後藤喜一

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後藤喜一
読み ごとう きいち
外国語表記 Kiichi Goto
登場作品
声優 大林隆介
デザイン ゆうきまさみ(原案)
高田明美(アニメ版)
初登場SRW スーパーロボット大戦Operation Extend
SRWでの分類 NPC
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プロフィール
種族 地球人(日本人)
性別
出身 東京都
所属組織

警視庁

所属部隊 第二小隊
役職 隊長
警察階級 警部補
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後藤喜一は『機動警察パトレイバー』の登場人物。

概要

特車二課第二小隊隊長で、階級は警部補。

交番のおまわりさんからスタートして公安部に所属した経歴を持つ「カミソリ後藤」「本庁でも有名な悪(ワル)[1]とも呼ばれた凄腕警官だったが、あまりにも切れ過ぎた為に特車二課に「島流し」になってしまう。当時の人脈は特車二課に移っても生きており、様々な場面で活用する。

普段は飄々とした昼行灯を決め込んでおり、現場の指揮は部下(遊馬、香貫花、熊耳あたり)に一任しているが、適当でいい加減なような態度でも、確かな人物観察力と的確な指導ぶりから、部下に対する威厳が皆無にもかかわらず、彼らからは信頼を寄せられている。いざという時は即決即断したり、上司を脅したり責任問題をチラつかせて黙認を取り付けるなどの策士ぶりを見せる。緊迫した場面では内面の切れ者ぶりを匂わせる凛々しい表情や険しい表情、普段とは違う真面目な言葉遣いをすることもあるが、すぐに余裕を取り戻してしまうためあまり長くは持たない。

部下の自主性を引き出すことにたけているが、一方で人使いもかなり荒く、遊馬の好奇心や旧知の松井刑事の人の良さにつけ込んで事件の捜査に当たらせる事も多い。また、彼の悪知恵の犠牲者も多く、恨みを買う事も多々ある。

登場作品と役柄

単独作品

スーパーロボット大戦Operation Extend
初登場作品。
スーパーロボット大戦X-Ω
2018年11月のイベント「二課とソリスの長い一日」にて期間限定参戦。SSRサポートユニットとして登場。

ステータス

サポートアビリティ

特車二課第2小隊隊長
戦艦搭載中、味方全体の命中率アップ。

人間関係

南雲しのぶ
同僚。劇場版2でのみ好意を持っていることが語られているが、友人以上恋人未満といった関係となっている。それ以外の作品では単なる同僚関係に留まる。
泉野明
部下。未熟な彼女を諭す場面も多い。
篠原遊馬
太田功
山崎ひろみ
進士幹泰
斯波繁男
部下。
香貫花・クランシー
彼女からは「昼行灯」と呼ばれている。
榊清太郎
人生の先輩として尊敬している。
内海
彼の素性がよくわかっていない時期から、行動からプロファイリングして「子供のような男」「愉快犯」と評した。
熊耳武緒
部下。幽霊が苦手な彼女をからかった事も。漫画版で彼女が内海たちに拉致された際、証拠として送られてきたブラジャーをつまんで匂いを嗅いだこともある(その場にいた野明、南雲、福島はその姿を見て引いていた)。
祖父江守
『アーリーデイズ』での特車二課課長だが、存在感は薄い。テレビ版では後藤の悪知恵の被害者で、自作のレイバーで復讐しようとした。
福島隆浩
劇場版以降の特車二課課長。神経質で後藤の悪知恵に振り回される事もあるが、後藤の切れ者ぶりも理解して上手く使っているなど関係は概ね良好。
海法
警視庁警備部部長。後藤の悪巧みに辟易しつつも、時には保身に利用する事もある。
松井孝弘
警視庁捜査課の刑事で、階級は警部補。後藤に関わったのが運の尽き(?)で、彼にこき使われる羽目に。
甲斐冽輝
『アーリーデイズ』第5話~第6話の事件の首謀者で、自衛隊出身。後藤とは学生時代に交流があった。
荒川茂樹
劇場版2で後藤に事件の調査を依頼してきた人物。陸上自衛隊幕僚調査部第二課別室所属と自称している。
後藤真帆子
『アーリーデイズ』第4話に登場する後藤の姪っ子。とある「作戦」のユニットとして後藤に協力する。
土居垣
TV版第24話に登場する成田空港の管制官チーフ。後藤とは旧知の仲で、なし崩し的に協力することになる。
クリシュナ・アマルナート
PSソフト『機動警察パトレイバー ~ゲームエディション~』に登場するアメリカ軍の技術士官で、この作品の黒幕。
レイバーを無人で動かすプログラムを開発し、数多くの事件を引き起こした。第二小隊に拘束されてからはアドバイザーとして協力する。同じ悪党故か、後藤とは馬が合っていた。
後藤田継次
実写版に登場する後藤の後輩の警察官。後藤の後を継いで第二小隊隊長に赴任。後藤と並ぶ切れ者ではあるが、後藤は「最後の一言が余計な奴」と常々苦言を呈していた模様。

名(迷)台詞

「みんなで幸せになろうよ」
ゆうきまさみ氏の漫画版でもアニメ版でも後藤を象徴する台詞として使われた、正に名台詞。元ネタは仲代達矢氏(後藤のキャラクターモデル)が映画『熱海殺人事件』で演じた二階堂伝兵衛刑事の台詞。
漫画版では設立したばかりの特車二課の活躍を印象づけるため、第一小隊の暴走レイバー逮捕が失敗に終わるのをあえて見送るというシーンで発しており、何とも悪そうな表情とオーラを醸し出している

OVA・TV版 

「果たさにゃならん、常日頃は、高い弾を消費せず、実射訓練を可能な限り避け、一朝事あらば一撃必中…日本の兵隊とお巡りさんはそういうことになっとんの」
『アーリーデイズ』第1話より。98式が到着するまでの間、暇を持て余している第二小隊の面々の中で、太田はリボルバーカノンの射撃訓練をしようと整備員を経て後藤に射撃訓練の許可をもらおうとするも後藤は乗り気ではない。
リボルバーカノンを撃てるのは日本では富士にある射撃場だけで、冬までは自衛隊のスケジュールで一杯である事、弾丸の支給を受けるには申請書が必要で、提出後一ヶ月はかかり審査も厳格で、年に一度の訓練時以外はまず通らない事を伝えると、太田はそんな現状に対して「そんなことではっ!! いざという時に任務を果たせませーん!!」と怒鳴るが、それに対して後藤は日本の兵隊とお巡りさんの実情を伝えた時の台詞がこれ。アメリカに比べて銃に関する規制が厳しい日本の現状を表した言葉である。
だが、トリガーハッピーな太田がこの言葉で納得するはずもなく、「俺に銃を撃たせろぉおおおおおっ!!」という太田の決まり文句な雄叫びを挙げながら進士によって隊長室から連れ出されてしまう。
ちなみに実写版第2話において、後藤の後輩の後藤田が大田原に対して同様の台詞を呟いていた。
後藤「(ぼそっと)欲しい?」
南雲「え?」
後藤「あの新型機、欲しい?」
南雲「…欲しいわ」
後藤「…あげない」
『アーリーデイズ』第1話より。第二小隊に搬入された98式を前に「上の考えることはわからないわ。なんでうち(第一小隊)じゃないのかしら」という南雲に。最後の一言だけ、念押しするように言う。
TV版でも香貫花着任時に同様のやりとりがあり、その際南雲は「どうせくれないんでしょ?」と応答している。第46話「その名はゼロ」においては南雲に「(第一小隊に導入されたAV-0が)欲しい?」と、OVA版の意趣返しとばかりに問われ、後藤は「いらない」と即答していた。
「公務員だぞ、地方公務員。お前達が乗車しているのはグレートマジンガーか? ダンガイオーか? 自閉症児不良少年が主人公のロボットアニメじゃないんだよ。分かっとるのか? 本当に」
『アーリーディズ』第4話より。人質を取って籠城した犯人グループの居るビルに、しびれを切らした太田が突撃した挙句リボルバーカノンを発砲。
幸い空砲だったため大惨事は免れたものの、常日頃の第二小隊の破壊活動もあって見かねた後藤はいつもの調子ながらも𠮟りつける。もっとも、その説教に誰も耳を貸さなかったために、後藤はこの後第二小隊のメンバーにしのぶ達と共に壮大なドッキリを仕掛ける事になるのだが。
それにしてもグレートマジンガーはともかく、OVA作品のダンガイオーがポンと出てくるとは、後藤隊長はよく知っていた(メタフィクション的にはアーリーデイズと同時期のリリース作品である)ものである。
後藤「あー、あー、篭城中の犯人に告ぐ。聞こえるかー」「この銭湯は完全に包囲されている。速やかに人質を解放し、レイバーを停止させて降りてきなさい」
犯人「来るなー。近寄ると、この親父握り潰すぞー!」
後藤「やめなさいって。女なんか広い世間に一杯いるじゃないの」
犯人「うるせー! てめぇなんかに、俺の気持ちが分かってたまるか。俺には、俺にはあいつしか…」
後藤「みんなそう思うの。振られた時は特に、あいつしかいないって。俺にはあいつだけだったって。あいつと一緒になれない世の中なんか、ぶち壊して死んでやるって」
「そういう自分を見れば、きっとあいつも俺って男を振った事を悔やむだろうって」
「でも、それは間違いなわけ。そういう事は全然無いわけ」
「馬鹿な男の馬鹿な死が、三面記事を飾り立て、世間の物笑いの種になる頃、女は別の男と引っ付いて子供コロコロ産んじゃって、自転車に乗っけて買い物なんか行ったりして塾なんか行かせたりして、それで世の中、収まったりするわけ」
「馬鹿馬鹿しいと思うだろ?」
犯人「う…そりゃあ、まぁ…」
後藤「だったら、もうやめようよ」
犯人「何なんだよ! それで、説得しているつもりかよ! 帰れよ。俺と対決する気がないんだったら、帰れー」
後藤「だからさぁ」
犯人「だからさぁじゃねーだろ! さっさと帰れよ。それとも、あんたが誰かを紹介してくれるのかよ」
後藤「警察はそういうことはしない!」
TV版第14話『あんたの勝ち!』の冒頭で交わされた、後藤と暴れレイバーのパイロットとの漫才(?)。説得する気が有るのか無いのか良く分からない、やり取りである。
余談だが、暴れレイバーのパイロットを演じているのは『超時空要塞マクロス』の主人公一条輝役で知られる長谷有洋氏である。
なお、実写版第1話において、後藤の後輩の後藤田が、台詞はやや異なるものの、ほぼ同じシチュエーションで犯人とやり取りするシーンがある。
後藤「よーし、もういい! そこらへんでやめておきなさい…」
野明・香貫花「でも隊長!!」
後藤「いいから!! 各自デスクに戻ってこれを書いてろ! 今日中に提出だよ? わかったぁ?」
同上。事件後の野明香貫花との口論を諫めた時の隊長室でのやり取り。
この事件の前、第二小隊の男性陣は(警備部は全部隊参加が建前という)警視総監杯争奪警視庁柔道大会に参加、第一回戦にて第二小隊は第四機動隊B中隊と対戦、後藤と斉藤との対戦途中で第一小隊より応援要請があり現場へ急行するも、先鋒の斉藤との対戦時に遊馬が咽を痛めて声が出せず1号機指揮不能、太田が足首を捻挫して2号機搭乗不能という有様に…。
やむなく後藤は香貫花に野明の1号機を指揮するよう指示するが、両者の関係は良好とはいえず、香貫花の発砲指示を無視して野明は電磁警棒で犯人レイバーを挑発するも、犯人レイバーは銭湯の煙突を持ち上げて武器代わりにしようとするが、煙突の重さに耐えられず倒れ、銭湯は大破…事件収束後、野明と香貫花は隊長室にて口論となってしまう。後藤は始末書を用意して二人に書かせてその場を諫めるが、人間関係が複雑という第二小隊の最大の弱点が露呈してしまう。この問題を解決するため後藤は隊員たちの親睦を深めるための飲み会を企画する事になる。
「宿題、明日の朝までにやっておくように」
太田・香貫花・ひろみ「失礼します」
TV版第15話「歌を唄ったクジラ」より。この回にて東京湾にザトウクジラが現れる。海上保安庁等、各庁は対応に追われ、特車二課第二小隊は、ザトウクジラを一目見ようと詰めかけた一般人の交通整理の任務に就くが、そんな最中太田功2号機が一般客にヤジを飛ばされるという事態が発生。太田は「相手は納税者」という言葉を繰り返して怒りを鎮めようとするが、マルクス号と書かれた過激派のボートに挑発され、太田の怒りは頂点に達してしまう。
香貫花ひろみが必死に太田を説得するが、太田はリボルバーカノンを過激派のボートに発射、過激派は無事だったがボートは沈んでしまう。ようやく我に返った太田だが時すでに遅し…特車二課に戻った太田、香貫花、ひろみの3名は隊長室に呼ばれ、後藤にそれぞれの顔に始末書を貼り付けられ、上記の台詞を呟き、太田、香貫花、ひろみは敬礼して隊長室を去る。「〜ゲームエディション〜」にも同様のシチュエーションが存在する。
南雲「でもあの時一人で矢面に立ったのは見直したわ…?」
後藤「ああ、あれ?あの時榊さんが「あのレイバーは使い物にならない」って、即座に言ったからね…」
南雲「それが…分かってたから…?」
後藤「まあね…?」
南雲「呆れた…なんて言うかしらねぇ?感激屋のおたくらの隊員は…」
後藤「さぁねぇ~?」
野明・遊馬・ひろみ・太田・香貫花・進士「ずるっけぇー!!」
TV版第17話「目標は後藤隊長」のクライマックスより。この話において元特車二課課長、祖父江守は第二小隊の度重なる失態の責任を負わされる形で辞職(実際には免職)の憂き目に遭っており、その事で第二小隊隊長である後藤に対して強い恨みを抱いており、後藤及び第二小隊に嫌がらせを仕掛ける。時折しも、第二小隊の勤務評定が近付いており、不祥事を起こさせれば第二小隊は責任を負わされる事が確実であったが、後藤は一連の嫌がらせで現場付近で見かけた挙動不審者が、実は祖父江の息子であることを見抜いており、この事実を以って減俸、降格等の御咎めは無し、という状況へ持ち込んだが、その事実を知った祖父江は怒りの余り、辞職後に整備工場で密かに製造したレイバーXで特車二課に殴り込む。その際後藤は周囲の心配をよそに丸腰でレイバーXの前に立ちはだかるがレイバーXは動く度に各所が壊れ始め、最後は転倒してしまう。この一件で後藤は南雲をはじめ特車二課のメンバーから尊敬を一身に集める…と思いきや、実は後藤はから事前にレイバーXはスクラップ同然で自然崩壊する事を聞かされていたのだった。その事を知った南雲は呆れてしまい、隊長室の扉の前で盗み聞きしていた第二小隊の隊員全員も後藤に対して軽蔑の言葉を一斉に呟くのであった…漫画版では
「おれあんなに尊敬されたことないなぁ…」
と後藤が心の中でぼやく場面があるが、このような行動を取っていれば隊員たちから尊敬されるはずもない。
「もう少しもらっとくんだったなぁ…?」
TV版第23話『香貫花レポート』より。香貫花・クランシーのマンションにて爆弾テロが発生したという電話連絡を受けた後藤が、自分のデスクの引き出しから始末書を取り出した時の台詞。この電話連絡を受けた時点で爆弾テロの犯人の正体が第二小隊の面々である事に気付いており、いつもの通りかのように始末書を用意していた。
以上のように、特車二課、とりわけ不祥事が日常茶飯事な第二小隊では始末書は御用達の装備とも言え、以後の話でも後藤が始末書に印鑑を捺印する場面があるなど、始末書が度々登場する場面がある。

漫画版 

「助言はしてやれ。手助けはするな」
要所要所で部下に対する適切なセリフには事欠かないが、物語早々に登場した名言。
イングラムの納入早々出動しなければならなくなった第2小隊。初期設定に悪戦苦闘する野明を見かねた遊馬が、後藤に自分がやることを提案すると、「赤ん坊(イングラム)の面倒は泉が見なきゃ意味がないだろう」といった後に続けて。
「信じられますか? 今度のやつは空飛んで逃げたんですよ」
漫画版で『黒いレイバー』との初戦後、大破したイングラム2号機修理中に榊班長との会話の中で。実質的に土木用重機の延長線上にある機械であるレイバー飛行するというのは前代未聞であり、榊班長も「太田のやつぁ、『ひこうき』と格闘してあんなにされてきたのか」と、呆れたような感想をこぼしている。
「特車二課の機体にHOSを載せたら無敵じゃないですか」
漫画版の篠原HOS搭載の作業用レイバー捕縛に手こずった事をTV局スタッフにインタビューされて。実際のHOSにはそんな高性能は無いが「グリフォン」の一連の事件がデモンストレーションと予想した後藤は、この台詞で「ソフト面ではこっちが新型だ」と事実上の挑戦状を叩きつけている。
「課長。自分の部下は三度も同じ相手にコケにされるほどボンクラぞろいじゃありません!」
上記の台詞の後、福島課長の前で。「やり方によっては(グリフォン事件の一党を)引きずり出せる」という後藤の発言意図を理解しつつ、懸念と心配を隠せない課長に断言。後藤を「理想の中間管理職」と評する一つの例としてよく挙げられる。
「警察ってのはカゼ薬みたいなもんでな、症状が出てから使われる場合がほとんどだ。症状に合わせて解熱剤やせき止めを投与するわけだが、そんときゃもうカゼはひいちゃってるわけよ。ここで「あのとき無理をしなければ」とかいってそれまでの生活を悔いても仕方ないでしょう。」
「しかし現実に事件は起こる。そうなりゃ出番だ。熱が出たら解熱剤を、せきにはせき止めを投与するように、おれたちも症状に合わせて投入される。与えられた仕事をたんたんとこなしているうちになんとか社会が常態をとりもどす。それが警察のあるべき姿なのさ。わかるか泉? おれたちの仕事は本質的にいつも手おくれなんだ。こいつは覚悟がいるぞ。」
漫画版第18話より。人身売買の被害者と思しき子供の手がかりを見つけたが、特定まで出来ず、組織も動かせない事に憤る野明に対して「怒るのは勝手だが、子供の運命を背負って専従で捜査にあたる警察官達の気持ちも考えることだ」「健康体に風邪薬をぶちこまないのと同じで、警察が怪しいからと人々を見張りだしたら、社会のために良くない」と諭す時に言う。
ゆうきまさみ氏によって描かれた後藤が、あくまでも「社会人としての警察官」であって「正義の味方」ではない事を象徴する台詞。
「こういうときは『警察には知らせるな』って一言いうべきだよ」
漫画版の終盤、熊耳を誘拐した内海と電話でやり取りしたときの台詞。この言葉に内海は爆笑し、後藤を「自分と同じ悪党」と評した。
「泉が銃を使わないのは正解かもしれんなあ。命中率が悪すぎるわ」
「今までコクピットに当たっちゃった事ないだろ、あの腕前で」
野明がイングラムの射撃訓練で全弾を的に当てただけで喜んでいる傍での言葉。聞いていた遊馬は「太田は外してばかりじゃないですか」と反論するが彼は「動いている相手のコクピットに当てない」など厳しい条件下で撃っていたため下手に見えていたのであり、直後の射撃訓練では全弾を標的中央に命中させ、野明と遊馬を唖然とさせた。
「あいつ香水なんてつけていたのか。香水の匂いなんて…」
内海から彼の一味に拘束された熊耳の物とされるブラジャーが届けられ、そのブラジャーから熊耳の香水の匂いがすると野明から聞かされ、ブラジャーをつまんで匂いを嗅いでいる時の台詞。
途中で途切れているのはその様子を見ていた野明、南雲、福嶋の自分に対する引いた視線に気付いたからである(しかし平然としている)。

劇場版 

「奴はそんなロマンチックな男じゃないよ。警察なんざ、端から相手にしてはいない」
「自分のプログラムに絶大な自信を持っていたのさ。そうでなけりゃあ、結果を見定めずに死んだりはしない」
「おそらくあいつは、俺たち…いや、この街に住む全ての人間を嘲笑しながら、飛び降りたに違いないよ」
劇場版1より。事件の首謀者である帆場英一を評して。押井守監督による、後藤がどのような人物なのかを垣間見せる名シーンである。
「それじゃあ、このお返しはいずれ。精神的に。」
「やだなぁ、必ずお返ししますって。精神的に。」
同上。松井をこき使う時の定番台詞。松井にとっては、後藤と縁を切る事が一番の精神的解放になるんだが。
「特車二課、第2小隊最後の出撃だ。存分にやれ」
劇場版2より。この言葉と共に第2小隊を柘植の元に送り込む。
「まともでない役人には、2種類の人間しかいないんだ。悪党か、正義の味方だ」
「俺がここにいるのは俺が警察官だからだが、あんた、どうして柘植の隣に居ないんだ?」
同上。荒川を拘束した時に掛けた言葉。押井節全開である。
「…戦線から遠のくと楽観主義が現実に取って代わる。そして最高意思決定の段階では現実なるものはしばしば存在しない、戦争に負けている時は特にそうだ…」
役人「何の話だ、少なくともまだ戦争なぞ始まっておらん」
「始まってますよ、とっくに…気づくのが遅すぎた…柘植がこの国に帰ってくる前 いや、そのはるか以前から戦争は始まっていたんだ…。突然ですが、あなた方には愛想が尽き果てました! 自分も南雲警部と行動を共に致します!」
役人「後藤君、君はもう少し利口な男だと思っていたがな…」
役人「二人とも連れて行け!」
役人「報告! たった今自衛隊ヘリの爆撃により東京湾横断橋が!」
だから! 遅すぎたと言っているんだ!!
同上。未だテロを楽観視する役人達に対して、既に戦争は始まっている事を語り、愛想が尽きたと発言。直後、自衛隊機の爆撃が始まったと報告が入った事で激昂する。
後藤の普段の昼行燈な雰囲気が全く見られない非常に珍しいシーンであり、大林隆介氏の熱演も光る。必見。
余談だが、一行目は『パトレイバーシリーズ』の中でも有名な台詞の一つで、かつて太平洋戦争において苦しい戦線の現実から目をそらし続けた結果、敗戦を招いてしまった当時の日本の指導者層の件を踏まえた台詞とも解釈できる。

番外編 

「あらゆる武器がこれを操る者の身体の外延を成すとするならば、激烈な化学反応によって毎秒800メートルを超える速度を獲得した弾丸とは、速度と慣性質量の合成エネルギーと化して他者に撃ち込まれる意思に他ならない。その意味で、断固たる意思の表象たる鉄拳を発射し、これをロケットパンチと呼称したかのロボットアニメ、直喩的表現においてまさに正鵠を射ていたと言っても過言ではない。」
劇場版3公開時に制作されたミニアニメ「ミニパト」第一弾「吠えろリボルバーカノン」における冒頭陳述。
この押井節全開の長台詞が終わると画面は唐突に非常に見慣れたアレ風のロボットが実際に断固たる意思の表象を発射するシーンに差し替えられ、次のカットで何事もなく後藤の釣り風景にすり替わる。硬派で堅実なイメージの押井守監督だが、時折その性格を逆手に取った至極くだらない(褒め言葉)演出もする。シリアスとギャグのギャップを全く感じさせない後藤隊長の真髄が垣間見える台詞である。

余談

  • 名前の由来は元警察官僚で官房長官も務めた後藤田正晴と元首相の宮沢喜一から取られている。後藤田も「カミソリ」と呼ばれていたが、後藤の場合は「切れ者と言ったらカミソリ」という理由で付けられたもの。
    • 『パトレイバー』本編の十数年後を描いた実写作品『THE NEXT GENERATION -PATLABOR-』の特車二課隊長の名前は「後藤田継次」となっていて、逆に元々の元ネタに近くなっている。
  • OVA『ミニパト』によれば、特車二課の予算不足解消の為にハゼの干物の通販事業を展開して、独自の財源を確保したらしい。無論、違法行為である。
  • 後に今野敏氏の小説『夕暴雨 東京湾臨海署安積班』に名前だけ登場(同作の主人公とは同期・同階級という設定)。舞台が同じお台場付近という繋がりからパトレイバー製作者の一人押井守監督とコラボしたものと思われる。
    • その後、押井監督がパトレイバーの世界を舞台に書いた小説『番狂わせ 警視庁警備部特殊車輛二課』(後に発表された『THE NEXT GENERATION -PATLABOR-』とは隊長の姓が「後藤田」という共通点がある)には、逆に『夕暴雨』の主人公が登場する。
  • 押井守監督のお気に入りのキャラクターで、劇場版では後藤喜一が事実上の主役としての描かれ方をしている。押井監督はアニメ版の後藤について、内面のモデルは「(押井監督と親交があり押井作品にも度々出演する)スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー」と述べている。
  • ゼブリーズ・フルシュワのキャラクターは、後藤がモデルとなっている。ちなみに、初登場時は中の人も同じ。
    • さすがに元ネタ通りすぎてまずかったのか、OGシリーズではチョー氏に声が変更されている。

脚注

  1. なお押井守監督の関わった諸作品では劇場版以降このキーフレーズが多用される一方、ゆうきまさみ氏による漫画版では、有能だが普段は昼行燈を決め込んでいるという人物像自体は共通でも、公安時代に本当に「ワル」だったのかは描かれていない。