ヒュッケバイン問題
ヒュッケバイン問題とは、スパロボオリジナルロボットであるヒュッケバインおよび派生機のヒュッケバインシリーズのメディア露出がほぼ皆無までに激減していた事件を指す俗語・俗称。
ゲーム中でヒュッケバインシリーズは「バニシングトルーパー」の異名を持ち、それが現実世界(リアル)でも消滅(バニシング)したことにより、ヒュッケバインは「リアルバニシングトルーパー」、当問題は「リアルバニシング」とも称される。
2006年秋頃の問題発生から、10年後の2016年を境に緩和が見られ始め、2020年代時点ではおおむね解消されたものと思われる。
基礎知識
ヒュッケバインは『ガンダムシリーズ』でもお馴染みのデザイナーであるカトキハジメ氏によってデザインされ、1995年に発売された『第4次スーパーロボット大戦』にてデビューしたオリジナルロボットである。
当時からガレージキットやプライズ商品が展開されるなどして人気を博した機体であり、スパロボオリジナルロボットの玩具やプラモデルが展開される際には、まずヒュッケバイン関連機から発売されるなど、もはや代名詞ともいえる扱いであった。その後『スーパーロボットスピリッツ』や『スーパーロボット大戦α』以降の作品で関連機体が生まれると、カトキ氏の提案により関連機体から逆算される形でリファイン(リデザイン)が行われ、以後はそちらが採用されるようになる。
問題の発生
2006年
2006年にGBA用ソフト『スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATION』を元に『スーパーロボット大戦OG ディバイン・ウォーズ』のアニメ放送が決定。当然ヒュッケバインも登場すると思われていたのだが、放送3ヶ月前の2006年6月末から7月冒頭にかけて、掲示板サイト「2ちゃんねる」のアニメ化決定を取り上げたスレッド[1]にて以下の内容が書き込まれる。
- ヒュッケバインはアニメに出られない
- 「創通・サンライズ」から「ガンダムに似てるから駄目」ってクレームが来た
- 寺田Pが交渉したが、サンライズに「(版権スパロボに)ガンダム出せなくなってもいいの?」と返事を返された
- サンライズ曰く「ゲームはいいけどアニメにまで出しゃばって来たのが気に食わない」
- ブリットの機体(ゲームではヒュッケバインMk-II)をどうするか制作スタッフが困惑している
投稿直後には悪質なデマと扱われ、ほとんど話題にならなかった。しかし、該当スレッドでは第1話冒頭にアストラナガンとディス・アストラナガンが登場することを示唆した内容も書き込まれており、実際に放映された第1話がそのような展開だったことをきっかけに、件の投稿が関係者のリークであった可能性、今後の展開を危ぶむ声が上がり始める。
それから第1話放送直後には「サンライズにお金を支払うことで、ライディース・F・ブランシュタインの回想シーンの数秒だけ許可された」とも書き込まれ、実際に第3話や漫画版の該当シーンにて008Rらしき機体が画面に登場している。結局『DW』ではその1シーンを除いて画面にも映らず、名前も一言たりとも出されないまま放送を終えてしまった。
また、アニメ以外の媒体にも影響が出始める。PS2用ソフト『スーパーロボット大戦OG ORIGINAL GENERATIONS』の店舗に配布されたプロモーションビデオにて、公式サイト配信版では存在していたヒュッケバインシリーズの登場シーンが全て差し替えられていた。
さらに、ホビーメーカー「コトブキヤ」から12月発売が告知されていた「ヒュッケバインMk-II」と「ヒュッケバインボクサー」のプラモデルについて、発売1ヶ月前の11月中旬に初回生産限定品であることが発覚。続けて、既に発売されているヒュッケバインシリーズも、再生産を行わず絶版となることが分かった。
2007年
『OGs』発売直前の2007年5月29日、スーパーロボット大戦公式BLOG「熱血!必中!スパログ!」にて広報W氏が更新した記事に、当問題を示唆するような記述が見られる。
(最後に、最近特に多くお問い合わせを頂いております件ですが、
なんとか公式なコメントを出せるようにと鋭意調整中ですので、
今しばらくお待ち頂ければと思います。m(_ _)m
できる範囲でのコメントになってしまうかもしれませんが・・・。
(・・・できないかもしれませんが・・・)がんばります!)
その後2007年6月11日の同氏更新分にはこう記されている。
ひゃ~、気が付けばまた月日は流れ、
ゆだんすると書き込みも滞っていけませんね・・・。
つい先日、新CM(その1)『武神装攻篇』が公開になりました!
けっこう味のあるCMに仕上がっているかと思いますが、いかがでしょうか?
ハデな戦闘シーンに熱く渋い声!
出来あがりを見たら、思わずニヤっとしてしまいました。
まずはTVに加え、PMCの方でも公開しましたので、
すでにご覧になって頂いた方も多いかと思います。
不自然な改行や統一感の無い平仮名を縦読みにすると「ひゅつけハ出ます」となり、前述の「公式なコメント」が出せなかったことがうかがえる。
このような経緯がありながらも、以下の2007年の動向から一旦は問題が解消されたとの推測がなされた。
- 6月28日発売の『OGs』や12月27日発売の『スーパーロボット大戦OG外伝』ではヒュッケバインシリーズが出演
- 10月26日に発売された『DW』のDVDに新たに収録された第26話にて、「ヒュッケバイン」という名称こそ使われないものの、ディスプレイに表示されたMk-IIとMk-IIIらしき図面を用いて新型機の開発を行っている旨が明かされた
- 4月27日発売の「ゲーマガ」6月号にて、連載企画『SECRET HANGAR』に「Mk-IIトロンベ」のイラストが掲載された
ところが、以後各媒体ではヒュッケバインの名前こそ挙がるもののイラストが掲載されることはなく、2年後の2009年6月15日に発売された『SECRET HANGAR』の単行本では、Mk-IIトロンベのイラストが差し替えられる事態が発生。以来、インタビュー記事や関連機体の説明文において、「ヒュッケバイン」という名称や設定については触れられているものの、その際に設定画が公開されることはなく、映像・漫画作品にも一切登場させない措置が取られている。
2010年代前半
2010年に放映されたTVアニメ第二期『スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター』でも扱いは同様であったが、相応の準備期間があった分、ヒュッケバインが出せないことを前提とした設定の変更・追加によって、原作における各ヒュッケバインの出番を代替するアニメオリジナル機体(量産型ビルトシュバイン、エクスバイン、ガーバインMk-III)が用意され、『DW』のような違和感は幾分か解消された。また、後者2機は「名前と外見を変えただけのヒュッケバイン」と言っても差し支えない存在であるため(エクスバインは別機体だが紛れもないヒュッケバインであるし、ガーバインMk-IIIは偽装を施しただけの同一機体である)、ヒュッケバインの活躍を見たかったファンもある程度溜飲を下げることとなった。
2011年にはゲームアーカイブスにおいて、『第4次S』、『F完結編』、『α』といったヒュッケバインシリーズ登場作品の配信が開始されたが、特にヒュッケバインに関する変更は加えられていない。
2012年に発売された『第2次スーパーロボット大戦OG』では、ヒュッケバインシリーズは外見の変更等もなく姿を見せるものの、自軍に配備される前に全機が破壊されるというイベントが発生し、肝心の頭部が別物な量産型ヒュッケバインMk-IIを除いてプレイヤーがユニットとして扱うことはできなかった。これについてもヒュッケバイン問題の影響と推測されている。ただし、エクスバインを原型としたアッシュおよびエグゼクスバインが大々的に登場、『スーパーロボット大戦OG ダークプリズン』以降の作品でも新造されたエクスバインやプファイルIIIといった関連機が新たに登場し、既存機体の退場と引き換えではあるがヒュッケバインシリーズ抹消の危機はひとまず脱したとしてファンは胸をなでおろした。
問題の緩和
2010年代後半
2016年6月9日発売の『週刊ファミ通』2016年6月23日号に掲載された「スパロボ25周年記念特集」において、『第4次』の項目でヒュッケバインが紹介され、リファイン後の設定画が掲載された(P.16)。6月21日には『ファミ通.com』にも同じ記事が掲載されている。
その後10月31日配信の『秋の生スパロボチャンネル 第弐弾』にて、『スーパーロボット大戦V』での「スーパーロボット大戦25周年記念スペシャル参戦」と称して、グルンガストと共にヒュッケバインのゲスト参戦が発表された。また、PV第1弾では『V』の世界観を「空白の10年」というキーワードを使って説明しているのだが、当問題が表面化した2006年から数えてもちょうど「空白の10年」であり、公式がネタにしているのではないか、との見方も上がった。
ただし、こちらは『第4次』当時の設定画をそのままデジタル化したイラスト、水色基調で曲線的な面の多い旧バージョンであり、「旧バージョンだから再び表舞台に立てた」とも見られていた。なお実際の『V』のゲーム内では、SDの立ち絵は設定画に忠実な一方、カットイン演出のグラフィックでは旧カラーながらリファイン後のデザインを採用している箇所もある。このヒュッケバインはその後『スーパーロボット大戦T』にも登場している。
2017年2月には『V』の同型機という設定で『スーパーロボット大戦X-Ω』への参戦、同年12月にはアクションフィギュア「METAL ROBOT魂」での立体化も発表された[2]。
2020年代
2020年2月には漫画『Record of ATX』においてヒュッケバイン008Lが登場し、ゲーム以外でのOG世界観を舞台とした作品でも登場が解禁され、3月には『X-Ω』にて後継機としては初めてヒュッケバインMk-IIIが参戦した。4月にはシリーズ29周年を記念してOGシリーズの背景やアイコンが特別配布され、メカニック10機の中にヒュッケバインが採用されている[3]。
そして2021年には『スーパーロボット大戦30』において、Mk-III以来となる名前を再び冠したシリーズ新型機「ヒュッケバイン30」(および後継機「30th」)が主人公機として登場。同作の「超限定版」にはアクションフィギュア「METAL ROBOT魂」も同梱という鳴り物入りの好待遇を得ている。
その後はバンダイ製プラモデルでも「ヒュッケバインMk-II」「ヒュッケバインMk-III」、さらには「AMガンナー」「ヒュッケバインボクサー」という大型モデルまでも、続々と登場している。
このように2020年代以降は様々な媒体で登場が解禁されており、同問題はおおよそ解決したものと推測される。
問題の影響まとめ
『OGs』関連
『スーパーロボット大戦OG ORIGINAL GENERATIONS』では、ゲーム本編には登場しているものの、広報活動において以下の事例が発生している。
- プロモーションビデオで、公式サイト配信版で先行配信されたものには存在していたヒュッケバインシリーズの登場シーンが、店舗に配布される際には差し替えられている。
- 公式サイトには「Mk-III」と「ボクサー」の設定画が掲載されていたが、発売前にはページごと削除されている。ページ削除後しばらくはアドレス上に画像だけは残されていたが、それも後に削除されており、徹底っぷりが窺える。
- 予約特典冊子『Super Robot Wars OG Original Generations Official Perfect File』では登場機体の設定や設定画が掲載されているのだが、ヒュッケバインシリーズの機体は、量産型ヒュッケバインMk-IIも含めて一切掲載されていない。ヒュッケバインに関わる記述についてもヒュッケバインの名称は使われず、アーマリオンの項目を除き形式番号を使って説明する方式をとっている。これは発売日に配布する冊子の性質上、早い段階に紙面内容を決定して刷っておかなければならないことから、制作当時はヒュッケバインの登場が確定していなかったものと推測される。
- 攻略本には登場機体の設定画や立体物の写真が多数掲載されているが、ヒュッケバインシリーズの機体については、ゲーム中のドット絵だけが掲載されている。
発売が当初の発売予定日から大幅に延期された作品であり、寺田Pはその理由として、「諸々の事情で2006年の夏から冬にかけて企画サイドの開発進行を一時的に中断せざるを得なくなったことが延期の原因」と釈明している[4]。この「2006年の夏から冬」という期間が、前述のリーク書き込みから『ディバイン・ウォーズ』放送開始までの期間と重なるため、諸々の事情をこの問題の調整によるものと推測するユーザーも多い。
『ディバイン・ウォーズ』関連
- ライディース・F・ブランシュタインが左腕を失うことになった起動実験失敗が回想シーンで描かれた際には、008Rらしき機体が画面に登場する。アニメ版では画面が暗く詳細なデザインを確認できないが、漫画版では頭部のアップまで描かれており、ヒュッケバインであることがしっかり確認できる。
- 第8話ではハガネにイルムガルト・カザハラの搭乗機が配備されるが、009ではなくグルンガスト1号機が配備される。
- ブルックリン・ラックフィールドは量産型ゲシュペンストMk-II・タイプTTからMk-IIに乗り換えないままで、第14話から描かれるディバイン・クルセイダーズ及びコロニー統合軍との最終決戦に参加し、L5戦役にはグルンガスト2号機に乗り換えて参加する。
- エルザム・V・ブランシュタインはMk-IIトロンベではなく、ガーリオントロンベでL5戦役に参加する。
- DVDのみに収録されている第26話では、カーク・ハミル博士がリョウト・ヒカワにパネルに表示されたMk-IIやMk-IIIらしき図面を用いて、「ヒュッケバイン」という単語は使用せずに、Mk-IIの後継機としてMk-IIIの開発が行われていることを説明するシーンがある。
- 『Record of ATX』では、マリオン・ラドム博士の回想で目の部分に黒線が引かれたMk-IIが描かれ、その後も作中で「ヒュッケバイン」という単語が使われることが数回ある。
『ジ・インスペクター』関連
- 『ディバイン・ウォーズ』第26話にて、Mk-IIの存在が示唆されていたものの、その後正式に量産機として採用されたのはビルトシュバインと設定され、作中には量産型ヒュッケバインMk-IIではなく量産型ビルトシュバインが登場する。第1話から登場するブリットは、Mk-IIではなく先行量産された量産型ビルトシュバインに搭乗している。
- 第7話ではリョウトから「ヒュッケバイン」という名称は使わずに「Mk-IIIが開発中止になった」ということが語られる。第8話ではインスペクターがマオ社を襲撃し、「ヒュッケバイン」の引き渡しを要求するものの、008タイプLとMk-III・タイプLはマオ社に存在しておらず、リョウト達は009の改造機であるエクスバインを持ち出し脱出、その後戦闘を行っている。このエクスバインは『OG外伝』で存在が明かされたヒュッケバインEXに該当する機体。V字アンテナが廃されたほか、SRXと同様のバイザーが取り付けられ、その奥のツインアイが発光する。
- 第9話では、テスラ研の救援に現れたレーツェル・ファインシュメッカーが、Mk-III・タイプRに偽装を施したガーバインMk-IIIトロンベに搭乗している。レーツェルがアウセンザイターに乗り換えた第16話以降は、Mk-IIIと同様の塗装が施されたガーバインMk-IIIをヴィレッタ・バディムが乗機にしている。レーツェルは素性を隠した人物であるため、搭乗機にも偽装を施しているという名目と、開発中止扱いのMk-IIIを表に出すのは都合が悪いためという設定。頭部はV字アンテナを廃し、ガーリオンのとさかパーツを取り付けたデザインで、肩にもガーリオンと同様のパーツを取り付けられている。なおツインアイには偽装は施されていない。
- 第12話では、ゲームでは量産型Mk-IIを素体にしているベルゲルミルが登場するが、素体となった機体については触れられていない。
- アニメ版では登場せず、コミカライズにあたる『スーパーロボット大戦OG -ジ・インスペクター- Record of ATX』での登場も絶望的に思われていたが、一通り問題解決の動きが見られた後の2020年2月3日「BAD BEAT BUNKER」第47話「ハーシ・ミストレス・ザ・ムーン」にて再登場を果たす。もちろんOG版デザインであり、グラビトン・ランチャーを装備したイラストが見開きで掲載されるなど非常に扱いがよく、OGシリーズにも凶鳥が舞い戻った。
『第2次OG』関連
『第2次スーパーロボット大戦OG』ではヒュッケバインシリーズは登場こそするものの、実際にプレイヤーが使用できるのは量産型ヒュッケバインMk-IIと新機体のアッシュ、エグゼクスバインのみで、従来のヒュッケバインシリーズはMk-II3号機を除いて第21話でオーバーホール中のところをガリルナガンによって全機破壊されてしまう。これらの機体にも戦闘アニメーションが没データとして用意されていた事から、一連の問題の影響である可能性が濃厚とされており、それを受けてガリルナガンはパイロットのアーマラ共々「創通の使者」と揶揄されることとなった。
このイベントはわざわざ専用の戦闘台詞つきのアニメーションが用意されるという凝り様となっており、ストーリー上でも重要な要素として描写される。「ヒュッケバインはもうゲームにも出せない」ということに物語上で筋が通った理由をつけたと見ることもできる。「今後はゲームでもNG」になったとすると、『第4次S』『α』等のゲームアーカイブスで配信されているヒュッケバインシリーズ登場作品が配信停止になる可能性もあり、予断を許さない状況となっていた(結果的にはこの点については杞憂だったが)。
なお、「ゲーム出演については版権問題は発生していなかったのだが、スパロボ開発側が自らヒュッケバインをゲームから消滅(バニシング)させた」という推測もある。OGシリーズはメディアミックス展開が重要視されているが、「アニメやコミック、フィギュアにはヒュッケバインはもう出せないのに、ゲームだけには出続ける」という状況がメディアミックスの連携や今後の設定・物語の拡大をやりにくくしており、これを解消するため、かつヒュッケバインという存在を"なかったこと"にせず確かな物として残すために派手な最後を飾らせつつ、今後の出演に支障のない後継機を誕生させたという見方である。
後に、『第2次OG』の時間軸のスピンオフであることが明言された[5]『スーパーロボット大戦DD』における2022年3月のイベント「ラスト・オブ・バニシングトルーパー」において、Mk-II3号機の行方が描かれており、3号機もやはりガリルナガンに襲撃を受けたが、辛くも大破状態で済み生き残ったという形になっている。生き残ったMk-IIの存在が描かれたとはいえ、同問題に動きがあったかは定かではない。
また、下記のデュラクシールについてもEX編が再現されるに辺りリメイク版が引き続いて登場し、ヒュッケバインなどのPTからの影響が語られている。
その他の作品
- 問題発生後に発表された漫画作品では2008年9月12日発売の『電撃スパロボ! Vol.9』に掲載された読み切り(スーパーロボット大戦OGクロニクル)「ハ・ガ・ネ」にはリョウト機としてMk-IIIが登場している。
また、スーパーロボット大戦OG Record of ATX 第2部47話において、ゲーム版やアニメ版とは異なる展開としてムーンクレイドルに隠されていたPTX-008Lにリンが乗り込んで登場している。 - 2007年4月27日発売の「ゲーマガ」6月号に掲載された『SECRET HANGAR』にMk-IIトロンベのイラストが掲載されたが、2年後の2009年6月15日に発売された単行本では、ヴァルシオンのイラストに差し替えられている。
- ヒュッケバイン以前に『スーパーロボット大戦EX』で発表されたオリジナル機体デュラクシールは、頭部がガンダムに似たデザインとなっており、作中ではその理由について「ちょっと影響を受けた」と説明されている機体であった。『魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL』のSFC版においてもデザイン変更は行われずに登場したのだが、ヒュッケバイン問題発生後に発売されたニンテンドーDS移植版『スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL』では、V字アンテナとは異なる頭部のデザインに変更されて登場している。ちなみに続編ではひそかに自虐ネタが存在する。
- 『スーパーロボット大戦OG INFINITE BATTLE』に登場する機体は、主に『OG1』と『OG2』に登場する機体から選ばれているが、ヒュッケバインシリーズの機体からはエクスバインとアッシュのみが登場している。
立体物
- コトブキヤが発売していたプラモデルのうちヒュッケバインシリーズ全てが、2006年12月に初回限定生産品として発売されたMk-IIとボクサーを最後に絶版となっており、その後商品情報は公式サイト[6]からも削除されている。
- 書籍でプラモデルの歴代ラインナップが紹介される際にも、「絶版・限定品を除く」という理由によりヒュッケバインシリーズについては掲載されない。「電撃ホビーマガジン」2014年6月号(2014年4月25日発売)には、コトブキヤのプラモデル展開が10周年を迎えたという記事が掲載されたが、第1弾キットとして紹介されたのはビルトビルガー重装型(2004年10月発売)で、それ以前に発売されたヒュッケバイン(2003年12月発売)とヒュッケバイン009(2004年5月発売)が無かったことにされてしまっている。
- 以前には『第2次スーパーロボット大戦OG』の予約特典冊子「電撃スパロボ!SP OG Official Book」においても、「S.R.G-S」のラインナップカタログでは「コトブキヤショップ限定版、製造中止になったものを除いて、」と最初に書かれておりヒュッケバインシリーズは紹介されていない。また「EO-tech」[7]のラインナップではその文章はなくMk-IIが紹介されていない。
- 「電撃ホビーマガジン」で誌上通販されていたフルアクションフィギュアは、定期的に再販アンケートが行われるものの、アンケート欄にヒュッケバインシリーズの名前は掲載されない。
- ボークスが発売しているガレージキットは、問題発生以前に製造販売されたアイテムが公式サイトで通信販売されているが、発生以後に新作は発表されていない。
推定される問題の原因および解消の経緯
10年という長期にわたって問題が発生していたのだが、本件について制作サイドは2007年の「スパログ」にてわずかに触れたのみで、ほぼ解消に至ったと思われる現在でも問題の詳細は明らかにされておらず、以下はいずれも憶測の域を出ない。
ヒュッケバインの「隈取りのあるツインアイ・顎・額のV字アンテナ・頭頂部のカメラセンサー」という頭部の特徴は、はっきり言ってしまえばガンダムタイプに酷似している。『DW』放送前のリークと思わしき書き込みでも、『ガンダムシリーズ』の版元である創通・サンライズによるクレームの原因として言及されている。
2006年から2021年までの間に、機体のデザイン、会社間の関係、その両方に変化が見られ、当時の問題はクレームだったという説が有力視されている。
- 会社間の関係
- 創通は『DW』の宣伝協力としてクレジットされており、当問題の前後でOGシリーズの制作や版権管理にも関与するようになった(「著作者」「スタッフ」も参照)。もちろんガンダムシリーズほかサンライズ作品多数の版権元でもあり、参戦作品の許諾、SRWシリーズの存続も左右していた可能性が考えられる。
- SRWシリーズの販売を手がけるバンダイナムコエンターテインメントが属するバンダイナムコHDは、2014年8月から創通の株主(当初の持株比率16.7%)に就いた後、TOBを経て2020年3月に完全子会社化しており、会社間の関係・主従は明確に変化している。
- 復活参戦が実現した『V』は2016年、ヒュッケバイン30が新規参戦した『30』は2021年の発売であり、会社間の関係の変化にあわせた段階的緩和とも受け取れる。
- ただし、創通はクレームの有無を公的には否定している(後述)。
- サンライズの親会社であるバンダイのクレームとする説もあったが、これは疑問視されている。
- ガンダムシリーズ玩具の独占に近い販売権を有しているものの、サンライズ・創通と同列の著作者ではないため[8]、封印措置を主導していたとは考えにくい。
- OGシリーズのプラモデルは2021年からバンダイ(バンダイスピリッツ)が販売を手がけ、ヒュッケバイン系列は大型モデルも含めて精力的に展開されており、この点でも辻褄が合わない。
- 機体のデザイン
その他話題
- 2015年年末頃から、香港で「METAL SAGA RTX-008 バニシングトルーパー」なるアクションフィギュアが出回っている。これはバンダイから発売されている「METAL BUILDシリーズ」のダブルオーガンダムの金型を流用(あるいは寸法をコピー)して製造された、いわゆる「パチモン玩具」。
- 2019年に行われた創通株主総会にて、株主からの「スパロボのアニメにヒュッケバインが出られないのは創通の意向か」という質問に対し、創通は「当社が何らかの見解を出したり関与した事実はない」と回答している[10][11]。
脚注
- ↑ スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATION、2ch、レスNo.242,250,269,610
スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATION part1、2ch、レスNo.778
ヒュッケバイン問題についての考察、2ch、レスNo.19,20 - ↑ https://p-bandai.jp/item/item-1000120715/
- ↑ https://www.suparobo.jp/29th_wallpaper/
- ↑ http://blog.spalog.jp/?p=4586
- ↑ 寺田貴信の2022年3月30日のツイート、Twitter、2022年3月31日閲覧。
- ↑ https://www.kotobukiya.co.jp/title/srw-og-original-generations/
- ↑ 1/100スケールによる立体化で、ガンプラのマスターグレードに当たるもの。これまで触れたプラモデルは全て1/144スケール。
- ↑ 「バンダイが製作した玩具商品の模倣、著作権や商標権の侵害」として海賊版などを訴えることは可能。
- ↑ 「ガンダム」の存在しない世界であるOGシリーズへの再登場にあたっての必然的な変更という事情もある。なお当然というべきか、ヒュッケバインに影響されたというのが新設定。
- ↑ 創通株主総会2019レポ
- ↑ 質問した株主は動画内にて「個人的な見解」と強調しつつ「ノーコメントだが実際にはあったのではないか」と事例を挙げて類推している。ヒュッケバイン問題について【創通株主総会2019】