グレート合体
グレート合体はスーパー系のロボットアニメで多く見られる、主役ロボットのパワーアップ合体方法の俗称。「スーパー合体」とも呼ばれる。
概要 [編集 | ソースを編集]
おおまかな定義としては、1号ロボ(主役ロボ)の腕部や脚部・頭部などに2号機ロボやサポートメカが装甲パーツの形態に変形し装着され「1号ロボに武具を着せた強化形態」となるものを指し、装甲パーツに変形する側のロボットが一度各部分を分解して装甲パーツへ再び組み直されるような変形を行うパターンが多くを占める(この際にいわゆる「余剰パーツ」が発生することもしばしばある)。足の裏に強化パーツが付けられる場合、外見的に「主役ロボに履かせる靴」のような状態となり、慣用句の「下駄を履かせる」と掛け合わせて下駄合体と揶揄されることもある(もちろん「下駄」の無い合体ではそう呼ばれない)。
ただし上記以外のパターンでの合体[1]でも「主役ロボを含めたロボ同士が合体」していればグレート合体・スーパー合体と呼ばれることが多い。2024年3月9日に放送されたバラエティ番組『宮下草薙の玩具愛好会~戦隊ロボ篇~』では、単にスーパー戦隊シリーズにおける1号ロボと2号ロボの合体をスーパー合体と呼称している[2]。
主役ロボ以外の強化合体も見られるが、それらはあまりグレート合体とは呼ばれない[3]。
また主役ロボが絡んでいても、脇役ロボが武器などに変形するだけで主役ロボそのものには変化が少ない場合も、やはりグレート合体とは看做されないことが多い[4]。こちらは主に「武装合体」などと呼ばれる。
スポンサーの主力商品たる男児向け玩具においては、元々デザインや技術の都合で体型を犠牲にしている状態のロボットを多重に合体させるという条件の悪さに加え、2号ロボを身に纏うような合体方法が仇となり、非常にゴテゴテとした不恰好な形状となってしまうことがある一方で、アニメ作品内においては大抵(時に設定を無視した)スマートなプロポーションで描かれる。このため技術が進歩した後年になって、劇中の姿に近付けたリメイク玩具が発売されることもある。
あくまでグレート合体・スーパー合体は俗称であり、該当するロボには専用の合体名が用意されることが多い。中には作中では使用されず、玩具で付与される合体名も存在する。
ちなみに「余剰パーツ」に関しては、劇中では自動操縦で拠点に帰還していたり、ロボの内部に収納されていたりなどの設定が付加されることもあれば、特に理由なく消える(所謂大人の事情)こともあるなど作品によってまちまち。
起源[編集 | ソースを編集]
このような形式の合体は、1988年放映の特撮作品(東映の「スーパー戦隊シリーズ」)『超獣戦隊ライブマン』に登場する「スーパーライブロボ」及び、同年放映のアニメ作品『トランスフォーマー 超神マスターフォース』(共にSRW未参戦)に登場する「ゴッドジンライ」が最初に行ったとされる[5]。
なお元祖が「スーパー」ライブロボであり、またそこから三年連続で戦隊ロボの最終合体に「スーパー○○」という名称が使われた(以後も「スーパー○○」という戦隊ロボが多数登場した)こと、一方で勇者シリーズでは初代の『勇者エクスカイザー』~『勇者特急マイトガイン』まで四年連続で「グレート○○」が登場したことから、「スーパー合体」は戦隊シリーズの、「グレート合体」は勇者シリーズの強化合体を指すという呼び分けが為されることもある[6]。どちらのシリーズにも属さないロボットの場合はどちらの呼び方も使われる傾向にある。
1980年代中盤は、リアル系ロボットアニメにおける主役機のパワーアップイベント、即ち新型機や後継機への乗り換えによる新たな主役ロボの登場が確立した時期である。そういった作劇方法をスーパー系ロボットアニメに取り込むことで、所謂「グレート合体」が誕生したと推測される。
関連するユニット[編集 | ソースを編集]
勇者シリーズ[編集 | ソースを編集]
- グレートエクスカイザー
- 「超巨大合体」。ドラゴンカイザーを構成するドラゴンジェットが各部パーツに分解され、キングエクスカイザーに装着されることで完成。
- グレートマイトガイン
- 「超特急合体」。マイトガインにマイトカイザーが分離したカイザーパーツが合体して完成。ただし設定上はマイトガイン用の強化パーツだったものを、2号ロボマイトカイザーに変形合体できるようにしたという特殊なパターン。
- 本機の場合はさらにこの状態からマイトガンナーと合体する余地が残っているが、そちらと合体した「グレートマイトガイン・パーフェクトモード」は武装合体に該当する。
- ファイヤージェイデッカー
- 「大警察合体」。デュークファイヤーが各部装甲パーツに分離し、ジェイデッカーに装着されることで完成。
- 本形態からさらにマックスキャノンと合体する「ファイヤージェイデッカー・マックスキャノンモード」が存在するが、これはジェイデッカー形態からそのまま存在する武装合体。
エルドランシリーズ[編集 | ソースを編集]
- ゴッドライジンオー
- 「超無敵合体」。2号ロボのバクリュウオーが各部装甲パーツに分解され、コアとなるライジンオーに装着されることで完成。グレート合体する機体のSRW参戦は本機が初。
- グレートガンバルガー
- 「超ミラクル合体」。2号および3号ロボのリボルガーとゲキリュウガーが各部装甲パーツに分解され、コアとなるガンバルガーに装着されることで完成。
- 作中ではコア機のガンバルガーにパーツが強引に装着されて合体しているが、玩具ではコア機も部分的に分解して合体させるため、合体後もプロポーションが損なわれていない。その反面大量の余剰パーツが出る。
- キングゴウザウラー
- 「超熱血合体」。ゴウザウラーと2号及び3号ロボのマグナザウラー・グランザウラーがそれぞれ分離・再合体することで完成。
- 3機全てをパーツ分解させる方式のためプロポーションは良好で、余剰パーツも最小限に抑えられている。
- パーフェクトダイテイオー
- 「完全勝利合体」。ダイテイオーとダイリュウオーの合体により完成。
その他[編集 | ソースを編集]
- アルティメットグラヴィオン
- 「最終合神」または「最凶合神」。ゴッドΣグラヴィオンが4つの強化パーツに分解され、ソルグラヴィオンに装着されることで完成。1号メカ(正確にはそのカラーバリエーション)を構成するマシンが2号メカに合体して完成する変則パターン。
- シンカリオン E5 MkII × ALFA-X
- 「オーバークロス合体」。シンカリオン E5はやぶさ MkII[7]が強化パーツに分解され、シンカリオン ALFA-Xに装着されることで完成。
- オーバークロス合体はグレート合体にしては珍しく複数の組み合わせが存在し、特にE5 MkIIは多数の機体と合体可能[8]だが、E5 MkIIとALFA-Xとの合体はALFA-X側の変形システムが従来と違うため方式が異なる。
- ゼンリョクゼンカイオー
- 「全力全界合体」。ゼンカイオージュラガオーンおよびブルマジーンを構成するジュランティラノ、ガオーンライオン、マジンドラゴン、ブルーンダンプが、それぞれ四肢の形でゼンリョクイーグルに合体することで完成。
- そもそも『機界戦隊ゼンカイジャー』は1号ロボが複数存在する異例の作品であり、デザイン上の問題(後述)もあったため、追加メカのゼンリョクイーグルを軸に1号ロボの構成機体4機を合体させるという変則的なスーパー合体。玩具では余剰パーツになりがちな各機の武器を「ゼンリョクゼンカイソード」という合体武器に集約していることもあって余剰パーツはないが、同武装を手持ちできず専用ジョイントで強引に保持している。
- SRWではジュラガオーンの武装演出で登場。
- アルティメットダンクーガ
- ダイリューガが各部強化パーツに分解され、コアとなるダンクーガに装着されることで完成。
- 『スーパーロボット大戦30』に参戦する際に新たに設定の起こされたスパロボオリジナル機体だが、登場当初は「増加装甲を施した機体」とされ、『30』当時から設定は存在するもののダイリューガ自体は公表されていなかった。都合上、専用の合体名は未判明。
- グリッターファルセイバー
- 「輝煌合体」。ファルセイバーとブルーヴィクターの合体により完成。
余談[編集 | ソースを編集]
- 前述の通り『超獣戦隊ライブマン』に登場する「スーパーライブロボ」がグレート合体(スーパー合体)の始まりとされているが、当番組において2号ロボとの合体は番組強化方針のためのテコ入れの一つであり後付け設定でもあった。
- そもそも1号ロボ「ライブロボ」は強化合体を想定していないデザインだったために2号ロボ「ライブボクサー」の変形・合体パターンの考案は困難を極めたが、ライブロボ側に合体時には空いているジョイント(合体前の小メカ状態で使用しているもの)があったお陰で、そこに分離させたライブボクサーのパーツを合体させることで解決した。半ば無理くりに設計されたこともあり、玩具のライブボクサーのプロポーションは劇中のそれとは大きくかけ離れたものとなってしまっている[9][10]。合体パターンにはバンダイが同時期に展開していた『聖闘士星矢』の玩具シリーズ「聖闘士聖衣体系」を参考とすることで「2号ロボ及びサポートメカが1号ロボの強化パーツとなる」という定番パターンが確立された。
- SRWに参戦した『機界戦隊ゼンカイジャー』の1号ロボゼンカイオージュラガオーンも、ライブロボ同様に強化合体を想定していないデザインであり、そちらは上述したように追加メカのゼンリョクイーグルに合体機構を依存、元のゼンカイオーの左右で合体する方式を流用してスーパー合体を実現させている。
- 「勇者シリーズ」においてはこのグレート合体が通例となっていたが、『勇者王ガオガイガー』のみ2号ロボとのグレート合体が行われなかった。これは米たにヨシトモ監督による「合体を繰り返すと1号ロボの存在感が弱くなるから」という意向によるものであり、強化も動力系の改良や宇宙用換装パーツを装着する程度に留められた。ちなみDVD-BOXの解説によると企画当初はガイガーの時点で主役ロボットが完成していることから「ガオガイガーこそが既にグレート合体である」とされている。
- なお、後に小説『覇界王 ガオガイガー対ベターマン』ではガオガイガーがベターマン・カタフラクトを纏う形で合体した「夢装ガオガイガー」(SRW未登場)という形態が新規で登場しており、ガオガイガーのグレート合体に相当する形態が変則的に生まれている。
- グレート合体の名前がいつ頃から使われだしたかは定かではないが、1998年発売のタカラ開発の恋愛ボードゲーム『ツアーパーティー 卒業旅行にいこう』では作中の登場人物・大淀大輔が「グレート合体シリーズ」と呼ぶ台詞がある[11]。
- 玩具における再現に関しては、余剰パーツが発生する場合が多く特に1号ロボの武器や盾が余りがちな傾向にある。
- プロポーションについても2号ロボを纏わせるため上半身と下半身の比率が上半身に偏っている事も多い。
- 当時タカラにて「勇者シリーズ」の主役ロボと、そのパワーアップに関わる合体ロボを担当していた國弘高史氏は強化合体のパターンは一目で強くなったと判るデザインを意識していたとのこと[12]。
- その理由として『絶対無敵ライジンオー』のゴッドライジンオーをアニメで見たときに、上述のように細かい変化では作画で省略されてしまうと判ったからとのこと。そのため翌年の『伝説の勇者ダ・ガーン(SRW未参戦)』のグレートダ・ガーンGXは胸部にライオンの頭をつけ、腕は何も付けなかったが、逆にグレートマイトガインやファイヤージェイデッカーのときは胸に巨大なパーツを付けて、「これなら省略できないだろうと(笑)」と思ったとのこと[12]。
- フルパワーグリッドマンやガイキング・ザ・グレートは厳密にはグレート合体には数えられないが、合体演出や設定はグレート合体のそれを踏襲している。
- 前者についてはグリッドマンがロボットであれば「グリッドマンとパワードゼノン(SRW未参戦)によるグレート合体」と解釈もできるのだが、実際にはロボットではなく生身のヒーローであるため先述の『聖闘士星矢』方式に近い。
- 「主役ロボの強化形態」ではないためグレート合体と扱われないが、合体の構成としてはダンクーガも同じ方式となっている。
脚注[編集 | ソースを編集]
- ↑ 2号ロボをバックパックとして背負って合体、それぞれ上半身と下半身に変形して合体、などなど。
- ↑ ただこの定義であっても、2号ロボである豪獣神は腕だけをそのまま換装に使われている『海賊戦隊ゴーカイジャー』のカンゼンゴーカイオーが含まれるかは微妙なところ。
- ↑ 例:バトルボンバーなど。
- ↑ 例:ガオガイガー+ゴルディーマーグなど。
- ↑ ただ、ゴッドジンライの2号ロボ・ゴッドボンバーはどちらかと言えば「ロボット形態にもなれるサポートメカ或いは強化パーツ」といった要素が強く、1号ロボ・2号ロボが両雄並び立つケースが多い現行のグレート合体とは少々異なった路線となっていた。『マスターフォース』の続編である『トランスフォーマーV』(SRW未参戦)では2号ロボ・ビクトリーレオにも確固としたキャラクター性が与えられ、後の勇者シリーズにも続くグレート合体の原型が完成している。
- ↑ 先述の通り「グレート合体」形式の登場自体は勇者シリーズの誕生前であるが、それまで特に名称の存在しなかった強化パターンが勇者シリーズによって「グレート合体」と定義された、とも言える。
- ↑ 変形前の中間車の一部である「上空探査機ハヤブサ」も合体に参加。
- ↑ 一例として、合体形態自体はSRW未参戦だがE5 MkIIとブラックシンカリオン 紅との合体形態「シンカリオン E5 MkII × ブラックシンカリオン紅」も作中で登場している。
- ↑ 合体時に殆ど見えない部分になる腕部が小さく、胴体部、脚部が大きい。また頭部も番組内と玩具では大きさが逆転している。
- ↑ これは2018年に開発された「スーパーミニプラ」でも解決できていないが、開発者の発言などからすると「敢えて当時の玩具らしさを残した」とも解釈できる。
- ↑ 直後に「あのギミックはもうゲージツだよ」とも。
- ↑ 12.0 12.1 ワールドフォトプレス『フィギュア王No.271』42頁。