンダムのパイロットとなり、戦いの中でイオリアが待ち望んだ革新者として成長していった。 - ビリー・カタギリ
- 再世篇で鹵獲したウイングゼロの調査をしている最中にゼロシステムを起動し、その結果として可能性の一つである「スメラギが自分を裏切った」という場面を目にしてそれに取りつかれてしまう。また、ゼロシステム起動による思考能力の拡大の影響で、自力でトランザムの理論に辿りつき、それをマスラオに実装している。なお、今作のビリーは「ガンダムW」におけるトラント特尉の役回りを受け持っている。
- シャア・アズナブル
- 第3次Z時獄篇において新世時空振動の影響により特異点となった自分が成すべきことを見出すために使用する。先述のビリーとは違い、ゼロシステムに飲まれることはなかった。
- ガウルン
- Wにおいてゼロシステムを沈黙まではさせていないが、現状では確実にヴェルター全滅という未来をヒイロに見せた。
- 千鳥かなめ
- 上記のガウルンの件における唯一の不確定要素。ヒイロはゼロシステムの予測を超えるために彼女の力に全てを賭ける事になる(つまりこの時点でかなめは不確定要素ではあるが、それで勝利出来る事まではゼロシステムも予測できていない。ゼロシステムの予測が変わるのはかなめがその力を発揮した瞬間である)。
- ゼロ
- ゼロシステムで彼の予測された未来を見て、ヒイロは彼の殺害を決意し、彼の拠点とも言えるアッシュフォード学園および協力者たちを襲撃した後、実際に彼と戦う。ステージ名はずばり「ゼロvsゼロ」である。
- マサキ・アンドー
- α外伝で道に迷ったマサキをゼロシステムで捜し出すというおそらく空前にして絶後になるであろうしょうもない使われ方をされた。むしろ、ゼロシステムを使わないと探せないと言われてしまうマサキって…(ちなみにサイバスターには未来予知が可能なラプラスデモンコンピューターがあるのだが、マサキの方向音痴はそれがあっても尚道に迷うほどなので、そんなマサキを探し出せたゼロシステム>マサキが使ったラプラスデモンコンピューターとなるはずである。方向音痴でない普通の人間がラプラスコンピュータを使った場合は不明)。
- なお余談だが、迷子になったマサキと、ゼロシステムを使って彼を捜したヒイロの声優は、共に緑川光氏である。
- アシュクリーフ
- この機体に搭載されているDPSをアストナージはゼロシステムみたいなものと説明した。
- シュウイチロウ・ユキムラ
- 史上初かつ唯一、ゼロシステムを沈黙させた(=勝利出来る可能性が一切存在しない)人物。
余談
- スパロボにおいて、勝利出来る見込みがない相手が現れた際のゼロシステムの対応は、「ゼロシステムが沈黙してしまった」SC2、「敗北する未来しか見せず、パイロットが個人で抗うしかなかった」64、「勝利出来ないとしながらも、不確定要素を予測した」Wと作品によって異なっている。
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