「因果律」の版間の差分
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2024年5月10日 (金) 00:26時点における版
「ありとあらゆるものは何らかの原因から生じた結果であり、原因がなくては何も生じない」という法則。要は、原「因」と結「果」の関係性のこと。
別の作品でも散見される単語だが、これはおおざっぱに言うと「世界とそこに属するモノを『こういう原因でこういう結果になっている』と規定しているルールのようなもの」である。
基本的に不可逆であり、「因」と「果」が逆転することは決してない。「因」が何らかの方法で(それこそクロスゲート・パラダイム・システムなどで)消去されれば、それに付随する「果」もまた因果律に従って消去されることになる。
ことわざで例えるなら「火のない所に煙は立たぬ」といったところであろう。
スパロボシリーズにおいて
基本概念は同じ。
例えばαシリーズなら、「先史文明においてガンエデンが建造された」という「因」から「どの作品でどの主人公を選んでも、シリーズの最後にはケイサル・エフェスが待ち受けている」という「果」に至ることになる。各主人公のシナリオはそれぞれが並行世界の関係にあるのがミソである。
一番顕著な例であるアダマトロンを見てみると、「アダマトロンが存在する」という「果」に至るために「イングが鋼龍戦隊に入る」、「イルイがマシアフに目覚める」⇒「ナシム・ガンエデンが起動する」、「AI1が暴走する」、「南極のクロスゲートが起動する」など、非常に多くの「因」が必要となってくるため、これらの一つでも欠けると存在できなかったことになる。
逆にアストラナガンの場合は、「OG世界での技術でアストラナガンを造ることは不可能」、「イングラムの行動理念がα世界のイングラムとは異なる」⇒「アストラナガンを造る動機がない」という「因」があったため、OG世界に登場できなかったととれる。そしてアウルゲルミルも、アストラナガンという重要な「因」が欠けたためOG世界に存在することはなかった。
一番言及される機会の多いOGシリーズでは、輪廻転生の思想や「虚憶」と関連付けられる形で扱われている。この原理に最も深く関わっているキャラクターとして、イングラムとユーゼス・ゴッツォがいる。
「因果の鎖」について
イングラムとユーゼスが囚われているという謎の概念。これがために、イングラムはいずれの世界でも自己を求めながら滅び、ユーゼスは破滅の運命から逃れることができない。
関連要素が藪の中であるため説得力のある推測はできないが、イングラムとユーゼスに対して起こっている現象のみに絞って言うならば、「どの世界のどの時間においても、互いに『操る者』と『操られる者』という関係にあり、最終的にはどちらも世界からいなくなる」という「果」が出ている。また、各々に対して言うならば、イングラムは「操られた上で自我の確立に執着し、その成就と共に、あるいは程なくして命を失う」という「果」、ユーゼスは「あらかじめ破滅の運命が待っており、それを逃れようとして阻まれる」という「果」が確定されている。しかし、そこに至るまでの「因」は未だわかっていない。
どこかの世界のユーゼスはこの「因」を知ろうとして頓挫し、因果に縛られない新たな世界の構築を目論んでやはり失敗したらしい。
一方、本編のユーゼスは「因果の鎖」の存在に気付いていた節がある。彼は「鎖」から抜け出すために、経緯や方法、結末の受け止め方は違えどクロスゲート・パラダイム・システム(CPS)を開発し、利用しているが、その都度阻まれている。
この一連の真相に気付いていた貴重な人物であるシヴァー・ゴッツォは、クォヴレー・ゴードンと対峙した際に「イングラム……ユーゼス……クォヴレー……因果の鎖は断ち切れぬ」と発言したが、多くを語ることなく死んでしまったため真相は分からずじまいとなった。
結局、彼らを縛る「因果の鎖」とは、まず一つの「因」が「果」を生み、その「果」が次の「因」と「果」を生み……と連鎖し続け、ユーゼス、イングラム、クォヴレー、シヴァー、ラオデキヤ、その他多くの人間の存在を規定しているその「連鎖」がより合わさって収束した結果、がんじがらめになり、解けなくなってしまった状態なのだと思われる。
アニメ『ディバイン・ウォーズ』においてクォヴレーは、彼らが「鎖」から逃れる方法はもう一つあり、それは「数多の世界が大いなる終焉を迎える時(=輪廻の可能性が消え、因果の鎖そのものが機能を失う時)」だと述べている。
『第3次α』ハードルート最終話において、ケイサル・エフェスは「この宇宙を縛る因果の鎖が消え去らぬ限り、我はまた現れる」と言い残して消滅したが、これが正しければ、αシリーズの次の宇宙であり、「鎖」の存在するOG世界にもかの霊帝が現れる可能性はある。
ちなみに、ユーゼスとイングラムに関連する一連の事象を、因果の鎖の性質と因果律の概要を踏まえて読み解いてみると、「『因』が同じなら、経緯がどうあれ行きつく『果』は同じになる」というルールが見えてくる。ぶっちゃけてしまえば、いわゆる「フラグ」であり、その最たるものがアダマトロンである。
『第2次OG』やそれ以前のユーゼスはCPSを用いて「鎖」の先端にあたる最初の「因」(一番最初に成立したフラグ)を解明することで「鎖」の解放を試みているが、それが可能になった途端に「鎖」の切断に目的を変更し、結果として失敗している。いずれの作品でも「超越者の力を利用し、自身にまつわる他の因果律を切断する」という方法を取っているが、結果はご存じの通りである。
OGシリーズにおける他の「因果律」
今のところ、イングラムとユーゼスに関わる以外ではそれほど深く触れられていない。しかし『第2次OG』において、クロスゲートを見たシュウ・シラカワは「因果律は収束しつつある」と述べており、世界観の根幹に関わっているのは確かなようだ。
因果律とは「『因』があって『果』がある」という原理であるため、クロスゲートの登場によって数多くの「因」が集まり、その結末たる「果」(αシリーズで言うところのケイサル・エフェス、メタ的に言えばOGシリーズのラスボスの出現)が近い、ということなのだろう。
次元力との関連
Zシリーズにおいて最もこの概念に関わっているのは、アサキム・ドーウィンである。仄めかされていたマサキとの関連や「太極」などのワードから色々と推測が行われていたが、『天獄篇』においてようやく真相が判明した。
詳しくは本人の項に譲るが、アサキムの正体はシュロウガが作り出した実体ある虚像であり、シュロウガが不滅なのは御使いの一人である怒りのドクトリンによってシステムを改変されていたためである。
御使いは次元力を自在に操り事象を制御するが、この力は使いこなせば因果律を何のリスクもなく自在に改変することができる。また、スフィア・リアクターの一部は、この力により原因もなしに結果を発生させることができる。
つまり、次元力とはそれ自体が因果の「因」として機能し、文字通り全ての「果」へと繋がる極めて特殊なエネルギーであり、この力によって起きるあらゆる事象は「次元力を使ったから」という原因のみで成立するのである。機動兵器を動かす、時間を巻戻すなどの事象も、次元力を使用すれば全てそれだけで説明できる。
ただし、無限力と異なり「量」の概念があり、それに比例して因果律干渉の度合いが上下する。
因果律の番人
イングラムの持つ称号の一つ。アストラナガンはそのための剣であるという。具体的にこれが何を意味するのかは今なお不明だが、αシリーズにおける動向や言動を見る限り、「因」への干渉と「果」の改変を目論む──言うなれば、運命を都合のいいように捻じ曲げる存在を討つためのカウンター、ということだろう。
ただ単に干渉しただけ(例えば歪んだ時空を元に戻すなど)では敵とはみなされず、あくまで個人の都合で因果に干渉する者こそが彼らの敵となる。
これにダイレクトに当てはまるのはユーゼスだが、虚構の世界を脱出して以降、イングラムは因果の鎖によって彼の操り人形となることが確定しているため、使命を果たすことはできなくなった。そのため、銀河大戦の一つの可能性においてクォヴレーがその使命を継承し、「虚空の使者」として数多の並行世界を巡ることとなった。
ちなみに、実は必ずしも「生命」の味方ではない。『第3次α』で介入を試みたのは、正と負の無限力が互角の衝突を起こし、それが連鎖的に並行宇宙を破壊するのを危惧したためであり、正負いずれにしろ、どちらかがどちらかを圧倒して勝利するのならばそれで構わない、というわけである。事実、イングラムも「俺を善悪の基準に当てはめるな」と述べており、ここからも彼ら「番人」が必ずしも人間の味方ではなく、あくまでも宇宙全体の平衡の守護者であることが読み取れる。
もっとも、使命を持った個人が、それを達成するためにどう行動するかはそれぞれに委ねられており、イングラムはアストラナガンをその指針に用い、新たな番人であるクォヴレーは銀河大戦において、正の無限力を勝利させるために生命の守護を選択した。
なお、この設定は、一般相対性理論において「因果律を歪曲させる特異点(物理学の場合、無限大の量を持つ事象)が自然界に存在しないのは、何者かが検閲するかのごとく何かしらの物理現象が働いて存在を禁じているためである」とする「宇宙検閲官仮説」が元ネタと思われる。ブラックホール中心にある重力特異点(重力が無限大)を例にすると、光速をもってしても脱出不可能な重力場によって観測不可能&時間停止状態にある隔絶領域「事象の地平面」が形成されることで、物理法則から切り離されているとされる。
関連人物
- イングラム・プリスケン
- 元祖「因果律の番人」。「鎖」に囚われた男その1。どこの世界でも自意識を奪われ、死んでいる時しか自由に動けない、というシリーズきっての苦労人。
- ユーゼス・ゴッツォ
- 「鎖」に囚われた男その2。どこの世界でも破滅の運命から逃れようとあがくが、犠牲や代償を全く考えないために都度都度阻止される。
- 過去には「どこかの世界のユーゼスは完璧な形で計画を遂行した」と解釈できる発言もあったが、それでも「鎖」から逃れられていないため、根本的にやり方を間違えている可能性がある。メタなことを言えば、フラグ立てを失敗し続けているのである。
- ラオデキヤ・ジュデッカ・ゴッツォ
- バルマー第7艦隊司令官。『SHO』においてユーゼスの前に現れ、ズフィルードあるいはジュデッカの機体フレームを渡している。
- 諸々のファクターから、この時現れたのは『スーパーロボットスピリッツ』の黒幕「ジュデッカ・ゴッツォ」だったのではないか、という推測がある。
- シヴァー・ゴッツォ
- 「因果の鎖」に関する真相を知っていた男。残念ながら、劇中ではクォヴレーと対峙した際にぽつぽつと語る程度で、詳しいことは何一つ語らずに死んでしまった。今後の解明が待たれる。
- クォヴレー・ゴードン
- イングラムの後継者たる「虚空からの使者」。OG世界への干渉を始めたらしいが、現出という「果」に至るにはまだ「因子」が足りないらしい。
- ケイサル・エフェス
- バルマーの真の支配者。宇宙の生命を鏖殺し、まつろわぬ霊の王になろうとしていた。彼もまた「因果の鎖」に関わっていた節がある。
- シュウ・シラカワ
- OGシリーズでは「虚憶」の件もあって、因果律の謎について独自に調べている節があり、ヴォルクルスの呪縛が解けて以降それが顕著になっている。
- なお、旧シリーズ・OGシリーズ共に、愛機・グランゾンのブラックボックスに「特異点」という細工が施された(因果律の『因』)結果、通常なら起こり得ない「偶然」が地球圏において多発する事態が発生した(因果律の『果』)。が、OGシリーズにおいてはそれだけが混乱の原因ではないことに特異点崩壊前から気付いており、現在はクロスゲートにその鍵があると踏んでいるようである。
- アサキム・ドーウィン
- その正体は「並行世界のマサキ」という説が有力だったが、実体はシュロウガが欠けた本来のパイロットを模倣して創造した虚像であった。
- アサキム自身の過去も最初から存在しておらず、随所で見せていた意味深なモノローグや言動は、全てシュロウガそのものの記憶。そのため、仮にシュロウガとサイバスターに何らかの関わりがあったとしても、少なくともマサキ本人ではないことは確定した。
関連機体・要素
- アストラナガン
- イングラム専用機である「生と死の狭間に立つ因果律の番人」。代名詞が「漆黒の天使」であるのがミソ。
- ジュデッカ
- 『α』で登場したユーゼス専用機。またの名を「黒き地獄」。未完成のCPSを搭載しているのか、限定的ながら因果律操作が可能となる。
- CPSが完成すれば完全なものとなり、ズフィルードやガンエデンをも凌ぐ存在となる。
- クロスゲート
- あらゆる因果を無視して並行世界や遠く離れた空間、果ては異なる時間すらも繋いでしまう掟破りの「次元門」。ぶっちゃけるとこのゲートが出て来た時点で「何でもあり」になってしまう。
- 何故かと問われても「このゲートはそういうもの」「クロスゲートだから仕方ない」になるのがオチ。寺田プロデューサーが元々そういうアイテムとして考えたからである。
- クロスゲート・パラダイム・システム
- 限定因果律操作装置。限られた空間においてだが、因果律を自在に操り神の如き力を発揮できる。ただし、完成度は作品を追うごとに低くなっており、技術的ブレイクスルーはあれど肝心な部分がどんどん欠けている。
- 全ての「因」とそれに伴う「果」を残らず把握し、計算しなければならないため、完全な起動には未来予測を可能にする要素、あるいはそれに近いものが必要。
- ディス・アストラナガン
- 因果律をも歪めかねない負の無限力を宿した「漆黒の銃神」。クォヴレーが操ってこそ世界のための力となるが、そうでなければ世界を乱す破壊者になりうる可能性がある。
- アダマトロン
- OG世界のユーゼスが行き着いた「新人祖」。CPSを内蔵していたが不完全であり(上記のジュデッカより因果律操作がさらに限定されてしまう)、おまけに計画自体も行き当たりばったりの穴だらけだったため、総出で叩きのめされあっさりと倒れてしまった。
- 因果から脱するための手段だったが、ユーゼスが行動の指針に使っていた「虚憶」に欠落が多く、根本的に必要なファクターばかりを取りこぼしてしまったために失敗した。
- 無限力
- αシリーズでは宇宙の因果に干渉しているため、運命そのものとして「アカシックレコード」の別名で呼ばれることもしばしば。また、負の無限力はこれに対抗して因果を歪めることができる。
- αシリーズにおいてはゲッター線やビムラーといった数々の超エネルギーも内包した概念だが、元々は『伝説巨神イデオン』が出典。
- 因果地平
- 「この宇宙の出来事が一切及ばないような、宇宙の果てより向こう側の世界」というのが大まかな意味。原因も結果も干渉できない。
- 異能生存体
- 普通の人間なら絶対に死ぬはずの状況に陥っても「生き残る」ように因果律を歪めてしまう(というより、歪められてしまう)存在。30cm前後の距離から拳銃で撃たれても外れ、念入りに撃ち直しても物理法則を無視した弾道を描いて外れ、さらに撃ち直しても銃そのものが暴発する。作中ではただ一人、キリコ・キュービィーのみが当てはまるとされている。
- こちらの場合、「因」そのものではなく、そこから「果」へ至るまでの過程が変更される、というのが正しい。『装甲騎兵ボトムズ』が出典。
- 確率変動弾
- 相手の防御・回避という「因」を打ち消し、命中するという「果」を作り出す因果律干渉兵器。認識宇宙だからこそ実現する武器と言える。『天元突破グレンラガン』が出典。
神来無限掌 - 「無限拳」の系統に連なるエンシェントAQの必殺技。通常「無限拳」はアクエリオンから腕が伸びていく「因」が発生して敵にパンチが直撃する「果」に至るというプロセスとなっているが、この技は先にパンチが直撃する「果」を作り出して、その後「因」として腕が本体へ伸びていく、「因」と「果」が逆転した技となっている。
- ラプラスコンピューター
- 神聖ラングラン王国製の魔装機神に搭載された機構であり、あらゆる「事象」を予測するために搭載されたメインコンピュータ。予測の的中率は極めて高いが、パイロットが高い魔力を有していないと発動しない上に、これを使用すれば因果律を捻じ曲げる危険性をはらんでいる。
- しかもマサキの場合、このコンピューターをもってしても(ナビゲーターが壊れれば)生来持っている方向音痴という「因」とそれによって道を迷う「果」は変えられないというオチが待っている。
- タングラム
- 『電脳戦機バーチャロンシリーズ』に登場する超時空因果律制御機構。その名の通り、限定的ではあるものの平行世界と現行世界の事象を繋ぎ合わせ、入れ替えるという形で因果律を制御することが可能な存在。言わば自我を持つCPS。
- SRWでは現状『K』のみの登場だが、他に『バーチャロン』が参戦したタイトルで対峙するモノたちのことを考えると……。
- 次元力
- Zシリーズにおける宇宙の在り方に関わる根本的な概念。Zシリーズの世界の万物万象に宿る「意思」に干渉することで様々な事象を制御する力。
- αシリーズの無限力に近いが、「多数の意思の集合」という側面がある無限力と違い、「個々に宿るモノ」という側面が大きい。干渉できる意思の量によって規模は変わるが、「因」と「果」の関係性を無視して事象の改変・制御を行うことができる。
- 太極
- Zシリーズにおける宇宙の在り方に関わる根本的な概念。その正体は御使いが創造した人造の神「至高神ソル」。
- シュロウガ
- Z世界とは別の世界の、至高神ソルと同格の至高神。全てが謎であるが、アカシックレコードに触れ、因果律を操作するシステムを搭載している。
- マジンガーZERO
- 魔神パワーの第六段階として、1%でも可能性があれば、その結果を強引に引き出して現在の世界にねじ込むという「因果律操作」を持つ。
- ブラックノワール
- 『V』で見せた超常的な力のカラクリは、ただの因果──原因と結果によるもの。
- 「因果を操る」などということではなく、膨大なシミュレーションから、任意の「果」を生む「因」を発生させているに過ぎない。