魔装機神シリーズ
魔装機神シリーズは、『第2次スーパーロボット大戦』を皮切りに、以後『バンプレストオリジナル』の一角を担ってきたマサキ・アンドーとシュウ・シラカワのライバル関係から発展、誕生したスーパーロボット大戦シリーズのサブシリーズ。
歴史と経緯
旧シリーズから独自の世界観へ
『スーパーロボット大戦』発売後、版権ものだけでは原作があるため発展させにくいと感じたウィンキーソフトは、オリジナルキャラクターを登場させることをバンプレストに提案する[1]。そしてある企画会社にアイデアの提案が依頼され、「魔装機神サイバスター」「武装機甲士グランゾン」「次元烈風狩狼哉(じげんれっぷう・シュロウヤ)」という3つの企画が上がった。この3つが他の作品と絡んでいく予定だったが、数が多いことや設定がややこしくなることから「狩狼哉」は没となり、「サイバスター」と「グランゾン」をまとめたものにさらなる別案「機甲魔界サイバスターvs魔装機甲士グラジオン」の要素が盛り込まれて再構成され、旧シリーズ第1作『第2次スーパーロボット大戦』に登場するオリジナル作品「魔装機神サイバスター」が誕生した。[2]
『第2次』においてマサキとシュウが初登場し、ライバル関係が確立した。続く『第3次スーパーロボット大戦』では二人の対決に一旦の決着がつけられた。
『ヒーロー戦記 プロジェクトオリュンポス』にマサキとシュウがゲスト出演し、マサキのファミリアのシロ、クロが初登場。
第3作『スーパーロボット大戦EX』では、ゲーム独自の世界ラ・ギアスを舞台に、バンプレストオリジナルおよび版権作品のキャラクター、メカニックが共闘するという展開が繰り広げられた。マサキを始めとする魔装機神操者達とシュウが主人公として活躍、物語中では多数の魔装機およびその操者が初登場し、ラ・ギアスの世界観が初めて本格的に明かされた。これらの設定は好評を博し、多くのファンを生んだ。続編『第4次スーパーロボット大戦(S)』にも魔装機神勢は引き続き参戦し、旧シリーズの物語は一旦終結した。
その後、『EX』と同じくラ・ギアスを舞台にして旧シリーズの前日譚および後日譚を描いた作品『スーパーロボット大戦外伝 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL』が制作された。本作では、後の『OGシリーズ』と同じく版権作品が一切登場せず、独自のキャラクター・メカニックのみが登場する物語が展開された。強い支持を得たこの作品により、『魔装機神』は独自作品としての地位を確立した。
停滞期
『魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL』の成功を受け、続編の企画、制作も始まった。しかし『スーパーロボット大戦F』の開発の優先により、この企画は中止されることとなった[3]。そして『スーパーロボット大戦コンプリートボックス』開発後、バンプレストからさらに多くのスパロボ開発を要求されたウィンキーソフトは、そこまでの仕事量は受けられないとしてスパロボ開発から離脱[4]。旧シリーズまでの体制で続編を制作することは不可能になった。
その後、魔装機神シリーズの制作は、バンプレストにより従来と異なった形で続けられ、『魔装機神サイバスター』(テレビアニメ/ラジオドラマ)、『真・魔装機神 PANZER WARFARE』が発表された。これらの作品には旧作と同じ固有名詞が登場するが、その設定に関係はない。一方、ウィンキーソフトは旧作と類似した設定を持つ作品『聖霊機ライブレード』を独自に制作した。いずれの作品も旧作ほどの支持を得るには至らず、以後続編は発売されていない。
αシリーズからOGシリーズへ
スパロボシリーズの新作『スーパーロボット大戦α』は新たにバンプレスト内部で立ち上げられた開発ラインで制作された。『α』では主にマサキ・シュウ・リューネが登場した。続編『スーパーロボット大戦α外伝』では、他の魔装機神操者たちも登場したが、αシリーズでの参戦および魔装機神シリーズが版権ありスパロボのストーリーに大きく絡むのはこれが最後となり、版権ありスパロボへの再参戦は『スーパーロボット大戦Card Chronicle』まで待つことになる。なお、αシリーズでの設定は旧シリーズのものと若干異なっている。
その後、『α』のスピンオフ作品『スーパーロボット大戦α ORIGINAL STORY』が発表され、これを基にしたバンプレストオリジナルキャラクターのみの独自ストーリー『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION』が制作された。この独自ストーリーは「OGシリーズ」としてシリーズ化され、『OG1』から『スーパーロボット大戦OG外伝』まで主にマサキ・シュウ・リューネが登場、マサキらの活躍の場はαシリーズからOGシリーズへと移ることとなった。
シリーズ復活
2010年、『魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL』のリメイク作品『スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL』が制作された。開発担当は原作者の阪田雅彦氏とウィンキーソフト(以降の作品も担当)。制作発表の際には「熱血!必中!スパログ!」にて寺田貴信プロデューサーにより、OGシリーズの誕生の背景に魔装機神シリーズ復活の計画が含まれていたことが明かされた[5]。シリーズ復活に際し基本設定が「OGシリーズ」に準拠したものへと組み直され、タイトルについても「無限のフロンティアシリーズ」と同様にOGシリーズ本編に対する外伝作品であることを指す「OGサーガ」が添えられている。再始動の企画はすんなりとは通らなかったが、「OGサーガ」の1つとしてリブートすることで了承された[6]。
2012年には『魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL』の正式な続編である『スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神II REVELATION OF EVIL GOD』が発売。
2012年発売の『第2次スーパーロボット大戦OG』では旧シリーズの『EX』、『第4次』の物語が再現され、マサキ以外の魔装機神操者たちがOGシリーズで初めて登場した。
2013年には『スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神III PRIDE OF JUSTICE』が発売。
2014年に魔装機神シリーズ最終章となる『スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神F COFFIN OF THE END』が発売され、シリーズとしては一応の完結を迎えることとなった。
作品
本シリーズ
- スーパーロボット大戦外伝 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL
- シリーズ第1作。1996年にSFC用ソフトとして発売。旧シリーズからのスピンオフ作品として発表された。
- スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL
- シリーズ第1作のリメイク作。2010年にNDS用ソフトとして発売。前述通り設定は「OGシリーズ」に準拠したものに変更されている。
- スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神II REVELATION OF EVIL GOD
- シリーズ第2作。2012年にPSP用ソフトとして発売。NDS版第1作の正式な続編。
- スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神I&II
- シリーズ第2作とPSP版第1作の同梱品。第2作と同日に初回限定生産品として発売。
- スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神III PRIDE OF JUSTICE
- シリーズ第3作。2013年にPS3及びPSVita用ソフトとして発売。
- スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神F COFFIN OF THE END
- シリーズ第4作にして最終章。2014年にPS3用ソフトとして発売。
スパロボシリーズ
『魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL』以前の作品に登場しているラ・ギアス系のメカ・キャラクターについては、バンプレストオリジナルという範疇ではなく、オリジナルロボット作品としての「魔装機神」としての立場から、現在では「魔装機神からの参戦」と紹介される事も多い。
旧シリーズ
- 第2次スーパーロボット大戦
- 初出作品。サイバスターとグランゾン、及びパイロットのマサキとシュウが登場する。
- 第2次スーパーロボット大戦G
- 『第2次』に準拠。ただし、本作以前に発売された『第3次』初出のヴァルシオーネ及びパイロットのリューネがゲスト的な扱いで登場する。
- 第3次スーパーロボット大戦
- ヴァルシオーネ及びリューネの初出作品。
- スーパーロボット大戦EX
- ラ・ギアスを舞台にしている為、魔装機神が根幹を成す。
- 第4次スーパーロボット大戦
- スーパーロボット大戦F
- スーパーロボット大戦F完結編
- スーパーロボット大戦コンプリートボックス
- 2種類あるオープニングCGデモの1つでは主役的な扱いであり、リアル体型の四大魔装機神、ヴァルシオーネ、ネオ・グランゾンが登場している。収録3部作での扱いはほぼそのまま。
αシリーズ
- スーパーロボット大戦α
- サイバスターがエアロゲイターと誤認されるという一幕がある。
- スーパーロボット大戦α for Dreamcast
- PS版では外伝に持ち越されたシュウとの決着が付けられるようになった。
- スーパーロボット大戦α外伝
- マサキ、リューネ、シュウ以外の魔装機神勢が久しぶりに登場。どのユニットも戦闘アニメに気合が入っていてよく動く。また、『第3次』以来、久しぶりにシュウが敵に回った。αシリーズでは今作が最後の登場となった。
VXT三部作
- スーパーロボット大戦X、スーパーロボット大戦T
- 参戦表記は無いが、マサキとサイバスターがゲスト参戦する。
単独作品
- スーパーロボット大戦Card Chronicle
- 参戦表記は無いが、マサキとサイバスター、シュウとグランゾンがゲスト参戦する。
- スーパーロボット大戦Operation Extend
- 『スーパーロボット大戦OG』名義でマサキとサイバスターがゲスト参戦する。
- スーパーロボット大戦X-Ω
- 『スーパーロボット大戦OG』名義で一部の機体がイベント限定参戦。
- スーパーロボット大戦DD
- 『スーパーロボット大戦OG』名義で一部の機体が「制圧戦」の報酬としてゲスト参戦。
- スーパーロボット大戦30
- 参戦表記は無いが、マサキとサイバスターがゲスト参戦する。
OGシリーズ
- スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION
- マサキ、リューネ、シュウ以外に、DC絡みでトーマス・プラットが登場する。
- スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION2
- スーパーロボット大戦OG ORIGINAL GENERATIONS
- スーパーロボット大戦OG外伝
- 『α外伝』と同じく最終面でシュウが敵に回る。
- 第2次スーパーロボット大戦OG
- シュウの章以外の『EX』のシナリオが収録され、リメイク版『I』や『II』と繋がるようになった。
- スーパーロボット大戦OG ダークプリズン
- 『第2次OG』で収録されなかったシュウの章を題材にした作品。
- スーパーロボット大戦OG ムーン・デュエラーズ
- シリーズ完結後の参戦となる。
- スーパーロボット大戦OG ディバイン・ウォーズ
- 『OG1』に準拠。
- スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター
- 『OG2』に準拠。
関連作品
- シャッフルファイト
- ヒーロー戦記 プロジェクトオリュンポス
- マサキ・アンドーとシュウ・シラカワがゲスト参戦。シロ、クロの初出作品。
- また、「マサキ」と「シュウ」という人間としてガンダムを筆頭としたロボット作品以外のクロス作品の人物達と共演した唯一の作品でもある。
独自作品
- 真・魔装機神 PANZER WARFARE
- 1999年にPS用ソフトとして発売。独自の世界観「ア・ゼルス」が舞台。サイバスターなど魔装機神シリーズの機体が登場するが、設定は全くの別物。しかし、本シリーズとの繋がりらしき描写もある。
- 魔装機神サイバスター(テレビアニメ版)
- 1999年にテレビ東京系で放送。通称は「アニバスター」。登場キャラクターやロボットの名前に共通点はあるものの、設定は同じく全くの別物。
- 魔装機神サイバスター(ラジオドラマ版)
- ラジオ番組『アニガメパラダイス』(ニッポン放送)内で放送。通称は「ラジバスター」。CD化されていないこともあり、他の作品に比べて知名度は著しく低い。
- ラングラン戦記
- 阪田雅彦氏がラ・ギアスの世界観を描いたWeb小説作品。過去の人物として名前が挙がるランドールが主人公で、マサキらが活躍する以前の大昔のラ・ギアスを舞台とする作品に位置付けられると思われるが、バンプレストとウィンキーソフトの提携解消後に発表された作品のため、現時点では『魔装機神』のストーリーに公式に組み込まれているかどうかは定かではない。
関連作品
- 聖霊機ライブレード
- スパロボシリーズの制作から離れたウィンキーソフトが2000年に独自に発売した作品。なお阪田氏は当時体調不良のためウィンキーソフトを退社しており、直接『ライブレード』の制作には関わっていない模様。
- 攻略本インタビューによると、阪田氏の手により開発が開始されながらも、『F』開発難航を受け開発中止となった『魔装機神2』がベースになっているとのことで、世界観は魔装機神のファンタジーな世界観とは異なっているものの、登場キャラクターの設定には共通点が見られる。そのため、当時魔装機神の真似をしてると指摘されたこともあったとのこと。
- 続編の制作も発表されたが、現在まで発売はされていない。2013年2月のウィンキーソフトのWebサイトリニューアルに伴い、続編の情報は削除された。
- 『魔装機神F』に登場するレイブレードの名称が本作品を参考にしているとの事。
登場メカ・登場人物一覧
世界観
用語
記事テンプレート
余談
- Zシリーズに登場するアサキム・ドーウィンと搭乗機シュロウガには、マサキとサイバスターのオマージュとみられる要素が存在する。例えば、シュロウガの武器「レイ・バスター」のアニメーションにはグランゾンやサイバスターが登場している。1のNDS版リメイク時に『熱血!必中!スパログ!』において、寺田プロデューサーの「Q.『アの付く人は出るの?』A.『Zのオリジナルキャラクターなので出ない』」というコメントが掲載され[7]、魔装機神F制作発表時に「魔装機神シリーズとZシリーズに関連性はない」と明言しており、噂されていたアサキム=無限獄に堕ちたマサキという図式はなくなった。
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