バルキリー
バルキリー(Valkyrie)とは、『マクロスシリーズ』における搭乗型戦闘用ロボット・可変戦闘機(Variable Fighter)の総称。本来はVF-1のみをさすペットネーム(愛称)であったが、便宜的にVF一般の総称として扱われるようになった。
概要
最大の特徴は「ファイター」「ガウォーク」「バトロイド」の3形態に変形できることである。
- 「ファイター」……戦闘機形態。迅速な移動やドッグファイトに用いられる形態。
- 「ガウォーク」……中間形態。姿勢制御に優れ、地上での移動ではホバーを用いる。
- 「バトロイド」……人型形態。格闘戦・白兵戦などに用いられる形態。
型式番号については、実在のアメリカ軍の航空機と同様の命名法則を基本とし、頭文字に「Variable」を表す「V」を足したものとなっている。量産機(正式採用機)は「VF」となり、他にも可変攻撃機(VA)、可変爆撃機(VB)、可変訓練機(VT)も存在する。 試作機は主に「YF」と形式番号が振られているが、これは実在のアメリカ軍の試作機と同じ形式であり、このため一部実在の機体と被っている番号もある。
また、S型はもっぱら指揮官機として運用されており、頭部レーザー砲が一般機より多い。
武装・機能
- レーザー機銃
- 主に頭部ユニットに搭載されたエネルギー火器。
- ガンポット
- 最も標準的な携行火器。当初は実体弾型のガトリングガンポッドのみであったが、後にビームガンポッドも登場。
- なお巨人(ゼントラーディ・メルトランディ)も使用できる。
- スーパーパック
- 大気圏外用ブースターを備えた宇宙戦装備。マイクロミサイルポットも増設され戦闘能力も向上しているが同時にステルス性が損なわれる欠点も持つ。後にステルス性も維持した「ファストパック」も開発されている。
- これも巨人が扱える。
- ピンポイントバリア
- 限定的にバリアを発生させる防御用兵装。
- 本来は艦載防御システムであったがVF用の装備としてもVF-11より採用されている。
- アーマードパック
- 装甲強化や重火力化を目的とした追加兵装。当初は可変能力を犠牲にしたバトロイド形態の専用装備であったが、後に変形と両立させた改良型も開発されている。
- 格闘用兵装
- 当初近接戦闘用の装備は存在せず、ガンポッドの砲身で殴りつけるといった戦法が非常時に用いられる程度であった。
- その後、ガンポッド装着型の銃剣やアサルトナイフなどといった近接戦闘用兵装が登場している。
- また『プラス』以降はピンポイントバリアを拳に覆わせた「ピンポイントバリアパンチ」として使用する機種も存在する。
スーパーロボット大戦における特徴
自軍トップクラスの運動性を持つ反面、HPと装甲は脆い傾向にある。参戦してしばらくはSサイズというのもあり、回避力はかなり高い。主な攻撃手段は実弾系射撃武器。ホーミングミサイルや反応弾のアニメーション描写は、いわゆる「板野サーカス」要素を大いに盛り込まれたものになっている。一部の機体はピンポイントバリアパンチ等の格闘武器や歌を主力とする。
また3種形態にもそれぞれ特徴があり、移動力のファイター、万能性のバトロイド、運動性のガウォークとなっているが、ガウォークに変形可能なことは少なく、戦闘アニメーションでのみ再現される事が多い。『スーパーロボット大戦Operation Extend』ではバトロイド形態に地上限定で移動力にボーナスがつく特殊能力として、マップ上でも移動中にガウォーク形態を見ることが出来る。
また、『Zシリーズ』や『OE』、『BX』などバルキリーより小さい機体(AT、KMF、SPT、リュー、エステバリスなど)が参戦している作品ではMサイズとなっている。
SRW登場の機体
試作機・実験機
- VF-0 フェニックス
- VF-1以前の機体のため、公式にはバルキリーとは呼ばれていない。
- YF-19
- AVF候補として開発された新型試作機の一つ。前進翼を備え、殺人的な運動性を持つ。
- 後に主力機として制式採用され、VF-19 エクスカリバーが開発される。
- YF-21
- AVF候補として開発された新型試作機の一つ。BDIによる脳波を用いた特殊な操縦システムが搭載されている。
- AVFには落選するも特殊作戦機VF-22S シュツルムボーゲルIIとして別途採用された。
- YF-25 プロフェシー
- YF-24のデータを元に開発された試作型。EXギアというパワードスーツや新型慣性制御システムによってAVF以上の性能を実現した。
- 後に制式採用され、VF-25 メサイアが開発される。
- YF-29 デュランダル
- フォールドウェーブシステムを機体の4か所に搭載することで、他を圧倒する性能を得た試作機。
- YF-30 クロノス
- 惑星ウロボロスで開発されたYF-24系列の試作機。クリップドデルタ翼と大型ウェポンコンテナが特徴的。
- 後にこの機体をベースとして開発されたVF-31 カイロスが正式採用された。
戦闘機
- VF-1 バルキリー
- 制式採用された初めての可変戦闘機でバルキリーの呼称の元にもなった。
- VF-1A バルキリー
- 一般兵仕様。
- VF-1S バルキリー
- 指揮官仕様。
- VT-1 オストリッチ
- 複座型の訓練機。
- VF-11 サンダーボルト
- 2030年より統合軍が主力として制式採用した可変戦闘機。従来の機体を一気に退役へと追い込んだ名機。
- VF-11B サンダーボルト
- 本格的な量産機。
- VF-11C サンダーボルト
- B型の改良型。
- VF-11MAXL改
- 改良機であるVF-11MAXLをサウンドフォース仕様に再改修した機体。
- VF-17 ナイトメア
- ステルス性能と剛性を重視した特殊戦用の可変戦闘機。
- VF-17D ナイトメア
- 一般兵仕様。
- VF-17S ナイトメア
- 指揮官仕様。
- VF-17T改 ナイトメア
- サウンドフォース仕様。
- VF-171 ナイトメアプラス
- ゴースト運用が進んだ結果、必要性能の基準が下がったことで、コストの高いVF-19に代わって統合軍主力機となった。
- VF-19 エクスカリバー
- YF-19の制式採用型。初期型のA型はYF-19譲りの運動性と操縦の難しさを持つ。
- VF-19F エクスカリバー
- 一般兵仕様。一般兵向けに性能を落とし安定性を向上させた。
- VF-19S エクスカリバー
- 指揮官仕様。F型をベースに性能を向上させた。
- VF-19改 ファイアーバルキリー
- サウンドフォース仕様。
- VF-19E エクスカリバー (アイシャ機)
- 最終型のVF-19EをS.M.S.ウロボロス支部の支社長アイシャ・ブランシェットが支社長特権を使って自分好みにカスタマイズしたスペシャル仕様。
- VF-19EF/A イサム・スペシャル
- イサム・ダイソン専用機。E型のモンキーモデルであるEF型に大幅なチューンを施し、YF-19に近い性能・外見にしたもの。
- VF-22 シュツルムボーゲルII
- YF-21の制式採用型。操縦システムを通常型に変更した機体。
- VF-22S シュツルムボーゲルII
- 指揮官仕様。
- VF-25 メサイア
- YF-25 プロフェシーの制式採用型。
- RVF-25 メサイア
- 電子戦仕様。
- VF-27 ルシファー
- サイボーグ専用の機体とすることでVF-25を更に上回る機動性を得た。非公認の機種のため、統合軍内部ではYF-27として扱われている。
- VF-27β ルシファー
- 一般兵仕様。
- VF-27γ ルシファー
- 高性能のスペシャル仕様。
- VF-31 ジークフリード
- YF-30 クロノスをベースにして開発されたVF-31 カイロスのΔ小隊仕様。
- VF-31J ジークフリード
- 制宙支援仕様。
- VF-31C ジークフリード
- 戦術支援仕様。
爆撃機
- VB-6 ケーニッヒモンスター
- 初登場は『マクロス VF-X2』(SRW未参戦)。デストロイド・モンスターをベースに可変機構を追加した可変爆撃機。
バロータ軍の可変戦闘機
- Fz-109A エルガーゾルン
- VF-14 ヴァンパイアをベースとした可変戦闘機。一般兵仕様。
- Fz-109F エルガーゾルン
- VF-14 ヴァンパイアをベースとした可変戦闘機。指揮官仕様。
- Az-130A パンツァーゾルン
- VA-14 ハンターをベースとした可変攻撃機。
- FBz-99G ザウバーゲラン
- VAB-2をベースとした可変戦闘爆撃機。
SRW未登場の機体
- VF-14 ヴァンパイア
- 『マクロス7』に登場するFz-109A エルガーゾルン、Fz-109F エルガーゾルンのベースとなった機体。
- VA-14 ハンター
- 『マクロス7』に登場するAz-130A パンツァーゾルンのベースとなった機体。
- VAB-2
- 『マクロス7』に登場するFBz-99G ザウバーゲランのベースとなったとされる可変攻撃爆撃機。
- YF-24 エヴォリューション
- YF-19、YF-21を超える機体として設計された新型試作機。イサム・ダイソンがテストパイロットを担当。
- 後にデータが各移民船団に提供されて、YF-25 プロフェシー、YF-27 シャヘル、YF-29 デュランダル、YF-30 クロノスの開発母体となった。
- VF-31 カイロス
- 『マクロスΔ』に登場。『マクロス30 銀河を繋ぐ歌声』に登場するYF-30 クロノスの正式量産型。
余談
- TV版『超時空要塞マクロス』第27話には、後番組である『超時空世紀オーガス』の主役機であるオーガスとVF-1が混ざったような機体が一瞬だけ登場する。
- この機体は「オーガスバルキリー」と視聴者の間で呼ばれ、実際に両作のプラモキットを改造して制作した人もいる。
- 歴代バルキリーの中で、型式番号の数字下一桁が“9”の機体(VF-9、YF-19系列、YF-29)は、いずれも前進翼を備え、刀剣類に由来するペットネームを持つ。
- 放映当時は有井製作所、今井科学、タカトクトイスが商品展開をしていた。その後は全てバンダイが金型を引き取って復刻・再販している。プラモデルについては同じくバンダイ、これに加えてハセガワとWAVE(ウェーブ)が中心となって商品展開している。
- 可変玩具については主にやまと、アルカディアが主力商品として開発・発売していたが、やまとの方は公式サイトが閉鎖されており倒産が疑われている。バンダイも「DX超合金」「VF HI-METAL[1]」の2つのシリーズで参入している。
- カプコンのロボット格闘ゲーム『超鋼戦紀キカイオー』には、バルキリーに似たマシン「ラファーガ」が登場するが、これはメカデザインがスタジオぬえが担当したことによるセルフパロディである。
- 名前の由来は、北欧神話に登場する女神・ワルキューレの英語読み。
- 現代においてワルキューレ、あるいはバルキリー(ヴァルキリー)という名前のキャラクターの多くには「頭部に羽根飾りが付いている」のがお約束となっているが、実は『マクロス』のバルキリーも、頭部側面のレーザー機銃が羽根飾りをイメージして付けられたものである。ちなみにこの羽根飾りの由来は19世紀にドイツで上演されたオペラ作品『ニーベルングの指環』が発祥[2]であり、そこから現代に至るまで「ワルキューレ=羽根飾り」のイメージは万国共通となっている。
脚注
|