尸逝天

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尸逝天(しせいてん/Shiseiten)

尸空が搭乗する巨大機動兵器。サイデリアルの一部隊「鬼宿」の隊長機である。

「沈黙の巨蟹」のスフィアを搭載しており、それに依拠する凄まじい火力による広域殲滅を得意とする重機動兵器である。ちなみに、尸とは「しかばね」と読み、そのまま屍(あるいは死にまつわるもの)を意味する。

首長竜の化石を模した尾部、「沈黙の巨蟹」を内蔵した巨大なドクロのような背部ユニットと無数のトゲ、肩に当たる部分とその上部、頭部とその側面に存在する合計7つの牙だらけのアギト、甲殻類を思わせる腹部、と機械的要素が一つも見当たらない有機的な姿をしており、その不気味さやおぞましさはアリエティス以上。超機人ディス・アストラナガンもこの類だが、尸逝天はそれらよりもなお生物そのものに近い。特徴的な7つのアギトは、まるで生物の頭骨から口の部分だけ持ってきたような形をしており、目に当たる部分が存在しない。

その正体は、生と死との狭間に存在し、その境界を渡るという伝説の生き物の死骸。つまり、有機化どうこうの前にそもそもが純然たる生物である。よってスフィア搭載機ではなく宿主と表現した方が正確であろう。背部のコブ状の部分に「沈黙の巨蟹」が寄生しており、その力によって「死んでも生きている」という理を超越した存在である。生きながらにして「消えようとする力」を司る一族・鬼宿の至宝にして、代々の総領が受け継いできた由緒正しい生き物(?)であり、現在の総領である尸空が所有している。

量産型とも言える尸冥爪は、その子供(幼生)に外装や武装を取り付けた存在である。ちなみに現状の尸逝天は前述したように死亡しており、その死骸が寄生した「沈黙の巨蟹」の力で維持されている状態(ゆえに骨格のみ)であり、生前の姿は不明。尸冥爪のもつハサミがないことからすると、成長に伴い退化すると考えられる。

最終的には天獄戦争終盤にラース・バビロンでZ-BLUEに敗北し、かねてからの取り決めに従い、ヴィルダークに力を渡すため尸空の手で自壊。「沈黙の巨蟹」を残して因果地平の彼方へと旅立った。

登場作品と操縦者

Zシリーズ

第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
アイコンだけは「ラスト・デイ」で見られるが、実際に戦えるシナリオはエピローグのみ。4ターン目の冒頭に撤退してしまうが、1ターン目から動き出すため撃墜は楽。少なくともガドライトジェミニアアンチスパイラルグランゼボーマに比べれば楽といえる。ただし耐久力はジェミニアに匹敵し、瀕死時の尸逝天の装甲は4572と旧シリーズのボス並みに達する。
今回は手加減しているため、「骸怨」と「尸獄門」しか武装がない。それでも尸空の特殊スキル「精密攻撃」のおかげで最大火力は高いので注意。
第3次スーパーロボット大戦Z連獄篇
単体攻撃「鬼光衝」が解禁。中盤から何度か顔を出すが、基本的に倒すことは出来ない。その代わりSRポイントの条件になるためHP回復が無い。
第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
MAP兵器「霊鳴」と最強技「冥逝孔」が解禁。プロローグ2から登場するが、最速の直接対決は13話からとなる。尸空共々本気を出したという事か、今までとは比較にならない強さを発揮してZ-BLUEに襲いかかってくる。MAP兵器2つ、全体攻撃2つと設定通りに広域殲滅に特化した機体であり、しかも尸空が3回行動持ち&エースボーナスが発動すれば「必中」がかかる為、手番を回せば複数のチームが消し飛ばされかねない。また、尸空が「精密攻撃」を失った事で最大火力こそ低下したが、代わりに得た新たな特殊スキル「プレッシャー」によって攻防共に隙が無い。救いはスフィア・アクトが敵のスフィア搭載機の中では大人しい事か。
ちなみに図鑑では所有者が「尸刻」と誤記されている。

装備・機能

武装・必殺武器

骸怨(がいえん)
自機中心型、識別無効のマップ兵器。怨霊を解き放って取り憑かせ、力を奪う。必要気力が130なので、これを撃つということは「極」が乗っていることになる。
霊鳴(れいめい)
方向指定型、識別無効のマップ兵器。死の稲妻で前方を薙ぎ払う。気力低下効果があるため骸怨より危険。
鬼光衝(きこうしょう)
唯一の単体攻撃。死の力をエネルギーボールに変え、相手目掛けて叩き付ける。尸冥爪も同様の技が使えるが、向こうと違い無数に撃てる。思考ルーチンの問題で反撃時にはこればかり撃ってくる。
尸獄門(しごくもん)
全体攻撃。「絶・陰・亜・業・獄・終」の歌で「沈黙の巨蟹」を起動、ブレスを放って敵を消滅させる。
冥逝孔(めいせいこう)
「宿・真・零・界」の歌によって「沈黙の巨蟹」の力を解放し、虚無の領域に相手を飲み込み、巨大な蛇の様な禍々しい姿へと変貌した尸逝天で突撃し相手を喰らい尽くす。
全体攻撃かつ「能力半減」の追加効果がある為、直撃すると非常に危険。連獄篇では「霊鳴」ともども使用不能。P属性つきだが射程2~4、尸逝天は移動力7で尸獄門の最大射程が11なので、11マス以内にいると尸獄門を撃ってくる、射程外にいるとよってきても冥逝孔が射程外、ということでほとんど見る機会がない。至近にユニットがいるとたまにEPで使用してくる。

特殊能力

HP回復(中)
スフィアの力と本体の特性によりダメージが回復する。連獄篇ではオミット。
EN回復(大)
スフィアの力によってエネルギーが回復する。
対精神攻撃
装甲・運動性低下は効くので、装甲ダウンを狙うのがいい。
スフィア・アクト(沈黙の巨蟹)
気力130以上で発動。「沈黙の巨蟹」の力を行使し、10マス以内のPCユニットのSP回復を無効化する。自動回復のみならず「イノベイター」「SP回復」や、歌・パーツによる回復も無効になる。これでもサイデリアルのスフィア搭載機の中ではまだ大人しいのが恐ろしいところだが。
天獄篇では気力制限が10上がっている。

移動タイプ

飛行可能。かに座の機体ゆえか水中戦も得意な様子。この図体で海に潜るとえらいことになりそうな気もするが。

サイズ

2L
200m越えなので戦艦なみにデカい。次点のジ・インサーは110mであるため倍以上の差があることになるが、プレイアデス・タウラはさらに倍以上デカい

機体BGM

「尸魂の徒」
尸空専用曲。「しこんのと」と読み、意味合いとしては「死者の同胞」と言う事で尸空のみならず「鬼宿」全体のテーマとも言える。

対決・名場面

死を招くモノ
時獄篇エピローグより。エタニティ・フラットの崩壊を見届けるべく地球近海に戻ったZ-BLUEの前に、突如として謎の巨大兵器が現れる。あまりにも有機的な、あまりにも不気味なその姿に一同が息を呑む中、その兵器を駆る男、「沈黙の巨蟹」のスフィア・リアクターが動き出す。
時間にして僅かな交戦を経た後、彼は言う。「お前達は弱くはない。だが、それゆえに滅びる事になる」と、まるで未来を知っているかのような不気味な言葉を残し、死を招く巨蟹は姿を消す。そして、崩壊を始めた時の牢獄。だが、砕け散った空間の壁、その向こうには、翠を纏うもう一つの地球が輝いていた。あたかも、時獄の先に待っているモノのように…。

関連機体

尸冥爪
鬼宿の人間が操る機体。尸逝天の量産型……ではなく子供を武装したもの。尸刻の専用体「絶」は外装が黒く、その個体が尸刻に懐いている為量産機を凌駕する戦闘力を発揮する。
子供なので、成長すると尸逝天になると思われる。

余談

  • 時獄篇の攻略本後書きによると、デザインモチーフはそのまんま「カニ」。寺田P曰く、「ラスボスのデザインとしてどこまでカニっぽさを出すか悩んだ」とのこと。ベースデザインは「カブトガニ」と思われる(カブトガニは正確にはクモやサソリの仲間であり、蟹ではないが)。
  • 一見すると他のスフィア搭載機と違い、スフィアの星座とは無関係な名前に思えるが、尸逝天の場合は少々捻られている。尸空の持つ「沈黙の巨蟹」はかに座のスフィアであるが、中国の思想においてかに座の中心領域「鬼宿」は、死者の魂が集う場所とされている。名前の由来はこれであり、つまり「死者の魂が集う星座」→「死者の集う天」→「『尸』の『逝』く『天』」→「尸逝天」というわけである。