ペルフェクティオ
ペルフェクティオ(Perfectio)
- 登場作品:バンプレストオリジナル
- 声優:関俊彦
- 種族:なし(Dにおいては疑似意識を構築していたが、本来は意志も心もない)
- 所属:ルイーナ
南極遺跡「ファブラ・フォレース」から出現したエネルギー体が、その場に居合わせたフェリオ・ラドクリフの意識を取り込み、実体化した姿。ただし、プロトデビルンの長であるゲペルニッチによると、本来はこうした現れ方はしないらしい。フェリオに無理矢理フォレースを開けられた関係と思われる。なお、そのエネルギーで憑依した身体を若返らせる事ができるようで、その容姿はフェリオというよりも彼の息子のジョッシュに似ている。
ちなみに「ペルフェクティオ」とはフェリオに憑依した状態を指し、メリオルエッセは総じて「破滅の王」と呼称。正確にはこの呼び名も本来の名ではなく、それどころか後述の理由で名前自体存在しない。
存在
その正体はあらゆる次元の「悪意」「恐怖」などの負の感情エネルギーの集合体で、ただ、「破滅」のみを求める。そのエネルギーの総量は宇宙全体を覆い尽くすほどと言われており、その力は人知の想像を超えるあまりにも超然的な存在である。
Dにおける『メガゾーン23』の世界の地球はペルフェクティオが原因で破壊された可能性が示唆されており、ある意味で存在そのものが天災と言える。そもそも本来は明確な個我・自意識を持たない破壊エントロピーそのものであり、Dの世界に現れた時はフェリオを元にした仮の意識を持っていた。また、メリオルエッセの6人も本来は存在せず、自意識形成時のデータをもとにした使い捨てのコマ。
劇中では最後の最後まで姿を現さず、中盤まで断片的、かつ漠然的にしかその存在は語られなかったが、ズール皇帝やゲペルニッチ達がその存在を強く警戒しているなど、その恐ろしさは断片的であっても十分にユーザー側にも伝わっていた。
「主人公と関わりがある人物の肉体に憑依したエネルギー体」や「負の感情エネルギーの塊」であるラスボスという点では、後の作品であるスパロボKのラスボスであるル=コボルと共通しているが、「存在するだけで宇宙一つを消却し、もし『破滅の王』が現出すれば世界(地球どころではなく「スパロボD」自体)が終わる」と、危険度という観点では桁が違うという次元ではない(霊帝やガイオウが「桁違い」なら、「破滅の王」は桁自体が意味を成さない)。搭乗機のファートゥムにしても、「破滅の王」の力の一部が「機械兵器」という形で実体化したものに過ぎない。
ブルー・スウェアはこの存在を何とか撃退することが出来たが、その方法はバサラとイヴの歌で負のエネルギーを抑え、総攻撃でファートゥムを一時撃破、トレーズが特攻して「破滅の王」を一時退散させた隙に現界するための門であるファブラ・フォレースを破壊し、現出自体を阻止する事でようやく事態を収拾するというものだった。
つまり、「破滅の王」という存在そのものは健在であり、自軍がやった事は本格的に現出する前に追い返しただけ(それでもトレーズという大きな犠牲を払っている)で、倒すことはできなかった。
特徴
現状、スパロボのラスボスとしては、滅ぼそうとして滅ぼせなかった唯一の存在である(Wのザ・データベースは事情が特殊な上、最終的に和解しているため滅亡はしていない)。その恐ろしさや脅威の大きさは並行世界全てを破滅させたSC2のアゾエーブといい勝負だが、こちらは元を断てない分始末が悪い。
なお、ル=コボルとは違い、憑依されていた人間が元の状態に戻ることは無い。憑依された時点でその人間の意識は消滅し、人間としては死亡してしまう。一瞬たりともフェリオの人格が戻る事はなかった(ただし記憶はそのまま残るため、消滅というよりも「破滅の王」に乗っ取られるというべきであろう)。
こんな無茶苦茶な設定になった理由は、スパロボDの登場作品に「マクロス7」があり、その敵対勢力であるプロトデビルン(より正確にいうと、「宇宙全てのスピリチアを吸い尽くす」ゲペルニッチ)を超える脅威を表現するため、という理由が強い。
このペルフェクティオよりも危険かつ強大な存在は、スパロボシリーズ全体を見ても絶無に近いレベルで例がない(唯一、辛うじて比肩するのがシュウイチロウ&アゾエーブ。その他の大半は「地球の危機」レベル、最悪でも「全銀河の危機」止まり)。本気で「破滅の王」を相手取るなら、正真正銘の「神」か「悪魔」でもなければ不可能であろう(それ以外で対抗できるとすれば、イデか真聖ラーゼフォンぐらい。)。
類似する存在であるケイサル・エフェスやル=コボルは初めから作中世界に存在していたのに対し「破滅の王」は次元の狭間から作中世界に現出しようとしていた。ただし、自力で世界の枠を超えることが出来ず、ファブラ・フォレースやクロスゲートなどの「次元の門」を通じなければ現れることが出来ない。そのため、滅ぼすのは不可能だが、方法を問わなければ対処することは容易いという極端な特徴を持っている(Dにおける「メガゾーン23」の世界では地球そのものに対して攻撃を加えることで現出を阻止し、本編では前述の通りファートゥム撃破後にファブラ・フォレースを破壊して追い返している)。
破滅の王そのものである「負のエネルギー」に対抗する唯一の手段は「正のエネルギー(あるいは「生のエネルギー)」であり、スパロボDでは熱気バサラと時祭イヴの歌が(エネルギーの総量が桁違いとはいえ)該当していた。しかし、それでもフェリオという器に縛られていたからこそ有効に働いたのであり、「破滅の王」本体に対しては全くの無力であると見ていいだろう。
総論
フェリオの意識を介して「破滅の王」が語ったところによれば、「無限に広がり続ける宇宙を、無限に原初の闇に戻し続けるもの」であるらしい。言ってみれば「破滅の王」とはエントロピーがどうのこうのというよりは、「死滅」という「現象」そのものであり、ペルフェクティオは偶然発生したスパロボ世界における端末、と言える。
ただし、前述したように本来「破滅の王」は知性も意思も持たず、またその本質は「死」という概念にして現象である。全てのものが遅かれ早かれいずれは滅びる以上、無限に存在する並行世界、その全てに「破滅の王」が遍在している。つまるところ「破滅の王」が危険なのは、「次元の門が開かれ、そこから一気に死の現象が溢れ出した場合」である(死と滅びの現象そのものが世界に現出するのだから、滅びるのは当然である)。
ペルフェクティオの場合は、フェリオの人格というイレギュラーな要素を取り込んだために、形を持たない「死の現象」に「自我」という枠が与えられたため、結果として只管に全ての破滅を求める存在になったのである(その観点では、ある意味「破滅の王」本体よりタチが悪い)。
Dでは概ね上記の通りの存在であり、最終的にトレーズの特攻で器を失い、ファブラ・フォレースの破壊によって現界出来なくなったことにより、もとの現象に戻った。
第2次OGでも概ねこれに準じるが、最終局面ではイルイ・ガンエデンによって抑え込まれ、ウェントスの特攻とクリスがクロスゲートを介して引きずり込んだことにより、OG世界から消滅した。ハードルートの場合、特攻で追い出されたところをクロスゲートごとガルベルスに取り込まれてAI1の進化の糧にされてしまう(より正確には、「破滅の王」に通じた状態のゲートが取り込まれた)という衝撃かつ意外過ぎる結末を迎えることになる(MXにおけるラ・ムーの星の役割も担っている)。
登場作品と役柄
- スーパーロボット大戦D
- ラスボス。最後の最後で登場し、ファートゥムに乗る。たしかに強いが、機体にHP回復がないため、ズール様やゲペルニッチに比べると少し分が悪い。彼自身が言うとおり、「肉の身体に縛られたが故」だろうか。この時点ではハードの関係で台詞が少ないが、それが却って不気味さを煽っている。回避の高い機体でチクチク削るのが一番楽。
- 第2次スーパーロボット大戦OG
- 59話「デザイア」で登場。ガードこそないが、特殊効果満載の攻撃と凄まじい命中率、何よりαのボス勢さながらの「ド根性」ラッシュで絶望感を与えて来る。グランゾン辺りを囮にコツコツ削るのが定石。ちなみに本作ではハードルートに進むと、前述の通りガルベルスに取り込まれてしまう。
実は、本作において「破滅の王」が現出すれば宇宙が終わる、という事実を明確に認識していたのは、何とユーゼス・ゴッツォただ一人(バラルも認識してはいたが中途半端)であり、その他の面々は単にペルフェクティオのことしか知らないか、シュウや自軍含め、クロスゲートを破壊すれば地球も自分達ももただでは済まない、という認識を持っていた。つまり、そのまま(「破滅の王」の真実を知らないまま)であればいずれ押し負けて「破滅の王」が現れていた=全てが終わっていたのはほぼ間違いなく、イルイの干渉とユーゼスがクロスゲートの動作を操作していたこと、そしてウェントスの特攻という3つのイレギュラーがあったからこそ成し得た勝利と言える。
パイロットステータス設定の傾向
能力値
命中が全パイロット中2位、回避が33位。それ以外は全てトップという文字通りの怪物。「破滅の王」自体が現界していれば能力どころの話ではないだろうが。
精神コマンド
特殊技能
- 底力L9 援護攻撃L4 指揮L4 コンボL4 カウンター
- Dにおけるラインナップ。ボス恒例の底力に加え、信じられない事に援護攻撃持ち。指揮で強化したメリオルエッセ機を自分が援護して来るため、実際のダメージは数値以上に大きい。だからと言って単機にすると「ウルティムム」で一網打尽にされる上、下手に援護陣形を組むと「オルクステレブラー」でまとめて貫かれる。付け入る隙がどこにもないため、V2ガンダムやプロトガーランドなどの回避の高い機体で少しずつ削って行こう。
- 2回行動 底力L7 見切り 気力+(ダメージ)
- 第2次OGでのラインナップ。見切りと底力、機体の地形適応のおかげで精神コマンドなしではほぼ避けられない。ガードがないのがせめてもの救い。今回、底力の補正値がZシリーズと同じになった為、補正値は過去作の底力L9を凌駕している。2回行動とEN回復能力により無制限に使えるMAP兵器連発がキツイ。特殊効果も豊富で、フルブロックやパイロットブロックでカバーしないと相手にならない。
人間関係
- フェリオ・ラドクリフ
- 依代。彼の記憶を引き継いでおり、第2次OGの最強技でその一部を垣間見れる。
- グラキエース
ウェントス
イグニス
アクイラ
コンターギオ
ウンブラ - 彼ら6人を創造する。展開次第ではグラキエースorウェントスに離反される。OG2ndではウェントスの特攻を受けてクロスゲートが損傷し、世界の外へ追い出されることとなった。
- クリアーナ・リムスカヤ
- 第2次OGでは彼女たちのうちクリスによって世界の外へ引きずり出されることになる。
- エルデ・ミッテ
- ハードルートに進んだ場合は彼女の機体に引導を渡されてしまう(尤も、飲み込まれてしまっただけであって、「破滅の王」自体は滅びたわけではない)。
- 夏喃潤、泰北三太遊らバラル勢
- 「破滅の王」を警戒して行動していた。……が、「破滅の王」の実態を知らなかったため、対策のレベルが中途半端であり仮に成功していても「破滅の王」が出てくれば全てご破算だっただろう。破滅そのものであるペルフェクティオを百邪と同じように定義づけていたのがそもそもの誤りだった。
版権作品との人間関係
- 早乙女博士、コーウェン、スティンガー
- ペルフェクティオの強大さや恐ろしさに早々と気付いており、死の間際にペルフェクティオの存在の警告を遺した。コーウェン達の言葉からゲッター線の力で、何らかの対策も講じる事が可能だった様子。
- ズール皇帝
- さすがのズール皇帝も、ペルフェクティオの存在を感じ取り、その存在を恐れ、警戒していた。彼が地球を破壊しようとしたのも、このペルフェクティオの現出阻止のため。
- ゲペルニッチ
- ゲペルニッチ達プロトデビルンも、その存在は知っていた様子で、無限の並行宇宙から自分たちと同次元に現れた事を驚いていた。ペルフェクティオは彼らとは性質の異なっていた同種の存在であったらしい。ペルフェクティオを食い止める為にブルー・スウェアに力を貸してくれる。
- 流竜馬 (OVA)
- 時空の狭間で、ゲッターエンペラーを通じてその気配を感じ取っていた。実際にペルフェクティオを相手にして真正面から対抗し勝利する為にはゲッターエンペラークラスの機体でも全く足りないと思われる。
- 熱気バサラ、時祭イヴ
- ペルフェクティオと対に位置するエネルギーである「歌エネルギー」を持つ存在。彼らの歌が、ペルフェクティオへの反撃の大きな鍵となる。早い話、この二人がいなければペルフェクティオと戦うことすらできなかった。
- トレーズ・クシュリナーダ
- 最後の最後に彼の捨て身の攻撃を受け、彼が己の命を懸けて稼いだ時間にブルー・スウェアによってファブラ・フォレースを破壊される。
パイロットBGM
- 「Despair」
- 専用曲。ジョッシュの通常曲のアップテンポアレンジであり、ユーザーからも非常に人気が高い。ちなみに曲名を知らなくてもユーザー間なら「完璧親父の曲」と言えば通じる。意味は「絶望」。やや意訳ではあるが「希望」を意味するジョッシュのBGM「Desire」と対極をなす曲名である。そして、「Trombe!」よりも優先度が高い。
- 「Destinies (Ver.OGII)」
- 3度目のイベント後にこれが流れ始める。Dのタイトルミュージックだが、スローペースアレンジなのでちょっと聞いただけだと「?」となる。
名台詞
- 「ペルフェクティオとは、我が宿りしかりそめの、この体の名」
「我は破滅、我は混沌…すべてをただ消し去る。無限に広がり続ける宇宙を、無限に原初の闇へと戻し続けるもの…我はすべての宇宙とともに存在するもの」
「この器と同じ、自らを人と呼ぶ生命体よ。この世界が破滅へと導かれる時がきた…」 - 最終話で初登場したときの台詞。
- 「我は破滅をつかさどるもの。破滅を導くもの」
「そして、破滅そのもの…」 - 戦闘セリフの一つ。第2次OGではエデッセサペレ使用時の台詞に採用されている。
- 「我は無限、我は混沌……全てを飲み込み、力と成して無へと還すもの」
- 第2次OGでの戦闘セリフの一つ。こちらは通常セリフのほか、エデッセサペレ使用時にも言うことがあるため、「大事なことなので2度言いました」状態になることがある。ただしエデッセサペレ使用時は叫ぶ感じになっているので、使い回しではない。
- 「なんと…」
「かりそめとはいえ、我の力をこれほど退けるというのか…」 - 重傷時。「ペルフェクティオ」の力は、フェリオとファートゥムを介して「破滅の王」の力を再現しているだけに過ぎないらしい。
- 「まさか、我の力が……!?」
「あり得ぬ……こんなことは、あり得ぬはずだ……!」 - 撃墜台詞。破滅の王が動揺を示した瞬間である。ちなみにこの台詞、表示枠の関係により撃墜台詞では珍しい2枠を使用した台詞である(他には第3次αのクルーゼ程度)。第2次OGでは後半のみ使用されている。
- 「無駄だ…我は、死と滅びを糧として存在するが故に。我を滅ぼすことは、できぬ」
「終わりだ。お前たちに与えよう、完全なる滅びを。我が一部となって、消えるがよい」 - 一度倒されたにも関わらず、何事も無かったかのように復活したときの台詞。そして、ブルー・スウェアにさらなる絶望を与えることに…。
- 「感じるぞ…お前たちの、叫びを。絶望の果てに滅びを迎え…我が力となれ、人という名の生命体よ」
- 再び復活したペルフェクティオによって、体すらまともに動かせないほどの理性を超越した名状しがたき恐怖の感情が喚起され、次々と戦意を失っていくブルー・スウェアに対して。
- 「あり得ぬ…我は無限、我は永遠。滅びの宿命をもつただの生命体が、死と滅びと、負の波動のすべてによって存在し続ける我の力を退けるなど。たとえ我が、このかりそめの体を通してのみ、この世界に存在しているとしても……あり得ぬ!」
- 主人公機体やバサラ、エンジェル・ハイロゥなど、様々な生命と想いの力により、死と滅びの力によるプレッシャーが退けられて。
- 「ぬぅ……この肉の体に縛られたが故か。だが、我を退ける、この力は…存在を許してはならぬ…」
- 二度目に撃破された際の台詞。この後、古代機械ファブラ・フォレースを破壊する時間もなく再び復活するも、トレーズの特攻で世界の外へと押し出され、その隙にブルー・スウェアの総攻撃で古代機械ファブラ・フォレースは破壊される。だが、「破滅の王」は未だ健在。滅びそのものたる彼の王が終焉を迎える日は、全平行世界或いは時間の概念そのものが消え去らない限り、永遠に無いのだろう……。
- ペルフェクティオ「お前は本来、存在し得ぬ者……我が生み出したも同然の虚ろな魂……」
リアナ「で、でも、あたしは生きてる! ここに、こうして!」
ペルフェクティオ「シュンパティアは偽りの“鍵”……お前もまた偽りの存在……いずれ消えゆく運命なのだ」
リアナ「あたしが何者だろうと、クリスが戻ってくるまで消える訳にはいかないのよ!!」 - 第2次OGにおけるリアナとの戦闘前会話。本来メリオルエッセとして存在するはずだったリアナの真実を、無慈悲に突きつける。
余談
- ペルフェクティオはラテン語で「完璧」や「完全」といった意味で(英語圏なら「Perfect」)、取り付いているのが主人公の「親父」なので、ユーザーからは「完璧親父」と呼ばれている。因みに石川賢の作品で『ゲッターロボサーガ』とも関連が囁かれる『虚無戦記』の敵役、ラ=グースとその性質が非常に似ている。
- 最終話で登場する際メリオルエッセの機体を配下として蘇らせるのだが、これは同時期に発売された『COMPACT3』のラスボス・修羅王の使用した奥義「闘鬼転生」とほぼ同じ。偶然なのか意図的なのかは不明だが、「復活したのは機体だけでパイロットは一般兵」、「一体だけいない(ストゥディウムとアガレス)」という所まで共通している。
- 演じた関俊彦氏はかつてバンプレストオリジナルキャラのアーウィン・ドースティンを演じていた。
- しかし、セリフ回しが木原マサキを彷彿とさせるためか「冥王」のあだ名もついてしまった。
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