アイドルマスター XENOGLOSSIA

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概要

キャッチコピーは「あなたの、アイドルになりたい」。ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)のアイドルプロデュース体験ゲーム『THE IDOLM@STER(アイドルマスター)』を原案とするアニメ作品。だが、ストーリーは全く異なり、意思を持つロボット「iDOL(アイドル)」と、そのパイロットである少女「アイドルマスター」の関係を描くものとなっている。また、原案とはキャラクターの声優のキャスティングをはじめとした諸々の設定が異なる点も特徴である。[1]

タイトルの「XENOGLOSSIA(ゼノグラシア)」は本来「習ったことがないはずの言語を話す現象」を指す言葉だが、本作品のプロデューサー古里尚丈氏は「妖精や精霊という意味と、宇宙の言葉がわかる巫女的存在という意味」と説明している。

スーパーロボット大戦への参戦の経緯

スパロボOGネットラジオ うますぎWAVE』第467回にて、本作品のスパロボ参戦秘話が明かされている(本頁の余談の欄も参照)。

寺田プロデューサーは「アイマス[2]がスパロボに絡むとは思わなかった」「『X-Ω』制作側から『XENOGLOSSIA』を出したいと言われて、『何言ってんだ』と思った」「快諾してもらえるとは思わなかった」と発言している。

これに対し、原作総合プロデューサーの坂上陽三氏も「『XENOGLOSSIA』を拾ってあげたいと考えていたが、ロボットアニメという事で悩んでいたところスパロボ参戦の話をもらい、『その手があったか』と思い、快諾した。むしろ、どんどん出してほしい」「アイマスとスパロボは同じ会社(バンダイナムコ)なのに、『XENOGLOSSIA』のスパロボ参戦は思いつかなかった」と発言している。

…実のところ、『X-Ω』参戦以前も『XENOGLOSSIA』はスパロボ参戦作品候補に挙げられていたが、寺田プロデューサー曰く「スパロボに出すにしても、本家アイマスがアニメ化した後にしたい」という配慮で、スパロボへの参戦を後回しにされていたとの事。

ストーリー

の崩壊「ロスト・アルテミス」から100年あまり経った復興歴107年。月の破片「ドロップ」落下の危機に晒される世界において、他の国が核兵器でドロップを迎撃する中、非核三原則によって核兵器を持たない日本は意思を持つ巨大ロボット「iDOL」によってドロップを除去していた。

芸能オーディションに合格し上京した天海春香は、iDOLを巡って争う組織「モンデンキント」と「トゥリアビータ」の戦いに巻き込まれる。窮地に陥る春香はモンデンキントのiDOL「インベル」に救われ、モンデンキントに保護される。オーディションがアイドルではなく、iDOLのパイロット「アイドルマスター」を探しだすためのものだったと知らされ春香は呆気にとられるが、モンデンキントの格納庫でインベルと再会し、アイドルマスターになることを決意する。

登場人物

モンデンキント / アイドルマスター課

天海春香
主人公。インベルのアイドルマスター。
萩原雪歩
元アイドルマスター候補生。
水瀬伊織
アイドルマスター。ネーブラのアイドルマスターの座を真と競い合った末に譲るが、後に真を追い越しマスターとなる。
菊地真
ネーブラのアイドルマスター。
双海亜美
テンペスタースのアイドルマスターだったが、双子の妹・真美とテンペスタースが行方不明になったことでモンデンキントを離れる。
双海真美
亜美の妹。テンペスタースとともに行方不明となる。
ジョセフ・真月
アイドルマスター課の課長。
三浦あずさ
アイドルマスター課の主任。元ネーブラのアイドルマスター。
宗方名瀬
アイドルマスター課の管制官(リーダー)。
大道楢馬
アイドルマスター課の管制官(データ解析担当)。
鈴木空羽
アイドルマスター課の管制官(伝達担当)。
秋月律子
インベルの整備責任者。アイドルマスターの住居「十六夜寮」の寮長も務める。
源千佳子
整備班のチーフで、ネーブラの整備責任者。
安原蛍
アイドルマスター課の医務員

トゥリアビータ

如月千早
ヌービアムのアイドルマスター。
リファ
千早と行動を共にする謎の少女。

その他

高槻やよい
芸能人。春香の親友。

登場メカ

インベル
プロメテウスシリーズ1体目のiDOL。本編から16年前に起きた「夜明けの紫月事件」以来、活動を停止していたモンデンキント所属のiDOL。
ネーブラ
プロメテウスシリーズ2体目のiDOL。本編開始時に唯一稼働していたモンデンキント所属のiDOL。マスターは伊織と真(任務によって、どちらかが操縦する)。
ヌービアム
プロメテウスシリーズ3体目のiDOL。本編から16年前に強奪され、トゥリアビータの所属となっているiDOL。マスターは千早。
テンペスタース
プロメテウスシリーズ4体目のiDOL。本編から7年前に、マスターである真美と共に行方不明となっている。
ヒエムス
プロメテウスシリーズ5体目のiDOL。第11話にて、アイスランドに所在するグリムス山のマグマ溜まりで眠っている所を発見される。
エピメテウス
上記のプロメテウスシリーズのiDOLを模した人造の量産機。なお、リファからは「エピちゃん」というあだ名で呼ばれている。

組織

モンデンキント
ロスト・アルテミスからの復興を目的とする国際組織。組織名は、ドイツ語で「月の子」の意。
春香達が所属するのは、モンデンキントJP(日本)の一部門である「特殊隕石対策実行係」アイドルマスター課。
トゥリアビータ
本編開始から16年前にモンデンキントから離反した組織。モンデンキントの所有するiDOLの奪取を目論む。

用語

ロスト・アルテミス
本編の107年前に起きた月の崩壊と、それに伴う未曾有の大災害。
砕けたの破片が隕石となって地球に降り注ぎ地表を破壊。また、地球と月との間で保たれていた重力均衡に異常が起こり、潮汐が失われ海面上昇により多くの都市がに沈んだ。その結果、地球の人口の約4分の1が失われた。
コンペイトウ
ロスト・アルテミスによって砕けた月の破片の一部によって形成された、地球を取り巻く4つのオービタルリング。
ドロップ
コンペイトウから外れ、地球へ降り注ぐ隕石。大きさによって8段階の区分がなされており、地表へ被害を及ぼす恐れがあるものには破壊などの対処がなされる。
iDOL(アイドル)
復興暦57年、地球に落下した隕石から発見された膨大なエネルギーを内包する未知のシリコン構造体、及びそれをコアとして開発された「隕石除去人型重機」のこと。
iDOLという名は「遺産相続人の永遠の守護者(immortal Defender Of Legatee)」の頭文字から取られており、個々の機体名は月の海(月における平原部)の地名に由来する。
慣性制御能力を持ち、隕石の破壊や飛行能力は元より、人型の維持でさえこの慣性制御によって成り立っている。
なお、iDOLは一部の若い女性にしか反応を示さず、自身の搭乗者(アイドルマスター)を選ぶ。それゆえ、iDOLを運用するアイドルマスター課はその殆どが女性で構成されている。
アイ
アイドルマスター各人に支給される、キーホルダー状のiDOL起動キー。
iDOLの感覚器のような機能も持っているらしく、これを通してマスターを観察したり、iDOLの反応に伴い発光するなどの現象も見える。
また、iDOLはアイが無くとも勝手に動き出す場合もあるので、必ずしも起動に必要というわけではないようである。
ハーモナイズ
iDOLの調整作業の一種。ハーモナイザーという専用機器を用いてiDOLの出力特性を『音』として捉え、コアとフレーム、アイドルマスターとの同調を行う。「演奏者に合わせての楽器の調律」に例えられる繊細な作業であり、iDOLの出力特性を『音』として認識できる人間は極めて少ない為、この作業は極一部の人間にしか行えない。
この作業を繰り返しハーモナイズ数値を向上させることで、iDOLの出力容量増大・性能向上を図ることが出来る。
夜明けの紫月事件(ドーン・オブ・パープルムーン)
本編から16年前に起きたiDOL強奪事件。モンデンキントから離反した一派がiDOLの一機であるヌービアムを強奪し、対抗組織トゥリアビータを結成した。
なお、この事件においてインベルは強奪を免れたが、春香から直接声を掛けられるまでモンデンキントJP・アイドルマスター課の第7格納庫の内部で引き籠る事となる。
この際の戦闘によって市街地にも被害が及び多数の死者・負傷者が発生するも、表向きは極小ドロップの落下による被害として処理された。

楽曲

オープニングテーマ
「微熱S.O.S!!」(第2話~第15話)
作詞:畑亜貴 / 作曲:黒須克彦 / 編曲:大久保薫 / 歌:橋本みゆき 
第26話では挿入歌として使用された。TVサイズバージョンが、天海春香(CV:井口裕香氏)によってカバーされている。
余談だが、上記の曲は『うますぎWAVE』第90回の「歌魂のコーナー」でも歌われており、遠藤正明氏の熱唱によって「もはや、微熱ならぬ『灼熱S.O.S!!』である」とリスナーから評されている。
「残酷よ希望となれ」(第16話~第25話)
作詞:畑亜貴 / 作曲・編曲:虹音 / 歌:結城アイラ
第26話ではEDとして使用された。
エンディングテーマ
「悠久の旅人〜Dear Boy」(第1話~第25話)
作詞:こだまさおり / 作曲・編曲:前澤寛之 / 歌:Snow*
TVサイズバージョンが、天海春香(CV:井口裕香氏)によってカバーされている。
余談だが、上記の曲のCDジャケットおよびED映像は「両腕で膝を抱えている一糸まとわぬ姿の天海春香」という、多少気まずい思いをしかねないものになっている。

登場作品と扱われ方

単独作品

スーパーロボット大戦X-Ω
初参戦作品。2015年12月開催のイベント「ロボットとアイドル」限定の参戦となる。これまでのイベントはクロスオーバーが全く無い、あるいは申し訳程度に他作品と関連がある程度だったが、同イベントでは『XENOGLOSSIA』のキャラクターが他作品と積極的に絡んでいく。
また、これまでのイベントは冒頭で謎の人物によって「本編とは無関係の平行世界である」事が明言されていたが、同イベントではそれが無く、ストーリーの展開は本編のものを踏まえたものとなっている。

各話リスト

話数 サブタイトル 登場メカ 備考 再現スパロボ
1 上京ペンギン
2 アイドルのマスター
3 アイドルとマスター
4 餃子とアメリカンドッグ
5 冷たい手、温かい手
6 高度二万米
7 ただいま。おかえり。
8 コンペイトウ夜話
9 鍵盤 OP映像におけるインベルのカラーを変更
10 不協和音【雑音】
11 ニヴルヘイム
12 ムスペルヘイム
13 501号室
14 なんか うごき づらい
15 格納庫天国
16 アイドルとアイドル OPを変更
17 迷子の兎
18
19 サヨナラ
20 かえりみち
21 最後の・プリン
22 鍵とバット
23 RUN!
24 復興暦百八年
25 春の雪
26 月とペンギン

スタッフ

企画・制作
サンライズ
原案
バンダイナムコゲームス『THE IDOLM@STER』より
原作
矢立肇
監督
長井龍雪
シリーズ構成
花田十輝
キャラクターデザイン
竹内浩志
メカニックデザイン(iDOL)
阿久津潤一
ゲストメカニックデザイン
大河広行
音楽
斉藤恒芳

余談

  • 『アイドルマスター XENOGLOSSIA』の企画そのものは2005年の時点で決定していた。そのため、それ以後に発売されたXbox 360版に登場する星井美希などのキャラクターは未登場。
  • 原案のゲームとは異なるロボットアニメとして制作された『アイドルマスター XENOGLOSSIA』だが、本作の放送から4年後になる2011年に放送されたアニメ『THE IDOLM@STER』(こちらは原作ゲームを元にしたアイドルプロデュースを題材とした作品)の第15話「みんな揃って、生放送ですよ生放送!」にてロボットものの劇中劇『無尽合体キサラギ』(正確に言えば、『劇場版 無尽合体キサラギ ~宇宙の果てまで行ってきM@S~』 の予告編CM)が登場しており、一部のファンの間で話題となった。
    • 劇中劇『無尽合体キサラギ』のパートの制作には、一部『天元突破グレンラガン』のスタッフが関わっている。
    • ついでに、劇中劇『無尽合体キサラギ』の詳細な内容については、App Store/Google Play向けアプリケーション『ボイノベ』(スマホ用の声付き電子書籍)にて、「アイドルマスター『無尽合体キサラギ』」(前編・後編)というタイトルで配信されていた(2014年10月7日~2015年2月16日)。
  • 『アイドルマスター XENOGLOSSIA』は『ゼノグラシア』と略称されたり、あるいは『THE IDOLM@STER』の公式略称である『アイマス(IM@S)』にちなんで『ゼノマス』という俗称で呼ばれる場合もある。また、2011年に原作ゲームを元にした本家のアニメ版『THE IDOLM@STER』が制作・放送される前までは『アニマス』とも呼ばれていた。
    • なお、本作に登場するキャラクターは、本家の『THE IDOLM@STER』における同名のキャラクターと区別する意味で、「ゼノ~」という接頭語を付けて呼ばれる事が多い(一例を挙げれば、『ゼノグラシア』における天海春香を「ゼノ春香」と呼称する等)。
  • 原作とは全く別路線になってしまった本作は、ファンの間で賛否両論が激しく、本作の放映から8年経過した2015年現在でも論争が続いている。また、原作サイドも公式サイトやイベントで本作の存在に言及しないため、一時は「ゼノグラシアはアイマス原作サイドからも黒歴史扱いされている」という通説があった。
    • しかし、『X-Ω』への参戦に当たり、原作総合プロデューサーの坂上陽三氏が公式ブログにて「10周年にあたってどこかでゼノグラシアにスポットを当てたいと思っていた」「スーパーロボット大戦への参戦が非常に嬉しい」と述べており、この通説は否定されている。
      • また、坂上氏は『うますぎWAVE』にて「アニメ製作の話はアーケード版が正式稼動する以前より始まっていて、当時はバンダイとナムコが経営統合した時期でもあり両者のコラボ的な作品を作ろうという話が持ち上がっていた。その結果、(ナムコの)『アイドルマスター』という言葉をキーワードに[3]、サンライズ・バンダイビジュアルでロボットアニメを作ろう、といった経緯でこの作品が製作された」と語っている。
  • サンライズの古里尚丈プロデューサーは、『THE IDOLM@STER』のアニメ化企画を持ち込まれた際にロボットアニメになった理由として「『原作の魅力には勝てない、同じ土俵には立てない』から、『ゲームのキャラで舞-HIMEを作ってくれという依頼』だと好意的に解釈した」と述べている(アニメ雑誌『アニメージュ』2007年2月号より)。
    • また、古里プロデューサーは公式ラジオで「サンライズにとっての『アイドル』とは何だろうと考えた結果、『ロボット』に行き着いた」「自分たち(サンライズ)が得意なロボット物の要素を加えることで、ゲームとはまた違う世界が広がると考えた」とも述べている。
  • 元がアイドル作品でサンライズ制作のロボットアニメである故か、幾つかのサンライズ作品の主題歌をカバーしたキャラクターソングアルバムが存在している。

商品情報

DVD

書籍

音楽

脚注

  1. ただし、『XENOGLOSSIA』に登場するキャラクターの誕生日および血液型は、本家の『THE IDOLM@STER』における同名のキャラクターのものと同じ設定になっている。
  2. 『THE IDOLM@STER(アイドルマスター)』の公式略称。
  3. 当時は『アイドルマスター』という言葉をキーワードに他の色々な展開も行う予定だったが、結果として『XENOGLOSSIA』のみが残った。
  4. 隠しトラックに、レイズナーOP風の本編予告入りVerが収録されている。