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概ねシリーズに共通する特徴として挙げられるのが、「意思を持ったロボット」が登場する事であり、彼らと「少年」とのコミュニケーションが題材となっている事である。また、そのコミュニケーションを通じて両者が成長していく姿が描かれる。これはメインターゲットを玩具を買う低年齢層に合わせているからで、対象年齢が低い作品が多い。 | 概ねシリーズに共通する特徴として挙げられるのが、「意思を持ったロボット」が登場する事であり、彼らと「少年」とのコミュニケーションが題材となっている事である。また、そのコミュニケーションを通じて両者が成長していく姿が描かれる。これはメインターゲットを玩具を買う低年齢層に合わせているからで、対象年齢が低い作品が多い。 | ||
− | ロボットに関しては自動車や新幹線など現実の乗り物を模倣したものが多く、[[合体]][[変形]]するのが特徴。このロボットを俗に「[[勇者ロボ]](勇者ロボット)」、または単純に[[勇者]] | + | ロボットに関しては自動車や新幹線など現実の乗り物を模倣したものが多く、[[合体]][[変形]]するのが特徴。このロボットを俗に「[[勇者ロボ]](勇者ロボット)」、または単純に[[勇者]]と呼称する。勇者ロボのメカニックデザインは[[スタッフ:大河原邦男|大河原邦男]]氏が一貫して手がけ、『[[ガンダムシリーズ]]』等と並んで大河原氏の代表作となっている。 |
=== トランスフォーマーシリーズとの関係 === | === トランスフォーマーシリーズとの関係 === | ||
− | + | タカラが同じく玩具開発を担当した『トランスフォーマー』(SRW未参戦。以下『TF』と表記)との関連が深く、TFのテレビアニメシリーズが第5作目『戦え!超ロボット生命体 トランスフォーマーV』で終了した事と入れ替わるように制作されたが、第1作の『[[勇者エクスカイザー]]』に登場するウルトラレイカーは元々TFでの発売が企画されていた玩具であった。その後の作品にも、過去にTFシリーズで発売された玩具から流用されたロボットが多数登場している。 | |
TFシリーズの中でも『戦え!超ロボット生命体 超神マスターフォース』はシリーズの中でも異例で、主人公といった主要人物のほとんどが「生身の人間がロボットと一体になる」点があり、後の勇者シリーズの一部に、その要素が引き継がれていると推測される。 | TFシリーズの中でも『戦え!超ロボット生命体 超神マスターフォース』はシリーズの中でも異例で、主人公といった主要人物のほとんどが「生身の人間がロボットと一体になる」点があり、後の勇者シリーズの一部に、その要素が引き継がれていると推測される。 | ||
− | + | 『超神マスターフォース』の[[続編]]にあたる『トランスフォーマーV』で、少年とのコミュニケーション・パワーアップイベントといった後の勇者シリーズの基本フォーマットを確立<ref>故に『トランスフォーマーV』の主人公・スターセイバーは、ファンから「'''0号勇者'''」と呼ばれていたりもする。</ref>。 | |
− | 『[[勇者王ガオガイガー]] | + | 『[[勇者王ガオガイガー]]』の放送中に『トランスフォーマーV』以来となるテレビアニメ用TF作品『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』の[[日本]]での放送が始まるが、それと入れ替わるように勇者シリーズは終了した。 |
== 作品リスト == | == 作品リスト == | ||
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=== アニメ作品 === | === アニメ作品 === | ||
;[[勇者エクスカイザー]] | ;[[勇者エクスカイザー]] | ||
− | : | + | :第1作目。当作品から『ダ・ガーン』までは谷田部勝義氏が監督を務め、シリーズ間でも共通の世界観を持つ。 |
;太陽の勇者ファイバード | ;太陽の勇者ファイバード | ||
− | : | + | :第2作目。前作の路線を受け継ぎつつも主役ロボに人間態を持たせたり、秘密基地を設定する等で差別化が図られた。 |
;伝説の勇者ダ・ガーン | ;伝説の勇者ダ・ガーン | ||
− | : | + | :第3作目。[[主人公]]の少年がサポート役から隊長になる。 |
;[[勇者特急マイトガイン]] | ;[[勇者特急マイトガイン]] | ||
− | : | + | :第4作目。[[AI]]による勇者ロボが初登場し、主人公もヒーロー性を高めた。 |
:当作品から『ゴルドラン』までの3作は[[スタッフ:高松信司|高松信司]]氏が監督を務めた。いずれも変則的な形で大団円を迎えている。 | :当作品から『ゴルドラン』までの3作は[[スタッフ:高松信司|高松信司]]氏が監督を務めた。いずれも変則的な形で大団円を迎えている。 | ||
;勇者警察ジェイデッカー | ;勇者警察ジェイデッカー | ||
− | : | + | :第5作目。前作で採用された「心を宿したAIロボット」をより掘り下げ、作品のメインテーマへと昇華させた。往年の[[警察官|刑事モノ]]のオマージュが盛り込まれた作風も特徴。 |
;黄金勇者ゴルドラン | ;黄金勇者ゴルドラン | ||
− | : | + | :第6作目。冒険をテーマにしたコメディー色の強い作風であり、後半からは[[宇宙]]が舞台となる。 |
;勇者指令ダグオン | ;勇者指令ダグオン | ||
− | : | + | :第7作目。従来のフォーマットに変身ヒーローの要素を加味。 |
:先に放送された『[[新機動戦記ガンダムW]]』のヒットの影響も受け、メインキャラクターの年齢を引き上げるなど女性ファンにもアピール。 | :先に放送された『[[新機動戦記ガンダムW]]』のヒットの影響も受け、メインキャラクターの年齢を引き上げるなど女性ファンにもアピール。 | ||
:;勇者指令ダグオン 水晶の瞳の少年 | :;勇者指令ダグオン 水晶の瞳の少年 | ||
− | :: | + | ::『ダグオン』のOVA作品で後日談。勇者シリーズ初の[[OVA]]作品でもある。全2巻。 |
;[[勇者王ガオガイガー]] | ;[[勇者王ガオガイガー]] | ||
− | : | + | :第8作目にしてテレビシリーズ最終作。[[ガオガイガー]]の胸の獅子の意匠を始め、往年の勇者シリーズのオマージュが豊富であり、[[リアルロボット]]作品を数手がけた[[スタッフ:高橋良輔|高橋良輔]]氏をプロデューサーに迎え、リアリティも追求されている。 |
:;[[勇者王ガオガイガーFINAL]] | :;[[勇者王ガオガイガーFINAL]] | ||
− | :: | + | ::『ガオガイガー』のOVA作品で、TVシリーズの[[続編]]。全8巻。 |
::;勇者王ガオガイガーFINAL GRAND GLORIOUS GATHERING | ::;勇者王ガオガイガーFINAL GRAND GLORIOUS GATHERING | ||
:::『FINAL』をテレビアニメとして再編集した作品。 | :::『FINAL』をテレビアニメとして再編集した作品。 | ||
::;覇界王 ~ガオガイガー対ベターマン~ | ::;覇界王 ~ガオガイガー対ベターマン~ | ||
− | ::: | + | :::『FINAL』の続編となる[[小説]]作品。 |
::;勇者娘ガオガイガールズ | ::;勇者娘ガオガイガールズ | ||
− | ::: | + | :::『ガオガイガー』のスピンオフとなるWeb[[漫画]]作品。 |
=== ゲームオリジナル === | === ゲームオリジナル === | ||
;勇者聖戦バーンガーン | ;勇者聖戦バーンガーン | ||
− | : | + | :[[プレイステーション]]用[[コンピュータゲーム|SRPG]]『新世代ロボット戦記ブレイブサーガ』初登場のゲームオリジナル勇者。 |
− | : | + | :勇者シリーズの勇者たる成分の半分はタカラによって培われたものであり、「勇者版スーパーロボット大戦の主役」でもあるため、タカラ純正のこの作品は、ある意味どの勇者よりも勇者らしい。また勇者シリーズの公式サイトでは、'''本作は勇者シリーズの一つとして数えられている'''。 |
+ | :なお、初登場作『ブレイブサーガ』の登場作品は勇者シリーズではない、『[[太陽の牙ダグラム]]』『[[装甲騎兵ボトムズ]]』『[[機甲界ガリアン]]』が加えられている。これらの作品は放送当時のスポンサーがタカラだったという繋がりもある。 | ||
+ | :一方で第8作目『[[勇者王ガオガイガー]]』は、開発時期にまだ企画段階だったためか登場しておらず、惜しくも共演を逃している。 | ||
;量子跳躍レイゼルバー | ;量子跳躍レイゼルバー | ||
− | : | + | :『新世紀勇者大戦』初登場のバーンガーン同様ゲームオリジナル勇者。 |
+ | :タイトルに「勇者」が無く、今までの制作ラインから外れた本当の意味でのゲームオリジナルである為、シリーズには入らないという意見もある。内容的にも判断が難しいところ。 | ||
;『ブレイブサーガ2』オリジナル(シズマとヴァリオン)、『ブレイブサーガ新章アスタリア』オリジナル(ガンバーとゼッター) | ;『ブレイブサーガ2』オリジナル(シズマとヴァリオン)、『ブレイブサーガ新章アスタリア』オリジナル(ガンバーとゼッター) | ||
:『ブレイブサーガ2』、『ブレイブサーガ新章アスタリア』初登場のゲームオリジナル勇者。こちらに至っては'''タイトルすら存在しない'''ようであり、やはりシリーズに入るかは議論の余地がある。 | :『ブレイブサーガ2』、『ブレイブサーガ新章アスタリア』初登場のゲームオリジナル勇者。こちらに至っては'''タイトルすら存在しない'''ようであり、やはりシリーズに入るかは議論の余地がある。 | ||
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:「勇者」の名を冠したロボアニメの元祖。シリーズ元祖である『勇者エクスカイザー』というタイトルは、ライディーンへのオマージュから名付けられた。 | :「勇者」の名を冠したロボアニメの元祖。シリーズ元祖である『勇者エクスカイザー』というタイトルは、ライディーンへのオマージュから名付けられた。 | ||
;[[エルドランシリーズ]] | ;[[エルドランシリーズ]] | ||
− | :玩具メーカー「トミー」がほぼ同時期に展開したロボットアニメシリーズ。ロボに明確な意志は見られないが「少年」が戦うというテーマでは一致しており、アニメ制作も同じサンライズ。シリーズ4作品は『[[スーパーロボット大戦NEO]]』にて全て[[登場作品|参戦]] | + | :玩具メーカー「トミー」がほぼ同時期に展開したロボットアニメシリーズ。ロボに明確な意志は見られないが「少年」が戦うというテーマでは一致しており、アニメ制作も同じサンライズ。シリーズ4作品は『[[スーパーロボット大戦NEO]]』にて全て[[登場作品|参戦]]している<ref>『[[絶対無敵ライジンオー]]』のみ『[[スーパーロボット大戦GC]]([[スーパーロボット大戦XO|XO]])』で先行[[登場作品|参戦]]している。</ref>他のゲームでは『サンライズ英雄譚R』や『新世紀勇者大戦』等で勇者シリーズと共演経験があり、現在は両玩具メーカーが合併しているため、姉妹関係にあるシリーズであるとも言える。 |
;[[ベターマン]] | ;[[ベターマン]] | ||
:第8作『勇者王ガオガイガー』と世界観を共有した作品。『勇者王ガオガイガーFINAL GRAND GLORIOUS GATHERING』のDVD-BOX特典ディスク及び『覇界王』にはベターマンの設定を使用した「'''ガオガイゴー'''」というクロスオーバーロボが登場する。 | :第8作『勇者王ガオガイガー』と世界観を共有した作品。『勇者王ガオガイガーFINAL GRAND GLORIOUS GATHERING』のDVD-BOX特典ディスク及び『覇界王』にはベターマンの設定を使用した「'''ガオガイゴー'''」というクロスオーバーロボが登場する。 | ||
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:勇者シリーズのパロディと思わしきロボ、[[エルドラV]]・[[エルドラソウル]]が登場する。 | :勇者シリーズのパロディと思わしきロボ、[[エルドラV]]・[[エルドラソウル]]が登場する。 | ||
;『[[スーパーロボット大戦BX]]』[[バンプレストオリジナル|オリジナル]] | ;『[[スーパーロボット大戦BX]]』[[バンプレストオリジナル|オリジナル]] | ||
− | :勇者シリーズを連想させる点が多く([[ファルセイバー|主人公機]]が意思を持つロボットのような存在であることや合体方式、[[ヨウタ・ヒイラギ|主人公]]のデフォルト名が「タ(太)」で終わる名前<ref>『エクスカイザー』の[[星川コウタ]] | + | :勇者シリーズを連想させる点が多く([[ファルセイバー|主人公機]]が意思を持つロボットのような存在であることや合体方式、[[ヨウタ・ヒイラギ|主人公]]のデフォルト名が「タ(太)」で終わる名前<ref>『エクスカイザー』の[[星川コウタ]]、『ジェイデッカー』の友永勇太の他、主人公ではないが同様のポジションである『ファイバード』の天野ケンタ等、勇者シリーズではロボットと交流を持つ少年に「タ(太)」で終わる名前がしばしば使用されている。</ref>等)、[[スパロボOGネットラジオ うますぎWAVE|公式ネットラジオ]]でも言及がある。 |
;[[新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION]] | ;[[新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION]] | ||
− | : | + | :タカラトミーが展開する勇者シリーズ同様、新幹線が変形するロボットが主役のアニメシリーズ。 |
+ | :『[[スーパーロボット大戦X-Ω]]』にて『エクスカイザー』『マイトガイン』と共演する。 | ||
== スーパーロボット大戦との関係 == | == スーパーロボット大戦との関係 == | ||
− | + | 勇者シリーズはロボット作品の中でも比較的メジャーなタイトルであるにも関わらず、長年スパロボへの参戦が果たされず、このためファンの間でスパロボへの参戦が困難なシリーズなのではないかとの見方が強まるようになった。主な理由としては、一連の作品にバンダイと競合関係にある玩具メーカー「タカラ(現:タカラトミー)」がスポンサーとして参加、強い影響力を持っている事が関係しており、タカラトミー側との権利関係の調整が決着しないからであるとの説が有力であった。 | |
− | + | この点については後に製作者サイドからも権利関係が問題である事を示唆する発言が出ており、基本的に参戦が果たされていない理由の大半は上述の点に起因していたものと思われる<ref>もっとも、権利関係の問題が参戦のハードルになるという事例は他のロボット作品にも言える事であり、何も勇者シリーズに限った話ではない。また、[[エルドランシリーズ]]等と同様、視聴者の対象年齢面での問題も影響したとの主張もある。</ref>。 | |
その後、2003年の『[[第2次スーパーロボット大戦α]]』にて、『[[勇者王ガオガイガー]]』が勇者シリーズの作品として初参戦。2005年の続編『[[第3次スーパーロボット大戦α]]』では『[[勇者王ガオガイガーFINAL]]』も参戦を果たした。その後は長らく『ガオガイガー』(および『FINAL』)のみの参戦となっていたが、2017年の『[[スーパーロボット大戦V]]』で『[[勇者特急マイトガイン]]』が参戦したのを皮切りに、2018年には『[[スーパーロボット大戦X-Ω]]』に『[[勇者エクスカイザー]]』が参戦、2019年の『[[スーパーロボット大戦T]]』で『マイトガイン』と『ガオガイガー』が共演と、勇者シリーズの参戦が多数行われるようになっている。 | その後、2003年の『[[第2次スーパーロボット大戦α]]』にて、『[[勇者王ガオガイガー]]』が勇者シリーズの作品として初参戦。2005年の続編『[[第3次スーパーロボット大戦α]]』では『[[勇者王ガオガイガーFINAL]]』も参戦を果たした。その後は長らく『ガオガイガー』(および『FINAL』)のみの参戦となっていたが、2017年の『[[スーパーロボット大戦V]]』で『[[勇者特急マイトガイン]]』が参戦したのを皮切りに、2018年には『[[スーパーロボット大戦X-Ω]]』に『[[勇者エクスカイザー]]』が参戦、2019年の『[[スーパーロボット大戦T]]』で『マイトガイン』と『ガオガイガー』が共演と、勇者シリーズの参戦が多数行われるようになっている。 | ||
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== 関連する用語 == | == 関連する用語 == | ||
;[[グレート合体]] | ;[[グレート合体]] | ||
− | : | + | :1号ロボ(主役ロボ)に対して、他の(複数の)ロボットやサポートメカ等が装甲パーツの形態に[[変形]]し、合体・強化する事を指す通称。 |
;勇者パース / サンライズパース | ;勇者パース / サンライズパース | ||
− | :「剣」を決め技に持つ勇者ロボが剣を構えた時の独特のポーズと、画面手前に向けて剣を強調するアングルを指す[[俗語・俗称|通称]] | + | :「剣」を決め技に持つ勇者ロボが剣を構えた時の独特のポーズと、画面手前に向けて剣を強調するアングルを指す[[俗語・俗称|通称]]。 |
+ | :立ち姿の凛々しさと、剣が大振りに描かれる事で生まれる力強さが魅力の、非常に見映えの良い構図である。 | ||
+ | :'''勇者シリーズで演出を担当した[[スタッフ:大張正己|大張正己]]氏が考案'''したとされており、グレートエクスカイザーが必殺剣・サンダーフラッシュを繰り出す際の構図が元祖とされる。 | ||
+ | :その後のサンライズ作品、ひいてはアニメ業界全体にも少なからず継承されており、キャラクターが持つのは剣だけに留まらなくなっている。その影響はロボットアニメのみならず、例えばサンライズ作品を例に挙げると、『[[アイカツ!]]』のようなアイドルアニメにも及ぶ。 | ||
:余談だが、中国では[https://twitter.com/G1_BARI/status/1051151732271542273 「'''大張一刀流'''」と呼ばれている]とのこと。これを知って以降、大張氏自身はTwitterにおいてこの「大張一刀流」の呼び方を用いるようになっている。 | :余談だが、中国では[https://twitter.com/G1_BARI/status/1051151732271542273 「'''大張一刀流'''」と呼ばれている]とのこと。これを知って以降、大張氏自身はTwitterにおいてこの「大張一刀流」の呼び方を用いるようになっている。 | ||
2021年1月1日 (金) 00:07時点における版
勇者シリーズは、タカラ(現:タカラトミー)によるロボット玩具シリーズ、ならびにアニメ制作会社のサンライズが制作した一連のロボットアニメのシリーズ。
概要
概ねシリーズに共通する特徴として挙げられるのが、「意思を持ったロボット」が登場する事であり、彼らと「少年」とのコミュニケーションが題材となっている事である。また、そのコミュニケーションを通じて両者が成長していく姿が描かれる。これはメインターゲットを玩具を買う低年齢層に合わせているからで、対象年齢が低い作品が多い。
ロボットに関しては自動車や新幹線など現実の乗り物を模倣したものが多く、合体変形するのが特徴。このロボットを俗に「勇者ロボ(勇者ロボット)」、または単純に勇者と呼称する。勇者ロボのメカニックデザインは大河原邦男氏が一貫して手がけ、『ガンダムシリーズ』等と並んで大河原氏の代表作となっている。
トランスフォーマーシリーズとの関係
タカラが同じく玩具開発を担当した『トランスフォーマー』(SRW未参戦。以下『TF』と表記)との関連が深く、TFのテレビアニメシリーズが第5作目『戦え!超ロボット生命体 トランスフォーマーV』で終了した事と入れ替わるように制作されたが、第1作の『勇者エクスカイザー』に登場するウルトラレイカーは元々TFでの発売が企画されていた玩具であった。その後の作品にも、過去にTFシリーズで発売された玩具から流用されたロボットが多数登場している。
TFシリーズの中でも『戦え!超ロボット生命体 超神マスターフォース』はシリーズの中でも異例で、主人公といった主要人物のほとんどが「生身の人間がロボットと一体になる」点があり、後の勇者シリーズの一部に、その要素が引き継がれていると推測される。
『超神マスターフォース』の続編にあたる『トランスフォーマーV』で、少年とのコミュニケーション・パワーアップイベントといった後の勇者シリーズの基本フォーマットを確立[1]。
『勇者王ガオガイガー』の放送中に『トランスフォーマーV』以来となるテレビアニメ用TF作品『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』の日本での放送が始まるが、それと入れ替わるように勇者シリーズは終了した。
作品リスト
1990年に『勇者エクスカイザー』が放送開始。以後テレビシリーズ作品が年1作ペースで8年に渡り制作され、1997年の『勇者王ガオガイガー』を最後に新規のシリーズ作品は制作されていない。
アニメ作品
- 勇者エクスカイザー
- 第1作目。当作品から『ダ・ガーン』までは谷田部勝義氏が監督を務め、シリーズ間でも共通の世界観を持つ。
- 太陽の勇者ファイバード
- 第2作目。前作の路線を受け継ぎつつも主役ロボに人間態を持たせたり、秘密基地を設定する等で差別化が図られた。
- 伝説の勇者ダ・ガーン
- 第3作目。主人公の少年がサポート役から隊長になる。
- 勇者特急マイトガイン
- 第4作目。AIによる勇者ロボが初登場し、主人公もヒーロー性を高めた。
- 当作品から『ゴルドラン』までの3作は高松信司氏が監督を務めた。いずれも変則的な形で大団円を迎えている。
- 勇者警察ジェイデッカー
- 第5作目。前作で採用された「心を宿したAIロボット」をより掘り下げ、作品のメインテーマへと昇華させた。往年の刑事モノのオマージュが盛り込まれた作風も特徴。
- 黄金勇者ゴルドラン
- 第6作目。冒険をテーマにしたコメディー色の強い作風であり、後半からは宇宙が舞台となる。
- 勇者指令ダグオン
- 第7作目。従来のフォーマットに変身ヒーローの要素を加味。
- 先に放送された『新機動戦記ガンダムW』のヒットの影響も受け、メインキャラクターの年齢を引き上げるなど女性ファンにもアピール。
- 勇者指令ダグオン 水晶の瞳の少年
- 『ダグオン』のOVA作品で後日談。勇者シリーズ初のOVA作品でもある。全2巻。
- 勇者王ガオガイガー
- 第8作目にしてテレビシリーズ最終作。ガオガイガーの胸の獅子の意匠を始め、往年の勇者シリーズのオマージュが豊富であり、リアルロボット作品を数手がけた高橋良輔氏をプロデューサーに迎え、リアリティも追求されている。
- 勇者王ガオガイガーFINAL
- 『ガオガイガー』のOVA作品で、TVシリーズの続編。全8巻。
ゲームオリジナル
- 勇者聖戦バーンガーン
- プレイステーション用SRPG『新世代ロボット戦記ブレイブサーガ』初登場のゲームオリジナル勇者。
- 勇者シリーズの勇者たる成分の半分はタカラによって培われたものであり、「勇者版スーパーロボット大戦の主役」でもあるため、タカラ純正のこの作品は、ある意味どの勇者よりも勇者らしい。また勇者シリーズの公式サイトでは、本作は勇者シリーズの一つとして数えられている。
- なお、初登場作『ブレイブサーガ』の登場作品は勇者シリーズではない、『太陽の牙ダグラム』『装甲騎兵ボトムズ』『機甲界ガリアン』が加えられている。これらの作品は放送当時のスポンサーがタカラだったという繋がりもある。
- 一方で第8作目『勇者王ガオガイガー』は、開発時期にまだ企画段階だったためか登場しておらず、惜しくも共演を逃している。
- 量子跳躍レイゼルバー
- 『新世紀勇者大戦』初登場のバーンガーン同様ゲームオリジナル勇者。
- タイトルに「勇者」が無く、今までの制作ラインから外れた本当の意味でのゲームオリジナルである為、シリーズには入らないという意見もある。内容的にも判断が難しいところ。
- 『ブレイブサーガ2』オリジナル(シズマとヴァリオン)、『ブレイブサーガ新章アスタリア』オリジナル(ガンバーとゼッター)
- 『ブレイブサーガ2』、『ブレイブサーガ新章アスタリア』初登場のゲームオリジナル勇者。こちらに至ってはタイトルすら存在しないようであり、やはりシリーズに入るかは議論の余地がある。
- 開発勇者ハヤバーン
- 『ブレイブサーガ新章アスタリア』に登場するゲームオリジナル勇者だが、元々は『ブレイブサーガ』シリーズ開発スタッフの早坂憲洋氏が広報にて名乗った称号。
関連作品
- 勇者ライディーン
- 「勇者」の名を冠したロボアニメの元祖。シリーズ元祖である『勇者エクスカイザー』というタイトルは、ライディーンへのオマージュから名付けられた。
- エルドランシリーズ
- 玩具メーカー「トミー」がほぼ同時期に展開したロボットアニメシリーズ。ロボに明確な意志は見られないが「少年」が戦うというテーマでは一致しており、アニメ制作も同じサンライズ。シリーズ4作品は『スーパーロボット大戦NEO』にて全て参戦している[2]他のゲームでは『サンライズ英雄譚R』や『新世紀勇者大戦』等で勇者シリーズと共演経験があり、現在は両玩具メーカーが合併しているため、姉妹関係にあるシリーズであるとも言える。
- ベターマン
- 第8作『勇者王ガオガイガー』と世界観を共有した作品。『勇者王ガオガイガーFINAL GRAND GLORIOUS GATHERING』のDVD-BOX特典ディスク及び『覇界王』にはベターマンの設定を使用した「ガオガイゴー」というクロスオーバーロボが登場する。
- 超重神グラヴィオン、超重神グラヴィオン Zwei
- 「勇者シリーズ」で演出を担当した大張正己氏が監督。ロボット群のデザインや戦闘演出こそ「勇者ロボット」のそれを受け継いでいるが、内容は全く無関係。両2作品は『スーパーロボット大戦Z』で参戦している。
- ガン×ソード
- 勇者シリーズのパロディと思わしきロボ、エルドラV・エルドラソウルが登場する。
- 『スーパーロボット大戦BX』オリジナル
- 勇者シリーズを連想させる点が多く(主人公機が意思を持つロボットのような存在であることや合体方式、主人公のデフォルト名が「タ(太)」で終わる名前[3]等)、公式ネットラジオでも言及がある。
- 新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION
- タカラトミーが展開する勇者シリーズ同様、新幹線が変形するロボットが主役のアニメシリーズ。
- 『スーパーロボット大戦X-Ω』にて『エクスカイザー』『マイトガイン』と共演する。
スーパーロボット大戦との関係
勇者シリーズはロボット作品の中でも比較的メジャーなタイトルであるにも関わらず、長年スパロボへの参戦が果たされず、このためファンの間でスパロボへの参戦が困難なシリーズなのではないかとの見方が強まるようになった。主な理由としては、一連の作品にバンダイと競合関係にある玩具メーカー「タカラ(現:タカラトミー)」がスポンサーとして参加、強い影響力を持っている事が関係しており、タカラトミー側との権利関係の調整が決着しないからであるとの説が有力であった。
この点については後に製作者サイドからも権利関係が問題である事を示唆する発言が出ており、基本的に参戦が果たされていない理由の大半は上述の点に起因していたものと思われる[4]。
その後、2003年の『第2次スーパーロボット大戦α』にて、『勇者王ガオガイガー』が勇者シリーズの作品として初参戦。2005年の続編『第3次スーパーロボット大戦α』では『勇者王ガオガイガーFINAL』も参戦を果たした。その後は長らく『ガオガイガー』(および『FINAL』)のみの参戦となっていたが、2017年の『スーパーロボット大戦V』で『勇者特急マイトガイン』が参戦したのを皮切りに、2018年には『スーパーロボット大戦X-Ω』に『勇者エクスカイザー』が参戦、2019年の『スーパーロボット大戦T』で『マイトガイン』と『ガオガイガー』が共演と、勇者シリーズの参戦が多数行われるようになっている。
経緯については「未参戦作品」も参照のこと。
関連する用語
- グレート合体
- 1号ロボ(主役ロボ)に対して、他の(複数の)ロボットやサポートメカ等が装甲パーツの形態に変形し、合体・強化する事を指す通称。
- 勇者パース / サンライズパース
- 「剣」を決め技に持つ勇者ロボが剣を構えた時の独特のポーズと、画面手前に向けて剣を強調するアングルを指す通称。
- 立ち姿の凛々しさと、剣が大振りに描かれる事で生まれる力強さが魅力の、非常に見映えの良い構図である。
- 勇者シリーズで演出を担当した大張正己氏が考案したとされており、グレートエクスカイザーが必殺剣・サンダーフラッシュを繰り出す際の構図が元祖とされる。
- その後のサンライズ作品、ひいてはアニメ業界全体にも少なからず継承されており、キャラクターが持つのは剣だけに留まらなくなっている。その影響はロボットアニメのみならず、例えばサンライズ作品を例に挙げると、『アイカツ!』のようなアイドルアニメにも及ぶ。
- 余談だが、中国では「大張一刀流」と呼ばれているとのこと。これを知って以降、大張氏自身はTwitterにおいてこの「大張一刀流」の呼び方を用いるようになっている。
脚注
- ↑ 故に『トランスフォーマーV』の主人公・スターセイバーは、ファンから「0号勇者」と呼ばれていたりもする。
- ↑ 『絶対無敵ライジンオー』のみ『スーパーロボット大戦GC(XO)』で先行参戦している。
- ↑ 『エクスカイザー』の星川コウタ、『ジェイデッカー』の友永勇太の他、主人公ではないが同様のポジションである『ファイバード』の天野ケンタ等、勇者シリーズではロボットと交流を持つ少年に「タ(太)」で終わる名前がしばしば使用されている。
- ↑ もっとも、権利関係の問題が参戦のハードルになるという事例は他のロボット作品にも言える事であり、何も勇者シリーズに限った話ではない。また、エルドランシリーズ等と同様、視聴者の対象年齢面での問題も影響したとの主張もある。