「戦艦」の版間の差分

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戦闘の際に用いられる艦船一般を指して用いられる語で、[[スパロボ]]での用いられ方も概ねこの扱いに準じている。
 
戦闘の際に用いられる艦船一般を指して用いられる語で、[[スパロボ]]での用いられ方も概ねこの扱いに準じている。
  
艦艇の種類を指す軍事用語としての意味においては、「戦艦」は戦闘用の艦船一般を指す用語ではない。しかし一般的にはそのような扱いで用いることが多い。特にSFに関する話題の中では'''「宇宙戦艦」'''という用語があまりにもメジャーであるためか、宇宙における戦闘艦については「戦艦」の一語で取りまとめて語られるケースがきわめて多い(少なくともスパロボにおいてはその傾向が顕著)。その一方、例えば[[ガンダムシリーズ]]など、現実の軍事用語に準じて艦種を厳密に定義している作品もある。
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本来の軍事用語における「戦艦」はあくまで軍艦の一分類でしかないのだが、一般には「戦闘の際に用いられる艦船」を指す場合が多い。特にSFに関する話題の中では'''「宇宙戦艦」'''という用語があまりにもメジャーであるためか、宇宙における戦闘用の艦艇については「戦艦」の一語で取りまとめて語られるケースがきわめて多い(少なくともスパロボにおいてはその傾向が顕著)。その一方、例えば[[ガンダムシリーズ]]など、現実の軍事用語に準じて艦種を厳密に定義している作品もあるが、その内容は「戦艦」同様に現実での軍事用語の定義から大きく外れる場合が少なくない。特に空母は機能的に移動要塞や戦艦と区別がつかない物が多い。
  
 
=== 軍艦の一分類としての戦艦 ===
 
=== 軍艦の一分類としての戦艦 ===
戦闘用の艦艇全般を指す用語として本来適当なのは「'''軍艦'''」であり、「戦艦」は軍艦の一艦種である。以下に「戦艦」以外の代表的な艦種の例を挙げる(尚、個々の定義については時代の推移と共に変遷があるため注意が必要)。
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戦闘用の艦艇全般を指す用語として本来適当なのは「'''軍艦'''」であり、「戦艦」は軍艦の一艦種である。以下に「戦艦」以外の代表的な艦種の例を挙げるが、個々の定義については時代の推移と共に変遷があるため注意が必要。また、政治的な問題から実際の性能が表向きの艦種と異なる<ref>自衛隊の艦艇はその機能を問わず全て護衛艦、ロシアの空母は重航空巡洋艦という名称になっている</ref>場合もある。
  
 
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! 戦艦
 
! 戦艦
| 対艦戦を目的とする艦。攻撃力・装甲が高く、艦自体の戦闘力を重視。現実世界ではほぼ消滅している。
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| 対艦戦を目的とする艦。攻撃力・装甲が高く、艦自体の戦闘力を重視。現実世界では2006年をもって完全に姿を消したが、戦前は最新鋭艦が[[核ミサイル|抑止力]]に等しい扱いを受ける事もあった。
 
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! 航空母艦
 
! 航空母艦
| 略称「空母」。航空機の艦載・運用を前提としており、航空機の移動基地的な役割を担う。現実世界における海軍の主力。
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| 略称「空母」。航空機の艦載・運用を前提としており、航空機の移動基地的な役割を担う。現実世界における海軍の主力。<br />だがロボットアニメでは(当然ではあるが)出番が少なければ扱いも悪い。作品によっては現役の場合もある。
 
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! 駆逐艦
 
! 駆逐艦
| 装甲は薄いが高速で汎用性が高く、対空・対潜能力を兼ね備えた艦。<br />元々は魚雷攻撃を行う水雷艇の駆逐を主任務とした小型船だったが、現在は大型化して下記のフリゲート、コルベット、巡洋艦との区別がつかない。
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| 装甲は薄いが高速で汎用性が高く、対空・対潜能力を兼ね備えた艦。<br />元々は魚雷攻撃を行う水雷艇の駆逐を主任務とした小型船だったが徐々に大型化。現代では下記のフリゲート、コルベット、巡洋艦との区別がつかない。<br />SF作品などでは第二次世界大戦頃の「脆弱だが安価で高速」と言った仕様にされることが多い。
 
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! フリゲート
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! 潜水艦
 
! 潜水艦
| 水中へ潜航可能な軍艦。隠密性が極めて高く、現在では[[核ミサイル|核兵器]]を搭載した戦略原潜などが存在する。
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| 水中へ潜航可能な軍艦。隠密性が極めて高く、現在では[[核ミサイル|核兵器]]を搭載した戦略原潜などが存在する。<br />SF作品における潜'''宙'''艦は現実の潜水艦同様の高度な隠密性を持った艦もあれば本当に宙(亜空間)に潜ってしまう艦も存在する。
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| 敵前への上陸を強行するための軍艦。搭載兵器によって更に細かく艦種が分かれる。<br />「ロボットアニメの戦艦」は空母に加えて揚陸艦の性質も持ちあわせていると言える。また、衛星軌道上からの敵地への強行突入も揚陸と称する場合がある。
 
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また「[[母艦]]」という用語は、ある特定の兵器を運用する移動基地としての役割を持ち、物資補給や対象兵器のメンテナンス等が行える艦を指す。上述の航空母艦の他、水上機が対象であれば「水上機母艦」、潜水艦が対象であれば「潜水母艦」となる。
 
また「[[母艦]]」という用語は、ある特定の兵器を運用する移動基地としての役割を持ち、物資補給や対象兵器のメンテナンス等が行える艦を指す。上述の航空母艦の他、水上機が対象であれば「水上機母艦」、潜水艦が対象であれば「潜水母艦」となる。
  
=== SF作品における戦艦 ===
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=== ロボットアニメにおける戦艦 ===
 
前項の基準に照らして言えば、特にスパロボに参戦するような作品の軍艦は「艦自体の戦闘力」と「艦載機動兵器の運用能力」を両立させた、戦艦と機動兵器母艦の折衷艦が大半である。これは「味方の艦にせよ敵将の艦にせよ、それ自体にも高い戦闘能力がないと見栄えしない」「作品のメインメカは艦載機の側であり、それらを搭載・運用できないと基本的にお話にならない」といった点を双方満たす艦を設定した結果であろうと思われる。
 
前項の基準に照らして言えば、特にスパロボに参戦するような作品の軍艦は「艦自体の戦闘力」と「艦載機動兵器の運用能力」を両立させた、戦艦と機動兵器母艦の折衷艦が大半である。これは「味方の艦にせよ敵将の艦にせよ、それ自体にも高い戦闘能力がないと見栄えしない」「作品のメインメカは艦載機の側であり、それらを搭載・運用できないと基本的にお話にならない」といった点を双方満たす艦を設定した結果であろうと思われる。
  
このため上記の艦種の中には厳密な意味で該当するものは存在しないが、前述の通り戦闘艦一般を指す用法でも「戦艦」の語がよく用いられること、また日本におけるSFアニメの金字塔的存在である「宇宙戦艦ヤマト」の影響などにより、これらは総じて「戦艦」と呼称されることが多い(尚、ヤマトもやはり上述のような二つの能力を有する艦として設定されている)。
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前述の通り戦闘艦一般を指す用法でも「戦艦」の語がよく用いられること、また日本におけるSFアニメの金字塔的存在である「宇宙戦艦ヤマト」の影響などにより、これらは総じて「戦艦」と呼称されることが多い(尚、ヤマトもやはり上述のような二つの能力を有する艦として設定されている)が、現実でもこのようなコンセプトを持った「航空戦艦」と呼ばれる艦種が'''一応'''存在していた。故に上記のような折衷艦に対し「戦艦」という呼称を用いる点について、軍事用語的な意味でも強ち的外れではない、との見方もできる。
  
蛇足ではあるが、第二次大戦中、実際にこのようなコンセプトを持たせるべく改造された艦があり、日本海軍の伊勢型戦艦2隻が該当する。この2隻は「航空戦艦」と呼称されている。このため、上記ような折衷艦に対し「戦艦」という呼称を用いる点について、軍事用語的な意味でも強ち的外れではない、との見方もできる。
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だがその殆どは計画のみで実際に建造されることはなく、実際に就役した旧日本海軍の伊勢型戦艦2隻は既存の「戦艦」からの改造である。その2隻も最期まで空母として機能することは無く、そもそも改造自体が劣勢に陥ったことに端を発する苦肉の策であった。
但し同艦は、現実世界において戦力として機能することは無くもっぱら輸送任務に就いていた。
 
  
 
この理由としては
 
この理由としては
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・飛行機用の燃料等は砲撃戦において誘爆の可能性があるため危険。
 
・飛行機用の燃料等は砲撃戦において誘爆の可能性があるため危険。
  
といったことがあげられる。
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といったことがあげられる。一言で言えば'''いいとこどりに失敗した器用貧乏'''なのである。
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「ロボットアニメにおけるにおける戦艦」ではこれらの点はエネルギー兵器などの架空技術によって軒並み解消されているが、器用貧乏から器用万能になったことで後述のとおり空母の役割を奪ってしまっている。飛行やホバー移動で陸上を横断できるのは特に大きいだろう。
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=== ロボットアニメにおける空母 ===
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この通りSF作品、そしてロボットアニメではSF作品以上に戦艦が機動兵器母艦としての役割を兼ねているため、ロボットアニメに登場する空母は宇宙空母を中心に「ロボットアニメにおける戦艦」同様に現実世界の「空母」とは似て非なる存在であり、「空母」は水上しか航行できず艦自体の武装が貧弱なためロボットアニメで登場・活躍する事は少ない。
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宇宙空母は空母の名は付いているものの、「ロボットアニメにおける戦艦」と同じ理由により、重武装化されて戦艦と区別がつかない艦や大型化が進行してもはや移動基地その物と化している(大きさ見栄えの問題はクリアしているといえる)艦などコンセプト段階から「空母」と異なっている場合が多い。強力な主砲を持つ[[バトル7|バトル級]][[バトル・フロンティア|可変ステルス]][[バトル・ギャラクシー|攻撃宇宙空母]]は前者の代表(1000m以上の全長から後者の特徴も持つ)といえる。後者の場合は現実の「空母」の特徴たる開放式の格納庫や艦自体の戦闘能力の低さは据え置きなのか[[ゴンドワナ級]]にその傾向が見られる。
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現実の「空母」が登場する作品では「空母」に人型機動兵器の運用能力を付加したような形になっているが、他の水上艦艇共々人型機動兵器や空中戦艦といった新機軸の兵器や未知の怪物に対応しきれない、あるいは既に人型機動兵器母艦としての水上艦が建造されているなどの理由でやられ役に甘んじることが少なくない。[[コズミック・イラ]]の世界では多数の水上艦がモビルスーツによって撃沈されている。
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もちろんこれは創作上での話であり、現実における事情は全く異なってくる。旧日本海軍の正規空母加賀は重巡洋艦クラスの砲を複数搭載する(「空母」としては)重武装の軍艦であったが、無理のある搭載だった上に最後まで無用の長物となっていた。
  
 
=== スパロボにおける戦艦の位置づけ ===
 
=== スパロボにおける戦艦の位置づけ ===

2015年9月27日 (日) 17:54時点における版

戦艦(Battle Ship)

戦闘の際に用いられる艦船一般を指して用いられる語で、スパロボでの用いられ方も概ねこの扱いに準じている。

本来の軍事用語における「戦艦」はあくまで軍艦の一分類でしかないのだが、一般には「戦闘の際に用いられる艦船」を指す場合が多い。特にSFに関する話題の中では「宇宙戦艦」という用語があまりにもメジャーであるためか、宇宙における戦闘用の艦艇については「戦艦」の一語で取りまとめて語られるケースがきわめて多い(少なくともスパロボにおいてはその傾向が顕著)。その一方、例えばガンダムシリーズなど、現実の軍事用語に準じて艦種を厳密に定義している作品もあるが、その内容は「戦艦」同様に現実での軍事用語の定義から大きく外れる場合が少なくない。特に空母は機能的に移動要塞や戦艦と区別がつかない物が多い。

軍艦の一分類としての戦艦

戦闘用の艦艇全般を指す用語として本来適当なのは「軍艦」であり、「戦艦」は軍艦の一艦種である。以下に「戦艦」以外の代表的な艦種の例を挙げるが、個々の定義については時代の推移と共に変遷があるため注意が必要。また、政治的な問題から実際の性能が表向きの艦種と異なる[1]場合もある。

戦艦 対艦戦を目的とする艦。攻撃力・装甲が高く、艦自体の戦闘力を重視。現実世界では2006年をもって完全に姿を消したが、戦前は最新鋭艦が抑止力に等しい扱いを受ける事もあった。
航空母艦 略称「空母」。航空機の艦載・運用を前提としており、航空機の移動基地的な役割を担う。現実世界における海軍の主力。
だがロボットアニメでは(当然ではあるが)出番が少なければ扱いも悪い。作品によっては現役の場合もある。
駆逐艦 装甲は薄いが高速で汎用性が高く、対空・対潜能力を兼ね備えた艦。
元々は魚雷攻撃を行う水雷艇の駆逐を主任務とした小型船だったが徐々に大型化。現代では下記のフリゲート、コルベット、巡洋艦との区別がつかない。
SF作品などでは第二次世界大戦頃の「脆弱だが安価で高速」と言った仕様にされることが多い。
フリゲート 駆逐艦と似たような目的(主に対潜水艦)で建造されるが、駆逐艦より小型。その分生産性が高い。
コルベット フリゲートより更に小型の艦。主に哨戒任務などを行う。
巡洋艦 厳密な定義はない。上記に当てはまらず、遠洋航海や速力に秀でた軍艦に汎用的に用いられることが多い。
潜水艦 水中へ潜航可能な軍艦。隠密性が極めて高く、現在では核兵器を搭載した戦略原潜などが存在する。
SF作品における潜艦は現実の潜水艦同様の高度な隠密性を持った艦もあれば本当に宙(亜空間)に潜ってしまう艦も存在する。
揚陸艦 敵前への上陸を強行するための軍艦。搭載兵器によって更に細かく艦種が分かれる。
「ロボットアニメの戦艦」は空母に加えて揚陸艦の性質も持ちあわせていると言える。また、衛星軌道上からの敵地への強行突入も揚陸と称する場合がある。



また「母艦」という用語は、ある特定の兵器を運用する移動基地としての役割を持ち、物資補給や対象兵器のメンテナンス等が行える艦を指す。上述の航空母艦の他、水上機が対象であれば「水上機母艦」、潜水艦が対象であれば「潜水母艦」となる。


ロボットアニメにおける戦艦

前項の基準に照らして言えば、特にスパロボに参戦するような作品の軍艦は「艦自体の戦闘力」と「艦載機動兵器の運用能力」を両立させた、戦艦と機動兵器母艦の折衷艦が大半である。これは「味方の艦にせよ敵将の艦にせよ、それ自体にも高い戦闘能力がないと見栄えしない」「作品のメインメカは艦載機の側であり、それらを搭載・運用できないと基本的にお話にならない」といった点を双方満たす艦を設定した結果であろうと思われる。

前述の通り戦闘艦一般を指す用法でも「戦艦」の語がよく用いられること、また日本におけるSFアニメの金字塔的存在である「宇宙戦艦ヤマト」の影響などにより、これらは総じて「戦艦」と呼称されることが多い(尚、ヤマトもやはり上述のような二つの能力を有する艦として設定されている)が、現実でもこのようなコンセプトを持った「航空戦艦」と呼ばれる艦種が一応存在していた。故に上記のような折衷艦に対し「戦艦」という呼称を用いる点について、軍事用語的な意味でも強ち的外れではない、との見方もできる。

だがその殆どは計画のみで実際に建造されることはなく、実際に就役した旧日本海軍の伊勢型戦艦2隻は既存の「戦艦」からの改造である。その2隻も最期まで空母として機能することは無く、そもそも改造自体が劣勢に陥ったことに端を発する苦肉の策であった。

この理由としては

・発着艦には長大な滑走距離が必要なため、主砲や艦橋が邪魔。このため、伊勢型ではカタパルトで発艦させ、着艦はほかの空母に拾ってもらうというプランがあった。

・主砲の衝撃により、繊細な艦載機の整備が行いにくい。また、甲板上にある艦載機が破損する恐れがある(当時の重巡洋艦でも搭載されていた20.3cm砲の衝撃ですら飛行機が破損する事例があった。なお、伊勢型の主砲はこれより遥かに大きい35.6cm砲である。)

・このため、発着艦中は砲撃を行えない。爆風も飛行の妨げとなる。

・飛行機用の燃料等は砲撃戦において誘爆の可能性があるため危険。

といったことがあげられる。一言で言えばいいとこどりに失敗した器用貧乏なのである。 「ロボットアニメにおけるにおける戦艦」ではこれらの点はエネルギー兵器などの架空技術によって軒並み解消されているが、器用貧乏から器用万能になったことで後述のとおり空母の役割を奪ってしまっている。飛行やホバー移動で陸上を横断できるのは特に大きいだろう。

ロボットアニメにおける空母

この通りSF作品、そしてロボットアニメではSF作品以上に戦艦が機動兵器母艦としての役割を兼ねているため、ロボットアニメに登場する空母は宇宙空母を中心に「ロボットアニメにおける戦艦」同様に現実世界の「空母」とは似て非なる存在であり、「空母」は水上しか航行できず艦自体の武装が貧弱なためロボットアニメで登場・活躍する事は少ない。

宇宙空母は空母の名は付いているものの、「ロボットアニメにおける戦艦」と同じ理由により、重武装化されて戦艦と区別がつかない艦や大型化が進行してもはや移動基地その物と化している(大きさ見栄えの問題はクリアしているといえる)艦などコンセプト段階から「空母」と異なっている場合が多い。強力な主砲を持つバトル級可変ステルス攻撃宇宙空母は前者の代表(1000m以上の全長から後者の特徴も持つ)といえる。後者の場合は現実の「空母」の特徴たる開放式の格納庫や艦自体の戦闘能力の低さは据え置きなのかゴンドワナ級にその傾向が見られる。

現実の「空母」が登場する作品では「空母」に人型機動兵器の運用能力を付加したような形になっているが、他の水上艦艇共々人型機動兵器や空中戦艦といった新機軸の兵器や未知の怪物に対応しきれない、あるいは既に人型機動兵器母艦としての水上艦が建造されているなどの理由でやられ役に甘んじることが少なくない。コズミック・イラの世界では多数の水上艦がモビルスーツによって撃沈されている。

もちろんこれは創作上での話であり、現実における事情は全く異なってくる。旧日本海軍の正規空母加賀は重巡洋艦クラスの砲を複数搭載する(「空母」としては)重武装の軍艦であったが、無理のある搭載だった上に最後まで無用の長物となっていた。

スパロボにおける戦艦の位置づけ

スパロボには人型の機動兵器の他、敵味方双方に様々な軍艦が登場しているが、システム上のユニットを指す言葉としては「戦艦」でほぼ統一されている。これについては、艦を運用する者が必ずしも軍属で無い場合がある為、『軍艦』という呼称が適当ではない場合もある、という点が関係しているのだろう。

味方艦については、マップ攻略時には基地内等を除いてほぼ常時出撃させることになり、ユニットを搭載して艦内で回復・補給したり、ユニットを艦載して輸送することで移動距離を伸ばすといった重要な役割を担う。パイロットも大半は艦内に居住しており、インターミッションの会話等も艦内で行われる比率はかなり高い。また、自軍の司令基地でもあることから、撃墜されると敗北になることが殆ど。このような点から、味方艦については母艦としての役割が非常に色濃いと言える(「母艦」という呼称も「戦艦」と並んでよく用いられる用語の一つ。詳細は記事「母艦」を参照)。

なお、作中での戦闘力については、初期作品では味方戦艦の能力はあまり高く設定されておらず、HPがやや高い以外は貧弱な武装、劣悪な運動性、薄い装甲と三拍子揃った低スペックで、艦長の能力(特に精神コマンド)も戦闘向きではない事が多く、それでいて機体サイズが大きいことも手伝って運動性以上に回避に難があり、敵に狙われやすいため前線に近付けること自体が危険というような、作品によっては戦闘ではほとんど役に立たないものすらあった。
近年作品ではHPが大幅に上昇し、艦の武装や艦長の能力の見直しなどの調整がされて戦闘能力も全体的に向上しており、搭載武装の多さからくる高い継戦能力、HPの高さとサイズ差補正による堅牢性を活かした壁役としての使い道、スーパーロボット顔負けの高威力の武器を持つものもあるなど、初期の作品に比べると使い勝手は飛躍的に向上している。ブリッジクルーが精神コマンド要員として付随するケースが増えたのも見逃せない強化点である。
そのため、近年の作品の戦艦は前述した折衷艦としてのイメージに近くなっている。

一方、敵艦については純粋に巨大でHPの高いユニット的位置付けである場合が多い。サイズ補正がダメージ計算にも適用される作品では火力・耐久性ともにプラス補正が掛かるため、艦長によっては馬鹿にできない戦闘能力を有することになる。一応当該の艦には多数の艦載機を搭載できるはずで、また少なからず「母艦」を名乗る敵艦もあることから、母艦としての役割も担っているはずであるのだが、「搭載」等の味方艦では可能な補給システムがない(かつ、それを前提とした行動を敵ユニットが行わない)ため、戦闘能力のみが艦の評価を左右することになる。
近年では武装の一種として艦載機を出撃させるものを使用することにより、搭載能力が表現されることがある。
OEでは敵艦専用の特殊能力として「艦船」が設定され、不動と同様の武器特殊能力無効化と「母艦」及び「艦船」に対するダメージ強化を併せ持っている。一方武器特殊能力「対艦」の対象ともなり、その場合高い倍率を受けた甚大なダメージを与えうる。

第3次Zでは新たな敵艦専用特殊能力「指揮系統中枢」(敵軍全機の命中率強化、重複あり)を追加された。強化補正を完全に消すためには、敵軍全艦を撃破する必要がある。

ちなみに、敵艦は撃破時に得られる資金が高く設定されているお金持ちユニットの場合が多い。このため、可能な限り「幸運」や「祝福」を併用して撃墜したい敵である。

主な戦艦ユニット

味方の中核艦としての役割を担っている艦については母艦を参照。

ここではそれ以外の戦艦ユニット(主に敵として登場するものが中心になる)について、代表的なものを記載する。

一口に戦艦といっても、作品によりバリエーションは様々である。

量産型戦艦

同型艦が多数量産されているタイプ。ガンダムシリーズを始め、リアル系の作品の戦艦の大半はこのタイプ。それ以外でも汎用艦が登場する作品は多い。

ユニットとして登場した場合、概ねザコ敵の延長線上の存在として扱われる。但し名前付きのパイロットが登場している場合は、ボス格としての火力・耐久力を有する場合もある。

戦艦名 備考
マゼラン改級  
サラミス改級 分類は宇宙巡洋艦
ガウ 分類は空母ないしは輸送機 
ムサイ級 分類は宇宙(軽)巡洋艦 
エンドラ 分類は宇宙巡洋艦 
アドラステア  
アルマイヤー  
ナスカ級 分類は高速戦闘艦 
エンペラー改  
サージェ・オーパス  
ガタマン・ザン  
ケアドゥル・マグドミラ  
バロータ軍標準戦列戦艦  
チラム攻撃空母  
マザーバーン  
カトンボ  
新惑星連合戦艦  
邪竜族護衛艦  
ギシン星戦闘艦  
レスリオン級宇宙戦艦  
カールレオン級浮遊航空艦  
バイカル級宇宙巡洋艦  
ゼラニオ  
フーレ  
アルムストラ・フィーニス  
グリンガル  
プルケリマ  
ライノセラス  

指揮官専用艦

部隊指揮にあたる者のために特注で建造されている艦。

スーパー系作品における敵勢力の前線司令官用の艦はこのタイプが多い。中ボスクラスの性能で、艦によってはかなり火力が高い。

戦艦名 備考
ブリタイ艦  
飛行要塞グール
海底要塞ブード
 
万能要塞ミケロス
無敵要塞デモニカ
 
メカ要塞鬼  
グレイドン  
スカールーク  
ガルンロール  
ボイダー戦闘母艦
カブト戦闘母艦
ネシア戦闘母艦
 
グロテクター  
ゼルガイアー  
ブンドル艦
カットナル艦
ケルナグール艦
 
ファミール艦  
戦闘空母  
シラジーラカンス号  
マーグ司令船  
ダイガンザン
ダイガンカイ
ダイガンド
ダイガンテン
ダイガンザンドゥ
 
アヴァロン  

艦隊旗艦

敵の総大将、或いは艦隊指揮官が搭乗する艦。

大抵は大ボスクラスの性能を備えており、圧倒的な火力と耐久力を持つ。場合によってはバリアを所持していることもある。サイズもこれまでの艦に比べると大型の場合が多い。

戦艦名 備考
グレート・デギン  
アレキサンドリア 分類は重巡洋艦 
ドゴス・ギア  
グワダン  
サダラーン 分類は機動戦艦 
レウルーラ  
ザムス・ガル  
レセップス  
ドミニオン 分類は強襲機動特装艦 
キング・オブ・ベガ  
カーメン・カーメン旗艦  
スピリットガットラー  
グラドス大型戦艦  
かぐらづき  
銀河号  
マハト  
バトル・ギャラクシー  
ログレス級浮遊航空艦  
アルムストラ  

移動要塞・本拠地

艦隊の旗艦であるどころか、それ自体が移動する要塞、更には本拠地としての役割までも兼ねている艦。

本拠地の役割を持つにしては比較的サイズの小さな艦もあるが、大概は艦と呼ぶのが適切なのかどうかすら怪しい、規格外の巨体を誇る。無論その火力と耐久力は半端ではない。

戦艦名 備考
ドロス 分類は宇宙空母 
リーブラ  
ウィル・ウィプス  
バイラル・ジン
科学要塞島  
巨大円盤  
バンドック  
移動要塞 (ダルタニアス)  
ボドル旗艦
ラプラミズ旗艦
 
ドラゴ帝国要塞
ミスティックシールド破壊装置 原作では移動要塞としても運用。
NEOでは固定物扱いで反撃を行わない。
ドテンカイザン  
大竜胆
ダモクレス要塞
ウルタリア ステージMAP扱い。
グレート・アクシオン
パレス・インサラウム
ヘルモーズ
(ヘルモーズ・エハッド
 ヘルモーズ・ハミシャー
 ヘルモーズ・シシャー)
で1ステージのみMAP扱い。 

生体艦

戦艦としての能力を備えた生体兵器。その性質上、スーパー系敵勢力の指揮官が搭乗する場合が多い。性能も概ね指揮官用艦に準じた扱いである。

戦艦名 備考
無敵戦艦ダイ  
ガンテ  
宇宙怪獣・高速型
ラダム艦
バジュラ (ナイト級)
バジュラ (ビショップ級)
ホエールキング

純粋戦闘艦

ここまでの戦艦は、自身の戦闘能力はもちろん高いのだが、大なり小なり部隊を展開することを前提として戦闘を行う、本来の用語の意味で「母艦」として機能している艦である。

しかし中には、艦の戦闘能力のみを前面に押し出した、これまた本来の用語の意味で「戦艦」としての役割を全うしている艦もある(スパロボではゲームバランスの関係上部隊を展開していることが多いが、以下の艦に共通するのは「艦載機動兵器がメインでなく、あくまで艦そのものがメイン」である点である)。

これらの艦は旗艦クラスの強敵として扱われる場合が多く、特にその火力には注意が必要である。

戦艦名 備考
大地魔竜
天空魔竜
奪還後は味方艦として活用可能(K)
ジェイアーク
キングジェイダー
敵対するのは『W』のレプリジンのみ
ピア・デケム・ピット
ピア・デケム・ピーク
 

非戦闘艦

本来は戦闘用でないにも関わらず、スパロボに参戦するにあたって戦闘に駆り出されている艦。

中には戦闘が主目的でないだけで十分戦闘に耐えうる艦もある。

戦艦名 備考
ガルダ級
スードリ
地球連邦軍の輸送艦。スパロボでは様々な武装が付けられている。
ジュピトリス 本来は恒星間航行用の資源採取艦だが、ジオン軍残党の襲撃を考慮しているため高い戦闘力を持つ。
スパロボでは破格の火力と耐久力に加え、シロッコの能力のおかげで凄まじい性能を誇る。

関連する用語

母艦
戦闘の際に用いられる艦船のうち、特定の兵器(航空機等)の艦載・運用を目的とした艦のこと。
スパロボシリーズでは、特に味方部隊の移動拠点として活躍する艦のことを指す。一方、敵軍の艦については「戦艦」ないし「敵戦艦」と呼称して区別されている。

リンク

  1. 自衛隊の艦艇はその機能を問わず全て護衛艦、ロシアの空母は重航空巡洋艦という名称になっている