「フェイルロード・グラン・ビルセイア」の版間の差分

提供: スーパーロボット大戦Wiki
ナビゲーションに移動 検索に移動
20行目: 20行目:
  
 
== 概要 ==
 
== 概要 ==
[[神聖ラングラン王国]]第287代国王[[アルザール・グラン・ビルセイア]]の長子。第一王位継承権保持者。第一章では治安局次長という国土防衛上の要職を務め、マサキたち魔装機操者の上司として国土防衛の指揮を執っていた(魔装機神操者には独立行動権が与えられているが、名目上は彼が上司にあたる)。妹セニア同様、「かくありたい」己というものをもっており、それこそが「力での解決を尊ぶ武人」である(「武人肌の王子」はあくまで彼が自身に課さんとする理想の姿であり、本質というわけではない)。
+
[[神聖ラングラン王国]]第287代国王[[アルザール・グラン・ビルセイア]]の長子。第一王位継承権保持者。[[セニア・グラニア・ビルセイア]]、[[モニカ・グラニア・ビルセイア]]の双子姉妹と[[テリウス・グラン・ビルセイア]]の兄であり、[[シュウ・シラカワ|シュウ・シラカワ]]ことクリストフ・グラン・マクソードとは従兄弟関係にある。
  
人の上に立つ王族として非常に強い責任感の持ち主で、軍事・政治等の各分野に自ら率先して参加している。とはいうものの真面目一辺倒というわけではなく、階級の立場を超えて魔装機操者と気さくに語り合う柔軟さも備えている好人物。多くの魔装機操者から篤い信頼を寄せられていた。たいていは相手が誰であろうと対等の立場で会話をするマサキが、一定の敬意を払っていた(タメ口ではあるが「殿下」と呼んでいる)数少ない人物でもある。
+
「魔装機計画」の最大の支援者であり、[[マサキ・アンドー]]を始めとする魔装機操者とも深い信頼関係で繋がっていたのだが、自らの身に起きていたある事実から、やがて悲劇に見舞われる事となる。
  
指揮官としての手腕は優れたものであったが、そんな彼の唯一と言っていい弱点が'''生来の魔力が不足していること'''であった。ラングランの王族には、政(まつりごと)への参加が要求されない代わりに「調和の結界」を維持するための高い魔力が必須とされており、王位継承権を得るためには魔力テストに合格する必要がある。新暦4948年頃、15歳の誕生日を迎えた彼はその試験に挑んだが、力及ばず不合格となってしまった。それを恥とした彼は血の滲むような修行(努力)を重ねた末、最後には薬物の助けまで借りて何とか再テストをクリア。見事継承権を勝ち取るも、その代償は大きかった。結果としてその身体を薬の副作用という名の病魔に蝕まれ、自らの寿命を大きく縮めてしまうことになるのだった。
+
=== 人物 ===
 +
緑色のウェーブの掛かった挑発が特徴的な美男子と呼ぶに相応しい外見が特徴。
  
ちなみに、この時の体験で思うところがあったのだろう。この数年後(4951年頃)、「精霊降臨」に失敗して大破した一号機の影響で廃棄処分にされかけた2体の試作機たちを前に再契約を自ら取仕切って儀式を執行。泉の精霊(ノルア)を降臨させた儀礼用魔装機ノルスとして生き残る道を与えている。
+
基本的に真面目な性格で、王族としても軍人としても高潔な理想と信念の持ち主。人の上に立つ者としての責任感も非常に強く、軍事・政治等の各分野に自ら率先して参加している事等から、[[ケビン・オールト]]や[[ラシル・ザン・ノボス]]、[[ファング・ザン・ビシアス]]といった部下達からの信頼も非常に篤い。とはいうものの真面目一辺倒というわけではなく、階級の立場を超えて魔装機操者と気さくに語り合う柔軟さも備えている好人物である。また、若さ故なのか、指導者の身でありながらも堅苦しさをあまり好んでいない面もあり、自由な気風のある[[鋼龍戦隊]]を羨ましがった事で、参謀格であるノボスに窘められてタジタジになってしまう一面も見せる。
  
[[魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL]]』第一章の頃は「隠行の術」を行使してラングランの展開する都市結界を難なく素通りして暗躍する「[[ヴォルクルス教団]]」の対応に苦慮している。他の分野では国の内外に潜む憂患とかつて服用した魔力強化薬の後遺症に苦しんでいたが、召喚された多くの地上人と重ねる親睦の中で一種の安らぎに近い労りを得ていたようだ。なかでも魔装機神サイバスターの操者に選ばれた[[マサキ・アンドー]]という日本人の少年との間に年齢を超越した運命的な繋がりを感じており、彼と熱い友誼を結ぶまでに至る。
+
地上世界から半ば強制的に召喚されていた魔装機操者達からも良好な関係を築き、彼等をラ・ギアスの危機を救ってくれる勇敢な戦士として尊重している。この為、相手が誰であろうとタメ口で会話をする世間知らずなマサキでさえ、話し方は同じでも一定の敬意を払っており、「殿下」と呼んでいる数少ない人物である。また、先見の明にも秀でており、周囲や妹達から「昼行燈」と比喩されていた[[カークス・ザン・ヴァルハレヴィア]]の中にある才覚を見抜き、彼をラングラン防衛の要の一人として重用している<ref>この時の判断に間違いはなかったのだが、後に彼の立案した「超魔装機計画」が却下された事や、左遷の件で庇いきれなかった結果、彼の不満を爆発させた上に野心に火を着けてしまう事態となった。</ref>。しかし、指揮官としての手腕は優れている一方、妹セニア同様に「かくありたい」己というものをもっているのだが、それは「力での解決を尊ぶ武人」であり(「武人肌の王子」はあくまで彼が自身に課さんとする理想の姿であり、本質というわけではない)、それを目指す為ならば自身の命をも顧みない危うさも秘めていた。
  
本章の終盤、教団の執行者達と共謀した『[[シュテドニアス連合国]]』特殊部隊の襲撃で起きたテロ(「魔力弾事件」)で父王を失い、自身も深い傷を負う(皮肉にもこの傷が彼の命を余命約1年までに縮めてしまう)。王都と王宮を覆い尽くす戦火の中に愛する弟妹(モニカとテリウス)を見失い、唯一傍にいたセニアを伴ってエオルド大陸の東方へ落ちのびる道を選択した。逃亡の日々のなか、責任感の塊のような彼が感じていたであろう焦燥は察するに余りあるだろう。
+
ラングランの王位継承者としては一位となっているのだが、実はモニカやテリウスと比べて、フェイルロードは'''生来の魔力が不足している'''という欠点を抱えてしまっていた。政(まつりごと)への参加が要求されない代わりに「調和の結界」を維持するための高い魔力が必須とされているラングランの王族にとって、これはまさに致命的な弱点であり、王位継承権を獲得する為に血の滲む修行と共に投薬処置まで施したのだが、継承権を獲得に成功した代償として、その寿命を大きく縮めてしまう事になり、これが後に[[デュラクシール|早まった行動]]へと走らせてしまうに至ったのだった。
  
「魔力弾事件」の直後、シュテドニアスの宣戦布告のもと「[[春秋戦争]]」が勃発する。病床のなかにあった王子は防衛線で確たる指揮を取ることもできず、ようやっと義勇軍を旗揚げした頃にはラングランの東部にカークスという男を中心とする新たな独立勢力が蟠踞していた。エオルド大陸西部の強国『バゴニア共和国』が参戦を見送り静観したことでカークス軍を抱き込む決定的な手段を欠いた王子は、事態の打開のため新たな「地上人召喚計画」を試みるのだった。
+
ちなみに、この時の体験で思うところがあったのだろう。この数年後(4951年頃)、「精霊降臨」に失敗して大破した一号機の影響で廃棄処分にされかけた2体の試作機達を前に再契約を自ら取仕切って儀式を執行。泉の精霊(ノルア)を降臨させた儀礼用魔装機[[ノルス]]として生き残る道を与えており、現在それらはセニアとモニカの姉妹によって大切に運用されている。
  
王子が行使した大規模な召喚魔法は何らかの要因で暴走を起こし、ラ・ギアス全土に大量の地上人と戦闘兵器が迷い込む異例の混乱が発生する(OGシリーズでは地上のみであったが、[[旧シリーズ]]では[[地球]]と[[バイストン・ウェル]]の双方を巻き込んだ)。「このまま地上人達の助力を得てシュテドニアスの撃退に成功したとしても、戦後処理で自分の犯した失態が暴かれてしまい、ラングランはラ・ギアス全国家の糾弾を免れない」……そう考えたフェイルロードは国土回復運動成功後も戦端の拡大を望み、即位と同時にシュテドニアス側に宣戦布告。超魔装機[[デュラクシール]]の威力に訴えシュテドニアスを屈服させるという、残り少ない命で自ら実行可能な解決手段へと走った。
+
=== 劇中の様相 ===
 +
==== 生い立ち ====
 +
神聖ラングラン王国にて、国王アルザール・グラン・ビルセイアの長男として生まれたフェイルロードは、真面目で心優しい人物として妹や弟達、多くの軍人や臣民からの信頼を集め、父・アルザールからも将来を期待されていた。自身もそれに応えようと、王族の身でありながら軍人の道を選び、やがては父から国王の座を引き継いで、ラングランのみならずラ・ギアス全体の平和を実現させる事を目指そうとしていた。
  
結局、彼の行動はマサキたち魔装機神操者により食い止められ、彼らに討たれることとなったが、最期の時に感じていたのは、重い責任と不運な宿命の中で味わうことの出来なかった穏やかな時間への憧れであった。最終的に敵対することになったとはいえ、彼の悲壮な決意にはマサキ達を始めとする多くの人物が同情しており、その悲しい結末を残念に思う者も多かった。
+
しかし、そんなフェイルにとって最大の挫折が訪れる。それは、王位継承権の獲得の為に必須となる高い魔力が自身に無かった事で、新暦4948年頃(LOE第一章の約10年前)、15歳の誕生日を迎えた際に魔力テストの試験に挑んだが、力及ばず不合格となってしまい、それを恥とした彼は血の滲むような修行(努力)を重ねた末、最後には薬物の助けまで借りて何とか再テストをクリア。見事継承権を勝ち取る事に成功するも、その代償は大きく、結果としてその身体を薬の副作用という名の病魔に蝕まれ、自らの寿命を大きく縮めてしまう事になってしまうのだった。
  
皮肉にも、魔装機計画のパトロンであった彼の死により、魔装機神操者達はラングランからの支援が受けにくくなってしまう。更に、マサキと[[ファング・ザン・ビシアス|ファング]]の確執の一因にもなってしまった。
+
==== 魔装機神LOE第一章 ====
 +
治安局次長という国土防衛上の要職を務め、マサキたち魔装機操者の上司として国土防衛の指揮を執っている。(魔装機神操者には独立行動権が与えられているが、名目上は彼が上司にあたる)。
 +
 
 +
「隠行の術」を行使してラングランの展開する都市結界を難なく素通りして暗躍する「[[ヴォルクルス教団]]」の対応に苦慮している。また、他の分野では、国の内外に潜む憂患とかつて服用した魔力強化薬の後遺症に苦しんでいたが、召喚された多くの地上人と重ねる親睦の中で一種の安らぎに近い労りを得ていたようだ。なかでも[[魔装機神]]の一機である[[サイバスター]]の操者に選ばれた[[マサキ・アンドー]]という日本人の少年との間には、年齢を超越した運命的な繋がりを感じており、彼と熱い友誼を結ぶまでに至っている。
 +
 
 +
本章の終盤、教団の執行者達と共謀した『[[シュテドニアス連合国]]』特殊部隊の襲撃で起きたテロ(「魔力弾事件」)で父王を失い、自身も深い傷を負ってしまう事になり、この傷が彼の命を余命約1年まで更に縮めてしまう事態となった。王都と王宮を覆い尽くす戦火の中に愛する弟妹(モニカとテリウス)を見失い、唯一傍にいたセニアを伴ってエオルド大陸の東方へ落ちのびる道を選択した。逃亡の日々のなか、責任感の塊のような彼が感じていたであろう焦燥は察するに余りあるだろう。
 +
 
 +
==== EX、第2次OG ====
 +
「魔力弾事件」の直後、シュテドニアスの宣戦布告のもと「[[春秋戦争]]」が勃発する。
 +
 
 +
病床のなかにあった王子は防衛線で確たる指揮を取ることも出来ず、ようやっと義勇軍を旗揚げした頃には、ラングラン東部にてかつて推薦した将軍であるカークスが、独立勢力を率いて蟠踞していた。しかし、この頃のカークスは野心に目覚め始めた上にラングラン上層部への不信感を募らせていた結果、思う様に協力を取り付けられず、エオルド大陸西部の強国『バゴニア共和国』が参戦を見送り静観した事で、カークス軍を抱き込む為の決定的な手段を欠いてしまう。この絶望的な事態を打開すべく、新たな「地上人召喚計画」を試みるのだったが、焦った行いが災いしたのか、自らが行使した大規模な召喚魔法は何らかの要因で暴走を起こし、ラ・ギアス全土に大量の地上人と戦闘兵器が迷い込む異例の混乱…地上世界で後に言われる「[[ラ・ギアス事件]]」が発生してしまう事になった(OGシリーズでは地上のみであったが、[[旧シリーズ]]では[[地球]]と[[バイストン・ウェル]]の双方を巻き込んだ)。
 +
 
 +
そんな中、地上世界から帰還したマサキや彼と協力関係にあった地上世界の人間達の力を借りた結果、何とかシュテドニアス連合の侵攻を抑える事に成功するのだが、おそらく自らの地上人召喚計画の失敗に気付いていたと思われるカークスには弱味を握られてしまう事になり、自分達とカークス軍の同盟を結ぶ条件として、弟であるテリウスの王位継承を承諾せざるを得なくなる。これは、テリウスを傀儡にしようと目論んでいたカークスによって実質的にラングランの覇権を握られてしまう事を意味していたが、当のテリウス本人が逃走し、苦肉の策として用意したテリウスの偽者についての発覚、更には本物のテリウスがシュウに連れられて姿を消す事になり、同盟の締結は御破算で終わってしまう。その後、焦ったカークスによる王都への軍事侵攻が行われるも、これも自身の派閥の総力によって撃退に成功する。
 +
 
 +
その後、[[ヴォルクルス教団]]の暗躍によって、破壊神[[サーヴァ・ヴォルクルス]]の分身体による混乱が巻き起こるが、自らの専用機としてセニアが完成させた超魔装機である[[デュラクシール]]に搭乗して、これの撃退に成功。しかし、分身とは言えヴォルクルスをも難無く圧倒したデュラクシールの強大過ぎる力に魅入られ、自らの余命幾許も無い身からの焦り、更にはこのまま地上人達の助力を得てシュテドニアスの撃退に成功しても戦後処理で自分の犯した失態が暴かれてしまう事でラングランがラ・ギアス全国家の糾弾を免れないと考えた結果、国土回復運動成功後も戦端の拡大を考える様になってしまう。そして、独断で簡易的に国王の即位を行ったのと同時に、シュテドニアス側に宣戦布告。デュラクシールを中心とする自国の軍の威力に訴え、シュテドニアスを屈服させるという、残り少ない命で自ら実行可能な解決手段へと走った。
 +
 
 +
結局、自らの早まった行動は、ラングラン以外の全ての国家を敵に回しかねない愚行としてマサキ達魔装機神操者により食い止められ、彼らに討たれる末路となった。最期の時に感じていたのは、重い責任と不運な宿命の中で味わうことの出来なかった穏やかな時間への憧れであった。最終的に敵対することになったとはいえ、彼の悲壮な決意にはマサキ達を始めとする多くの人物が同情しており、その悲しい結末を残念に思う者も多かった。
 +
 
 +
皮肉にも、魔装機計画のパトロンとも言えた彼の死により、ラングラン政府の腐敗が一気に表面化してしまう事態となり、魔装機神操者達はラングランからの支援が受けにくくなってしまう。更に、フェイルを崇拝していたファングとマサキの確執の一因にもなってしまっている。
  
 
== 登場作品と役柄 ==
 
== 登場作品と役柄 ==

2021年12月4日 (土) 23:17時点における版

フェイルロード・グラン・ビルセイア
外国語表記 Feilload Gran Bilseia
登場作品

バンプレストオリジナル魔装機神シリーズ

声優 置鮎龍太郎
デザイン 河野さち子(リファイン)
初登場SRW スーパーロボット大戦EX
SRWでの分類 パイロット
ラストボス
テンプレートを表示
プロフィール
種族 ラ・ギアス人
性別
年齢 25歳(「地上人召喚事件」)
職業 王族(第一位王位継承権保持者)
所属 神聖ラングラン王国
役職 治安局次長→第288代国王(戦後失効)
テンプレートを表示

フェイルロード・グラン・ビルセイアは「魔装機神シリーズ」の登場人物。

概要

神聖ラングラン王国第287代国王アルザール・グラン・ビルセイアの長子。第一王位継承権保持者。セニア・グラニア・ビルセイアモニカ・グラニア・ビルセイアの双子姉妹とテリウス・グラン・ビルセイアの兄であり、シュウ・シラカワことクリストフ・グラン・マクソードとは従兄弟関係にある。

「魔装機計画」の最大の支援者であり、マサキ・アンドーを始めとする魔装機操者とも深い信頼関係で繋がっていたのだが、自らの身に起きていたある事実から、やがて悲劇に見舞われる事となる。

人物 

緑色のウェーブの掛かった挑発が特徴的な美男子と呼ぶに相応しい外見が特徴。

基本的に真面目な性格で、王族としても軍人としても高潔な理想と信念の持ち主。人の上に立つ者としての責任感も非常に強く、軍事・政治等の各分野に自ら率先して参加している事等から、ケビン・オールトラシル・ザン・ノボスファング・ザン・ビシアスといった部下達からの信頼も非常に篤い。とはいうものの真面目一辺倒というわけではなく、階級の立場を超えて魔装機操者と気さくに語り合う柔軟さも備えている好人物である。また、若さ故なのか、指導者の身でありながらも堅苦しさをあまり好んでいない面もあり、自由な気風のある鋼龍戦隊を羨ましがった事で、参謀格であるノボスに窘められてタジタジになってしまう一面も見せる。

地上世界から半ば強制的に召喚されていた魔装機操者達からも良好な関係を築き、彼等をラ・ギアスの危機を救ってくれる勇敢な戦士として尊重している。この為、相手が誰であろうとタメ口で会話をする世間知らずなマサキでさえ、話し方は同じでも一定の敬意を払っており、「殿下」と呼んでいる数少ない人物である。また、先見の明にも秀でており、周囲や妹達から「昼行燈」と比喩されていたカークス・ザン・ヴァルハレヴィアの中にある才覚を見抜き、彼をラングラン防衛の要の一人として重用している[1]。しかし、指揮官としての手腕は優れている一方、妹セニア同様に「かくありたい」己というものをもっているのだが、それは「力での解決を尊ぶ武人」であり(「武人肌の王子」はあくまで彼が自身に課さんとする理想の姿であり、本質というわけではない)、それを目指す為ならば自身の命をも顧みない危うさも秘めていた。

ラングランの王位継承者としては一位となっているのだが、実はモニカやテリウスと比べて、フェイルロードは生来の魔力が不足しているという欠点を抱えてしまっていた。政(まつりごと)への参加が要求されない代わりに「調和の結界」を維持するための高い魔力が必須とされているラングランの王族にとって、これはまさに致命的な弱点であり、王位継承権を獲得する為に血の滲む修行と共に投薬処置まで施したのだが、継承権を獲得に成功した代償として、その寿命を大きく縮めてしまう事になり、これが後に早まった行動へと走らせてしまうに至ったのだった。

ちなみに、この時の体験で思うところがあったのだろう。この数年後(4951年頃)、「精霊降臨」に失敗して大破した一号機の影響で廃棄処分にされかけた2体の試作機達を前に再契約を自ら取仕切って儀式を執行。泉の精霊(ノルア)を降臨させた儀礼用魔装機ノルスとして生き残る道を与えており、現在それらはセニアとモニカの姉妹によって大切に運用されている。

劇中の様相 

生い立ち

神聖ラングラン王国にて、国王アルザール・グラン・ビルセイアの長男として生まれたフェイルロードは、真面目で心優しい人物として妹や弟達、多くの軍人や臣民からの信頼を集め、父・アルザールからも将来を期待されていた。自身もそれに応えようと、王族の身でありながら軍人の道を選び、やがては父から国王の座を引き継いで、ラングランのみならずラ・ギアス全体の平和を実現させる事を目指そうとしていた。

しかし、そんなフェイルにとって最大の挫折が訪れる。それは、王位継承権の獲得の為に必須となる高い魔力が自身に無かった事で、新暦4948年頃(LOE第一章の約10年前)、15歳の誕生日を迎えた際に魔力テストの試験に挑んだが、力及ばず不合格となってしまい、それを恥とした彼は血の滲むような修行(努力)を重ねた末、最後には薬物の助けまで借りて何とか再テストをクリア。見事継承権を勝ち取る事に成功するも、その代償は大きく、結果としてその身体を薬の副作用という名の病魔に蝕まれ、自らの寿命を大きく縮めてしまう事になってしまうのだった。

魔装機神LOE第一章

治安局次長という国土防衛上の要職を務め、マサキたち魔装機操者の上司として国土防衛の指揮を執っている。(魔装機神操者には独立行動権が与えられているが、名目上は彼が上司にあたる)。

「隠行の術」を行使してラングランの展開する都市結界を難なく素通りして暗躍する「ヴォルクルス教団」の対応に苦慮している。また、他の分野では、国の内外に潜む憂患とかつて服用した魔力強化薬の後遺症に苦しんでいたが、召喚された多くの地上人と重ねる親睦の中で一種の安らぎに近い労りを得ていたようだ。なかでも魔装機神の一機であるサイバスターの操者に選ばれたマサキ・アンドーという日本人の少年との間には、年齢を超越した運命的な繋がりを感じており、彼と熱い友誼を結ぶまでに至っている。

本章の終盤、教団の執行者達と共謀した『シュテドニアス連合国』特殊部隊の襲撃で起きたテロ(「魔力弾事件」)で父王を失い、自身も深い傷を負ってしまう事になり、この傷が彼の命を余命約1年まで更に縮めてしまう事態となった。王都と王宮を覆い尽くす戦火の中に愛する弟妹(モニカとテリウス)を見失い、唯一傍にいたセニアを伴ってエオルド大陸の東方へ落ちのびる道を選択した。逃亡の日々のなか、責任感の塊のような彼が感じていたであろう焦燥は察するに余りあるだろう。

EX、第2次OG

「魔力弾事件」の直後、シュテドニアスの宣戦布告のもと「春秋戦争」が勃発する。

病床のなかにあった王子は防衛線で確たる指揮を取ることも出来ず、ようやっと義勇軍を旗揚げした頃には、ラングラン東部にてかつて推薦した将軍であるカークスが、独立勢力を率いて蟠踞していた。しかし、この頃のカークスは野心に目覚め始めた上にラングラン上層部への不信感を募らせていた結果、思う様に協力を取り付けられず、エオルド大陸西部の強国『バゴニア共和国』が参戦を見送り静観した事で、カークス軍を抱き込む為の決定的な手段を欠いてしまう。この絶望的な事態を打開すべく、新たな「地上人召喚計画」を試みるのだったが、焦った行いが災いしたのか、自らが行使した大規模な召喚魔法は何らかの要因で暴走を起こし、ラ・ギアス全土に大量の地上人と戦闘兵器が迷い込む異例の混乱…地上世界で後に言われる「ラ・ギアス事件」が発生してしまう事になった(OGシリーズでは地上のみであったが、旧シリーズでは地球バイストン・ウェルの双方を巻き込んだ)。

そんな中、地上世界から帰還したマサキや彼と協力関係にあった地上世界の人間達の力を借りた結果、何とかシュテドニアス連合の侵攻を抑える事に成功するのだが、おそらく自らの地上人召喚計画の失敗に気付いていたと思われるカークスには弱味を握られてしまう事になり、自分達とカークス軍の同盟を結ぶ条件として、弟であるテリウスの王位継承を承諾せざるを得なくなる。これは、テリウスを傀儡にしようと目論んでいたカークスによって実質的にラングランの覇権を握られてしまう事を意味していたが、当のテリウス本人が逃走し、苦肉の策として用意したテリウスの偽者についての発覚、更には本物のテリウスがシュウに連れられて姿を消す事になり、同盟の締結は御破算で終わってしまう。その後、焦ったカークスによる王都への軍事侵攻が行われるも、これも自身の派閥の総力によって撃退に成功する。

その後、ヴォルクルス教団の暗躍によって、破壊神サーヴァ・ヴォルクルスの分身体による混乱が巻き起こるが、自らの専用機としてセニアが完成させた超魔装機であるデュラクシールに搭乗して、これの撃退に成功。しかし、分身とは言えヴォルクルスをも難無く圧倒したデュラクシールの強大過ぎる力に魅入られ、自らの余命幾許も無い身からの焦り、更にはこのまま地上人達の助力を得てシュテドニアスの撃退に成功しても戦後処理で自分の犯した失態が暴かれてしまう事でラングランがラ・ギアス全国家の糾弾を免れないと考えた結果、国土回復運動成功後も戦端の拡大を考える様になってしまう。そして、独断で簡易的に国王の即位を行ったのと同時に、シュテドニアス側に宣戦布告。デュラクシールを中心とする自国の軍の威力に訴え、シュテドニアスを屈服させるという、残り少ない命で自ら実行可能な解決手段へと走った。

結局、自らの早まった行動は、ラングラン以外の全ての国家を敵に回しかねない愚行としてマサキ達魔装機神操者により食い止められ、彼らに討たれる末路となった。最期の時に感じていたのは、重い責任と不運な宿命の中で味わうことの出来なかった穏やかな時間への憧れであった。最終的に敵対することになったとはいえ、彼の悲壮な決意にはマサキ達を始めとする多くの人物が同情しており、その悲しい結末を残念に思う者も多かった。

皮肉にも、魔装機計画のパトロンとも言えた彼の死により、ラングラン政府の腐敗が一気に表面化してしまう事態となり、魔装機神操者達はラングランからの支援が受けにくくなってしまう。更に、フェイルを崇拝していたファングとマサキの確執の一因にもなってしまっている。

登場作品と役柄

旧シリーズ

スーパーロボット大戦EX
初登場作品。マサキの章のラスボスで、場合によってはリューネの章でもラスボスとなる。EXの時点ではまだミドルネームの設定が確立していなかったため、「フェイルロード・ビルセイア」名義。

単独作品

スーパーロボット大戦X-Ω
2018年10月のイベント「神に非ず、人のなせるわざなり」にて登場。SSRサポートユニット。
時系列的にはすでに死亡した後。サイバスター(精霊憑依Ver.)のユニットクエストでは、『魔装機神II』の精霊界での修行イベントが再現され、登場する。

OGシリーズ

第2次スーパーロボット大戦OG
声が同じためか、ライとの絡みが描かれた。デュラクシールの力を目の当たりにして侵略の決意を固めたEXと異なりそれ以前から侵略の決意を固めていたことになった。アンティラス隊の構想やセニアに対する特殊セリフで建造中のフリングホルニの存在をほのめかす発言がある。尚、召喚の失敗が何者かの策謀の可能性がある事を示唆されていたが、実際にはラ・ギアス各地に点在している、地上へのゲートの遺跡が召喚プログラムと連鎖反応を起こしてしまった事故であることが『魔装機神III』シュテドニアスルートにて判明した。
スーパーロボット大戦OG ダークプリズン
本人の登場はマサキの章とのクロスポイントのみ。なお、EXではグッドサンダーチームからフェイルの死を聞かされたシュウだったが、今作ではラングランの情報集めの指示を受けたサフィーネからの報告でシュウの知るところとなった。

魔装機神シリーズ

魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL
第1部で登場。彼の人となりや手腕が描写され、人物が深く掘り下げられた。EXでのいきさつは#40「メモリアル・デイ」で確認可能。
スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL
リメイク前と同様だが、第一章のすき焼きパーティに参加したり、ゼオルートの死後、プレシアの親権についての話し合いを行うためにゼノサキス家を訪れ、そのまま夕食をとるなど、リメイク前で彼が切望していた「マサキ達と過ごす穏やかな時間」が多少なりとも叶えられる事になった。
スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神II REVELATION OF EVIL GOD
精霊界にて、彼の思い出が具現化した存在がマサキの最後の修行相手として登場し、マサキの迷いを完全に断ち切った。

パイロットステータス

能力値

回避能力は低いが、射撃・命中能力が高い典型的なラスボスタイプの能力。

精神コマンド

SFC版・PS版ともに「ド根性」を持つため、自軍の一員として戦う際には落とされる心配はまずない。一方『第2次OG』では参戦時点で持っているのが「激励」「友情」「応援」と他人の支援ばかりなので、うっかり袋叩きにされないように。

EX
ド根性手加減気合威圧信頼友情
魔装機神II
信頼ひらめき不屈激励突撃

特殊技能(特殊スキル)

EX(PS版)
切り払い

エースボーナス

HP30%以下で、自軍フェイズ開始時に「集中」がかかる
『第2次OG』で採用。セニア同様習得できないことが前提なのか、地味以前に使いづらいことこの上ない。

サポートアビリティ

神聖ラングラン王国 第一王位継承権保持者
SSR。WAVEが進むごとにHP回復。

パイロットBGM

「ARMAGEDDON(ネオ・グランゾン)」
EX』における戦闘BGM。旧シリーズのラストボスの戦闘BGMとしても有名。
「終わりなき戦い」
第2次OG』における戦闘BGM。ただし実際は唯一戦う相手であるヴォルクルスの「巨大な闇」が優先されるため、きけるのは「タオーステイル」使用時のみ。
「迫り来る敵」
『第2次OG』での敵対時のBGM。

人間関係

マサキ・アンドー
元部下(魔装機神操者となった事で立場上は彼に命令できなくなった)。マサキは言葉こそ全く敬っていないが、フェイルを強く信頼しており、友情すら感じていたようだ(LOE以前の攻略本の中ではマサキとフェイルを「立場を超えた親友」としているものもあった)。それ故に、フェイル自身が教えた魔装機神操者の義務に従ってフェイルの野心を否定し、彼を殺した事はマサキに深い傷痕を残す事となった。
シュウ・シラカワ(クリストフ・グラン・マクソード)
従弟。彼には生来の魔力が不足している点を見抜かれていた。

神聖ラングラン王国

モニカ・グラニア・ビルセイア
妹。フェイルが生来の魔力が不足している事を知っていた数少ない人物。
セニア・グラニア・ビルセイア
妹。彼の乗るデュラクシールの開発も行った。
テリウス・グラン・ビルセイア
異母弟。
アルザール・グラン・ビルセイア
父。責任感が強過ぎる点を心配されていた。
カークス・ザン・ヴァルハレビア
カークスの才覚を誰よりも早く察しており、昼行灯呼ばわりされていた頃からカークスを推薦していた。EXでは、立場と目的の違いはあれどラングランを救いたいという点では共通の認識を持っており、地上人召喚後の事態の収拾については水面下で協力し合っていた。
ケビン・オールト
フェイルに忠誠を誓うラングラン軍の将軍。『第2次OG』では彼をファーストネームで呼ぶシーンもある。
ファング・ザン・ビシアス
フェイルに忠誠を誓う近衛騎士。フェイルの死により、彼を殺したマサキを憎むようになってしまう。
テュッティ・ノールバック
リカルドの死後、密かにフェイルに想いを寄せていたが、マサキと共に敵対し、フェイルを倒す事に。…テュッティのせいで死亡フラグが発動したとか言ってはいけない。

パーゼミュート社

モーダル・ゼオ・オーザン
フェイルに関する秘密を握っているらしい。

鋼龍戦隊

アヤ・コバヤシ
フェイルの事を聞いて憧れるなどミーハーな一面を見せる。
エクセレン・ブロウニング
彼女いわくライと声が甲乙付けがたいとの事。言うまでもなく声優ネタ
ライディース・F・ブランシュタイン
声優ネタという事もあるためか、他と比べて絡みが多い。 決戦の際には、その悲壮な決意に亡き父マイヤーの面影を見る。
マイヤー・V・ブランシュタイン
ライから彼と同類と評される。

名台詞

旧シリーズ

「アレには隠された真相があったのだ。テリウスからその事を聞いた」
「テリウスは母の出自をほこりに思っていたのだ。あのおとなしいテリウスが、一度だけ大暴れした事がある」
「それが、ナタリアに関しての時だった。彼は決して母をおとしめる者を許さなかった。彼にとって母は立派な王族だったのだ」
EXマサキの章「テリウス出奔」にて、彼とテリウスだけが知る事実を元に今のテリウスが替え玉である事に気づく。曰くつきらしき真相であるにも拘らずフェイルにだけは打ち明けていることから、テリウスも兄には信頼を寄せていたことがわかる。これをきっかけにセニアが調査したことで逃亡中のテリウスの居場所が判明する。
『第2次OG』でも同じ会話があるが、セニアに調べてもらおうとした矢先に運よく逃亡中のテリウスと遭遇するので、このシーンの意味自体がなくなってしまっている。
「今回の戦いで気づいたのだが、どうやら私は基本的には軍人のようだ。軍人が政治をとるわけにはいかんからな」
「それに、私にはそれただけの力はないよ。私の力など、たかが知れている・・・」
デュラクシールが出撃する寸前に。この時点では軍人として生きる道を選んでいたが……。第2次OGではこの時点で王になることをマサキたちに伝えている。
「…デュラクシール…すさまじいパワーだ…」
「…この力…これさえあれば…」
EXマサキの章「フェイルの闇」にて、ヴォルクルスの分身と互角に戦ったデュラクシールの性能を体感しての台詞。この時から、余命僅かとは言え、デュラクシールという力に魅入られたフェイルの暴走が始まる。
「その通りかもしれん。しかし私は自分の信じた道を歩む。後世、私のした事が悪行として非難されるかもしれない」
「だが、私はそれをおそれたりはしない。今、この瞬間に生きている私に、できるだけの事をやるしかないのだ!」
シュテドニアスへの侵攻を決意し、マサキにそれを「二流の政治家」「第二のカークスになるつもりか」と非難された際に。
「どうした!? 遠慮などいらん! 私を倒すのが、お前達魔装機神操者の義務だろう!」
EX・マサキの章最終話にて、マサキ達と対峙した際のセリフ。誰よりも魔装機神操者の権利と責務を尊重していたフェイルは、自身が討たれるべき存在であることも、また誰よりも理解していた。
「終わった……な……すべてが……これで……よかったのかもしれん」
「……セニア……モニカ……わかってくれとは言わない……ただ、許して欲しい……」
「……私も、君達と同じ時を……歩みたかった……さぞ楽しかったろうなあ……」
戦闘後、セニアに向けての最期のセリフ。彼がどれほどの重圧を自らに課していたかが窺い知れる一言。
「は……はは……セニア……強制脱出装置は、取り外しておいたよ……」
「どっちにしろ私の命は……もう……」
上記のセリフの後、セニアから脱出を促された際に返した言葉。自身の死期を悟りデュラクシールから強制脱出装置を外したフェイルだが、死後にデュラクシールを悪用されることを見越してか、アカデミーに残されていた設計図からもご丁寧に脱出装置をオミットしていたらしい。これにより、魔装機神第2章ではそれに気付かずにデュラクシールに乗り込んだある人物が命を落とすことになる。
「? ……モニカか……そうか……無事だったんだね……良かった……」
「モニカ……セニア……お前達で……ラ……ラングラン……を……………」
フェイルの最期。彼が本当に望んだのは、ひとえにラ・ギアスの、ラングランの平穏。それを掴み取ろうと道を誤ってしまった男は、妹たちに後を託し、違えた道と共に世界から消えて行った……。

OGシリーズ

「……その言葉に期待させてもらうよ、マサキ。これから私がやろうとしていることに君や魔装機神の力は必要不可欠なのだから」
「今までと同じく、私に協力してもらえるとありがたい。これは、次代国王という立場からの要請だけでなく、私個人の切実な願いでもある」
ラングラン国王になる決意をマサキたちに話して。マサキからは突然改まった態度だったため不思議がられるがセニアは不安を感じていた。
ライ「あなたも我が父と同じく、敢えて力を行使すると言うのなら……俺はそれを止める側に回る!」
フェイル「そうか……君は父上を心の中で尊敬し愛していたのだな」
ライ「…!」
フェイル「私にはわかるような気がするよ、ライディース……」
ライ「あなたには生きて責任を取ってもらう!」
フェイル「ラ・ギアス全土の統一以外に方法はないのだよ、ライディース」
ライ「それは独善に過ぎない!残される人間のことを考えていないのか、あなたは!」
第2次OGでのライとの戦闘前会話。ラ・ギアスの人間以外では彼としか戦闘前会話がない。
なお、カークスがマイヤーの盟友であるビアンと同類とリューネが指摘しているので、ライからマイヤーと同類と指摘されたのは単に声優ネタというだけでなく、カークスとの対比という点もあると思われる。
「そうか……君は色々と特別なようだな、ミオ」
ザムジードからの被弾台詞。IIでもリカルドがうっかり口走りかけたが、大地の魔装機神がミオを主に選んだ背景には何があるというのか……?

魔装機神シリーズ

魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL

「モニカ。そう心配そうな顔をするな。だいじょうぶだ、お医者さまもそう言ってただろ」
「最近は調子もいいし、この分ならすぐに治るさ……きっと」
モニカに薬の時間を知らせられ。結局、治ることはなく彼は強硬手段に出ることとなった。
「マサキ、君に伝えておかねばならない事がある。魔装機神操者の権利と義務についてだ」
「言葉で説明する分には、別段難しい事ではない。よく聞いて、忘れないようにしてくれ。魔装機神操者の権利とは、あらゆる権力に従わなくていい権利だ」
「そして、魔装機神操者に唯一かせられた義務とは、世界存続の危機に際しては、すべてを捨てて立ち向かう事」
「今はまだ、実感がわかないだろうな。だが、君が思っているより、この義務は過酷だぞ」
#18「地上で」にて、マサキに語った魔装機神操者の義務。皮肉にも、マサキはこの義務に従ってフェイルへの情を捨てて彼の暴走を止めることになってしまい、後にその事を嘆いていた。
「ふ、まあ、あれが彼の持ち味だよ。もっとも、私は彼を買っているぞ。あれで意外と切れる時がある」
カークスを評して。その切れ味を自分に向けられることとなった。

魔装機神II REVELATION OF EVIL GOD

「君がなくしたものを取り戻すためなら、私は喜んで相手になるよ」
魔装機神IIにて精霊界でマサキと対峙して。
「ありがとう、マサキ。では、感謝を込めて……君の迷いを消し去ってあげよう。それでいいな?」
マサキの修行に付き合うことを償いとするフェイルだったが、マサキの言葉を受けてその考えを改める。
「平和とは、尊いものだ。だが、それは誰かに与えられるものじゃない。常に、護り抜くものなんだ、と」
「平和にも、隷従の平和があるように、戦争にも、解放の戦争、防衛の戦争がある。全てをひとくくりでは語れない。戦いで失うものは計り知れない。だが、戦わねば得られない、護れないものも少なからずある」
マサキとの戦いで平和について戦いについて語る。そしてマサキがかつて自分との戦いで得たものを思い出させるために戦う。
「いや……私が遺したものは、君が立派に受け継いでくれている。失ってなど……いない」
マサキとの戦いを終えて。フェイルの残したもの精霊の心そして魔装機神をマサキたちは受け継いでいた。そしてその力は憎しみを振り払い行使される力だった。フェイルはマサキに戦いを通じて思い出させることができた。
「迷わない人生などないからな。特に君は方向音痴だし」
魔装機神IIにて、精霊界での修行を終え「また迷うようなことがあるなら殿下にまた会えない方がいいのかな」とこぼしたマサキへ飛ばしたジョーク。このジョークのお陰もあってか、マサキはフェイルと笑って別れることが出来た。

迷台詞

「ああ、そうだ、セニア。こんな時に何だが、例の空母、建設は順調だよ。上手く運用してくれ」
第2次OGにおけるセニアに対するセリフ。これだけなら普通の台詞に見えなくもないが、言うタイミングがセニアに攻撃する際の特殊セリフ。確かにタイミングが間違ってるとしか言いようがないが、自覚しているようなので…。なお、例の空母とは『ROE』で登場する邀撃空母フリングホルニのことであり、第2次OGが延期しなければ、これも伏線のひとつになったであろう。

搭乗機体・関連機体

デュラクシール
セニアの手により完成した超魔装機。その超性能はフェイルにラ・ギアス統一の野望を抱かせ、同時に彼がマサキの手により葬られる原因となった。
ガルガード
『EX』において、戴冠式へ向かう道中乗っていた。しかしガルガードはこの時点ではカークス陣営にあるはずなので矛盾する。フェイルの「ろくな装備がない」という発言から、この時乗っていたのは外見が似ているだけの別機体だったのかも知れないが[2]。『第2次OG』ではハガネに乗艦して戴冠式に向かったのでこの矛盾は無くなった。
ノルス
再契約に立ち会い廃棄処分から救い上げた儀礼用魔装機。フェイル同様、一度試験に失敗したという共通点を持っている。

余談

  • 「フェイルロード」という名はいろいろな意味を暗示させる。Fail(失敗・欠乏・破綻・裏切り……)、ロードにこめられた「君主、道」など。それらを加味すれば、IIIで明らかにされた彼にまつわるスキャンダルが「地上人召喚事件」などにないことがわかる。そして、父親であるアルザール王にはなぜ二人目の妻がいたのか?
    • 彼のスキャンダルを詰めたいと考える魔装機神シリーズのファンには『聖霊機ライブレード』の設定面の観察を推奨する。アガルティアの王子ローディス・ラング・メスティナとラングランの王子フェイルロードの間には、面白い接点が存在する。

脚注

  1. この時の判断に間違いはなかったのだが、後に彼の立案した「超魔装機計画」が却下された事や、左遷の件で庇いきれなかった結果、彼の不満を爆発させた上に野心に火を着けてしまう事態となった。
  2. そもそもユニットアイコン(=頭部のデザイン)がガルガードのものだったというだけなので、首から下はガルガードとは全く別物だった可能性もある。