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*本作が製作された経緯は、ガイナックスの自社製作作品第一弾であった『王立宇宙軍オネアミスの翼』の商業的な大失敗から抱えた巨額の負債を返済し、会社を立て直さなければならない、という、切羽詰まった事情からであり、そのため『'''確実に売れる作品を作る'''』との即物的な方針のもと、オネアミスのような作品性の追求は止め、とにかく目先の売上を第一に、娯楽とパロディに徹しようというものであった。そのため、庵野秀明氏も当初は全く企画に興味を示していなかったが、山賀博之氏が執筆した第2話の脚本を読んで興味を持ち、自ら絵コンテを描いて持ち込んだため、そのまま全話の監督を任され、それが庵野秀明氏の監督デビュー作になった、という経緯がある(本人は'''監督になる気は全くなかった'''とも言っている)。
 
*本作が製作された経緯は、ガイナックスの自社製作作品第一弾であった『王立宇宙軍オネアミスの翼』の商業的な大失敗から抱えた巨額の負債を返済し、会社を立て直さなければならない、という、切羽詰まった事情からであり、そのため『'''確実に売れる作品を作る'''』との即物的な方針のもと、オネアミスのような作品性の追求は止め、とにかく目先の売上を第一に、娯楽とパロディに徹しようというものであった。そのため、庵野秀明氏も当初は全く企画に興味を示していなかったが、山賀博之氏が執筆した第2話の脚本を読んで興味を持ち、自ら絵コンテを描いて持ち込んだため、そのまま全話の監督を任され、それが庵野秀明氏の監督デビュー作になった、という経緯がある(本人は'''監督になる気は全くなかった'''とも言っている)。
 
**タイトルの『トップをねらえ!』も、トム・クルーズの『トップガン』と『エースをねらえ』のパロディである事は言うまでもないが、肝心の'''庵野監督がトップガンを知らなかったため'''トップガン要素が皆無になった、という逸話がある。
 
**タイトルの『トップをねらえ!』も、トム・クルーズの『トップガン』と『エースをねらえ』のパロディである事は言うまでもないが、肝心の'''庵野監督がトップガンを知らなかったため'''トップガン要素が皆無になった、という逸話がある。
***結果、庵野監督の意向によって、本人が知ってる70年代の特撮やスポ根アニメ、邦画の戦争映画、宇宙戦艦ヤマトなどがパロディーの元ネタにふんだんに使われ、洋画パロディの要素が消えている。
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***結果、庵野監督の意向によって、本人が知ってる70年代の特撮や東宝特撮映画、スポ根アニメ、邦画の戦争映画、岡本喜八映画、宇宙戦艦ヤマト、[[イデオン]]などがパロディーの元ネタにふんだんに使われ、純和風作品要素が濃くなり、洋画パロディーの要素がほぼ消えている。逆に、脚本・企画の山賀博之氏と岡田斗司夫氏は、本作の大元の元ネタをSF小説の『終わりなき戦い(ジョー・ホールドマン作)』にあると明かしている。
 
****本作はヒットできるかもわからなかったため、とりあえず4話までを作って、売れたら追加であともう2話を作る、という方針で製作された。そのため、第4話目が一旦の区切りであり、セミ最終回として製作されている。結果は予想外のヒットだったため、急遽追加された5話、6話の予算が足りなかった。そこで一計を案じ、一部をモノクロで演出する事で作業工程を省いて節約しようとしたが、'''それならまるまるモノクロでやりたい'''と庵野監督が提案したため、最終回は全編モノクロ映像で、止め絵を多用している。止め絵を多用して予算を浮かせる手法は、その後もエヴァンゲリオンなどでも見かけられる、庵野秀明氏の得意の演出手法となった。上記のパソコン用アダルトゲームの製作も、それだけ懐事情が厳しかったからである。なお、そうまでしてもガイナックスの経営はなかなか上向かず、ようやく会社の経営が軌道に乗ったのは『[[ふしぎの海のナディア]]』ヒットと、赤井孝美氏が手がけたプリンセスメーカーシリーズが売れてからだという。
 
****本作はヒットできるかもわからなかったため、とりあえず4話までを作って、売れたら追加であともう2話を作る、という方針で製作された。そのため、第4話目が一旦の区切りであり、セミ最終回として製作されている。結果は予想外のヒットだったため、急遽追加された5話、6話の予算が足りなかった。そこで一計を案じ、一部をモノクロで演出する事で作業工程を省いて節約しようとしたが、'''それならまるまるモノクロでやりたい'''と庵野監督が提案したため、最終回は全編モノクロ映像で、止め絵を多用している。止め絵を多用して予算を浮かせる手法は、その後もエヴァンゲリオンなどでも見かけられる、庵野秀明氏の得意の演出手法となった。上記のパソコン用アダルトゲームの製作も、それだけ懐事情が厳しかったからである。なお、そうまでしてもガイナックスの経営はなかなか上向かず、ようやく会社の経営が軌道に乗ったのは『[[ふしぎの海のナディア]]』ヒットと、赤井孝美氏が手がけたプリンセスメーカーシリーズが売れてからだという。
  

2020年3月15日 (日) 20:11時点における版

トップをねらえ!
監督 庵野秀明
キャラクターデザイン 美樹本晴彦
メカニックデザイン 大畑晃一(マシーン兵器デザイン)
宮武一貴(戦艦デザイン)
音楽 田中公平
制作 ガイナックス
発表期間 1988年10月7日~1989年7月7日
話数 全6話
巻数 全3巻
次作 トップをねらえ2!
初登場SRW スーパーロボット大戦F
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トップをねらえ!』はガイナックス制作のOVA作品。

概要

ガイナックスが初めて制作したOVA作品で、庵野秀明氏の初監督作品でもある。人類の未来を脅かす宇宙怪獣と戦うマシーン兵器のパイロット候補生に選ばれた少女たちの涙と成長を描く。

内容は「トップ・ガン」と「エースをねらえ!」を下敷きにした軍隊青春群像+スポ根美少女アニメ。作品全般に渡っての様々な邦画・洋画・アニメ・特撮作品のオマージュやパロディから成り立っており、脚本家の山賀博之氏も「全編ギャグアニメのつもりで作った」と回顧しているが、一方では相対性理論をきっちりと生かして感動的なストーリーに仕上げた本格SFでもあり、単なるパロディ作品に終わらない見ごたえある作品となっている。本作で培われたノウハウはスタッフをほぼ同じくする『ふしぎの海のナディア』『新世紀エヴァンゲリオン』へと受け継がれていく。

1990年度の第21回『星雲賞』映画演劇部門・メディア部門受賞作品。

続編に位置する作品として、『トップをねらえ! NeXT GENERATION』(小説は数十年後、漫画は数百年後が舞台。SRW未参戦)、OVA『トップをねらえ2!』(1万2000年後が舞台)も制作されている。

登場人物

スパロボ毎の登場人物一覧については以下を参照して下さい。

地球帝国軍

タカヤノリコ
主人公。マシーン兵器の操縦は全くできなかったが、努力根性で実力をつけていく。
アマノカズミ / オオタカズミ
ノリコの先輩。才色兼備の優等生。オオタに好意を抱いており、後に結婚する。
オオタコウイチロウ
ノリコのコーチ。ガンバスターの開発者でもある。
ユング・フロイト
天才と呼ばれるマシーン兵器パイロット。カズミにライバル心を抱く。
タシロタツミ
戦艦ヱクセリヲンの艦長。
副長
ヱクセリヲンの副長。
ヒグチキミコ
ノリコの友人。
カシハラレイコ
ノリコの先輩。ノリコをいじめていたが、彼女との勝負に負けたことで考えを改める。
スミス・トーレン
ノリコが思いを寄せるパイロット。
タカヤ提督
ノリコの父。

登場メカ

スパロボ毎の登場メカ一覧については以下を参照して下さい。

マシーン兵器

ガンバスター
対宇宙怪獣用の巨大ロボット。バスターマシン1号・2号の合体形態。
バスターマシン1号
ノリコが搭乗。
バスターマシン2号
カズミが搭乗。
シズラー黒
ガンバスターの量産型
RX-7
対宇宙怪獣用機動兵器。だが実際の戦闘では全く役に立たなかった。
RX-7ナウシカ
ノリコ機。
RX-7ジゼル
カズミ機。
RX-7ミーシャ
ユング機。

戦艦

ヱクセリヲン
第4世代型の超弩級戦艦。全長7.2km。1番艦が意図的に暴走してブラックホールとなって自沈。その後量産される。
ヱルトリウム
第5世代型超弩級戦艦。全長約70kmはヱクセリヲンの約10倍。「銀河中心殴り込み艦隊」の総旗艦。

宇宙怪獣

登場用語

マシーン兵器
バスターマシン
ブラックホール爆弾
木星を使用した巨大兵器。
縮退炉
アイス・セカンド
イナーシャルキャンセラー
雷王星
太陽系第13惑星。
宇宙怪獣(STMC)
圧倒的物量を誇る人類の敵。
沖縄女子宇宙高等学校(沖ジョ)
アンドロメダ焼き
カルネアデス計画
銀河中心部に生息する宇宙怪獣殲滅作戦の第一段階。
銀河中心殴り込み艦隊
カルネアデス計画のため編成された部隊。
トップをねらえ!科学講座
アニメ本編後のミニコーナーで、デフォルメされて三等身になったノリコとカズミ、コーチの三人が作品用語を解説する。
なお、本作の設定は非実在あるいは実在する科学用語などSFベースに虚実を織り交ぜて作り込まれているが、エーテル理論などあからさまに現代科学に反したものも含まれておりすべて鵜呑みにすると痛い思いをする。
T』のボーナスシナリオ「呪いのスーパーデフォルメ」ではこの時のデフォルメ状態のノリコとカズミが登場した。

楽曲

オープニングテーマ
「アクティブ・ハート」
作詞:森浩美 / 作曲:西木栄二 / 編曲:船山基紀 / 歌:酒井法子
エンディングテーマ
「トライ Again」
作詞:小倉めぐみ / 作曲:西木栄二 / 編曲:船山基紀 / 歌:酒井法子
挿入歌
「トップをねらえ! ~FLY HIGH~」
作詞:松宮恭子 / 作曲・編曲:田中公平 / 歌:日高のり子・佐久間レイ
ガンバスター合体シーンで流れる。『F完結編』『α』『第3次α』『第3次Z』『T』で採用。『T』限定版では原曲を収録。
ちなみに「トップをねらえ!~Fly Away~」という全く別の曲も存在する他、タシロと副長が唄うバージョンも存在する。
劇中BGM
「作戦開始」
『α』で採用。
「ガンバスター」
『α』『第3次Z』で採用。
「全艦発進せよ(M30)」
『第3次α』でシズラー黒やヱルトリウムの戦闘BGMとして採用。
「危機(M17)」
『α』『第3次α』で採用。

登場作と扱われ方

主に中盤以降の宇宙怪獣との闘いに重点が置かれ、序盤のコメディータッチのスポコン要素は再現される事がない。

各種設定がロボットアニメとしてはインフレの極みにある程あらゆる意味で大きいため、スパロボファンの間では『伝説巨神イデオン』と並んで出るだけで全ての作品を呑み込んでしまう作品として一種の畏敬の念にも似た扱いをされている。

旧シリーズ

スーパーロボット大戦F
初参戦作品。『F完結編』の予告にのみ登場。TVCMはガンバスターがバスタービームを出す所で終わる。
スーパーロボット大戦F完結編
沖縄マジンガーZの見物にノリコとキミコが登場する。今回宇宙怪獣がいないので、初陣はバッフ・クラン重機動メカスーパーガッツを習得する炎のイベントがある。

αシリーズ

スーパーロボット大戦α
宇宙怪獣がSRWに初登場。ストーリーも第3話から第5話までが再現されており、版権作品の最終ステージを飾る。
第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ
前作から採用された小隊システムにより、原作における宇宙怪獣の膨大な軍勢が再現されている。終盤では原作最終話の再現がある。

Zシリーズ

第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
今回は原作終了後の状態であり、味方ユニットはノリコとガンバスターのみで、敵は宇宙怪獣が登場。
同じガイナックス製及びスケールが本作並に大きい『天元突破グレンラガン』と初共演。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』と併せて(『ヱヴァ』の場合はカラーだが)ガイナックスを代表するロボットたちが一堂に会する。同じ「1万2000年」というキーワードを持つアクエリオンシリーズ(『アクエリオンEVOL』)とも初共演を果たしている。
第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
遂に続編『トップをねらえ2!』と共演する。また、カズミも登場。
『2』と密接に交わる形でストーリーが展開されていく。

VXT三部作

スーパーロボット大戦T
αシリーズ以来久々の原作再現がされたが最終話は再現されず、地球に迫る宇宙怪獣を殲滅しただけに留まっている。

単独作品

スーパーロボット大戦モバイル
スーパーロボット大戦X-Ω
カシハラレイコスミス・トーレンが初登場。

各話リスト

話数 サブタイトル 登場メカ 備考 再現スパロボ
第1話 ショック! 私とお姉様がパイロット!? RX-7
第2話 不敵! 天才少女の挑戦!!
第3話 初めてのときめき☆初めての出撃 α
第4話 発進!! 未完の最終兵器! ガンバスター α、T
第5話 お願い!! 愛に時間を! α、T
最終話 果てし無き、流れのはてに・・・ シズラー黒 第3次α

余談

  • 本作には「本来は全26話のテレビシリーズで、OVAはそのうちの6話分」という裏設定が存在しており、2005年発売のプレイステーション2版では、欠番になったという設定の話を除いた25話分が再現されている。
  • PS2版以前のゲーム化にはPCエンジン版やPC版などがある。
    • PCエンジン版の方は続編が開発中止によって未完。パソコン版にはガイナックスのアダルトゲームシリーズ『電脳学園シリーズ』の1作としてリリースされた。
  • 本作の元ネタについて、主役ロボットのガンバスターはゲッターロボイデオンコン・バトラーVなど、シナリオとタイトルは『エースをねらえ!』+『トップガン』。
    • 他、設定やデザインなどに『ウルトラシリーズ』を始めとする特撮作品からのオマージュも多い。
  • 2010年から2013年にかけて『ヤングエース』誌に漫画版が連載された。これの最終話では『NeXT GENERATION』『2!』の設定を折合する形で独自の後日談を描いている。
  • 本作で音楽を担当した作曲家の田中公平氏は、この作品に携わった事を「過去に携わった仕事の中でも一番屈辱的だった」と回顧している。
    • 理由については、監督の庵野秀明氏から1981年に公開されたイギリス映画「炎のランナー」、アントニン・ドヴォルザークの代表曲である交響曲第9番『新世界より』と似たような音楽を作るよう依頼されたためとしている。
    • どんな雰囲気の作品にしてほしいのかを伝えるために参考例として既存作品を挙げることや、パロディを意識した作品作りを依頼するということ自体は創作界隈ではよくあることではあるが、楽曲制作においてオリジナリティを重視する田中氏にとってこれらの要求は受け入れがたいものであったのだろう。そうした経緯あってか、本作以降、田中氏は庵野氏の作品に参加していない。ただし、『ふしぎの海のナディア』は田中氏が音楽を担当する案もあった(田中氏が前年にNHKの別のアニメを担当していた為、結局実現には至っていない)[1]
  • 本作が製作された経緯は、ガイナックスの自社製作作品第一弾であった『王立宇宙軍オネアミスの翼』の商業的な大失敗から抱えた巨額の負債を返済し、会社を立て直さなければならない、という、切羽詰まった事情からであり、そのため『確実に売れる作品を作る』との即物的な方針のもと、オネアミスのような作品性の追求は止め、とにかく目先の売上を第一に、娯楽とパロディに徹しようというものであった。そのため、庵野秀明氏も当初は全く企画に興味を示していなかったが、山賀博之氏が執筆した第2話の脚本を読んで興味を持ち、自ら絵コンテを描いて持ち込んだため、そのまま全話の監督を任され、それが庵野秀明氏の監督デビュー作になった、という経緯がある(本人は監督になる気は全くなかったとも言っている)。
    • タイトルの『トップをねらえ!』も、トム・クルーズの『トップガン』と『エースをねらえ』のパロディである事は言うまでもないが、肝心の庵野監督がトップガンを知らなかったためトップガン要素が皆無になった、という逸話がある。
      • 結果、庵野監督の意向によって、本人が知ってる70年代の特撮や東宝特撮映画、スポ根アニメ、邦画の戦争映画、岡本喜八映画、宇宙戦艦ヤマト、イデオンなどがパロディーの元ネタにふんだんに使われ、純和風作品要素が濃くなり、洋画パロディーの要素がほぼ消えている。逆に、脚本・企画の山賀博之氏と岡田斗司夫氏は、本作の大元の元ネタをSF小説の『終わりなき戦い(ジョー・ホールドマン作)』にあると明かしている。
        • 本作はヒットできるかもわからなかったため、とりあえず4話までを作って、売れたら追加であともう2話を作る、という方針で製作された。そのため、第4話目が一旦の区切りであり、セミ最終回として製作されている。結果は予想外のヒットだったため、急遽追加された5話、6話の予算が足りなかった。そこで一計を案じ、一部をモノクロで演出する事で作業工程を省いて節約しようとしたが、それならまるまるモノクロでやりたいと庵野監督が提案したため、最終回は全編モノクロ映像で、止め絵を多用している。止め絵を多用して予算を浮かせる手法は、その後もエヴァンゲリオンなどでも見かけられる、庵野秀明氏の得意の演出手法となった。上記のパソコン用アダルトゲームの製作も、それだけ懐事情が厳しかったからである。なお、そうまでしてもガイナックスの経営はなかなか上向かず、ようやく会社の経営が軌道に乗ったのは『ふしぎの海のナディア』ヒットと、赤井孝美氏が手がけたプリンセスメーカーシリーズが売れてからだという。

脚注

商品情報

Blu-ray

DVD

漫画・小説

  • 小説版

  • 漫画版

楽曲関連

その他