プリンス・ハイネル

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ハイネル
外国語表記 Heinel
登場作品 超電磁マシーン ボルテスV
声優 市川治
初登場SRW 新スーパーロボット大戦
SRWでの分類 パイロット
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プロフィール
種族 ボアザン星人
性別
出身 ボアザン星
所属 ボアザン帝国
役職 地球征服軍司令官
称号 プリンス
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プリンス・ハイネルは『超電磁マシーン ボルテスV』の登場人物。

概要

ボアザン帝国地球征服軍司令官。剛健太郎ことラ・ゴールと前妻のロザリアとの子で剛三兄弟の異母兄にあたるが、自身も健太郎も最終回までその事実を知らなかった。

地球人を畜生程度にしか思っていない高慢な貴族として描かれ、プライドというのも相手が貴族や王族であればの話であり、角を持たない平民や地球人に対しては残虐非道を貫いており、その姿勢は地球人に愛という概念が存在することを信じておらず、最初は冗談だとすら思っていた程である。

母のロザリアは自身を産んですぐに亡くなり、祖父母の元で育つ。反逆者の息子として迫害を受け、その屈辱を晴らすべくボアザン帝国の忠臣として地球征服軍司令官となったが、それはハイネルを遠さげようとする皇帝ズ・ザンバジルの謀略であり、幾度となくド・ズールド・ベルガン等の皇帝派の将軍に暗殺されそうになった。

終盤で皇帝派の将軍達の策略により地底城やルイ・ジャンギャルを失い、リー・カザリーンによってボアザン星に帰還するも既に帝国の貴族社会は風前の灯となっていた。最終回においてハイネルは我先に逃げ出そうとする貴族達に激怒し制止しようとするが、逆に銃撃されそれを庇ったカザリーンをも失う事となる。孤立しながらも最後の決着をつけるべく守護神ゴードルに搭乗しボルテスVと戦うも相討ちとなり、剛健一一騎討ちとなるが、この時持っていた形見の短剣から自身と健太郎、剛三兄弟との関係を知り、衝撃の余り戦意を喪失、更にその直後に半狂乱となったズ・ザンバジルと対面し、全ての責任を自身に被せる言い逃れをする彼を目の当たりにし、自分が無駄な戦いをしていた事を否応無く悟らされた彼は怒りのままにズ・ザンバジルを殺害。

最後はザンバジルの落とした爆弾から健一を庇ったものの、命乞い等はせず自分のしてきた事を悔いるように黄金城の崩壊に巻き込まれ、炎の中へと消えていった。

登場作品と役柄

「誇り高き貴族」としてのキャラクター性が強調され、原作における負の部分は鳴りをひそめている。スパロボ補正の好例の一つと言えよう。

αシリーズ

スーパーロボット大戦α
ボアザン星ゼ・バルマリィ帝国に支配されたため、不本意ながらも母星と皇帝ズ・ザンバジルのためにバルマー所属の将軍として地球侵略を謀る。「角がない」バルマー星人に屈服したためか、地球人への蔑視は薄めで、「親子愛」の概念が存在することも他のスパロボよりかは素直に受け入れた。
普通に進めると終盤に剛兄弟との血縁が発覚しながらも死亡してしまう。隠し要素の条件次第では終盤にスポット参戦し、生存が以降の正史となる。
余談であるが、本作では戦闘セリフが『新』からの流用のみであるためにボアザン円盤スカールークに乗った際叫びながらビームを撃ったり、ドリルを発射するシュールな戦闘シーンが見られる。
第2次スーパーロボット大戦α
α』でスポット参戦したという設定(ハマーンガトーケリィも生存したことになっているが、『α』では両者とのスポット参戦は両立しない)。
中盤からたまに登場するようになり、小バーム解放時にリヒテルを救出し、オルバンに撃たれそうになった健一を助ける形で登場。小バーム解放後は暗黒四天王に特攻して死亡してしまうが、隠し要素の条件を満たせば特攻する相手はダリウス大帝となり、リヒテルとともに生存して最終話にスポット参戦。後者が正史となっている。ハイネル本人曰く、「正しい事への贖罪のために戦っている」とのこと。
『α』ではスポット参戦時も健一に「父親を大事にしろ」と言うくらいで(本人としては唐突に弟の存在を知ったためか)、兄らしい姿は見せなかったが、今回は健一らに兄として慕われ、ハイネルも健一たちが兄と呼んでくれることを嬉しく思っているなど、別行動を取っていても強いで結ばれていた。
本作ではボイスを新規収録。他作品のオルバン大元帥を名指しするDVEまで用意されている。
第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ
親友となったリヒテルとともに行動。ルート選択によっては一度だけ敵対する。ボアザン解放では状況は違うが、原作通りにザンバジルを殺害するものの、アースボムを止めるために死亡する。
最終話でαナンバーズを守る霊としてリヒテルと共に登場。また、サブシナリオ「正義の旗の下に」ではかつての行いから信用を得られぬまま、一人戦う姿が描かれている。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦A
序盤ガンダル司令に引き連れられて、第7話のエンドデモに登場する。ボアザンがベガ星連合軍に支配されたため、不本意ながらもベガ星連合軍所属の将軍として地球侵略を謀る。ベガ大王からは優遇されているため、αほどは苦労していない。ゆえに「角の無い異星人」に寛容ではなく、地球人に親子愛の概念が存在することを簡単には信じなかった。また角があるという事からか、ベガ星連合軍と同盟を結んでいる百鬼帝国と一緒に現れる事が多い。
地底城での決戦後、守護神ゴードルを破壊されてもなお一矢報いて死なんとするが、彼を死なせたくないカザリーンの手によって麻酔銃で眠らされる。その後は詳しく描写されないが、おそらくカザリーンと共にどこか遠い星へと逃亡したものと思われる。
スーパーロボット大戦R
ボアザン帝国地球征服部隊司令官として登場。地球征服を円滑に進めるべく、キャンベル星人ミケーネ帝国恐竜帝国と同盟を結ぶ。
第27話でカザリーンとラリアーの手により、強制的に地球から脱出させられる。その後の消息は不明だが、地球に残したゴードルの中から母の形見の短剣が見つかり、剛父子との血縁が明かされた。
スーパーロボット大戦J
『A』『R』と比べてボルテス関連の扱いは良いため、終焉の地は地底城とはいえ、最期の一枚絵があったりとそれなりに存在感はある。
地球人同様にグラドスも見下している。最後には原作通り剛父子との血縁が明かされ、そのあまりに皮肉な事実に自身の敗北を悟り、崩壊する地底城と運命を共にした。

単独作品

新スーパーロボット大戦
初登場作品。バルマー帝国軍に参加している。ボアザン帝国の身分制度にはあまり言及されないため、「バルマー帝国に扱き使われる武将」という印象が強い。
フラグを立てた場合、ド・ズールを倒すために数マップの間仲間になり、カザリーンと共に姿を消す(剛兄弟との血縁関係には全く触れられない)。最後の隠しステージでは味方として加勢してくれる。なんと持ちで、ゴードルも強いため、スポット参戦キャラの中では一番頼りになる。
新スーパーロボット大戦 スペシャルディスク
フリーバトルに登場する他、おまけマップでは味方として使用できる。
スーパーロボット大戦Card Chronicle
イベント「ガルーダの逆襲」ではガルーダと手を組み、「帝国の陰謀」の中盤にて、剛健太郎から自身の出生を知り、不退転の覚悟でカイルスに挑むも事実を聞かされた健一をはじめとする面々から「肉親同士が争う必要はない」と逆に説得され、ついに剣を収めた。その直後、ザンバジルが乗艦する攻撃司令艦ザンタルに内蔵された素粒子爆弾からカイルスを守って死亡したと思われたが、部下によって救助される。
ボルテスVと共にゼロにトドメを刺した後はカイルスに入ったようであり、「カイルスの青い夏」ではランカを見て戸惑ったり、健一に父を連れて逃げるように言うなど人間味と思いやりのあるシーンが描かれた。
新章では記憶を奪われ別世界に転移され、再び原作同様に侵略者としてガルーダやリヒテルらと共に地球を攻撃しているが、ザンバジルの奸計によって機体を破壊されMIAとなるも、後に恐竜帝国との決戦で生存が判明、偽りの世界での戦いが佳境に差し掛かった頃にカイルスとしての記憶を取り戻した。
スーパーロボット大戦DD
序章ワールド2にて登場。シナリオNPC。

パイロットステータス

能力値

原作のラスボス&ライバルだけあってさすがに能力は高い。素の能力なら健一を上回り、正式参戦しないのが惜しいほど強い。逆に敵の時はゴードルの攻撃力と合わせて脅威の一つとなる。

精神コマンド

α
必中ひらめき気合てかげん熱血
第2次α第3次α
加速ド根性必中不屈熱血
根性必中熱血ひらめき自爆

特殊技能(特殊スキル)

α
切り払いL4
第2次α第3次α
底力L9、切り払いL8、連携攻撃L3、連携攻撃支援攻撃気力+ (命中)
高い技量に物を言わせ、物理攻撃を次々と切り払ってしまう。イベントだが戦艦の突撃も切り払う。味方の時は援護役としてうってつけの能力となる。
APORTABLE
底力L8、切り払いL6
GBA版では厄介な技能でないが、PSP版では底力と切り払い率が上昇しており、甘く見ていると痛い目をみる。
R
底力L8、防御L6、指揮L4
J
斬り払いカウンターヒット&アウェイ底力L9、援護攻撃L4、指揮L4

小隊長能力

命中率+30%
第2次α』、『第3次α』で採用。
このおかげで攻撃を外すことがほとんどない。リアル系にとっては脅威となるが、初実装された『第2次α』では敵として戦うことはない。

パイロットBGM

「ボルテスVの歌」
オープニングテーマ。『第2次α』にて選曲。

人間関係

剛健太郎
父。ただし、当初は剛健太郎=ラ・ゴールという認識はなく、気付くのは最終回になる。
剛健一剛大次郎剛日吉
宿敵。最終回で異母弟だったことを知る。
リー・カザリーン
部下。乳兄弟でもあり、彼女からは想いを寄せられている。
ルイ・ジャンギャル
部下。その忠義と勇猛さにハイネルも絶大な信頼を寄せ、最期の際には涙するほどにその死を惜しんだ。
ド・ズール
部下。皇帝派の人物で、ハイネル暗殺を謀った。
ド・ベルガン
部下。前任のド・ズールと同じく皇帝派の人物。一時はハイネルに服従していたが、最後はハイネルを見捨てた。
グルル
同僚。皇帝派の人物にして側近。彼の初登場時には反乱分子の鎮圧を急かされ嫌味を言われる事に。
ズ・ザンバジル
主君。ボアザン貴族として、また裏切り者の子と蔑まれながらも自分を地球侵略の司令官に抜擢してくれた恩もあって彼に忠誠を誓っていたが、一方で体よく利用されていることを知らず、最終回で彼の醜悪さを思い知って殺害する。
αシリーズでは原作再現がα第3次αで大幅に空いているため、第2次αではその野望を挫く一環として地球に来ていた。
ザキ公爵
第8話で地底城に皇帝の名代としてやってきたボアザン貴族。ハイネルに対して傲慢かつ挑発的な言動をしてハイネルを怒らせる。同話で戦死にかこつけた彼の暗殺を謀るが、ボルテスの攻撃で死亡した。
マリーネ
長谷川裕一の漫画「第41話 逆襲する貴族」に登場するハイネルの双子の妹。ボアザン星では双子を忌み嫌う風習があり、生まれてすぐ辺境の殖民惑星の領主の娘として育てられた。

他作品との人間関係

ボアザンが他勢力の指揮下にあったり、同盟を組んだりしている作品が多いため、他作品のキャラクターが上司や部下、あるいは同僚であることが多いが、ハイネルのプライドの高い性格や原作の境遇もあってか、あまりしっくりいっていない。

長浜ロマンロボシリーズ

葵豹馬
αではハイネルが健一と兄弟であったことに驚愕した。
ガルーダ
声が似ている人その1。αではエアロゲイター内でのライバル同士だが、ガルーダが悲劇の最期を遂げた際はオレアナらに対して怒りを露にしている。
CCでも旧章・新章共に彼と手を組んでいる。
ジャネラ
Aでは共にベガ星連合軍に属し、彼女から連合軍の前線司令官の座を奪う。Rでも同盟者。
ダンゲル
A・Rでは味方同士であるが、Rでは彼を小馬鹿にして彼を怒らせる。
リヒテル
声が似ている人その2。第2次αで救出して以来、相棒的存在に。CCにおいてもハイネルの理解者となり、CC新章では共に記憶を奪われカイルスと敵対する事態に陥ってしまう。
オルバン大元帥
第2次α終盤の小バーム攻略戦で、健一を射殺しようとする彼の手を撃ち抜き、窮地を救う。
楯剣人
長谷川裕一の漫画「ビクトリーファイブ」で共演。「ビクトリーファイブ」では境遇が近いためか妙にウマが合い、よく行動を共にしている。

スーパー系

シャーキン
声が似ている人その3。では同じバルマー帝国第8艦隊傘下の将軍。デスクロス四天王の上役として同列に扱われていたが、ハイネル自身はシャーキンをあまり快く思っていない。
αでは単に共演者。
ダリウス大帝
新ではダリウスは名前だけの登場だが、彼の重臣であるデスクロス四天王を指揮下に入れていた。
第2次αでは敵として対峙する。
デスクロス四天王
新ではキラーとダンケルが直属の部下となっていたが、裏では見下されており、利害が一致したド・ズールと手を組んでハイネルを失脚に追いやる。
ブライ
Aでは同盟者として共闘している。特に角のある関係からなのか、他の同盟軍に比べて共闘している戦場が強い。
ベガ大王
Aでは彼のベガ星連合軍に組み込まれている。彼からは気に入られているが、ハイネル自身は隙あらばと思っている。
地獄大元帥
Aでは同盟者として共闘。
闇の帝王
Rでは同盟者。
ゼロ
CCではボアザンの客将として迎え入れられた彼と共闘するが、ゼロが本性を露にし敵対、ボルテスチームと共に彼を打倒する。

リアル系

ル・カイン
新での上司であるが、不満を持っていた。Jでは直接の絡みは無いが、グラドスとは敵対関係にあり、彼を含めたグラドス人を地球人同様に見下している。
パプテマス・シロッコ
αでは共にバルマー帝国に加わっている同僚の関係。ハイネル味方フラグを立ててラスト一話前のシナリオでハイネルが味方増援に来た際に会話があり、シロッコに対し、バルマー帝国からの離脱を宣言する。

バンプレストオリジナル

ジュデッカ・ゴッツォ
新での上役。人造人間に偏見があるのか、暗黒四天王よりは優遇してもらえる。
ラオデキヤ・ジュデッカ・ゴッツォ
αでの上役。
ユーゼス・ゴッツォ
αでの上役。
ラリアー
Rでは最終的に、彼とカザリーンの計らいによって命を救われる結末となる。

名台詞

「この辺境の星、地球を支配する、虫けらのごとき人間どもを、追い払うのだ!」
第1話「宇宙からの侵略者」冒頭にて。地球人を虫けらと呼びながらも、「殺す」と言わず「追い払う」と表現しているあたり、彼なりの情が感じられなくもない。(メタ的な解釈をしてしまえば、子供番組でそういう表現を避けただけなのかもしれないが。)
「ぬう…あのようなロボットが地球にあったとは。…ジャンギャル! 報告には無かったが?」
第1話のボルテス登場後。当初は単なる戦闘機軍団でしかなかったボルトマシンが合体し、ボルテスになった姿を見て、ジャンギャルを問い詰めてみせる。完全にうろたえ、「は、ははあ…」と頭を下げるしかなかったジャンギャルだが…
「はっはっはっ!! よい! これも一興! ドクガガに叩き出させい!」
すぐに笑い飛ばして度量の広さを見せ、ジャンギャルもほっとした表情を見せる。
「見事だ。見事だ地球人め! だが明日もこうなるとは大間違い。ボアザン星にたてつくものに、この宇宙で生きながらえたものはひとつもないことを、思い知らせてやる!」
第1話の初陣で敗れたときの台詞。
「私は裏切り者の子と呼ばれ、蔑みと嘲りの中で生きてきた…」
第8話でカザリーンに尋ねられ自分の過去を語る。王家の血筋ながら父が犯した大罪により物心ついた時から大人達には陰口を叩かれ同じ子供達には暴力を振るわれていた。
「陛下は、裏切り者の子と知りながら私を遠征軍の司令官に取り立ててくれたのだ」
「それゆえ、私はこの戦い勝たなければならぬ!裏切り者の子という汚名を晴らすためにも!ザキ侯爵の蔑みと侮りに対しても!」
そんな自分に汚名を晴らすチャンスを与えたであろうザンバジルの為にボルテスVへの勝利を誓う。しかしザンバジルはハイネルの死を望んでおり、この裏ではハイネルを戦死みせかけた暗殺計画が進行していた…
この回ではハイネル達にスポットライトが当てられており、彼の苦悩と戦う理由が明らかになる。実質第二の主人公である。
「フン! 地球など一粒の星に過ぎん! 私の剣にはボアザン帝国の支配する全宇宙がかかっているのだ!」
第31話の健一との一騎討ちの際「私の背中に私の母、そして父、地球100億の人間たちが見えるか!」という叫びに対して、己のプライドを叫ぶ。
「信じない…余は信じないぞ…」
第36話「地底城攻撃開始!」より。ベルガンに裏切られ、ボルテスも地底城に侵入。とどめに皇帝陛下の命令でこの状況になっていると知り、さすがに動揺してしまう。
SRWではこの台詞が被撃墜台詞として採用されている。
「ジャンギャル……見事な最期! このハイネル、しかと見届けた……!」
カザリーン「ジャンギャル殿……」
「……惜しい勇者を亡くしてしまった……!」
第37話「さらば! 敵司令官ハイネル」より。忠烈の猛将・ジャンギャルの最期をモニター越しでカザリーンと共に見届け、ハイネルは落涙した。第22話で裏切りの末に粛清されたズールへの扱いとは天と地の差である。
「そなたたちは城を見捨て何処へ行かれる気か!?」
「何い!?それでも貴族か!?恥を知れい!」
「卑怯者!ここから逃げ出す者は余はボアザンの名で斬る!」
第40話「崩れゆく邪悪の塔!!」より。黄金城へ駆けつけたもののハイネルが最初に目にしたのは勝ち目の無くなったザンバジル政権を見捨てて隠し通路から逃げ出す貴族の姿であった。未だボアザン貴族としての矜持を捨てないハイネルは敵前逃亡を企む貴族を一喝する。
一貫していち貴族としての務めと全うしようとするハイネルに対しボアザン貴族らの情けない姿勢が目立つシーンだが、この逃げ出そうとした貴族は「城に残っているのはせいぜいザンバジルくらいのもの」との発言をしており、この貴族らが虚勢を張ってまだ逃げ出すだけの気力があるのに対しザンバジルはそれすら出来ず玉座で震えているだけだったというザンバジルの卑小さと行動力の無さ、そして人望のなさ[1]が露見したシーンでもある
スパロボでは2行目の台詞がベルガンらのボアザン貴族に対する特殊戦闘台詞として採用されているほか、3行目の台詞は「ボアザンの名において、貴様を斬る!」とアレンジされ、神空剣使用時の戦闘台詞になっている。
「我がボアザンの守護神ゴードルよ!答えてくれ……私はどうすれば良いのだ!?このボアザン帝国が、角の無い虫ケラどもに踏みにじられていくのを、黙って見ていろというのか?」
同話。カザリーンを喪ったハイネルは神像ゴードルに向けて叫ぶ。
「『国を愛する者は、守護神ゴードルの燃え盛る炎に身を投ずるならば、その時守護神ゴードルは国難を救ってくれる』との昔からの言い伝え。私はその言い伝え通り、この身をゴードル様の聖火に捧げる覚悟!」
「たとえこの身が炎に焼かれようとも、国を救うためなら命を捧げよう!」
「……ボアザン帝国に栄光あれぇーーっ!!」
既に覚悟を決めていたハイネルは、ゴードルの掌で燃え盛る炎の中へ身を投じる。
「終わってはおらぬ! 宇宙で最も優れた人種、頭に角をいただくボアザン貴族の戦いは最後の一人まで続くのだ!」
同話、「戦いはもう終わったんだ」という健一に対して。最後までボアザン貴族として戦うハイネルだったが…。
「あぁぁぁ…っ!!」
「なんということだ! なんのための戦いだ…! 兄弟同士が血で血を洗う戦いをしてきたというのか!」
健一「に…兄さん…!」
「…嘘だーっ!!」
同話、健一が兄弟であること、つまり血の繋がった肉親には角がないという事実を知り、これまでのボルテスVとの戦いも無意味な戦いだった事を悟り泣き崩れる。角のあるボアザン人こそ優れた種族と信じて生きてきたハイネルのアイデンティティが崩れ去った瞬間でもあった。
「お、伯父上!おやめ下さい! 最後まで…最後までボアザン星の王であることをお忘れめさるなぁ!」
錯乱しながらも自己保身に奔ろうと足掻くザンバジルの姿を目の当たりにし諫めようとするも、ザンバジルから返ってきたのは「侵略はハイネルの仕業」という責任転嫁の言だった。
「くっ…! 余はこんなウジ虫のために戦っていたのか…! 死ねいっ!!」
その心無い言葉はハイネルの怒りに火を注ぐには十分すぎた。ハイネルは怒りのままに形見の短剣を投げ放ち、ズ・ザンバジルに引導を渡した。
「お…お父さん…」
父親からの呼びかけに対して呟いた最期の台詞。それまで親族に対しても貴族らしい言い回しをしていたハイネルだがここでは「父上」ではなく「お父さん」と貴族らしからぬ言い回しで呟いた。かなりぎこちなく言っているが、これは演じた市川氏が意図してそうなるように演技したため。氏によると、この台詞はスタッフに頼んで数回リテイクさせてもらったらしい。

スパロボシリーズの名台詞

αシリーズ

α

「ふむ…考えられぬ話ではない。角のない下等生物だとはいえ、あそこまでの文明を作り上げておる連中だからな」
第24話「ボルテス起死回生」より。ド・ズールが「地球人は愛情に弱い」と報告してきた時の反応。
頭ごなしに否定していた原作や他のスパロボとは異なる、この世界観のハイネルを表す台詞とも言える。
(…肉親が互いを想う情…)
(こやつらは帝国監察軍やザンバジル皇帝が忘れた…人間としての心や誇りを持っていると言うのか…?)
ゴラオン隊ルート第55話「父の胸の中で泣け!」より。スカールークでボルテスVに一騎討ちを仕掛けるも、剛健太郎がスカールークに捕らわれているために健一は攻撃しなかった。この行動でハイネルは健一に親子としての情念がある事を確信し…。
「そうだ。貴様達の父、剛健太郎…確かに返したぞ!」
同上。一騎討ちの後、帝国監察軍に合流するために撤退する前、「裏切り者ド=ズールを始末してくれた礼」という名目で健太郎を解放した。
なお、この展開になるにはハイネルを撃破してはならず、もし撃破した場合はこの時点でハイネル参戦フラグが折れてしまい、健太郎も戦闘時の爆発に紛れて脱走した事になる。
「おのれ、オレアナ…ユーゼス…!ただひたすら母星のために戦ってきた我々を何と思っておるのだ…!!」
「ガルーダよ…余と母星の命運をかけて幾たびも戦果を争ってきた大将軍よ…」
「そなたの無念は余の心にしっかと刻みつけたぞ!」
第65話「ギア・オブ・ディスティニー」より。ガルーダが非業の死を遂げた際に。オレアナとユーゼスの非道な仕打ちに激怒しながら、ガルーダの死を悼んだ。
「無論だ。余はお前達を倒し、ボアザン星に真の自由を取り戻す!」
「剛健一よ!」
「余はお前に破れはしたが、ボアザン貴族としてのプライドまで捨て去ったわけでない」
「だが、今は互いの母星の命運をかけて共に戦う時だ」
熟練度45以上ルート第66話「絶望の宴は今から始まる」にて援軍として駆けつけた際に。シロッコに対してエアロゲイターからの離反を宣言。そして互いに守るべき母星のために蟠りを捨て、健一と共闘する。

第2次α

「オルバン大元帥、貴様には民を統べる資格はない…!」
第50話ハマーン休戦ルート「小バームの大攻防戦」or 第53話ハマーン拒絶ルート「許されざる罪」より。健一のピンチにこの言葉と共に乱入。ボイス付きなので、聞いただけだとリヒテルと間違えそうである。
「贖罪やも知れぬ…」
「いや…それよりももっと大きなもの…言うなれば正義…正しき事への罪滅ぼしだ」
第51話ハマーン休戦ルート「暗黒の支配者」or 第54話ハマーン拒絶ルート「邪悪な救世主」より。リヒテルに何故小バームのために戦ってくれるのか、と問われた際の台詞。
「黙れ、ダリウス! ザンバジルもオルバンもお前も、その根は一つ…」
「民を騙し、統治者の名の下に己の欲望を満たす下衆は、この宇宙に不要の存在なのだ!」
同上。ダリウス大帝との戦闘前会話。「下衆」と断じる辺りが、いかにも彼らしい。
健一大次郎日吉…。そなたらが余を兄と呼んでくれた今、思い残すことはない…」
「お前達にとっても母星であるボアザンの未来とお父さんを頼むぞ…」
同上。自爆時に。この台詞もボイス付きである。実際はこの時点ではハイネルは死ななかったが。ちなみに「母星」は「ははぼし」と読む。

第3次α

「誇り高きボアザン貴族キャンベルアンドロイドごときを一緒にするな、葵豹馬!」
第39話ボアザン勢力圏ルート「ただ母星のために」に於ける豹馬との戦闘前会話より。
もちろん、αでガルーダの悲劇を知ったハイネルにとってこれは本心からの言葉ではなく、豹馬に本気を出させるための挑発であり、直後に「大将軍ガルーダよ、そなたへの冒涜を許せよ…」と亡きガルーダへ詫びていた。
(すまぬ、リヒテル…。そなたの生命、決して無駄にはせん…)
(そして、地獄で待つがいい。余もすぐに行こう…)
第46話「崩れゆく邪悪の塔!!」より。最後の力を振り絞って労奴達を激励したリヒテルの姿を見届けた時のモノローグ。
この時点で自身も死を覚悟していたようである。
「高らかに歌え、戦いの歌を! その熱い想いは、死の波動さえも打ち破るはずだ!」
最終話「今遥か遠い彼方…」より。霊体となってザ・パワーの中からαナンバーズを鼓舞する。
ハイネルが発言したのは「ボルテスVの歌」の3番の歌詞「歌おうよ戦いの歌を」を意識したのだろうか。ちなみに「終焉の銀河」ではデウスが同様の発言をする。

単独作品

「過去は変えることはできぬ。だが、その悔いを未来に活かす事はできる。そち達が余を救ったようにな」
CCでのイベント「宇宙を守って来た者達」より。ガルーダを倒したことを悔やむ豹馬を気遣い、自らの体験を踏まえた激励を送る。
このハイネルの言葉に健一は感じ入り、豹馬は勇気付けられたのであった。

スパロボシリーズの迷台詞

「バ、バカな…!?このマスク・ザ・レッドが」
スーパーロボット大戦α for Dreamcast』における被弾時の台詞。画面上には「バ、バカな…!?」までが表示されており、市川治氏が『ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』のマスク・ザ・レッド(SRW未参戦)として音声収録した台詞が、プログラムミスで誤って再生されていると思われる。
「余はここにはおらぬ。この会話も発生せぬ」
第3次スーパーロボット大戦α』のボアザンルート47話の連戦の最終ステージで、ハイネルを何らかの形で出撃させ、会話フラグを設定した上で戦闘させると発生する台詞。
本来ハイネルが戦死した後のステージであるため、出撃していること事態はあり得ないのもある。
「何なんだ、あの熱気は!? あの娘はいったい…!」
カムジン「カイルスに来たばかりのてめえは知らねえか」
カムジン「あれが代役からチャンスを掴みスターの座を駆け上がった…超時空シンデレラ、ランカちゃんだ!」
「ランカちゃん!?」
CCでのイベント「カイルスの青い夏」にて、ランカが出場した際に大いに盛り上がったことに動揺して。
「この団結力…。 これが地球の文化か」
「我らが敗れた理由が少し分かった気がする…」
上の続き。一見見るとシリアスなのだが、ランカの「キラッ☆」の後にこの台詞が出てくるため、どうもシュールに感じてしまう。そしてハイネルの貴重なコミカルタッチのシーンでもあり、非常に微笑ましい。
ハイネルを演じた市川氏は、『超時空要塞マクロス』にて地球の「文化」がきっかけで敗れることになったボドルザーを演じており、これを意識した声優ネタの側面、もあるのかもしれない。

搭乗機体

スカールーク
地球赴任時に搭乗。
獣士ガルゴー
SRW未登場。第8話でハイネルが搭乗した獣士で、地球で捕えたベンガルトラをベースとする。
守護神ゴードル
最終話で搭乗したボアザンの守り神である巨大ロボット。
SRWでは原作と違ってわざわざ地球に送られて搭乗することになる。

SRWでの搭乗機体

ボアザン円盤

余談

  • 名前の由来はヨーロッパなどで高貴な身分を指す「ユアハイネス(your highness)」から[2]この作品でも度々使われる言葉である。
  • 『テレビランド』連載のコミカライズ版では最終決戦で、健一のボルト・クルーザーと戦闘機同士によるドッグファイトを展開。決闘の最中、負傷した健一の肩に刻まれたボアザン星人の証を示すアザを見て全てを悟り、戦意を喪失。自らクルー・ミサイルの直撃を受けて逝った。
  • 漫画『第41話 逆襲する貴族』(スーパーロボットコミック『超電磁ロボコン・バトラーV 超電磁マシーンボルテスV 闘将ダイモス』編・双葉社刊)では辛うじて生きながらえたことになっており、「角なき市民と角ある貴族の間に立つ者」として片方の角を折り、守護神ゴードルを模した鎧をまとい「騎士モノホーン」を名乗り、健一らボルテスチームの協力者となる。『超電磁大戦ビクトリーファイブ』でも第2部にて登場、鎧姿で初登場しオリジナルガルーダと決闘する。同作のラストにおいて落命したが、数十年後を舞台とした続編『ゴッドバード』では妖魔大帝バラオによって復活する。

脚注

  1. 加えてこの直前のシーンでは黄金城から逃げ出して解放軍へ投降する貴族が描かれておりその際は「悪いのは全部ザンバジルだから殺さないでくれ」と涙ながらに命乞いをする醜態を晒していた。
  2. 日本ジャパニーズヒーローは世界を制す』による。