ラースエイレム
ラースエイレム(Wrathailem)とは、スーパーロボット大戦Jの敵組織「フューリー」の使う時間兵器。
概要
範囲内の時間経過を完全停止させる「ステイシス・フィールド」を展開することで、内部に存在するターゲットを「停止」させてしまうという反則じみた性能を持つ。この機構はラフトクランズにのみ搭載されており、その他の機体にはない。フィールド内で動くには、フューリー製の機体であるか、後述のアンチシステムを搭載するかの二択である。
時間を停止させる仕組みの詳細はOGシリーズで明らかとなっており、「ステイシス・フィールド」を展開して「時粒子」の流れを「低速・減速」させることにある(後術参照)。
これを使う事は、敵の抵抗力を完全に奪うことと同義であるため、フューリーは大概の作戦をこの力で完遂している。ただし、システムが使えない状態になると、自身の操縦技術が卓越していたアル=ヴァンはともかく、ジュア=ム率いる部隊は特務分艦隊に必ず負けていた。なお、「ステイシス」とはフューリーの言葉で「停止」を意味する。
フューリー製の機体は、従士の機体でもラースエイレムの影響を受けない。なお、このシステムで停止したものは通常の攻撃で破壊可能。
1か所「ラースレイエム」と誤表記されている。
ラースエイレムキャンセラー
極秘裏に開発されたアンチシステム。騎士の一人であったエ=セルダ・シューンはフューリーの地球侵攻を前に、「ラースエイレムがある以上、地球側に勝ち目はない」と考え、これを搭載した機体(主人公機選択でどんな機体かが決まる)をカティア、テニア、メルアの3人に託し、地球へと逃がした。その後、この機体は彼の息子である統夜、あるいは元地球連合の軍人であるカルヴィナの手へ渡り、フューリーとの戦いの根幹をなす事となる。
このキャンセラーは、搭載している機体をステイシス・フィールドの影響から完全に守る他、ラースエイレムと同じ要領で駆動するとフィールド自体を消滅させ、ラースエイレム自体にも極度の負荷をかけてシステムを止めてしまう。アンチフィールドを発生させるのではなく、展開されるフィールドを伝ってシステム搭載機をピンポイントで狙い撃つ仕組みになっている。
OGシリーズ
設定が大幅に追加・変更されている。 本作でのラースエイレムはフューリーの機体のうち、ラフトクランズとクストウェル・ブラキウム、開発中のズィー=ガディン、玉座機グランティードとその半身である神竜バシレウスにのみ搭載されているが、グランティードのものはエ=セルダがガウ=ラ・フューリアから脱走する際、カロ=ランの奇襲攻撃で破壊されている。
半球状のステイシス・フィールドを展開するのは同じだが、効果は時間停止ではなく、システムを持たない機体の時粒子を極限まで低速に落とすものであり、しかもステイシス・フィールドは長時間維持できない。さらに使用した機体のエネルギーも大幅に減少する上、その中で行動すれば負荷による物理的なダメージも機体・パイロットの双方に発生する。その上、ステイシス・フィールドは最長でも5分しか維持できず、展開するには事前に長時間のエネルギー・チャージが必要となっている。
また、今作ではキャンセラーがなく、フューリー製の機体であってもラースエイレムを持たない機体は影響を受け、仮に持っていたとしても起動しなかった場合も影響を受ける。
さらに、本作ではラースエイレムは正々堂々を重んじる騎士の戦いにはふさわしくない、一方的に相手を殴るだけの卑劣な装備であるとして、本来は皇帝、現在は最高権力者である皇女シャナ=ミアの許可なくしては使用することを許されない。 騎士階級にある者が無断で使用すれば、良くて階級剥奪と騎士団からの除名、悪ければ死刑すらあり得る禁忌とされている。 ただ、これらはあくまで騎士団内部のルールであり、諜士などの裏の部隊には適用されない。
そして一番の変更点は、『J』と異なり無制限には使用できないということである。本作のラースエイレムを使用するには、フューリーの母星でしか産出されないレアメタル「エイテルム」をコアとする必要があるのだが、エイテルムはラースエイレムの使用回数が限界を超えると砕けてなくなってしまう。しかも、外からではあと何回ラースエイレムが使えるのか全くわからないため、使ってみなければ限界かどうかわからないという欠点がある(実際ソ=デスはこれが原因で自らの敗死に繋がった)。
総じて、『J』から使用に大幅な制限や制約が付き、効力も落ちた為「いくらでも使えて、使えば勝てる」という単純なものではなくなっている。が、地球側にはまともな対抗手段がないため、依然として脅威の兵器である事には変わりなく、対抗するには同じラースエイレム搭載機か、時流エンジン搭載機が必要不可欠となっている。
登場作品
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦J
- 敵のラフトクランズがイベントで使用。特殊能力としては使ってこない。もし使われたらえらいことに。
OGシリーズ
- スーパーロボット大戦OG ムーン・デュエラーズ
- フューリー機の特殊能力として設定されているが、追加設定を反映するため、物語上では「パイロットは騎士であるため」または「パイロットは諜士だがエネルギー不足」という理由で封印されることが多い(検索にも引っかからない)。
- 敵側特殊能力として初めて使用されるステージは月ルート「空間の支配者」。また、今作ではキャンセラーの存在はなく、ステイシス・フィールド内で動くにはラースエイレムか時流エンジンを搭載する必要がある。
- 特殊能力としての効果は気力120以上での特殊回避、確率は「技量差+勢力補正」、下限は10%(味方)または5%(敵)。『J』でのオルゴン・クラウドの分身だけ取り出した能力になっている。
- グランティード・ドラコデウス、クストウェル・ブラキウム、エクサランス・ガンストライカーはカスタムボーナスにより敵機の同能力を無効にすることが出来る。何故かラフトクランズ・アウルンには同ボーナスが設定されていないが、参戦タイミングの都合上参戦直後のIMで一気に改造しなければ無意味なことを考えれば致し方なしか。
関連用語
- エイテルム
- ラースエイレムを起動させるために必要な希少物質(レアメタル)。作中では「天上物質」とも呼ばれる。産出される星は既に消滅しており、トロニウムと同等の希少価値がある。
- フューリー
- ラフトクランズ
- 代表的なラースエイレム搭載機。
- アシュアリー・クロイツェル
- 時流エンジン
- 「時粒子」をエネルギーとして駆動するエンジンであり、エネルギー供給炉でもある。エネルギー供給によって時粒子を強制加速させる機能を持つ「可逆性タービン」を採用した新型時流エンジンにより、ラースエイレムの時粒子減速に対抗することが可能となっている。
- エタニティ・フラット
- Zシリーズで登場する概念で、時の流れを「完全停止」させて生物の進化(真化)を止めることにある。実際にこれを提唱した御使いが霊子を介して時粒子を自在に操れるのかは不明。
- 静死の柩
- 魔装機神シリーズに登場する概念で、時の流れを「完全停止」させて、生物を完全滅亡を目指す。生き残れるのはアストラル体(霊体=アストラルコーティングの秘術)を得た者だけである。こちらはヨーテンナイが魔装機神を媒介とし、クロスゲートを通じてフィールドを形成する前述の「ステイシス・フィールド」の広域展開に相当する。ヨーテンナイ自身がクロスゲートを完全制御に至ってないので、不完全に終わった。
余談
- その反則っぷりと類似性から、「ザ・ワールド」(漫画『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する時間停止能力)と呼ぶファンもいる。
- 限定空間内の事象を制御するという点では、クロスゲート・パラダイム・システムに近いものがある(CPSは完全にコントロールするものだが)。
- 時の流れからエネルギーを得る時流エンジンはラースエイレムの影響を受けるとどうなるのか、とファンの間で取り沙汰される事があり、ムーン・デュエラーズでこれが実現する事となった。
- 元ネタはSF作家ラリイ・ニーヴンの「リングワールド」シリーズに登場するテクノロジー「スレイヴァー式
停滞 フィールド」であろう。作中では発動すれば内部のものを完全に保護でき、仮に反物質と遭遇しても対消滅すら無視できるという特性を持つ。絶対に壊れないという性質を利用して究極の安全装置として使用されたり、極細のワイヤーをフィールドで包むことで絶大な切れ味を持たせたクジン人の自在剣 などが登場している。 - 敵側がこのような装備を持っているがために主人公機がいない状況でフューリーと遭遇する事自体が負け同然であるJだが、部隊分けによるルート分岐が6回ある(フューリー本格登場後は5回)。もちろん部隊を分けなければならない状況ではあったのだが…。なお、ルート分割中にどちらのルートでもフューリーが登場するというパターンが1回だけ存在する。
- なお、第2次スーパーロボット大戦OGにおけるバラルの「総人尸解計画」、第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇におけるサクリファイの「エタニティ・フラット」、魔装機神Fにおけるヨーテンナイの「静死の柩」はいずれも時間を停止させる計画である。
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