「アマルガム」の版間の差分
細 (→登場作品) |
(→登場作品) |
||
30行目: | 30行目: | ||
「死の商人」の設定はたいていの版権作品の敵勢力に絡むことができるので大変便利なのだが、その反面、ほとんどの作品で他の勢力に尻尾を振ったり、影で手を組んだりしている為に「地球の組織でありながら早々に敵に寝返った裏切り者」あるいは「より長いものに巻かれる日和見組織」というイメージが拭えない。 | 「死の商人」の設定はたいていの版権作品の敵勢力に絡むことができるので大変便利なのだが、その反面、ほとんどの作品で他の勢力に尻尾を振ったり、影で手を組んだりしている為に「地球の組織でありながら早々に敵に寝返った裏切り者」あるいは「より長いものに巻かれる日和見組織」というイメージが拭えない。 | ||
− | + | またSRWでは『[[ガンダム]]』シリーズが必ず参戦しているため、[[アナハイム・エレクトロニクス]]の様な企業や、[[ブルーコスモス]]や[[ロゴス]]といった政治的バックを有する過激派団体も世界観に存在することがあるが、[[機動戦士ガンダムSEED]]』シリーズは原作終了後や別の並行世界扱いの設定であったり、『フルメタ』側が参戦時に原作で組織の全貌が明らかになっていなかった頃だったりと、結託する例はあまりない(『V』のように多少関係があったとされることもある)。 | |
=== [[Zシリーズ]] === | === [[Zシリーズ]] === |
2023年4月15日 (土) 12:27時点における版
アマルガムとは、「フルメタル・パニック! シリーズ」に登場する組織。
概要
世界を裏から操る秘密結社とでも呼ぶべき存在[1]。水銀とその他の金属からなる合金の総称である「アマルガム」を語源とする。
物語開始の約50年前から長きに渡り、世界を意のままに操ってきた巨大組織。組織としての目的は一意とは言えないが、その行為の大半はテロリストや独裁政権などへの援助・兵器提供などであり、世界各地で勃発している紛争の実質的な原因となっている。しかし後述するように拠点らしい拠点やリーダーと呼ぶべき存在もいないため実態が見えにくく、その存在は世間には全く知られていない。このため、「ミスリル」等のごく少数の例外のみが、アマルガムに対抗すべく様々な形で活動しているというのが実情である。 もっというとその「ミスリル」の中でもアマルガムのことを知るのは上層部のごく一部に限られており、原作小説版でのメインキャラクターは全員がアマルガムのことを知らされていなかった。そのため原作小説版では長いことアマルガムは「背後関係が謎のテロ支援組織」として扱われていて、その実態がメインキャラクター及び読者に明かされるのはかなり後期のことである。 主なメンバーは世界各国の要人、大企業の重鎮などで構成されており、ガウルンのように自ら戦闘に参加する武闘派はごく僅か。しかしそれぞれが表の世界でも権力者の場合が多く、個人で力を有している。
組織概要
アマルガムの組織としての特徴は「実質的なトップが存在しない」という点であり、各種金属の名を冠する複数の幹部達による、いわば「網の目状のネットワークそれ自体」がアマルガムという組織の本質である。幹部は互いの素性を知ることはなく、また各人にそれぞれ同等の権力が与えられており、組織としての方針はオンラインでの議論を通じて民主的に決定される。
その一方、場合によっては無秩序となりかねないこのような運営形態での集会を組織として成り立たせるために、自分の意志は一切表に出さず管理運営にのみ徹する「Hg(マーキュリー:水銀)」と呼ばれる人物が、上記の幹部達とは別に存在している。元々アマルガムとは水銀と他の金属元素との合金を指す語(また、広義には混合物全般を指す言葉としても用いられる)であり、管理者及び幹部に与えられているコードネームと一体的なネーミングであると言える。また、架空の金属を冠したミスリルとは対になっている。
その誕生は1948年の夏、じきに訪れるであろう冷戦構造に憂慮する主義も主張もイデオロギーも異なる五人の人間(アメリカ人の石油王、ロシア人の科学者、ドイツ人の元SS将校、日本人の貿易商、そして不動産王で暗号学者のイギリス人)が、人類の未来を望み結束した組織として結成された。アマルガムは確かに成果を上げていたが、時が過ぎゆくうちに創設者達は引退し、新しい構成員が入り、徐々にその性質は変貌を遂げていった。そしてそれがもはや修復不可能な状況になったのが、成立から20年になる1960年代も終わりのベトナム戦争の頃であった。気付かぬうちに組織内部においては戦争が終わると不利益を被る人間が増えていき、そしてこの頃からアマルガムの行動は各自の既得権益を守るため迷走を始めてしまう。
この迷走状態を憂い、これを打破し対抗する為にミスタ・Hg(マーキュリー)によって作られた組織がミスリルである。よって、アマルガムと言う名はミスリルに対抗して名づけられたのではなく、ミスリルがアマルガムに対抗して付けられた名である。しかし数々のアマルガムが絡んだ事件をミスリルが解決していったことで、アマルガムはミスリルを無視できなくなっていき、今まで「見逃されていた」ミスリルはアマルガムへの先手を打つ前に『つづくオン・マイ・オウン』にて総攻撃を受け、逆に壊滅状態に陥ることとなった。
だが、ミスリルを崩壊させたことで世界をアマルガムが支配する状況は変わらない様に思われたが、徐々にアマルガム側に歪みが生じ始めた。
ミスリルを壊滅させたことでアマルガムへのブレーキ役はいなくなり、さらにレナードが自分の目的である『世界改変』のためにカリーニンをミスタ・Kに引き入れる、かなめを誘拐する等活動を本格化すると、レナードの勢力拡大を恐れたミスタ・Auが他の幹部と共謀してレナードを排除しようとしたが失敗。その一派も消えたことで、事実上レナードをトップとするピラミッド型の組織にアマルガムは変貌してしまい、運営役だったミスタ・Hgは組織に不要になり隠居してしまう。
そしてレナードがかなめに銃撃されるといったアクシデントなどの間に、ミスリルも「ARX-8レーバテイン」を完成させるなど残党が集結して反抗を行っていき、ニケーロ、ヤムスク11、メリダ島での戦闘の末に多大な犠牲を払いつつもレナード一派の撃破に成功。
一連の戦闘の結果、ピラミッドの頂点が崩されたことで根絶には至らなかったが、アマルガムの勢力は大きく弱体化することになった。
登場作品
原作では「世界を影から動かす黒幕」といった位置付けであるが、スパロボでそのあたりを強調してしまうと、他の版権作品の事件も裏で操っていたとなりかねなくなる。そのためスパロボにおいては影の黒幕という本来の側面はあまり目立たせないようにして、「死の商人」あるいは「戦争屋」という表向きの性質の方を強く押しだす傾向がある。また、上述したようにアマルガムの実態が読者に明かされたのはかなり後期のことなため、それ以前に開発されたスパロボではアマルガムを掘り下げることは長らくできなかったという理由もある。特に『J』や『W』ではテロリスト集団のように扱っており、現在もその認識のプレイヤーは少なくない。しかし前述の通り本来は世界の支配者という位置づけである。
「死の商人」の設定はたいていの版権作品の敵勢力に絡むことができるので大変便利なのだが、その反面、ほとんどの作品で他の勢力に尻尾を振ったり、影で手を組んだりしている為に「地球の組織でありながら早々に敵に寝返った裏切り者」あるいは「より長いものに巻かれる日和見組織」というイメージが拭えない。
またSRWでは『ガンダム』シリーズが必ず参戦しているため、アナハイム・エレクトロニクスの様な企業や、ブルーコスモスやロゴスといった政治的バックを有する過激派団体も世界観に存在することがあるが、機動戦士ガンダムSEED』シリーズは原作終了後や別の並行世界扱いの設定であったり、『フルメタ』側が参戦時に原作で組織の全貌が明らかになっていなかった頃だったりと、結託する例はあまりない(『V』のように多少関係があったとされることもある)。
Zシリーズ
- 第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
- 「アマルガム」名義の兵士が登場。また、ジェミニスやネオ・ジオンともつながるなど、今までに比べて活発に活動している。
- 第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
- 原作小説版の参戦に伴い、遂にミスリル及び自軍部隊と本格的に敵対する。レナードをはじめとするこれまで姿を見せていなかった幹部も登場する。
- 組織としては初のスパロボ本格参戦ということもあり、メインで敵対するシナリオも少なくないが、本作ではサイデリアルによる地球侵攻、全並行世界を巻き込んだ宇宙の大崩壊が近づく中での登場である事に加え、中盤であっさりと組織をレナード(とカリーニンに)掌握され、そのレナードが原作以上に小者臭く描かれていることも相まって、小粒なイメージが拭えない。
携帯機シリーズ
任天堂携帯機シリーズ発売当時は原作小説が未完結なことに加えいずれもアニメ版のみの参戦のため、組織の全容は明らかにされずに終わっており、独自の扱いが目立つ。
- スーパーロボット大戦J
- 組織の全貌が明らかになっておらず、幹部の中でもガウルンしか登場しない。
- スーパーロボット大戦W
- 序盤ではガウルンがマリーメイア軍やユーラシア連邦と、中盤からゲイツがバイオネットや火星の後継者と手を組む。その一方でレナード・テスタロッサは地球連合に技術供与を行い、その後にザ・データベースに関わる事に。
VXT三部作
- スーパーロボット大戦V
- 登場時点でレナードに組織を掌握されている。原作と異なる点として、カリーニンは当初からアマルガムのスパイということになっている他、『機動戦士ガンダムUC』のマーサ・ビスト・カーバインが元幹部だったという設定になっている。『第3次Z天獄篇』ではイベントのみの登場だったファウラー、サビーナ、カスパーの3人が戦闘にも参加する。
- なお本作でも『DESTINY』は参戦しているが、並行世界扱いなのでこれと言って絡みは無し。
単独作品
- スーパーロボット大戦DD
- ワールド3に登場。ブルーコスモスと結託したりもしているが、ザフトにもシンパがいるらしい。
人物
幹部
幹部クラスの人物は、皆金属元素に対応したコードネームを所持している。かなり流動的であり、過去に同じコードネームを持つ人間が3人いたこともあったと言う。
- ガウルン
- 宗介と因縁がある幹部の一人。コードネームはミスタ・Fe(アイアン)。
- ゲイツ
- アニメ版における組織の幹部。原作小説版の「ミスタ・K(カリウム)」に当たるキャラクターで、人物描写がかなり違う。
- レナード・テスタロッサ
- 組織の幹部でウィスパードでもある。コードネームはミスタ・Ag(シルバー)。
- アンドレイ・セルゲイヴィッチ・カリーニン
- ミスリルを裏切りアマルガムへ編入する。ゲイツ亡きあとミスタ・Kを引き継ぐ。
- ヴィルヘルム・カスパー
- クルツの師匠でもある狙撃手。コードネームはミスタ・Sn(テイン/錫)。
- ミスタ・Zn(ズインク/亜鉛)
- ミスタ・Au(ゴールド)
- アマルガムの幹部。表向きは日本政界の重鎮であり、コダールシリーズの開発と生産に強い権限と責任を持っていた描写がある。またベヘモスシリーズも作中登場した10機の内半数近くを動かす権限を持っていた。ガウルンの直接の雇い主でもあったらしい。他の幹部と共謀してレナードを抹殺しようとしたが失敗、逆にレナードの意向を受けたカリーニンに殺害された。ゴールドとその一派を粛清・一掃して己の賛同者を後釜に据えたことにより、レナードは組織の事実上の指導者として君臨することになる。SRW未登場。
- ミスタ・Hg(マーキュリー/水銀)
- 組織の管理人。他の幹部に口を出す権限は持たず、実態は調整役に近い。その正体はミスリルの創設者であるマロリー卿。アマルガム創設者の一人である不動産王で暗号学者のイギリス人は彼の祖父。
- ヨナタン・クルピンスキー
- 『フルメタル・パニック!アナザー』に登場。(当時の)コードネームはミスタ・Ni(ニッケル)。
実行部隊
- グェン・ビェン・ボー、ジョン・ハワード・ダニガン
- 金で寝返ったミスリル隊員。
- 夏玉芳(シャ・ユイファン)
- 夏玉蘭(シャ・ユイラン)
- クラマ
- サビーナ・レフニオ
- リー・ファウラー
- ビンセント・ブルーノ
- 元ミスリル作戦本部所属の人事担当書記官。アニメ第三期序盤、ブルーノの裏切りのため上司を殺されたマオは、捕縛する際に本気でキレていた。SRW未登場。
- アマルガム兵
機動兵器
- プラン1056 コダール
- ラムダ・ドライバを実戦投入した最初の機体。
- プラン1058 コダールi「ヴェノム」
- コダールの強化型。ガウルン・ゲイツが搭乗したが、いずれも宗介によって撃破されている。
- プラン1059 コダールm
- 完成度を高めた量産型。
- プラン1501 ベヘモス
- 40mの巨体を誇る対AS用ガンポート。ラムダ・ドライバがなければ駆動すらまともに出来ないが、ポテンシャルは圧倒的に高い。また改良型はプラン1502の番号が振られている。
- プラン1055 ベリアル
- レナード専用機。「翼」を持ち、オムニ・スフィアへのアクセスでラムダ・ドライバをフル稼働させることにより、飛行が可能となっている「世界で一番強い」AS。
- プラン1211 アラストル
- 対人型AS。原作終了後のアルの身体もこれ。
- プラン1065 エリゴール
- レナードの部下が搭乗するコダールの改良型。『天獄篇』『V』ではコダールiで代替されている。
- プラン0601 リヴァイアサン
- デ・ダナンに似た外観を持つ小型潜水艦。水中の戦闘機とも言うべき機動性を誇る。SRW未登場。
脚注
- ↑ 『フルメタル・パニック!』の世界ではアマルガムの決定により世界を意のままに操るシステムが既に完成している。類例を挙げるとすれば、世界の経済を裏から支配し尽くしているという設定のドクーガがやや近い。