ヒロイン

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ロボットアニメに限らず、ありとあらゆるジャンルの作品に存在する。

元来の定義は「女性主人公」という意味合いであるが、現在の日本国内のストーリー作品では、あらゆるメディアを問わず「主人公と恋愛関係になるなどして最も近しい人物」を指したり、「作品の象徴となる重要な立ち位置の女性キャラクター(キーパーソン)」という意味合いが強い(女性の主人公も「主人公」と称するケースが殆ど)。ただし、物語の最後まで生存しても、最終的に主人公と結ばれるとは限らない。
アニメーション作品では、近年は特に後者の定義が当てはまる事が殆ど(前者の定義と両立している事が多い)で、これは実際の社会の変化を反映しているとも捉えられる。

ロボットものにおけるヒロイン

様々な要素があるが、所謂ロボットものに置けるヒロインは二つのパターンに大別される。即ち、戦闘系か、非戦闘系かである(この場合戦艦のクルーなどは戦闘系に含むことが多い)。

戦闘系

戦闘系の主なパターンの一つは、主人公のサポートメカあるいは僚機のパイロットである。昭和年代、特にスーパーロボットアニメでは、大抵のヒロインは主役機のサポートメカに乗っているケースが多い。こういったキャラクターは、SRWでは戦闘能力に置いて優秀とはいえないが、反面搭乗機に修理補給能力が付いたり、激励祝福などの補助系精神コマンドを豊富に覚えたりする。近年はヒロインも主役級の機体に搭乗していたり、あるいは女性主人公であることも珍しくない。その場合は補助系精神コマンドではなくを覚える。特殊なものでは、男性キャラがヒロインとして位置づけられる作品さえ存在する(所謂サブカルの風潮に限られるが)。

もう一つのパターンは時にライバルを兼ねる敵軍の関係者である。こちらも、70年代のスーパーロボットアニメの頃から存在しており、この場合は主人公と恋に落ちながらも敵同士の関係で、最期は主人公を庇うために死んでしまう「悲劇のヒロイン」となる事がほとんどであった為、ヒロインの生死が危ぶまれることが多い(特に原作では一話、あるいは数話にかけてのゲストキャラに多い)。ララァ・スンフォウ・ムラサメなどもこれに該当する。また最初は敵だが、次第にお互いを理解して仲間になるパターンも王道と言える。

非戦闘系

これに対し非戦闘系の場合、主人公と序盤のうちに接触し、思想的、あるいは政治的に主人公サイドに大きな影響を与えることが多い(例:リリーナ・ピースクラフト)。SRWにおいては自軍の後方支援を担当したり、インターミッション会話で出番が多くなっており、DVE中断メッセージが収録されている場合も多い。なお、原作アニメではこの出番作りと立ち位置の演出に失敗すると、「空気」と揶揄されたりする。

作品によってはヒロイン格のキャラが複数登場して三角関係に陥ってしまうこともあり、敵に拉致されることもしばしばで、実はどっかの国のお姫様だったとかいう展開もよくある。

バンプレストオリジナルの主人公の場合、極一部を除き相手役のヒロインが登場するのが特徴となっている。女性主人公の場合でも、一部を除いて恋愛関係に発展する相手役の男性キャラクターが用意されている。

主なヒロイン

弓さやか
ロボットアニメの元祖ヒロインといえる存在。美少女で気が強く、主人公とは気の置けない間柄となっている点などで、現在でもスタンダードな要素で形成されており、王道と言える。
早乙女ミチル
飛行機系の支援メカに乗った最初のヒロイン。ただ、主人公であるリョウではなくハヤトと恋仲になった。これは現在も王道ではない例と言える。
南原ちずる
主役ロボを構成するチームの一人。当時、アニメヒロインとして圧倒的な人気を誇っていた。シャワーシーンを披露した点でも評価は高い。
フラウ・ボゥ
リアルロボット系作品における最初のヒロインであるが、後半はセイラやララァの方が目立ってしまった。どちらかと言うと「あくまで主人公の幼馴染」という立場であったと考えられる。最終的にはハヤトと結ばれた。
セイラ・マス  
上記の通り、元々存在感があったが、主人公のライバルの妹であったというだけでなく、作中世界の歴史に重大な影響をもたらした人物の娘である事実も発覚し、後年の漫画及び映像化された作品で名実ともにヒロインになった。
ファ・ユイリィ
幼馴染で主人公を心配する立場のヒロイン。スパロボではさやかと共に、補助系に優れた第2次からの伝統的なヒロイン。
フォウ・ムラサメ
主人公とは敵味方でありながら心を通わせ、最期は彼をかばって死亡するという、いわゆる「悲劇のヒロイン」。スパロボでは説得等で仲間にすることで生存可能になる場合が多い。
リン・ミンメイ
当時一般人への知名度まで得ていた、歌うヒロインの元祖的存在。非戦闘系でありながら戦いにも大きく関わり、キーパーソンの役割も果たすストーリーヒロイン。ただし、主人公の一条輝と恋仲になったのは早瀬未沙であり、彼女はフラれている為、その点でも非常に珍しいタイプと言える。
この三角関係性と、いかにもヒロイン然とした女性が主人公と結ばれない事もある、という人間模様はマクロスシリーズを通しての見所となった。
ミレーヌ・フレア・ジーナスシビル
マクロスシリーズでは珍しい「戦う(直に戦場に出る)ダブルヒロイン」。主人公の熱気バサラの方向性が大だが、両者ともがスタンダードな恋愛関係や家族意識でなく、かけがえのない存在としてバサラを想いつつ物語を担う、ヒロインとしては異色の2人だった。
そのフォローとも言えるか、純粋な恋慕は更に別の男性陣(ガムリンギギル)がヒロインにぶつけて三角関係性が強調されている。
忍部ヒミコ
ヒロインでありながらマスコットキャラ。作品のムードメーカーでもあり、生身での戦闘もこなす。後半からは幻神丸に乗って魔神での戦闘までこなすが、7歳という年齢ゆえ恋愛描写は殆どない。同スタッフによる後番組『魔動王グランゾート』のグリグリは彼女のマスコット性をさらに強めたキャラで、ヒミコ自身『ワタル2』からは魔神に乗らず、マスコット的な面が強まっていった。
ナディア
元来の定義でのヒロイン(女性主人公)で、物語のキーパーソン。
綾波レイ
新機軸のキーパーソンタイプのストーリーヒロインで、物語の世界観設定そのものに深く関与していた役割であった。キャラ付けも彼女のような寡黙なキャラは当時斬新で、後年、ホシノ・ルリのような同系統のヒロインが続出した。
タカヤノリコ
元来の定義でのヒロイン(女性主人公)かつ、アニメ史上初のオタク趣味を持つヒロイン。しかも熱血成分まで保持している。
ミア・アリス
同じく元来の定義でのヒロイン(女性主人公)。ダンガイオーのメインパイロットはロールに譲る。
神崎ひとみ
同じく元来の定義でのヒロイン(女性主人公)だが、戦闘には関わらないなどロボット物の“主役的”な立ち位置ではない。作風と相まって彼女は直接戦闘はする事なく、物語を辿って行く。
イクサー1イクサー3
またまた同じく元来の定義でのヒロイン(女性主人公)。
天空侍斗牙
そもそも男性であり、一般的には「ダブルヒーローの1人」となる。しかし原作の大張監督が熱血ヒーローと対になるという彼の立ち位置から「ヒロイン」と呼んだ。
マリナ・イスマイール
主人公である刹那より一回り年上であり、恋愛関係にもならない。さらに出番そのものも少ないなどヒロインとしては少々異色であり、ガンダムの方がヒロインであると揶揄されるほど。似たような立場であるリリーナと比べても印象は薄い。とはいえ、要所要所で目立つため存在感は全くないわけでもない。
紅月カレン
外伝小説では主人公。彼女の過去がある程度明らかになる。激情型で短絡的な面があるが戦闘能力は高い。
泉野明
元来の定義でのヒロイン(女性主人公)で活躍場面も多い。だが作品全体が群像劇でもあるため出番が少ない回がしばしばあり(そもそも「戦闘」がない話の割合が多め)、バックアップの篠原遊馬ともはっきりとした恋愛関係まで行かずに終わるなど「主人公」としても「ヒロイン」としても王道的場面が少なめである。またスパロボ未参戦の劇場版2では南雲しのぶ、漫画版終盤では熊耳武緒がストーリーに深く関わるヒロインになっている。
アンジュ
元来の定義でのヒロイン(女性主人公)。戦闘系のヒロインの中でも好戦的で我儘な性格。兄の謀略により、皇女からノーマという作品世界で最も過酷な身分に落とされたが、それでも生き残っていき、世界のあり方を変革していった。
帝国華撃団・花組隊員、巴里華撃団・花組隊員
主人公かつプレイヤーキャラクターである隊長の大神一郎と共に最前線で戦う戦闘系の性質、平常時は女優として青春を謳歌し、大神との恋愛度が最も高い隊員が「ヒロイン」として彼とエンディングを迎える非戦闘系の性質、その両方を兼ね備えている。これとは別に、ナンバリングゲームのパッケージを飾る隊員は俗に「メインヒロイン」と呼ばれており[1]、帝都花組の場合は真宮寺さくら、巴里花組の場合はエリカ・フォンティーヌが該当する。さくらは『活動写真』とTV版では大神に代わり主人公を務め、元来の定義でのヒロイン(女性主人公)に当て嵌まる。

脚注

  1. 先述した「主人公とエンディングを迎える隊員」の事をメインヒロインと呼ぶ場合もある。