一色真
一色真(Makoto Isshiki)
バーベム財団から送り込まれた地球連合監察官。物語後半で功刀仁を失脚させてTERRA臨時司令となる。「人間関係は全て利害関係でしかない」が信条。
少年時代は素直で優しい性格だったが、現在は傲慢かつ嫌味な性格で、周囲の人物からは非常に嫌われており、「白ヘビ」という蔑称をつけられ、陰口を叩かれている。
物語序盤はサラリと嫌味を口にして、他人を不愉快にさせる小姑的ポジションだったが、七森小夜子と男女関係を持つ辺りから野望が表面化。臨時司令の任に就いた頃には、絶対的権力者としてのワンマンぶりを最大限に発揮させる。
物語終盤、自らが指揮を執る『ダウンフォール作戦』により『TOKYO JUPITER』の絶対障壁を消滅させるも、地球的規模でMUの増殖を許すと言う最悪の結果を招いた事で、臨時司令の座を追われ身柄を拘束される。予測し得なかった事態へ乱心するその姿に、嘗ての自信家としての面影は残っておらず、やがて彼の精神は崩壊していく事となる。
その後、独房から脱走した彼は殺戮を繰り返しながらバーベムの許へと辿り着くが、既にヘレナの肉体へと精神を転移していたバーベムから、自らが彼によって造られた人造人間である事を知らされ、(しかも、そこに到着するまでに殺害してきた兵士達は彼の分身であった)「出来損ないのD」と嘲笑されながら、哀れな最期を遂げた。
基本的に嫌味な性格で人から嫌われやすいが、根は優しい人物である。
尤も、優しい性分をあまり出さない上、SRWではそういった描写は一度も描かれていないが、PS2ソフト『蒼穹幻想曲』では、そんな彼の様々な意外な一面を知る事ができる。飼い主を見失った猫を見て嫌味を吐きつつもミルクを差し出し、その無邪気ぶりに苦笑いするなど、間違いなく作中一心優しい人物で、ささやかな幸福を意識の奥底から望んでいることが彼のエンディングでわかる。
ちなみに、ドラマCDではその嫌味な性格が災いして、TERRA全女性職員アンケートで「口先だけっぽい男」「爬虫類っぽい人」「変態っぽいHをしそうな人」「恨み日記をつけていそうな人」の四冠を成し遂げていた事が判明し、さらにバレンタインデーに誰からもチョコレートを貰えず、久遠に貰っただけで号泣するほどキャラが崩壊した。(もっともドラマCDの内容自体、ドタバタコメディであるが)
登場作品と役柄
- スーパーロボット大戦MX
- 概ね原作準拠で原作通りにTERRA臨時司令になるが、異星人などに対しても差別意識や偏見を抱いており、更に原作と違って彼の本来の人間性を垣間見られる場面が一切無いため、原作以上に嫌味な性格の人物として描かれており、殆ど悪役同然の扱いである。ケーンには白ヘビ呼ばわりされ、京四郎には三輪長官と同類扱いされるなど、マグネイト・テンのメンバーに嫌われていた。原作同様『ダウンフォール作戦』に失敗、更には錯乱の余り九鬼正義のラルゴへミサイル攻撃を行うという醜態を晒し更迭。以降は姿を消すが、最終話間際に突如現れヘレナの肉体に精神転移したバーベムの手で屠られた。原作と異なり、脱走時の経緯は省かれている。
- スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd
- 概ね原作準拠。MXと同じくほぼ悪役同然の扱いで、味方サイドからの嫌われっぷりも相変わらず。ギルバート・デュランダルを激しく敵視していた。
人間関係
- 如月樹、ヘレナ・バーベム
- 昔からの付き合いで、共に奏者候補として育てられた。特に樹とは同じく「代用品」である立場にあって、苦悩と秘密を共有していた。
- 紫東遙
- TERRA臨時司令の座に就任した際、彼女を直属の情報解析士官に据え、プライベートでも親密な関係を築こうとするも彼女の他愛のない悪戯に激怒し、その任を解くという大人げのなさを露呈した。ヘレナ曰く「樹の好きなものは何でも欲しがる」という悪癖ゆえ、遙に手を付けようとしたらしい。
- 七森小夜子
- 自分に惹かれ始めている彼女の心理を見透かし、利用する。遙と同様の理由で、彼女にも接触を図った節が有る。
- 美嶋玲香
- 「ハルカ」を名乗り、突如TERRA本部に現れた彼女から精神操作を受け、「幹部候補生」として少尉の階級を与えた。外出する際には秘書として彼女を同行させる事が多い。『ダウンフォール作戦』の失敗により更迭された際には狼狽の余り彼女の名を叫び、その姿を追い求めていた。
- エルンスト・フォン・バーベム
- 実は彼によって創造された。MXでは原作と異なり、彼の手によって引導を渡される。
他作品との人間関係
- ブライト・ノア
- MX中盤、彼に監察官としての強権を発動し、絶対障壁を越え『TOKYO JUPITER』突入を目指すラーゼフォンへの追撃を、マグネイト・テンの戦力で行わせるべく恫喝にも等しい指令を通達するが…。
- 葛城ミサト
- MXでは序盤から何度か腹の探り合いを演じる。一色の嫌味な態度には、彼女も内心腹を立てていた。
- ベガ
- MXでは綾人がムーリアンであると知っても彼を仲間として受け入れているベガに対し、一色は彼女が異星人であるという理由で嘲笑してしまう。
- 竜崎一矢
- MXでは彼を「バーム星人に取り入った男」と嘲笑し、立て続けにマグネイト・テンの特殊な境遇のメンバーを蔑視するような発言をしたため、彼の激しい怒りを買う。
- 夕月京四郎
- MXでは差別と偏見に満ちた一色に辟易し、彼を三輪防人の同類であると断じた。
- ケーン・ワカバ
- MXでは彼にも面と向かって「白ヘビ」呼ばわりされた。
- ロム・ストールとその仲間達
デューク・フリード
グレース・マリア・フリード
草薙北斗
ホシノ・ルリ
マキビ・ハリ
秋津マサト
氷室美久
綾波レイ
ヒューゴ・メディオ - MXにて脱走した綾人の事をマグネイト・テンのメンバーが擁護した際、ベガと一矢を嘲笑し、立て続けに「得体の知れない連中」、「異星人」、「異星人との混血」、「遺伝子操作で生まれた人造人間」、「サイボーグ」とマグネイト・テンの特殊な境遇や生い立ちのメンバーを嘲笑し、大いにマグネイト・テンのメンバーの怒りを買う。もっとも、一色自身の正体が彼が嘲笑した「遺伝子操作で生まれた人造人間」である事を考えると、あまりにも皮肉な事なのだが。
- 三輪防人
- MXにおいて直接絡むことはないが、前述の京四郎の項にあるように彼によって三輪の同類と断ぜられた。軍上層部でも強引な手段を使う一色が三輪の二の舞を犯す可能性を危惧していたが、結局その通りとなってしまった。ちなみに、今作での一色の死亡と三輪の戦死は同話で描かれている。
- 碇ゲンドウ
- MXではネルフに保護された綾人の引渡しを彼に要求するが、拒否される。
- ギルバート・デュランダル
- SC2では彼の提唱するデスティニープランに露骨なまでの嫌悪感を示しており、彼に対しても激しい敵意を抱いていた。デュランダルが倒れたときには彼とデスティニープランを嘲笑し、罵り、同時に「Aフォースがやらなくても自分がデュランダルを倒すつもりだった」と豪語した(樹には「君では無理だ」と内心毒づかれるが)。
名台詞
- 「我々が君を連れ出すのに一体どれだけの犠牲を払ったか…。君、無自覚は罪だよ…」
- テストで結果を出せない綾人に対しての台詞。
- 「俺を…Dと…呼ぶな…」
- 側近との銃撃戦で相打ちとなり、バーベムに「出来損ないのD」と嘲笑されながら、事切れる寸前に呟いた最期の台詞。撃たれた直後に見せた少年時代を思わせる無垢な表情が、何とも言えぬ憐れみを誘う。
- 「凛々しい姿、明晰なる頭脳。世の女たちは未来の王に群がる」
「次回、ラーゼフォン第九楽章・一色真のモテモテ大作戦。世は音に満ちて・・・」 - ラーゼフォンのドラマCDを締めくくる迷言。直後に樹から、「何してるんですか?」と突っ込まれる。
- 「……ああ、ずっと言いたかったんだ、その言葉を……ずっと言いたかった……愛してる……」
- ゲーム版「蒼穹幻想曲」一色エンドの最後で発する言葉。彼の本当に望んでいたこと――愛し、愛される事。創世された世界でやっと手にしたささやかな幸福の中で、彼は愛する妻と子と共に生きていく。スパロボユーザーや視聴者が見れば彼に対するイメージが変わる。
スパロボシリーズの名台詞
- 「TERRAは対MU戦略機関だ。あのような怪物を相手にするために造られた組織ではない」
- MX中盤、ドラゴノザウルスへの初期対応に失敗した責任を鉄也のみに押し付けた際、アスカから浴びせられた批難を上述の言い訳で切り返す。
- 「異星人であるあなたに口を挟まれるいわれはありませんな」
- 上述にある通りの、MXの中盤で綾人を擁護したベガに対しての差別的な発言。
- 「君達の物好き…失礼、心の広さには感動すら覚えるよ」
- 上記の台詞の後に一矢をも嘲笑し、更に立て続けに「得体の知れない連中(ロム一行)」「異星人(ベガ、デューク、マリア)」「異星人との混血(北斗)」「遺伝子操作で生まれた人造人間(ルリ、ハーリー、マサト、レイ)」「サイボーグ(美久、ヒューゴ)」と、マグネイト・テンに集う「地球人類以外の存在」を侮蔑・嘲笑し、挙句に放った嘲笑。憎まれ役ここに極まれリといった感のある台詞で、MXでの彼の立ち位置を端的に表している。
- 「くっくっく・・・死んだか、ギルバート・デュランダル。」
樹「嬉しそうだね・・・」
「当たり前だ・・・!遺伝子に決められた運命を生きる運命など許せると思うか?そうだろう?他の誰が認めたとて、この私が許さん。この、一色真が…!」 - SC2にてデュランダルが倒された後、デスティニープランとデュランダルを嘲笑し、罵った際の台詞。後の一色の末路を考えると、皮肉極まりない台詞であると言える。
- 「Aフォースがやらずとも、いずれこの私があの男を葬っていたさ!」
- 直後にこの大言壮語。当然樹に「君に出来たとは思えない」と心中毒づかれる。