ガウルン

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ガウルン(九龍 / Gaurun)

9つの国籍を持つとされるテロリスト。中国語で九龍と書くが、祖国は日本。これまでに30人以上の要人を暗殺し、航空機の爆破も最低2回は行っているが、西側の対テロ組織には殆ど知られていない。ASの操縦技能にも優れ、複数存在するコダールの搭乗兵の中で、最もその性能を引き出していた人物でもある。カリーニン曰く「知能の高い野獣」。実は膵臓癌を患っている身であり、その事もあってか生に対する執着が希薄である。そのため、死ぬ事をほとんど恐れていない。病を患う前は逆に「自分の命は地球より重い」と嘯いていてる事も(その際は闇雲に死ぬような行動はしなかった)。

物語の黒幕ではないが非常に印象強い悪役であり、またしぶとさもシリーズ中随一と言える。原作においてはアフガニスタン時代に宗介に撃たれるも傷が浅く生還、本編において「戦うボーイ・ミーツガール」「揺れるイントゥ・ザ・ブルー」の2回(アニメ版では第1作オリジナルエピソード「故郷に舞う風」も入れると3回)に渡って宗介とAS戦を繰り広げ、全て撃破されているにも関わらずいずれも生還。その後の「終わるデイ・バイ・デイ」ではもはやまともに生きられない状態で登場し、人間らしい感情が芽生えてきた宗介を最後の最期まで否定し嘲笑いながらも、彼の手にかかって撃たれ今度こそガウルンは完全に死亡した。

アマルガムにおけるコードネームはミスタ・Fe(アイアン=鉄)。もともと水銀は各種金属と合成することで合金(水銀合金=アマルガム)が作れるが、鉄とは合金を形成しない。アマルガムに所属しながらも水銀と混じることがない鉄がコードネームとなっているあたり、アマルガム側も彼が黙って組織に従う人間ではないことに気付いていたようである。

色々とアクが強く、その強烈なキャラクター故に、一部ファンの間でも人気が高いキャラクターである。作者自身もお気に入りのキャラと称し、退場させた事を後々後悔したそうである。

登場作品と役柄

登場回数こそまだ多くないものの、スパロボでもかなりの強敵として扱われ、その強さは多くの版権キャラの中でも屈指のもの。いずれの登場作品においてもその残虐非道な数々の犯歴から、シャッセールICPO等の別の版権作品の警察組織から強くマークされている。更にテロリストの狡猾さを表現する為か、分岐やイベントで自軍戦力が万全ではない状態の時に登場することが多く、一層厄介さを際立たせている。また、彼が登場するステージは宗介(アーバレスト)の撃墜が敗北条件になっている場合が殆どな上、基本的に宗介ばかりを執拗に攻撃するためアーバレストを早期改造しておかないと初見のプレイヤーは苦労する事は間違いない。逆に言えば分岐シナリオでの登場がほとんどなのでその場合は別のルートを選べば彼との戦いは回避できるが、一番恐ろしいのは共通シナリオでなおかつ機体の改造やパイロットの強化が万全ではない時に登場した場合である。

Zシリーズ

第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
PV第1弾にて登場。声優の田中正彦氏はIMPACTでのショット・ウェポン以来約12年ぶりのスパロボ参加(新規音声収録はF以来で約17年)となる。
本編においては共通ルート8話「戦うボーイ・ミーツ・ガール」で初戦闘。出演作に漏れず初見殺しの一つであり、一桁の話数にも関わらず見切り・ガード・底力にカウンターにサイズ差補正無視まで揃えた本物の化け物キャラである。これはさすがに無いだろうと思われるスキルが全部ある。おまけに技量の高さにものを言わせ、クリティカルを嘘みたいにガンガン連発して来る。しかも搭乗機のコダールはラムダ・ドライバのバリアでとにかく硬く(本作では軽減型で減少量が非常に大きい)、大抵弾かれるか三桁~二桁程度しか与えられない。天敵といえるバリア貫通武器が数えるほどしかないため、かなめのハッパ通りマキシマムブレイクでガードをブチ抜くべし。ただし、反撃で落とされないように注意。ジリ貧になる前に少しばかり計算すれば、何とかなる。これに精神コマンドまで使わなくて本当に良かったと安堵したプレイヤーもいるはずである。
更に登場自体は3話でアイコンの上半分を隠しての登場だが、直後のインターミッションでキャラクター辞典を見ると堂々と追加されている。ある意味破界篇でのある人物を超えたとも言える。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦J
初登場作品。全体的にステータスが高く、特に防御値は全パイロット中でもトップクラス。搭乗機ヴェノムの性能も高く、ラムダ・ドライバECSなど特殊能力に恵まれており、かなりの強敵。本作ではプラン1056 コダールに乗った彼とは、イベントやツメスパロボでのみ戦闘する。
スーパーロボット大戦W
1部序盤から登場。今回は分岐次第でプラン1056 コダールと通常戦闘可能。ヴェノムはプラン1058 コダールiに名称変更された。今回もパイロット・乗機とも優れたパラメータを誇り、更に多くのシナリオで精神コマンドを無制限に毎ターン使うJに続いて強敵である。2部では高確率である版権キャラをボコボコにする。原作とは異なり、最期はボロボロの身体を引き摺って宗介との一騎打ちに臨み、彼の手にかかって最期を遂げる。比較的難易度が易しいWにおいては危険な存在。

パイロットステータス設定の傾向

能力

スパロボでは事実上『フルメタ』最強の敵だけあり、全ての能力が嫌になるほど高い。特に防御射撃に優れ、ヴェノムの性能を無駄なく発揮して来る。なお、W後半に出てくるゲイツより強い。

特殊技能(特殊スキル)

J
斬り払い撃ち落としカウンターヒット&アウェイ底力L9援護攻撃L4指揮L4 コンボL4
第3次Z時獄篇
底力L3、見切りガード闘争心気力+ (ダメージ)カウンターL8、サイズ差補正無視L3、マルチターゲット

人間関係

レナード・テスタロッサ
幹部。本人曰く「いけ好かないガキだが、面白い」との事。
ゲイツ
幹部。本人曰く「イカレ野郎」との事。
ザイード
部下。アニメ版オリジナルエピソード『故郷に舞う風』に登場。
夏玉芳夏玉蘭
養女。
相良宗介
昔からの因縁の相手。彼を「カシム」と呼び、執着し、彼とは幾度となく激しい死闘を繰り広げる。なんだかんだ言って彼のことを気に入っている様子。

他作品との人間関係

ガンダムシリーズ

ジェラード・ガルシア
Wでは序盤に彼に雇われる。
リリーナ・ドーリアン
Wではかなめ共々彼女も拉致しようとする。だが、それを例の男が許す訳も無く…。
張五飛
Wではハイジャック戦で共闘。
トロワ・バートン
Wではハイジャック戦で共闘。後にダナンで彼を銃撃し重症を負わせる。ガウルン自身は仕留めたと思っており、一緒に撃たれたゲイルは死亡したというのに、彼は命に別状はなかった。ストーリーの都合とはいえトロワ恐るべしである。
ヒイロ・ユイ
Wではハイジャック戦で対決。お互いの素性を知っていた。彼を「プリベンターの告死天使」と称する。
第3次Zにおいてもハイジャックで顔を合わせた。
カガリ・ユラ・アスハ
Wにてスカイグラスパーで自身に挑む彼女を「自殺願望の塊」と称して嘲笑した。確かにスカイグラスパーラムダ・ドライバを発動させたプラン1058 コダールiに挑むなど、無謀極まりない。

リアル系

タカスギ・サブロウタ
Wではガウルンの移送の際「知能を持った野獣」として扱うように言われていたが、その凄まじい暴れっぷりに、「野獣と言うより悪魔」と評した。
早乙女アルト
第3次Zにて、ハイジャックを起こしクラスメイトを危険な目に合わせたガウルンに対して激しい怒りを見せた。
キリコ・キュービィー

スーパー系

Dr.ヘル
Jでは彼に招聘され、手を組む。
あしゅら男爵
Jでは何度も共闘。異形の姿で尚且つ詰めの甘い彼のことを「見た目だけじゃ無く頭も悪い化け物」と陰口を叩いている場面も。
塞臥
Jで共闘する。
兜甲児 (OVA)弓さやか
Jにてかなめ共々彼らを拉致する。その縁もあり、ちょっとした因縁ができる。
兜甲児 (真マジンガー)
第3次Zにて、アルト同様ガウルンに対して怒りを見せる。
獅子王凱
Wでは彼の事を皮肉交じりに「キング」と呼ぶ。彼からはラムダ・ドライバの力を「Gストーン」と同等とされ、危険視される。
天海護
Wでは彼を「緑色の子供」と呼ぶ。同ステージで登場するの中の人とは特に関係ない。
ユミ・フランソワナターシャ・パブロチワダービット・クリューゲル
Wでは戦いにまだ馴染みきっていない彼らにその圧倒的な強さを見せつけ、一気に彼らを不安な心境に落としこんだ。
モロトフ
Wの第2部で大抵ガウルンに突っ込んではボコボコにされてしまう哀れな人。ガウルンにとって彼は「カシムとのデートを邪魔する無粋な奴」である。
金田正太郎
第3次ZではガウルンはICPOから目をつけられるほどの犯罪者として指名手配されている事が正太郎の口から明かされる。

バンプレストオリジナル

カズマ・アーディガン
彼に「まさに外道!」と言われるも、そう言われて嬉しそうだった。
ヒビキ・カミシロ
初対峙の際にやはり、憤りを隠しきれなかった。

名台詞

「愛してるぜぇ~、カぁシムぅ~」
ガウルンを象徴する台詞といえばやっぱりこれである。
「いいか?弱者は強者に寄生するんだ。優しい仲間だの信頼だのをチラつかせて強者の力を骨の髄まで吸い取るのさ」
彼の弱者観。
「死体をASから引っ張り出して、カマを掘ってやろうかとも思った。いや、これは冗談。クク……ヒィ――つ、ヒッヒッヒ!ほ、ホントだって!」
アレすぎてアニメ版ではカットされてしまった台詞。宗介はアフガンゲリラ時代に何度も強姦未遂に合ってるので、冗談とは言い切れない。
「やれやれ。あんた五月蝿いな……」
かなめを拉致するのを神楽坂恵里先生が咎めた際に彼女を射殺しようとした寸前の台詞。この後に宗介が彼の気を引いて阻止する。
「後二十秒…ウソ!ホントは十五秒切ってます!ヒッ、ハァーッ、ハッハッハァ!」
ダナンの甲板にて、ヴェノムを自爆させんと宗介のアーバレストに組み付きながら。悪趣味ここに極まれリ。
「そうだ、俺が殺した!! さぁ憎め!!」
漫画版最期の台詞。かなめの死を示唆して宗介を挑発、直後に銃殺された。もっともガウルンはこの時点で既に自分だけ死ぬことを見越しており、自爆装置を仕掛けてはいたが宗介が脱出することも想定していた。宗介の読みでは「俺は死ぬが、お前は生きて苦しめ」らしい。
「女だよカシム。まだ知らせが来てないかな?俺は一部始終を聴いたぜ。あの可愛い制服姿がグッチャグチャだとさ。気丈なことに命乞いはしなかったそうだ。最期の言葉は「ゴメン…」だと。これは誰に言ったのかな?泣けるね~。」
「ほぉんとうさ。その写真をここで見せて絶望するお前の顔を見たかったが、まっそれは我慢するとしよう。だってなぁカシムってば結構、ダメージ見え見ぇ?」
「東京の女~もう間に合わない♪。あ~かわいそカナメちゃん。イイ娘だったのに~♪」
早晩死ぬ自分の道連れに宗介を堕落させた最大の癌…千鳥かなめの殺害を命じたと語り始める。だが嘘だと信じない宗介に立て続けに言い、果てには節をつけて歌い上げ宗介の殺意を煽る。

迷台詞

「う~ん、どっちかって言うと、コイツの嫌がる顔が見たいだけだった。何だかんだで付き合い長いしねぇ」
TSRのおまけドラマCDでの迷言。突如として陣代高校に現国教師として襲来し、無茶苦茶な問題を宗介に出題しまくった際、かなめに「ガウルンさんってホモなんですか?」と問われて、ぶっちゃけた台詞。果たして本音なのかどうなのか…。このドラマCDでの宗介とのやり取りはとにかく爆笑もので、色々と必聴である。

スパロボシリーズの名台詞

「よ~、カシム!」「踊れよ! カシム!」
対宗介。
「クククッ、やれるのか? やってみろよ、カブト・コウジくーん。ハハハハッ!」
Jの地獄城での戦いで甲児に対して。最強の魔神・カイザーを前にしても、ガウルンの自信にはいささかの揺らぎもない。
「はぁ? バカかお前。俺がやりたいからに決まってんだろうが。ハハハッ! あいにくと俺もあんまり時間が残っちゃいないんでねぇ。さぁ楽しもうぜぇ、カシムのお友達くんよぉっ!」
統夜に「なんでこんな状況で、あんたはこんなことをやってる!」と言われた際に返した台詞。後先短いガウルンにとって未来は必要なものではなく、大事な事は目の前の戦い、そして宗介との戦いだけだった。
「結構な褒め言葉をありがとうよ」
Wの第2部にてザイードが宗介の昔の知り合いであることを知りながら彼をけしかけ、その事をカズマに「まさに外道!」と言われて。
「これはお笑いだ! このお嬢ちゃんはまるで自殺願望の塊だぜ!」
Wの第2部にて、無謀にもスカイグラスパーで意気揚々と自身に挑むカガリに対して。
「へ……やっぱ、最後はコイツでケリをつけさせてもらうぜ」
「最初で最後の意気投合がまさかこんな事だとはな……来な、カシム!」
Wの第2部にて。月面ゲイツを倒した後、宗介がノイ・ヴェルターの面々を先に帰還させた後、サベージで彼の前に現れ、ボロボロの自身の身体を引き摺ってまで宗介にAS同士の一騎打ちを所望するガウルン。やはり最期は因縁の宿敵である彼の手にかかって死ぬ事を望んだのだろう…。
「楽しかったぜ、カシム…」
Wでの最期の台詞。人間味が出てきた宗介の姿を嘆き、嫌悪し、嘲笑しながら自爆して果てた原作とはかなり異なり、正統派の好敵手らしい、「敵ながら天晴れ」とも言うべき見事な散り様である。どこか彼らしかぬ安らかさを感じられる台詞である。この展開には、多くのファンも驚き、普段の意地悪さとは異なり、潔くどこか安らかさすらある彼のその最期の姿を、「綺麗なガウルン」と称するファンもいる。
「いいねぇ、その目。背負った硝煙の匂いにむせるぜ」
時獄篇にてキリコと対面して曰く。何のネタか語る必要はあるまい。

余談

  • スーパーロボット大戦64』に登場するリッシュ・グリスウェルや『機動戦士ガンダム00』に登場するアリー・アル・サーシェスはガウルンと色々と類似点が多いキャラクターである。リッシュとはそれぞれの初出演媒体作品の発売時期がほぼ同じであるなど、偶然の一致がすごい。リッシュはガウルンといくつもの共通点を持ちながらもガウルンと違って善人ということもあり、一部のファンから「綺麗なガウルン」と称されている。
  • フルメタル・パニックシリーズ』も手掛けたアニメ制作会社によるアニメ作品『らき☆すた』のとあるエピソードに、彼と宗介のカップリングの(架空の)女性向け同人誌が登場し、それを読んだ登場人物の一人がおもいっきり赤面する場面がある。尚、その回の脚本を担当したのは他ならぬフルメタの原作者である賀東氏本人である。
  • フルメタの原作者である賀東氏はスパロボファンとしても知られるが、実際にJやWをプレイした際はガウルンのあまりの極悪な強さに「俺には接待してくれ」と嘆いたらしい。