アハマド・ハムディ

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アハマド・ハムディ(Ahmed Hammoudi)

ラングランの魔装機操者でソルガディのパイロット。基本的には寡黙で人と交わるタイプではなく、放浪癖に近い習性を持っている。また戦闘に関してはかなりの自信が見受けられ、ときには戦いのスリルを好むバトルマニアとしての一面を見せることもある。このような特徴のため、周囲からは愛想のない人間と見られている。ただ、バトルマニアではあるものの、自分から戦乱を起こすような真似はせず、起きてしまった戦乱に介入して一刻も早く戦乱を終結させることを目的としている。また、仲間と認めている人間には気を遣う場面もあるなど、決して協調性のない人間ではない。

パレスチナ出身で、ベドウィン(遊牧民族)のテロリストだった。長年にわたって戦乱の中を生きてきた人物であり、魔装機操者の中では異色の経歴の持ち主。このことから「力あるものが正義」という主義を貫いており、ラングラン動乱時には簒奪者側のカークス軍に協力し、邪魔者としてマサキ達を倒そうとする場面もあった。

ラ・ギアスに召喚された今でもイスラム教を信仰しており、厳格に戒律を守っているため、酒は飲まず豚肉も食べない。祈りの時間にメッカの方向がわからないのが悩みであるらしい。

『コンプリートボックス』までの作品では事あるごとにイスラム教徒であることが描写され、信仰を理由に行動を制限する場面が見られたが、リメイク版『魔装機神I』ではイスラム教を連想させる台詞や描写が軒並み削除されている。『魔装機神II』ではベッキーと精霊について話した際に精霊に興味を持てないことを明かし、ベッキーに信仰の問題かと問われると個人的な信念の問題であると答えている。このように設定そのものは消滅していないものの、信仰ではなくアハマド一個人の考えが行動理念である描写となっている(ただし、テロリスト関連の設定は全く語られておらず、こちらの設定は完全に消滅した模様)。

現在は『アンティラス隊』を離脱して、別個の組織を結成して隊の情報部を支援している(一応、魔装機操者をやめたわけではない)。

リメイク版では第二章の合流時に「すき焼きを食べたい」「ソイソース(醤油)が手放せない」と発言しており、意外にも日本かぶれであるらしい。ラングランに日本文化が流入していることも背景にあるのだろう。

登場作品と役柄

旧シリーズ

スーパーロボット大戦EX
マサキの章でもリューネの章でも、簒奪者カークスに組する悪役として登場。シュウの章では、敗残の身だったアハマドにシュウが声をかけ、共にヴォルクルスと戦った。第4次では共に行動していないことから、その後シュウ達とは別れた模様(「強者と戦う」という目的を果たしたのと、地上に未練がないためと思われる)。
魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL
第一章では御前試合あたりで出てくるのみ。第二章の共通ルートでの出番は「メモリアル・デイ」でヴォルクルスに立ち向かうシュウに加勢する姿のみ。その後、王都ラングランに一時帰還するもセニアにシュウが起こしたヴォルクルスに対する反乱の一部始終を伝えた後、再び旅立ってしまう。二章本格参戦はラセツルート(ロドニー&エリス戦死ルート)のみ、シナリオ「ウェンディの悲劇」において仲間となる。ただし全味方操者の中で唯一経過ターン数を加入条件にしており、必殺技の修得にも別に条件が必要(とはいえ、習得シナリオが「ウェンディの秘密」なので、ウェンディを救うつもりなら確実に覚える)という…。お陰で非常に影の薄いキャラとなっている。
スーパーロボット大戦コンプリートボックス
音声を収録。イスラム教関連の台詞を音声有りで聞ける、今となっては貴重な作品。

魔装機神シリーズ

スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL
前述のように、多数の台詞に改編が行われたキャラ。しかし、代わりなのかどうか、彼の加入時にシモーヌとベッキーがいると、なんと500万クレジットもの大金を気前よくくれるというイベントが追加された。とはいえ終盤なので活かし切れない……と思いきや、今作の周回プレイにおける「終了時の所持金(払い戻しなし)+100万クレジットを引き継ぎ」という仕様により、彼を仲間にしたクリアデータを引き継ぎ用に保存しておくと非常に役に立つ。そのため、一部のプレイヤーからは「アハマド神」と崇められることに。本作以降、数多くのマイナーキャラに埋もれていた彼の存在感が飛躍的に増したように思える。
スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神II REVELATION OF EVIL GOD
序盤で加入するが、前半の終わり頃にアンティラス隊の裏方に回るべく除隊する。今までの作品に比べて、バトルマニアの一面は見せているものの、周囲を気遣う発言やアンティラス隊のために敢えて裏方に回るなど、性格が丸くなった印象が強い。
スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神III PRIDE OF JUSTICE
アンティラス隊支援組織を結成して西に東に忙しく飛び回っている。離脱してなおその存在感は色濃く、他の脱退した操者達とは比較にならない。これも500万クレジットのなせる業か……。

OGシリーズ

第2次スーパーロボット大戦OG
第4弾PVで登場。マサキと対決している。出番はマサキルート「テリウス出奔」の一度のみ。しかも確実に倒す必要がなかったりするという……。本番はやはりDPである。
スーパーロボット大戦OG ダークプリズン
「メモリアル・デイ」でシュウに帯同することが既に明かされているので特筆する事はあまりないが、公式サイトにあるソルガディ紹介画像で味方側からヴォルクルス(上)を「ジャハンナム」で攻撃する彼の勇姿を確認出来る。
本作は説得ではなく「敗者達の聖戦」クリア後で仲間になる。能力自体は『第2次OG』から大幅に調整がかけられている。地形適応は弱体化(陸海空A宙Bから陸空A海宙Bに)したが、ツイン精神コマンド欄を埋めた「闘志」がエースボーナスに移行。その代替として「不屈」がツイン精神側に移動するなど継戦能力を増強されたため、撃破数50を早々に超えれば華々しい活躍を見込めるだろう。しかし彼が地上に来ない為、ただ3話しか使えない。
資金を渡すことも稼ぎ方を教えることもないが、加入時にすでに改造されている3段階の改造資金を離脱時に払い戻して(実質プレゼントして)くれるあたりは流石。さらに、彼の撃破数に関わる隠し要素は設定上の高価武器として有名なMTDMシューター。

パイロットステータス設定の傾向

能力値

魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL
能力は格闘戦に優れる。他は並だが、「2回行動」をかなり早く習得する(LV41~45)。精神コマンドは完全にアタッカー仕様。

精神コマンド

EX
ド根性気合ひらめき加速熱血激怒(SFC版)
ド根性気合ひらめき加速熱血激励(PS版)
魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL
根性必中報復鉄壁覚醒熱血
魔装機神II REVELATION OF EVIL GOD
必中加速偵察手加減熱血、自由選択
OG2nd
ド根性加速熱血闘志(ツイン)
OGDP
集中加速ひらめき気合熱血不屈(ツイン)

特殊技能(特殊スキル)

魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL
気配察知、再攻撃、分身、斬り返し、2回行動
OG2nd
援護攻撃L2、カウンターL6、戦意高揚

エースボーナス

気力130以上になると「闘志」がかかる。
『OGDP』におけるエースボーナス。『第2次OG』(敵対時)のものではない。

パイロットBGM

「終わりなき戦い」
OGシリーズにおける汎用戦闘BGM。

人間関係

マサキ・アンドー
『春秋戦争』ではお互い敵となって舌戦と格闘戦を繰り広げたが、『LOE』第一章の頃はデモンゴーレム狩りの際に仲が良い様子を見せている。テロリストを憎悪するマサキが旧シリーズにてアハマドの過去をどう思っていたのかは不明。諸処の戦闘台詞を拝見するに、アハマドがこの日本人の少年に抱いていた悪感情は、ラングランの王都で行われた「御前試合」でマサキに敗北したことに起因するのではないかと思われる。あの敗戦で戦士としての誇りを幾分傷つけられたのか、「ダークプリズン」では「甘い正義感で方々に首を突っ込んでいるのだろう?」とやや手厳しいマサキ評をジェルバの面々に送っている。しかし、ROEでアンティラス隊を脱退するときにはマサキを激励しており、わだかまりも解消したようである。
シュウ・シラカワ
強敵と認める男。シュウの章(EX)で、「命をかけるにふさわしい相手と戦いたくはないか」と勧誘された際、アハマドは「カークスへの義理は果たした」としてシュウに力を貸す道を選んだ。いくら「力こそ全て」というアハマドでも、ヴォルクルス教団に手を貸すことが正義と判断するとは思えないので、シュウの本質を見抜いた上で仲間になったのかもしれない。

神聖ラングラン王国

カークス・ザン・ヴァルハレビア
『春秋戦争』の最中、力を貸すに値すると見込んだラングランの武人。ちなみに演者は同じである。
フェイルロード・グラン・ビルセイア
アハマドいわく「オレから見れば到底善人とは思えん」とのこと。その後の展開を考えれば、必ずしも的外れではなかったのかもしれない。
セニア・グラニア・ビルセイア
彼女がデモンゴーレム狩りに無理矢理付いてこようとして「あたし一人守れないっていうの?」と文句を言った際に、「最後に信用できるのは自分だけ。自分の身は自分で守るべきである」と説教している。『シュテドニアス南北戦争』以降、支援組織を結成して情報面と外交面で彼女を補佐する。
リカルド・シルベイラ
大地の魔装機神ザムジードの初代操者。『御前試合』の観客席でマサキとアハマドの両者を比較したとき、「格が違う(アハマドではマサキの相手にならない)」と、かなり情け容赦のない評価を下してる。

アンティラス隊

サナン・ティアンプラサート
彼の死の際に「盟友」と呼び、その心意気を受け取るとともに、その安らかな眠りを願った。
ゲンナジー・I・コズイレフ
潜伏術に長けた戦友。諜報活動の際に何かと頼りにしているが、それを理由にゲンナジーがアンティラス隊から離脱することがあるため、ゲンナジーのファンは心穏やかでないらしい。

名台詞

共通

「それが悪い事だというのか、マサキ? 力のあるものが、より正当な地位を望む。これは当然の権利だと思うが?」
マサキの章(EX/OG2nd)にて。カークスが政権を簒奪しようとしているとマサキに非難された際の台詞。
「戦争はおこってしまった以上は、一刻も早く終結させるのが一番なのだ。そのためには力のあるものを応援する」
上の台詞に続いて。簒奪者カークスに協力した彼なりの理由。これについてはマサキも「見識の違い」と認めている。 同じバトルマニアとして一見ヴィンデル・マウザーあたりと話の合いそうなアハマドだが、彼は台詞の通り、方法はどうあれ戦争終結を第一に考えているのに対し、ヴィンデルは戦争の継続と拡大そのものが目的なので、方向性は全く逆である。
「フ……口の中が、アドレナリンの味でいっぱいだ……やはり、オレは戦いが好きなのだな」
復活したヴォルクルスとの対決を前にしてみせる全シリーズ共通の述懐。シュウの行動をこの一言で片付けてしまったあたり、やはりアハマドはシュウの目的を察していたのだろう。

戦闘台詞

「アッラーフアクバル!」
リメイク以降、削除されてしまった戦闘台詞。旧シリーズおよびSFC版LOEでのみ確認可。意味は「アラーは偉大なり」。確かに今のご時世ではヤバイ。

スーパーロボット大戦EX

「おお、本来の用事を忘れてはいかんな。君達にはここで死んでもらう。口封じだよ
上記の会話の後、テリウスが脱走したことを露見させないためにマサキ達に襲いかかる。…この時のアハマドは完全に(上記の発言があるとはいえ)悪役である。
『第2次OG』にて「マサキの章」が再現されたが、多少の改変はあったものの概ねこの通りのやり取りが発生。
「また、下らぬ大義にとらわれておるのだろう、ヤンロン? 貴様やマサキ達のそういった態度が戦争をながびかせるのだ。いいかげんに目を覚ませ」
リューネの章にて。その後ヤンロンからは「戦争屋」と非難されていた。こちらはOGサーガで再現されていない。
「インシャラー…」
シュウの章の最後を締めくくる台詞。「神(アッラー)の思し召しのままに…」という意味。PS版ではDVE

OGシリーズ

オレグ「貴様は反連邦主義者ではないのか」
アハマド「連邦の支配を良しとしないもの全てが、DCに好意的だと思わぬことだ」
DCの再興に興味がないと語った後の、オレグからの質問とその回答。地上世界時代のアハマドの思想の一部が垣間見える。
「……貴様は、早死にさせるには惜しい戦士だ。神の加護があらんことを」
『OGDP』で別れ際にアルバーダに送った台詞。多くのプレイヤーもアルバーダを早死にさせるには惜しい人物だと思っただろう。果たして、この先アルバーダを待ち受ける運命はどのようなものになるのだろうか。

魔装機神シリーズ

「セニア殿、それは違いますな。戦場で頼れるのは自分だけ。自分の身は自分で守りなさい」
デモンゴーレム退治に無理矢理ついてきたセニアへの戒め。後にテリウスに対しても同じことを言っている。どうやら王族へ対しての彼なりの姿勢である模様。
「俺は全力を尽くすだけだ。あとは神のみぞ知る、だな」
リメイク版LOEにおける御前試合での台詞。バトルマニアの彼にしては珍しく謙虚な台詞である。
「ああ、忘れる所だった。少しばかり資金を稼いできた。役に立つ様だったら使ってくれ」
リメイク版におけるシモーヌとべッキーがいる時にアハマドが仲間になった場合の台詞。その額はなんと500万クレジットである。…少しどころではない。
まあ、7億クレジットを知らずに手に入れたもいたが、それでもアハマドがくれた金はゲームバランスを崩壊させるには十分な額である…。
「少しばかり」は、時系列にしてDP20話でシュウのもとを離脱してから、第二章「ウェンディの悲劇」でマサキ達に合流するまでの間に稼いだ資金と考えられる。おそらく1ヵ月以上は過ぎているので、500万クレジットはそこまで達成不可能な額ということもないだろう。

魔装機神II REVELATION OF EVIL GOD

「ティアンよ……お前の心意気は、しかと受け取った。俺もなすべき事をなそう!」
ティアンが命を賭けたポゼッションでラスフィトートの復活を阻止した後、増援に現れたときの台詞。
「……盟友、サナン・ティアンプラサートに平穏があらん事を」
上述と同じく、シナリオエンドデモでティアンの死を悼んでの台詞。

余談

『戦争狂のムスリム』というイメージは、イスラム圏に対して西欧が抱いているステレオタイプの一つであり、アハマドのキャラ造形にもそうした認識が影響を及ぼしている感がある。