脱走イベント
脱走イベント(Desertion Event)
軍人軍属が正規の除隊手続きを踏まずに所属を離れる事。
規律を乱すため軍法で処罰される。戦闘中の脱走は特に敵前逃亡と呼ばれ、平時における脱走よりも重罪で死刑など重刑に処されたり、過酷な懲罰部隊に堕とされることが多い。
人間、誰しも死にたくはないので死地から逃げ出したくなる気持ちはあろうが、一度脱走が起こると軍内の規律や秩序に乱れが生じて味方の士気に悪影響を及ぼすばかりか、脱走兵の捜索(あるいは処刑)で余計な人員を割かねばならず、また一人が脱走すると「赤信号、みんなで渡れば怖くない」の心理で周囲もつられて脱走しはじめ、最悪の場合戦線の崩壊を招く(=負ける)ことにもつながりかねず、また仕えるべき主君や守るべき民を見捨てる行為でもある上、脱走した兵士が敵に寝返ったり情報を売ったりするなどで副次的な被害も発生しかねないため、一般的にほとんどの軍隊で重罪とされている。
当然ながら本人の意思に反して徴兵される場合や所属している組織の正当性に問題がある場合に起こりやすい。
現実世界でよく知られた例として、ベトナム戦争では米軍だけで3万人を超える脱走兵が出た。これはあまりにも過酷な戦場生活や多発する虐待・虐殺といった自軍の非人道的行為への反発、戦争の長期化に伴う反戦・厭戦ムードの高まりなどが大きな要因であるとされる。
このほか、旧ソ連の独裁者ヨシフ・スターリンは敵前逃亡防止のために突撃する徴用兵の後ろに機関銃を据えた監視部隊(督戦隊)を設け、逃げ出そうとしたり降伏しようとした味方を後ろから蜂の巣にするという非道な行為をたびたび行っていたとされる。
もしくは捕虜となった兵等の、何らかの理由で拘束されている人物が、何らかの方法で拘束を逃れ、自由の身になること。
創作物では、特に主人公等善玉が行う場合は肯定的に描かれる事が多い。
主要な人物
版権作品
ガンダムシリーズ
- アムロ・レイ
- 一年戦争時代に2回、グリプス戦役に1回と計3回脱走している。
- 1回目は、辿り着いたルナツーで基地の司令官であるワッケインから、民間人でありながら地球連邦軍の最重要機密であるガンダムやホワイトベースに触れた事による厳罰措置が取られ、他のクルーと一緒に牢獄に幽閉されてしまう。その後、シャアの部隊がルナツーに潜入し破壊工作を講じた事によって、牢獄の電子ロックが解除され脱出し、反逆罪を覚悟してガンダムの封印を解いた。
- 2回目は、度重なる戦闘のストレスに加え、自分がガンダムのパイロットの任から外されるという話を聞いたため、脱走のついでにガンダムも持ち逃げした。
- GC(XO)でもこの顛末が再現されている他、『リアルロボット戦線』でもルート次第ではハヤトの戦死に耐え切れず脱走する。
- 3回目は、 フラウ、カツ、レツ、キッカの四人がシャイアン基地を訪問したため歓迎するが、彼らに連邦軍に飼い慣らされ半幽閉生活を送らされてる上に、なおかつそれに甘んじている自分の現状を痛烈に批判された事をきっかけに、再起しカラバと合流する事を決意。空港でカツを連れて、監視兵の目を盗んで滑走路の輸送機をジャックしアウドムラに向かった。
- ブライト・ノア
- 一年戦争で1回、グリプス戦役で2回、第1次ネオ・ジオン抗争で2回と、計5回も脱走している。
- 1回目は、上記にあるようにルナツーでワッケインに拘束された一件。
- 2回目は、グリーンノアがティターンズによって軍事要塞化したので、そこに住む避難民たちを救出し、テンプテーションで脱出。救難信号を出しながら漂流していたところを、その信号をキャッチしたアーガマに救出され拾われる。そしてそのまま連邦軍を脱する形でエゥーゴに身を投じた。
- 3回目は、ティターンズとの戦いを有利に進めるために地球圏に近づいてきたジオン公国軍の残党であるアクシズと接触し結盟交渉の為にグワダンに赴くが、クワトロの感情的な行動が原因で交渉は決裂。エゥーゴの使節団のメンバーと共に監禁される。後に一芝居うったカミーユとクワトロの機転によって、敵側のノーマルスーツを奪いランチを強奪して脱出。何とかアーガマへと生還した。
- 4回目は、ムーン・ムーンでアーガマを乗っ取り光族の教えを宇宙に広めようと布教を目論む、光族の長・サラサをジュドーがラサラと間違えて引っ叩いた事で、他のクルーやエマリーと共に光族の兵士に拘束されてしまう。ルー、エマリー、捕虜のキャラと共に地下牢に連行されそうになったところを、ラサラの助けによって逃亡に成功し神殿から地下道を通ってきたジュドー、エル、イーノの3人によって救出された。
- 5回目は、ダブリンにある地球連邦政府の高官のブナ屋敷に、上層部がアーガマの武装解除を推進させてくる事に反対し直談判をしに行くが、ハマーンの怖さも知らずに彼女の提示した条件さえ呑めば和平は成立すると本気で信じて、サイド3をネオ・ジオンに譲渡するなど上層部の腐敗ぶりやあまりの身勝手さに、後をつけてきたジュドーが物陰からそれを聞いて激怒し、リーダー格のホワイト提督に鉄拳制裁を加えた事によってジュドーと共に拘束、屋敷の地下牢に監禁されてしまう。その後、アーガマをおびき寄せようと市街地を爆撃したアリアス・モマのMS部隊の攻撃で、屋敷が火災を起こし地下牢にも煙が充満し酸欠状態に陥るが、ブナ屋敷の怪我人たちを助けるために救護隊と一緒に屋敷に来ており、ダブリンの病院で看護婦として働いていた元アーガマのクルーでもあるファに助けられた。
- カイ・シデン、ハヤト・コバヤシ
- ガンダムを持ち出して脱走したにも関わらず、戻ってきたアムロに対するブライトの処置に不満を抱き、半ば当てつけのような形でホワイトベースを脱走した。
- 結局リュウによって連れ戻され未遂に終わるも、独房入りのアムロと違ってその後特に大きな処罰を下された様子は無い。
- コズン・グラハム
- アムロとの戦いで拿捕・連行されホワイトベースの捕虜となる。
- 後に隙を見計らって、奥歯に仕込んでいた爆薬で牢獄の鍵を破壊し脱走。
- ジュドー・アーシタ
- グレミーに連れ去られたリィナを救出するべくアクシズに潜入、ΖΖガンダムを携えてネオ・ジオンに投降したが、結局グレミーによって拘束・監禁されてしまう。その後、プルの手引きによって何とか脱出した。
- ルー・ルカ
- 自分を利用してグレミーを撃退したビーチャのやり方に憤慨し、アーガマを出て行ってしまった。
- ビーチャ・オーレグ、モンド・アガケ
- ブライトへの反感からアーガマをネオ・ジオンに売り飛ばす事を企むもその目論見は見事失敗、なし崩し的にアーガマを飛び出す羽目となりエンドラに保護されるが、またもトラブルを起こしアクシズの捕虜となる。
- その後救出され、結局アーガマへと出戻った。
- キャラ・スーン
- ムーン・ムーンでの戦闘でジュドーに敗れ、アーガマの捕虜となる。
- グラナダの捕虜収容所に移送される予定だったが、偶然居合わせた民間人のセシリアを人質にして脱走、何とか本国に送還された。
- エレドア・マシス、ミケル・ニノリッチ
- 原作ではエレドアがメジャーデビューが決まったことを祝おうとして待機命令を破って抜け出した。GC(XO)ではアムロの脱走に便乗する。
- ガロード・ラン
- フリーデンでの集団生活に馴染めず様々なトラブルを起こした結果、ジャミルに重傷を負わせる事故を引き起こしクルーから責め立てられる事に。事情があったとはいえティファからも拒絶されてしまい、そのショックで半ば衝動的にフリーデンを出奔してしまう。
- キラ・ヤマト
- オーブにおけるアスランとの戦いの末、イージスの自爆に巻き込まれ意識不明の重傷を負う。
- その後クライン派によって保護され、ラクスにフリーダムを託される。MIA扱いだったこともあり、その際に地球軍も脱退している。
- アスラン・ザラ
- 無印とその続編とで2度も脱走している。いずれも上官への不信や失望が大きな理由であるが…。
- ちなみに、2度目はよりにもよってサブタイトルにされた(『SEED DESTINY』PHASE-36のサブタイトルは『アスラン脱走』である)。
- アークエンジェル隊(マリュー・ラミアス、ムウ・ラ・フラガ、アーノルド・ノイマン、ダリダ・ローラハ・チャンドラII世、コジロー・マードック、サイ・アーガイル、ミリアリア・ハウ、カズイ・バスカーク)
- ユーラシア連邦の部隊と共にアラスカ基地の守備隊として編入された際、自分達を快く思わない上層部から捨て駒にされた事がフラガから聞かされ、間一髪で戦場を離脱。その後は、艦ごと地球軍を脱退、オーブへと身を寄せた。
リアル系
- エルチ・カーゴ
- 最終決戦後、洗脳されていたとはいえかつての仲間達を裏切った自責の念から、贖罪のため一人アイアン・ギアーを出て行った。
- レントン・サーストン
- 真壁一騎
- ゼロ
- シュナイゼルの策略に嵌まり、黒の騎士団を追われる形でロロとともに脱走。
- その際ロロはギアスを限界まで酷使した末、命を落とすことに……
スーパー系
- フォルモッサ・シェリル、ナブール・ハタリ
- 宇宙を逃げ回る生活に耐えられず脱走を図るが、「受け入れる植民星がある」とのバッフ・クランの偽情報に踊らされてのものであった。
人質としたカララ・アジバが罪を被ることでシェリルらは咎められずに済んだが、そのことが彼女のプライドを傷つけた。 - 碇シンジ
- 第4使徒シャムシェル戦後、様々な経緯から自分の帰るべき居場所を見出すことが出来ず家出し、一週間も街を彷徨っていた。
- 惣流・アスカ・ラングレー
- 神名綾人
バンプレストオリジナル
- イルムガルト・カザハラ
- αではイングラムに対する不信感から副主人公を連れて連邦軍を脱走、SRX計画の機体を破壊するために行動する。
- セレーナ・レシタール
- 第3次αでは目的のために、ベガリオンを撃墜してまで敢行している。その結果、部隊の信頼を失う結果になる。
- アニエス・ベルジュ
- 様々な出来事が重なり正規の手続きを取らずに連邦軍を離れることになる…が、後に所属している部隊自体が連邦軍の新たな独立遊撃部隊となるため結果的に連邦軍に戻ることになる。
- サキト・アサギ
- 事情があったとはいえ、2回も脱走している。
関連項目
- 裏切りイベント
- 上述の通り、脱走が裏切りのきっかけになることがある。