ヨーテンナイ

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ヨーテンナイ(Jotennai)

出身:トロイア帝国

ヴォルクルス教団の頂点に立つ女性。大司教よりも上の立場である、唯一絶対の「預言者」。 台詞がすべて文語文表記(古い仮名遣い。「よう」が「やう」、「ろう」が「らう」と表記されるなど)であり、一見するとかなり読みづらい。褐色の肌に銀の髪を持つが、一番の特徴は目。瞳が金、強膜がエメラルドグリーンという、現代のラ・ギアスには存在しない色合いを持っている。(生来のものかどうかは不明)

ヴォルクルス教団の頂点に立つ女性。大司教よりも上の立場である、唯一絶対の「預言者」。 台詞がすべて文語文表記(古い仮名遣い。「よう」が「やう」、「ろう」が「らう」と表記されるなど)であり、一見するとかなり読みづらい。褐色の肌に銀の髪を持つが、一番の特徴は目。瞳が金、強膜がエメラルドグリーンという、現代のラ・ギアスには存在しない色合いを持っている。(生来のものかどうかは不明)

その正体は、約55000年前のラ・ギアスに存在した古代トロイア文明の人間。文語文なのはこのためと思われる。巨人族の怨念の化身であるを封印するための結界の楔にすべく、生贄としてその肉体を使用された。その結果、不老の存在となり(生きながらにして半身がアストラル界に属するため)現在までの長きに渡る時を生かされ続けている。この封印の際に張られたのが、現在ラングランと呼ばれる地を中心に展開された「邪神封じの結界」である(当時から「調和の結界」と呼ばれていたのかは不明。詳細は用語解説に)。即ち、邪神復活を妨げていた最大の障害は外ならぬ教団の頂点である彼女自身であった。当時の封印地は荒野であったが、地下に古代の遺跡と霊脈が通っており、そのために邪神封印の場所として選ばれ、またその魔力によって後にラングランと呼ばれる国家(ラングラン共和国や神聖ラングラン王国)が興るきっかけとなった。

上述の通り現在の彼女は半身がアストラル界に属している(アストラルシフトと原理的には同様の)状態にあるが、人間としての命が既に尽きているため、邪神が完全に解放され封印が解かれると死亡してしまう。そのため、己を縛りつけたラ・ギアスへの復讐と、自身の自由を手に入れるための計画として、ラ・ギアスを地上や並行世界含む、ありとあらゆる世界から完全に遮断し、絶対・相対問わず全ての時間を停止させる『静死の柩』なる計画を目論んでいた(アストラル体でもある彼女もしくは彼女と契約を交わした崇使のみ自由に動ける)。

新西暦188年秋、地球圏で「封印戦争」と呼ばれる大戦が勃発。その最後の決戦の影響で、王都ラングラン最深部に眠るラ・ギアスのクロスゲートが活性化する。それを好機とみたヨーテンナイは数万年前から続く自身の計画を完成させるべく本格的に動き始める。シュテドニアスの内部対立を助長させた内戦時の流血で調和神の復活、刺客として放たれた教団の若き司教ピレイル、これらは邪神の力を引きだすと同時に4体の魔装機神をポゼッションに導くための仕込みでもあった。全てはアストラルエネルギーを物質界に流し込むためである。全ての条件をクリアしたと判断したヨーテンナイは、愛機レヱゼンカヰムで3体の魔装機神を捕縛。枷に縛り付けた魔装機神を強制ポゼッションさせ『静死の棺』とそれを守る結界、そして召喚魔獣マグゥーキを呼び込む動力源とした。

魔装機神とクロスゲートから流れ込む力をもとに「調和の塔」から無限に送り込まれ続ける魔獣の大群を前にして静止した世界のあわや完成かと思われたが……取り逃がしたシュウ、彼と合流した一派の行動によって魔装機神とその操者の解放を許してしまう。計画完遂を急いで潜伏場所の結界を解いた結果そのまま攻め入られ対決、彼女の乗機レヱゼンカヰムはアストラル界からエネルギーを取り込み続けることで驚異的な回復能力を見せるもそれは無限ではなく、遂には限界を迎え大破。 機体を捨て、生身の己自身にアストラルエネルギーを降ろそうと試みたが、凝集したエネルギーにより、三邪神の魂が大元の巨人の姿に戻ってしまったことにより力の源泉が断たれ、レヱゼンカヰムを残して跡形もなく消滅した。

ちなみに、静死の柩自体はシュウたちが突入する寸前に一応完成しており、事前に静死の柩対策が打たれていなければそこでヨーテンナイの勝利という、かなり僅差な状況であった。

なおシュウの話などから、全て計画通りというわけではなく自身の計画を達成するために必要な条件が整うまで、教団などいくつか手を打ちつつ只管待ち続けていた模様。事実上の不老不死である彼女にとっては、万か億かの偶然が何時か起こり得ればそれで良いと気長に待っていた。それはまさにPOJでシュウが語った「未必の故意」そのものといえる。

登場作品と役柄

魔装機神II REVELATION OF EVIL GOD
冒頭と一部エンディングのみに登場。名前表記は「???」であり、サティルスなど一部からその名が語られるのみ。この時点ではまだ教団の全貌が明らかとなっておらず、ヨーテンナイという名前が本当に「あのお方」のものなのか否かがユーザー間で議論されていた。
魔装機神F COFFIN OF THE END
本格的に登場。ただし、本人の登場は中盤の山場である「終わり行く世界で」となる。能力が高い上に回復イベントのせいでレヱゼンカヰムの耐久力が異様にあるため、撃破するのには相当な時間が掛かる。
転移してきた瀕死のアーマラを治療し、記憶を削除してシュウへの刺客に仕立て上げたのは彼女である。


パイロットBGM

「トロイアの呪縛」

人間関係

アディーナム
ヴァールニーヤ
直属の部下である「崇使」達。大司教よりも格上であり、直接の対面を許している。
ガエン
元部下。「崇使」の成り損ない。
シュウ・シラカワ
厄介な相手と認識しており、自身の計画をほぼ完璧に言い当てた頭脳を稀代の傑物と評価。シュウからは己の自由と運命を弄んだ存在として狙われている。
ちなみに、三邪神封じの楔であるヨーテンナイを滅ぼせば邪神たちが完全な復活を果たすことになるのだが(今回は不幸中の幸いにもクロスゲートという横槍が入って邪神が巨人に復元された)、復讐に逸るあまり、念頭になかったらしい。
アーマラ・バートン
OG2ndの戦いの後、ラ・ギアスに漂着した彼女を救助、機体の方も完全ではないが修理し、シュウに対する手駒として利用した。

名台詞

戦闘台詞

「我が前に立ちふさがるか、クリストフ。ぢやが、既に機は熟してをる」
「クリストフと言えども、儂に及ぶはずもなからう」
シュウとの特殊戦闘台詞。ちなみに彼女の音声はエコーがかかっているようなかなり独特な響きをしている。
「魔装機神の役割はたうに終はつた……既に出る幕など残ってはをらぬ」
マサキとの特殊戦闘台詞。
「ザムジード……俗物に乗られたものぢやな」
ミオとの特殊戦闘台詞。
「長き傲望の末、やうやく訪れた静死の機会……」
「お主のやうな者どもに、みすみす侵奪などはさせぬわ」
「哀叫の中、寂滅に至れ」
「享けよ、滂沱せしむ辰宴」
「滂沱せしむ辰宴」使用時。

魔装機神シリーズ

「太古の昔……儂が生まれるよりも遥か前……人は巨人族を滅ぼした。其の怨念は精霊界にて、御主等が三邪神と呼ぶ三柱へと姿を変へた……」
「限り在る身の口と頭では、伝承が正しく伝はる筈もなからう。……時を経て、力を得た三柱はトロヰヤの地に顕現し、人の世を滅ぼしつくさんとした。其の時、生贄となり……三柱を封じる楔となつたのが儂ぢや」
「トロヰヤの者達は三邪神を滅ぼすことが出来ず、精霊界に封印したのぢや。その際、儂は封印の楔となり、現世と精霊界の狭間におひて、永劫を生きる身となつた……御主等には想像もできまい。封印が為に此の地に縛られ、生かされ続ける絶望をな」
「儂の身があるのは、精霊界の力を受け続けて居る故……其れを止めてしまつては、我が身は忽ちの内に滅ぶであらうよ」
静死の柩を企てた理由。
ヨーテンナイ「トロヰヤの都が栄えてゐた頃、此の地には古代の神殿が存在し……其の影響もあつて強い霊脈が通ひ、邪神を封ずる地としては最適であったのぢや」
シュウ「そうした経緯を知ってか知らずか、この地より出る魔力を利用するため、ラングランがこの地に興った……」
ラングランが興った訳。シュウはさらに別の理由があったことを推察しているが……。
「其のやうな低俗な術とは異なるものぢやが……限り在る身の知識と語彙では、卑近な喩へを用ゐねばならぬか」
自身の状態をアストラルシフトに例えられたことについて。アストラルシフトを「低俗」と言い切る辺り、魔術や呪術への造詣は深い様子。
「神魂が……還元するとは……やはりあの力が……」
「あれは……災ひの門であつたか……!!」
第39話「破滅の扉」より。静死の棺を行うべく集めたエネルギーが三邪神の魂を巨人族へと戻してしまい、自らが存続する為のエネルギー源を断たれてしまった。この時の台詞で多くのプレイヤーの脳裏にある嫌な事を思い起こさせる。当然だがヨーテンナイ以外の人物(あるいはプレイヤーすらも)は、まさか今まさに自分達のいる足場の直下に災いの門があるとは思いもしなかった。

関連機体と用語の解説

レヱゼンカヰム
搭乗機。
マグゥーキ
彼女が使役する存在。彼女自身の強大な力や『調和の結界』と繋がっているという特性が加わり、無尽蔵にわき出るマグゥーキの大群による奇襲攻撃で世界中に未曽有の混乱を巻き起こした。その正体はトロイア帝国の人間が使役していた召喚魔獣。
調和の結界
『調和の搭』と呼ばれる複数の維持装置からラ・ギアス全土を覆う特殊な結界の名称。サーヴァ・ヴォルクルスの分身の細胞活動を抑制する。ラングランの王族はアルザールフェイルロードのように結界に魔力を供給する義務を負うが、これは結果的には王宮の地下深くに存在するヨーテンナイへと捧げられることになっており、そのまま彼女の力へと変わっていた。また、ヨーテンナイ自身も己の命を保持するために結界を維持しており、その結果「調和の結界」を通じてラ・ギアス全土に魔力が供給されていた。
「魔力弾」の解説(I)を用語録で見たところ、ミサイルなどの爆発物の作用を抑え込む力も備えているようだ(街や建物に張られた爆発物や大規模な破壊魔法などを中和する結界との関連性は不明)。力の源は『神聖ラングラン王国』国王の魔力であり、結界への魔力供給は代々の国王に課せられた責務となっている。なお、『調和の結界』自体には核分裂反応を抑止する効果はなく、核分裂反応を抑止していたのは別の魔術が及ぼす影響であったことが旧シリーズの『EX』で語られている(シナリオ「野望、渦巻く」参照)。
ヨーテンナイ自身を楔とした「調和の結界」は、三邪神を封じるための結界とのみ言われており、現在の神聖ラングラン王国が張り巡らした「調和の結界」と同質のものかは作中で触れられていないためわからない。また、「春秋戦争」(「地上人召喚事件」)の終盤、「『調和の結界』が破れてから…精霊の力が不安定になっております」とラングランの軍人がこの結界が機能していないことを自覚している。Fが指摘する古代の「調和の結界」が本当にこのときに消失していたのなら、ヨーテンナイの命どころか三邪神の完全体が同時に光臨をはたしてラ・ギアスは滅んでしまうことになる。
これらのことから、ヨーテンナイを楔とする結界と神聖ラングラン王国が主導した「調和の結界」は完全に同質とはいえない。結界の説明が歪な原因はシナリオ担当から原作者(阪田氏)が外れたことで、本編の5000年前にあたる『ラングラン戦記』の設定を無視せざるを得なくなったためだろう。神聖ラングラン王国がラ・ギアスの八割を征服して『調和の塔』を各地に打ち立てることになった原因、かつて支配していた国が造ったものをシュテドニアスなどが廃棄しようとしなかった理由、神聖ラングランの歴代国王が魔力を供給してヨーテンナイを「調和の結界」に縛り続けた理由、大事な骨子は結局不明のまま完結した。可能性としては、ヨーテンナイが張っていた邪神封じの結界を下敷きにして、歴代国王の魔力で精霊を安定させる「調和の結界」へと上書きして運用していた(その魔力は意図せずヨーテンナイに持ってかれた)、といったところか。これなら表層の結界が破れても邪神は復活せず、精霊の安定化という理由があれば他国もうっかり破壊しようとはしないと思われる。
なお、調和の結界という名称がヴォルクルスの力を押さえ込む調和神ルザムノ・ラスフィトートと関連するかは不明。

余談

彼女が目論んだ静死の柩は、世界を次元的に断絶させ時間変化を停滞させる(この状態だと、動けるのはヨーテンナイと崇使のみになるので事実上の世界滅亡)もので、目的こそ違えどサイデリアルの時の牢獄(絶対時間が停止し、誕生も老化もなくなる。こちらは生命活動そのものは停止しないが緩慢に滅亡していくと考えられている)とほぼ同等である。また、OGにおけるバラルの計画も、地球を封印して人を不死の存在に変えるものであり、達成した結果がかなり似通っている。時期が離れているならともかく、Z・OG・魔装機神シリーズの最新作の敵の計画が、立て続けに似た内容だったのには何かしらの意図があるのかもしれない。