春秋戦争
春秋戦争(しゅんじゅうせんそう/Syunzyu conflict)
王都ラングランの壊滅に端を発する、神聖ラングラン王国とシュテドニアス連合国の覇権戦争。春秋は、1年を意味する。
この用語はOGシリーズに属する『スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神II REVELATION OF EVIL GOD』が初出であり、旧シリーズに属する『スーパーロボット大戦外伝 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL』では使われていない。ラ・ギアスの出来事が語られるときに春秋戦争という言葉が枕につく場合はOGシリーズの世界観に限定していることになる。
地底世界の動乱とその経過
シュテドニアスの奇襲(魔力弾事件)とラングランの反撃
戦争の前半は、偽装テロを装い相手の政治中枢を破壊する形で緒戦を制したシュテドニアス軍が有利に事を運び、ラングラン側はナザン・エオルド双大陸に保有した国土の8割を失陥。窮地に追い込まれる。
しかし、ラングランの将軍カークス・ザン・ヴァルハレヴィアが、シュテドニアスの占領下にあったナザン大陸中部のカラタミーフィ州から挙兵したことで形勢は一変する。彼の組織したパルチザン(抵抗軍)に後方を脅かされたシュテドニアス軍は、補給線に問題を抱え、ラングランの各州で頻発するゲリラの鎮圧に苦慮することになる。
一方、敵地での蜂起という難業を見事に成功させたカークス将軍は渡海作戦でシュテドニアス国土に隣接したカラタミーフィ州からエオルド大陸東部へ転進(ヌエット海横断作戦)。鮮やかな用兵で損害を最小限に収めてナザン大陸を退去、トロイア州の支配権を賭けた鍔迫り合いをシュテドニアスとの間で演じはじめる。これは、ラングランの正規軍の範疇を逸脱した越権行為であったかもしれない。
フェイルロードの挙兵と地上人召喚プログラム
戦争の中期、神聖ラングラン王国では、サイツェット州レッグ島で第1王子フェイルロードが義勇軍を組織し、シュテドニアス軍に対して国土回復運動を始める。だが、この頃には新たな独立勢力としてラングランの東部方面に盤踞していたカークス将軍が事態を傍観。遊軍として幕下に参加していた魔装機神操者ホワン・ヤンロンに対してもこの情報を秘匿するなど、王子の蜂起を完全に黙殺した。
さらに、エオルド大陸北西部の強国『バゴニア連邦共和国』が完全な物見遊山を決め込んだことで、戦線は次第に膠着化の様相を見せ始める。焦りを感じたフェイルロードは、起死回生を賭けて新たな『地上人召喚計画』による軍備増強の計画を実行に移す。しかし、それは次なる混迷の引き金となるのだった。
地上人召喚事件とその余波
戦争の終盤、ラングランとシュテドニアスの両軍は、ラ・ギアスの全土に大量の異世界の兵器とそれを操る戦士達が迷い込んでくるという謎の事態に遭遇する。原因は、フェイルロード王子が編み上げた地上人召喚魔法の暴走である。その中には、地球圏の数多の戦乱を収めてきた『鋼龍戦隊』の面々の姿もあった(旧シリーズでは『ロンド・ベル』)。ラ・ギアスにかつてない戦力が集中する事態を重く見たカークス将軍は、王子と共同で異世界の住人を故郷へ送還させるプログラムの開発を進める。
各勢力は、それぞれの思惑によって彼らを登用、時には登用した彼らと争い合うなどして、その力を利用した。やがて、ラ・ギアスへの帰還を果たしたマサキ・アンドーと召喚された地球人リューネ・ゾルダーク、ルオゾールの蘇生術で甦ったシュウ・シラカワの三者の下に多くの地上の戦士が集ったことで、各地の戦況は収束に向かい始める。異なる立場に身を置きながらも、それぞれの事情によって戦いに臨んだ若者たちは力を合わせて、シュテドニアス軍、フェイルロード軍、カークス軍、ヴォルクルスの分身群を撃破。地底世界の動乱を鎮めることに成功する。
戦争終結後、多くの地上人が故郷への帰還を選択する中で、一部の地上人はラ・ギアスへの残留を選択した。これは生粋のラ・ギアス人のプラーナに大きな影響を与え、新たな火種を生むことになった。
暫定平和条約
『春秋戦争』に完全敗北したシュテドニアスは、ラングランの臨時政府との和平交渉でナザン大陸6州(ディムール・コォード・キナ・カラタミーフィ・ドレント・ガルデシア)を獲得。国力を増すことに成功した。ラングランへの対抗意識は依然衰えず、数ヶ月後に『三國戦争』として再燃する。
作品中での描写
- スーパーロボット大戦EX
- 旧シリーズでは、動乱の期間は最大でも7ヶ月間(約半年間)。マサキ、リューネ、シュウら三人の主人公の視点から見た『地上人召喚事件』の顛末が描かれる。EXでの経過時間は、プロローグからエンディングまでを含めても約1ヶ月間と推測される。
OGシリーズ
- スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神II REVELATION OF EVIL GOD
- 本作の用語録でこの戦乱を『春秋戦争』と命名している。「春秋」には一年という意味がある。
- 第2次スーパーロボット大戦OG
- 物語の前半で、『春秋戦争』の終盤(ラ・ギアス事件)が描写されている。『鋼龍戦隊』はハガネ隊がフェイル軍、ヒリュウ隊がカークス軍に保護され、それぞれ戦乱の終結を目指して奮闘。最終的には、やむなく袂を分かつこととなったフェイルロード、カークスを討ち、地上へと帰還する。だが、この間地上で独自の目的のために行動していたアルテウル・シュタインベックは、地上に存在した空白の期間を利用し、戦隊に敵対勢力との接触疑惑をかけ、捕縛に乗り出す。この際、陰謀によってグライエンを暗殺、その罪を戦隊に負わせたことで、鋼龍戦隊は逃亡を余儀なくされることとなった。
関連項目
- 地上人召喚事件(ラ・ギアス事件)
- 『春秋戦争』の末期に発生した一大事件。戦争を終結に導いた正の側面と、後の新たな戦乱に繋がる火種をばら撒いた負の側面を併せ持つ。
- 魔力弾事件
- シュテドニアスとラングラン、両国の開戦(春秋戦争)の火蓋を切ることになった虐殺事件。『LOE』第一章シナリオ「調和の結界」から「カタストロフ」までが該当。突如として姿を現した大量のシュテドニアス製魔装機の襲撃と魔力弾の雨にさらされた王都ラングランは、国王アルザールを皮切りに大勢の指導者を失った。シュテドニアス連合政府は一部の軍人が邪教徒と結託して暴挙に走ったと公表して関与を完全に否定している。命名はIIIのDLCキャンペーンマップ「アンティラス隊の名にかけて」より。
- 五大封印
- この戦争の水面下でルオゾールが破壊してまわったヴォルクルスの封印。『EX』では最後のひとつを破壊したときにヴォルクルスの本体がグリモルド山に降臨した。
- 封印戦争
- 地上人召喚事件(ラ・ギアス事件)の発生後に地上で勃発した戦争。地上では鋼龍戦隊を始めとする軍の主力がラ・ギアスに召喚され戦力不足となっていた事もあり、新たな敵バラルの台頭とアルテウル・シュタインベックの暗躍を許してしまい、更に異星人ゲストと別世界勢力ルイーナが侵攻するなど、地球の命運をかけた大きな戦いとなった。中盤においてマサキ達魔装機神操者も地上に上がり、この戦争に参戦。終戦まで戦い抜いた。
- トロイア州
- 希少金属オリハルコニウムの産地として有名。シュテドニアスが欲してやまないラングランの領土。トロイアを巡る帰属問題は、シュテドニアスとラングランの両国が抱える長年の懸案事項である。
- デュラクシール / エウリード
- 本戦争においてそれぞれフェイルロード、カークスが決戦兵器として用いた超魔装機。