ネルフ
ネルフ(NERV)とは、『エヴァンゲリオンシリーズ』に登場する組織。
概要
箱根付近に建設中の第3新東京市に本部を置く、国連所属の特務機関。国連直轄の非公開組織本部「ゲヒルン」を前身とし、ゲヒルンの時期より碇ゲンドウが司令官を務める。対使徒用の決戦兵器である人造人間『エヴァンゲリオン』を極秘裏に開発、配備していた。日本の他にも、アメリカやドイツ、中国等に支部が存在している。
対外的にはサードインパクトを防ぐ為、使徒の調査、研究、殲滅を遂行する為の組織と説明されており、特に日本の本部は国連所属による広範囲な特権によって、使徒殲滅作戦時における指揮権のほぼ全面的な委任だけでなく、試作兵器の徴発、事後処理における報道管制や情報操作等、数多くの超法規的措置が許されている。この為、基本的に従わざるを得ず、意見すらもろくに認められていない立場にあった戦略自衛隊や日本政府だけでなく、他のネルフの支部からもかなりの反感を買っており[1]、EVA3号機、4号機に関しては、エヴァンゲリオンを保有していなかったアメリカ支部側が強引に建造権を主張していた。
作中及びスーパーロボット大戦でも、表向きは「使徒殲滅専門の正義の味方」となっている[2]が、世界の裏で暗躍する秘密結社「ゼーレ」の目的達成の為の実行機関という側面も持っている。真の設立目的はゼーレによる出来損ないの群体として既に行き詰まった人類を「完全な単体」…つまりは「使徒と同質かそれをも超えた生命体」として人工進化させる「人類補完計画」の実行にあり、エヴァンゲリオンの建造や使徒の殲滅も、計画達成の為の途中経過に過ぎなかったのである。ただしこれは極秘事項であり、一般大衆はもちろんネルフ職員達の大多数も、この事実を知らされていない。その目的の為に裏で様々な暗躍も行っており、ネルフ以外の対抗組織の台頭は徹底的に潰す方針を取っている。TVシリーズ第7話ではジェットアローン(SRW未登場)の開発を裏工作で開発中止に追い込み、碇シンジらの第3新東京市クラスメートの親らには多額の裏金で従わせ、組織の実態を知る者には暗殺も平然を行っている(司令官のゲンドウにとって利用価値があった事から、加持リョウジのみは対象外とされている[3])。ただし、本部と半ば対立関係にあったアメリカの第2支部で発生したEVA4号機の暴走事故に関しては、本当に予想外の出来事だったとされている。
しかし、司令官のゲンドウは、ゼーレにとって重要なファクターである「第1使徒アダム」を加持に横流しさせる等、あくまでも自らの意向で補完計画を達成させようとし、ネルフの組織そのものを事実上私物化し続けた結果、最後の使徒である渚カヲルの殲滅後、A-801(ネルフの持つ権限が実質的に権利剥奪される)が発動。ネルフ本部はゼーレを敵に回す事になってしまい、情報操作によって「ネルフ(日本本部)がサードインパクトを発生させようとしているテロリスト集団」と認定された事で、日本政府や戦略自衛隊、他のネルフの支部も全面的に敵対される事になる。本部制圧の第一段階として、日本国外のネルフ支部からMAGIの同型コンピューターを用いたハッキングによる制圧作戦が展開されるが、赤木リツコが構築したプロテクトによって失敗。ゼーレによって直接的な制圧へと変更され、第二段階として戦略自衛隊による殲滅行動を受ける事になった。ネルフには、戦闘訓練を受けた警備兵は存在するものの、殺人はおろか対人戦闘にすら不慣れな者が多い為、戦闘のプロである戦略自衛隊の圧倒的な戦闘力に敵うはずも無く、警備兵だけでなく職員達も次々と虐殺されていき、テロリスト認定されていた事から投降すらも認められなかった。結果的にネルフの職員達はゲンドウの個人的エゴの為に犠牲になってしまったと言っても過言ではない。
なお、TV版最終話に描かれた「一つの可能性の世界」でのシンジ達が通う中学校は「ネルフ中学校」となっている。
スパロボシリーズにおいて
TVシリーズ、並びに旧劇場版設定での参戦においては、ゲンドウが秘密を教えず、EVAを派遣したりと謎の部分が多いが、終盤にその行動理念がわかるというのが大半。劇場版準拠で2度襲われているが、使徒とは違う強さをもつ敵を相手にするなど、結構悲惨な目に遭っている。登場作によっては、主要メンバーは生き残る事があっても、その他多くはいずれも特殊歩兵部隊の襲撃を受けている為におそらく原作通りに死亡していると思われ、余計に気の毒な話である。 新劇場版設定の場合は、原作が未完の段階での参戦が多々あったということもあり、人類補完計画の中断を余儀なくされる場合が多く、余計に謎めいた組織となっている。なお原作で見られた同業者(云わば他作品の組織)への裏工作はあまり行わず、むしろMXのようにその存在を活用する事も。これは、迂闊な暗躍を行う事で、ある意味ではゼーレ以上に厄介と言えるプレイヤー部隊を敵に回さない様にする為とも言える。
登場作品
旧シリーズ
- スーパーロボット大戦F
- 初登場作品。
- スーパーロボット大戦F完結編
- 主要メンバーの多くがロンド・ベル出向となったため寂しくなる(冬月コウゾウ談)。隠しシナリオでは再生した使徒軍団に襲い掛かられる。正規エンディングでは人類補完計画を嫌った加持リョウジにより自爆、消滅させられた。
αシリーズ
- スーパーロボット大戦α
- 映画版の展開が初めて導入されたため、原作同様に襲撃を受ける。しかし、攻撃をするのはゼーレの子飼いとなったティターンズとなっており、特殊工作員による白兵戦のみならず、モビルスーツやMDシステムを搭載したガンダムMk-IIが相手という、圧倒的不利な状態となっている。生き延びた主要メンバーの一部は冬月を除き、ヱクセリヲンに乗艦することに。
- EDにてゲンドウは行方不明、EVAも太陽へと投棄される事になり、組織も解散となったが……
- 第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ
- αで事実上解散していたが、突如復活したゲンドウの命により主要メンバーはイカロス基地に出向となる。今作では前作の使徒が一部復活。その後劇場版後半が再現。
Zシリーズ
- 第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
- 新劇場版の設定で登場。今作では世界ごと転移してきたのだが、数ヶ月で相当の権力を握るに到っている。
- その裏にはクロノが手をまわした形跡が見られる。
- 第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
- 序盤でエヴァの世界が時空震動で消失してしまうため、組織としての出番はほぼ無い。
- ただし、アスカやマリの台詞から察するに、その後は『Q』原作同様の行動をとっていると思われる。
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦L
- 新劇場版設定で登場したが、第8の使徒消滅後、高蓋然性世界の存在により人類補完計画の続行が不可能であるため、NERVで事実上解散したEVA各機をLOTUSに出向させる。
Scramble Commanderシリーズ
- スーパーロボット大戦Scramble Commander
- 珍しくEVAがあちこちに出向してまわるため、出番はあまりない。戦場になる事は皆無である。
VXT三部作
- スーパーロボット大戦V
- 新劇場版設定。第10の使徒襲来以降使徒が現れなかったため(実際には現れているが)困難ルートでは待機状態になっているも存続している。
単独作品
- スーパーロボット大戦MX
- 原作をほとんど再現しているが、オリジナル設定で欠番の使徒がいることが判明(他作品でも一部の使徒が登場していない展開はあるが…)。なお、今作でここを襲撃するのはドラグーン部隊が中心であるのだが、雷のオムザックが主力となっている上に、それを指揮するのがよりにもよって三輪長官という最悪な展開。
- ネルフのメンバー達はゲンドウとリツコ以外は終盤で無事に保護された事で死亡しないが、あくまでも主要メンバーのみである為、その他多くはやはり殺されてしまったと思われる。EDでは加持以外の生存組はTERRAに移籍しており、事実上TERRAに吸収される形となった。
- スーパーロボット大戦Card_Chronicle
- 「偽りの宇宙」ではアロウズに組み込まれそうになった為、自軍に合流する。
- スーパーロボット大戦DD
- ワールド2に登場する。
主な人物
- 碇ゲンドウ
- 司令。ネルフを事実上我が物としたため、ゼーレに付け入る隙を与えてしまう。
- 冬月コウゾウ
- 副指令。
- 赤木リツコ
- 主任科学者。
- 葛城ミサト
- 作戦課長。化け物相手の使徒に無茶な作戦ばかり立てている。幹部のなかではネルフの暗部を全く知らない。番組後半でそれを知ることとなる。
- 加持リョウジ
- 内勤勤務。その正体はスパイ。
- 碇シンジ
- EVA初号機のパイロット。
- 惣流・アスカ・ラングレー / 式波・アスカ・ラングレー
- EVA弐号機のパイロット。新約版ではEVA3号機にも搭乗する。
- 綾波レイ
- EVA零号機のパイロット。
- 渚カヲル
- EVAのパイロットであるが、その正体は第17使徒タブリス。
関連用語
余談
- 『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』ともコラボしており、新幹線超進化研究所と500TYPE EVAを共同開発した。同業他社を徹底的に潰すネルフが何故彼らと協力したのか不明。
- この組織の名を冠したツイッターアカウントが実際に存在する。ただしなり切りではなく、気象庁と連携し、公式の承認も得た災害速報アカウントであり、スマートフォン用のアプリも配信されている。