人類軍
人類軍とは、『蒼穹のファフナー』シリーズに登場する組織。
概要[編集 | ソースを編集]
新国連が有する対フェストゥム軍事組織。
日本を核攻撃で消滅させるなどフェストゥム殲滅のためには手段を選ばない面が強く、特に日本消滅の件はアルヴィスとの確執をも生み出している。
戦力としてファフナー、グノーシス・モデル、メガセリオン・モデル、ベイバロン・モデルを開発。グノーシス・モデルは30000機以上が生産され(メガセリオンはその約3%、ベイバロンは更に少ない約200機)、そこに各種通常兵器や核を加えた強大な戦力を有している。しかし肝心のファフナー3種がフェストゥムのコアを搭載しておらず、フェストゥム自体の強さもあってジリ貧の様相を呈している。また、決戦兵器であったザルヴァートル・モデルは他所の陣営へ渡ってしまっている。
無印最終盤で対北極ミール最終作戦『ヘヴンズドア』を決行。読心対策のために全軍での遊撃戦を行うという無謀な作戦であったが、独自に蒼穹作戦を並行していた竜宮島の面々がミールを破壊したことで多大な損失を出しながらも一応は人類側の勝利に終わった。しかし、敵中枢の破壊に成功したとはいえ本来の目的は達成できず、作戦そのものは失敗。非敵対的なフェストゥムの群れへの核攻撃や焦土作戦、アルヴィスの(非人道的な)技術の導入など姿勢は更に強硬化し、ついには更にはボレアリオスの小ミールごと竜宮島を核で焼き払おうとした。
これは北極ミールの破壊でフェストゥムが「憎しみ」と「個」の概念を学んだ結果、憎悪のまま人類殲滅に動く群れが出現して強硬策を取らざるを得ないほどに戦局が悪化しだしているのが主な原因。そもそも『蒼穹のファフナー』原作の世界観は数十年に渡る戦争で人類が地球から駆逐されつつある世界であり、疲弊しきった人類には綺麗事を並べる余裕など既に無くなっている。数十億もの同胞を殺戮し、世界中から平和という文化をも奪い去ったフェストゥムは、大多数の人類にとって倒すべき化物でしかないのである。
内情・対外関係[編集 | ソースを編集]
その所業やスパロボでの扱いを見る限り典型的な悪い軍隊に見える人類軍だが、実際は非情な組織であっても悪の軍隊ではない。構成員は長く過酷な戦いで精神が摩耗しているフシがあり(特に末端の兵士)、良心的な人物であっても自爆命令に機械的に従うなど、竜宮島住人とは対照的な平和という文化を失った集団と化してしまっているというのが真実である。実際、竜宮島に帰化した面々は平和に触れて完全に人間性を取り戻している(それでも自己の命を軽く扱う傾向があるが)。外道に分類される人物でも、その多くは信念ある傑物か、同情の余地を持っている人間である。
主役サイドであるアルヴィスとの間には上記の通り深刻な確執があり、強大な戦力と技術を持ちながらも他の人類と共闘しようとしない裏切り者の集団というのが基本的な認識。戦力と技術は手に入れたいので積極的な攻撃は行わず交渉のテーブルにもつくが、人類軍は必要と判断すれば即座に島の殲滅を狙い、アルヴィスは用が済めばさっさと軍から雲隠れするという関係にある。
裏切り者とは誤解もいいところであるが、人類軍の戦況に加え、島が敵との共存まで考えていれば仕方のない事ではある。アルヴィスの「平和という文化の保存」という本分を果たすためにやむを得ないこととはいえ、島の方から外界との接触を断ち、人間同士で相互理解が成されていないのもこの認識に拍車をかけている。一方で人類軍にも良心的な人物がいたようにアルヴィス側にも皆城公蔵などフェストゥムとの戦いを望む者が存在し、日野洋治やミツヒロなどはカノンたちとは逆に人類軍へと渡っている。
テレビシリーズ第二作の『EXODUS』ではザルヴァートル・モデルとノートゥング・モデルのデータからコア搭載型の開発に成功、配備が進み、真壁一騎から採取した遺伝子を元に開発したMAKABE因子で成人でもコア搭載型に搭乗させることが可能となった。
しかし、それでも四十年に及ぶ戦いで全く終わりが見えず、大将だけで100人いるという階級が意味をなさなくなるまで組織として消耗しきっている上にミツヒロの死後、新国連はへスターの独裁政権と化しており、人類救済の『トリプルプラン』を実行するべく『交戦規定アルファ』を度々発令して核によってフェストゥムをその地域の遊軍や市民ごと焼き払っている非道に反感を抱く者が出始め、既に新国連そのものに人類軍を統制する力がなくなっている。
そうした現状とアルヴィスがミールを有益なモノへ変化させた事実が知られているために、ある将校がフェストゥムとの対話と共存を提唱するようになる。
登場作品[編集 | ソースを編集]
フェストゥムのみならず多くの外敵が跋扈するスパロボ世界ではあるが、原則として原作ほど地球が荒廃しておらず、他作品の善玉の軍隊も存在する環境ゆえに「どう見ても悪の組織であり、主人公勢力にも終始敵対的だが、作中世界において確かな『人類の味方』であり、倒すべき敵ではない」という性質の表現はかなり難しく、今のところ「原作らしい」形では登場できていない。
携帯機シリーズ[編集 | ソースを編集]
- スーパーロボット大戦K
- 本作では地球連合軍に統合されているため、人類軍としては出てこない(一般兵のみ人類軍名義で登場)。「ジブリールの私兵であるファントムペインとヘスター事務総長お抱えの人類軍」という霧子の台詞から地球連合軍の一部という扱いらしいが、この台詞以外の箇所では連合軍としか呼ばれず、原作では人類軍所属の人物も自らを連合軍所属と扱っているので、むしろ霧子の認識が一般的でないか間違っているのではないかとも解釈できる。その台詞の直後にヘスターが竜宮島を探していたファントムペインに通信したり、ジブリールの死後はヘスターが連合軍全体を統率しているような描写になっているので尚更である。最終的にはヘスターがオーブやプラントとも和解するなど、原作や『UX』に比べて印象は悪くないものとなる。
- スーパーロボット大戦UX
- ちゃんと一つの組織として登場するが、地球連邦軍の派生的な組織であり(なので、マークザインの開発等、設立以前の原作人類軍の行ったことは地球連邦軍が行っている)、そういう意味では『K』と同様。原作とは異なり、フェストゥム以外にもスクラッグやバジュラなどの敵対勢力を一掃する目的でハザードらにより物語の途中で設立されるが、設立までの経緯や、主要陣の過激で利己的な振る舞い等により、結成当初からカティやクラウスたち地球連邦内部の良識派たちからは「アロウズの再来」とみなされ、連邦大統領からも不信感を抱かれており、完全に所謂ティターンズやアロウズ、OG版ガイアセイバーズのような「悪の軍隊」ポジションである。また、本作では敵方のオリジナルキャラが固有の組織を持たずに人類軍に所属するため、ある意味オリジナルの敵組織を担っている勢力とも言える。
- 終盤にはELSの地球圏到達に前後してマクロス・フロンティア船団と手を結び地球圏を見捨てて逃げ出し、バジュラ本星を手にして銀河での勢力圏を広げようと企てるという前代未聞の暴挙を敢行しており、端的に言えば『UX』におけるこの組織は「人類」と冠しておきながら、同じ人類を抹殺し、最終的にはその人類を見捨ててしまっている。
- 最後は地球連邦からも完全に反逆者と認定され、人類軍とフロンティア船団の暴挙を食い止めるべくバジュラ本星へ追撃したUXによりハザードが誅滅され、先にバジュラの母星へと辿りついた面々もショットとギャラクシー船団の裏切りによりフロンティア政府首脳部共々壊滅させられ、ノーヴル達ごく一部のメンバーを除いて全滅する。
- なお、本当にモビルスーツに対フェストゥム兵器の座を奪われたのか、原作人類軍の主力であったグノーシス・モデルが登場しない。
関連人物[編集 | ソースを編集]
長すぎる戦いのためか、人類軍の兵士は個人差こそあれど根底の倫理観が現実の我々や他作品のキャラクターとは異なっている(竜宮島出身者を除く)。これは善人も外道も同じ。
- ヘスター・ギャロップ
- 新国連の事務総長であり、人類軍の代表。高圧的な態度とフェストゥム殲滅のためには手段を選ばない過激さからアルヴィスとは敵対することが多い。
- ダッドリー・バーンズ
- SRW未登場。原作では竜宮島への直接的な接触(圧力)を担当する、人類軍の重要人物。
- 階級は大佐。真壁司令や溝口とは自衛軍時代からの知り合いであり、その指揮官としての優秀さを評価されているが、作中ではその強引さが目立ち、カノンを使い竜宮島の爆破を画策したのもこの人。テンプレートな悪い軍隊にしか見えないが、そこには島を通じてフェストゥムが人類の情報を学んで更に強大化することへの彼なりの危惧がある。北極決戦でも、暢気に勝利の前祝いを行うヘスターとは対照的に陣頭指揮を取るなど敵役であっても悪人ではない、良くも悪くも軍人らしい人物。
- 北極決戦で北極ミールに迫った際、突如現れたマークニヒトのワームスフィアに飲まれて乗艦が轟沈し生死不明となったが、続編『EXODUS』において再登場した。
- ミツヒロ・バートランド
- ファフナー・ザルヴァートル・モデル「マークニヒト」の開発者で「一体でも多くの敵を倒す」という思想の持ち主。
- 日野洋治
- ファフナー・ザルヴァートル・モデル「マークザイン」の開発者で「一人でも多くの兵士を生き延びさせる」という思想の持ち主。
- 日野道生、カノン・メンフィス
- 人類軍の兵士。後に離反してアルヴィスのメンバーとなる。
- イアン・カンプ、ジェレミー・リー・マーシー
- SRW未登場。この2名を主とする、竜宮島占拠の際に送り込まれた一般兵士達。
- 人類軍の様々な目論見が失敗し、最後の破壊工作の為の捨て駒として島に取り残された。その後は島民として迎え入れられ、人類軍での経験を生かす形でアルヴィスのメンバーとして活動することに。
- 第二種任務(島民としての仕事)もくじ引きで与えられ、内の一名(名称不明)が上げた「私は豆腐など作れない!」という困惑の悲鳴は、島の内外の環境の差を語るものといえる。『HaE』以降はすっかり島に馴染んでおり、イアンに至ってはメカニックとして活動しながらもゴウバイン執筆のアシスタントになっている。
- とはいえ『HaE』では島への恩義があるとはいえ、自分たちを捨て駒とすることを躊躇なく提案するなどかつて過ごした環境を暗に物語っている。
- 陳晶晶、ベラ・デルニョーニ 、オルガ・カティーナ・ベトレンコ
- SRW未登場。上記の占拠部隊の中で、ノートゥング・モデルを接収する目的で派遣された女性ファフナーパイロット達。
- 人類軍選抜の優秀な適性を持っていたのだが、それをもってしてもノートゥング・モデルを運用することは不可能だった。やはり捨て駒として島に取り残され、その後は島民として迎え入れられ、アルヴィスのメンバーとして活動する。
- 『HaE』では他の元占拠部隊同様すっかり島に馴染み、上述の面々同様に無くてはならない一員となっている。敵の襲来時などの緊急時にはやはり元人類軍らしいシビアな一面を見せることも。
- 人類軍兵士
- 人類軍の一般兵士。ネームドキャラクター同様、倫理観は多かれ少なかれ異質。見方によっては士気が高いとも言えるが。
他作品の関連人物[編集 | ソースを編集]
リアル系[編集 | ソースを編集]
- スウェン・カル・バヤン、ミューディー・ホルクロフト、シャムス・コーザ
- 地球連合軍の特殊部隊ファントムペインの兵士。『K』では道生とカノンが彼らと同行している。
- アレックス・ゴレム
- 『UX』での良識派。第2部終盤にハザードとヘスターに背いたことで謀殺されかけるが、地球連邦大統領の密命を受けていたヒューズに救われる。その後は人類軍を離脱し、地球連邦軍に帰順したものと思われる。
- 矢藩朗利、金本平次
- 『UX』では第2部終盤に密かにハザードに取り入り、彼から受け取った核弾頭で東京壊滅を企てる。尤もハザードにとっては「利用価値のある捨て駒」に過ぎない。
- ショット・ウェポン
- 『UX』での協力者。第2部終盤から同行するようになるが、第3部終盤にてギャラクシー船団の電脳貴族と手を結んで謀反を起こし、ヘスターを殺害する。
- レオン・三島、ハワード・グラス
- マクロス・フロンティア船団の首脳部の面々。『UX』第3部終盤に人類軍と結ぶも、人類軍共々バジュラ本星にてギャラクシー船団とショットにより抹殺される。
スーパー系[編集 | ソースを編集]
- ハザード・パシャ
- 『UX』での創始者兼総司令。
- ドッグ・タック
- 『UX』でハザードの副官を務める。
- ドクターミナミ
- 『UX』では協力者。
- 推進派
- 『UX』では最大の後ろ盾だったが、第3部にてアルティメット・クロス側の支援者となる。
- キバの輩、ガラン軍兵士
- 『UX』第2部にハザードの手引きでアルカトラズ刑務所を脱獄するも、第3部にて人類軍の特攻兵器に仕立て上げられた挙句、悲惨な最期を遂げる事となる。彼らを特攻兵器に仕立てたのは、バジュラを人類軍とフロンティア船団の生体兵器に仕立て上げる為の試金石でもあった。