エルピス事件

OG世界（OGシリーズ）で起きた事件。スペースコロニー「エルピス」に潜入したテロリストらが、毒ガスを用いてコロニー内の住民を虐殺した。

概要

事件はエルザム・V・ブランシュタインが毒ガスが仕掛けられた区域を破壊することで解決したが、その引き替えとして隔壁に閉じ込められたカトライア・F・ブランシュタインら人質が犠牲になってしまった。エルザムが妻も含めた人質を見殺しにせざるを得なかったのは、人質が囚われた区域から毒ガスが蔓延し、さらに囚われた区域の隔壁がウィルストラップで強制開放したため、そのまま救出活動で時間が経過した場合、エルピスの住民全員が死亡するという事態を招くことになったためである。また、テロリスト達は人質が囚われた区域にしかけた爆薬を起爆する事でエルザムの動揺を誘った上に、前述のウィルスによりエルピス内部から隔壁を上げることもできなかったため、エルザムはカトライアを救うためにテロリストらを見逃さざるを得ず、隔壁の強制開放を許してしまった経緯がある。このトラップを仕掛けたのは実行犯の一人アーチボルド・グリムズ。

事件発生当時、スペースコロニー群では連邦政府からの独立運動（NID4）が行われており、目的のためには同胞であるコロニー居住者の命すら厭わない独立過激派が引き起こした事件として一般には知られているが、真相はコロニー独立反対派である地球連邦政府EOT特別審議会の議長カール・シュトレーゼマンが、コロニー独立派の立場を悪くするためにアーチボルドらに依頼した自作自演劇である。しかしシュトレーゼマンの策謀もむなしく新西暦184年にスペースコロニー群は独立を果たすことになる。

カトライアの叱咤を受けての行動とはいえ、愛する妻を自らの手で殺めたという事実はエルザムの心に拭い難い傷を残した。父マイヤー・V・ブランシュタインはエルザムを咎める事はなかったが、マイヤーの息子であり、エルザムの弟であるライディース・F・ブランシュタイン（ライ）はカトライアを愛するが故に納得がいかずブランシュタイン家を出奔した。

「向こう側」での結末

ラミア・ラヴレスが自らの素性を打ち明ける際、いわゆる「向こう側」でも同様の事件が発生した事を明かしている。しかし事件の結果は「こちら側」とは異なり、カトライアだけではなくエルザムやマイヤーなども含めたエルピスの住民の大半が死亡するという最悪の結果に至っており（このことから、こちら側とは違いエルザムはそもそも出撃する間もなく巻き込まれてしまった模様）、ラミアからその事実を告げられたこちら側のレーツェル（＝エルザム）やライに衝撃を与えた。

この結果を受けてコロニーの治安維持とID4の弾圧が強化され、結局コロニーが独立することはなかった。シャドウミラーの首領ヴィンデル・マウザーは「OG世界」のアーチボルトと組んでいたが、彼がエルピス事件の実行犯であることを知っていた（黒幕がシュトレーゼマンであったかは不明）。

なお、ライやレオナがエルピス事件で死亡しているかどうかは明言されていない。

αシリーズでの結末

『第3次α』でのレーツェルとライの会話でコロニーのテロ事件でカトライアが故人になっている事が明かされているため、同様の事件が発生しているものと見られる。

が、OGシリーズとの大きな違いとして、事件後、エルザムがブランシュタイン家を出奔し、行方不明になってしまった。レーツェルは「エルザムは妻を失った時に死んだ」と語っており、この世界では愛する妻を自ら殺した事が許せなかったのだと思われる。ライが出奔したのはOGシリーズと同様だが、この経緯によりライなりにエルザムの心情を慮る事ができたようで、OGシリーズに比べてエルザムに対する恨みは薄い模様。

関連項目

地球連邦政府 (OG)

EOT特別審議会