カリ・ユガ
カリ・ユガ(Cari yuga/कलियुग)
- 登場作品:バンプレストオリジナル
- 声優:松井菜桜子
- 種族:宇宙を救済する神であり、破壊する悪魔
- 全高:1999.0m以上
- 重量:不明
- 性別:外見上は女
- 年齢:それに意味はない
- デザイン:Mがんぢー
『スーパーロボット大戦UX』のラスボス。宇宙の可能性と命を無に還すために現れた「悪魔であり、神」(道明寺曰く)。その存在理由や意志は固く、超長期的な視点で宇宙を守護しようと試みる。
名前の由来であるカリ・ユガとは、インド哲学において循環すると考えられている4つのユガの最後の段階で、罪が4分の3を占めている。
なお役割としてはそのカリ・ユガを滅ぼし、新たな世界を築く神カルキ(Kalki/कल्कि)のポジションである。
存在
外見としては、頭部に獅子を象る兜、杯・ワンド・剣・「浄化の槍」を持った八本の腕と身体を取り巻く白蛇、そして極光の翼を持った女神であるが、大きさがあまりにも巨大。翼を構成する羽の一つ一つは全てしもべたるリヴァルナであり、自身の攻撃は手に持った「浄化の槍」で行う。
なお、生身の人間のような姿をしてはいるが、装備品のように見える部分は全て体の一部であり、実際の所は機械に過ぎない(マシンという意味ではなく、「カリ・ユガ」というユニットはUX宇宙を守護するための「システム」である)。
彼女(厳密に言うと新たなユガ=輪廻を生み出すシステム)の存在は『UX』の世界観そのものに密接に関連している。数多の並列世界とリンクし、そこからやって来た異邦人達が織りなす物語……というのが本作の基本だが、実はそこからして違う。実際には「マクロスF」「SDガンダム三国伝」「忍者戦士飛影」「聖戦士ダンバイン」の面々は並列世界の出身ではなく、終焉を迎えた前の宇宙から、「可能性の声」を聞いて「始まりのもとに集った」存在である。
無限輪廻とカリ・ユガ
『UX』の宇宙は、アーニー達をはじめ多くの人間が耳にした「集え、始まりのもとに」というフレーズが全てを示している。この宇宙は「すべての可能性が集う場所」であり、同じような戦い、同じような歴史を幾度も幾度も幾度も、それこそ数え切れなくなるほどに繰り返しているのだが、その中で起きた事象は少しずつ違い(例えばある周回では誰かが死に、次の周回ではその誰かが生き延びている)、それら「可能性」の積み重なりが連鎖し、本編の物語が始まっている。本作においてはこの繰り返しを「ユガ」と呼ぶ。
そして、戦いの果てに地球が行き着く可能性は多く存在する。その帰結の一つがマクロスの落下した地球であり、三璃紗であり、ショウ達の世界(バイストン・ウェル)であり、ヒトマキナの生まれた世界であり、バジュラの星であり、スクラッグの星であり、ラドリオ星であり、そして地球なのである。「声」に導かれた面子は、総じてこれら「可能性の未来」から「未来の過去」、つまりそれらの可能性の始まりであるUXの時代に降り立った面々である。即ち、かなり未来まで繁栄した場合もあれば、近々滅んでしまう可能性も存在している。それらの輪廻が繰り返される中で集約された魂の結晶こそが、オデュサイトを始めとする次元を超える意志を導く因子となる。
しかし、数多のループを繰り返す内にUXの面々が持つ無限の可能性は宇宙を圧迫、可能性を飽和し次なるユガへの輪廻を阻害する(詰まるところ宇宙崩壊寸前)までに至っていた。これを解消する手っ取り早い方法は輪廻を解放してしまう(=UX世界の根幹である無限ループを終了させる)ことなのだが、これを実行するとUX世界に満ちる「意志」が無限並行世界へ拡散し、「外なる宇宙」の侵食を招いてしまうという本末転倒な結果に終わってしまう。カリ・ユガはその「意志」を無へと戻し、飽和した無限の可能性を「混沌」へと還すことで次のユガを生み出すための存在である。
ノーヴル・ディランはこのカリ・ユガの存在に気づいており、無限の可能性を渾沌へ返すのではなく「全ての可能性を一つに収束する」ことで新たな未来へ導こうとしていたのである。
簡単に言うと、UX世界は輪廻の果てに数え切れないほどの可能性を積み重ねている(=ゲーム的に言うとスキルパーツや生存フラグの引継ぎなど)のだが、積み重ねる量には限界があり、これを超えると可能性を受け渡すことが出来ず、次のユガが生まれることが出来なくなってしまう。しかも、この繰り返しを途切れさせると世界を支える「意志」が散らばってしまい、「外なる宇宙」に侵食されてしまう。カリ・ユガはこれを防ぐため、積み重ねた可能性を一度消してゼロに戻し、また一から積み重ね直すためのシステムである。ノーヴルは逆に、積み重ねた可能性を一度整頓し、限界まで統合・圧縮することで次のユガを生み出す源とすることを狙っていた。
本編に該当するループでの顛末
ノーヴルを撃破したUXの前に現れ、その圧倒的な力で以ってすべての可能性を渾沌へ戻そうとしていたが「始まりのもとに集った」無数の命達の導きによって逆転され、最後はアーニーとサヤ、そして彼らの駆るオデュッセアの放った、魂の叫びたる一閃「エンド・オブ・リバース」によって討滅された。
その後「前」からやって来た面々は元の世界、即ちこの世界がこれから辿る「可能性」の中の一つ、己の生まれた時代へと戻って行った。厳密には「未来の、自分たちと同じ存在が次の宇宙に飛んだ直後」辺りに転移することになる。
なお、このカリ・ユガとの戦い自体も何度か繰り返されている。司馬懿が記し、後に三璃紗にて「G記」と呼ばれるようになった書にはこのカリ・ユガのことが書かれており、これを裏返すと「前のループの司馬懿がカリ・ユガのことを書いた=前のループでもUXはカリ・ユガを倒した」ということになる。が、本作のカリ・ユガの「始まりのもとに集った」無数の命に動揺した際の反応などを考えると、前のループではカリ・ユガにUXが敗北して世界が混沌に返された(αシリーズのアポカリュプシスに近いと思われる)後、生き延びた司馬懿が今回のループのUXに対し警告の意味で遺したとも考えられるため、前のループでの結末は不明である。
登場作品と役柄
- スーパーロボット大戦UX
- 前述の通りラスボスとして登場。自動回復はなく、低い回避に最低クラスの運動性と3Lというサイズなので攻撃をかわされることはまずないが、ダメージが全く通らない。重厚な装甲とガード、カンストの底力、気力限界突破も相まって、削れば削るほど通らなくなっていく。極限まで行くと、10段階改造の武器+熱血ですら数千のダメージに留まってしまう。場合によっては、魂をかけても10しか通らないという恐るべき事態になってしまう。
- しかし、カリ・ユガ戦で一番厄介なのは、何と言っても武器。全ての武器に特殊効果が付与されており、その後で周囲のリヴァルナやライオットXの追撃を喰らうと呆気なく落ちてしまう。スペック低下無効と精神耐性を両方とも持つフェイ・イェンHDを戦術指揮に据えれば安心だが、それでも今作は味方のサイズが小さめの傾向にあるのもあって、サイズ差から来る途轍もないダメージだけはどうしようもない。おまけに、出現時に回りをライオットが囲っているため、近づくだけでも一苦労。アヴァターラを撃破する前に、主力ユニットを近くに集めて待ち伏せるべし。ラスボスとしては射程が短いので、最初はアパレシオン+マークジーベンなど、二重の射程ボーナスで10以上にしたキャラで削るのもあり(固まっているとマップ兵器が飛んでくるが)。
- また、彼女のHPが70%以下になると自軍のHP・EN・SPが完全回復するため、事前に脱力を可能な限りかけておくというのも一つの手段だろう。
- ついでに言うと、実はサイズ差補正無視効果が「浄化の槍」にしか無く、カリ・ユガ本人もサイズ差補正無視を習得していない為、小型サイズの多い本作ゆえ気力を落とすだけで命中率がガタガタになったりする(本作の「サイズ差補正無視」は小型に対する命中低下も無視できる為)。ただしこれは最初の内の話で、削っていくと底力補正のおかげで命中が跳ね上がる。油断せず、精神コマンドを使って確実に対処するコト。
- ちなみに、このユニットを見て真っ先に感じるのはその巨大さだろう。能力画面では顔どころか上半身がまるで映っておらず、MAP兵器や特殊コマンドに巻き込んで簡易戦闘にすると、一人だけユニットグラフィックが異様にデカい(勿論、バストサイズも歴代のオリキャラの中でもトップクラスの桁違い振りである)。
パイロットステータス設定の傾向
能力値
回避は低いがそれ以外の能力は無茶苦茶な高さを持つ、正真正銘の怪物。それなりに改造や育成を施したキャラをぶつけないとまるで歯が立たない。当然の如く敵味方含め第一位の能力。ちなみに次点は飛影。
特殊スキル
- 2回行動 底力L9 援護攻撃L3 気力限界突破 カウンター ガード 全体攻撃L3 指揮官L4
- 完全な耐久型のラインナップ。不幸中の幸いか、行動順番の関係で援護攻撃は死にスキル。高い技量ゆえ、カウンターがかなり厄介。底力L9とガード、素の装甲の硬さが合わさって凄まじい硬さを発揮する。
底力による最終的な装甲の実値は4750と、ここ最近のスパロボではまずお目にかかれない値になってしまう。
装備・機能
武装・必殺技
- 終末の光
- 身に纏った蛇から放った光を敵の真上で収束させ、打ち落とす。照準値・運動性低下の効果がある。
- 御使いの羽
- 光の羽から無数のリヴァルナを射出、それらを合わせて一つの巨大な神僕とし、敵を攻撃させる。能力半減の効果があるが、至近距離の敵にはこれしか撃てないため、精神耐性持ちをこの距離からぶつけるのがベター。ついでに言うと99発撃ち切らせると隣接マスへの反撃手段が消えるが、そんなことをする前に決着を付けた方が良い。
- 浄化の槍
- 手に持っている大槍を投擲して、敵を破壊する。MAP兵器版の方は気力・攻撃力低下、通常兵器版の方は射程・移動力低下と厄介極まりない。MAP兵器版の射程が結構長いので、前線から下がっているユニットが狙われないように注意。
前述の通りこの武器にはサイズ差補正無視の効果があるため、小型のユニットは出来るだけ近寄って戦った方が良い。ちなみに、二回行動してくるが、MAP兵器を二連射することはない。 - ラスボスには珍しく(前例がなかったわけではないが)、とどめ演出がある。
特殊能力
- EN回復L
- 当然のように所持。しかし、カリ・ユガの堅さでHP回復まであったら、下手をすると詰みかねない。
- オールキャンセラー
- 当然の如く所持。
移動タイプ
サイズ
- 3L
- 本作のユニットでもっとも巨大。大型の少ない本作ではサイズ差によるダメージが半端ではないが、サイズ差による命中逆補正もその分でかい。よって「当たれば落ちるが、なかなか当たらない」という状態になる。
機体BGM
- 「ユガの終焉」
- 専用曲。イベント後は優先度が最低になり、味方の曲が優先されるようになる。
人間関係
版権作品との人間関係
- ナイア
- 幾度も幾度も時間を繰り返す状況を作った元凶といえる存在。自分の野望を達成するべくループを繰り返したのがそもそもの原因で、カリ・ユガが現れたのは、言うなれば彼女の後始末をつけるためである。
- ゴゴール、ショット・ウェポン他
- 声に導かれて集まった存在。その実体は、この世界で可能性を生み出し、育てるための必要悪として呼ばれたに等しい(スクラッグが来なければヒーローマンも生まれなかった、など)。
名台詞
- 「はじまりは、ひとつでした…」
「そこから数多の意志が芽生え、数多の命が生まれた…」
「それらの可能性を閉じる時が、ついに訪れたのです」
「さあ還りなさい、終わりのもとへ―」 - 登場時の台詞。また、これらの台詞はDVEで収録されている。
- 「ここにいるはずのない者たち…。あなたの可能性が、宇宙の命を奪ったのです」
「あなたの命が、今そこにある事…。それがすでに、宇宙を脅かしているのです」 - 隠しキャラに対する戦闘台詞。
- 「なぜ、還ろうとしないのです」
「輪廻の理から外れては、新たなユガは拓けぬというのに…」 - HPを70%以下まで減らすと会話イベントが発生、この台詞と共にHPが最大まで回復するが…
- 「こ、これは…なぜ!?」
「無に還ったはずの命がどうして…!」
「!? こんな…こんなことが!」
「に、人間が…新たなユガを!?」
「終わりから、始まりが…!」 - 「始まりのもとに集った」無数の命に動揺して。なお、この会話イベントでは全味方ユニットのHP・EN・SP・気力が全回復する。
- 「なぜ…どうして…!?」
「ありえない…あってはならないことが!」 - 撃墜時の台詞。
- 「の、飲まれてはいけない…」
「私が消えれば、この宇宙は…!」 - 撃破後。再びHPが回復し、最後まで抵抗を試みるが…。
- 「ああ…あああああ!」
- オデュッセアとのイベント戦闘での撃墜台詞。松井菜桜子氏の熱演も相まって、壮絶な断末魔となっている。
- 「な、なぜ…!」
「無をも超えるもの… そんなものが、有るはずが…!」
「あああぁぁぁぁぁーっ!」 - イベント戦闘後の台詞、および最期の断末魔。
関連機体
余談
- 歴代の作品において人造神や破壊神、それに近い存在がラスボスを務めた作品は多いものの、本物の神がラスボスとなった作品は版権スパロボでは本作が史上初である(それ以外にも希有な存在として人の身のまま神に等しい力を手に入れた男がいる)。神がラスボスとして登場したのは、クトゥルフ神話の神々が作品の重大要素となっている『機神咆吼デモンベイン』が参戦している影響だろうか。
- カリ・ユガ本人は中立的な立場で悪意はなく、あくまで自分の使命をこなそうとしているだけという歴代ラスボスの中でも珍しい存在(しかも、他人の後始末を押し付けられている)。にも関わらず、大多数のキャラから痛烈な批判(刹那・F・セイエイにいたってはリボンズと同じだとまで断言する)を浴びた末に撃墜されて最後は消滅させられるという展開から、プレイヤーからシリーズでも1、2を争う不憫なラスボスと評される事も多い。とはいえ、やろうとしていることは世界のリセット=UXの戦いと存在、積み重ねた可能性の完全否定であるため、「敵」と断じられるのは仕方がない。この辺は方法論の違いで激突を余儀なくされたデウスエクスマキナに似ている(何の因果かこいつも「神」)。
- 登場の際には5×5マス分の巨大な魔法陣が現れ、その中央にカリ・ユガが出現する…のだが、この魔法陣を自軍ユニットで塞ぐと自軍ユニットではなくカリ・ユガが魔法陣の外に締め出されて登場するという情けない状態になる。
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