アストラナガン

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アストラナガン(Astranagant)


イングラムが、ゼ・バルマリィ帝国地球ラ・ギアスバイストン・ウェルの技術を結集して作り上げた究極の機動兵器。地球側の識別コードはAGX-15「ブラック・エンジェル[1]

主動力源は量子波動エンジン、装甲材質はズフィルード・クリスタルが使われ、更には平行世界からエネルギーを取り出せるティプラー・シリンダーと呼ばれる特殊機関も搭載しており、その力で空間移動、平行世界への転移、タイムトラベルまでもが可能(これらが可能なことからクロスゲート・パラダイム・システムも組み込まれていると思われる。[2])。兎にも角にも、謎の多い機体である事は確かである。

α終盤、マサキがグランゾンかアストナガンが1機で旗艦ヘルモーズを倒したかもしれないと言い出すのだが、実際、シュウ・シラカワの協力の下でティプラー・シリンダーによってコンペイ島宙域にクロスゲートを作り出し、ラオデキヤやユーゼスやイングラム自身も乗る帝国監察軍第7艦隊旗艦ヘルモーズを閉鎖空間に送り込んで無力化している(最初からやらなかったのはクロスゲートを開くには様々な条件が重なる必要があったため)。

目的はともかく、結果として似たような性能を持つグランゾンを凌ぐ能力(αのロボット図鑑によると唯一互角以上)を有す。またα外伝でシュウがα時点のグランゾンでは単機でvsイングラム(アストラナガン)やvsユーゼス(黒ジュデッカ)は困難だった事を語っている。ちなみに、このように比較して言及されたグランゾンや黒ジュデッカの両機については、ユーゼス曰く、アストラナガンと「真の力を発揮したグランゾン」(おそらくグランゾンのままではなくネオ・グランゾンであろう)が戦えば宇宙が消滅するという。

イングラム亡き後も、霊帝ルアフへの反逆を志すシヴァー・ゴッツォにとって特別な存在らしく、第3次αではベルグバウを利用して復活が試みられた。またクロスゲート・パラダイム・システム完成を志すOG世界のユーゼスににとっても特別な存在なようで、第2次OGでデッドコピー機を開発している。

ちなみに、「アストラナガン」の名前はスペインの銃器メーカー「アストラ」とソビエト(ロシア)の銃器メーカー「モシン・ナガン」の名前を組み合わせたもの。

OGシリーズにおいてエアロゲイターに復帰したイングラムはR-GUNリヴァーレに搭乗するため、現在のところ『ディバインウォーズ』を除いてOGシリーズには登場していない機体。その理由について公式に言及されたことはないが、「あらゆる平行世界の中で一機しか存在しない」、「オリジナルの(SHO世界の)意識を宿したイングラムにしか呼び出せない」といった諸説があるが、現時点では俗説・予想の範疇を出ない。少なくとも近年の描写を見る限り、後者に関しては否定されつつある。前者に関してはディス・アストラナガンの存在もあるため、一応の説得力はある。OGのもとになったドラマCDでは、「リュウセイ達が見てすぐにイングラムだとわかるように」との理由でリヴァーレが採用された経緯があり、これをそのまま引き継いでいるためだと思われる。 スパロボ的な可能性としてはα世界とOG世界の技術力の差が挙げられる。そもそもアストラナガンは地球のテクノロジーや高性能機のデータをバルマーの技術でブラッシュアップして造られた機体なのだが、OGではそれが可能な状況がエアロゲイター側になく(技術自体は人間の改造が主で、機体は元々あるものや捕獲機を使用)、地球側の技術もL5戦役当時は試作機・旧式の改造機がほとんどだったため、開発の参考にするようなデータはなかったと思われる。そもそもイングラムの行動原理が違い、アストラナガン開発の動機自体も存在しない。イングラムいわくアストラナガンは、繰り返される死と再生(正の無限力)とまつろわぬ霊達(負の無限力)の狭間に立つ因果律の番人である。これに関しては本人の項に詳しい。

登場作品と操縦者

αシリーズ

スーパーロボット大戦α
初登場作品にして、現状ではリメイクのドリキャス版を除けば、実質唯一ユニットとして出てきている作品。イングラム・プリスケン専用。最終話以外は撤退してくれるが、少ないターン数ながらも倒せるチャンスはある。適当に相手をしていれば問題ないが、最終話では特定の説得フラグを満たしていないと真っ向から戦う羽目になる。無視しても耐えられるなら問題ないが、そうでない場合は悲惨な結果に。逆に、説得フラグを満たしている場合は味方となり、HP40000という、スパロボに登場する人型兵器では高い方のHPをもつ自軍ユニットとなる。ちなみに、スポット込みでこれを超えるのはMXの真聖ラーゼフォンと第3次αのナシム・ガンエデン、Jのラフトクランズ(アル=ヴァン機)のみ。
スーパーロボット大戦α for Dreamcast
初登場時にキャラデモが用意された。追加ルートでは最終シナリオ前には改造出来てしまう…が出撃時にリセットされてしまうため改造しても意味なし。ほとんどの武器攻撃力が底上げされているが、インフィニティ・シリンダーの攻撃力のみマイナス修正を受けているため最大火力は落ちた。ネオ・グランゾンと究極の兵器同士が交えられるのは現段階ではこの作品のみ。
スーパーロボット大戦α外伝
いつのまにか未来世界に漂着して、ブラックボックスのままアウルゲルミルに取り込まれていた。本作では終始一貫して「ブラックボックス」と呼ばれていたため、アウルゲルミルの戦闘アニメでその正体が明かされた時、度肝を抜かれたプレイヤーも多いだろう。メイガスによると「回収時のブラックボックスは損傷が激しくほとんど原型をとどめていなかった」らしく、機体の一部と時空間跳躍機能はマシンセルで何とか修復できたようだが、機体色もマシンセルの影響か、やや白身の部分が強調されており、T-LINKフェザーの色も若干薄くなるなど、機体そのものも変化してしまった(詳しくはイングラムの項参照)。搭乗していた筈のイングラムは一体どうなってしまったのか。時系列的に考えると、イングラムが単身霊帝に挑み、敗れて体を喪ったあとのことだと思われる。
第3次スーパーロボット大戦α
クォヴレー編プロローグに、クロスゲートから半壊したアストラナガンが出てくる。かと思えば、いきなり機体ごと主人公を喰っていた。アウルゲルミルに組み込まれた事で新たに機体からイミルアームによく似た触手を展開できるようになり、この触手はヴァルク・ベンを捕食する際に使用された。融合したヴァルク・ベンがベルグバウに変異する際、アストラナガンに残っていたイングラムの精神も、ヴァルク・ベンに搭乗していたアイン・バルシェム(後のクォヴレー・ゴードン)に取り付いており、彼の身体にはバルシェム・シリーズのオリジネイターの証である「刻印」が刻まれ、イングラムの遺志を継ぐ者となるに至った。ちなみに融合の方法は「ゼロ距離でアキシオン・キャノンとインフィニティ・シリンダーを同時に撃ち、分解されたヴァルクを諸共再構成する」という無茶極まりないものであった。ユニットアイコンはαのものに白を混ぜた感じになっている。

OGシリーズ

スーパーロボット大戦OG ディバイン・ウォーズ
第1話冒頭で閉鎖空間でディス・アストラナガンとの禁断の対決を演じる(恐らくはイメージだと思われる)。その後互いの最強兵器が衝突し、空間の藻屑となるが…。その後セプタギンとの戦いでイングラムが自我に目覚め、セプタギンの装甲のズフィルードクリスタルからアストラナガンを召喚し、SRXを救出する。
第2次スーパーロボット大戦OG
イングラムが既にいないため当然の如く未登場だが、ユーゼスの「忌憶」の中の存在「黒き天使」としてシルエットが登場。

装備・機能

武装・必殺武器

フォトン・バルカン
頭部に2門装備。バルマーの人型機動兵器にも同名の武器が装備されている。
T-LINKフェザー
翼から緑色に発光しているエネルギーを、フェザーとして打ち込む。打ち込まれたフェザーは激しく発光し爆発を起こす。
Z・O・ソード
ゾル・オリハルコニウム製の剣。パイロットの念動力により自在に形状を変化させる事ができ、敵の意表を突く攻撃も可能。天上天下無敵剣と同じものだと思っていいが、ビジュアルはまるで違う。無敵剣より強いとSRXの立場が無くなる為だろう。ゲームバランス的な問題か。トロニウムがないので威力が低いのかも知れない。
ガン・ファミリア
イングラムのダミー・ファミリアを、リボルバー型の念動兵器として再生させたもの。ファンネルやハイ・ファミリアと運用方法は似ているが、手数が尋常ではない。
アトラクター・シャワー
重力散弾を広範囲に発射するマップ兵器。着弾指定型のマップ兵器のため、非常に使い勝手が良く、雑魚殲滅、資金稼ぎ等様々な用途に活用出来る。
アキシオン・キャノン
宇宙に漂うダークマターの構成物質であるアキシオンを目標にぶつけ、ブラックホール並の超重力空間へのワームホールを発生させて問答無用で叩き落す。残酷非道だが、次のものに比べれば…。ちなみに本当のアキシオンは物質との結合が非常に弱いので"ぶつける"ことは不可能である。後にシヴァーが開発したヴァイクランには、この武装を元にした兵装「べリア・レディファー」が搭載されており、戦闘演出もアストラナガンのものと殆ど同じである。
インフィニティ・シリンダー
ティプラー・シリンダーを応用した攻撃。両腕を翳し、十字のエネルギーを形成。そして、10個の中性子星を目標の周りで回転させることで超光速の時間逆行により対象を「存在する前」の状態に戻し、存在そのものを虚無へと消し去る、まさに究極の兵器である。ちなみにアイン・ソフ・オウルもまったく同じ原理。
αではイベントでR-1がこれを食らう。どういう原理で耐えたのか非常に気になるところであるが……おそらく直撃はしなかったのだろう。これに限らず、普通に考えれば防御が不可能と思われる武器は、スパロボではブラックホールクラスターしかり、終焉の銀河しかり、ゴルディオンクラッシャーしかり、枚挙にいとまがない。どんな凄まじい攻撃も純粋な数値に直されてしまうゲームシステムの宿命である。図鑑解説からすると、量子波動エンジンによって位相のずれを発生させれば現在の存在を保持したまま存在する前の時代に時間逆行できるかもしれない。
よく勘違いされがちなのは、この武器は対象のみの時間を逆行させる攻撃兵器であり、サイバスターの「アカシックバスター」とは違い、歴史から抹消するような効果があるとは言われていない(時間逆行で歴史から抹消されるのはスーパーヒーロー作戦で言われた事なので別作品設定)。
イミルアーム(仮)
第3次αにてアイン・バルシェムの搭乗したヴァルク・ベンを拘束する際に使用した触手状の武器。アウルゲルミルのイミルアームに酷似。機体から計4本展開する形で使用する。本来のアストラナガンには存在しない筈だが、未来世界にてアウルゲルミルに取り込まれた事で生み出したのだろうか。

特殊能力

剣装備
Z・Oソードで切り払いを発動する。
HP回復(大)
ズフィルード・クリスタルによる強力な自己修復。だが、後に霊帝との戦いに敗れた際にはあまりにも強力攻撃のためか、機能しなかったようだ。破片一つでもパイロット毎修復出来るというのも怪しい(OG2のジュデッカは出来たが)。
EN回復(大)
ボスお約束の能力。ENの残量を気にする必要が無い。
念動フィールド
念動力によるバリアフィールド。当時の念動フィールドはパイロットの念動力レベルに左右されず、一定のダメージを必ず無効化できたので、それなりに強力だった。強度はかなりのようで、半壊状態でヴァルク・ベンのキャノンを受けても全く怯まなかった。
分身
高い能力に加え、一定確率で完全回避が約束される。

移動タイプ

飛行可能。

サイズ

L
実際の大きさは40mで、コン・バトラーより小さい。

機体BGM

「虚空からの使者」
敵バージョンのイングラムのテーマ。ジュデッカズフィルードのボス固定BGMより優先される。唯一の例外がユーゼスのジュデッカで、彼のBGM「THE ARROW OF DESTINY」が優先される。

対決・名場面

「地球の剣」として
α最終話より。ユーゼスへの反逆が失敗し、再び操り人形と化したイングラム。だが、虚ろとなった意識へと声が響く。どこか聞き覚えのあるその声に、急速に失われた心が、そして遥か彼方の記憶がフラッシュバックする。
打倒したもう一人の自分。仲間との別れ。砕け散る世界。―――我に帰ったイングラムの目に映っていたのは、モニターを介して見える、鋼の巨神。そして、彼は思い出した。その巨神に乗っているのが、自分を呼んでいるのが誰なのかを。リュウセイ・ダテ―――この世界で見出したサイコドライバーにして、無二の戦友だった男。
蘇った記憶、それが教えていた。倒すべき敵が、そこにいることを。アストラナガンの赤き目が真の敵を捉える。因果の鎖で繋がれた、因縁の敵を。ユーゼス・ゴッツォ……彼と己を繋ぐその鎖を断ち切るべく、地球防衛軍第二遊撃部隊ガイアセイバーズ、その最後の一人が立つ。

関連機体

アウルゲルミル
衝撃波到来後の地球で大破していたアストラナガンをアンセスターが発見・回収し、この機体に文字通りのブラックボックスとして組み込まれた。機能不全に陥ったズフィルード・クリスタルに代わり、マシンセルで機体の修復が行われ、アンセスターの戦力として利用される事に。最強攻撃の際に思わぬ部分から出現するため、初見で度肝を抜かれたプレイヤーも多いだろう。ちなみに、アストラナガン=ブラックボックスだと明言されるのはメイガスとリュウセイの戦闘前会話のみであり、人によってはどういうことか分からないままストーリーを終えることになる。第3次αではアムロとカミーユもアストラナガンがアウルゲルミルによって取り込まれた姿を見ていた事実が判明した。彼らがアストラナガンを見たのはこの時が最後のようだ。
ヴァルク・ベン
第3次クォヴレー編冒頭で融合した相手。その結果、新たな姿となって再生する。
ベルグバウ
上記の融合の結果、新たに生まれ変わった姿。能力はかなり落ちたが、それでも強い。
ディス・アストラナガン
オリジナルを元にしたパーツとディス・レヴを組み込まれたベルグバウ。真の意味でアストラナガンが生まれ変わった姿。
R-GUNリヴァーレ
OG版アストラナガンその1…だが、武装関連以外は全くの別物。スーパーロボット大戦OGディバイン・ウォーズ Record of ATXではクロスゲートを使ってR-GUNに「異界の存在」を憑依させている(それがアストラナガンとは明言されていない)。
ガリルナガン
OG版アストラナガンその2。第2次OGに登場したデッドコピー機。翼の形状がミソ。
DiSRX
ディス・アストラナガンとSRXが融合した機体。
ゲシュペンスト
モデルになったと思われる機体。初代ゲシュペンストとカラーリングがほぼ一致する。また、主であるイングラムの元ネタ「ギリアム・イェーガー」はその黒い初代ゲシュペンストの乗り手であり、二つ名は「漆黒の堕天使」。これはアストラナガンのコードネーム「ブラック・エンジェル」と一致する。
ブラックオックス
モデルになった機体。
アンティノラ
ユーゼスが開発した試作型量子波動エンジンを搭載した機体。
サイバスター
技術元の1つ。バイストンウェル勢の出現を理由に艦に留まらせることに成功し、その間に調べ上げた。
SRX
技術元の1つ。SRX計画すらアストラナガンのための実験であったとまで言われている。
グランゾン
SRXの技術元の1つ。

余談

  • 「黒いライバルメカ」と言うお題で、寺田氏と杉浦氏が相談し合って作り上げたのだが、杉浦氏によれば相談の内容は「黒くて、2本角があって、翼があって、目が赤くて…」といったものでしかなかったらしい。ブラックオックス(『太陽の使者 鉄人28号』)+ギャオス(『ガメラ』)のイメージだったとのこと。
  • 識別コードである「ブラック・エンジェル」の他、αのシナリオタイトルでも「漆黒の天使来たりて」と呼ばれたりしているが、この名称はギリアム・イェーガーの異名である(より正確には「漆黒の堕天使」)。
    また、黒いボディに赤い目がゲシュペンストと共通している。
  • 名前を聞いた時、寺田Pは友人から「レオの弟か」とツッコまれたとのこと(ウルトラマンレオの弟が「アストラ」という名前)。

脚注

  1. αの時点では黒と白が混ざり合った独特の機体色をしており、コードネームを体現したものとなっていた。
  2. 製作中にユーゼスからシステムを組み込んだか聞かれたイングラムの回答は「ご想像にお任せしましょう」