フェイルロード・グラン・ビルセイア

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フェイルロード・グラン・ビルセイア(Feillord Gran Bilseia)

神聖ラングラン王国第287代国王アルザール・グラン・ビルセイアの長子にして、第一王位継承権保持者。魔装機神第一部では治安局次長という国土防衛上の要職を務め、マサキたち魔装機操者の上司として国土防衛の指揮を執っていた(魔装機神操者には独立行動権が与えられているが、名目上は彼が上司にあたる)。

人の上に立つ王族として非常に強い責任感の持ち主で、軍事・政治等の各分野に自ら率先して参加している。とはいうものの真面目一辺倒というわけではなく、階級の立場を超えて魔装機操者と気さくに語り合う柔軟さも備えている好人物で、魔装機操者からの信頼は厚い。たいていは相手が誰であろうと対等の立場で会話をするマサキが、一定の敬意を払っていた(タメ口ではあるが「殿下」と呼んでいる)数少ない人物である。

指揮官としての手腕は優れたものであったが、そんな彼の唯一と言っていい弱点が生来の魔力が不足していることであった。ラングランの王族には、政(まつりごと)への参加が要求されない代わりに「調和の結界」を維持するための高い魔力が必須とされており、王位継承権を得るためには魔力テストに合格する必要があるのだが、事もあろうに彼は不合格となってしまう。彼は血の滲むような努力、更には薬物の助けまで借りて何とか再テストに合格したが、その代償として身体は蝕まれ、余命を縮めてしまう結果になった。

その後、ラセツらの陰謀によるシュテドニアス連合国の王都急襲で父アルザールが死亡し王都も壊滅、引き続いて起こったシュテドニアスによるラングラン全土への侵攻という国家存亡の危機に際し、責任感の塊のような彼が僅かな余命の中で感じていたであろう焦燥は察するに余りある(加えて、王都襲撃事件において負った傷が更に彼の命を縮めていた)。彼は事態の打開のため再度の地上人召喚を試みるが、プログラムのミスにより想定以上の大規模な召喚が発生してしまい(ラ・ギアス事件)、かえってラ・ギアスを混乱させる結果となってしまった。その後マサキ達と地上人の協力を得てどうにか王都の奪回には成功するものの、戦乱終結の兆しは見えず、最終的に彼は超魔装機デュラクシールの威力に訴えシュテドニアスを屈服させるという、残り少ない命で自ら実行可能な解決手段へと走った。

結局、彼の行動はマサキたち魔装機神操者により食い止められ、彼らに討たれることとなったが、最期の時に感じていたのは、重い責任と不運な宿命の中で味わうことの出来なかった穏やかな時間への憧れであった。最終的に敵対することになったとはいえ、彼の悲壮な決意にはマサキ達を始めとする多くの人物が同情しており、その悲しい結末を残念に思う者も多かった。

皮肉にも、魔装機計画のパトロンであった彼の死により、魔装機神操者達はラングランからの支援が受けにくくなってしまう。更に、マサキとファングの確執の一因にもなってしまった。

登場作品と役柄

旧シリーズ

スーパーロボット大戦EX
初出演作品。マサキの章のラスボスで、場合によってはリューネの章でもラスボスとなる。EXの時点ではまだミドルネームの設定が確立していなかったため、「フェイルロード・ビルセイア」名義。

魔装機神シリーズ

魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL
第1部で登場。彼の人となりや手腕が描写され、人物が深く掘り下げられた。EXでのいきさつは#40「メモリアル・デイ」で確認可能。
スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL
リメイク前と同様だが、第一章のすき焼きパーティに参加したり、ゼオルートの死後、プレシアの親権についての話し合いを行うためにゼノサキス家を訪れ、そのまま夕食をとるなど、リメイク前で彼が切望していた「マサキ達と過ごす穏やかな時間」が多少なりとも叶えられる事になった。
スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神II REVELATION OF EVIL GOD
精霊界にて、彼の思い出が具現化した存在がマサキの最後の修行相手として登場し、マサキの迷いを完全に断ち切った。

OGシリーズ

第2次スーパーロボット大戦OG
声が同じためか、ライとの絡みが描かれた。アンティラス隊の構想やセニアに対する特殊セリフで建造中のフリングホルニの存在をほのめかす発言がある。尚、召喚の失敗が何者かの策謀の可能性がある事を示唆しており、今後の物語の展開が注目されている。

パイロットステータス設定の傾向

能力値

回避能力は低いが、射撃・命中能力が高い典型的なラスボスタイプの能力。

精神コマンド

SFC版・PS版ともにド根性を持つため、自軍の一員として戦う際には落とされる心配はまずない。一方第2次OGでは参戦時点で持っているのが「激励」「友情」「応援」と他人の支援ばかりなので、うっかり袋叩きにされないように。

特殊技能(特殊スキル)

切り払い(PS版)

パイロットBGM

「ARMAGEDDON(ネオ・グランゾン)」
EXにおける戦闘BGM。旧シリーズのラストボスの戦闘BGMとしても有名。
「終わりなき戦い」
第2次OGにおける戦闘BGM。ただし実際は唯一戦う相手であるヴォルクルスの「巨大な闇」が優先されるため、きけるのは「タオーステイル」使用時のみ。
「迫り来る敵」
同じく第2次OGだが、こちらは敵側。

人間関係

モニカ・グラニア・ビルセイア
妹。フェイルが生来の魔力が不足している事を知っていた数少ない人物。
セニア・グラニア・ビルセイア
妹。彼の乗るデュラクシールの開発も行った。
テリウス・グラン・ビルセイア
異母弟。
アルザール・グラン・ビルセイア
父。責任感が強過ぎる点を心配されていた。
シュウ・シラカワ
従弟。彼には生来の魔力が不足している点を見抜かれていた。
カークス・ザン・ヴァルハレビア
カークスの才覚を誰よりも早く察しており、昼行灯呼ばわりされていた頃からカークスを推薦していた。EXでは、立場と目的の違いはあれどラングランを救いたいという点では共通の認識を持っており、地上人召喚後の事態の収拾については水面下で協力し合っていた。
ケビン・オールト
フェイルに忠誠を誓うラングラン軍の将軍。第2次OGでは彼をファーストネームで呼ぶシーンもある。
ファング・ザン・ビシアス
フェイルに忠誠を誓う近衛騎士。フェイルの死により、彼を殺したマサキを憎むようになってしまう。
マサキ・アンドー
元部下(魔装機神操者となった事で立場上は彼に命令できなくなった)。マサキは言葉こそ全く敬っていないが、フェイルを強く信頼しており、友情すら感じていたようだ(LOE以前の攻略本の中ではマサキとフェイルを「立場を超えた親友」としているものもあった)。それ故に、フェイル自身が教えた魔装機神操者の義務に従ってフェイルの野心を否定し、彼を殺した事はマサキに深い傷痕を残す事となった。
テュッティ・ノールバック
リカルドの死後、密かにフェイルに想いを寄せていたが、マサキと共に敵対し、フェイルを倒す事に。…テュッティのせいで死亡フラグが発動したとか言ってはいけない。
アヤ・コバヤシ
フェイルの事を聞いて憧れるなどミーハーな一面を見せる。
エクセレン・ブロウニング
彼女いわくライと声が甲乙付けがたいとの事。言うまでもなく声優ネタ
ライディース・F・ブランシュタイン
声優ネタという事もあるためか、他と比べて絡みが多い。 決戦の際には、その悲壮な決意に亡き父マイヤーの面影を見る。
マイヤー・V・ブランシュタイン
ライから彼と同類と評される。

名台詞

旧シリーズ

「アレには隠された真相があったのだ。テリウスからその事を聞いた」
「テリウスは母の出自をほこりに思っていたのだ。あのおとなしいテリウスが、一度だけ大暴れした事がある」
「それが、ナタリアに関しての時だった。彼は決して母をおとしめる者を許さなかった。彼にとって母は立派な王族だったのだ」
EXマサキの章「テリウス出奔」にて、彼とテリウスだけが知る事実を元に今のテリウスが替え玉である事に気づく。曰くつきらしき真相であるにも拘らずフェイルにだけは打ち明けていることから、テリウスも兄には信頼を寄せていたことがわかる。これをきっかけにセニアが調査したことで逃亡中のテリウスの居場所が判明する。
『第2次OG』でも同じ会話があるが、セニアに調べてもらおうとした矢先に運よく逃亡中のテリウスと遭遇するので、このシーンの意味自体がなくなってしまっている。
「…デュラクシール…すさまじいパワーだ…」
…この力…これさえあれば…
EXマサキの章「フェイルの闇」にて、ヴォルクルスの分身と互角に戦ったデュラクシールの性能を体感しての台詞。この時から、余命僅かとは言え、デュラクシールという力に魅入られたフェイルの暴走が始まる。
「その通りかもしれん。しかし私は自分の信じた道を歩む。後世、私のした事が悪行として非難されるかもしれない」
「だが、私はそれをおそれたりはしない。今、この瞬間に生きている私に、できるだけの事をやるしかないのだ!
シュテドニアスへの侵攻を決意し、マサキにそれを「二流の政治家」「第二のカークスになるつもりか」と非難された際に。
「どうした!? 遠慮などいらん! 私を倒すのが、お前達魔装機神操者の義務だろう!」
EX・マサキの章最終話にて、マサキ達と対峙した際のセリフ。誰よりも魔装機神操者の権利と責務を尊重していたフェイルは、自身が討たれるべき存在であることも、また誰よりも理解していた。
「終わった……な……すべてが……これで……よかったのかもしれん」
「……セニア……モニカ……わかってくれとは言わない……ただ、許して欲しい……」
「……私も、君達と同じ時を……歩みたかった……さぞ楽しかったろうなあ……」
戦闘後、セニアに向けての最期のセリフ。彼がどれほどの重圧を自らに課していたかが窺い知れる一言。
「は……はは……セニア……強制脱出装置は、取り外しておいたよ……」
「どっちにしろ私の命は……もう……」
上記のセリフの後、セニアから脱出を促された際に返した言葉。自身の死期を悟りデュラクシールから強制脱出装置を外したフェイルだが、死後にデュラクシールを悪用されることを見越してか、アカデミーに残されていた設計図からもご丁寧に脱出装置をオミットしていたらしい。これにより、魔装機神第2章ではそれに気付かずにデュラクシールに乗り込んだある人物が命を落とすことになる。
「? ……モニカか……そうか……無事だったんだね……良かった……」
「モニカ……セニア……お前達で……ラ……ラングラン……を……………」
フェイルの最期。彼が本当に望んだのは、ひとえにラ・ギアスの、ラングランの平穏。それを掴み取ろうと道を誤ってしまった男は、妹たちに後を託し、違えた道と共に世界から消えて行った……。

OGシリーズ

ライ「あなたも我が父と同じく、敢えて力を行使すると言うのなら……俺はそれを止める側に回る!」
フェイル「そうか……君は父上を心の中で尊敬し愛していたのだな」
ライ「…!」
フェイル「私にはわかるような気がするよ、ライディース……」
ライ「あなたには生きて責任を取ってもらう!」
フェイル「ラ・ギアス全土の統一以外に方法はないのだよ、ライディース」
ライ「それは独善に過ぎない!残される人間のことを考えていないのか、あなたは!」
第2次OGでのライとの戦闘前会話。ラ・ギアスの人間以外では彼としか戦闘前会話がない。
なお、カークスがマイヤーの盟友であるビアンと同類とリューネが指摘しているので、ライからマイヤーと同類と指摘されたのは単に声優ネタというだけでなく、カークスとの対比という点もあると思われる。
「そうか……君は色々と特別なようだな、ミオ」
ザムジードからの被弾台詞。IIでもリカルドがうっかり口走りかけたが、大地の魔装機神がミオを主に選んだ背景には何があるというのか……?

魔装機神シリーズ

「マサキ、君に伝えておかねばならない事がある。魔装機神操者の権利と義務についてだ」
「言葉で説明する分には、別段難しい事ではない。よく聞いて、忘れないようにしてくれ。魔装機神操者の権利とは、あらゆる権力に従わなくていい権利だ」
「そして、魔装機神操者に唯一かせられた義務とは、世界存続の危機に際しては、すべてを捨てて立ち向かう事
「今はまだ、実感がわかないだろうな。だが、君が思っているより、この義務は過酷だぞ」
#18「地上で」にて、マサキに語った魔装機神操者の義務。皮肉にも、マサキはこの義務に従ってフェイルへの情を捨てて彼の暴走を止めることになってしまい、後にその事を嘆いていた。
「君がなくしたものを取り戻すためなら、私は喜んで相手になるよ」
魔装機神IIにて精霊界でマサキと対峙して。
「迷わない人生などないからな。特に君は方向音痴だし」
魔装機神IIにて、精霊界での修行を終え「また迷うようなことがあるなら殿下にまた会えない方がいいのかな」とこぼしたマサキへ飛ばしたジョーク。このジョークのお陰もあってか、マサキはフェイルと笑って別れることが出来た。

迷台詞

「ああ、そうだ、セニア。こんな時に何だが、例の空母、建設は順調だよ。上手く運用してくれ」
第2次OGにおけるセニアに対するセリフ。これだけなら普通の台詞に見えなくもないが、言うタイミングがセニアに攻撃する際の特殊セリフ。確かにタイミングが間違ってるとしか言いようがないが、自覚しているようなので…。なお、例の空母とは『ROE』で登場する邀撃空母フリングホルニのことであり、第2次OGが延期しなければ、これも伏線のひとつになったであろう。

関連機体

デュラクシール
搭乗機。
ガルガード
「EX」において、戴冠式へ向かう道中乗っていた。しかしガルガードはこの時点ではカークス陣営にあるので矛盾する。フェイルの「ろくな装備がない」という発言から、外見が似ているだけの機体の可能性もあるが。『第2次OG』ではハガネに乗艦したのでこの矛盾は無くなった。

余談

  • フェイルロードという名前は「Fail」(失敗)と「Lord」(君主)を組み合わせたものと思われる。