ブラックノワール
ブラックノワール | |
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外国語表記 | Black Noir |
登場作品 | 勇者特急マイトガイン |
声優 | 水原リン(現:真山亜子) |
初登場SRW | スーパーロボット大戦V |
SRWでの分類 | パイロット |
プロフィール | |
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異名 | 巨大な悪 |
種族 | 三次元人を自称する二次元人 |
性別 | 不明(声は女性的) |
所属 | ブラックノワール一味 |
ブラックノワールは『勇者特急マイトガイン』の登場キャラクター。
概要
旋風寺舞人の父親が死の間際に言っていた「世界を狙う巨悪」の正体。『勇者特急マイトガイン』の最大にして最後の敵である。
純粋な悪意そのものとでも言うべき存在で、実体を持たず、巨大なモニターのようなものに真っ赤な人間の顔に見える不気味な姿を映している。初めて登場した際は性別も分からない声だったが、中盤以降は明確に女性的な声に変化した。
世界征服を目的としており、部下のエグゼブやパープルを介して物語の裏で暗躍。凶悪犯罪を隠れ蓑に活動を続けていたが、舞人率いる勇者特急隊の活躍を受けて彼らを邪魔な存在であると判断し、抹殺を企む。
「魔のオーラ」と呼ばれる邪悪で強大な力を操ることができ、その力を配下のパイロットごとロボットに付与することで、何度でも自己再生と復活を繰り返す「洗礼ロボ」に変えてしまう。洗礼を受けたロボットは生物のように変化し、パイロットもブラックノワールの下僕になるよう洗脳される。
物語終盤、かねてより計画していた全世界侵略作戦「クリスマスオペレーション」を12月25日午前0時を迎えた時点で発動。日本以外の国をわずか14時間で制圧し、勇者特急隊もパープルを使って一度は返り討ちにした。さらに雷張ジョーを洗脳して仲間に引き入れようとしたが、魔のオーラを解析して弱点を見つけたウォルフガングに妨害されてしまう。
最後の戦いでは、ヌーベルトキオにあるTR社一帯を浮上させ、それを空中要塞にする。エグゼブと共にグレートマイトガインと轟龍を迎え撃つが、エグゼブは轟龍の特攻で撃破され、ついにブラックノワールは要塞内に突入してきた舞人と直接対峙。ここでブラックノワールは自分の正体を明かすのだが、その正体は「次元を越えてやって来た三次元人で、二次元世界を支配する神のような存在」だという。
舞人はそれを信用せず否定するが、ブラックノワールは舞人に対し「お前もヒーローとして作られた駒であり、お前の両親もお前をヒーローとして育てるための要員でしかない」と衝撃的な言葉を浴びせた。
つまり、この『勇者特急マイトガイン』という番組自体が、ブラックノワールが娯楽として仕掛けたゲームであり、二次元人をゲームを楽しむ駒として弄んでいたのである。ブラックノワールの真の目的は世界征服ではなく、「ハッピーエンドに飽きたので、ヒーロー(舞人)が死ぬエンディングでゲームを締めくくること」であった。
魔のオーラで舞人とマイトガインを窮地に追い込むが、そこにイノセントウェーブ増幅器を装備した吉永サリーが駆けつけたため、魔のオーラが弱体化。怯んだところにマイトガインのダブル動輪剣を受けて敗北、己もまたラスボスという役割を与えられた駒に過ぎなかったことを悟って消滅した。
ちなみに舞人は最後の最後までブラックノワールを「自分を高次元の存在と思い込んでいた狂気の悪党」として扱っており、ブラックノワールの言葉を信じず否定している。実際、作中において「『マイトガイン』の世界は何者かが作ったフィクションの世界」ということを証明できる明確な証拠はない……と、いうことになっているが……(詳細は後述)。
登場作品
流石に「自称三次元人」はスパロボでも難しかったからか、大半の作品において「自称高次元人」とされ、その実態は「地球外文明の開発した社会管理システム」と設定されている。
VXT三部作
- スーパーロボット大戦V
- 初登場作品。担当声優の真山亜子氏はOGシリーズのアギラ・セトメ役を経て、版権シリーズでは初参加となる。
- 原作での立ち位置もあり、通常ルートでは闇の帝王と共に版権勢力最後の敵となる。また、ウォルフガングたちに存在を気づかれていた原作とは違い、終盤で地球艦隊・天駆の前に姿を現すまで影で潜んでおり、より謎の存在としての側面が強調されている。
- 西暦世界の真の支配者にして、部下であるエグゼブらはおろかコンピュータドール第8号やエンブリヲのような巨悪すら手駒として利用していた戦乱の黒幕。その動機は原作と同じくゲームであり、自分の理想のヒーローとなる人物を生み出すための実験として『マイトガイン』以外の作品の主人公たちを含めた多くの人々の人生を弄んでいた。
- その実態は「地球外の何者かが作った非常に高度な社会管理システム」と推察されており、ヴェーダもブラックノワールを基に造られたことが明かされた。原作で決定打になった強化イノセントウェーブが全く通じない上に、それすらも「ゲームを面白くするための要素」と断じるが……。
- 『V』にはメガノイド、火星古代文明、ガイゾック星、ゲッター線、ELS、超文明ガーディムといった幾多のオーバーテクノロジー保有者や高次的存在が登場するにも関わらず、ブラックノワールを作った「何物か」が誰であるかは示されない。また、ブラックノワールを神ではないと看過した真田志郎の言葉を逆に返せば、ゲームの駒を直接動かし勝利条件を満たしイベントを見ながら進めエンディングを目指して遊びながらその姿を駒の前に見せないプレイヤーは「神」ということになる。
- エンブリヲやブラックノワールをも超える存在として、ゲームを生み出したメーカーとそのゲームを遊ぶプレイヤーという二つの悪が暗示されているとも考えられ、もしそうならば、ゲーム作品に登場したことで原作のテーマがかえって強化されたと言えなくはないだろうか。
- スーパーロボット大戦X
- 名前が「ブラック・ノワール」表記となっている。
- 本作では、アル・ワースに移住した文明が造った社会管理システムという設定で、「平和の世界」「革命の世界」「戦争の世界」で起きた戦乱の黒幕でもあった。智の神エンデの正体を自称しているが、実際は魔獣エンデの気=魔のオーラに侵食されたことで自分自身をエンデと思い込んでいたに過ぎず、困難ルートでは散り際にホープスからその事実を宣告され驚愕と絶望の中で果てる。
- 本作では、通常ルートではマジンガーZEROに凄まれビビり、困難ルートでは論破されて『V』同様に壊れた機械呼ばわりされ……と、どうにも小物っぽさが否めない上、仮にも『マイトガイン』のラスボスであるにもかかわらずどちらのルートでも舞人が強制出撃ではないと、扱いが妙に軽い。
- スーパーロボット大戦T
- 本作でも名前が「ブラック・ノワール」表記。本編開始の直前にEI-01と共に東京へ現れ、勇者たちに倒されたことが語られている。
- その後、中盤の終わりである第39話にてエグゼブにより復活。その際に自身が三重連太陽系の黒の星[1]で開発された超自立型社会管理システムであった記憶を取り戻している(つまり、GGG勇者ロボやギャレオン、トモロ0117の同類)。「社会を管理することでマイナス思念を制御し、ゾンダーから人類を守護する」という本来の任務が明かされるも、自らを神と称する傲慢さは全く変わっておらず、それどころか存在理由であるゾンダー対策が失敗していることに指摘されるまで気づかないなど、これまで以上に「壊れた機械」の印象が強い。結局、T3の手で討たれる結果となり、『X』から輪をかけて小物として扱われつつ散った。
- 『V』『X』のような原作を超える暗躍を行っていたかは不明だが、少なくとも今作にはデボネアやワイズマンといった彼(彼女)以上の「巨大な悪」が存在している。
単独作品
- スーパーロボット大戦X-Ω
- 2019年7月のイベント「灯せ!! 絆の進化理論」にて登場。今回は『マイトガイン』が原作終了後だが「ある人物」の協力を得て復活している。また、SRW初となる原作と同様の三次元人設定であり、当イベントにおける黒幕となっている。
パイロットステータス
精神コマンド
特殊スキル
- V、X、T
- 2回行動、再攻撃、ガードL3、気力+ボーナス、プレッシャーL4
- さすがに強力な技能が揃っており、高レベルのプレッシャーと高い技量から繰り出される再攻撃が厄介。特に後者は2回行動と合わせて最悪4回も殴られる羽目になる上、武器には行動不能の効果が付いているため非常に危険。
- 反面、底力や精神耐性を持たないため、ガードや後述のエースボーナスを封じる意味でも脱力で対処したい。
エースボーナス
人間関係
- エグゼブ
- 忠実な部下。15年前にケン・エノモトだった彼を捕らえて洗脳した。
- パープル
- 忠実な部下。エグゼブと同じく洗脳を施し手駒とした。
- 旋風寺舞人、マイトガイン
- 宿敵。彼らに自分の正体を始めとする衝撃の事実を突きつける。
- 雷張ジョー
- 洗脳して部下にしようとするが、ウォルフガングに妨害される。
- ウォルフガング
- エグゼブを介して強制的に配下とするが、ジョーを洗脳しようとした際に一矢報いられてしまう。
- それでも「たかが人間」と見下していたが、最終的に彼の開発したイノセントウェーブ増幅装置が敗因となった。
- 吉永サリー
- 彼女が放つ、常人の100倍のイノセントウェーブによって怯んでしまい、マイトガインの攻撃を許すことになった。
他作品との人間関係
スーパー系
- 神ファミリー、破嵐万丈
- 『V』では「理想のヒーロー作りのためのキャラメイキング」として彼らの人生を弄んでいた。
- ドン・ザウサー
- 『V』ではブラックノワールの存在を知っていたらしく、魔のオーラを無効化する「対次元干渉波動光」の理論を遺産として残していた。その遺産はコロスを介して万丈の手に届き、決戦の際にブラックノワールを追い詰めることとなる。
- 闇の帝王
- 『V』では上述の通り、通常ルートにおいて彼と共に版権勢力最後の敵として立ち塞がる。
- 『X』では彼とマジンガーZEROを接触させる。
- Dr.ヘル
- 『X』では「平和の世界」を「革命の世界」に変えるために彼を支援していた。
- マジンガーZERO
- 『X』では彼を呼び寄せ闇の帝王と接触させるなどその背後で暗躍していたが、通常ルート最終決戦では自身の醜態を睨まれ本気で恐怖するなど力関係は歴然であり、展開によっては彼に引導を渡されてしまう。
- ソルダートJ
- 『T』では彼から正体を明かされる。
- ダイノガイスト
- 同じ勇者シリーズ系列のラスボスキャラクター。
- 『X-Ω』のイベント「灯せ!! 絆の進化理論」では互いに「ある人物」の協力を受けており、協力関係にあるが、最後は彼に引導を渡された。
- セイリュウ
- 『X-Ω』のイベント「灯せ!! 絆の進化理論」では彼を模したコピーを配下として操るが、セイリュウのコピーをゲームの駒として扱った挙句その死を嘲笑ったことで、本物の彼や速杉ハヤトらの激怒を招いた。
ガンダムシリーズ
- シン・アスカ、キラ・ヤマト
- 『V』では「理想のヒーロー作りのためのキャラメイキング」として彼らの人生を弄んでいた。
- イオリア・シュヘンベルグ
- 『V』では西暦世界を支配する巨大な悪の存在どころか正体まで見抜いていたようで、ブラックノワールのエミュレーターとしてヴェーダを生み出し、その思惑を凌駕しようとした。結果として、ブラックノワールにとってイレギュラーな存在「イノベイター」が生まれている。
- 刹那・F・セイエイ
- 『V』では、自身の思惑を超える存在として敵意を露にする。
リアル系
- 真田志郎、ホシノ・ルリ
- 『V』では、二人から「因果を超えた存在ではない」と自分の正体や行動理念を看破される。
- エンブリヲ
- 『V』で手駒として利用。ブラックノワールにとってイレギュラーではあったが、彼すらも自分の思惑に絡めることで利用し、何も知らずに全能者として振る舞いゲームを盛り上げる彼を面白がっていた。一方、エンブリヲがブラックノワールの存在を察知していた様子はない。
- テンカワ・アキト
- 『V』では、彼の憎悪を再び煽り立てようとするも、逆に「悪の首領」「壊れたプログラム」と断じられた上、ゲキ・ガンガー3を汚し、自身とミスマル・ユリカの人生を弄んだ元凶として怒りをぶつけられる。
バンプレストオリジナル
- 魔獣エンデ
- 『X』では彼の発する気によって狂わされ、自分をエンデだと思い込むようになっていた。本作における魔のオーラの正体は、エンデの瘴気という設定である。
名台詞
三次元人を自称しているだけあって、ブラックノワールの台詞はメタ発言が多い。
- 「そうだ、パープルに続き、ジョーも洗脳するのだ。仲間が増えて、嬉しいであろう?」
- 第46話「絶望からの脱出」より。捕らえたジョーの始末を進言するエグゼブに対し、ジョーの洗脳を提案。
- こんな言葉が出るあたり、部下も自分の駒としか見ていないことが窺える。それとも駒を増やしてゲームを楽しんでいると言うべきか。
- 「そんなに知りたくば教えてやろう。私は次元を超えてやって来た三次元人だ」
舞人「三次元人……!?」
「そう……この二次元世界の支配者、神と言ってもいい」
舞人「なぜだ……何のためにこの世界を支配しようとしている!」
「『しようとしている』のではない。すでに支配している。『何のため』だと?もちろん楽しむためさ。我々はお前たち二次元人を使ってゲームをしていたのさ!」
舞人「そんな……この戦いはゲームだというのか!?」
「そう、お前たちはただのゲームの駒だ。そして旋風寺舞人、お前は『ヒーロー』という駒として作られた」
舞人「違う!!俺は父さんの遺志を継いで……」
「お前の両親とて、お前をヒーローとして育てるための要員でしかない。全てはゲームのためのシチュエーションだ」
舞人「嘘だ……俺は正義のため、この世の悪と戦ってきたんだ!」
「そう……お前は次々と敵を倒し、アイテムを手に入れ、レベルを上げていった。だがもう終わりだ!お前の倒すべき相手はいない。ゲームオーバーだ!」 - 最終話「嵐を呼ぶ最終回」にて、舞人に自分の正体と目的を明かした場面。視聴者にとっても衝撃的な、メタフィクション極まる台詞である。
- 舞人はこの世界が「ブラックノワールの物語」であることは否定している一方で、この世界を「二次元」と言われたことには違和感を示さず「三次元」という言葉の方に違和感を持ってるように見える描写になっていることは色々と物議を醸している。
- 「ゲームの駒にプレイヤーは倒せはしない。だが、プレイヤーがゲームの駒を殺すのは簡単だ」
「ちょうどハッピーエンドにも飽きてきたところだ。ヒーローが死ぬ、悲劇のエンディングはどうだ!?」 - 同じく最終話より。真実を知ってなお、戦意を失わない舞人たちに強烈な衝撃波を叩き付ける。すでに満身創痍のマイトガインに成す術はないかに思われたが……。
- 「イノセントウェーブ!?馬鹿な……イノセントウェーブなど、ゲームを面白くするための、ただのアイテムにしか過ぎぬ!!それが……何故……!?」
- サリーのイノセントウェーブによって魔のオーラが打ち消されたことに狼狽して。よもや自分で設定したアイテムに足下を掬われることになるとは思ってもいなかったのだろう。
- 「そうか……この私も、ただのゲームの駒だったか……『巨大な悪』という名前の……」
- 最期の台詞。自身が名も姿も分からない誰かによって「ラスボス」という役割を与えられた駒に過ぎないと悟って消滅した。
- しかしブラックノワールのこの言葉は、ブラックノワールに「役割」を与えたものが別にいることを示している。
- 果たして、本当に悪は倒せたのか?それは誰にも分からない……。
スパロボシリーズの名(迷)台詞
戦闘台詞
- 「ヒーローとライバルが揃って私に反抗するとは想定外だったな」
- ジョーに対する特殊戦闘台詞。ヒーローとライバルが共闘することはある意味王道、そして勝利の鍵であることを理解していないようだ。
- そもそも原作でもジョーはブラックノワールの眼前に辿り着く前に行方不明になっただけで、揃って反抗していることは変わりない。
- 「お前達が生存している事は本来なら許されないのだ」
- ザンボット3に対する特殊戦闘台詞。原作でも勝平と非戦闘員は生き残っている。
- 「ラストを迎える前に無様に破壊されるガンダムも面白いだろう」
- ガンダムタイプに対する特殊戦闘台詞。放送開始前のカメオ出演で撃墜され、いざ放送が始まるや第10話目にして自爆させられ、さらには第1話で落ちても問題ない扱いを受けてしまったガンダムを指しているのかは定かではない。あるいは、結果的に主役メカの座を奪われ、倒されて終わった者を指しているのだろうか……?
- 「私は黒という色を愛する…」
「全てを塗り潰す黒は、私だけに許された色だ」 - 黒い機体に対する特殊戦闘台詞。どこぞのネゴシエイターが真っ先に怒りそうな発言である。
シナリオデモ
- 「そんなに知りたくば、教えてやろう。私は次元を超えてやってきた高次元人だ」
- 「あのエンブリヲも所詮は我の手の中で遊んでいただけ…そう…この世界の全ては私の創り出した物語に過ぎないのだ」
- 『V』第51話より。闇の帝王と共に地球艦隊・天駆の前に現れ、その正体を明かす。さすがのSRWでも「(自称)三次元人」という設定は難しかったようだ。
- 「エンブリヲという道化の存在も中々に刺激的だったが、やはり面白いのは戦争だ」
「コーディネイター、木連、アロウズ、メガノイド、火星の後継者、DG同盟…それにガイゾックやエンブリヲといったイレギュラーをからめて、戦争と平和を何度も何度も繰り返すようにしたのだ」 - 続けて語った西暦世界での戦乱の真実。ガイゾック襲来は想定外だったようだが、彼らが何らかの不確定要素で生まれたのか、エンブリヲのように別の次元から来訪した存在なのかは不明。
- 「お前達は、ただのゲームの駒だ。その中で、最も重要な役割を与えたのは旋風寺舞人…。お前という『ヒーロー』の駒だ」
「私はずっと…そういうキャラクターを試行錯誤してきた。そのために様々な種を蒔いてきた。テンカワ・アキト…。その一つが、アニメ『ゲキ・ガンガー3』だ」
「お前の友人のように、それに感化された者も現れたが、結局は失敗した…破嵐万丈のように人を超える力を持つ者も私の望む方向には育たなかった」
「肉親を失う悲劇も、戦争の悲惨さも、大切な友との戦いも、私の望むヒーローを生み出す事は出来なかった」
「私の求めるのは一点の曇りもなく、自らの正義を信じる、純粋なヒーロー…旋風寺舞人…。そして生まれたのが、お前なのだ」 - 『V』での舞人が何故ヒーローであるかの理由。同時に、舞人という「ヒーロー」を生み出すために、多くの人々の人生が歪められ弄ばれてきたことが明らかに。
- 西暦世界の各参戦作品の主人公たちに降りかかった悲劇は全て、ブラックノワールのキャラメイキングの結果であり仕組まれたシナリオだったのである。
- また、さりげなく『V』における万丈の正体が示唆されている。
- 「そう…お前は仲間と共に次々と悪を倒し、アイテムを手に入れ、レベルを上げていった。そして、最終アイテムであるコスモリバースを手に入れ、後はエンディングを迎えるだけだと思っていただろうが…そこでヒーローは敗れ、世界は滅亡…。これが私が望む、今回のエンディングだ」
- 原作同様、「ヒーロー」という駒を使ってバッドエンドを演出すると宣言する。実際に「仲間を増やし、敵を倒してレベルアップ」するゲーム内での発言であるため、よりメタ的な意味合いが強くなっている。
- 「イノセントウェーブなど、ゲームを面白くするためのただのアイテムに過ぎん」
「小さな『奇跡』を起こすための力…。そんなものは私の前では無意味だ」
「神に…創造主に勝とうとする事が愚かしいのだ」 - 原作では決め手となったイノセントウェーブ増幅装置[2]も物ともせず勝ち誇って。原作とは正反対の展開に、もはや打つ手はないかに思われたが……?
- 「電子の妖精…。お前が、その若さで艦長になった事も私が意図したものだ。特殊なスキルに愛らしい外見を持たせたお前はまさに妖精だな」
- 自身に異議を唱えたホシノ・ルリに対して、彼女の歩んだ人生も仕組まれたものであると告げる。ルリはブラックノワールの自信作であるのか、どこか自画自賛めいた台詞である。
- 「そんなものを認めるものか!お前達が望む奇跡も私が用意したイベントに過ぎないのだ!」
- 真田志郎らに自身が絶対の存在でないと看破され、更に想定外のイレギュラーであるイノベイターが誕生していたこと、自身が運命を弄んで来た者たちもその思惑を越え、設定されたバッドエンドを回避していた事実を突きつけられて。
- それでもなお、全ては自分が仕組んだシナリオ通りだと豪語するが、直後にゲッター線が光を放ち……。
- 「無駄だ!どれだけの力が集まろうと我が魔のオーラは…!」
「馬鹿な…!魔のオーラが…次元干渉波動がかき消される!」
「馬鹿な!メガノイドなど、ただの悪役キャラとして設定しただけなのに!」 - 切り札である魔のオーラが、日輪の輝き──ドン・ザウサーの遺産である「対次元干渉波動光」に打ち消されたことに驚愕。結局は原作と同じく「単なる悪役」に足下を掬われてしまうのだった。
- 「認めない!私以外に奇跡を起こすものがいてなるものか!」
「馬鹿な…馬鹿な…馬鹿な…馬鹿な…馬鹿な…馬鹿な…馬鹿な…馬鹿な…馬鹿な…馬鹿な…馬鹿な…馬鹿な…」
「そんなものは認めない!認めない…認めない…!」 - 自らの存在に疑いを持ったことで精神が崩壊寸前に陥った舞人が復活して、闇の帝王共々驚愕する。
- 仲間たちや大切な人からの声援で成した復活劇を「奇跡」と断じたことで、自らが神ではないことを証明してしまった「神を自称するシステム」は、壊れた機械のごとくエラーを呟き続ける……。
- 「神を名乗る者が敗れ、私が神でないとしたら…」
- 『V』第51話で先に闇の帝王を撃破した場合の台詞。神を名乗る者が敗れ去るのを目の当たりにし、ますますアイデンティティーが揺らいでしまう。……どうにもこの面のボス敵は「心を折られる」傾向が強い(それでも悲惨な最期を遂げた闇の帝王よりは遥かにマシだが)。
- 「その機体は、お前の心の闇が形となったもの…!さあ、憎しみに身を焦がし…」
- 『V』第51話におけるアキトとの戦闘前会話。彼の憎悪を煽ろうとしたが「ただの宇宙空間用の迷彩」とバッサリ切り捨てられ、さらに食い下がるも「陳腐な発想だ」と跳ね除けられた。
- 自身の楽しみと計画のためにゲキ・ガンガーを汚し、愛するユリカ、そして多くの人々を苦しめたブラックノワールを、黒百合の騎士は許しはしない。
- 「お前は憎しみのままに戦い、失意の中で人生を終える役のはずだったのに…!」
- 『V』第51話におけるシンとの戦闘前会話。本来辿るべきだった悲惨な末路を突きつけるが、憎しみを乗り越えた彼が今さらそんな言葉に揺らぐはずもなかった。
- 「スーパーコーディネイター、キラ・ヤマト…!その誕生には我の意図が介在しているのだ!」
「そして、お前とアスラン・ザラが戦った事も…!」 - 『V』第51話におけるキラとの戦闘前会話。アスランと敵味方に分かれて争っただけでなく、その出生さえも自分が決めたことを彼に突きつけるが、ブラックノワールの意図を乗り越えたキラはアスランと肩を並べて戦っている。
- この時、DESTINY時代における彼がブラックノワールに対して「お前」呼ばわりすることから、多くの人々の運命を弄んだ者への怒りがどれほどのものなのかは容易に想像できる。
- 「イノベイター…!お前の存在は許されない!」
- 『V』第51話における刹那との戦闘前会話。神を自称するが故の狭量さがにじみ出ている。
- 「黙るがいい!本来ならば、お前のいとこ達も兄も愛犬も…」
- 『V』第51話におけるザンボットチームとの戦闘前会話。神ファミリーが辿るはずだった結末を明かそうとするが、彼らが聞く耳を持つはずもなく、逆に「壊れた機械」と断じられてしまう。
- ちなみに宇宙太や上述のブラックノワールの台詞から察するに、本来は「神ファミリーが全員死亡する」という結末を想定していた模様。
- 「破嵐万丈…!お前はメガノイドのエゴを憎みながらも、最後は、そのエゴに呑まれる役割の…」
- 『V』第51話における万丈との戦闘前会話。万丈に「人を捨てた生き方をした悪しき者」であるメガノイドと同じ末路を辿ることを突きつけようとするも、彼からは「(自分もメガノイドも)お前の思い通りにはならない」と一蹴された。
- 「ただの悪役キャラ」として作られながらもブラックノワールの打倒を掲げた彼らに代わって万丈は立ち向かう。
- 「勇者特急隊…!我の想定以上の力を発揮した超AI達め!」
- 『V』第51話における勇者特急隊との戦闘前会話。この台詞や原作での展開を踏まえると、勇者特急隊もまた倒される展開を迎えるはずだったが[3]、想定された結末を回避し、本来ではあり得なかったブラックノワールと対峙している光景に怒りを顕にしている。
- 「馬鹿な!何故、私が倒される…!?こんな事が…こんな事が…!わ、私も…ただのゲームの駒だったというのか!?」
「うわあああああああっ!!」 - 今際。原作とは違い、自身さえもゲームの駒であったことを認めずに取り乱した挙句、ジョーや舞人から突きつけられた言葉で最期を遂げるのだった。
- 西暦世界を裏から支配した巨悪であっても、真の意味での「神」ではなく「ヒーローに倒される悪党」……所謂「不滅のお約束」を示す役割を与えられただけに過ぎなかった。
- そもそもブラックノワールが想定した結末がことごとく覆ったのは、自身が干渉し過ぎたためなので自業自得でしかない。
- 「馬鹿な…!こんな自体は想定してないぞ!」
「そんなはずがない!私は…私は…!」
「そんな事はない!そんな事はない!そんな事はない!」 - 『X』困難ルート第50話「起死回生」より。予定していた展開がことごとく覆され、神であることも否定されてしまい、それでも醜く足掻こうとするが、「馬鹿の一つ覚え」のように否定する姿をシモンから「壊れた機械」と断じられてしまう。
- 『V』と同様、エクスクロスの意思、シモンと舞人のくじけない心で自己の存在に疑問を持ってしまったことでエラーを起こしてしまったのだろうか。
- 「そんな事はない!そんな事は…!」
マジンガーZERO「モウ黙レ…」
「ひぃっ!」 - 『X』通常ルート第50話「闇の中で」より。困難ルート同様、エクスクロスが起こした逆転劇を否定しようとするが、これにマジンガーZEROもイラついたのか、台詞と共に威圧されて悲鳴をあげるという無様な醜態を晒してしまう。
- 「ZERO!な、何を!?」
- 同話より。ZEROよりも先にブラックノワールを撃墜した際に、ZEROが自身に近づいてくるのを見て。この直後、ブラックノワールはZEROに取り込まれ、最期を遂げた。
- 「フフフ…ある男が手を貸してくれたのさ」
セイリュウ「ある男…誰だ?」
「フン…お前が知らないとはおめでたいことだ」 - 『X-Ω』のイベント「灯せ!! 絆の進化理論」にてブラックマイトガインの姿で舞人たちの前に現れ、自身の復活を宣言した際、ブラックノワールの復活に驚愕するガインの言葉を受けて不敵に漏らす。ダイノガイストと共に黒い粒子を利用している事に加えて、セイリュウの言葉を受けて返している台詞から、この時点で自身の復活に『シンカリオン』の世界の何者かが関わっていることを暗に仄めかしている。
- 「ぎゃああああああ!」
「た、助けるのだ…キリ…」 - 『X-Ω』のイベント「灯せ!!絆の進化理論」にてダイノガイストに引導を渡されての断末魔。自らを「神のような存在」と名乗りながら、味方に裏切られて最後まで協力者に助けを乞うその最期には、最早威厳の欠片もなかった。
- そして、ブラックノワールが最後に助けを求め、途切れた協力者の名──それは恐らく、後にハヤトやセイリュウたちの前に立ちはだかる、『シンカリオン』TVシリーズの最後の敵となった「あの男」の名前であろう。
搭乗機体
- 空中要塞
- ブラックノワールの力により、TR社一帯が浮上・変貌した巨大要塞。
余談
- 名前の由来は英語の「ブラック」とフランス語の「ノワール」から(おそらく「暗黒」と意訳するのだろう)。どちらも「黒」を意味する単語で、さらに「黒の悪(ブラックのワル)」のダブルミーニングとなっている。
- ブラックノワールの「クリスマスオペレーション」は要するに、玩具会社がスポンサーにつくロボットアニメはクリスマスに向けて大量の広告キャンペーンを打ち、本編も盛り上げていくということへの皮肉。「ヒーロー番組に飽きたアニメ製作者」のメタファーであるブラックノワールは、そんな「スポンサー」の思惑を無茶苦茶にするためにクリスマスにヒーローがボロボロになる展開を仕掛けたのである。
- メタフィクションを題材とした最終ボスは放送当時から賛否両論が巻き起こり、現在でも『マイトガイン』という作品が勇者シリーズの中の異端児に分類される要因の一つである。
- 第1話から絵コンテ・演出に「握乃手紗貴(あくのてさき=悪の手先)」というスタッフがいるなど、こうした路線は当初からの想定通りであった。なお、これは高松信司監督の別名義である。
- 最終話のエピローグでは平和になった世界での舞人とサリーの結婚式が描かれ、その直後に流れるスタッフロールはそのシーンを撮影した記念写真を背景にしている……ように見えるのだが、よくよく見るとそれは写真ではなくライトボックスの上に置かれたアニメのセル画であり(3つのタップ穴が確認できる)、余白には握乃手紗貴の担当サインと話数がコメントとして記載されている。これによりブラックノワールが倒されるハッピーエンドこそが真の黒幕である三次元人(=子供に高額な玩具を売りつけるおもちゃ会社と、その「手先」であるアニメ制作会社)による「予定調和のシナリオ」だったとも取れる演出になっている(高松監督はこのセル画演出について「さすがに悪趣味すぎた」と後に述べている。金の連鎖であり不変の法則でもある玩具リリースは現在も終わりが見えず、さらに放映当時は双璧である戦隊シリーズに何としてでも売上で勝利せよというプレッシャーもあったため、一種の当てつけのようなものだったらしい)。
- 小学館発行の幼児向け雑誌「幼稚園」での連載記事ではネタバレ防止のためか、ブラックノワールが動かすロボット・Ζ(ツェットと読む)がラスボスとして扱われていた。
- 2017年に公開された寺田Pとシナリオライター・奈須きのこ氏の対談[4]にて、寺田Pは「あの時代にアレを見てしまったがゆえに、僕らはあそこまでの境地にはたどり着けないですね」と『マイトガイン』最終話を絶賛している。