真化

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真化(しんか/Ascension)

第3次スーパーロボット大戦Zのキーワード。生命体が進化を続けた果てに至る最高の境地とされている。 時獄篇の時点では「シンカ」とカタカナ表記され、その詳細は明かされず、天獄篇で全てが説明された。ちなみにアクセントは「真『化』」。

Zシリーズの宇宙には、「存在しようとする力」と「消滅しようとする力」の二つの大きな動きが存在している。 この二つの力がぶつかり合うことによって、1万2000年周期で宇宙は崩壊・再生を繰り返し、その中で生物は少しずつ進化していく。これについて劇中では「獣の血」「水の交わり」「風の行き先」「火の文明」そして「太陽の輝き」と表現されている。

「獣の血」とは、闘争による進化のことである。これは「生きる」という行為のもっとも原始的であり、もっとも重要な要素である。生物は生きるために戦い、生きるために勝利し、生きるために進化していく。これをマシーンとして表現しているのがダンクーガとその系譜にあるダンクーガノヴァである。

「水の交わり」とは、融和による進化のことである。男と女、人と天翅、異なる存在が繋がり、融和し、そうすることによって新たな境地を見る。これをマシーンとして表現しているのが、「水」の名を持つアクエリオンである。

「風の行き先」とは、開拓による進化のことである。心のままに新たな場所、新たな何かを求めて進み続け、決して立ち止まらずに進化し続けていく。これをもっとも強く表しているのがグレンラガンである。

「火の文明」とは、文明による進化のことである。人が生み出したものは人に新たな力を与え、その力を以って人は更なる何かを生み出していく。その中で起きる争いをマシンと共に乗り越え、その先にある希望を信じて進化していく。天獄篇の時期のZ世界がこの段階の終端にある。アンチスパイラル曰くの『Zの終局』も恐らくこの意味。これを体現するマシンは、人類が生み出した文明の象徴、強力な武器たる「銃=ガン」の名を持っている。時代の先駆けたるガンダム、文明の到達点であるガンバスター、そしてガン・アーレスもこの一つである(ガンレオンもそうなのかは不明)。

最後に待つ「太陽の輝き」とは、それら全てを経ての高次元生命体へのアセンションのことを指す。この段階に至った生命体は、オリジン・ロー即ち次元力を自在に行使することが出来る。この段階に至るための、進化の最後の一段階を「真化」と呼称するのである。

ただし、高次元生命体に至れば真化を果たしたことになるわけではない。「消滅しようとする力」(太虚とも)に呑まれると、インベーダーハーデス神宇宙魔王のような怪物じみた姿となってしまう。本当の意味での真化に必要なのは、「他者を理解し、受け入れ、共に歩む」という実に単純な真理を理解することである(実際、歪んだ真化を遂げた者たちは等しく傲慢で、他者を見下している)。

正しく真化した面々はゼウス神不動ZEN渚カヲルなど少ない。また、早乙女博士はこの真理にかなり早くから気づいており、それを表現するためにゲッターロボを建造している。ちなみにゲッターは最終的に人機一体を果たし、無限の戦いへと挑んでいく。

本物の真化とは、融合でも同化でもなく、個が個としての他を理解し、受け入れることによって成される「共存共栄」の真理であり、これを摂理として完全に理解した時に真化への道が開かれる。そして、その時から1万2000年を経て、ようやく生命体は「太陽の輝き」へと至ることになる。他者を理解する力を持つニュータイプやイノベイターもその力の一片といえる。

二つの力と宇宙の大崩壊

「存在しようとする力」は万物万象全ての意志たる霊子が生み出し、「消滅しようとする力」は宇宙そのものが生み出す。後者は宇宙の「生まれ変わることを望む意志」に由来する「虚無」の力である。

基本的に「存在しようとする力」は「消滅しようとする力」を上回っている。「存在しようとする力」=霊子=万象の意志が理の改変を良しとしない場合、オリジン・ローだろうと何だろうと事象制御は出来ない。これは「宇宙の大崩壊」もメカニズムは同じで、「消滅しようとする力」が宇宙を消し去るという事象制御を行うには「存在しようとする力」が邪魔になるため、バアルを使って「存在しようとする力」を生む生命や物質を消し去ろうとする。

歪んだ真化を遂げた存在は、この「消滅しようとする力」の側に立ち、宇宙の大崩壊を招く因子となるのだが、これは御使いも同様である。彼らは惑星エス・テランの霊子が一つに融合し、そこから喜怒哀楽の4人に分離した存在であるが、これは「理解による融和」とは程遠い物理的融合であり、彼らもまた歪んだ真化を遂げた存在である。

天獄戦争を経て二つの力のぶつかり合いが回避されたことにより、大崩壊のメカニズムもまた違ったものに変化したことが推察されている。

ちなみに「存在しようとする力」は生きる意志だけでなく、他者を想う気持ちによって大きく励起される。そのため、エグゼリオ変動重力源との戦いでは、ノノが確保した重力特異点を翠の地球が宿していた「帰って来ることへの願い」が「存在しようとする力」を励起したことで縮小・消滅させている。また、カズミの肉体が時間遡行を起こしたのも同じような理屈である。

真化融合

いくつかの世界で提唱されていた、真化の応用による理論。 世界を構成する全ての物質には、原子レベルで「意志」が備わっており、これを「霊子」と呼ぶ。例えば水素と酸素の化合で水が出来るのはそれぞれの原子の意志であり、惑星の公転も、生命体が死ぬのもそれぞれの意志である。

これはロボットにおいても同様で、乗り手の意志に呼応して底力を発揮するようなことがあった場合、それはそのロボットの意志である。次元力とは、この「霊子」に働きかけ、それらによって構成される事象を制御する力であり、悪い見方をすれば「霊子に対する洗脳」とも言い換えられる。

この、マシンの霊子をパイロットの霊子に呼応させ、両者の境界をなくしてダイレクトに意思疎通が出来るようにすることを「真化融合」という。これは次元将たちの故郷でも提唱されていたが実現には至らず、代用品としてリヴァイブ・セルが開発された経緯がある。

ヒビキの行使する「いがみ合う双子のスフィア」のスフィア・アクトはこの真化融合を擬似的に起こす力で、周囲やマシンの霊子とパイロットを同調させる(マシンに作用するクアンタムバーストのようなもの)ことで実力以上の力を発揮することが出来る。

天獄戦争においては、原因と結果が混濁し、意志によって存在が認識・定義されるカオス・コスモスの環境とソーラリアンに搭載されたZクリスタルに4つのスフィアをシンクロさせることで実現した。

その原理は、趣と根源はかなり違うが、ペルゼイン・リヒカイトアインスト・アルフィミィの関係がもっとも近いといえる(マシンが肉体で、パイロットが魂)。

特殊システム「真化融合」

天獄篇終盤で解禁されるシステム。第55話「覚醒」でイベントが発生した後に適用される。 その効果は、気力上限・SP最大値+50、ユニットの武器・歌の攻撃力+2000という凄まじいもので、気力上限が通常なら200、限界突破があれば220、強化パーツ「カイメラ隊員証」も入れれば270、「連獄の紋章」で280、「熱血」+POWER TO THE DREAMで300という高さに発展する。

4周目をクリアしたデータを引き継いで始めた時にもらえる強化パーツ「天獄の紋章」もこれと同じ効果を持つが、システムの真化融合と効果が重複する。なので、気力上限・SP最大値+100、ユニットの武器・歌の攻撃力+4000になり、諸々込みで気力上限は最大350となる。

余談

  • 第2次Z再世篇にて次元獣化したエスターブラスタEsが元の姿に戻った後、ブラスタEsの出力が上昇し操縦系統が最適化されるという出来事が発生したが、リヴァイブ・セルが開発された経緯を考えるとエスターとブラスタEsが真化融合に近い状態になっていたものと推測される。
  • 真化に至るまでの段階を表す「獣の血」「水の交わり」「風の行き先」「火の文明」「太陽の輝き」のモチーフとなっているのは、現実のマヤ文明が用いた『マヤのカレンダー』である。